JP2009016139A - 固体高分子型燃料電池用電解質膜・電極構造体及び固体高分子型燃料電池 - Google Patents

固体高分子型燃料電池用電解質膜・電極構造体及び固体高分子型燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】固体高分子型燃料電池において、保水性、反応ガスの拡散性、及び生成水の排出の容易さを均衡させる。
【解決手段】アノード側電極43及びカソード側電極44は、第1セパレータ32又は第2セパレータ34に臨むガス拡散層45a、45bと、固体高分子電解質膜42に臨む電極触媒層47a、47bと、ガス拡散層45aと電極触媒層47aの間、ガス拡散層45bと電極触媒層47bの間に介在された撥水層46a、46bとを有する。撥水層46a、46bの一部は、ガス拡散層45a、45bに浸透し、これにより浸透部位92a、92bが形成される。なお、撥水層46a、46bの浸透先端は、ガス拡散層45a、45bの厚み方向寸法をTとするとき、0.71T〜0.99Tとなる深さまで到達している。
【選択図】図7

Description

本発明は、高分子イオン交換膜からなり且つプロトンを伝導するプロトン伝導体である固体高分子電解質膜を介してアノード側電極及びカソード側電極が配設される固体高分子型燃料電池用電解質膜・電極構造体、及びそれを備える固体高分子型燃料電池に関する。
固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜からなる電解質膜の各端面にアノード側電極、カソード側電極のそれぞれを配設した電解質膜・電極構造体を、1組のセパレータによって挟持することで構成された単位セルを備える。この種の固体高分子型燃料電池において、高分子イオン交換膜(電解質膜)は、アノード側電極からカソード側電極に向かってプロトンを伝導させるプロトン伝導体として機能する。
ここで、電解質膜である高分子イオン交換膜に良好なプロトン伝導性を発現させるためには、該高分子イオン交換膜を湿潤状態に維持する必要がある。固体高分子型燃料電池の運転途中であれば、例えば、アノード側電極又はカソード側電極の少なくともいずれか一方に対して加湿された反応ガスを供給し、これにより高分子イオン交換膜に適切量の水分を付与することが可能である。しかしながら、固体高分子型燃料電池の運転開始時等では高分子イオン交換膜が未だ乾燥状態にあるため、プロトン伝導性に乏しいという問題がある。
そこで、固体高分子型燃料電池の運転を停止して反応ガスの供給を停止した場合であっても高分子イオン交換膜を湿潤状態に保つべく、アノード側電極及びカソード側電極に保水性を具備させることが提案されている。具体的には、アノード側電極及びカソード側電極を構成するガス拡散層と電極触媒層との間に、保水性を示す中間層を設けることが行われている。
例えば、特許文献1には、ガス拡散層上にカーボン層を設けることが記載されている。該特許文献1によれば、このカーボン層が存在することにより、反応ガスが無加湿、又は低加湿であっても、固体高分子型燃料電池を高電圧で発電させることができるようになる、とのことである。なお、特許文献1記載の技術において、前記カーボン層は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)とカーボン粒子を含有する溶液をガス拡散層に塗布し、その後に乾燥することで形成されている。
また、特許文献2には、特許文献1と同様にPTFEとカーボン粒子を含有する溶液をガス拡散層に塗布して乾燥することでガス拡散層上にカーボン層を設けるとともに、カーボン粒子、炭素繊維及びイオン伝導性高分子を含むスラリーを塗布して乾燥することが記載されている。
特開2004−296176号公報 特開2004−193106号公報
ところで、アノード側電極及びカソード側電極に水分を過度に保持し得る中間層を形成すると、反応ガスがガス拡散層から該中間層を通過して電極触媒層に到達することや、電極反応に伴って電極触媒層に生成された水分が該中間層を経由してガス拡散層に到達することが困難となる。中間層に保持された水分がこれら反応ガスや生成水が通過することを阻害するからである。
結局、保水性を過度に向上させると、反応ガスの拡散性が低下することに起因して固体高分子型燃料電池の発電特性が低下したり、生成水が十分に排出されないためにフラッディングが起こったりする等の不具合が惹起されてしまう。
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、保水性が向上しながらも反応ガスが良好に拡散し、且つ生成水を排出することも容易な電極を具備する固体高分子型燃料電池用電解質膜・電極構造体及びそれを備える固体高分子型燃料電池を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明は、高分子イオン交換膜からなり且つプロトン伝導体である電解質膜と、前記電解質膜を介して配設されるアノード側電極及びカソード側電極とを備える固体高分子型燃料電池用電解質膜・電極構造体であって、
前記アノード側電極及びカソード側電極は、カーボンペーパーを基材とするガス拡散層と、前記電解質膜に臨む電極触媒層と、前記ガス拡散層と前記電極触媒層の間に介在してカーボン粒子を含む撥水層とを有し、
前記撥水層の一部が、前記ガス拡散層の厚み方向寸法の71〜99%の深さまで浸透していることを特徴とする。
このように構成された電極では、電解質膜を湿潤状態に保つために反応ガスに添加された水分や、電極反応が進行することに伴って生成された水分の適当量が撥水層に保持される。撥水層においては、該撥水層によって弾かれた水分が液滴として残留し易いからである。
その一方で、余剰の水分は、該撥水層を介してガス拡散層に移動する。この理由は、上記のようにガス拡散層の深い位置まで撥水層が浸透することに伴って該撥水層の撥水成分がガス拡散層に低密度で分散するようになり、その結果、ガス拡散層の保水性及び水排出能力が均衡するためであると推察される。
ガス拡散層に移動した余剰の水分は、該ガス拡散層の基材であるカーボンペーパーが撥水層の影響を受けて撥水性を呈しているため、該ガス拡散層を速やかに通過し、最終的に、反応ガス流路を介して固体高分子型燃料電池の外部に排出される。このようにして余剰の水分が速やかに排出されるので、反応ガスがガス拡散層及び撥水層の双方を通過することが容易である。
すなわち、本発明に係る固体高分子型燃料電池用電解質膜・電極構造体においては、電極の保水性を向上させつつ生成水を容易に排出することが可能であり、その上、該電極内を反応ガスが拡散することも容易である。このため、高電圧で発電する等、発電特性に優れるとともにフラッディングが発生することが著しく抑制された固体高分子型燃料電池を構成することができる。
なお、前記ガス拡散層の基材であるカーボンペーパーは、エチレングリコールの接触角度が90°以下であるものが好ましい。この場合、エチレングリコールを溶媒とする撥水層形成用のスラリーがガス拡散層に容易に浸透するので、上記のようにガス拡散層の深部まで浸透した撥水層を容易に得ることができるようになるからである。
同時に、前記撥水層の一部が浸透した前記ガス拡散層でのエチレングリコールの接触角度が100°〜133°であることが好ましい。この場合、発電時の電圧が一層大きな固体高分子型燃料電池が得られる。
また、本発明に係る固体高分子型燃料電池は、上記した電解質膜・電極構造体を具備し、且つ反応ガスが重力方向に沿って上方から下方に流通されることを特徴とする。すなわち、この固体高分子型燃料電池は、上記の固体高分子型燃料電池用電解質膜・電極構造体を介して配設される第1セパレータ及び第2セパレータを具備する固体高分子型燃料電池であって、
前記第1セパレータ及び第2セパレータは、前記アノード側電極及び前記カソード側電極を構成する前記ガス拡散層に臨み、
前記第1セパレータ及び第2セパレータのそれぞれに、前記アノード側電極又は前記カソード側電極のいずれか一方に反応ガスを重力方向に供給するための反応ガス流路と、前記反応ガス流路に前記反応ガスを供給するための反応ガス入口部と、前記反応ガス流路から前記反応ガスを排出するための反応ガス出口部とが形成され、
設置時、前記反応ガス入口部が前記反応ガス出口部の重力方向上方に位置することを特徴とする。
このように重力方向に沿って反応ガスを流通した場合、電流密度が同一であれば、水平方向に沿って反応ガスを流通させるよりも電圧が大きくなる等、発電特性が一層良好な固体高分子型燃料電池を得ることができる。
電解質膜の材質の好適な例としては、スルホン化ポリアリーレンポリマーが挙げられる。スルホン化ポリアリーレンポリマーでは、湿度の安定に伴う発電特性のさらなる向上が得られるからである。
本発明によれば、アノード側電極及びカソード側電極を構成するガス拡散層に対し、所定の深さとなるまで撥水層を浸透させるようにしている。この撥水層によって水分の適当量が保持される一方、余剰の水分が容易に排出されるようになる。さらに、撥水層が所定の深さとなるまでガス拡散層に浸透しているため、反応場である電極触媒層まで反応ガスが速やかに進行する。
すなわち、電極の保水性を向上させつつ生成水を容易に排出することが可能となると同時に、反応ガスが電極中を拡散することが容易となる。結局、発電特性に優れ、且つフラッディングが発生することが抑制された固体高分子型燃料電池が得られる。
発電特性は、重力方向に沿って上方から下方に反応ガスを流通させた場合に一層良好となる。この場合、ガス拡散層から水分が一層排出され易くなるので、反応ガスがガス拡散層を通過して電極触媒層に到達することが一層容易となるからである。
以下、本発明に係る固体高分子型燃料電池につき、それを構成する固体高分子型燃料電池用電解質膜・電極構造体(以降、単に電解質膜・電極構造体ともいう)との関係で好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係る固体高分子型燃料電池10の一部分解概略斜視図であり、図2は、前記固体高分子型燃料電池10の一部断面説明図である。
この固体高分子型燃料電池10は、複数の単位セル12が水平方向(矢印A方向)に積層された積層体14を備える。積層体14の積層方向(矢印A方向)一端には、ターミナルプレート16a、絶縁プレート18a及びエンドプレート20aが外方に向かって、順次、配設される。
積層体14の積層方向他端には、ターミナルプレート16b、絶縁プレート18b及びエンドプレート20bが外方に向かって、順次、配設される(図1参照)。固体高分子型燃料電池10は、例えば、四角形に構成されるエンドプレート20a、20bを端板として含む箱状ケーシング(図示せず)により一体的に保持され、あるいは、矢印A方向に延在する複数のタイロッド(図示せず)により一体的に締め付け保持される。
ターミナルプレート16a、16bの略中央には、積層方向外方に延在する端子部26a、26bが設けられる。端子部26a、26bは、絶縁性筒体28に挿入されてエンドプレート20a、20bの外部に突出する。
図2及び図3に示すように、各単位セル12は、本実施の形態に係る電解質膜・電極構造体30と、前記電解質膜・電極構造体30を挟持する第1セパレータ32及び第2セパレータ34とを備える。第1セパレータ32及び第2セパレータ34は、金属製薄板を波形状にプレス加工することにより、断面凹凸形状を有している。第1セパレータ32及び第2セパレータ34は、縦長形状を有するとともに、長辺が重力方向(矢印C方向)に向かい且つ短辺が水平方向(矢印B方向)に向かうように構成される。
積層体14の長辺方向(図3中の矢印C方向)の上端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、酸化剤ガス、例えば、酸素含有ガスを供給するための酸化剤ガス供給連通孔(反応ガス入口部)36a、及び燃料ガス、例えば、水素含有ガスを供給するための燃料ガス供給連通孔(反応ガス入口部)38aが設けられる。
一方、積層体14の長辺方向の下端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、燃料ガスを排出するための燃料ガス排出連通孔(反応ガス出口部)38b、及び酸化剤ガスを排出するための酸化剤ガス排出連通孔(反応ガス出口部)36bが設けられる。
さらに、積層体14の短辺方向(矢印B方向)の一端縁部には、矢印A方向に互いに連通して、冷却媒体を供給するための冷却媒体供給連通孔40aが設けられるとともに、短辺方向の他端縁部には、前記冷却媒体を排出するための冷却媒体排出連通孔40bが設けられる。
電解質膜・電極構造体30は、例えば、パーフルオロスルホン酸の薄膜に水が含浸された固体高分子電解質膜42と、前記固体高分子電解質膜42を挟持するアノード側電極43及びカソード側電極44とを備える。
この場合、固体高分子電解質膜42の材質としては、スルホン化ポリアリーレンポリマーが選定される。一方、アノード側電極43及びカソード側電極44の各々は、カーボンペーパーを基材とするガス拡散層45a、45bと、カーボン粒子を含んで形成された撥水層46a、46bと、白金又は白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子が前記撥水層46a、46bの表面に一様に塗布されて形成される電極触媒層47a、47bとを有する。電極触媒層47a、47bは、固体高分子電解質膜42の両面に臨むようにして形成される。すなわち、撥水層46a、46bは、ガス拡散層45a、45bと、電極触媒層47a、47bとの間に介在している。
第1セパレータ32の電解質膜・電極構造体30に臨む面32aには、燃料ガス供給連通孔38aと燃料ガス排出連通孔38bとを連通する燃料ガス流路(反応ガス流路)48が形成される。この燃料ガス流路48は、図3及び図4に示すように、矢印C方向に延在する複数の波状流路溝48aを有し、前記波状流路溝48aの矢印C方向上端及び下端に位置して、複数のエンボスを備える入口バッファ部50a及び出口バッファ部50bが設けられる。
入口バッファ部50aは、燃料ガス供給連通孔38a及び酸化剤ガス供給連通孔36aに向かって傾斜する傾斜面52a、52bを有する。出口バッファ部50bは、燃料ガス排出連通孔38b及び酸化剤ガス排出連通孔36bに向かって傾斜する傾斜面54a、54bを有する。燃料ガス供給連通孔38aは、入口バッファ部50aの上端位置よりも上方に配置されるとともに、燃料ガス排出連通孔38bは、出口バッファ部50bの下端位置よりも下方に配置される。
燃料ガス供給連通孔38aと入口バッファ部50aとの間には、前記燃料ガス供給連通孔38aに向かって傾斜する複数の入口通路溝56aが、複数の凸状部58a間に形成される。同様に、燃料ガス排出連通孔38bと出口バッファ部50bとの間には、前記燃料ガス排出連通孔38bに向かって傾斜する複数の出口通路溝56bが、複数の凸状部58b間に形成される。各凸状部58bの下端位置は、千鳥状に配置されるとともに、前記凸状部58bの下端は、湾曲端面(R面)を構成する。
図5に示すように、第2セパレータ34の電解質膜・電極構造体30に臨む面34aには、酸化剤ガス供給連通孔36aと酸化剤ガス排出連通孔36bとを連通する酸化剤ガス流路60(反応ガス流路)が形成される。この酸化剤ガス流路60は、矢印C方向に延在する複数の波状流路溝60aを有し、前記波状流路溝60aの矢印C方向上端及び下端に位置して、複数のエンボスを備える入口バッファ部62a及び出口バッファ部62bが設けられる。
入口バッファ部62aは、酸化剤ガス供給連通孔36a及び燃料ガス供給連通孔38aに向かって傾斜する傾斜面64a、64bを有する。出口バッファ部62bは、酸化剤ガス排出連通孔36b及び燃料ガス排出連通孔38bに向かって傾斜する傾斜面66a、66bを有する。酸化剤ガス供給連通孔36aは、入口バッファ部62aの上端位置よりも上方に配置されるとともに、酸化剤ガス排出連通孔36bは、出口バッファ部62bの下端位置よりも下方に配置される。
酸化剤ガス供給連通孔36aと入口バッファ部62aとの間には、前記酸化剤ガス供給連通孔36aに向かって傾斜する複数の入口通路溝68aが、複数の凸状部70a間に形成される。同様に、酸化剤ガス排出連通孔36bと出口バッファ部62bとの間には、前記酸化剤ガス排出連通孔36bに向かって傾斜する複数の出口通路溝68bが、複数の凸状部70b間に形成される。各凸状部70bの下端位置は、千鳥状に配置されるとともに、前記凸状部70bの下端は、湾曲端面(R面)を構成する。
第2セパレータ34の面34bと、第1セパレータ32の面32bとの間には、冷却媒体供給連通孔40aと冷却媒体排出連通孔40bとに連通する冷却媒体流路72が形成される(図3参照)。この冷却媒体流路72は、燃料ガス流路48の裏面形状と酸化剤ガス流路60の裏面形状とが重なり合うことによって、矢印B方向に延在して形成される。
第1セパレータ32の面32a、32bには、この第1セパレータ32の外周端縁部を周回して第1シール部材74が一体成形される。第2セパレータ34の面34a、34bには、この第2セパレータ34の外周端縁部を周回して第2シール部材76が一体成形される。
図1及び図2に示す絶縁プレート18a、18bは、例えば、ポリカーボネートやフェノール樹脂等の絶縁性材料から形成される。これら絶縁プレート18a、18bの中央部には矩形状の凹部80a、80bが設けられるとともに、この凹部80a、80bの略中央に孔部82a、82bが形成される。
凹部80a、80bには、ターミナルプレート16a、16bが収容され、前記ターミナルプレート16a、16bの端子部26a、26bが絶縁性筒体28を介装して孔部82a、82bに挿入される。なお、エンドプレート20a、20bの略中央部には、孔部82a、82bと同軸的に孔部84a、84bが形成される。
図2に示すように、エンドプレート20aには、酸化剤ガス供給連通孔36a、燃料ガス供給連通孔38a、冷却媒体供給連通孔40a、酸化剤ガス排出連通孔36b、燃料ガス排出連通孔38b及び冷却媒体排出連通孔40bの内周面に対応してそれぞれシール材、例えば、ガスケット90が設けられる。なお、この図2は、酸化剤ガス排出連通孔36b近傍を示しているが、残余の酸化剤ガス供給連通孔36a、燃料ガス供給連通孔38a、冷却媒体供給連通孔40a、燃料ガス排出連通孔38b及び冷却媒体排出連通孔40b近傍も同様に構成されている。
以上のように構成された固体高分子型燃料電池10において、前記アノード側電極43及び前記カソード側電極44を構成するガス拡散層45a、45bは、上記したようにカーボンペーパーを基材とする。このカーボンペーパーは、図6に示すように、該カーボンペーパー単体でのエチレングリコールの接触角度θ1が90°以下のものであることが好ましい。すなわち、エチレングリコールの接触角度θ1が90°以下となるカーボンペーパーを基材として選定することが好ましい。この理由については、後述する。
そして、図7に示すように、前記撥水層46a、46bの一部は、それぞれ、これらガス拡散層45a、45bに浸透している。ガス拡散層45a、45bに浸透した撥水層46a、46bの浸透先端は、ガス拡散層45a、45bの厚み方向寸法(積層体14の積層方向=矢印A方向)の71〜99%の間に到達している。すなわち、ガス拡散層45a、45bの厚み方向寸法をTとするとき、撥水層46a、46bの浸透先端は、ガス拡散層45a、45b内における0.71T〜0.99Tとなる深さまで進入している。後述するように、撥水層46a、46bの浸透先端が、ガス拡散層45a、45bの厚み方向寸法の71〜99%の深さまで到達させることにより、固体高分子型燃料電池10を高電圧で発電させることができる。
なお、図7においては、ガス拡散層45a、45bにおける撥水層46a、46bが浸透した部位を、両層のハッチングを重ね合わせるとともに参照符号92a、92bを付して示している。すなわち、図7中、参照符号45a、45bで示した部位はガス拡散層における撥水層が浸透していない部位を表し、参照符号92a、92bで示した部位はガス拡散層における撥水層が浸透した浸透部位を表す。さらに、参照符号46a、46bで示した部位は、撥水層におけるガス拡散層に浸透していない部位を表す。
図8に示すように、このように撥水層46a、46bの一部が浸透したガス拡散層45a、45bでのエチレングリコールの接触角度θ2は、100°〜133°であることが好ましい。この場合、固体高分子型燃料電池10の発電特性が一層良好となるからである。ここで、接触角度θ2は、ガス拡散層45aにおける第1セパレータ32に臨む端面(又は、ガス拡散層45bにおける第2セパレータ34に臨む端面)にエチレングリコールを滴下したときの接触角度として求められる。
以下、上記した構成、すなわち、撥水層46a、46bの一部が浸透したガス拡散層45a、45bを具備するアノード側電極43又はカソード側電極44の作製方法の一例につき説明する。
先ず、カーボンブラックと撥水性樹脂粉末、例えば、PTFE粒子やテトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロエチレン共重合体(FEP)粒子とが所定の割合で混合された混合粒子をエチレングリコールに略均一に分散させ、スラリーを調製する。このスラリーを、例えば、スクリーン印刷によってカーボンペーパーの一端面に塗布した後に乾燥させる。
この際、前記カーボンペーパーに撥水処理等が何ら施されていないため、前記スラリーがカーボンペーパーに浸透する。この浸透は、カーボンペーパーとしてエチレングリコールの接触角度θ1(図6参照)が90°以下となるものを選定した場合、一層容易に進行する。換言すれば、このようなカーボンペーパーを選定することにより、撥水層46a、46bの一部がガス拡散層45a、45bに浸透したアノード側電極43又はカソード側電極44を容易に作製することができる。
カーボンペーパーに対するスラリーの浸透深さは、スクリーン印刷を行う際の印圧、スキージ速度、スラリーを載置するスクリーンメッシュとカーボンペーパーとの間のクリアランス等の諸条件を適切に設定することにより、制御することができる。換言すれば、カーボンペーパーに対するスラリーの乾燥後の浸透深さが該カーボンペーパーの厚み方向寸法の71〜99%となるように、スクリーン印刷時の諸条件を設定すればよい。
なお、高濃度の撥水性樹脂粉末を含有する処理液を用いる等、カーボンペーパーに対して過度の撥水処理を施すと、前記スラリーが浸透することが容易でなくなる。例えば、撥水処理を施していない場合に前記スラリーが厚み方向寸法の85%まで浸透することが可能なカーボンペーパーであっても、撥水処理を施した場合、同一の印刷条件における前記スラリーの浸透深さは、該カーボンペーパーの厚み方向寸法の僅か30%と著しく低減することがある。
以上により、カーボンペーパーを基材とするガス拡散層45a、45bと、その一部が該ガス拡散層45a、45bに浸透した撥水層46a、46bが形成される。
撥水層46a、46bの一部が浸透したガス拡散層45a、45bでのエチレングリコールの接触角度θ2(図8参照)は、カーボンペーパーに対する前記スラリーの塗布量に応じて変化する。すなわち、接触角度θ2は、前記スラリーの塗布量が多いほど大きくなる一方、塗布量が少ないほど小さくなる。このことは、前記スラリーの塗布量が多いほどエチレングリコールを弾き易くなる一方、少ないほどエチレングリコールに対して濡れ易くなることを意味する。従って、接触角度θ2を100°〜133°とするには、前記スラリーの塗布量を適宜調節すればよい。
その一方で、例えば、ファーネスブラック等のカーボンブラックに白金粒子又は白金合金粒子を担持し、触媒粒子を調製する。カーボンブラック:白金(又は白金合金)の割合は、例えば、重量比で1:1とすればよい。
この触媒粒子を、イオン伝導性高分子バインダ溶液であるパーフルオロアルキレンスルホン酸高分子化合物、例えば、ナフィオンに対して重量比で1:1の割合で配合し、略均一に分散させることで触媒ペーストを調製する。
次に、この触媒ペーストを、スクリーン印刷によって前記撥水層46a、46bの全面にわたって塗布する。この塗布は、例えば、白金(又は白金合金)量が0.5mg/cm2となるように印刷条件を設定して行えばよい。
その後、所定の圧力・温度下で所定時間加熱を行って触媒ペーストを乾燥させれば、電極触媒層47a、47bが形成される。
さらに、このようにして作製されたアノード側電極43の電極触媒層47aとカソード側電極44の電極触媒層47bとで固体高分子電解質膜42、例えば、スルホン化ポリアリーレンポリマー又はナフィオン等のプロトン伝導性固体高分子膜を挟持し、その後、ホットプレス等を行うことで一体化すれば、電解質膜・電極構造体30が作製されるに至る。
次に、この電解質膜・電極構造体30を第1セパレータ32と第2セパレータ34とで挟持することで単位セル12が構成される(図1及び図2参照)。この単位セル12を所定数だけ積層することにより、積層体14(図1参照)が得られる。さらに、積層体14の積層方向一端にターミナルプレート16a、絶縁プレート18a及びエンドプレート20aを配設する一方、他端にターミナルプレート16b、絶縁プレート18b及びエンドプレート20bを配設し、これらを箱状ケーシングで保持するか、又は、複数のタイロッドで締め付け保持することにより、固体高分子型燃料電池10が得られる。
本実施の形態に係る固体高分子型燃料電池10及び電解質膜・電極構造体30は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその作用効果について説明する。
この固体高分子型燃料電池10を運転するに際しては、図1に示すように、エンドプレート20aの酸化剤ガス供給連通孔36aに酸素含有ガス等の酸化剤ガスが供給されるとともに、燃料ガス供給連通孔38aに水素含有ガス等の燃料ガスが供給される。さらに、冷却媒体供給連通孔40aに純水やエチレングリコール等の冷却媒体が供給される。このため、積層体14では、矢印A方向に重ね合わされた複数の単位セル12に対し、酸化剤ガス、燃料ガス及び冷却媒体が、それぞれ矢印A方向に供給される。
図3及び図5に示すように、酸化剤ガスは、酸化剤ガス供給連通孔36aから第2セパレータ34の酸化剤ガス流路60に導入され、電解質膜・電極構造体30のカソード側電極44に沿って移動する。
その際、図5に示すように、第2セパレータ34の面34aでは、酸化剤ガス供給連通孔36aを流れる酸化剤ガスは、複数の凸状部70a間に形成された複数の入口通路溝68aから入口バッファ部62aに供給される。この入口バッファ部62aに供給された酸化剤ガスは、矢印B方向に分散されるとともに、酸化剤ガス流路60を構成する複数の波状流路溝60aに沿って鉛直下方向に流動する。
一方、燃料ガスは、図3及び図4に示すように、第1セパレータ32の面32aにおいて、燃料ガス供給連通孔38aから複数の凸状部58a間に形成された複数の入口通路溝56aに供給された後、入口バッファ部50aに導入される。入口バッファ部50aで矢印B方向に分散された燃料ガスは、燃料ガス流路48を構成する複数の波状流路溝48aに沿って移動し、電解質膜・電極構造体30のアノード側電極43に供給される。
本実施の形態において、この燃料ガスには水分が含有されている(以下、この水分を保湿水ともいう)。この保湿水によって固体高分子電解質膜42が湿潤状態に保たれ、これにより、該固体高分子電解質膜42におけるプロトン伝導が継続的に発現する。
各電解質膜・電極構造体30では、アノード側電極43に供給された燃料ガス中の水素ガスがガス拡散層45aを通過した後に電極触媒層47aで電離し、プロトンと電子が生成される。電子は、固体高分子型燃料電池10に電気的に接続された外部負荷を付勢するための電気エネルギとして取り出され、一方、プロトンは、電解質膜・電極構造体30を構成する固体高分子電解質膜42を介してカソード側電極44に到達する。
そして、カソード側電極44の電極触媒層47bでは、前記プロトンと、外部負荷を付勢した後に該カソード側電極44に到達した電子と、該カソード側電極44に供給されてガス拡散層45bを通過した酸化剤ガス中の酸素ガスとが結合する。この結果、水分が生成される。以下、この水分を生成水ともいう。
以上の保湿水及び生成水は、適当量がアノード側電極43及びカソード側電極44を構成する撥水層46a、46bに保持され、残部は、ガス拡散層45a、45bの基材が撥水性のカーボンペーパーであるために速やかに該ガス拡散層45a、45bを通過し、燃料ガス流路48又は酸化剤ガス流路60に到達する。すなわち、この固体高分子型燃料電池10では、保水性が向上するとともに余剰の水分を排出することが容易である。
特に、本実施の形態では、固体高分子電解質膜42が、保水性が良好なスルホン化ポリアリーレンポリマーからなるので、該固体高分子電解質膜42を湿潤状態に保つことが一層容易となる。このため、固体高分子型燃料電池10の発電特性が一層良好となる。
その一方で、これら撥水層46a、46bの一部がガス拡散層45a、45bに対して該ガス拡散層45a、45bの厚み方向寸法の71〜99%の深さまで浸透しているので、反応ガスがガス拡散層45a、45b及び撥水層46a、46bを容易に通過する。
結局、本実施の形態によれば、アノード側電極43及びカソード側電極44による保湿水及び生成水の保持量と、これらアノード側電極43及びカソード側電極44における反応ガスの拡散の容易さとの均衡を図ることができる。さらに、余剰の水分を速やかに排出することも容易である。
カソード側電極44に供給されて消費された酸化剤ガスは、図5に示すように、酸化剤ガス流路60の下部に連通する出口バッファ部62bに送られる。さらに、酸化剤ガスは、出口バッファ部62bから複数の凸状部70b間に形成された複数の出口通路溝68bに沿って酸化剤ガス排出連通孔36bに排出される。
同様に、アノード側電極43に供給されて消費された燃料ガスは、図3及び図4に示すように、燃料ガス流路48の下部に連通する出口バッファ部50bに送られた後、複数の凸状部58b間に形成された複数の出口通路溝56bに沿って燃料ガス排出連通孔38bに排出される。
燃料ガスに含まれてアノード側電極43に到達した水分、及びカソード側電極44で生成された水分の各々は、これらアノード側電極43及びカソード側電極44を構成するガス拡散層45a、45bの基材が撥水性のカーボンペーパーであるために速やかに該ガス拡散層45a、45bを通過し、燃料ガス流路48又は酸化剤ガス流路60に至る。最終的に、水分は、燃料ガス又は酸化剤ガスに同伴されて酸化剤ガス排出連通孔36b又は燃料ガス排出連通孔38bから排出される。
また、冷却媒体は、冷却媒体供給連通孔40aから第1及び第2セパレータ32、34間の冷却媒体流路72に導入された後、矢印B方向(水平方向)に沿って流動する。この冷却媒体は、電解質膜・電極構造体30を冷却した後、冷却媒体排出連通孔40bから排出される。
本実施の形態では、例えば、図5に示すように、第2セパレータ34は、縦長に構成されて長辺が重力方向(矢印C方向)に設定されるとともに、酸化剤ガス流路60は、重力方向に延在する複数の波状流路溝60aを有している。このため、長尺な波状流路溝60aには、反応により生成水が比較的多量に発生し易いが、酸化剤ガスが重力方向に沿って流動するため、前記生成水は、自重によって前記波状流路溝60aに沿って鉛直下方向に確実に排出される。
さらに、酸化剤ガス流路60の下部には、出口バッファ部62bが設けられるとともに、この出口バッファ部62bよりも下方には、複数の出口通路溝68bを介して酸化剤ガス排出連通孔36bが配置されている。従って、酸化剤ガス流路60で反応により生成された生成水は、この酸化剤ガス流路60の下部や出口バッファ部62bに滞留することがなく、酸化剤ガス排出連通孔36bに排出される。
その際、出口バッファ部62bには、酸化剤ガス排出連通孔36bに向かって傾斜する傾斜面66aが設けられるとともに、この傾斜面66aから前記酸化剤ガス排出連通孔36bに向かって複数の出口通路溝68bが傾斜して設けられている。
これにより、酸化剤ガス流路60の下部から出口バッファ部62bに送られた生成水は、出口通路溝68bを介して酸化剤ガス排出連通孔36bに円滑且つ確実に流動し、生成水の滞留を一層確実に阻止することができる。
特に、固体高分子型燃料電池10の運転停止時には、酸化剤ガス流路60の生成水は、自重によって酸化剤ガス排出連通孔36bに排出される。このため、単位セル12内に生成水が滞留することがなく、例えば、残留水分の凍結による前記単位セル12の損傷を良好に阻止することができるという利点がある。
勿論、図4に示す燃料ガス流路48においても、上記の酸化剤ガス流路60と同様の効果が得られる。従って、アノード側電極43及びカソード側電極44に供給された反応ガスがガス拡散層45a、45bを容易に通過することができるので、固体高分子型燃料電池10の発電特性が一層良好となる。
さらにまた、本実施の形態では、酸化剤ガス流路60が複数の波状流路溝60aを有しており、直線状流路に比べて酸化剤ガス流路長を良好に長尺化することが可能になる。従って、酸化剤ガス流路60における流路圧損が増加し、酸化剤ガスの流速が高まって生成水の排水性が向上する。
さらに、酸化剤ガスは、波状流路溝60aに沿って矢印C方向に移動するため、この酸化剤ガスの流れ方向が波状に変化している。これにより、カソード側電極44での酸化剤ガスの拡散性が高まって、発電性能が有効に向上するという効果がある。
また、出口通路溝68bを構成する複数の凸状部70bの下端位置は、千鳥状に配置されている。このため、各凸状部70bの下端位置同士の間隔が大きくなり、前記凸状部70bに沿って自重により下降する生成水は、水滴となって残留することがなく、出口通路溝68bから確実に排出することが可能になる。その際、凸状部70bの下端は、湾曲端面(R面)を構成している。これにより、凸状部70bの下端に水滴が付着することを、一層確実に阻止することができる。
なお、上記した実施の形態では、反応ガスを重力方向上方から下方に流通させるようにしているが、反応ガスを水平方向に流通させるようにしてもよい。
また、固体高分子電解質膜42の材質はスルホン化ポリアリーレンポリマーに特に限定されるものではなく、例えば、ナフィオン(デュポン社製の商品名)等の別種の高分子からなるものであってもよい。
カーボンブラックとPTFE粒子とが重量比で4:6の割合で混合された混合粒子をエチレングリコールに略均一に分散させ、スラリーを調製した。このスラリーを、スクリーン印刷によってカーボンペーパーの一端面に塗布した後に乾燥させ、カーボンペーパーを基材とするガス拡散層45a、45b上に、その一部が該ガス拡散層45a、45bに浸透し、且つ残部がガス拡散層45a、45bから突出した撥水層46a、46bを形成した。
その一方で、カーボンブラックの1種であるファーネスブラックに対して白金粒子を重量比で1:1の割合で担持し、触媒粒子を調製した。この触媒粒子を、ナフィオンに対して重量比で1:1の割合で配合し、略均一に分散させることで触媒ペーストを調製した。
次に、この触媒ペーストを、スクリーン印刷によって撥水層46a、46bの全面にわたって塗布した。この際、白金量が0.5mg/cm2となるように印刷条件を設定した。さらに、およそ60℃で約10分間加熱した後、減圧下においておよそ120℃で約15分間加熱することで触媒ペーストを乾燥させ、電極触媒層47a、47bを形成した。これにより、ガス拡散層45a、撥水層46a及び電極触媒層47aを具備するアノード側電極43と、ガス拡散層45b、撥水層46b及び電極触媒層47bを具備するカソード側電極44とを得た。
このようにして作製されたアノード側電極43の電極触媒層47aとカソード側電極44の電極触媒層47bとで、固体高分子電解質膜42としてのナフィオンを挟持し、およそ150℃において約2.5MPaで15分間のホットプレスを行うことで一体化して、電解質膜・電極構造体30を得た。さらに、この電解質膜・電極構造体30を第1セパレータ32と第2セパレータ34とで挟持し、単位セル12を構成した。
以上の過程において、スクリーン印刷を行う際の印圧、スキージ速度、スラリーを載置するスクリーンメッシュとカーボンペーパーとの間のクリアランス等の諸条件を種々変更し、これにより、カーボンペーパーに対するスラリーの浸透深さが互いに相違するアノード側電極43及びカソード側電極44を作製した。
ガス拡散層45a、45bに対する撥水層46a、46bの浸透深さと、電流密度を1A/cm2として発電した際の単位セル12の電圧との関係をグラフにして図9に示す。なお、発電に際しては、アノード側電極43、カソード側電極44の各々に湿度90%の水素ガスを100kPa、湿度90%の圧縮空気を100kPaで供給するとともに、水素ガスの利用率を75%、圧縮空気の利用率を75%とした。
この図9から、ガス拡散層45a、45bに対する撥水層46a、46bの浸透深さが71〜99%であると、その他の場合に比して発電時の電圧が著しく高くなることが明らかである。
なお、図9において、浸透深さ100%を超えているものは、撥水層46a、46bの浸透先端がガス拡散層45a、45bから突出していることを意味する。この場合、撥水層46a、46bにおけるガス拡散層45a、45bから突出した浸透先端が第1セパレータ32又は第2セパレータ34に接触するために単位セル12の内部抵抗が大きくなり、その結果、発電時の電圧が低くなると考えられる。
撥水処理が施されていないカーボンペーパー、濃度0.5重量%のFEP水溶液(三井・デュポンフロロケミカル社製のFEP−120−JR、純水、及び界面活性剤の混合液)が塗布された後に約380℃、約30分間の熱処理が行われることで撥水処理が施されたカーボンペーパー、濃度10重量%のFEP水溶液(前記混合液と同一物質を含有する混合液)が塗布された後に約380℃、約30分間の熱処理が行われることで撥水処理が施されたカーボンペーパーを用い、さらに、上記と同様にして調製されたスラリーの塗布量を種々変更して、エチレングリコールの接触角度θ1(図6参照)、θ2(図8参照)が相違するガス拡散層45a、45bを具備するアノード側電極43及びカソード側電極44を作製した。
さらに、これらアノード側電極43及びカソード側電極44を用いて単位セル12を作製し、各単位セル12を温度85℃、電流密度1A/cm2で発電させた。水素ガス及び圧縮空気の湿度、供給圧力及び利用率は、上記と同一とした。
結果を、接触角度θ1、θ2と各単位セル12の電圧との関係として図10に示す。この図10から、接触角度θ1が90°以下であり且つ接触角度θ2が100°〜133°の範囲内である場合、発電時の電圧が大きく発電特性に優れた単位セル12が得られることが分かる。
上記に準拠して、撥水層46a、46bの一部がガス拡散層45a、45bの厚み方向寸法の85%の深さまで浸透しているアノード側電極43及びカソード側電極44を作製し、単位セル12を2個構成した。
この単位セルの中の1個につき、重力方向に沿って上方から下方に湿度90%の水素ガス及び圧縮空気を100kPaの供給圧力で流通させるとともに、温度85℃、電流密度1A/cm2で発電させた。
その一方で、残余の1個の単位セル12につき、反応ガスの流通方向を水平方向としたことを除いては上記と同様にして発電させたところ、各単位セル12の電圧は、0.63V、0.622Vであった。すなわち、重力方向に沿って上方から下方に反応ガスを流通させることにより、単位セル12の発電特性が一層良好となった。
これとは別に、上記に準拠して、撥水層46a、46bの一部がガス拡散層45a、45bの厚み方向寸法の30%の深さまでしか浸透していないアノード側電極43及びカソード側電極44を用いて単位セル12を2個構成した。この浸透深さ以外は上記と同一の条件下において、一方の単位セル12につき重力方向に沿って上方から下方に反応ガスを流通して発電させ、残余の単位セル12につき水平方向に反応ガスを流通して発電させたところ、それぞれの電圧は、0.592V、0.608Vであった。すなわち、この場合、反応ガスの流通方向を水平方向とした方が、高電圧となった。
ガス拡散層45a、45bに対する撥水層46a、46bの浸透深さが小さいアノード側電極43及びカソード側電極44で単位セル12を構成した場合において、重力方向に沿って反応ガスを流通させるようにすると水平方向に反応ガスを流通させる場合に比して電圧が小さくなる理由は、ガス拡散層45a、45bの保水性がさらに乏しくなるためであると推察される。すなわち、この場合、撥水層46a、46bの撥水成分が高密度でガス拡散層45a、45b中に存在するようになる。これに伴い、ガス拡散層45a、45bが保水性に乏しく且つ生成水を排出することが困難となると考えられる。
本実施の形態に係る固体高分子型燃料電池の一部分解概略斜視図である。 図1の固体高分子型燃料電池の一部断面説明図である。 図1の固体高分子型燃料電池を構成する単セルの要部分解斜視図である。 図3の単セルを構成する第1セパレータの正面図である。 図3の単セルを構成する第2セパレータの正面図である。 カーボンペーパーにおけるエチレングリコールの接触角度θ1を説明する一部断面図である。 図3の単位セルを構成する電解質膜・電極構造体の要部断面説明図である。 撥水層が形成されたカーボンペーパーにおけるエチレングリコールの接触角度θ2を説明する一部断面図である。 ガス拡散層に対する撥水層の浸透深さと、単位セルの電圧との関係を示すグラフである。 撥水層を形成する前のカーボンペーパー単体でのエチレングリコールの接触角度θ1、撥水層が浸透したガス拡散層でのエチレングリコールの接触角度θ2、及び単位セルの電圧との関係を示す図表である。
符号の説明
10…固体高分子型燃料電池 12…単位セル
14…積層体 16a、16b…ターミナルプレート
18a、18b…絶縁プレート 20a、20b…エンドプレート
30…電解質膜・電極構造体 32、34…金属セパレータ
36a…酸化剤ガス供給連通孔 36b…酸化剤ガス排出連通孔
38a…燃料ガス供給連通孔 38b…燃料ガス排出連通孔
40a…冷却媒体供給連通孔 40b…冷却媒体排出連通孔
42…固体高分子電解質膜 43…アノード側電極
44…カソード側電極 45a、45b…ガス拡散層
46a、46b…撥水層 47a、47b…電極触媒層
48…燃料ガス流路 48a、60a…波状流路溝
50a、62a…入口バッファ部 50b、62b…出口バッファ部
56a、68a…入口通路溝 56b、68b…出口通路溝
58a、58b、70a、70b…凸状部
60…酸化剤ガス流路 72…冷却媒体流路
92a、92b…浸透部位

Claims (4)

  1. 高分子イオン交換膜からなり且つプロトン伝導体である電解質膜と、前記電解質膜を介して配設されるアノード側電極及びカソード側電極とを備える固体高分子型燃料電池用電解質膜・電極構造体であって、
    前記アノード側電極及びカソード側電極は、カーボンペーパーを基材とするガス拡散層と、前記電解質膜に臨む電極触媒層と、前記ガス拡散層と前記電極触媒層の間に介在してカーボン粒子を含む撥水層とを有し、
    前記撥水層の一部が、前記ガス拡散層の厚み方向寸法の71〜99%の深さまで浸透していることを特徴とする固体高分子型燃料電池用電解質膜・電極構造体。
  2. 請求項1記載の固体高分子型燃料電池用電解質膜・電極構造体において、前記ガス拡散層の基材である前記カーボンペーパーは、エチレングリコールの接触角度が90°以下であるものであり、且つ前記撥水層の一部が浸透した前記ガス拡散層でのエチレングリコールの接触角度が100°〜133°であることを特徴とする固体高分子型燃料電池用電解質膜・電極構造体。
  3. 請求項1又は2記載の固体高分子型燃料電池用電解質膜・電極構造体を介して配設される第1セパレータ及び第2セパレータを具備する固体高分子型燃料電池であって、
    前記第1セパレータ及び第2セパレータは、前記アノード側電極及び前記カソード側電極を構成する前記ガス拡散層に臨み、
    前記第1セパレータ及び第2セパレータのそれぞれに、前記アノード側電極又は前記カソード側電極のいずれか一方に反応ガスを重力方向に供給するための反応ガス流路と、前記反応ガス流路に前記反応ガスを供給するための反応ガス入口部と、前記反応ガス流路から前記反応ガスを排出するための反応ガス出口部とが形成され、
    設置時、前記反応ガス入口部が前記反応ガス出口部の重力方向上方に位置することを特徴とする固体高分子型燃料電池。
  4. 請求項3記載の固体高分子型燃料電池において、前記電解質膜がスルホン化ポリアリーレンポリマーからなることを特徴とする固体高分子型燃料電池。
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