JP2008186696A - 燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】燃料電池の発電部における湿潤状態を改善する。
【解決手段】膜電極接合体10の供給用マニホールド孔M1、M3と発電部11との間にある供給ガス通過領域SA及び排出用マニホールド孔M2、M4と発電部11との間にある排ガス通過領域EAには連続している吸水部材13が設けられている。吸水部材13を通過する供給ガスは吸水部材13内の水分によって加湿されて発電部11に流入する。発電部11の排水を含む排ガスは、発電部11から排水ガス通過領域EAへと流入し、吸水部材13が排水を吸水する。吸水部材13の内部の水分は、湿度勾配に従って、排ガス通過領域EAから供給ガス通過領域SAへと移動する。
【選択図】図6

Description

この発明は、燃料電池に関する。
燃料電池に用いられる電解質膜は、湿潤状態で良好なプロトン伝導性を示す。そこで、運転中の燃料電池の発電部を適度な湿潤状態に保たつため、これまで種々の技術が提案されてきた(特許文献1等)。
特開平07−134992 特開2004−206915 特開2004−241363 特開2006−244789 特許第3177256号
ところで、燃料電池反応では一般に多量の水が発生し、排ガスによって排水を行うのが普通である。従って、発電部の湿潤状態を保つために発電部の保水性を向上すると、特に排ガス流路において水分が滞留する傾向にあり、発電効率が低下するおそれがある。一方、発電部の排水性を過度に向上すると、特に供給ガス流路付近において電解質膜が乾燥して発電効率が低下するおそれがある。従来は、このような問題に対して十分な工夫がなされてこなかったのが実情であった。
本発明は、燃料電池内の湿度分布を改善するとともに、発電部における湿潤状態を良好に保つ技術を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一形態のよる燃料電池は、膜電極接合体と、前記膜電極接合体と接して設けられた吸水部材とを備え、前記膜電極接合体は、電解質膜と電極層とを含む発電部と、前記発電部に供給ガスを供給するための供給用マニホールド孔と、前記発電部から排ガスを排出するための排出用マニホールド孔とを含み、前記吸水部材は、前記供給用マニホールド孔と前記発電部との間にある供給ガス通過領域と、前記排出用マニホールド孔と前記発電部との間にある排ガス通過領域とに渡って連続して設けられていることを特徴とする。
この構成によれば、吸水部材の水分によって供給ガスが加湿されて発電部に流入するため、発電部を湿潤状態にすることができる。また、排ガスに含まれる発電部からの排水を吸水部材が吸収するため、発電部からの排水効率を向上することができる。さらに、吸水部材に吸収された水分は、吸水部材の湿度勾配に応じて排ガス通過領域から供給ガス通過領域へと移動し、前記如く、供給ガスの加湿に供される。このように、燃料電池内部において水分の循環経路が形成され、燃料電池の湿度分布が改善される。また、この燃料電池内の水分の循環によって、発電部の湿潤状態を良好に保つことが可能となる。
前記燃料電池は、さらに、前記膜電極接合体を挟持するセパレータを備え、前記セパレータには、前記供給用マニホールド孔から前記排出用マニホールド孔に向かう流路を構成する流路溝が設けられているものとしても良い。
この構成によれば、燃料電池内のガスの流れ及び水分の流れを流路溝に沿った経路とすることができ、湿度分布を改善することができる。
前記供給用及び排出用マニホールド孔は、前記発電部に対して一方の側に片寄った位置に設けられているものとしても良い。
この構成によれば、供給ガス通過領域と排ガス通過領域との距離を短くすることができるため、吸水部材内部の水分の移動距離を短くできる。従って、燃料電池内部における水分の循環効率を向上することができる。
前記吸水部材は、前記供給ガス通過領域と前記排ガス通過領域との境界にガスをシールするための透水性シール層を有しているものとしても良い。
この構成によれば、透水性シール層によって、吸水部材内の供給ガス通過領域と排ガス通過領域との境界においてガスは透過されず、一方、水分は透過される。従って、効率的にガス流路を形成するとともに、水分の循環経路を形成することができる。
前記電解質膜は、前記供給ガス通過領域及び前記排ガス通過領域まで延長された膜延長部を備えており、前記膜延長部は前記吸水部材に接しているものとしても良い。
この構成によれば、吸水部材内部の水分が電解質膜の膜中へと移動することができ、膜中の湿度勾配に応じて水分が、供給ガス通過領域及び排ガス通過領域から発電部まで移動することができる。従って、発電部における電解質膜中の湿度分布を良好に保つことができる。
前記吸水部材は、前記排出用マニホールド孔に突出しているものとしても良い。
この構成によれば、吸水部材の排出用マニホールド孔に突出した部位は、マニホールド孔を通過するガスに曝されるため、排水性が向上する。従って、発電部において大量に排水が発生するような発電が行われても、発電効率が低下することを抑制できる。
前記吸水部材は、凹凸が設けられているものとしても良い。
この構成によれば、供給ガス及び排ガスと吸水部材との接触面積を凹凸を設けた分だけ増加させることができるため、吸水部材の吸水効率及び排水効率を向上することができる。従って、燃料電池内の湿度分布を改善することができる。
前記吸水部材は、前記排ガス通過領域より、前記供給ガス通過領域の方が、前記凹凸の数が多いものとしても良い。
この構成によれば、排ガス通過領域において排ガスと吸水部材との接触面積を供給ガス通過領域における供給ガスと吸水部材との接触面積より大きくすることができ、吸水部材の吸水効率が向上する。また、排ガス通過領域において吸水部材が占める空間が増加する分、排ガス通過領域における排ガスの流路面積が減少し、排ガスの流速をあげることができる。従って、発電部からの排水効率を向上することができる。
前記吸水部材は、前記排ガス通過領域から前記発電部内に延長された延長部を有するものとしても良い。
この構成によれば、多量の水分が滞留する可能性のある発電部の排ガス流路上にまで吸水部材を配置することができ、発電部の排水性を向上することができる。
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、燃料電池、その燃料電池を備えた燃料電池システム、その燃料電池システムを搭載した車両等の形態で実現することができる。
A.第1実施例:
図1は、本発明の一実施例として燃料電池の構成を示す概略図である。この燃料電池100は、燃料ガスと酸化ガス(供給ガス)の供給を受けて、その電気化学反応(燃料電池反応)によって発電する固体高分子型燃料電池である。具体的には、膜電極接合体10のアノード電極側に燃料ガスとして水素が供給され、カソード電極側に酸化ガスとして酸素を含有する高圧空気が供給される。なお、燃料電池100としては、固体高分子型燃料電池でなくとも良く、任意の種々のタイプの燃料電池に本発明を適用することが可能である。
この燃料電池100は、発電体である膜電極接合体10がセパレータSPによって挟持された状態で積層されたスタック構造を有している。セパレータSPはいわゆる2層式セパレータであり、アノードプレートSPa及びカソードプレートSPcを備える。アノードプレートSPaは、膜電極接合体10のアノード電極層側に接し、カソードプレートSPcは、膜電極接合体10のカソード電極層側に接している。
セパレータSPは、膜電極接合体10に対して供給ガスを誘導するための流路と、後述する膜電極接合体10の発電部から排ガスを誘導するための流路とを形成する。また、セパレータSPは、膜電極接合体10で発電された電気を集電する機能を有する。なお、セパレータSPとしては、2層式のものでなくとも良く、例えば、燃料電池を冷却するための冷媒の流路が設けられた中間プレートをアノードプレートSPaとカソードプレートSPcとの間に設けた3層式のものとしても良い。
図2は、膜電極接合体10のカソード電極側を示す概略図である。なお、膜電極接合体10のアノード電極側の構成は、カソード電極側と同様の構成であるため、図示は省略する。
この膜電極接合体10は、燃料電池反応が行われる発電部11と、発電部11を囲む外周シール枠部12とを備えた略長方形の部材である。外周シール枠部12の一辺には、発電部11に対して一方の側の片寄った位置に、4つの貫通孔であるマニホールド孔M1〜M4が一列に設けられている。マニホールド孔M1〜M4と発電部11との間には、吸水部材13が配置されている。吸水部材13と発電部11との間には中間シール部14が設けられている。
マニホールド孔M1〜M4は、燃料電池100の外部から供給された供給ガスを膜電極接合体10へ供給し、膜電極接合体10の排ガスを燃料電池100の外部へと排出するためのものである。具体的には、マニホールド孔M1は水素の供給を担い、マニホールド孔M2は反応に供されることのなかった水素を含むアノード排ガスの排出を担う。マニホールド孔M3は高圧空気の供給を担い、マニホールド孔M4は反応に供されることのなかった酸素や、反応によって生成した水分などを含むカソード排ガスの排出を担う。
なお、この膜電極接合体10には、2つの水素用のマニホールド孔M1、M2が、酸素用のマニホールド孔M3、M4を挟むように配置されており、水素供給用マニホールド孔M1と酸素排出用マニホールド孔M4とが隣り合い、水素排出用マニホールド孔M2と酸素供給用マニホールド孔M3とが隣り合っている。マニホールド孔M1〜M4は、他の構成・配置であっても良く、マニホールド孔M1〜M4に加えて、さらに、冷媒の供給及び排出を行うためのマニホールド孔が設けられているものとしても良い。
なお、外周シール枠部12は、例えば、シリコンゴムや、テフロン(登録商標)や、フッ素樹脂(ETFE)や、フェノール樹脂や、アクリル樹脂などのシール部材を、射出成型や圧縮成型をすることによって設けることがで、その表面には流体をシールするためのリップが設けられているものとしても良い。また、中間シール部14は、例えば、エポキシ系充填剤や、フェノール系充填材や、アクリル系充填剤などによって形成することができる。
図3(A)は、図2に示す3A−3A切断における膜電極接合体10の断面を示す断面図である。発電部11には、湿潤状態で良好なプロトン伝導性を示す電解質膜15が含まれる。電解質膜15は、アノード電極層16aとカソード電極層16cとで挟持されている。電解質膜15は、その外周縁である膜端部15eが2つの電極層16a、16cの外周縁から突出している。膜端部15eは、外周シール枠部12及び中間シール部14によって被覆されている。これによって、膜端部15eの付近におけるクロスリークの発生が抑制される。ここで、「クロスリーク」とは、燃料電池の発電の際にアノード電極側の水素が反応に供されることなくカソード電極側に移動してしまう現象をいう。
なお、電解質膜15としては、導電性と耐久性とを有するフッ素系固体高分子膜(例えば、デュポン社製「Nafionフィルム、N−112」)を使用することができる。電解質膜15としては、その他に、耐熱性の高いスルホン化ポリエーテルエーテルケトンや、ポリエーテルスルホンなどを用いることもできる。また、プロトンの伝導性の高い芳香族系エンジニアリングプラスチックを原料とする炭化水素系電解質膜を用いることも可能である。より具体的には、イオン交換容量が0.5〜2.0meq/g程度である高分子電解質膜であることが好ましい。
図3(B)は、2つの電極層16a、16cの構成を説明するために、図3(A)において破線で囲まれた領域3Bを拡大した拡大図である。2つの電極層16a、16cは、ガス拡散層161と、撥水層162、と触媒層163とを備えている。具体的には、電極層16a、16cの電解質膜15と接しない外面(以後、単に「電極層16a、16cの外面」と呼ぶ)にはガス拡散層161が設けられ、電解質膜15と接する面には触媒層163が設けられる。撥水層162は、ガス拡散層161と触媒層163との間に設けられている。
ガス拡散層161は、カーボンペーパーなどで構成することができ、供給された反応ガスを2つの電極層16c、16aの全体に行き渡らせる役割を担う。カーボンペーパーとしては、例えば東レ製のTGP−H060を使用することができる。ガス拡散層161は、その厚みを190μm程度としても良い。
撥水層162は、撥水性を有する部材によって構成され、触媒層163において燃料電池反応によって生成された水を効率よく電極層16a、16cの外部へと排水するためのものである。撥水層162は、例えばポリテトラフルオロエチレンをドクターブレード法によってガス拡散層161の表面に含浸塗布することによって設けることができる。撥水層162は、その厚みを30μm程度としても良い。
触媒層163は、燃料電池反応を促進するための触媒が担持されている。触媒としては、例えば白金(Pt)を採用することができる。触媒層163は、具体的に次のようにして設けることができる。白金原料としてPt(NH34Cl2を用いて、カーボンブラックの上に還元析出方により白金微粒子(約4nm程度)を析出させて触媒微粒子を得る。この触媒微粒子を超音波ホモジナイザーによって水とエタノールの混合溶液中に超音波分散させ、さらに、フッ素系固体高分子電解質膜を7重量%添加して触媒インクを得る。この触媒インクをスプレーヤーで電解質膜15の両面に吹きつけて塗布する。その後、溶媒を揮発乾固させることによって触媒層とする。触媒層163は、その厚みを15μm程度としても良く、その白金の担持量は、0.5mg/cm2程度としても良い。
図3(A)に示すように、アノード電極側及びカソード電極側にそれぞれ配置された2つの吸水部材13の間には、ガス遮断膜17が挟持されている。ガス遮断膜17は、その外周縁である膜端部17eが吸水部材13の外周縁から突出している。膜端部17eは、外周シール枠部12及び中間シール部14によって被覆されている。このガス遮断膜17によって、供給ガスのクロスリークが抑制されている。
なお、吸水部材13は、酸性雰囲気に対する耐久性が高く、吸湿性が高い材質であることが好ましい。吸水部材13としては、例えば、セルロース繊維(例えば繊維径20μm程度)を織り込んだ織布(例えば厚み200μm程度)を用いることができる。これ以外にも、例えば、錦糸、アクリル、ナイロン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリエステル、ポリチオール等を用いることができる。また、既製品としては、東洋紡製の「ランシール」、帝人ファイバー製の「ベルオアシス」、東レ製の「キュープ」等を用いることができる。なお、繊維径としては、15〜150μm程度でることが好ましく、30〜100μm程度であればより好ましい。また、45〜80μm程度であれば、さらに好ましい。ガス遮断膜17としては、例えば、厚み75μmのポリイミドフィルムを用いることができる。
吸水部材13としては、上記の他に、吸水性樹脂をフィルム形状に加工した吸水樹脂フィルムを用いるものとしても良い。吸水性樹脂としては、ポリアクリル酸及びポリアクリル酸エステル共重合体が好ましく、ポリアミドや、ポリアクリルアミドであっても良い。また、上記樹脂組成物に対して可塑性樹脂や熱硬化性樹脂を含有させて、ポリマーブレンドとし、要求される力学的特性や耐熱性を実現するものとしても良い。なお、上記樹脂のフィルム形状への加工方法としては、Tダイ押し出し成型や、カレンダ成型や、キャスト成型や、ブロー成型などを採用することができる。
図4は、セパレータSPのカソードプレートSPc(図1)の構成を示す概略図である。図4は、カソードプレートSPcの膜電極接合体10のカソード電極層16cと接する面を示している。なお、図4には、燃料電池100として組み付けられた際に、カソードプレートSPcが膜電極接合体10の発電部11、吸水部材13、中間シール部14と接する領域をそれぞれ、発電部領域11a、吸水部材領域13a、中間シール部領域14aとして図示してある。
カソードプレートSPcには、膜電極接合体10と同様に、貫通孔であるマニホールド孔M1〜M4が設けられている。また、カソードプレートSPcには、カソードプレートSPcを薄肉化することによって、分岐流路溝22c、並列流路溝23、集合流路溝24cが設けられている。これらの流路溝22c、23、24cは、燃料電池100として組み付けられた際に、それぞれガス流路を構成する。
流路溝22c、23、24cは、高圧空気が酸素供給用マニホールド孔M3から発電部11を経て酸素排出用マニホールド孔M4に向かうように形成されている。具体的には、分岐流路溝22cは、吸水部材領域13a内に設けられており、酸素供給用マニホールド孔M3と連結している。また、分岐流路溝22cは、並列流路溝23と連結している。
並列流路溝23は、複数の溝が並走する流路溝であり、その経路の形状は、略U字形を構成している。即ち、並列流路溝23は、分岐流路溝22cとの連結点から、中間シール部領域14aと対向する発電部領域11aの端辺11eへ向かって直進し、端辺11eの手前で折り返す。その後、再び、発電部領域11aから吸水部材領域13aへ向かって直進する。並列流路溝23は、吸水部材領域13aに設けられた集合流路溝24cと連結しており、集合流路溝24cは、酸素排出用マニホールド孔M4と連結している。
なお、分岐流路溝22cと集合流路溝24cとは隔壁25によって隔てられており、隔壁25は、吸水部材領域13aを横断し、発電部領域11a内にまで延びている。並列流路溝23は発電部領域11aにおいて、隔壁25を挟むように折り返している。
図5は、セパレータSPのアノードプレートSPa(図1)の構成を示す概略図である。図5は、アノードプレートSPaの膜電極接合体10のアノード電極層16aと接する面を示している。アノードプレートSPaには、アノードプレートSPaを薄肉化することによって分岐流路溝22aと、並列流路溝23と、集合流路溝24aとが設けられている。アノードプレートSPaの流路溝22a、23、24aは、分岐流路溝22a及び集合流路溝24aが酸素用マニホールド孔M3、M4ではなく、水素用マニホールド孔M1、M2と連結している点以外は、カソードプレートSPcの流路溝22c、23、24cと同じである。
セパレータSPを構成する2つのプレートSPc、SPaは、例えば、次のようにして作ることができる。厚み0.1mm程度、長辺350mm×短辺150mm程度の略長方形のチタン基板に対して、打ち抜き加工やプレス加工などの板金加工によって上記マニホールド孔及び流路溝を設ける。発電部領域11aは、220mm×120mm程度の略長方形とし、吸水部材領域13aは、120mm×80mm程度の略長方形としても良い。また、並列流路溝23の溝幅及び溝同士の間隔を2mm程度としても良い。当該チタン基板の表面に対しては、防腐蝕加工を施すものとしても良い。具体的には、例えば、カーボンブラックを40重量%分散したエチレンテトラフルオロエチレン共重合体溶液を、ディッピング法などの塗布成膜法によって当該チタン基板に塗布し、乾燥・硬化させる方法などがある。
図6(A)は、発電中の膜電極接合体10におけるガスの流れを説明するための説明図である。図6(A)は、膜電極接合体10のカソード電極側を示しており、以下の点以外は図2とほぼ同じである。図6(A)には、燃料電池として組み付けられた際に、カソードプレートSPcの流路溝22c、23、24c及び隔壁25(図4)が接する部位を破線で示している。また、図6(A)には、ガスの流れを示す矢印(黒線)と、吸水部材13における湿度勾配を示す矢印(白抜き)を付してある。
燃料電池100の外部から酸素供給用マニホールド孔M3へと供給された高圧空気の一部は、酸素供給用マニホールド孔M3と連結している分岐流路溝22cへと流入する。分岐流路溝22cの高圧空気は、並列流路溝23の各流路溝へと分散して発電部11へと至り、発電に供される。発電部11で反応に供されることのなかった酸素を含むカソード排ガスは、並列流路溝23に沿って流れ、集合流路溝24cへと至る。その後、カソード排ガスは、酸素排出用マニホールド孔M4を介して燃料電池100の外部へと排出される。
図6(B)は、膜電極接合体10のアノード電極側を示しており、アノード電極側のガスの流れを示している点以外は、図6(A)と同様である。水素の流れは、水素供給用マニホールド孔M1から供給されて、水素排出用マニホールド孔M2へと排出される点以外は、カソード電極側のガスの流れと同じである。
ところで、発電中の発電部11は、適度に湿潤状態に保たれていることが好ましい。この理由は、発電部11の水分が過多となると、余分な水分により供給ガスの流路の圧力損失が増加して発電効率が低下する可能性があり、発電部が過度に乾燥すると、電解質膜15のプロトンの伝導性が低下して発電効率が低下する可能性があるからである。ここで、本実施例の構成における燃料電池100内の水分の流れについて説明する。
なお、本明細書中において、供給ガスが供給用マニホールド孔から発電部へと至る間に通過する領域を「供給ガス通過領域」と呼び、排ガスが発電部から排出用マニホールド孔へと至る間に通過する領域を「排ガス通過領域」と呼ぶ。図6(A)、(B)に、本実施例におけるこれらの領域を、供給ガス通過領域SA及び排ガス通過領域EAとして一点鎖線で示す。
本実施例では、各電極側の供給ガス通過領域SA及び排ガス通過領域EAには連続している吸水部材13が配置されている。供給ガス通過領域SAと排ガス通過領域EAとは、セパレータSPの隔壁25によって隔てられている。従って、吸水部材13内において水分が2つの領域SA、EAの境界を跨いで移動することはできるが、供給ガス及び排ガスが2つの領域SA,EAの境界を跨いで移動することは抑制されている。
供給ガスは、供給ガス通過領域SAを通過するときに吸水部材13に含まれる水分によって加湿されて発電部11へと至る。従って、発電部11を湿潤状態に保つことができる。一方、発電部11を通過するガスは、発電部11の余分な水分を伴って排ガス通過領域EAへと至る。これによって発電部11の排水を行うことができる。排ガス通過領域EAに配置された吸水部材13は、排ガスに含まれる水分を吸収する。従って、吸水部材13の湿度分布は、図6(A)、(B)の白抜きの矢印に示すように、供給ガス通過領域SAより排ガス通過領域EAの方が湿度の高い湿度勾配を示す。すると、吸水部材13内の水分は、この湿度勾配に従って、排ガス通過領域から供給ガス通過領域へと移動する。本実施例では、このような燃料電池内の水分の循環によって効率よく発電部11の湿潤状態を良好に保つことができる。なお、このような湿度勾配をさらに改善するために、排ガス通過領域EAが、供給ガス通過領域SAよりも鉛直方向に沿って上側に存在するように燃料電池を設置することが好ましい。
ところで、燃料電池の発電部を湿潤状態にする方法としては、供給ガスが燃料電池内に供給される前に、供給ガスを予め加湿器によって加湿して供給する方法がある。この方法では、加湿器と燃料電池の間に設けられた配管内やエアコンプレッサなどの補機の内部に結露を生じて発電効率を低下させる可能性がある。しかし、本実施例の構成によれば、供給ガスを燃料電池内の供給ガス通過領域において加湿することが可能であるため、燃料電池の外部において供給ガスを加湿する量を低減することができる。また、結露対策として燃料電池システム内に加熱用補機等が設けられている場合には、当該加熱用補機による補機損失も低減できる。若しくは、吸水部材13による供給ガスの加湿量によっては、燃料電池の外部に加湿器やそれに付随する補機を設けることなく、発電部の湿潤状態を良好に保つことが可能である。
発電部の湿潤状態にする他の方法としては、冷媒である水の流路が設けられたセパレータのプレートを水透過性部材で形成する方法がある。この方法では、冷媒である水がプレートを介して供給ガスの流路に透過することによって、供給ガスを加湿することができる。しかし、この方法では、セパレータは、ガス遮蔽性を実現するとともにその強度を確保する必要から、その厚みが厚くなる傾向があり、燃料電池の体積の増加につながる。また、氷点下などの低温時には、プレート内部に含まれる水分の凍結による体積増加及び低温脆化のためにセパレータにクラックが生じるなど、セパレータの劣化の原因となる。一方、本実施例の構成によれば、セパレータを構成するプレートの厚みを厚くすることなく、セパレータのガス遮蔽性及びその強度を確保することが可能である。
その他の方法として、発電部に吸水部材を配置することによって発電部の湿潤状態を調整する方法がある。しかし、この方法によると、燃料電池の運転を停止した際に、吸水部材の内部に水分が残留する可能性が高くなる。即ち、発電部における排水性が低下する。発電部に水分が残留すると、発電部内の構成部材の劣化の原因となり、また、氷点下などの低温時には、その水分が凍結して発電効率の低下の原因ともなる。しかし、本実施例の吸水部材13は発電部内に配置されていないため、発電部内の排水性が低下するおそれはない。
このように、本実施例の構成によれば、簡易な構成で燃料電池内の湿度分布が改善され、運転中の燃料電池の発電部における湿潤状態を良好に保持することができる。
B.第2実施例:
図7は、第2実施例として膜電極接合体10Aのカソード電極側を示す概略図である。図7は、吸水部材13の厚みを増して中間シール部14を被覆している点と、吸水部材13に透水性シール層18が設けられている点以外は、図2とほぼ同じである。なお、膜電極接合体10Aのアノード電極側の構成は、カソード電極側と同様の構成であるため、図示は省略する。また、この膜電極接合体10Aは、以下に特に説明を付す部分以外は、第1実施例で説明したものと同様の部材によって構成されている。
図8(A)は、図7に示す8A−8A切断における膜電極接合体10Aの断面を示す断面図である。吸水部材13は、吸水部材13のガス遮断膜17と接しない外表面(以後、単に「吸水部材13の外表面」と呼ぶ)が外周シール枠部12及び2つの電極層16a、16cの外表面より上下にそれぞれ突出している。なお、吸水部材13としては、例えば、繊維径50μm程度のセルロース繊維を織り込んだ厚み1.8mm程度の透気性を有する織布を用いることができる。
図7に、第1実施例で説明した供給ガス通過領域SA及び排ガス通過領域EAを一点鎖線で示す。供給ガス通過領域SA及び排ガス通過領域EAは、吸水部材13に設けられた透水性シール層18によって隔てられている。
図8(B)は、図7に示す8B−8B切断における膜電極接合体10Aの断面を示す断面図である。図に示すように、透水性シール層18は、吸水部材13の外表面からガス遮断膜17と接する面まで吸水部材13にシール性接着剤を含浸することによって形成されている。この透水性シール層18は、吸水部材13の繊維を介して水分を透過するが、ガスは透過しない性質を有する。従って、吸水部材13内において水分が供給ガス通過領域SA及び排ガス通過領域EAの境界を跨いで移動することはできるが、供給ガス及び排ガスが2つの領域SA、EAの境界を跨いで移動することは抑制されている。透水性シール層18は、例えば、エポキシ系充填剤や、フェノール系充填剤や、アクリル系充填剤などによって設けることができる。
図9は、本実施例で用いられるセパレータSPのカソードプレートSPcAの構成を示す概略図である。図9は、流路溝の形状が異なる点以外は、図4とほぼ同じである。なお、図9には、燃料電池100として組み付けられた際に、カソードプレートSPcAが膜電極接合体10Aの発電部11、吸水部材13、透水性シール層18と接する領域をそれぞれ、発電部領域11a、吸水部材領域13a、透水性シール層領域18aとして図示してある。
このカソードプレートSPcAには流路溝として、吸水部材配置流路溝26及び並列流路溝23Aが設けられている。吸水部材配置流路溝26は、吸水部材領域13aとほぼ重なるように設けられており、酸素用マニホールド孔M3、M4と連結している。燃料電池として組み付けられたとき、この吸水部材配置流路溝26には、吸水部材13が、吸水部材13の外表面と吸水部材配置流路溝26の底面とが接するように配置される。
並列流路溝23Aは、分岐流路溝22c及び集合流路溝24cと連結する代わりに吸水部材配置流路溝26と連結している点以外は、図4の並列流路溝23と同じである。なお、この並列流路溝23Aによって囲まれる隔壁25Aは、透水性シール層領域18aと連接している。
図10は、本実施例で用いられるセパレータSPのアノードプレートSPaAの構成を示す概略図である。図10は、吸水部材配置流路溝26が水素用マニホールド孔M1、M2と連結している点以外は図9とほぼ同じである。
図11(A)は、燃料電池100が発電を行うときのガスの流れを説明するための説明図である。図11(A)は、膜電極接合体10Aのカソード電極側を示しており、以下の点以外は図7とほぼ同じである。図11(A)には、燃料電池100として組み付けられた際に、カソードプレートSPcAの流路溝26、23A及び隔壁25A(図9)が接する部位を破線で示している。また、図11(A)には、ガスの流れを示す矢印(黒線)と、後述する吸水部材13における湿度勾配を示す矢印(白抜き)を付してある。
酸素供給用マニホールド孔M3から供給された高圧空気は、供給ガス通過領域SAに配置された吸水部材13へと流入する。供給ガス通過領域SAの高圧ガスは、並列流路溝23Aの各流路溝へと分散して発電部11へと至り、発電に供される。発電部11で反応に供されることのなかった酸素を含むカソード排ガスは、並列流路溝23Aに沿って隔壁25Aを挟んで折り返した後、排ガス通過領域EAに配置された吸水部材13へと流入し、酸素排出用マニホールド孔M4へと排出される。
図11(B)は、膜電極接合体10Aのアノード電極側を示しており、アノード電極側のガスの流れを示している点以外は、図11(A)と同様である。水素の流れは、水素供給用マニホールド孔M1から供給されて、水素排出用マニホールド孔M2へと排出される点以外は、カソード電極側のガスの流れと同じである。
また、膜電極接合体10A内での水分の流れは、第1実施例と同様になる。具体的には次のとおりである。供給ガスは、供給ガス通過領域SAにおいて、吸水部材13によって加湿されて発電部11へと流入する。また、発電部11からの排ガスに含まれる水分を排ガス通過領域EAにおいて吸水部材13が吸収するため、図11(A)、(B)の白抜きの矢印に示すように吸水部材13の内部に湿度勾配が生じる。従って、吸水部材13の内部の水分は、排ガス通過領域EAから供給ガス通過領域SAへと透水性シール層18を透過して移動する。
このように、本実施例の構成によれば、第1実施例と同様に簡易な構成で運転中の燃料電池の発電部における湿潤状態を良好に保持することができる。また、本実施例の構成では、第1実施例に比較して吸水部材13の厚みを増している分、供給ガス及び排ガスと吸水部材13とが接触する領域が増加するため加湿・吸水効率が向上する。あるいは、吸水部材13の厚みを増している分、加湿・吸水効率を第1実施例より低下させることなく、供給ガス通過領域SA及び排ガス通過領域EAの面積を減少させることが可能となり、燃料電池の小型化も可能である。
C.第3実施例:
図12は、第3実施例として膜電極接合体10Bのカソード電極側の構成を示す概略図である。図12は、中間シール部14が無い点以外は、図2とほぼ同じである。なお、膜電極接合体10Bのアノード電極側の構成もカソード電極側の構成と同様であるため、図示は省略する。この膜電極接合体10Bは、以下に特に説明を付す部分以外は、第1実施例で説明したものと同様の部材によって構成されている。
図13は、図12に示す13−13切断における膜電極接合体10Bの断面を示す断面図である。図13は、ガス遮断膜17及び中間シール部14が設けられることなく、電解質膜15が吸水部材13によって挟持されるように延長され、膜端部15eが外周シール枠部12によって被覆されている点以外は、図3(A)とほぼ同じである。
なお、この膜電極接合体10Bは、燃料電池として組み付けられるときは、第1実施例で説明した2つのプレートSPc、SPaによって構成されるセパレータSPによって挟持される。
図14(A)、(B)は、発電中の膜電極接合体10Bにおけるガスの流れを説明するための説明図である。図14(A)、(B)は、膜電極接合体10に替えて膜電極接合体10Bが示されている点以外は、図6(A)、(B)とほぼ同じである。
このように、本実施例の構成によっても、第1実施例と同様なガスの流れを実現できる。また、本実施例の構成によれば、水分の流れは、第1実施例で説明した水分の循環経路に加えて、さらに、図13において矢印で示すように、吸水部材13から電解質膜15の内部へも水分が侵入する。そのため、図14(A)、(B)の破線矢印で示すように、膜中の湿度勾配に応じて、発電部11にまで水分が移動することが可能であり、発電部11における電解質膜中の湿度分布が改善される。このように、本実施例の構成によれば、中間シール部14を設けることなく、さらに簡易な構成で運転中の燃料電池の発電部における湿潤状態をさらに、良好に保持することができる。
D.第4実施例:
図15は、第4実施例として膜電極接合体10Cのカソード電極側の構成を示す概略図である。図16は、図15に示す16−16切断における膜電極接合体10Cの断面を示す断面図である。図15及び図16はそれぞれ、カソード電極側の吸水部材13が酸素排出用マニホールド孔M4に突出している点以外は図2及び図3(A)と同じである。なお、この膜電極接合体10Cは、以下において特に説明を付す部分以外は、第1実施例で説明した膜電極接合体10と同様の部材によって構成されている。
吸水部材13の突出部13pは、酸素排出用マニホールド孔M4内へ、例えば8mm程度突出しているものとしても良い。発電中の酸素排出用マニホールド孔M4には高圧ガスが流れているため、この突出部13pは乾燥しやすい。従って、カソード電極側の吸水部材13の内部の水分は湿度勾配に応じて突出部13pへと流動する量が増加する。即ち、酸素排出用マニホールド孔M4を介して外部へと排水される水分量が増加して、排水性が向上する。従って、本実施例の構成によれば、大量の水分が発生するような高電流密度の発電を行った場合に、吸水部材13に水分が排ガス通過領域に凝集して発電効率が低下する可能性を低減できる。なお、アノード電極側の吸水部材13にも水素排出用マニホールド孔M2内に突出する突出部を設けても良い。
E.第5実施例:
図17は、第5実施例として膜電極接合体10Dのカソード電極側の構成を示す概略図である。図17は、吸水部材13に畝状の凸部U1、U2が設けられている点以外は、ほぼ図2と同じである。この膜電極接合体10Dは、燃料電池として組み付けられるときは、第1実施例で説明したカソードプレートSPc及びアノードプレートSPaによって構成されるセパレータSPによって挟持される。図17には、セパレータSPのカソードプレートSPcの流路溝22c、23、24cと接する部位を破線で示している。なお、この膜電極接合体10Dは、以下において特に説明を付す部分以外は、第1実施例で説明した膜電極接合体10と同様の部材によって構成されている。
図18(A)、(B)はそれぞれ、図17に示す18A−18A切断及び18B−18B切断における膜電極接合体10Dの一部断面を示す断面図である。即ち、図18(A)は、膜電極接合体10Dの排ガス通過領域における断面図であり、図18(B)は供給ガス通過領域における断面図である。なお、図18(A)、(B)には、膜電極接合体10Dを挟持するセパレータSPの各プレートSPc、SPaが破線で示してある。
図18(A)、(B)からも理解できるように、吸水部材13の凸部U1、U2は、吸水部材13を波折り加工することによって設けられている。具体的には凸部U1は谷折り加工、山折り加工を繰り返すことによって2つの山折り部U1mを有するように設けられている。凸部U2は一連の谷折り加工、山折り加工、谷折り加工によって1つの山折り部U2mを有するように設けられている。また、凸部U1は、排ガス通過領域における並列流路溝23に収納されるように設けられており、凸部U2は、供給ガス通過領域における並列流路溝23に収納されるように設けられている。なお、凸部U1、U2の山折り部U1m、U2mの数は任意であり、それぞれに対して、さらに複数の山折り部U1m、U2mが設けられていても良い。ただし、山折り部U1mの数が山折り部U2mの数より多いことが好ましい。
このような構成とすることによって、凸部U1、U2が設けられている分だけ第1実施例よりも供給ガス及び排ガスが吸水部材13と接する領域を増すことができ、供給ガスへの加湿効率及び排ガスからの吸水効率が向上する。また、排ガス通過領域に設けられた凸部U1の山折り部の数を供給ガス通過領域に設けられた凸部U2の山折り部の数より多くすることによって、排ガス通過領域における流路面積は減少する。従って、排ガス通過領域における排ガスの流速が増大するため、排出用マニホールド孔M2、M4への排水性を向上できる。従って、排ガスのガス流路におけるフラッディングの発生の可能性を低減できる。
F.第6実施例:
図19は、第6実施例として膜電極接合体10Eのカソード電極側の構成を示す概略図である。図17は、吸水部材13が凸部U3を有し、かつ、この凸部U3が発電部11に延長している部位を有している点以外は、ほぼ図2と同じである。この膜電極接合体10Eは、燃料電池として組み付けられるときは、第1実施例で説明したカソードプレートSPc及びアノードプレートSPaによって構成されるセパレータSPによって挟持される。図19には、セパレータSPのカソードプレートSPcの流路溝22c、23、24cと接する部位を破線で示している。なお、膜電極接合体10Eのアノード電極側の構成はカソード電極側と同様であるため、図示を省略する。また、以下において特に説明を付す部分以外は、第1実施例で説明した膜電極接合体10と同様の部材によって構成されている。
この膜電極接合体10Eの吸水部材13は、排ガス通過領域において折り加工によって凸部U3が設けられている。この凸部U3は、中間シール部14を跨いで発電部11まで延長された延長部13exを有している。なお、延長部13exは、例えば50mm程度の長さで設けられているものとしても良い。
図20(A)は、凸部U3の形状を説明するための説明図であり、図19に示す20A−20A切断における膜電極接合体10Eの一部断面を示す断面図である。なお、図20(A)には、膜電極接合体10Eを挟持するセパレータSPの各プレートSPc、SPaを破線で示してある。図20(A)に示すように、吸水部材13の凸部U3は、各プレートSPc、SPaに設けられた並列流路溝23の形状と同様な矩形に折り加工されることによって設けられている。
図20(B)は、図19に示す20B−20B切断における膜電極接合体10Eの一部断面を示す断面図であり、吸水部材13の延長部13exの形状を説明するための説明図である。図20(B)には、図20(A)と同様に、セパレータSPの各プレートSPc、SPaを破線で示してある。延長部13exは、吸水部材13を打ち抜き加工することによって、吸水部材13の凸部U3を形成する部位のみが発電部11まで延長されて形成されている。
並列流路溝23のうち、排出用マニホールド孔M2、M4に近い部位には、運転状況によっては、排ガスに含まれる排水が溜まりやすい傾向にある。そこで上述したように、並列流路溝23の内壁面に接した吸水部材13の凸部U3を設けることによって、流路内の水分が凸部U3に吸収され、水分による流路の閉塞を抑制できる。また、発電部11内に延長部13exを有する分だけ、排ガスと吸水部材13との接触領域が増加し、吸水効率が向上する。また、凸部U3が設けられた部位の流路断面積は減少するため、当該流路において排ガスの流速が増して排水性を向上することができる。
G.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
G1.変形例1:
上記実施例において、カソード電極側及びアノード電極側に吸水部材13を配置していたが、いずれか一方のみに吸水部材13を配置するものとしても良い。ただし、燃料電池反応によって水が発生するのは主にカソード電極側であるため、カソード電極側に吸水部材13が配置されている方が効果が大きく好ましい。
G2.変形例2:
上記実施例において、セパレータSPを構成するプレートSPc、SPaには流路溝が設けられていたが、流路溝が設けられていない構成であっても良い。ただし、流路溝を設けることによって、ガス及び水分の流れを流路溝に沿わせることができ、燃料電池内の湿度分布を改善する上で好ましい。
G3.変形例3:
上記実施例において、供給用マニホールド孔M1、M3と排出用マニホールド孔M2、M4とが発電部11に対して一方の片寄った位置に設けられていたが、そうでなくとも良い。例えば、供給用マニホールド孔M1、M3と排出用マニホールド孔M2、M4とが発電部11を挟んで対向する位置に設けられていても良い。ただし、上記実施例の構成によれば、吸水部材13の内部における水分の移動距離を短くすることができ、効率的に水分の循環が行われる。
G4.変形例4:
上記実施例において、吸水部材13は、単体の部材によって構成されていたが、複数に分離した部材によって構成されているものとしても良く、この場合には、吸水部材13は連接して配置されていればよい。即ち、本明細書において「連続した吸水部材」とは、単体で構成された吸水部材のみではなく、分離した複数の吸水部材13が連接して配置された状態をも含んでいる。
G5.変形例5:
第5及び第6実施例において、吸水部材13は、板状部材を折り加工することによって凸部U1、U2、U3が設けられていたが、他の部材を成型することによって凹凸が設けられているものとしても良い。また、第5実施例では、凸部U1の山折り部U1mの数が凸部U2の山折り部U2mの数より多くなるように加工することによって、排ガス通過領域に設けられた凹凸の数が供給ガス通過領域に設けられた凹凸の数より多くなるように構成されていた。しかし、当該凹凸の数は、排ガス通過領域と供給ガス通過領域とで同じであるとしても良いし、供給ガス通過領域の方が凹凸の数が多いものとしても良い。
燃料電池の構成を示す概略図である。 第1実施例における膜電極接合体を示す概略図である。 第1実施例における膜電極接合体の断面を示す断面図である。 第1実施例におけるセパレータのカソードプレートを示す概略図である。 第1実施例におけるセパレータのアノードプレートを示す概略図である。 第1実施例における燃料電池のガス及び水分の流れを説明するための説明図である。 第2実施例における膜電極接合体を示す概略図である。 第2実施例における膜電極接合体の断面を示す断面図である。 第2実施例におけるセパレータのカソードプレートを示す概略図である。 第2実施例におけるセパレータのアノードプレートを示す概略図である。 第2実施例における燃料電池のガス及び水分の流れを説明するための説明図である。 第3実施例における膜電極接合体を示す概略図である。 第3実施例における膜電極接合体の断面を示す断面図である。 第3実施例における燃料電池のガス及び水分の流れを説明するための説明図である。 第4実施例における膜電極接合体を示す概略図である。 第4実施例における膜電極接合体の断面を示す断面図である。 第5実施例における膜電極接合体を示す概略図である。 第5実施例における膜電極接合体の一部断面を示す断面図である。 第6実施例における膜電極接合体を示す概略図である。 第6実施例における膜電極接合体の一部断面を示す断面図である。
符号の説明
10、10A、10B、10C、10D、10E…膜電極接合体
11…発電部
11a…発電部領域
11e…端辺
12…外周シール枠部
13…吸水部材
13a…吸水部材領域
13ex…延長部
13p…突出部
14…中間シール部
14a…中間シール部領域
15…電解質膜
15e…膜端部
16a…アノード電極層
16c…カソード電極層
17…ガス遮断膜
17e…膜端部
18…透水性シール層
18a…透水性シール層領域
22c、22a…分岐流路溝
23、23A…並列流路溝
23…並列流路溝
24c、24a…集合流路溝
25、25A…隔壁
26…吸水部材配置流路溝
100…燃料電池
161…ガス拡散層
162…撥水層
163…触媒層
EA…排ガス通過領域
M1〜M4…マニホールド孔
SA…供給ガス通過領域
SP…セパレータ
SPa、SPaA…アノードプレート
SPc、SPcA…カソードプレート
U1、U2、U3…凸部
U1m、U2m…山折り部

Claims (9)

  1. 燃料電池であって、
    膜電極接合体と、
    前記膜電極接合体と接して設けられた吸水部材と、
    を備え、
    前記膜電極接合体は、
    電解質膜と電極層とを含む発電部と、
    前記発電部に供給ガスを供給するための供給用マニホールド孔と、
    前記発電部から排ガスを排出するための排出用マニホールド孔と、
    を含み、
    前記吸水部材は、前記供給用マニホールド孔と前記発電部との間にある供給ガス通過領域と、前記排出用マニホールド孔と前記発電部との間にある排ガス通過領域とに渡って連続して設けられていることを特徴とする、燃料電池。
  2. 請求項1に記載の燃料電池であって、さらに、
    前記膜電極接合体を挟持するセパレータを備え、
    前記セパレータには、前記供給用マニホールド孔から前記排出用マニホールド孔に向かう流路を構成する流路溝が設けられている、燃料電池。
  3. 請求項1または請求項2に記載の燃料電池であって、
    前記供給用及び排出用マニホールド孔は、前記発電部に対して一方の側に片寄った位置に設けられている、燃料電池。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の燃料電池であって、
    前記吸水部材は、前記供給ガス通過領域と前記排ガス通過領域との境界にガスをシールするための透水性シール層を有している、燃料電池。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の燃料電池であって、
    前記電解質膜は、前記供給ガス通過領域及び前記排ガス通過領域まで延長された膜延長部を備え、前記膜延長部は前記吸水部材に接している、燃料電池。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の燃料電池であって、
    前記吸水部材は、前記排出用マニホールド孔に突出している、燃料電池。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の燃料電池であって、
    前記吸水部材には、凹凸が設けられている、燃料電池。
  8. 請求項7に記載の燃料電池であって、
    前記吸水部材は、前記排ガス通過領域より、前記供給ガス通過領域の方が、前記凹凸の数が多い、燃料電池。
  9. 請求項1ないし請求項8に記載の燃料電池であって、
    前記吸水部材は、前記排ガス通過領域から前記発電部内に延長された延長部を有する、燃料電池。
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