JP2008187034A - Iii−v族窒化物半導体レーザ素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】電流阻止能力を向上するとともに、電流阻止層上の層の成長に及ぼす影響を低減できるIII−V族窒化物半導体レーザ素子を提供する。
【解決手段】III−V族窒化物半導体レーザ素子100は、n型基板101と、下部半導体層と、活性層106と、上部半導体層と、電流阻止層115とを備えている。下部半導体層は、n型基板101上に形成された第1導電型の層である。活性層115は、下部半導体層上に形成されている。上部半導体層は、活性層106上に形成された第2導電型の層である。電流阻止層115は、上部半導体層および下部半導体層の少なくともいずれか一方の中に配置されるとともに、開口部115aが形成されている。電流阻止層115は、i−AlxGa(1-x)N層とi−InyAlzGa(1-y-z)N層とが交互に積層されてなるとともに、i−AlxGa(1-x)N層は2層以上形成され、0.3<x≦1、0≦y≦1、z<x、0≦z<1であることを特徴としている。
【選択図】図1

Description

本発明は、III−V族窒化物半導体レーザ素子に関する。
III−V族窒化物半導体レーザ素子を用いた短波長光源は、光記録媒体を対象とした情報の読み出しレートや書き込みレートを向上させる技術として注目されている。現在最も一般的なIII−V族窒化物半導体レーザ素子は、基板の上にn型クラッド層、活性層、およびp型クラッド層を備え、かつ、p型クラッド層の一部を凸状のストライプ形状として導波路を形成したリッジ構造の半導体レーザ素子である。しかし、このリッジ構造以外にも、動作電圧の低減のために活性層の基板側のn型半導体層、もしくは、反対側のp型半導体層の中に、電流阻止層を設けた半導体レーザ素子が、特開2006−41490号公報(特許文献1)や特開2006−32925号公報(特許文献2)などに提案されている。
図15は、特許文献1のIII−V族窒化物半導体レーザ素子の断面模式図である。図15に示すように、III−V族窒化物半導体レーザ素子500は、n型GaN基板501と、n型GaN基板501の一方主面に接して設けられたnドープGaNバッファ層502と、nドープGaNバッファ層502の上に接して設けられたnドープAlGaN下部クラッド層503と、nドープAlGaN下部クラッド層503の上に接して設けられたnドープGaN下部第1ガイド層504aと、nドープGaN下部第1ガイド層504a上に接して設けられているとともにストライプ状の開口部が形成されたpドープ電流阻止層515と、この開口部およびpドープ電流阻止層515の上に接して設けられたnドープGaN下部第2ガイド層504bと、このnドープGaN下部第2ガイド層504b上に接して設けられたInGaN量子井戸活性層506と、InGaN量子井戸活性層506の上に接して設けられたアンドープ型のGaN上部ガイド層508と、上部ガイド層508の上に接して設けられたpドープAlGaN電子ブロック層509と、この電子ブロック層509の上に接して設けられたpドープAlGaN上部クラッド層510と、この上部クラッド層510の上に接して設けられたpドープGaNコンタクト層511と、このコンタクト層511の上に接して設けられたp側電極521と、n型GaN基板501の一方主面と反対側の面に設けられたn側電極520とを備えている。
pドープ電流阻止層515は、厚さが200nmのpドープのAl0.15Ga0.85N層515aと、厚さが10nmのpドープのAl0.3Ga0.7N層515bとからなる2層構造である。Al0.15Ga0.85N層515aは、nドープGaN下部第1ガイド層504aの上に接して設けられている。また、Al0.3Ga0.7N層515bは、nドープGaN下部第2ガイド層504bの下に接して設けられている。
III−V族窒化物半導体レーザ素子500は、劈開によりストライプ方向に垂直に劈開面が設けられている。III−V族窒化物半導体レーザ素子500の共振器長は、600μmである。また、III−V族窒化物半導体レーザ素子500の前面にはAR(anti−reflection)コーティングが、後面にはHR(high−reflection)コーティングが施されている。
III−V族窒化物半導体レーザ素子500は、リッジ型半導体レーザ素子に比較し、大幅な駆動電圧の低下が期待できる。これは、以下の理由による。リッジ型半導体レーザ素子は、一般に、抵抗の高いpドープの層にリッジで形成することで電流を狭窄しているために、駆動電圧が高くなる。一方、III−V族窒化物半導体レーザ素子500では、pドープ電流阻止層515の開口部に挟まれた抵抗の低いnドープの層に電流が狭窄されて、かつ、抵抗の高いpドープのコンタクト層511はp側電極521と幅広い面積で接していることで、駆動電圧が低減される。
特開2006−41490号公報 特開2006−32925号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示のIII−V族窒化物半導体レーザ素子500では、pドープ電流阻止層515の厚みが210nmであるが、pnpnのサイリスタ構造で安定して電流を阻止するには210nmは不十分な厚みである。そのため、III−V族窒化物半導体レーザ素子500のpドープ電流阻止層515の構造では、電流阻止能力が安定しないという問題がある。
また、上記特許文献1では、合計厚さ210nmの電流阻止層とその開口部にGaNからなる第2ガイド層504bで埋め込み成長を行っている。GaNは横方向に成長しやすいため、開口部内が優先的に埋め込まれ、pドープ電流阻止層515上に容易に平坦なGaN層(第2ガイド層504b)が形成できているように見受けられる。しかし、第2ガイド層504b上に順次p−コンタクト層511までを結晶成長していくと、表面に段差が現れてくる。このようなウエハを劈開すると、段差をきっかけに劈開にズレが発生し、共振器長にばらつきが発生してしまう場合がある。すなわち、電流阻止層より上の層の成長を考慮すると、特許文献1のpドープ電流阻止層515は厚すぎる。そのため、pドープ電流阻止層515とその開口部とによる段差がその上の層の成長に悪影響を与えるという問題がある。
また、上記特許文献2に開示の半導体レーザでは、電流阻止層を構成する薄膜が2層の場合には、上記特許文献1と同様の問題を有している。また、電流阻止層を構成する薄膜が3層以上の場合には、電流阻止能力をある程度安定させることができるが、サイリスタ構造では、電流阻止層の厚みが大きなってしまう。この場合には、特許文献2の電流阻止層が厚すぎるため、電流阻止層と開口部とによる段差が、その上の層の成長に悪影響を与えるという問題がある。
本発明の目的は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、電流阻止能力を向上するとともに、電流阻止層上の層の成長に及ぼす影響を低減できるIII−V族窒化物半導体レーザ素子を提供することである。
本発明のIII−V族窒化物半導体レーザ素子は、基板と、下部半導体層と、活性層と、上部半導体層と、電流阻止層とを備えている。下部半導体層は、基板上に形成された第1導電型の層である。活性層は、下部半導体層上に形成されている。上部半導体層は、活性層上に形成された第2導電型の層である。電流阻止層は、上部半導体層および下部半導体層の少なくともいずれか一方の中に配置されるとともに、開口部が形成されている。電流阻止層は、i−AlxGa(1-x)N層とi−InyAlzGa(1-y-z)N層とが交互に積層されてなるとともに、i−AlxGa(1-x)N層は2層以上形成され、0.3<x≦1、0≦y≦1、z<x、0≦z<1であることを特徴としている。
本発明のIII−V族窒化物半導体レーザ素子によれば、電流阻止層において、i−AlxGa(1-x)N層とi−InyAlzGa(1-y-z)N層との界面にヘテロバリアが形成されるので、バンド不連続によりキャリアの通行を妨げる。また、電流阻止層は、サイリスタでなく、抵抗の高いi−AlxGa(1-x)N層を2層以上有している。そのため、電流阻止層は高抵抗となり、電流阻止層の厚みが薄くても十分に電流を狭窄することができる。よって、電流阻止能力を向上できるとともに、電流阻止層上の層の成長に及ぼす影響を低減できる。
なお、上記「i−」とは、導電性不純物をドープさせていない、もしくは、導電性不純物を適量ドープすることで内在するキャリアを補償させたことにより、実質的にp型およびn型いずれの導電型にも機能しない状態であることを示す。
上記III−V族窒化物半導体レーザ素子において好ましくは、電流阻止層において、0.5≦x、z=0であることを特徴としている。
これにより、i−AlxGa(1-x)N層とi−InyAlzGa(1-y-z)N層との界面において、キャリアの通行がより妨げられる。よって、より高い電流阻止能力を得ることができる。
上記III−V族窒化物半導体レーザ素子において好ましくは、電流阻止層の厚みが0.1μm以下であることを特徴としている。
これにより、電流阻止層が形成されている部分と開口部との段差の影響を、その上に形成する層がより受けにくくなる。よって、電流阻止層の上の結晶成長を最後まで良好に行うことができる。
上記III−V族窒化物半導体レーザ素子において好ましくは、基板と反対の方向から見た電流阻止層の開口部の面積は、開口部および電流阻止層の面積の4%以上であることを特徴としている。
これにより、電流阻止層に要求される電流阻止能力を低めに抑えることができる。そのため、電流阻止層におけるAl混晶比を低めに設定することができる。
上記III−V族窒化物半導体レーザ素子において好ましくは、第1導電型がn型で、第2導電型がp型であり、電流阻止層が下部半導体層の中に配置されていることを特徴としている。
これにより、電流狭窄される部分が抵抗の低いn型の層になるので、駆動電流を抑制することができる。
上記III−V族窒化物半導体レーザ素子において好ましくは、第1導電型がn型で、第2導電型がp型であり、電流阻止層が上部半導体層の中に配置されていることを特徴としている。
これにより、活性層は基板から連続した結晶成長で形成することができるので、より確実に良好な結晶が得られる。
上記III−V族窒化物半導体レーザ素子において好ましくは、電流阻止層において基板に最も近い層および基板から最も遠い層は、i−AlxGa(1-x)N層であることを特徴としている。
i−AlxGa(1-x)N層はバンドギャップが大きいため、電流阻止層と接触する層との間で電流が流れにくい。そのため、電流阻止能力がより大きくなる。
本発明のIII−V族窒化物半導体レーザ素子によれば、電流阻止能力を向上できるとともに、電流阻止層上の層の成長に及ぼす影響を低減できる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には、同一の参照符号を付し、その説明は繰り返さない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるIII−V族窒化物半導体レーザ素子の断面模式図である。図1を参照して、本発明の実施の形態1におけるIII−V族窒化物半導体レーザ素子について説明する。図1に示すように、実施の形態1におけるIII−V族窒化物半導体レーザ素子100は、n型基板101と、n型バッファ層102と、n型下部クラッド層103と、n型下部ガイド層104と、u−下部隣接層105と、活性層106と、u−上部隣接層107と、u−上部ガイド層108と、p型電子ブロック層109と、p型上部クラッド層110と、p型コンタクト層111と、電流阻止層115と、n型電極120と、p型電極121とを備えている。
ここで、n型バッファ層102、n型下部クラッド層103、およびn型下部ガイド層104(第1ガイド層104aおよび第2ガイド層104b)は本発明の下部半導体層に相当し、p型電子ブロック層109、p型上部クラッド層110、p型コンタクト層111が本発明の上部半導体層に相当している。
詳細には、n型基板101は、たとえばGaNからなっている。n型バッファ層102は、図1に示すように、n型基板101の一方主面に接して設けられている。n型バッファ層102は、たとえば厚さが0.5μmのnドープGaNからなっている。
n型下部クラッド層103は、n型バッファ層102の上に接して設けられている。n型下部クラッド層103は、たとえば厚さが2μmのnドープAl0.06Ga0.94Nからなっている。
n型下部ガイド層104は、n型下部クラッド層103の上に接して設けられている。n型下部ガイド層104は、たとえば第1ガイド層104aと第2ガイド層104bとを含んでいる。第1ガイド層104aは、n型下部クラッド層103の上に接して設けられている。第1ガイド層104aは、たとえば厚さが0.05μmのnドープGaNからなっている。第2ガイド層104bは、電流阻止層115および電流阻止層115の開口部115a(第1ガイド層104aにおいて電流阻止層115が形成されていない部分)上に接して設けられている。第2ガイド層104bは、たとえば電流阻止層115からの厚さが0.1μmのnドープGaNからなっている。
u−下部隣接層105は、n型下部ガイド層104(実施の形態1では第2ガイド層104b)上に接して設けられている。u−下部隣接層105は、たとえば厚さが0.02μmのアンドープ型のIn0.02Ga0.98Nからなっている。
活性層106は、u−下部隣接層105の上に接して設けられている。活性層106の詳細な説明は後述する。
u−上部隣接層107は、活性層106の上に接して設けられている。u−上部隣接層107は、たとえば厚さが0.02μmのアンドープ型のIn0.02Ga0.98Nからなっている。
u−上部ガイド層108は、u−上部隣接層107の上に接して設けられている。u−上部隣接層107は、たとえば厚さが0.02μmのアンドープ型のGaNからなっている。
p型電子ブロック層109は、u−上部ガイド層108の上に接して設けられている。p型電子ブロック層109は、たとえば厚さ0.02μmのpドープAl0.3Ga0.7Nからなっている。
p型上部クラッド層110は、p型電子ブロック層109の上に接して設けられている。p型上部クラッド層110は、たとえば厚さが0.6μmのpドープAl0.06Ga0.94Nからなっている。
p型コンタクト層111は、p型上部クラッド層110の上に接して設けられている。p型コンタクト層111は、たとえば厚さが0.1μmのpドープGaNからなっている。
電流阻止層115は、n型下部ガイド層104の中に配置されるとともに、開口部115aを有している。電流阻止層115は、i−AlxGa(1-x)N層とi−InyAlzGa(1-y-z)N層とが交互に積層されてなるとともに、i−AlxGa(1-x)N層は2層以上形成され、0.3<x≦1、0≦y≦1、z<x、0≦z<1である。電流阻止層115は、たとえば厚さが0.1μmのアンドープ型とし、第1ガイド層104a上に接して設けられているとともにストライプ状の開口部が形成されている。電流阻止層115の詳細な説明は後述する。
n型電極120は、n型基板101の一方主面と反対側の面に設けられている。p型電極121は、p型コンタクト層111の上に接して設けられている。n型電極120およびp型電極121は、たとえば金からなっている。
なお、開口部のストライプの幅は、たとえば10μmである。III−V族窒化物半導体レーザ素子100の共振器長は、たとえば600μmである。III−V族窒化物半導体レーザ素子100の幅は、たとえば200μmである。また、III−V族窒化物半導体レーザ素子100の前面にはAR(anti−reflection)コーティングが、後面にはHR(high−reflection)コーティングが施されている。
ここで、図2を参照して、活性層106の詳しい構造について説明する。なお、図2は、本発明の実施の形態1におけるIII−V族窒化物半導体レーザ素子の活性層周辺のより詳しい構造を示す断面模式図である。
図2に示すように、実施の形態1における活性層106は、たとえば、井戸層131、障壁層132、井戸層131、障壁層132、井戸層131の順でn型基板101側から積層されてなる井戸数3の多重量子井戸構造である。具体的には、活性層106における最下段の井戸層131は、u−下部隣接層105の上に接して設けられている。また、活性層106における最上段の井戸層131は、u−上部隣接層107の下に接して設けられている。井戸層131は、たとえば厚さが4nmのアンドープ型のIn0.15Ga0.85Nからなっている。障壁層132は、たとえば厚さが8nmのアンドープ型のGaNからなっている。
なお、障壁層132のバンドギャップエネルギーが井戸層131のバンドギャップエネルギーよりも大きくなるように調整する限り、井戸層131および障壁層132は上記組成に限るものではない。井戸層131および障壁層132の組成は、たとえばInaGa(1-a)N(0≦a<1)、AlaGa(1-a)N(0≦a<1)、InGaAlN、GaN(1-a)Asa(0<a<1)、GaN(1-a)a(0<a<1)、またはこれらの化合物などからなる窒化物半導体としてもよい。
また、活性層106をこのような多重量子井戸構造(MQW構造)とすると、III−V族窒化物半導体レーザ素子100の発振閾値が引き下がるため好ましい。III−V族窒化物半導体レーザ素子100の活性層106、MQW構造に特に限定されず、たとえば1の障壁層が最下段の井戸層の上に接して設けられているとともにu−上部隣接層107の下に接して設けられた単一量子井戸構造(SQW構造)とすることを排除するものではない。
次に、図3を参照して、電流阻止層115の詳しい構造について説明する。なお、図3は、本発明の実施の形態1におけるIII−V族窒化物半導体レーザ素子の電流阻止層周辺のより詳しい構造を示す断面模式図である。
図3に示すように、電流阻止層115は、i−AlxGa(1-x)N層141とi−InyAlzGa(1-y-z)N層142とが交互に積層されてなるとともに、i−AlxGa(1-x)N層141は2層以上形成される、合計3層以上の層からなる。電流の確実な阻止という観点から層数について検討したところ、n型基板101側からi−AlxGa(1-x)N層141、i−InyAlzGa(1-y-z)N層142、i−AlxGa(1-x)N層141、の順で設けた3層以上の構造が必要であることを本願発明者は見出した。これにより、電流阻止層115内には、i−AlxGa(1-x)N層141とi−InyAlzGa(1-y-z)N層142との界面が2以上あるので、i−AlxGa(1-x)N層141とi−InyAlzGa(1-y-z)N層142とのヘテロ界面によるヘテロバリアが形成される。その結果、バンド不連続により電子の通行を妨げることにより電流阻止層115が抵抗成分となる。これにより、電流阻止層115全体としては、AlGaN単層の場合と遜色のない電流阻止能力を得ることが可能となる。
電流阻止層115は、i−AlxGa(1-x)N層141とi−InyAlzGa(1-y-z)N層142との合計の層数が、5層以上10層以下であることがより好ましい。5層以上とすることによって、電流阻止能力をより向上できる。10層以下とすることによって、厚みをより抑制できる。
図3に示すように、実施の形態1における電流阻止層115は、i−AlxGa(1-x)N層141とi−InyAlzGa(1-y-z)N層142とがn型基板101側から5層ずつ交互に積層された、合計10層からなる。最下段のi−AlxGa(1-x)N層141は第1ガイド層104aの上に接して設けられており、また、最上段のi−InyAlzGa(1-y-z)N層142は、第2ガイド層104bの下に接して設けられている。これにより、電流阻止層115全体での平均歪を半減させて、転位の形成を抑制することができる。
電流阻止層115におけるi−AlxGa(1-x)N層141およびi−InyAlzGa(1-y-z)N層142は、0.3<x≦1、0≦y≦1、z<x、0≦z<1を満たしており、0.5≦x、z=0をさらに満たしていることが好ましい。実施の形態1では、i−AlxGa(1-x)N層141は、たとえばアンドープ型のAl0.5Ga0.5N、i−InyAlzGa(1-y-z)N層142は、たとえばアンドープ型のGaNからなっている。
i−AlxGa(1-x)N層141は、Al混晶比を0.3より大きく、かつアンドープとすることで高い抵抗を得ることができる。Al混晶比を高くすればするほど高抵抗の層が容易に得られ、Al混晶比が0.5以上において特に抵抗率を高くできる。
i−InyAlzGa(1-y-z)N層142のAl混晶比は、i−AlxGa(1-x)N層141のAl混晶比よりも小さい(z<x)。これにより、i−InyAlzGa(1-y-z)N層142は、i−AlxGa(1-x)N層141よりも格子定数が小さくなる。すなわち、i−AlxGa(1-x)N層141は高抵抗となるとともに、i−InyAlzGa(1-y-z)N層142の格子定数は、i−AlxGa(1-x)N層141の格子定数よりも小さくなる。
i−InyAlzGa(1-y-z)N層142は、格子定数を小さくできる観点から、Alを含まない(z=0)ことが好ましい。i−InyAlzGa(1-y-z)N層142としてInGaNを用いた場合、歪みの緩和と大きなヘテロバリアの形成に特に効果的であり、好ましい材料の選択となる。
なお、電流阻止層115全体の平均のAl混晶比は0.25以上であることが好ましい。0.25以上とすることによって、電流阻止層115はn型下部ガイド層104よりも屈折率が低くなっており、水平方向に実屈折率差にて光を閉じ込めることができる。
電流阻止層115のi−AlxGa(1-x)N層141およびi−InyAlzGa(1-y-z)N層142は、導電性不純物をドープさせないことにより高抵抗の層を形成している。ただし、結晶成長装置の状況により自然にp型もしくはn型になる場合には、逆の導電型を形成する導電性不純物を適量ドープすることで内在するキャリアを補償させ、実質的にp型およびn型いずれの導電型にも機能しない高抵抗の状態にすることも可能である。Alを含むi−AlxGa(1-x)N層141は高抵抗であるが、i−InyAlzGa(1-y-z)N層142についてもi−AlxGa(1-x)N層141より低い所定の抵抗を有する。
電流阻止層115の厚みは、0.1μm以下であることが好ましく、0.05μm以下であることがより好ましい。0.1μm以下とすることによって、電流阻止層115および開口部115aの上の結晶成長をp型コンタクト層111まで良好に行なうことができる。その結果、p型コンタクト層111まで形成しても、表面の段差の形成などが抑制でき、劈開作業も問題なく行なうことができる。さらに、i−AlxGa(1-x)N層141が電流狭窄機能を発揮するにより十分な抵抗を有するとともに、電流阻止層115内部に発生する大きな歪を抑制し、多くの転位が形成されることを抑制できる。0.05μm以下とすることによって、電流阻止層115内部に発生する歪をより抑制できる。
i−AlxGa(1-x)N層141は、たとえば0.01μm以上0.05μm以下の厚みとすることが好ましい。0.01μm以上とすることによって、i−AlxGa(1-x)N層141と接触して設けられるi−InyAlzGa(1-y-z)N層142との界面で電流の流れをより妨げることができる。0.05μm以下とすることによって、i−AlxGa(1-x)N層141に内包される歪をより抑制することができる。
i−InyAlzGa(1-y-z)N層142は、たとえば0.01μm以上0.05μm以下の厚みとすることが好ましい。0.01μm以上とすることによって、i−InyAlzGa(1-y-z)N層142と接触して設けられるi−AlxGa(1-x)N層141との界面で電流の流れをより妨げることができる。0.05μm以下とすることによって、i−InyAlzGa(1-y-z)N層142に内包される歪をより抑制することができる。
実施の形態1では、i−AlxGa(1-x)N層141は、たとえば厚さが10nmであり、i−InyAlzGa(1-y-z)N層142は、たとえば厚さが10nmである。この場合の電流阻止層115は、合計の層厚が100nmの10層構造である。
n型基板101と反対の方向から見た電流阻止層115の開口部115aの面積は、開口部115aおよび電流阻止層115の合計の面積の4%以上であることが好ましい。すなわち、図1における上方から見たときの開口部115aの面積は、開口部115aの面積と電流阻止層115における開口部115aを除く部分の面積との合計の面積の面積の4%以上であることが好ましい。4%以上とすることによって、容易に良好な電流阻止能力を得ることができる。なお、電流の流れる方向における開口部115aの面積は、開口部115aと電流阻止層115の合計の面積に対して大きい方が、電流阻止層115に要求される電流阻止能力は低くてもよくなる。よって、許容される限り、開口部115aの面積は広い方がよい。
なお、図4に示すように、電流阻止層115においてn型基板101に最も近い層およびn型基板101から最も遠い層は、i−AlxGa(1-x)N層141であってもよい。すなわち、電流阻止層115において、最下層と最上層に配置される層は、i−AlxGa(1-x)N層141であることが好ましい。これにより、i−AlxGa(1-x)N層141と接触している第1ガイド層104aおよび第2ガイド層104bとの界面においても電流の流れを妨げるので、電流阻止層115の電流阻止能力をより向上できる。なお、図4は、本発明の実施の形態1における別のIII−V族窒化物半導体レーザ素子の電流阻止層周辺のより詳しい構造を示す断面模式図である。
図3および図4に示す電流阻止層115に特に限定されない。i−AlxGa(1-x)N層141が高抵抗を有すること、およびi−InyAlzGa(1-y-z)N層142が低格子定数を有することを考慮して、i−AlxGa(1-x)N層141およびi−InyAlzGa(1-y-z)N層142の混晶比、すなわち歪、層厚、および層数などを本発明の範囲を逸脱しない範囲内で組み合わせて設定することにより、電流阻止層115は所望の特性を有することができる。また、電流阻止層115は、上部半導体層および下部半導体層の少なくともいずれか一方の中に配置されていれば特に限定されず、上部半導体層および下部半導体層の両方に配置されていてもよい。
また、実施の形態1における開口部115aはストライプ形状であり、その幅はたとえば10μmであり、たとえばIII−V族窒化物半導体レーザ素子100のチップ幅200μmの5%としている。なお、ストライプ状の開口部の幅は10μmに特に限定されず、用途に合せて設定可能である。たとえば、光ディスク用のIII−V族窒化物半導体レーザ素子100であれば、現在一般的なリッジレーザと同様に1〜2μmの幅に設定してもよい。また、励起用やディスプレイ光源用であれば、その要求される仕様に合せて、数μmから100μm以上まで自由に設定可能である。さらに、開口部はストライプ形状に限定されず、たとえば面発光レーザ素子などに適用できるような円形や矩形の開口部を設けることも可能である。
また、実施の形態1における基板は、n型基板101としているが、本発明の基板はn型に特に限定されない。III−V族窒化物半導体レーザ素子は、p型基板と、p型基板上に形成されたp型の下部半導体層と、p型の下部半導体層上に形成された活性層と、活性層上に形成されたn型の上部半導体層と、上部半導体層および下部半導体層の少なくともいずれか一方に配置される電流阻止層とを備えていてもよい。
次に、図1〜図11を参照して、実施の形態1におけるIII−V族窒化物半導体レーザ素子100の製造方法について説明する。なお、図5は、本発明の実施の形態1におけるIII−V族窒化物半導体レーザ素子の製造方法を示す断面模式図であり、電流阻止層までを結晶成長した後の状態を表わす。図6は、本発明の実施の形態1におけるIII−V族窒化物半導体レーザ素子の製造方法を示す上面模式図であり、レジストマスクまでを形成した後の状態を表わす。図7は、本発明の実施の形態1におけるIII−V族窒化物半導体レーザ素子の製造方法を示す断面模式図であり、開口部を形成した後の状態を表わす。図8は、本発明の実施の形態1におけるIII−V族窒化物半導体レーザ素子の製造方法を示す断面模式図であり、レジストマスクを除去した後の状態を表わす。図9は、本発明の実施の形態1におけるIII−V族窒化物半導体レーザ素子の製造方法を示す断面模式図であり、コンタクト層までを結晶成長した後の状態を表わす。図10は、本発明の実施の形態1におけるIII−V族窒化物半導体レーザ素子の製造方法を示す上面模式図であり、劈開する前の状態を表わす。図11は、本発明の実施の形態1におけるIII−V族窒化物半導体レーザ素子の製造方法を示す上面模式図であり、劈開した後の状態を表わす。
まず、図5に示すように、たとえば(0001)面を有するウエハ形状のn型基板101上に、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法を用いて、ケイ素(Si)をドープさせたn型バッファ層102と、ケイ素をドープさせたn型下部クラッド層103と、ケイ素をドープさせたn型下部ガイド層104を構成する第1ガイド層104aと、導電性不純物をドープさせていないアンドープ型の電流阻止層115とをこの順に結晶成長させる。
次に、図6および図7に示すように、電流阻止層115上に幅(図6における幅C)が10μmのストライプ状の開口部が形成されたレジストマスク150を形成し、ICP(Inductive Coupled Plasma)エッチングなどのドライエッチングにより、開口部下の電流阻止層115のみを除去する。開口部は、たとえば200μm間隔(図6におけるピッチB)でウエハ形状のn型基板101全体に平行に複数本形成する。そして、図8に示すように、レジストマスク150のみを除去する。
次に、図9に示すように、MOCVD法を用いて、ケイ素をドープさせたn型下部ガイド層104を構成する第2ガイド層104bと、導電性不純物をドープさせていないアンドープ型のu−下部隣接層105と、導電性不純物をドープさせていないアンドープ型の活性層106と、導電性不純物をドープさせていないアンドープ型のu−上部隣接層107と、導電性不純物をドープさせていないアンドープ型のu−上部ガイド層108と、マグネシウム(Mg)をドープさせたp型電子ブロック層109と、マグネシウムをドープさせたp型上部クラッド層110と、マグネシウムをドープさせたp型コンタクト層111とをこの順に結晶成長させる。ここで、第2ガイド層104bを成長させる際に、電流阻止層115の開口部115aを第2ガイド層104bが埋め込むように成長させ、第2ガイド層104bとu−下部隣接層105との界面を平坦にしている。
次に、p型コンタクト層111上に接するp型電極121と、n型基板101の一方主面と反対側の基板裏面に接するn型電極120とを、たとえば蒸着法により形成する。そして、開口部115aのストライプ方向と垂直に劈開面が出るように劈開を行ない(図10における太線で劈開を行ない)、共振器長(図11における長さD)が600μmの2つの劈開面を有するバー形状に分割する。バー形状にはストライプ状の開口部が複数形成されている。そして、一方の劈開面にはAR(anti−reflection)コーティングを、他方の劈開面にはHR(high−reflection)コーティングを行なう。そして、バー形状を200μm間隔で各開口部の中間にて分割(図11における細線で分割)する。以上より、III−V族窒化物半導体レーザ素子100が完成する。
次に、実施の形態1におけるIII−V族窒化物半導体レーザ素子100の動作について説明する。III−V族窒化物半導体レーザ素子100に電流を印加すると、電流阻止層115により開口部115aに電流が狭窄されて、開口部115a上の活性層106に電流が集中する。そして、活性層106を発光部として、良好なレーザ発振が達成される。
以上説明したように、本発明の実施の形態1におけるIII−V族窒化物半導体レーザ素子100によれば、電流阻止層115は、i−AlxGa(1-x)N層141とi−InyAlzGa(1-y-z)N層142とが交互に積層されてなるとともに、i−AlxGa(1-x)N層141は2層以上形成され、0.3<x≦1、0≦y≦1、z<x、0≦z<1である。図15に示すような特許文献1に記載のサイリスタ構造の電流阻止層は、厚さが210nmのp型であったが、サイリスタとして安定して電流阻止能力を発するには厚さが不足していた。しかし、開口部が形成された電流阻止層上の結晶成長を良好に行なうためには、電流阻止層の厚さを大きくすることはできず、むしろより薄くすることが望ましかった。しかし、実施の形態1のIII−V族窒化物半導体レーザ素子100においては、pnpnのサイリスタ構造で電流を阻止するのではなく、薄くても十分な高抵抗を有する層として、電流狭窄を行なうことができる電流阻止層115を形成している。その結果、III−V族窒化物半導体レーザ素子100は、電流阻止能力を向上するとともに、電流阻止層115上の層の結晶成長に及ぼす影響を低減できる。そのため、安定した電流狭窄を行なうことができるので、III−V族窒化物半導体レーザ素子100の特性が安定する。また、電流阻止層115上の結晶成長を最後まで良好に行なえるので、その後の劈開工程も問題なく実施することができ、III−V族窒化物半導体レーザ素子100の生産歩留まりを向上することができる。
(実施の形態2)
図12は、本発明の実施の形態2におけるIII−V族窒化物半導体レーザ素子の断面模式図である。図12に示すように、実施の形態2のIII−V族窒化物半導体レーザ素子200は、基本的には実施の形態1と同様であるが、電流阻止層115がn型下部クラッド層103内に配置される点、および電流阻止層115が内部に配置されないn型下部ガイド層104の層厚を薄くした点のみが相違している。
詳細には、図12に示すように、n型バッファ層102の上に接して設けられたn型下部クラッド層103は、たとえば第1クラッド層103aと、第2クラッド層103bとを含んでいる。第1クラッド層103aは、n型バッファ層102の上に接して設けられており、たとえば厚さが1.7μmのnドープAl0.06Ga0.94Nからなっている。第2クラッド層103bは、開口部115aおよび電流阻止層115の上に接して設けられており、たとえば電流阻止層115からの厚さが0.2μmのnドープAl0.06Ga0.94Nからなっている。
電流阻止層115は、第1クラッド層103aの上に接して設けられているとともに、ストライプ状の開口部115aが形成されている。電流阻止層115は、たとえば厚さが0.1μmの導電性不純物をドープさせていないアンドープ型としている。
n型下部ガイド層104は、n型下部クラッド層103を構成する第2クラッド層103bの上に接して設けられている。n型下部ガイド層104は、たとえば厚さが0.05μmのnドープGaNからなっている。
なお、電流阻止層の位置は上述した位置に限定されず、たとえば図13に示すIII−V族窒化物半導体レーザ素子201のように、n型下部クラッド層103とn型下部ガイド層104との間に形成することも可能である。なお、図13は、本発明の実施の形態2における別のIII−V族窒化物半導体レーザ素子の断面模式図である。
以上説明したように、本発明の実施の形態2におけるIII−V族窒化物半導体レーザ素子200によれば、実施の形態1に比べてn型下部ガイド層104の厚さを薄くすることができ、活性層106対しn型下部クラッド層103を近づけることができる。これにより、n型下部ガイド層104内に広がっていた光を活性層106により多く閉じ込めることができ、発振閾値電流の向上を図ることができる。
また、一般にAlGaNはGaNに比べて凹凸のある下地基板に対して平坦化して成長させにくい傾向がある。しかし、実施の形態2における電流阻止層115は高い電流阻止能力を有していても層厚を薄くできるため、n型下部クラッド層103を構成する第2クラッド層103bを電流阻止層115上から所定の厚さ(たとえば0.2μm程度)で形成することよって、平坦な表面にすることができる。
(実施の形態3)
図14は、本発明の実施の形態3におけるIII−V族窒化物半導体レーザ素子の断面模式図である。図14に示すように、実施の形態3は、基本的には実施の形態1と同様であるが、電流阻止層115がn型下部クラッド層103内ではなくp型上部クラッド層110内に配置される点、および電流阻止層115が内部に配置されないn型下部ガイド層104の層厚を薄くした点のみが相違している。
詳細には、図14に示すように、n型バッファ層102およびn型下部クラッド層103は1層としている。n型バッファ層102およびn型下部クラッド層103は、実施の形態1と同様であるので、その説明は繰り返さない。
p型電子ブロック層109の上に接して設けられたp型上部クラッド層110は、第1クラッド層110aと第2クラッド層110bとを含んでいる。第1クラッド層110aは、p型電子ブロック層109の上に接して設けられており、たとえば厚さが0.1μmのpドープAl0.06Ga0.94Nからなっている。第2クラッド層110bは、開口部115aおよび電流阻止層115の上に接して設けられており、たとえば電流阻止層115からの厚さが0.4μmのpドープAl0.06Ga0.94Nからなっている。
p型コンタクト層111は、p型上部クラッド層110の第2クラッド層110b上に接して設けられている。
電流阻止層115は、p型上部クラッド層110の中に配置されている。具体的には、電流阻止層115は、第1クラッド層110aの上に接して設けられているとともに、ストライプ状の開口部115aが形成されている。電流阻止層115は、たとえば厚さが0.1μmの導電性不純物をドープさせていないアンドープ型としている。
以上説明したように、本発明の実施の形態3におけるIII−V族窒化物半導体レーザ素子300によれば、電流阻止層115がp型を示す上部半導体層の中に配置されている。すなわち、本実施の形態3においては、電流阻止層115により電流が集中する開口部115aが、実施の形態2ではnドープのAlGaN層の中に配置されていたのに対し、実施の形態3ではpドープのAlGaN層の中に配置されている。一般的に、pドープAlGaN層はnドープAlGaN層に比較して抵抗が高く、動作電圧が上昇してしまう。しかし、実施の形態3における電流阻止層115は高い電流阻止層能力を有していても層厚を薄くできるため、動作電圧が大幅に上昇しない。一方、実施の形態3では、発光特性に最も影響の大きい活性層106をn型基板101から連続して(開口部115aを形成するために、レジストマスクを用いたエッチングなどを実施せずに)成長するができるので、実施の形態1および2のように電流阻止層115の開口部115aのような凹凸の上に形成するよりも、活性層106の結晶性が向上できる。したがって、動作電圧を多少犠牲にしても発光特性のより良いIII−V族窒化物半導体レーザ素子を得たい場合には、実施の形態3の構成を用いることがより効果的である。
また、電流阻止層115および開口部115aの上に成長する層を薄くできるため、p型コンタクト層111表面における段差は従来よりも比較的発生しにくい。したがって、電流阻止層115の厚さを大きく(たとえば0.15μm程度まで)設定することも可能である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明のIII−V族窒化物半導体レーザ素子は、電流阻止能力を向上できるとともに、電流阻止層上の層の成長に及ぼす影響を低減できるため、安定した特性を有するIII−V族窒化物半導体レーザ素子を実現することができる。そのため、本発明のIII−V族窒化物半導体レーザ素子は、特に短波長光源として非常に有用である。
本発明の実施の形態1におけるIII−V族窒化物半導体レーザ素子の断面模式図である。 本発明の実施の形態1におけるIII−V族窒化物半導体レーザ素子の活性層周辺のより詳しい構造を示す断面模式図である。 本発明の実施の形態1におけるIII−V族窒化物半導体レーザ素子の電流阻止層周辺のより詳しい構造を示す断面模式図である。 本発明の実施の形態1における別のIII−V族窒化物半導体レーザ素子の電流阻止層周辺のより詳しい構造を示す断面模式図である。 本発明の実施の形態1におけるIII−V族窒化物半導体レーザ素子の製造方法を示す断面模式図であり、電流阻止層までを結晶成長した後の状態を表わす。 本発明の実施の形態1におけるIII−V族窒化物半導体レーザ素子の製造方法を示す上面模式図であり、レジストマスクまでを形成した後の状態を表わす。 本発明の実施の形態1におけるIII−V族窒化物半導体レーザ素子の製造方法を示す断面模式図であり、開口部を形成した後の状態を表わす。 本発明の実施の形態1におけるIII−V族窒化物半導体レーザ素子の製造方法を示す断面模式図であり、レジストマスクを除去した後の状態を表わす。 本発明の実施の形態1におけるIII−V族窒化物半導体レーザ素子の製造方法を示す断面模式図であり、コンタクト層までを結晶成長した後の状態を表わす。 本発明の実施の形態1におけるIII−V族窒化物半導体レーザ素子の製造方法を示す上面模式図であり、劈開する前の状態を表わす。 本発明の実施の形態1におけるIII−V族窒化物半導体レーザ素子の製造方法を示す上面模式図であり、劈開した後の状態を表わす。 本発明の実施の形態2におけるIII−V族窒化物半導体レーザ素子の断面模式図である。 本発明の実施の形態2における別のIII−V族窒化物半導体レーザ素子の断面模式図である。 本発明の実施の形態3におけるIII−V族窒化物半導体レーザ素子の断面模式図である。 特許文献1のIII−V族窒化物半導体レーザ素子の断面模式図である。
符号の説明
100,200,201,300 III−V族窒化物半導体レーザ素子、101 n型基板、102 n型バッファ層、103 n型下部クラッド層、103a 第1クラッド層、103b 第2クラッド層、104 n型下部ガイド層、104a 第1ガイド層、104b 第2ガイド層、105 u−下部隣接層、106 活性層、107 u−上部隣接層、108 u−上部ガイド層、109 p型電子ブロック層、110 p型上部クラッド層、110a 第1クラッド層、110b 第2クラッド層、111 p型コンタクト層、115 電流阻止層、115a 開口部、120 n型電極、121 p型電極、131 井戸層、132 障壁層、141 i−AlxGa(1-x)N層、142 i−InyAlzGa(1-y-z)N層、150 レジストマスク、B ピッチ、C 幅、D 長さ。

Claims (7)

  1. 基板と、
    前記基板上に形成された第1導電型の下部半導体層と、
    前記下部半導体層上に形成された活性層と、
    前記活性層上に形成された第2導電型の上部半導体層と、
    前記上部半導体層および前記下部半導体層の少なくともいずれか一方の中に配置されるとともに、開口部が形成された電流阻止層とを備え、
    前記電流阻止層は、i−AlxGa(1-x)N層とi−InyAlzGa(1-y-z)N層とが交互に積層されてなるとともに、前記i−AlxGa(1-x)N層は2層以上形成され、0.3<x≦1、0≦y≦1、z<x、0≦z<1であることを特徴とする、III−V族窒化物半導体レーザ素子。
  2. 前記電流阻止層において、0.5≦x、z=0であることを特徴とする、請求項1に記載のIII−V族窒化物半導体レーザ素子。
  3. 前記電流阻止層の厚みが0.1μm以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載のIII−V族窒化物半導体レーザ素子。
  4. 前記基板と反対の方向から見た前記電流阻止層の前記開口部の面積は、前記開口部および前記電流阻止層の合計の面積の4%以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のIII−V族窒化物半導体レーザ素子。
  5. 前記第1導電型がn型で、前記第2導電型がp型であり、前記電流阻止層が前記下部半導体層の中に配置されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のIII−V族窒化物半導体レーザ素子。
  6. 前記第1導電型がn型で、前記第2導電型がp型であり、前記電流阻止層が前記上部半導体層の中に配置されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のIII−V族窒化物半導体レーザ素子。
  7. 前記電流阻止層において前記基板に最も近い層および前記基板から最も遠い層は、前記i−AlxGa(1-x)N層であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のIII−V族窒化物半導体レーザ素子。
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