JP5036384B2 - 燃料電池 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料ガスと酸化剤ガスの化学反応を利用して発電する燃料電池に関し、特に、氷点下始動時における生成水の凍結を回避できる燃料電池セル構成に関するものである。
固体高分子型燃料電池は、複数のセルを積層した燃料電池スタックに、酸素を含有する酸化剤ガスと水素を含有する燃料ガスを供給して化学反応させることにより電気エネルギーを発生させている。基本単位となるセルは、一般に、固体高分子電解質膜の両面に電極となる触媒層と拡散層を形成したMEA(Membrane Electrode Assembly)と呼ばれる膜電極接合体を備え、その外側に酸化剤ガス側セパレータ、燃料ガス側セパレータを配設した構造となっている。酸化剤ガス側セパレータ、燃料ガス側セパレータと、拡散層の間には、それぞれ酸化剤ガス流路、燃料ガス流路が形成されている。
燃料極(アノード)では、燃料ガス流路から拡散層を経て供給される水素が触媒層の触媒作用によりイオン化し、電解質膜を透過して空気極(カソード)側に移動する。酸化剤ガス流路から空気極(カソード)に供給される酸素は、移動してきた水素イオンと反応し、水を生成する。この発電反応により起電力が発生する。生成する水は、電解質膜に適度な湿度を与え、余剰の水分は拡散層を透過して、酸化剤ガス流路または燃料ガス流路から排出される。
このように燃料電池では発電の際に水を生成することから、燃料電池内に水が残留しやすく、氷点以下の低温環境下で凍結する問題がある。この対策として、運転停止時に燃料電池内を掃気して、残留水を掃気ガスとともに外部へ排出することが行われている。ただし、掃気により残留水を排出しても、低温環境下での運転開始時に過冷却状態で発生する生成水が凍結を引き起こすことがある。そして、凍結が伝播して急激に発電性能が低下すると、始動に必要な発熱量が得られなくおそれがあり、氷点下での始動性向上が大きな課題となっている。
従来技術としては、例えば、特許文献1に記載されるように、氷点下で燃料電池を始動する際に燃料電池スタックの温度を上昇させて、凍結を防止する方法が提案されている。特許文献1の燃料電池は、例えば電気的な加熱手段を設けて冷却液流路を流通する冷却液を加熱し、燃料電池スタックの少なくとも一部の領域を昇温させるものである。
特開2000−512068号公報
また、例えば、特許文献2、3に記載されるように、膜電極接合体に撥水性を付与して、排水を促進する構成とした燃料電池がある。特許文献2の固体電解質膜は、ガス拡散基材の表面に撥水層を有しており、さらにその一部に水の浸透経路を形成することで、排水性を向上させ、その他の部位をガス拡散経路とするようになっている。また、特許文献3には、固体電解質膜の両面に形成した触媒層上に、撥水性領域と親水性領域を有するガスまたは液体の透過層を形成して、必要な撥水性と親水性とを兼備させることが提案されている。
特開2006−179317号公報 特開2005−216750号公報
しかしながら、特許文献1の方法では、燃料電池に電気的加熱手段を設ける必要があり、システム構成が複雑となってコストアップ要因となる上、燃料電池の加熱に電力を使用するため、車両の燃料効率が著しく低下する。また、特許文献2の構成は、氷点下では水の浸透経路内にて水を凍結させて、ガス拡散経路を確保しようとしており、特許文献3の構成は、凍結防止を目的とするものではない。このため、これら従来の構成により生成水の凍結を防止することは難しく、また、一部で凍結が開始されると、凍結が伝播して急激な発電性能の低下を引き起こし、始動が困難になるおそれがあった。
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、燃料電池セル内で生成水の凍結が開始しても急激な発電性能の低下がなく、発電を継続させて発熱量を確保することで、システム構成部品を増加させることなく、氷点下始動が可能な燃料電池を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための請求項1の発明は、酸化剤ガスと燃料ガスの化学反応により発電するセルを備える燃料電池であって、
上記セルは、電解質膜の両面に電極を配設した膜電極接合体の一方の面側に、酸化剤ガス流路を形成する酸化剤ガス側セパレータを配設するとともに、他方の面側に燃料ガス流路を形成する燃料ガス側セパレータを配設してなり、
上記電極は上記電解質膜に接する触媒層の外側に拡散層を有し、
上記拡散層には、少なくとも上記触媒層に接する表面に、強撥水層と弱撥水層とからなる撥水層を設けるとともに、上記強撥水層と上記弱撥水層とを、上記ガス流路のガス流れ方向に沿って交互に並列するように配置し
上記撥水層は、上記ガス流路のガス流れ方向における上記強撥水層の幅を2mm以上に形成して液水の分断層としたものである。
氷点下での始動時に、触媒層と拡散層の界面において生成水が凍結すると、急激な発電低下を引き起こす。一般に、生成水の一部が凍結すると、連続した液水に凍結が急速に伝播するが、本発明の構成によれば、触媒層と拡散層の界面に介設した撥水層が、強撥水層と弱撥水層とからなるので、生成水が液滴となっても、ガス流れ方向に対しては、強撥水層にて液水が途切れる。特に、撥水層における強撥水層の幅を2mm以上に形成すると、液水を分断する効果を確実に得ることができる。よって、連続した液水となるのを防止し、凍結の伝播による急激な発電低下を防止することができるので、発電を継続して発熱量を確保し、燃料電池スタック全体を昇温することができる。
これにより、システム構成部品を増加させることなく、燃料電池の氷点下始動が可能となるので、コストが低減でき、発電性能の良好な燃料電池が実現できる。
請求項2の発明のように、具体的には、上記撥水層は、撥水性の異なる2種類の撥水性材料よりなる。そして、該2種類の撥水性材料のうち相対的に撥水性の高い撥水性材料にて上記強撥水層を、相対的に撥水性の低い撥水性材料にて上記弱撥水層を構成したものである。
請求項3の発明のように、上記撥水層は、上記拡散層を構成する基材の上記触媒層側表面に、上記強撥水層となる撥水性材料と上記弱撥水層となる撥水性材料とを交互に塗布することにより形成される。あるいは上記触媒層側表面の全面に上記弱撥水層となる撥水性材料を塗布し、その表面の一部に上記強撥水層となる撥水性材料と含浸させることにより形成することができる。
請求項4の発明において、上記酸化剤ガス側セパレータには上記酸化剤ガス流路となる複数の平行な溝が、上記燃料ガス側セパレータには上記燃料ガス流路となる複数の平行な溝が、それぞれ形成されており、上記強撥水層および上記弱撥水層を、上記ガス流路のガス流れと垂直な方向を長手方向とする短冊状に形成して、上記ガス流路となる複数の平行な溝を横切るように配置してある。
好適には、酸化剤ガス側セパレータ、燃料ガス側セパレータに形成されるガス流路を横切るように、強撥水層および弱撥水層を形成すると、セパレータの面圧により、ガス流路と垂直な方向においても液水が途切れる効果が得られる。よって、液水の凍結が広範囲に伝播するのを防止する効果が高い。
請求項5の発明において、上記強撥水層となる撥水性材料と、上記弱撥水層となる撥水性材料の、水との接触角度の差が5°以上である。
図1により、本発明を適用した燃料電池の第1実施形態を説明する。図1(a)は、燃料電池の主要部である燃料電池スタックSのセルC構造を示す概略図であり、図1(b)は、燃料電池スタックSを含むシステム全体の概略構成図である。図1(b)において、燃料電池スタックSは、基本単位であるセルCを多数積層して電気的に直列接続してなり、酸化剤ガスとなる空気の供給流路101・排出流路102、燃料ガスとなる水素の供給流路103・排出流路104や、各種制御装置等が接続されて燃料電池システムを構成している。
燃料電池スタックSは、酸化剤ガスと燃料ガスの電気化学反応により発電を行い、DC/DCコンバータにて電圧調整後、負荷の駆動に用いられる。コントローラはシステム全体を制御し、負荷(例えば燃料電池車両の駆動用モータや各種補機類)からの要求電力に応じて、燃料電池スタックSへ供給される空気や水素の流量・圧力・湿度等を調整する。なお、図はシステム主要部を簡略化して示すもので、図示する以外にも冷却媒体流路等を設けたり、各流路にポンプやバルブといった通常公知のシステム構成部材を設けることができる。
図1(a)の左半図に示すように、燃料電池スタックSの各セルCは、電解質膜11を挟んでその両面に電極がそれぞれ形成された膜電極接合体(MEA:Membrane Electrode Assembly )1を備え、このMEA1を挟んで一方の面側(図の右側)に酸化剤ガス側セパレータ4を、他方の面側(図の左側)に燃料ガス側セパレータ5を配設した構成となっている。本実施形態では、電解質膜11の一方の表面に、電極となる触媒層21と拡散層31を、他方の面に触媒層22と拡散層32を、この順でそれぞれ配置して膜電極接合体を構成しており、酸化剤ガス側に設けた触媒層21と拡散層31とで、空気極(カソード)を、燃料ガス側に設けた触媒層22と拡散層32とで、燃料極(アノード)を形成している。
酸化剤ガス側セパレータ4、燃料ガス側セパレータ5は、薄肉の導電性板材を波板状に成形したものからなる。この時、波板状の酸化剤ガス側セパレータ4には、図の左側または右側に開く多数の溝が、図の上下方向に交互に形成され、MEA1側(図の左側)に開口する複数の溝と、対向する拡散層31との間に、酸化剤ガス流路である空気流路41が形成される。同様に、波板状の燃料ガス側セパレータ5の溝と、対向するMEA1の拡散層32との間には、燃料ガス流路である水素流路51が形成される。酸化剤ガス側セパレータ4、燃料ガス側セパレータ5の、拡散層31、32との当接面は集電部42、52として機能する。
空気流路41は、互いに連通して一続きの流路となり、その一端側が入口部として図1(b)の空気の供給流路101に、他端側が出口部として排出流路102に接続される。同様に水素流路51も、互いに連通する流路を構成し、その一端側を入口部として図1(b)の水素の供給流路103に、他端側を出口部として排出流路104に接続している。空気流路41と空気流路41の間の溝、または水素流路51と水素流路51の間の溝は、冷却水流路6となる。このような構成の単セルCを積層することにより、図1(b)の燃料電池スタックSが構成される。
このようにセパレータ4、5を薄肉の板材で構成すると、セパレータ4、5が薄くなることで、セルCの積層枚数に対して燃料電池スタックSをコンパクトにすることができる。セパレータ4、5を厚肉の導電性板材とし、空気流路41または水素流路51となる溝を形成した構成とすることも、もちろんできる。
電解質膜11には、公知の水素イオン伝導性固体高分子電解質膜、例えば、Nafion(デュポン社製:登録商標)等のパーフルオロスルホン系ポリマーを膜状に成形したものが好適に使用される。触媒層21、22は、白金触媒等の触媒を導電性の良好な材料、例えばカーボン粒子等に担持させ、電解質膜の材料等を用いてペースト状にしたものを、電解質膜11の表面に層状に形成してなる。
拡散層31、32の基材は、導電性およびガス拡散性の良好な材料、例えばカーボン繊維やカーボン粒子等の材料を用いて多孔質に形成され、空気流路41または水素流路51から供給される空気または水素を触媒層21、22へ良好に拡散させるものであればよい。拡散層31、32には、それぞれ触媒層21、22に接する表面に、撥水層3が設けられる。撥水層3の構成は、本発明の特徴部分であり、以下に詳述する。
図1(a)の右半図に示すように、撥水層3は、強撥水層3aと弱撥水層3bからなる。本発明では、強撥水層3aと弱撥水層3bとが、空気または水素の流れ方向において交互に並列するように形成することで、生成水の凍結が伝播するのを防止する。図は、酸化剤ガス側セパレータ4に接する拡散層31表面の撥水層3を示したもので、酸化剤ガス側セパレータ4には、図の上下方向に複数の空気流路41が平行に形成されている。これら空気流路41は、図の左右方向を流れ方向としている。これに対し、撥水層3の強撥水層3aと弱撥水層3bは、いずれも空気流路41の流れ方向と垂直な方向を長手方向とする略一定幅の短冊状であり、空気流路41の流れ方向に対して交互に並ぶストライプ状に配置されている。また、強撥水層3aと弱撥水層3bとは、それぞれ複数の空気流路41を横切って、上下方向に延びている。
また、燃料ガス側セパレータ5に接する拡散層32表面の撥水層3も、同様の構成となっている。すなわち、撥水層3の強撥水層3aと弱撥水層3bは、いずれも水素流路51の流れ方向と垂直な方向を長手方向とする略一定幅の短冊状で、水素流路51の流れ方向に対して交互に並ぶストライプ状に配置される。また、強撥水層3aと弱撥水層3bとは、それぞれ複数の水素流路51を横切るように、上下方向に延びている。
ここで、強撥水層3aと弱撥水層3bとは、撥水性が異なる2種類の撥水性材料を組み合わせ、撥水性が相対的に高い方の材料にて強撥水層3aを、撥水性が相対的に低い方の材料にて弱撥水層3bを形成している。撥水性の有無は、一般に、水との接触角度によって定義され、通常、撥水層表面に付着させた水滴との接触角度が90°より大きい材料を、撥水性材料という。撥水性の強弱は、水との接触角度の大きさによって表され、接触角度が90°を超えて大きくなるほど撥水性が強く、接触角度が90°に近いほど撥水性が弱いといえる。
撥水性材料としては、撥水性を有する種々の撥水性材料を用いることができ、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVFD)等のフッ素樹脂系撥水材が、好適に使用される。これら撥水性材料は、通常、カーボン粒子および溶剤とともに混合したものを、塗布することにより撥水層3を容易に形成することができる。撥水性材料の複数種類を、所望の撥水性が得られるように、適宜、組み合わせて使用することもできる。また、撥水性材料にカーボン粒子を混合し、その配合割合を変更することで、強撥水層3aと弱撥水層3bをつくり分けるようにしてもよい。
強撥水層3aと弱撥水層3bは、撥水性にある程度の差があることが必要で、差が小さいと境界部における液水分断の効果が得にくい。通常は、強撥水層3aとなる撥水材と、弱撥水層3bとなる撥水材の、水との接触角度の差Δθが、例えば5°以上とするのがよく、好適には、接触角度の差Δθを10°以上とすることで、液水を分断する効果が得やすい。これにより、液水が連続した状態で存在するのを防止して、凍結が伝播しにくい構造とすることができる。
図2、3は、撥水層3を設けた拡散層31(32)の構成例を示すものである。図2は、撥水層3を塗り分け法により形成した場合であり、拡散層基材33の表面には、強撥水層3aと弱撥水層3bが、図の左右方向に交互に配置されている。この撥水層3を形成するには、強撥水層3aの構成材料と弱撥水層3bの構成材料とを、拡散層基材33の表面に、それぞれ所定の幅で、交互に塗布することを繰り返し行う。この場合、強撥水層3aと弱撥水層3bの厚さは同じになる。
図3は、拡散層基材33表面に、撥水層3を含浸法により形成した場合であり、拡散層基材33の表面には、全面を覆って弱撥水層3bが形成され、さらに弱撥水層3bの表面の一部に、強撥水層3aが所定の間隔をおいてストライプ状に形成されている。この撥水層3を形成するには、まず、弱撥水層3bの構成材料を拡散層基材33の表面全面に塗布形成し、その表面の所定位置に、強撥水層3aの構成材料を上塗りして、含浸させる。この場合、強撥水層3aの厚さは、弱撥水層3bより薄く、その上部表面のみに強撥水層3aが形成されることになる。
拡散層31、32を構成する拡散層基材33や撥水層3の厚さは、任意に設定することができる。通常は、拡散層基材33の厚さを、例えば100μm以上、撥水層3の厚さを、例えば50μm以上とするのがよい。撥水層3となる強撥水層3aと弱撥水層3bの形成幅については、例えば、強撥水層3aの幅が、2mm程度ないしそれ以上あれば、分断効果が認められる。好適には、強撥水層3aの幅を、所望の液水の分断効果が得られるように、2mm以上に設定して液水の分断層とし、弱撥水層3bの幅をこれよりも広くして、撥水層3の全体に適度な撥水性を付与する構成とすればよい。図3のように含浸法による構成において、撥水層3の表面に強撥水層3aが薄く形成した場合には、強撥水層3aを、例えば5μm程度ないしそれ以上の厚さとすることで、強撥水層3aによる液水の分断効果を得ることができる。
上記構成の燃料電池の作動について図1(a)、(b)により説明する。
空気の供給流路101および水素の供給流路103から、燃料電池スタックSに空気および水素が供給されると、各セルC内の空気流路41に空気が、水素流路51に水素が導入され、MEA1の両電極において下記の電気化学反応が起こる。
水素極(アノード) H2 →2H+ +2e- ・・・(1)
空気極(カソード) 2H+ +1/2O2 + +2e- →H2 O・・・(2)
反応に用いられなかった未反応空気は排出流路102から排出される。未反応水素は排出流路104から排出され、循環再利用される。
ここで、上記式(2)のように、各セルCの空気流路41側では、発電の際に水素と酸素が反応して水が生成する。この水分は、触媒層21から拡散層31内を拡散して空気流路41へ排出される一方、電解質膜11を透過して水素流路51側へ移動し、触媒層22から拡散層32内を拡散して水素流路51へ排出される。この時、電解質膜11の近傍で生成する水分を速やかに排出するために、拡散層31、32の触媒層21、22との界面に撥水層3が設けられ、生成水の液水化を抑制し排出を促す。ただし、氷点以下の低温環境下での始動時には、過冷却状態で上記発電反応による水が生成することになり、この水が、触媒層21、22または拡散層31、32内で凍結すると、ガス拡散が阻害されるために、上記発電反応が良好に進行しなくなる。その結果、発熱量が不十分となって燃料電池スタックSが発電に適当な温度(通常、60〜100℃程度)まで上昇せず、自己発熱による始動が困難となる。
本発明者等の実験によれば、氷点下での始動時に、触媒層21、22と拡散層31、32との界面において生成水が凍結すると、急激な発電低下を引き起こすことがわかっている。また、一般に、生成水の一部が凍結すると、連続した液水に凍結が伝播する。つまり、従来の構成において生じる急激な発電低下は、触媒層21、22と拡散層31、32との界面において、生成水が液水となって溜まりやすい状態であることを意味する。そこで、本発明では、上述したように、撥水層3を強撥水層3aと弱撥水層3bとで構成し、連続した液水が存在する状態を解消して、凍結の伝播を防止しようとするものである。
すなわち、図1(a)の右半部に示すように、本発明の拡散層31、32では、触媒層21、22と接する撥水層3が、空気流路41または水素流路51のガス流れ方向に沿って、強撥水層3aと弱撥水層3bとが交互に現れるようにしてある。このため、触媒層21、22と拡散層31、32との界面で、生成水が液滴となっても、ガス流れ方向に対しては、強撥水層3aにて液水が途切れる。また、ガス流れと垂直な方向には、酸化剤ガス側セパレータ4の空気流路41間に形成される集電部42、燃料ガス側セパレータ5の水素流路51に形成される集電部52が、拡散層31、32に当接しており、その面圧によって、触媒層21、22と拡散層31、32の界面の液水が途切れる。
これらにより、連続する液水となることが防止され、氷点下始動時に、触媒層21、22と拡散層31、32との界面で凍結が伝播しようとしても、液水が途切れているために、凍結が広範囲に広がることがない。したがって、発電反応に伴う発熱量を確保することができるので、自己発熱による氷点下からの始動が可能となる。
(実施例1)
次に、本発明の効果を確認するために、上記図2に示す構造の拡散層31のサンプルを作成した。拡散層31の基材33としては、36×36mmの正方形のカーボンペーパ(東レ(株)製:TGPH060;厚さ 190μm)を使用し、その表面に、幅10.5mmの弱撥水層3b、幅2mmの強撥水層3a、幅11.0mmの弱撥水層3b、幅2mmの強撥水層3a、幅10.5mmの弱撥水層3bを、交互に形成して撥水層3とした。強撥水層3a、弱撥水層3bの厚さは、150μm程度とした。強撥水層3a、弱撥水層3bの構成材料には、いずれもポリテトラフルオロエチレン(PTFE)系の撥水性の異なる材料を使用し、強撥水層3aには水との接触角度が155°程度の撥水材を、弱撥水層3bには水との接触角度が145°程度の撥水材を用いた。この撥水材にカーボン粒子と溶剤を添加混合して得た混合物を、基材33に塗布して、撥水層3を形成した。
得られたサンプルの撥水層3表面に、水を滴下して、その上からプレパラートを覆着する評価試験を実施したところ、強撥水層3aにおいて水が分断されたことが確認された。なお、比較のために、強撥水層3aの幅を2mm未満とした以外は、同様の方法でサンプルを形成したところ、水の分断をはっきりと確認することができなかった。
(実施例2)
上記図3に示す構造の拡散層31のサンプルを作成した。拡散層31の基材33としては、36×36mmの正方形のカーボンペーパ(東レ(株)製:TGPH060;厚さ190μm)を使用し、その表面の全面に弱撥水層3bを形成した(厚さ150μm程度)。弱撥水層3bには、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)系で水との接触角度が140°程度の撥水材を用い、撥水材とカーボン粒子と溶剤で混合してから、基材33に塗布した。その後、加熱して弱撥水層3bとし、その上面に、強撥水層3a(幅2mm、厚さ5μm程度)を、9mmピッチでストライプ状に形成した。強撥水層3aには、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)系で水との接触角度が155°程度の撥水材を用い、カーボン粒子と溶剤で混合したものを塗布した。
得られたサンプルに、上記実施例1と同様の評価試験を実施した。撥水層3表面に水を滴下して、その上からプレパラートを覆着して観察したところ、強撥水層3aにおいて水が分断されたことが確認された。
以上のように、本発明によれば、加熱手段を設けたり流路構成やシステムを大きく変更することなく、良好な掃気性を有して、残留水が起点となる凍結を防止できる燃料電池のセル構成を実現することができる。
本実施形態の構成によれば、酸化剤ガス側セパレータ3に対向する拡散層21の表面に、通気性が高い導電性通気層8を形成して通気性を向上させたので、掃気処理時に、拡散層21と集電用リブ31との間に掃気ガスが容易に流通する。これにより、残留する水分が掃気ガスによって持ちさられやすくなり、乾燥が促進される。よって、氷点下での運転開始時に残留水の凍結が起点となって、過冷却状態で生成した水分が凍結するのを防止することができる。なお、少なくとも集電用リブ31との当接部位において拡散層21の表面に導電性通気層8を介設する構成とすれば、集電用リブ31下の通気性を向上させて排水を促進させる効果が得られる。
以上のように、本発明によれば、加熱手段を設けたり、システム構成部品を増加させることなく、氷点下始動時に生成水が凍結することによる急激な発電性能の低下を防止し、自己発熱による氷点下始動を可能にすることができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明が適用される燃料電池システムは、上記図1の構成に限定されるものではなく、燃料電池スタックSの各部構成その他を変更することも可能である。例えば、セパレータ4、5は波板にて構成したが、厚板に溝を形成することにより構成してもよい。
本発明の第1実施形態であり、(a)は、燃料電池スタックのセル構成を示す概略断面図、(b)は、燃料電池システム全体の概略構成図である。 本発明における強撥水層と弱撥水層の形成方法の一例を説明するための模式的な図である。 本発明における強撥水層と弱撥水層の形成方法の他の例を説明するための模式的な図である。
符号の説明
S 燃料電池スタック
C セル
1 MEA(膜電極接合体)
11 電解質膜
21、22 触媒層
3 撥水層
3a 強撥水層
3b 弱撥水層
31、32 拡散層
4 酸化剤ガス側セパレータ
41 空気流路(酸化剤ガス流路)
5 燃料ガス側セパレータ
51 水素流路(燃料ガス流路)
6 冷却水流路

Claims (5)

  1. 酸化剤ガスと燃料ガスの化学反応により発電するセルを備える燃料電池であって、
    上記セルは、電解質膜の両面に電極を配設した膜電極接合体の一方の面側に、酸化剤ガス流路を形成する酸化剤ガス側セパレータを配設するとともに、他方の面側に燃料ガス流路を形成する燃料ガス側セパレータを配設してなり、
    上記電極は上記電解質膜に接する触媒層の外側に拡散層を有し、
    上記拡散層には、少なくとも上記触媒層に接する表面に、強撥水層と弱撥水層とからなる撥水層を設けるとともに、上記強撥水層と上記弱撥水層とを、上記ガス流路のガス流れ方向に沿って交互に並列するように配置し
    上記撥水層は、上記ガス流路のガス流れ方向における上記強撥水層の幅を2mm以上に形成して液水の分断層としたことを特徴とする燃料電池。
  2. 上記撥水層は、撥水性の異なる2種類の撥水性材料よりなり、該2種類の撥水性材料のうち相対的に撥水性の高い撥水性材料にて上記強撥水層を、相対的に撥水性の低い撥水性材料にて上記弱撥水層を構成した請求項1記載の燃料電池。
  3. 上記撥水層は、上記拡散層を構成する基材の上記触媒層側表面に、上記強撥水層となる撥水性材料と上記弱撥水層となる撥水性材料とを交互に塗布するか、あるいは上記触媒層側表面の全面に上記弱撥水層となる撥水性材料を塗布し、その表面の一部に上記強撥水層となる撥水性材料と含浸させることにより形成される請求項2記載の燃料電池。
  4. 上記酸化剤ガス側セパレータには上記酸化剤ガス流路となる複数の平行な溝が、上記燃料ガス側セパレータには上記燃料ガス流路となる複数の平行な溝が、それぞれ形成されており、上記強撥水層および上記弱撥水層を、上記ガス流路のガス流れと垂直な方向を長手方向とする短冊状に形成して、上記ガス流路となる複数の平行な溝を横切るように配置した請求項1ないし3のいずれか1項に記載の燃料電池。
  5. 上記強撥水層となる撥水性材料と、上記弱撥水層となる撥水性材料の、水との接触角度の差が5°以上である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の燃料電池。
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