JP2008188537A - 細断処理装置、回転刃および回転刃の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】紙処理装置は、本体部の周囲に複数の刃部220を略放射状に備えて回転する回転刃によって、紙を引き込んで細断する。回転刃の刃部220は、周側面(前面221,後面222,側面223)によって四角錐状に形成され、その先端部には先端面224が形成されて、鋭利な状態から先端が切断されたような形状となっている。
【選択図】図6
Description
このようなシュレッダの一例として、特許文献1に開示のごとき構成のものが知られている。
特許文献1に開示のシュレッダは、水平面上に略平行に配置されて相互に反対方向へ駆動される一対の回転軸に、複数の回転刃を備えて構成されている。一方の回転軸および他方の回転軸に設けられた回転刃は、軸方向で交互配置となるように固着され、相互に反対方向へ回転する。そして、回転刃の上方に投入された古紙を、外周部の回転速度の遅い回転刃で引っ掛けて噛込部に搬送し、この噛込部にて引き裂くようにして破砕する。
ここで、回転する刃(回転刃)によって古紙等の対象物を引っ掛けて搬送すると共に細断する細断処理装置では、回転刃は対象物の搬送と細断とによって徐々に摩耗し、その機能が低下する。
特に、搬送機能の変化が著しく、このため、回転刃に摩耗がなく鋭利な状態では、対象物を細断能力以上に過剰に搬送して過負荷となって機能停止を招来する虞がある一方で、回転刃の摩耗の進行に伴って搬送量が急激に低下する。
その結果、細断能力に応じた量の対象物を安定して細断作用域に供給(搬送)することが難しく、長期間に亘って安定した細断機能を維持することが困難であるという問題があった。
また、角形成面は、略平坦であることを特徴とすることができる。
さらに、対象物を回転刃に押し付ける押圧部材をさらに備え、回転刃は刃部が対象物を突き刺すことで係合して引き込むように構成されていることを特徴とすることができる。
図1は本実施の形態に係る細断処理装置としての紙処理装置10の外観図、図2は紙処理装置10の内部を示す概略構成図である。また、図3は押圧機構20Bを上側から見た図、図4は図3のA−A断面図である。
紙処理装置10は、装置本体を構成する本体部11の上面部12に、細断処理する対象物としての紙が投入される投入部13が形成されている。そして、投入部13に投入された紙の処理(細断処理等)を行い、処理済みの細断片を本体部11の内部に一時的に収容する。本体部11には、その内部に収容された細断片を外部へ排出する際に開閉する開閉扉14が設けられている。
さらに、圧縮ユニット40で塊化された細断片を移送するダクト50と、このダクト50により移送された細断片の塊を収容する収容ボックス60とを備えている。
細断作用部20Aは、第1の回転刃軸21と第2の回転刃軸22とが略水平平面内で平行に配置されて長方形の平面形状を呈している。
細断作用部20Aの第1の回転刃軸21と第2の回転刃軸22とは、それぞれ回転刃21a,22aを軸方向に所定間隔で複数備えている。
回転刃21a,22aは、円盤状の本体部の周囲に複数の刃部が略放射状に形成されている。
また、第1の回転刃軸21の回転速度(回転刃21aの周速度)と第2の回転刃軸22の回転速度(回転刃22aの周速度)とは異なっている。紙が投入される側の第1の回転刃軸21は遅く(低速)回転し、紙投入側から遠い第2の回転刃軸22は速く(高速)回転するようになっている。その速度差は例えば2倍の値を採用することができる。
なお、細断モータ20Mは、正逆反転が可能なものであり、第1の回転刃軸21および第2の回転刃軸22を図2の矢印方向とは反対の方向に回転させることも可能となっている。
ブラケット25は、板状の支持板部25aの縁部に装着部25bが形成され、その装着部25bで図示しないフレームに固定されて、第1の回転刃軸21の上側に設けられている。ブラケット25は、第1の回転刃軸21の軸方向に複数並列に設けられており、これらのブラケット25が、その支持板部25aで第1の支持軸26aと第2の支持軸27aとを支持している。
支持板部25aの下縁には、段部25cが形成されている。この段部25cは、第1の回転刃軸21の回転刃21aとの間隔が、回転刃21aの回転方向前方に向かって順次狭くなるようになっている。
第1の支持軸26aは、複数の第1のウェイト26を揺動自在に支持している。その第1のウェイト26は、隣接する回転刃21aの間の部位(間隔部位)と対応する位置に間隔部位一つ置きに配置されている。
第2の支持軸27aは、複数の第2のウェイト27を揺動自在に支持している。その第2のウェイト27は、第1のウェイト26が配置されない間隔部位と対応する位置に配置されている。
第1のウェイト26と第2のウェイト27とは、それぞれ重心位置から偏心した位置で第1の支持軸26a又は第2の支持軸27aに揺動自在に支持されている。そして、第1の支持軸26a又は第2の支持軸27aから垂下する自由状態では、それぞれその下部が回転刃21aの刃先移動域21b(図4に示す)の内側に所定量入り込むように設定されている。
その際、押圧機構20Bの第1のウェイト26及び第2のウェイト27が、回転刃21aの上側に供給される紙P(図4に示す)の上に揺動して乗り上げ、その重量で紙Pを回転刃21aに押圧し、回転刃21aの紙Pへの突き刺しを促進させる。
また、押圧機構20Bのブラケット25の支持板部25aの下縁に形成された段部25cが、過剰な量(厚さ)の紙が引き込まれることを阻止する。
つまり、第1の回転刃軸21(回転刃21a)が紙を細断部23に搬送し、第1の回転刃軸21(回転刃21a)と第2の回転刃軸22(回転刃22a)とで紙を細断するものである。
ここで、第1の回転刃軸21の回転刃21aと、第2の回転刃軸22の回転刃22aとは、基本的には同形状(回転方向に応じて配置方向は異なる)であるが、紙を細断部23に引き込む(搬送する)作用を行う回転刃21aには、本願発明の一構成例が適用されている。この回転刃21aの詳細については、後に詳述する。
ホッパ30は、傾斜した周囲側板によって漏斗状に形成されている。そして、細断機構20から落下する細断片を受けて集合させ、圧縮ユニット40に供給する。
圧縮ユニット40は、ホッパ30の下部開口部に接続された略筒状のハウジング41と、ハウジング41の内部に回動自在に配置されたスクリュー42と、スクリュー42を回転駆動する圧縮モータ40Mとを備えている。そして、圧縮ユニット40は、スクリュー42が圧縮モータ40Mによって所定速度で回転駆動され、ホッパ30を介して供給される細断片を、圧縮して密度の高い塊状にして送り出す。
ダクト50は、詳細は図示しないが、略U字状を二つ組み合わせたように屈曲した管路であり、一方端が圧縮ユニット40のハウジング41の下流端に接続され、他端が収容ボックス60の上部に開口している。そして、圧縮ユニット40から送り出される細断片の塊を、収容ボックス60に至るように導く。
収容ボックス60は、ダクト50によって移送されて排出された細断片の塊を受け取るように配置されている。この収容ボックス60は、開閉扉14を開けて本体部11から取り出すことができるようになっている。
すなわち、細断機構20は、第1の回転刃軸21と第2の回転刃軸22とが、その速度差で投入された紙を引きちぎって、図示しない所定間隔のフィルタを通過するまで破砕を繰り返して細断片とする。
その細断片は、ホッパ30に落下し、ホッパ30によって圧縮ユニット40に導かれる。
圧縮ユニット40は、ホッパ30から供給される細断片を、圧縮モータ40Mで回転駆動されるスクリュー42によってハウジング41内を移動させて圧縮し、塊状とする。
そして、圧縮ユニット40によって塊状とされた細断片は、圧縮ユニット40からの押し出し力によってダクト50内を移動し、収容ボックス60に排出されるものである。
図5は回転刃200の側面図である。また、図6はその刃部220の拡大図であり、(a)は側面図,(b)は正面図,(c)は刃先部分の拡大斜視図である。さらに、図7は回転刃200の刃部220の作用を説明する概念図である。
回転刃200を形成する素材は、靱性が高く硬度があるもの(たとえば機械構造用炭素鋼、または高靱性丸鋸用材等)が好ましい。本実施の形態では、機械構造用炭素鋼S45Cによって形成され、刃部220には、たとえばロックウェル硬度(HRC)55±10度程度の硬度を有するように焼き入れが施される。
前面221は回転刃200の回転中心軸を含む面と略平行であり、後面222は前面221に対して所定の角度を有している。また、両側面223は、回転刃200の厚さ中心を対称軸として対称に所定の角度で形成されている。これにより、四角錐状の刃部220は、その先端が回転方向前方側に向かって所定の角度で傾斜した姿勢となっている。
先端面224は、たとえば回転刃200の回転中心を中心軸とする円柱周面状またはそれに近い平面状に形成され、図6(c)に示すように刃部220を形成する周側面(前面221,後面222,側面223)とそれぞれ角部224eを成している。
このように先端に先端面224が形成されて鋭利に尖っていない刃部220は、概念図である図7(a)に示すように、先端が鋭利に尖っている図7(b)に示す刃部220′に比較して、紙Pに突き刺さる深さ(枚数)が限られる。
このため、先端に先端面224が形成された刃部220を有する回転刃200は、紙を引き込む際に、安定した量の紙を引き込むことができる。
また、先端面224と周側面(前面221,後面222,側面223)との角部224eは、突き刺さった紙に強く引っ掛かり、紙を安定して引き込むことが可能となる。
本実施の形態の刃部220では、先端に予め先端面224が形成されているために摩耗が生じても面積変化は小さい。従って、摩耗による紙を突き刺し得る深さの変化は少なく、紙の引き込み量を長期間に亘って略一定に維持することができる。
本願構成例における先端面224の大きさは、図6中に示す各部位の寸法を、
周方向の長さ:L=0.175±0.125mm
軸方向の長さ:W=0.125±0.075mm
としたものである。
その後、さらに、引き込み実験を継続したところ、本願構成例では3000×103枚以上安定して引き込みが可能であったのに対し、比較例ではその約1/3(=1000×103枚)程度で刃部220′先端の摩耗によって引き込みが不能となった。これにより、本願構成では安定した引き込みが可能で、且つそれを長期間継続できることを確認できた。
従って、刃部220の先端面224の大きさは、細断機構20の細断能力に応じた量の紙を引き込み得るように、他の要素との兼ね合いで設定する。
まず、(a)〜(b)に示すように、所定厚さの素材鋼板201(たとえば、S45C,t=4.2mm)から、回転刃200と対応する円盤状の素材(円盤状素材202)を、プレスによって打ち抜く。本実施の形態では、その際同時に、隣接する刃部220と刃部220の間の部分を一つ置き(刃間部241)に仕上げ代を残した形状に抜く。
なお、このように刃間部241,242を一つ置きに抜いて二工程で刃部220を形成することで、刃部220の先端を鋭利に形成できる。これは、次のシェービング工程においても同じである。
すなわち、まず(d)に示すように、(a)〜(b)の工程で抜いた刃間部241を成形し、ついで、(e)に示すように(c)の工程で抜いた刃間部242を成形し、さらに、(f)に示すように軸穴230を成形する。これによって、刃部220の周方向が成形された二次加工回転刃204を得る。
つぎに、この二次加工回転刃204に対し、(g)に示すように熱処理(焼き入れ及び焼き戻し)を施し、刃部220を所定の硬度とする。
刃先研磨は、(i)に示すように刃部220の厚さ方向両面(図6に示す側面223)を所定角度で斜めに研磨して刃部220を四角錐状に所定の精度で成形し、さらに、(j)に示すように刃部220の先端を研磨して先端面224を形成するものである。
上記のごとき工程により、刃部220の先端に先端面224を有する回転刃200を形成することができる。
なお、(i)の工程と(j)の工程とは、順番が逆であっても良い。すなわち、先に先端面224を形成し、ついで、刃部220の厚さ方向両面を研磨しても良いものである。
ところで、本実施の形態は、本発明を細断機構20に設けられた回転刃21a(回転刃200として説明)に適用したものである。細断機構20の他方の第2の回転刃軸22に設けられた回転刃22aは、紙の引き込みは行わず専ら細断作用を行うものであるために基本的に同形状ではあっても刃部の先端は鋭利な方が細断機能の点で良いと考えられる。しかし、先端が鋭利な刃部は摩耗の進行が速く摩耗に伴う機能低下が大きいことから、本願構成が適用された回転刃200を用いることが好ましい。また、両回転刃軸21,22の回転刃21a,22aを同じものとすることで、量産効果によるコストダウンが可能となると共に管理が容易となる。
たとえば、刃部220の先端面224は、複数の周側面(前面221,後面222,側面223)とで角を成せば良いものであり、凹凸状に形成しても良い。図9に、凹凸状で先端面224′を三面有する刃部220″の例を示す。この例のいずれの先端面224′も、複数(二面以上)の周側面(前面221,後面222,側面223)と角部224eを成している。このような構成では、多くの角が形成されて紙を強く引っ掛けることができる。
また、刃部220の形状は四角錐状に限らず、たとえば三角錐状等、異なる形状としても良いものである。
Claims (6)
- 対象物を細断部で細断処理する細断処理装置であって、
前記対象物を前記細断部に引き込んで細断する回転刃と、
前記回転刃を回転駆動する回転駆動手段と、
を備え、
前記回転刃は、円盤状本体の周囲に前記対象物と係合する刃部を複数備えており、
前記刃部の先端には、当該刃部の複数の周側面とで角を成す角形成面が形成されていることを特徴とする細断処理装置。 - 前記回転刃の前記刃部は、四角錐状で先端に前記角形成面が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の細断処理装置。
- 前記角形成面は、略平坦であることを特徴とする請求項1または2に記載の細断処理装置。
- 前記対象物を前記回転刃に押し付ける押圧部材をさらに備え、
前記回転刃は前記刃部が前記対象物を突き刺すことで係合して引き込むように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の細断処理装置。 - 円盤状本体の周囲に複数の刃部を備えており、
前記刃部は、
前記円盤状本体の周方向両側の側面と当該円盤状本体の厚さ方向両側の側面とで略四角錐状に形成され、先端に複数の当該側面とで角を成す角形成面が形成されていることを特徴とする回転刃。 - 細断処理する対象物に係合して搬送すると共に細断する複数の刃部を周囲に備える回転刃の製造方法であって、
円盤状の素材に前記刃部の側面を形成する工程と、
前記刃部の先端に複数の前記側面との間に角を成す角形成面を形成する工程と、
を含む回転刃の製造方法。
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