JP2008190061A - 汚れ防止性の吸放湿性壁紙 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 吸放湿性壁紙の表面に、透湿性のポリ乳酸系樹脂フィルムを積層させたことを特徴とする汚れ防止性を確保した吸放湿性壁紙であり、該透湿性のポリ乳酸系樹脂フィルムの透湿度(g/m2・24時間)が100〜1000である汚れ防止性を確保した吸放湿性壁紙であり、また、吸放湿性壁紙の表面の汚れを防止するために、該吸放湿性壁紙の表面に透湿性のポリ乳酸系樹脂フィルムを積層させることからなる該透湿性のポリ乳酸系樹脂フィルムの使用方法である。
【選択図】 図2
Description
また、冬期においては室内の乾燥防止や暖房の目的のため、加湿器や石油ストーブなどの開放型暖房機器を使用することが多く、室内気温と外気温との差の関係でこれらの機器等から発生する水蒸気が窓ガラス部分や壁面に結露として発生し、カビ等の発生や壁面の汚れを引き起こす原因となっている。
このような壁紙は、表面の汚れを取り去るには極めて効果的なものであるが、その表面にラミネートするフィルムが透湿度を有さない通常の合成樹脂フィルムであることから、壁紙自体に吸放湿性能がないものが主流であった。
しかしながら、これらの壁紙については、吸放湿性能は確保されているものの、表面の汚れ防止性については特別な手当はなされていない。そのため、これらの吸放湿性壁紙についてその汚れ防止性を高めるために、壁紙表面に合成樹脂フィルムをラミネートさせることが考えられるが、一般的な合成樹脂フィルムは透湿性が殆ど無く、汚れ防止対策を確保したとしても、吸放湿性壁紙自体の有する吸放湿性能が阻害されてしまうこととなる。
かかる課題を解決するべく、本発明者は鋭意検討した結果、吸放湿性の壁紙の表面に、透湿性を有する特定の樹脂フィルムをラミネートすることにより、吸放湿性壁紙が有する吸放湿性能を阻害することなく、壁紙表面の汚れを効果的に予防することができることを新規に見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明における透湿度は、JIS Z 0208 条件A(温度25±0.5℃、相対湿度90±2%)の試験法に準じて測定したものである。
また、従来の吸放湿性壁紙には認められない表面汚れ防止性能に優れているため、特にトイレ、洗面所・脱衣所といった湿度が高く、且つ汚れが付着し易い場所の壁紙として好適に使用し得るものである。その上、調湿性能がそのまま保持されているため、壁内部における結露等の発生を回避でき、住宅の老朽化の進行を防ぐことが可能となる。
さらに、壁紙の表面を樹脂フィルムで積層していることから、壁紙自体を保護し、その表面強度も向上し、傷付きにくいものとなる利点を有している。
また、表面にラミネートする透湿性のポリ乳酸系樹脂フィルムは、植物由来の生分解性のポリ乳酸系樹脂を主原料としているため、環境への配慮にも考慮したものである。
透湿性のポリ乳酸樹脂フィルムを積層する吸放湿性壁紙としては、従来から提案されている吸放湿性壁紙をそのまま適用することができる。
具体的には、例えば、可撓性基材上に吸水性材料、例えば吸水性ポリマーを含有する合成樹脂層からなる吸放湿層を積層させた吸放湿性壁紙、或いは、可撓性基材上に多孔質の各種無機質材をバインダー樹脂により固着させた吸放湿性壁紙等を挙げることができる。
吸水性ポリマーは、一旦吸収した水分を完全に再放出できず、吸放湿の機能性が低下してしまったり、吸水により膨張してしまったり、カビ等が発生し易いので、多孔質の無機質材を使用したものが好ましい。
したがって、本発明においては、透湿性のポリ乳酸系樹脂フィルムを積層させる吸放湿性壁紙は、特に限定されるものではない。
本発明者は、PETやEVA等の一般的な樹脂フィルムと比較して、かかるポリ乳酸系樹脂フィルムに優れた透湿性があることを新規に見出し、吸放湿性壁紙の表面に積層した場合に、吸放湿性壁紙の有する吸放湿性能を損なうことなく、表面の汚れ性を防止しうることを見出したのであり、かかる点に本発明の特徴がある。
透湿度が100未満であると、所望の吸放湿性能を確保することができず、また、1000を超える場合には、壁紙としての吸放湿性能に関して問題はないが、外観やフィルム自体の物性に問題があり、好ましくない。
一般的な防汚性フィルムには吸放湿性能は無く、例えば、汎用されているエチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂フィルム、或いはポリプロピレン系樹脂フィルムにあっては、その透湿度(g/m2・24時間)は、それぞれ15以下の透湿度である。
施工した場合に壁としての風合いの点を考慮すると、表面光沢を有するものよりも、艶消し性を有するようなものが好ましい。ASTM−D245−70に準じて測定したフィルム表面光沢度(Gloss:45度)としては、60%以下のものが好ましく、60%以下であれば、光沢を抑えて高級感で落ち着いた外観の壁紙を得ることが可能となる。
例えば、使用するフィルムの少なくとも片面に、梨地エンボスを施したようなものであってもよい。
ポリ乳酸系樹脂に配合される微粒子ポリマーや無機フィラーの平均粒径としては、10μm以下のものが好ましい。10μmを超えてしまうとフィルム成形時の成膜安定性が低下すると共に、フィルム自体の物性低下となり、壁紙に積層する際の作業性が低下し、外観不良となり、好ましくない。
その配合量は0.5〜30重量%程度が好ましく、0.5重量%未満であると、艶消し性が劣り、30重量%を超えるとフィルム物性が低下すると共に、生産性、積層作業安定性に劣るものとなり、好ましいものではない。
もちろん、前記の方法を併用して表面光沢度を調整してもよい。
しかしながら、積層する場合に、接着剤層を設けることにより吸放湿性を阻害する可能性があり、熱ラミネートによるものが好ましい。
すなわち、図1に示すように、本発明の汚れ防止性を確保した吸放湿性壁紙1は、可撓性基材30の表面上に積層された吸放湿樹脂層20の表面に、透湿性のポリ乳酸系樹脂フィルム10を貼り合わせた3層構造を基本的構成とする。
この場合において、可撓性基材30としては、少なくとも透過性を有する紙、合成樹脂シート、織布、不織布、ガラス繊維シート、金属繊維シート、難燃性裏打紙、これらの複合材料、積層材料などの他、通常ビニルクロスなどの壁紙に用いる基材を制限無く使用することができる。
また、吸放湿樹脂層20として、吸水性ポリマーなどの吸放湿材料を含有する例えば、ポリ塩化ビニル、アクリル系樹脂エマルジョン、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(EVA)等の樹脂層であり、発泡性、非発泡を問わなく使用することができる。
なお、吸放湿樹脂層中に含有される吸放湿材料としては、吸水性ポリマーに限定されるものではなく、各種の吸放湿材料を使用することができることはいうまでもない。
また、吸放湿樹脂層20の表面には、意匠模様、デザイン等を印刷した印刷層21を積層させることもでき、その変形例を図2として示した。図中の符号は図1と同様である。
本実施例においては、本発明の汚れ防止性の吸放湿性壁紙1は、可撓性基材30の表面上に、符号50で示される、例えば珪藻土などの無機材料、或いは吸放湿材を含有する樹脂製パウダー又はチップを接着剤51により固着したものであり、その表面に透湿性のポリ乳酸系樹脂フィルム10を貼り合わせた構造を基本的構成とする。
また、表面上に付着した塵・ホコリ等の汚れについても、例えば、布等で拭き取ることにより容易に除去することが可能となっている。
本実施例においては、本発明の汚れ防止性の吸放湿性壁紙1は、可撓性基材30の表面上に、符号60で示される樹脂層を設けたものであるが、かかる樹脂層は、基材30の表面上を隈無く覆うものではなく、基材の一部が露出65するように積層され、その露出部分65の基材の透湿性により、壁紙自体の吸放湿性が確保されており、その表面に透湿性のポリ乳酸系樹脂フィルム10を貼り合わせた構造を基本的構成とする。
以下に、本発明で使用する透湿性のポリ乳酸樹脂フィルム(PLAフィルム)を表面フィルムとして貼り合わせた吸放湿性壁紙についての吸湿試験を、対照フィルムとしてポリプロピレンフィルム(PPフィルム)、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム(EVOHフィルム)を貼り合わせた比較例、及び表面フィルムを貼り合わせない比較例との対比で検討した。また、併せてその汚れ防止性、表面強度も測定した。
坪量90g/m2の壁紙用原紙の片面に、アクリル系樹脂エマルジョン(無機充填材としてシリカを60%混合したもの)を、乾燥後重量で300g/m2となるようにナイフコーターで塗工し、170℃のオーブンで5分間加熱・乾燥させた後、加熱プレス機(20kgf/cm2、140℃×1分)で表面フィルムを樹脂層の表面に貼り合わせて壁紙を調製した。
比較例1及び2の壁紙については、表面に貼り合わせる樹脂フィルムが異なるだけで、本発明の壁紙と同様に調製した。
また、比較例3の壁紙につては、樹脂フィルムを貼り合わせないものを使用した。
1.透湿度
フィルムの透湿度は、JIS Z 0208「防湿材料の透湿度試験法(カップ法)」の条件A(25℃×90%RH)に準じて測定した。
2.吸湿量
吸湿量試験片として、壁紙を10×10cmにカットし、裏面及び端部をアルミテープでマスキングしたものを試験体とした。
試験体を25℃×50%RHの恒温恒湿槽内で24時間養生後に重量を測定し、これを基準値とした。
湿度を90%RHに上昇させ、24時間養生後の重量を測定し、基準値からの増加分をm2換算した値を吸湿量とした。
3.汚れ防止性
壁紙製品規格協議会制定の「汚れ防止壁紙性能試験規定」に準じた。
4.表面強度
壁紙製品規格協議会制定の「表面強化壁紙性能試験規定」に準じた。
図中、PLAフィルムラミは本発明品を、PPフィルムラミは比較例1、EVOHフィルムラミは比較例2、フィルム無しは比較例3の壁紙に基づく試験体を意味する。
本発明の吸放湿性壁紙は、特にトイレ、洗面所・脱衣所といった湿度が高く、汚れが付着し易い場所の壁紙として好適に使用し得るものであり、調湿性能がそのまま保持されているため、壁内部における結露等の発生を回避でき、住宅の老朽化の進行を防ぐことが可能となり、また、壁紙自体の表面強度も向上し、傷付きにくいものとなる利点を有している点で、その利用性は多大なものである。
10 透湿性のポリ乳酸系樹脂フィルム
20 吸放湿樹脂層
21 印刷層
30 可撓性基材
50 無機材料、樹脂製パウダー、チップ
51 接着剤
60 樹脂層
Claims (3)
- 吸放湿性壁紙の表面に透湿性のポリ乳酸系樹脂フィルムを積層させたことを特徴とする汚れ防止性を確保した吸放湿性壁紙。
- 透湿性のポリ乳酸系樹脂フィルムの透湿度(g/m2・24時間)が100〜1000である請求項1に記載の汚れ防止性を確保した吸放湿性壁紙。
- 吸放湿性壁紙が、可撓性基材上に吸水性材料を含有する合成樹脂層からなる吸放湿層を積層させた壁紙、可撓性基材上に多孔質の無機質材を固着させた壁紙である請求項1又は2に記載の汚れ防止性を確保した吸放湿性壁紙。
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