JP5518721B2 - 燃料電池及びこれを備える燃料電池スタック - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池及びこれを備える燃料電池スタックの構成、特に高分子電解質形燃料電池の構成に関する。
高分子電解質形燃料電池(以下、PEFCという)は、水素を含有する燃料ガスと空気等の酸素を含有する酸化剤ガスを電気化学的に反応させることで、電気と熱を同時に発生させるものである。
PEFCの単電池(セル)は、高分子電解質膜及び一対のガス拡散電極(アノード及びカソード)から構成されるMEA(Membrane−Electrode−Assembly:膜−電極積層体)と、ガスケットと、導電性のセパレータと、を有している。セパレータには、ガス拡散電極と当接する主面に燃料ガス又は酸化剤ガス(これらを反応ガスという)を流すための溝状の反応ガス流路(燃料ガス流路又は酸化剤ガス流路)が設けられている。そして、周縁部にガスケットが配置されたMEAが一対のセパレータで挟まれて、セルが構成されている。また、このように構成されたセルを複数積層し、積層されたセルの両端を端板で挟み、該端板とセルとを締結具により締結することにより、PEFCが形成される。
このようなPEFCのセルにおいては、アノードでは、化(1)に示す反応が起こり、カソードでは、化(2)に示す反応が起こる。
→2H+2e(化1)
1/2O+2H+2e→HO(化2)
なお、PEFCが発電中には、カソードで生成した水の一部が逆拡散して、アノードに移動する。
ところで、燃料ガスとして水素を使用し、酸化剤ガスとして空気を使用する場合、水素と反応する酸素をカソードに供給するためには、水素の約2.5倍の空気が必要となるため、酸化剤ガス流路の流路幅を燃料ガス流路の流路幅よりも大きくした燃料電池が知られている(例えば、特許文献1参照)。酸化剤ガス流路の流路幅を燃料ガス流路の流路幅よりも大きくすると、両極間でセパレータと膜電極接合体との接する面積が異なる。このため、特許文献1に開示されている燃料電池では、アノード側セパレータとカソード側セパレータの少なくとも一方に、膜電極接合体(MEA)との接触面積を両極で概略等しくするための補助部材を設けることにより、セルの両極側からかかる面圧力を均一化している。
また、ガスケットが反応ガス流路に落ち込むことを防止するために、ガス流路の端部に平板を取り付けてトンネル状のガス流路を形成し、平板と該平板に覆われるガス流路領域との間にシール手段を介在させた、燃料電池用プレートが知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開2004−327162号公報 特開2008−91104号公報
しかしながら、特許文献1に開示されている燃料電池では、燃料電池を高温低加湿(例えば、反応ガスの露点を燃料電池スタック内の温度よりも低くする)の条件で運転すると、反応ガス流路の上流部では、上記反応が充分に行われていないため、水が生成されず、高分子電解質膜の反応ガス流路の上流部に対向する部分が乾燥し、膜が劣化するおそれがあった。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、燃料電池、特に、高分子電解質形燃料電池を高温低加湿条件下で運転するような場合に、電解質層(高分子電解質膜)の劣化を抑制することができる燃料電池及びそれを備える燃料電池スタックを提供することを目的とする。
ところで、燃料電池の運転中においては、ガス拡散電極(以下、電極という)における反応ガス流路に面する部分の水分(液体及び気体の水)含有量が、電極における隣接する反応ガス流路間に形成されたリブ部に接触する部分の水分含有量に比べて低いことが知られている。図22は、燃料電池運転中における、電極の水分含有量を示す模式図である。
本発明者等は、上記従来技術の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、以下の点を見出した。すなわち、図22に示すように、電極202における隣接する反応ガス流路203間に形成されたリブ部204に接触する部分202Aに存在する水が、電極202における反応ガス流路203に面する部分202B側に拡散して、電極202のリブ部204と反応ガス流路203との境界近傍は、電極202の部分202Bの中央部分に対して、水分含有量が高くなっていることを見出した。換言すると、電極202のリブ部204に接触する部分202Aから離れると水分含有量が少なくなることを見出した。そして、本発明者等は以下に記載する構成を採用することが、上記本発明の目的を達成する上で極めて有効であるということを見出し、本発明を想到した。
すなわち、本発明に係る燃料電池は、電解質層及び該電解質層を挟む一対の電極を有する電解質層−電極接合体と、板状で、前記電解質層−電極接合体と接触するように配設され、一方の前記電極と接触する内面に溝状の第1反応ガス流路が形成された導電性の第1セパレータと、板状で、前記電解質層−電極接合体と接触するように配設され、他方の前記電極と接触する内面に溝状の第2反応ガス流路が形成された導電性の第2セパレータと、前記電極にガスが透過するのを抑制する1以上のガス透過抑制部と、を備え、前記第1セパレータ及び前記第2セパレータの前記内面は、前記第1セパレータの厚み方向から見て、前記第1反応ガス流路の第1反応ガスの通流方向における上流端から最初に一方の前記電極と接触する部分を少なくとも含む領域(以下、第1領域)を有しており、前記第1セパレータ及び前記第2セパレータの前記内面は、前記第1セパレータの厚み方向から見て、前記第2反応ガス流路の第2反応ガスの通流方向における上流端から最初に他方の前記電極と接触する部分を少なくとも含む領域(以下、第2領域)と、を有しており、前記第1反応ガス流路及び前記第2反応ガス流路の少なくとも一方の流路においては、前記第1セパレータの厚み方向から見て、前記第1領域と重なるように前記ガス透過抑制部が配置されており、かつ、前記第1反応ガス流路及び前記第2反応ガス流路の少なくとも一方の流路においては、前記第1セパレータの厚み方向から見て、前記第2領域と重なるように前記ガス透過抑制部が配置されている。
上述したように、電極における第1反応ガス流路に面する部分の水分含有量は、電極におけるリブ部に接触する部分の水分含有量に比べて低く、特に、電極における第1反応ガス流路の第1領域及び第2反応ガス流路の第2領域に面する領域では、燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応が充分に行われていないため、生成する水の量が少ない。このため、高温低加湿の条件で燃料電池の運転を行うと、電極から第1反応ガス流路又は第2反応ガス流路へ水蒸気が拡散し、電極が乾燥しやすくなる。
しかしながら、本発明の燃料電池では、第1反応ガス流路及び/又は第2反応ガス流路の第1領域及び/又は第2領域に形成された部分をガス透過抑制部で構成することにより、電極における第1領域及び/又は第2領域に面する領域から、当該領域に形成された第1反応ガス流路及び/又は第2反応ガス流路に水蒸気が移動するのを抑制することができ、電極、ひいては、電解質層の乾燥を抑制することができる。このため、電解質層(高分子電解質膜)の劣化を抑制することができる。
また、本発明に係る燃料電池では、前記ガス透過抑制部は、暗渠状に形成されていてもよい。ここで、「暗渠状」とは、流路がトンネル又は開口を蓋で覆われた溝で形成されていることをいう。
また、本発明に係る燃料電池では、前記第1反応ガス流路の前記ガス透過抑制部は、前記第1反応ガス流路の開口をカバー部材が覆うことにより形成されており、前記第2反応ガス流路の前記ガス透過抑制部は、前記第2反応ガス流路の開口をカバー部材が覆うことにより形成されていてもよい。
また、本発明に係る燃料電池では、前記カバー部材の前記第1反応ガス流路又は前記第2反応ガス流路を覆う部分には孔が開けられていてもよい。
これにより、電極における第1領域及び/又は第2領域に面する領域から、当該領域に形成された第1反応ガス流路及び/又は第2反応ガス流路に水蒸気が移動するのを抑制しつつ、電極における第1領域及び/又は第2領域に面する領域に反応ガスを供給することができる。
また、本発明に係る燃料電池では、前記カバー部材は、導電性の材料で構成されていてもよい。
また、本発明に係る燃料電池では、前記カバー部材の多孔度が、前記電極のガス拡散層の多孔度よりも小さくてもよい。
また、本発明に係る燃料電池では、前記カバー部材は、多孔度が0の材料で構成されていてもよい。
また、本発明に係る燃料電池では、前記第1反応ガス流路の前記ガス透過抑制部は、前記第1セパレータと一体化し、前記第1セパレータをくり抜いたトンネルで構成されており、
前記第2反応ガス流路の前記ガス透過抑制部は、前記第2セパレータと一体化し、前記第2セパレータをくり抜いたトンネルで構成されていてもよい。
また、本発明に係る燃料電池では、前記第1セパレータの前記トンネルには、該第1セパレータの内面に開口する貫通孔が設けられ、前記第2セパレータの前記トンネルには、該第2セパレータの内面に開口する貫通孔が設けられていてもよい。
これにより、電極における第1領域及び/又は第2領域に面する領域から、当該領域に形成された第1反応ガス流路及び/又は第2反応ガス流路に水蒸気が移動するのを抑制しつつ、電極における第1領域及び/又は第2領域に面する領域に反応ガスを供給することができる。
また、本発明に係る燃料電池では、前記第1反応ガス流路は、前記第1セパレータの前記第1領域及び前記第2領域に形成された部分に前記ガス透過抑制部が形成されていてもよい。
また、本発明に係る燃料電池では、前記第2反応ガス流路は、前記第2セパレータの前記第1領域及び前記第2領域に形成された部分に前記ガス透過抑制部が形成されていてもよい。
また、本発明に係る燃料電池では、前記第1反応ガス流路は、前記第1セパレータの前記第1領域及び前記第2領域に形成された部分に前記ガス透過抑制部が形成され、前記第2反応ガス流路は、前記第2セパレータの前記第1領域及び前記第2領域に形成された部分に前記ガス透過抑制部が形成されていてもよい。
また、本発明に係る燃料電池では、前記第1反応ガス流路は、前記第1セパレータの前記第1領域に形成された部分に前記ガス透過抑制部が形成され、前記第2反応ガス流路は、前記第2セパレータの前記第2領域に形成された部分に前記ガス透過抑制部が形成されていてもよい。
また、本発明に係る燃料電池では、前記第1反応ガス流路は、前記第1セパレータの前記第2領域に形成された部分に前記ガス透過抑制部が形成され、前記第2反応ガス流路は、前記第2セパレータの前記第1領域に形成された部分に前記ガス透過抑制部が形成されていてもよい。
また、本発明に係る燃料電池では、前記第1反応ガス流路と前記第2反応ガス流路は、並行流となるように形成されていてもよい。
また、本発明に係る燃料電池では、前記第1反応ガス流路と前記第2反応ガス流路は、対向流となるように形成されていてもよい。
また、本発明に係る燃料電池では、前記第1反応ガス流路と前記第2反応ガス流路は、サーペンタイン状に形成されていてもよい。
また、本発明に係る燃料電池では、前記第1反応ガス流路は、第1上流ガス流路と第1下流ガス流路と前記第1上流ガス流路と前記第1下流ガス流路を連通し直線状に形成された複数の第1連通ガス流路とから構成され、前記第2反応ガス流路は、第2上流ガス流路と第2下流ガス流路と前記第2上流ガス流路と前記第2下流ガス流路を連通し直線状に形成された複数の第2連通ガス流路とから構成され、前記第1上流ガス流路の上流端が前記第1反応ガス流路の上流端であり、前記第1下流ガス流路の下流端が前記第1反応ガス流路の下流端であり、前記第2上流ガス流路の上流端が前記第2反応ガス流路の上流端であり、前記第2下流ガス流路の下流端が前記第2反応ガス流路の下流端であってもよい。
さらに、本発明に係る燃料電池では、前記第1セパレータ及び第2セパレータの少なくとも一方の内面の前記第1領域又は前記第2領域には、前記カバー部材の前記第1セパレータ又は前記第2セパレータと当接しない側の主面と前記第1セパレータ又は前記第2セパレータの内面とが全体として同一平面上に位置するように、凹部が設けられていてもよい。
また、本発明に係る燃料電池スタックは、上記燃料電池が複数積層して締結されている。
これにより、電極における第1領域及び/又は第2領域に面する領域から、当該領域に形成された第1反応ガス流路及び/又は第2反応ガス流路に水蒸気が移動するのを抑制することができ、電極、ひいては、電解質層の乾燥を抑制することができる。このため、電解質層(高分子電解質膜)の劣化を抑制することができる。
本発明の上記目的、他の目的、特徴、及び利点は、添付図面参照の下、以下の好適な実施態様の詳細な説明から明らかにされる。
本発明の燃料電池及び燃料電池スタックによれば、特に高温低加湿の条件で運転した場合に、高分子電解質膜の乾燥を抑制し、これにより、高分子電解質膜の劣化を抑制することが可能となる。
図1は、本発明の実施の形態1に係る燃料電池スタックの概略構成を模式的に示す斜視図である。 図2は、図1に示す燃料電池スタックにおける燃料電池の概略構成を模式的に示す断面図である。 図3は、図2に示す燃料電池のカソードセパレータの内面の概略構成を示す模式図である。 図4は、図2に示す燃料電池のカソードセパレータの外面の概略構成を示す模式図である。 図5は、図2に示す燃料電池のアノードセパレータの内面の概略構成を示す模式図である。 図6は、図5に示すVI−VI線に沿った断面図である。 図7は、図2に示す燃料電池のアノードセパレータ及びカソードセパレータの構造を示す模式図である。 図8は、本発明の実施の形態2に係る燃料電池スタックのカソードセパレータの内面の概略構成を示す模式図である。 図9は、本発明の実施の形態2に係る燃料電池スタックのアノードセパレータの内面の概略構成を示す模式図である。 図10は、本発明の実施の形態3に係る燃料電池スタック(燃料電池)のカソードセパレータの概略構成を示す模式図である。 図11は、本発明の実施の形態3に係る燃料電池スタック(燃料電池)のアノードセパレータの概略構成を示す模式図である。 図12は、本発明の実施の形態4に係る燃料電池スタックのカソードセパレータの内面の概略構成を示す模式図である。 図13は、本発明の実施の形態4に係る燃料電池スタックのアノードセパレータの内面の概略構成を示す模式図である。 図14は、本発明の実施の形態5に係る燃料電池スタックのカソードセパレータの内面の概略構成を示す模式図である。 図15は、本発明の実施の形態5に係る燃料電池スタックのアノードセパレータの内面の概略構成を示す模式図である。 図16は、本発明の実施の形態6に係る燃料電池スタックにおける燃料電池の概略構成を模式的に示す断面図である。 図17は、本発明の実施の形態7に係る燃料電池スタックのカソードセパレータの内面の概略構成を示す模式図である。 図18は、本発明の実施の形態7に係る燃料電池スタックのアノードセパレータの内面の概略構成を示す模式図である。 図19は、図17及び図18に示す本実施の形態7に係る燃料電池のアノードセパレータ及びカソードセパレータの構造を示す模式図である。 図20は、本発明の実施の形態8に係る燃料電池スタックにおける燃料電池の概略構成を模式的に示す断面図である。 図21は、図20に示す燃料電池におけるアノードセパレータの内面の概略構成を示す模式図である。 図22は、燃料電池運転中における、電極の水分含有量を示す模式図である。 図23は、本発明の変形例1に係る燃料電池スタックのアノードセパレータの内面の概略構成を示す模式図である。 図24は、本発明の変形例2に係る燃料電池スタックのアノードセパレータの概略構成を模式的に示す断面図である。 図25は、本発明の実施の形態9に係る燃料電池スタックのカソードセパレータの内面の概略構成を示す模式図である。 図26は、本発明の実施の形態9に係る燃料電池スタックのアノードセパレータの内面の概略構成を示す模式図である。 図27は、本発明の実施の形態10に係る燃料電池スタックのアノードセパレータの内面の概略構成を示す模式図である。 図28は、本発明の実施の形態10に係る燃料電池スタックのカソードセパレータの内面の概略構成を示す模式図である。 図29は、本発明の実施の形態11に係る燃料電池スタックのアノードセパレータの内面の概略構成を示す模式図である。 図30は、本発明の実施の形態11に係る燃料電池スタックのカソードセパレータの内面の概略構成を示す模式図である。 図31は、本発明の実施の形態12に係る燃料電池スタックのアノードセパレータの内面の概略構成を示す模式図である。 図32は、本発明の実施の形態12に係る燃料電池スタックのカソードセパレータの内面の概略構成を示す模式図である。 図33は、燃料電池の100時間運転後のフッ化物イオンの総溶出量を示したグラフである。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、全ての図面において、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する場合もある。
(実施の形態1)
[燃料電池スタックの構成]
図1は、本発明の実施の形態1に係る燃料電池スタックの概略構成を模式的に示す斜視図である。なお、図1において、燃料電池スタックの上下方向を図における上下方向として表している。
図1に示すように、本発明の実施の形態1に係る燃料電池スタック61は、板状の全体形状を有する高分子電解質形燃料電池(以下、単に燃料電池という)100がその厚み方向に積層されてなるセル積層体62と、セル積層体62の両端に配置された第1及び第2の端板63、64と、セル積層体62と第1及び第2の端板63、64とを燃料電池100の積層方向において締結する図示されない締結具と、を有している。また、第1及び第2の端板63、64には、集電板及び絶縁板がそれぞれ配設されているが図示を省略している。なお、板状の燃料電池100は、鉛直面に平行に延在しており、燃料電池100の積層方向は水平方向となっている。
セル積層体62における一方の側部(図面左側の側部:以下、第1の側部という)の上部には、該セル積層体62の燃料電池100の積層方向に貫通するように、酸化剤ガス供給マニホールド133が設けられており、その下部には、冷却媒体排出マニホールド136が設けられている。また、セル積層体62の第1の側部の酸化剤ガス供給マニホールド133が配設されている上部の内側には、該セル積層体62の燃料電池100の積層方向に貫通するように、冷却媒体供給マニホールド135が設けられており、同様に、冷却媒体排出マニホールド136が配設されている下部の内側には、該セル積層体62の燃料電池100の積層方向に貫通するように、燃料ガス排出マニホールド132が設けられている。さらに、セル積層体62における他方の側部(図面右側の側部:以下、第2の側部)の上部には、該セル積層体62の燃料電池100の積層方向に貫通するように、燃料ガス供給マニホールド131が設けられており、その下部には、該セル積層体62の燃料電池100の積層方向に貫通するように、酸化剤ガス排出マニホールド134が設けられている。
そして、それぞれのマニホールドには、適宜な配管が接続されている。これにより、適宜な配管を介して、燃料電池スタック61に燃料ガス、酸化剤ガス、及び冷却媒体が供給され、排出される。
なお、本実施の形態1においては、燃料電池100がその厚み方向に積層されてなるセル積層体62を用いて、燃料電池スタック61を構成したが、これに限定されず、1つの燃料電池100を第1及び第2の端板63、64等で挟み、締結して、燃料電池スタック61を構成してもよい。
[高分子電解質形燃料電池の構成]
次に、本発明の実施の形態1に係る高分子電解質形燃料電池100の構成について図2を参照しながら説明する。
図2は、図1に示す燃料電池スタック61における燃料電池100の概略構成を模式的に示す断面図である。なお、図2においては、一部を省略している。
図2に示すように、実施の形態1に係る燃料電池100は、MEA(Membrane−Electrode−Assembly:膜−電極接合体(電解質層−電極接合体))5と、ガスケット7と、アノードセパレータ(第1セパレータ)6aと、カソードセパレータ(第2セパレータ)6bと、カバー部材11と、を備えている。
まず、MEA5について説明する。
MEA5は、水素イオンを選択的に輸送する高分子電解質膜(電解質層)1と、アノード4aと、カソード4bと、を有している。高分子電解質膜1は、略4角形(ここでは、矩形)の形状を有しており、高分子電解質膜1の両面には、その周縁部より内方に位置するようにアノード4aとカソード4b(これらを、ガス拡散電極(電極)という)がそれぞれ設けられている。なお、高分子電解質膜1の周縁部には、後述する酸化剤ガス排出マニホールド孔34等の各マニホールド孔が厚み方向に貫通するように設けられている。
アノード4aは、高分子電解質膜1の一方の主面上に設けられ、白金系金属触媒を担持したカーボン粉末を主成分とするアノード触媒層2aと、アノード触媒層2aの上に設けられ、ガス通気性と導電性を兼ね備えたアノードガス拡散層3aと、を有している。同様に、カソード4bは、高分子電解質膜1の他方の主面上に設けられ、白金系金属触媒を担持したカーボン粉末を主成分とするカソード触媒層2bと、カソード触媒層2bの上に設けられ、ガス通気性と導電性を兼ね備えたカソードガス拡散層3bと、を有している。なお、ここでは、アノード触媒層2aの端部とカソード触媒層2bの端部、アノードガス拡散層3aの端部とカソードガス拡散層3bの端部が、それぞれ、高分子電解質膜1の厚み方向から見て、互いに一致する、すなわち、アノード4aとカソード4bの端部が、高分子電解質膜1の厚み方向から見て、互いに一致するように構成されている。
次に、MEA5の各要素について説明する。
高分子電解質膜1は、プロトン伝導性を有している。高分子電解質膜1としては、陽イオン交換基として、スルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基、及びスルホンイミド基を有するものが好ましい。また、プロトン伝導性の観点から、高分子電解質膜1は、スルホン酸基を有するものがより好ましい。
高分子電解質膜1を構成するスルホン酸基を有する樹脂としては、イオン交換容量が0.5〜1.5meq/gの乾燥樹脂であることが好ましい。高分子電解質膜1を構成する乾燥樹脂のイオン交換容量が0.5meq/g以上であると、発電時における高分子電解質膜1の抵抗値の上昇を充分に低減することができるので好ましく、また、乾燥樹脂のイオン交換容量が1.5meq/g以下であると、高分子電解質膜の含水率が増大せず、膨潤しにくくなり、後述する触媒層2中の細孔が閉塞するおそれがないため好ましい。また、以上と同様の観点から、乾燥樹脂のイオン交換容量は、0.8〜1.2meq/gであることがより好ましい。
高分子電解質としては、CF=CF−(OCFCFX)−O−(CF2)−SOHで表されるパーフルオロビニル化合物(mは0〜3の整数を示し、nは1〜12の整数を示し、pは0または1を示し、Xはフッ素原子又はトリフルオロメチル基を示す。)に基づく重合単位と、テトラフルオロエチレンに基づく重合単位と、を含む共重合体であることが好ましい。
上記フルオロビニル化合物の好ましい例としては、下記式(1)〜(3)で表される化合物が挙げられる。ただし、下記式中、qは1〜8の整数、rは1〜8の整数、tは1〜3の整数を示す。
CF=CFO(CF−SOH ・・・(1)
CF=CFOCFCF(CF)O(CFr−SOH ・・・(2)
CF=CF(OCFCF(CF))O(CF−SOH ・・・(3)
アノード触媒層2a及びカソード触媒層2bは、本発明の効果を得られるものであれば特に限定されず、公知の燃料電池におけるガス拡散電極の触媒層と同様の構成を有していてもよく、例えば、電極触媒が担持された導電性炭素粒子(粉末)と、陽イオン(水素イオン)伝導性を有する高分子電解質と、を含むような構成であってもよく、ポリテトラフルオロエチレン等の撥水材料を更に含むような構成であってもよい。また、アノード触媒層2a及びカソード触媒層2bの構成は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
なお、高分子電解質としては、上述した高分子電解質膜1を構成する材料と同種のものを使用してもよく、また、異なる種類のものを使用してもよい。また、電極触媒としては、金属粒子を用いることができる。当該金属粒子としては、特に限定されず種々の金属を使用することができるが、電極反応活性の観点から、白金、金、銀、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、クロム、鉄、チタン、マンガン、コバルト、ニッケル、モリブデン、タングステン、アルミニウム、ケイ素、亜鉛及びスズからなる金属群より選択される少なくとも1以上の金属であることが好ましい。なかでも、白金、又は白金と上記金属群より選択される少なくとも1以上の金属との合金が好ましく、白金とルテニウムの合金が、アノード触媒層2aにおいて触媒の活性が安定することから特に好ましい。
また、電極触媒に用いる上記金属粒子は、平均粒径1〜5nmであることが好ましい。平均粒径1nm以上の電極触媒は工業的に調製が容易であるため好ましく、また、5nm以下であると、電極触媒質量あたりの活性をより充分に確保しやすくなるため、燃料電池のコストダウンにつながり好ましい。
上記導電性炭素粒子は、比表面積が50〜1500m/gであることが、好ましい。比表面積が50m/g以上であると、電極触媒の担持率を上げることが容易であり、得られた触媒層2の出力特性をより充分に確保できることから好ましく、比表面積が1500m/g以下であると、充分な大きさの細孔をより容易に確保できるようになり、かつ、高分子電解質による被覆がより容易となり、アノード触媒層2a及びカソード触媒層2bの出力特性をより充分に確保できることから好ましい。上記と同様の観点から、比表面積は200〜900m/gであることが、より好ましい。
また、導電性炭素粒子は、その平均粒径が0.1〜1.0μmであることが好ましい。導電性炭素粒子の平均粒径が0.1μm以上であると、アノード触媒層2a及びカソード触媒層2b中のガス拡散性をより充分に確保し易くなり、フラッディングをより確実に防止できるようになるため好ましい。また、導電性炭素粒子の平均粒径が1.0μm以下であると、高分子電解質による電極触媒の被覆状態をより容易に良好な状態とし易くなり、高分子電解質による電極触媒の被覆面積をより充分に確保し易くなるため、充分な電極性能をより確保し易くなり好ましい。
なお、アノード触媒層2a及びカソード触媒層2bは、貴金属からなる電極触媒を担持した導電性炭素粒子と、高分子電解質と、分散媒と、を含む触媒層形成用インクを用いて、当該分野で公知の方法により形成することができる。また、アノードガス拡散層3a及びカソードガス拡散層3bを構成する材料としては、特に限定されることなく、当該分野で公知のものを使用することができ、例えば、カーボンクロスやカーボンペーパーなどの導電性多孔質基材を用いることができる。また、この導電性多孔質基材には、従来公知の方法で撥水処理を施しても構わない。
アノードガス拡散層3a及びカソードガス拡散層3bとしては、例えば、ガス透過性を持たせるために、高表面積のカーボン微粉末、造孔材、カーボンペーパー又はカーボンクロスなどを用いて作製された、多孔質構造を有する導電性基材を用いてもよい。また、充分な排水性を得る観点から、フッ素樹脂を代表とする撥水性高分子などをアノードガス拡散層3a又はカソードガス拡散層3bの中に分散させてもよい。さらに、充分な電子伝導性を得る観点から、カーボン繊維、金属繊維又はカーボン微粉末などの電子伝導性材料でアノードガス拡散層3a又はカソードガス拡散層3bを構成してもよい。
また、アノードガス拡散層3aとアノード触媒層2aとの間、及び、カソードガス拡散層3bとカソード触媒層2bとの間には、撥水性高分子とカーボン粉末とで構成される撥水カーボン層を設けてもよい。これにより、MEA5における水管理(MEA5の良好な特性維持に必要な水の保持、及び、不必要な水の迅速な排水)をより容易に、かつ、より確実に行うことができる。
次に、燃料電池100の他の要素について説明する。
MEA5のアノード4a及びカソード4b(正確には、アノードガス拡散層3a及びカソードガス拡散層3b)の周囲には、高分子電解質膜1を挟んで一対のフッ素ゴム製でドーナツ状のガスケット7が配設されている。これにより、燃料ガスや酸化剤ガスが電池外にリークされることが防止され、また、燃料電池100内でこれらのガスが互いに混合されることが防止される。なお、ガスケット7の周縁部には、厚み方向の貫通孔からなる酸化剤ガス排出マニホールド孔34等のマニホールド孔が設けられている。
また、MEA5とガスケット7を挟むように、導電性のアノードセパレータ6aとカソードセパレータ6bが配設されている。これにより、MEA5が機械的に固定され、複数の燃料電池100をその厚み方向に積層したときには、MEA5が電気的に接続される。なお、これらのセパレータ6a、6bは、熱伝導性及び導電性に優れた金属、黒鉛、または、黒鉛と樹脂を混合したものを使用することができ、例えば、カーボン粉末とバインダー(溶剤)との混合物を射出成形により作製したものやチタンやステンレス鋼製の板の表面に金メッキを施したものを使用することができる。
アノードセパレータ6aのアノード4aと接触する一方の主面(以下、内面という)には、燃料ガスが通流するための溝状の燃料ガス流路(第1反応ガス流路)8が設けられており、また、他方の主面(以下、外面という)には、冷却媒体が通流するための溝状の冷却媒体流路10が設けられている。同様に、カソードセパレータ6bのカソード4bと接触する一方の主面(以下、内面という)には、酸化剤ガスが通流するための溝状の酸化剤ガス流路(第2反応ガス流路)9が設けられており、また、他方の主面(以下、外面という)には、冷却媒体が通流するための溝状の冷却媒体流路10が設けられている。
これにより、アノード4a及びカソード4bには、それぞれ燃料ガス及び酸化剤ガスが供給され、これらのガスが反応して電気と熱が発生する。また、冷却水等の冷却媒体を冷却媒体流路10に通流させることにより、発生した熱の回収が行われる。
なお、このように構成された燃料電池100を単電池(セル)として使用してもよく、燃料電池100を複数積層して燃料電池スタック61として使用してもよい。また、燃料電池100を積層する場合には、冷却媒体流路10を単電池2〜3個ごとに設ける構成としてもよい。さらに、単電池間に冷却媒体流路10を設けない場合には、2つのMEA5に挟まれたセパレータを、一方の主面に燃料ガス流路8を設け、他方の主面に酸化剤ガス流路9を設けた、アノードセパレータ6aとカソードセパレータ6bを兼ねるセパレータを使用してもよい。また、ここでは、第1セパレータをアノードセパレータ6aとし、第2セパレータをカソードセパレータ6bとし、また、第1反応ガス流路を燃料ガス流路8とし、第2反応ガス流路を酸化剤ガス流路9としたが、これに限定されず、第1セパレータをカソードセパレータ6bとし、第2セパレータをアノードセパレータ6aとし、また、第1反応ガス流路を酸化剤ガス流路9とし、第2反応ガス流路を燃料ガス流路8としてもよい。
[セパレータの構成]
次に、アノードセパレータ6a及びカソードセパレータ6bについて、図2乃至図6を参照しながら詳細に説明する。
まず、カソードセパレータ6bの構成について図2乃至図4を参照しながら詳細に説明する。図3は、図2に示す燃料電池100のカソードセパレータ6bの内面の概略構成を示す模式図であり、図4は、図2に示す燃料電池100のカソードセパレータ6bの外面の概略構成を示す模式図である。なお、図3及び図4において、カソードセパレータ6bにおける上下方向を図における上下方向として表し、図3においては、燃料ガス流路の一部を仮想線で示している。
図3に示すように、カソードセパレータ6bは、板状で、略4角形(ここでは、矩形)に形成されており、その周縁部には、燃料ガス供給マニホールド孔31等の各マニホールド孔が、厚み方向に貫通するように設けられている。具体的には、カソードセパレータ6bにおける一方の側部(以下、第1の側部という)の上部には、酸化剤ガス供給マニホールド孔33が設けられており、その下部には、冷却媒体排出マニホールド孔36が設けられている。また、第1の側部の酸化剤ガス供給マニホールド孔33が設けられている上部の内側には、冷却媒体供給マニホールド孔35が設けられており、同様に、冷却媒体排出マニホールド孔36が設けられている下部の内側には、燃料ガス排出マニホールド孔32が設けられている。さらに、カソードセパレータ6bにおける他方の側部(以下、第2の側部)の上部には、燃料ガス供給マニホールド孔31が設けられており、その下部には、酸化剤ガス排出マニホールド孔34が設けられている。
なお、燃料ガス供給マニホールド孔31と酸化剤ガス供給マニホールド孔33は、カソードセパレータ6bの中央部を挟んで互いに対向するように設けられている。ここで、カソードセパレータ6bの中央部とは、カソードセパレータ6bの外周に対する中央部分をいう。
そして、図3に示すように、カソードセパレータ6bの内面には、溝状の酸化剤ガス流路9が、酸化剤ガス供給マニホールド孔33と酸化剤ガス排出マニホールド孔34とを結ぶようにサーペンタイン状に形成されている。ここでは、酸化剤ガス流路9は、3つの溝で構成されており、該溝は、往復部9aと反転部9bとで実質的に構成されている。
具体的には、酸化剤ガス流路9を構成する溝は、酸化剤ガス供給マニホールド孔33から第2の側部に向かって水平方向にある距離延び、そこから、下方にある距離延びている。そして、その到達点から、第2の側部に向かって水平方向にある距離延び、そこから、下方にある距離延びている。そして、上記延在パターンを3回繰り返し、そこから、第2の側部に向かって水平方向にある距離延び、その到達点から、酸化剤ガス排出マニホールド孔34に到るように下方に延びている。このような、酸化剤ガス流路9の水平方向に延びる部分が往復部9aを構成し、下方に延びる部分が反転部9bを構成している。なお、図2及び図3に示すように、酸化剤ガス流路9を構成する溝と溝との間の部分が、カソード4bと当接するリブ部14を形成する。
また、図3に示すように、カソードセパレータ6bの内面には、第1領域21と第2領域22を有している。第1領域21及び第2領域22は、アノードセパレータ6aの第1領域21及び第2領域22と同様に構成されており、その詳細な説明は後述する。同様に、カソードセパレータ6bの内面には、部分41及び部分42を有している。部分41及び部分42は、アノードセパレータ6aの部分41及び部分42と同様に構成されており、その詳細な説明は後述する。
また、図4に示すように、カソードセパレータ6bの外面には、溝状の冷却媒体流路10が、冷却媒体供給マニホールド孔35と冷却媒体排出マニホールド孔36とを結ぶようにサーペンタイン状に形成されている。なお、冷却媒体流路10は、酸化剤ガス流路9と同様に構成されているので、その詳細な説明は省略する。
次に、アノードセパレータ6aの構成について、図2、図5及び図6を参照しながら詳細に説明する。図5は、図2に示す燃料電池100のアノードセパレータ6aの内面の概略構成を示す模式図であり、図6は、図5に示すVI−VI線に沿った断面図である。なお、図5及び図6において、アノードセパレータ6aにおける上下方向を図における上下方向として表し、図5においては、酸化剤ガス流路の一部を仮想線で示し、図6においては、一部を省略している。
図5に示すように、アノードセパレータ6aは、板状で、略4角形(ここでは、矩形)に形成されており、その周縁部には、燃料ガス供給マニホールド孔31等の各マニホールド孔が、厚み方向に貫通するように設けられている。アノードセパレータ6aの外面には、溝状の冷却媒体流路10が、冷却媒体供給マニホールド孔35と冷却媒体排出マニホールド孔36とを結ぶようにサーペンタイン状に形成されている。なお、各マニホールド孔の配置は、カソードセパレータ6bと同じなので、その詳細な説明は省略し、また、冷却媒体流路10は、酸化剤ガス流路9と同様に構成されているので、その詳細な説明は省略する。
また、アノードセパレータ6aの内面には、溝状の燃料ガス流路8が、燃料ガス供給マニホールド孔31と燃料ガス排出マニホールド孔32とを結ぶようにサーペンタイン状に形成されている。
燃料ガス流路8は、3つの溝で構成されており、該溝は、往復部8aと反転部8bとで実質的に構成されている。具体的には、燃料ガス流路8を構成する溝は、燃料ガス供給マニホールド孔31から第1の側部に向かって水平方向にある距離延び、そこから、下方にある距離延びている。そして、その到達点から、第2の側部に向かって水平方向にある距離延び、そこから、下方にある距離延びている。そして、上記延在パターンを3回繰り返し、そこから、第1の側部に向かって水平方向にある距離延び、その到達点から、燃料ガス排出マニホールド孔32に到るように下方に延びている。このような、燃料ガス流路8の水平方向に延びる部分が往復部8aを構成し、下方に延びる部分が反転部8bを構成している。なお、燃料ガス流路8を構成する溝と溝との間の部分が、アノード4aと当接するリブ部14を形成する。
そして、燃料ガス流路8と酸化剤ガス流路9は、いわゆる並行流となるように構成されている。ここで、並行流について、図7を参照しながら説明する。
図7は、図2に示す燃料電池100のアノードセパレータ6a及びカソードセパレータ6bの構造を示す模式図である。なお、図7において、アノードセパレータ6a及びカソードセパレータ6bは、燃料電池100の厚み方向から見て透視的に描かれている。また、アノードセパレータ6aの燃料ガス流路8の溝及びカソードセパレータ6bの酸化剤ガス流路9の溝をそれぞれ1本の線で代表するようにして示し、各セパレータ6a、6bにおける上下方向を図における上下方向として表している。さらに、図7においては、燃料ガス流路8と酸化剤ガス流路9のそれぞれの流路を見やすくするために、互いに上下方向に位置をずらして示している。
図7に示すように、燃料ガス流路8と酸化剤ガス流路9が、一部に燃料ガスと酸化剤ガスが互いに対向するように流れる部分を有するが、燃料電池100の厚み方向から見て、巨視的に(全体として)燃料ガスと酸化剤ガスの上流から下流への全体的な流れの方向が互いに一致するように構成されていることを、並行流という。
また、図5及び図6に示すように、アノードセパレータ6aの内面は、第1領域21と第2領域22を有している。
第1領域21は、アノードセパレータ6aの厚み方向から見て、燃料ガス流路8の上流端から最初にアノード4aと接触する部分41と、酸化剤ガス流路9(図5に仮想線(二点差線で示す)の上流端から最初にカソード4bと接触する部分42と、の間の領域であって、燃料ガス流路8の部分41から燃料ガス流路8に沿って所定の距離L1延びた領域である。すなわち、アノードセパレータ6aの厚み方向から見て、第1領域21の水平方向における一方の端部(第1の側部側端部)は、燃料ガス流路8の上流端から最初にアノード4aと接触する部分41であり、また、第1領域21の水平方向における他方の端部(第2の側部側端部)は、燃料ガス流路8の部分41から燃料ガス流路8に沿って所定の距離L1延びた部分である。また、アノードセパレータ6aの厚み方向から見て、第1領域21の上側端部は、アノード4aの上側端部であり、第1領域21の下側端部は、3本の並走する(互いに並んで設けられた)燃料ガス流路8のうち、最も下側に位置する燃料ガス流路8が形成するリブ部14である。
なお、本実施の形態1においては、第1領域21の水平方向における他方の端部は、燃料ガス流路8の部分41から燃料ガス流路8に沿って所定の距離L1延びた部分としたが、これに限定されず、燃料ガス流路8の酸化剤ガス流路9と重なってから最初に離れる部分であってもよく、また、部分42であってもよい。
また、本実施の形態1においては、上述したように、アノード4aの端部とカソード4bの端部が、高分子電解質膜1の厚み方向から見て(アノードセパレータ6aの厚み方向から見て)、互いに一致しているため、第1領域21の上側端部は、アノード4aの上側端部としたが、アノード4aの端部とカソード4bの端部が、高分子電解質膜1の厚み方向から見て、互いに一致していない場合には、高分子電解質膜1の乾燥を抑制する観点から、第1領域21の上側端部は、より上方に位置する方の電極の端部とすることが好ましい。
また、本実施の形態1においては、燃料ガス流路8と酸化剤ガス流路9の本数(溝の数)が同じで、アノードセパレータ6aの厚み方向から見て、その配置されている位置も同じであるため、第1領域21の下側端部が、最も下側に位置する燃料ガス流路8が形成するリブ部14としたが、燃料ガス流路8と酸化剤ガス流路9の本数及び/又はその配置されている位置が異なる場合には、高分子電解質膜1の乾燥を抑制する観点から、燃料ガス流路8と酸化剤ガス流路9のうち、より下側に配置されている流路によって形成されるリブ部14が、第1領域21の下流側端部とすることが好ましい。
また、第2領域22は、アノードセパレータ6aの厚み方向から見て、酸化剤ガス流路9の上流端から最初にカソード4bと接触する部分42と、燃料ガス流路8の上流端から最初にアノード4aと接触する部分41と、の間の領域であって、酸化剤ガス流路9の部分42から酸化剤ガス流路9に沿って所定の距離L2延びた領域である。すなわち、アノードセパレータ6aの厚み方向から見て、第2領域22の水平方向における一方の端部(第2の側部側端部)は、酸化剤ガス流路9の上流端から最初にアノード4aと接触する部分42であり、また、第2領域22の水平方向における他方の端部(第1の側部側端部)は、酸化剤ガス流路9の部分42から酸化剤ガス流路9に沿って所定の距離L2延びた部分である。また、アノードセパレータ6aの厚み方向から見て、第2領域22の上側端部は、アノード4aの上側端部であり、第2領域22の下側端部は、3本の並走する(互いに並んで設けられた)燃料ガス流路8のうち、最も下側に位置する燃料ガス流路8が形成するリブ部14である。
なお、本実施の形態1においては、第2領域22の水平方向における他方の端部は、酸化剤ガス流路9の部分42から酸化剤ガス流路9に沿って所定の距離L2延びた部分としたが、これに限定されず、酸化剤ガス流路9の燃料ガス流路8と重なってから最初に離れる部分であってもよく、また、部分41であってもよい。
また、本実施の形態においては、上述したように、アノード4aの端部とカソード4bの端部が、高分子電解質膜1の厚み方向から見て(アノードセパレータ6aの厚み方向から見て)、互いに一致しているため、第2領域22の上側端部は、アノード4aの上側端部としたが、アノード4aの端部とカソード4bの端部が、高分子電解質膜1の厚み方向から見て、互いに一致していない場合には、高分子電解質膜1の乾燥を抑制する観点から、第2領域22の上側端部は、より上方に位置する方の電極の端部とすることが好ましい。
また、本実施の形態においては、燃料ガス流路8と酸化剤ガス流路9の本数(溝の数)が同じで、アノードセパレータ6aの厚み方向から見て、その配置されている位置も同じであるため、第2領域22の下側端部が、最も下側に位置する燃料ガス流路8(酸化剤ガス流路9)が形成するリブ部14としたが、燃料ガス流路8と酸化剤ガス流路9の本数及び/又はその配置されている位置が異なる場合には、高分子電解質膜1の乾燥を抑制する観点から、燃料ガス流路8と酸化剤ガス流路9のうち、より下側に配置されている流路によって形成されるリブ部14が、第2領域22の下流側端部とすることが好ましい。
さらに、第1領域21と第2領域22は、ここでは、アノードセパレータ6aの厚み方向から見て、互いに重なり合う部分を有していないが、互いに重なり合う部分を有してもよい。
そして、図6に示すように、アノードセパレータ6aにおける第1領域21及び第2領域22は、アノードセパレータ6aの周縁部の内面より一定の深さ窪んだ凹状に形成されていて、該第1領域21及び第2領域22には、それぞれ、カバー部材11及びカバー部材12が、第1領域21及び第2領域22を覆うように(溝状の燃料ガス流路8の開口を覆うように)配置されている。カバー部材11及びカバー部材12は、板状に形成されていて、その厚み寸法は、第1領域21及び第2領域22の深さ寸法と一致するように形成されている。すなわち、カバー部材11及びカバー部材12は、第1領域21及び第2領域22に、それぞれ、嵌合するように配置されている。
これにより、燃料ガス流路8の第1領域21及び第2領域22を通過する部分が、暗渠状(トンネル状)に形成される。このように、本実施の形態1においては、ガス透過抑制部は、カバー部材11及びカバー部材12が、燃料ガス流路8の開口を覆うことにより形成されている。
また、カバー部材11及びカバー部材12の主面には、貫通孔13が複数設けられており、該貫通孔13は、燃料ガス流路8に沿って並ぶように設けられている。これにより、アノードセパレータ6aの厚み方向から見て、アノードセパレータ6aの第1領域21及び第2領域22に対向するMEA5(正確には、アノード4a)の部分から燃料ガス流路8への水蒸気の拡散を抑制することができ、MEA5(特に、高分子電解質膜1)の乾燥を抑制することができる。
なお、貫通孔13は、MEA5から燃料ガス流路8への水蒸気の移動を抑制しつつ、燃料ガス流路8からMEA5への燃料ガスを供給することができるようにする観点から、燃料ガス流路8の幅(燃料ガス流路8の燃料ガスの流れ方向に対して垂直な方向の長さ)よりも小さいことが好ましい。さらに、貫通孔13の数については、カバー部材11及びカバー部材12の大きさ、燃料ガス流路8の溝幅、燃料ガス流路8を通流する燃料ガスの流量等から、適宜設計することができる。また、本実施の形態1においては、貫通孔13の開口形状を円にしたが、これに限定されず、貫通孔13の開口形状を長円や長方形等にしてもよい。
また、カバー部材11及びカバー部材12としては、ガスを通しにくいように構成されていることが好ましく、例えば、チタンやステンレス等の金属で形成された金属板や、テフロン(登録商標)やシリコン等の樹脂で形成された樹脂膜や、カーボン粉末やカーボン粉末と樹脂で形成された薄膜等で構成されていてもよい。
また、カバー部材11及びカバー部材12は、当該カバー部材11及びカバー部材12の貫通孔13以外の部分で発電ができるようにする観点から、導電性の材料で構成されていることが好ましい。導電性の材料としては、例えば、金属が挙げられる。また、カバー部材11及びカバー部材12は、該カバー部材11及びカバー部材12の貫通孔13以外の部分から酸化剤ガス流路9への水蒸気の移動を抑制する観点から、アノードガス拡散層3a又はカソードガス拡散層3bを構成する多孔質構造を有する導電性基材の多孔度よりも小さい多孔度を有する材料で構成されていることが好ましく、多孔度が0の材料で構成されていることがより好ましい。多孔度が0の材料としては、例えば、金属が挙げられる。
次に、本実施の形態1に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)の作用効果について、図1乃至図7を参照しながら説明する。
[燃料電池スタック(燃料電池)の作用効果]
上述したように、アノード4aにおける燃料ガス流路8に面する部分の水分含有量は、アノード4aにおけるリブ部14に接触する部分の水分含有量に比べて低くなるが、特に、燃料電池スタック61を高温低加湿の条件で運転するような場合に、アノード4aにおけるアノードセパレータ6aの第1領域21及び第2領域22(特に、部分41及び部分42)と対向する部分では、反応ガスの反応による生成水が充分ではないため、水分含有量が少ない。このため、高分子電解質膜1におけるアノードセパレータ6aの第1領域21及び第2領域22(特に、部分41及び部分42)に対向する部分では、乾燥しやすくなり、高分子電解質膜1の当該部分でのプロトン伝導率の低下や、高分子電解質膜1の劣化するおそれがある。
しかしながら、本実施の形態1に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)においては、アノードセパレータ6aの第1領域21及び第2領域22にカバー部材11及びカバー部材12を覆うように配置することにより、当該アノードセパレータ6aの第1領域21及び第2領域22に対向するMEA5(正確には、アノード4a)の部分から燃料ガス流路8への水蒸気の拡散を抑制することができ、MEA5(特に、高分子電解質膜1)の乾燥を抑制することができる。
また、本実施の形態1に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)においては、カバー部材11及びカバー部材12の主面に、燃料ガス流路8に沿って並ぶように複数の貫通孔13を設けることにより、MEA5(正確には、アノード4a)から燃料ガス流路8への水蒸気の移動を抑制しつつ、燃料ガス流路8からMEA5への燃料ガスを供給することができる。
また、本実施の形態1に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)においては、カバー部材11及びカバー部材12を多孔度が0の材料で構成することにより、カバー部材11及びカバー部材12の貫通孔13以外の部分から燃料ガス流路8への水蒸気の移動を抑制することができ、MEA5(特に、高分子電解質膜1)の乾燥をより抑制することができる。
さらに、本実施の形態1に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)においては、カバー部材11及びカバー部材12を導電性を有する材料で構成することにより、当該カバー部材11及びカバー部材12の貫通孔13以外の部分で発電ができ、燃料電池スタック61(燃料電池100)の発電能力を維持することができる。また、この発電により、生成水が生成されるので、MEA5(特に、高分子電解質膜1)の乾燥をより抑制することができる。
なお、本実施の形態1においては、カバー部材11及びカバー部材12に貫通孔13を設けることにより、水蒸気の拡散を抑制しつつ、MEA5への反応ガス(ここでは、燃料ガス)が供給できるように構成したが、これに限定されず、カバー部材11及びカバー部材12の多孔度を調整する(例えば、カバー部材11及びカバー部材12をセラミックで構成し、セラミックを焼成する際に多孔度を調整する)ことにより、水蒸気の拡散を抑制しつつ、MEA5への反応ガスが供給できるように構成してもよい。
次に、本実施の形態1に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)の変形例について説明する。
[変形例1]
図23は、本発明の変形例1に係る燃料電池スタックのアノードセパレータの内面の概略構成を示す模式図である。なお、図23では、一部を省略している。
図23に示すように、本発明の変形例1に係る燃料電池スタック61のアノードセパレータ6aは、実施の形態1に係る燃料電池スタック61のアノードセパレータ6aと基本的構成は同じであるが、カバー部材11が、アノードセパレータ6aの厚み方向から見て、長円形状に形成されている点が異なる。
このように構成された本変形例1に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)においても、実施の形態1に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)と同様の作用効果を奏する。なお、本変形例1においては、カバー部材11が、長円形状に形成されているとしたが、これに限定されず、カバー部材12が長円形状に形成されていてもよく、カバー部材11及びカバー部材12の少なくとも一方が、アノードセパレータ6aの厚み方向から見て、多角形状に形成されていてもよく、円形状に形成されていてもよい。すなわち、カバー部材11及びカバー部材12のアノードセパレータ6aの厚み方向から見た形状は、任意な形状をとることができる。
[変形例2]
図24は、本発明の変形例2に係る燃料電池スタックのアノードセパレータの概略構成を模式的に示す断面図である。なお、図24では、一部を省略している。
図24に示すように、本発明の変形例2に係る燃料電池スタック61のアノードセパレータ6aは、実施の形態1に係る燃料電池スタック61のアノードセパレータ6aと基本的構成は同じであるが、カバー部材11及び第1領域21の断面形状が台形状に形成されている点が異なる。
このように構成された本変形例2に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)においても、実施の形態1に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)と同様の作用効果を奏する。なお、本変形例2においては、カバー部材11と第1領域21の断面形状が、台形状に形成されているとしたが、これに限定されず、カバー部材12と第2領域22が台形状に形成されていてもよく、カバー部材11と第1領域21及びカバー部材12と第2領域22の少なくとも一方の断面形状が、多角形状に形成されていてもよく、円形状に形成されていてもよく、また、長円形状に形成されていてもよい。すなわち、カバー部材11と第1領域21及びカバー部材12と第2領域22の断面形状は、任意な形状をとることができる。
(実施の形態2)
図8は、本発明の実施の形態2に係る燃料電池スタックのカソードセパレータの内面の概略構成を示す模式図であり、図9は、本発明の実施の形態2に係る燃料電池スタックのアノードセパレータの内面の概略構成を示す模式図である。なお、図8においては、カソードセパレータにおける上下方向を図における上下方向として表し、燃料ガス流路の一部を仮想線で示している。また、図9においては、アノードセパレータにおける上下方向を図における上下方向として表し、酸化剤ガス流路の一部を仮想線で示している。
図8及び図9に示すように、本発明の実施の形態2に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)は、実施の形態1に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)と基本的構成は同じであるが、アノードセパレータ6aにカバー部材11及びカバー部材12が配置されずに、カソードセパレータ6bにカバー部材11及びカバー部材12が配置されている点が異なる。
具体的には、図8に示すように、カソードセパレータ6bにおける第1領域21及び第2領域22は、カソードセパレータ6bの周縁部の内面より一定の深さ窪んだ凹状に形成されていて、該第1領域21及び第2領域22には、それぞれ、カバー部材11及びカバー部材12が、第1領域21及び第2領域22を覆うように配置されている。
また、カバー部材11及びカバー部材12の主面には、貫通孔13が複数設けられており、該貫通孔13は、酸化剤ガス流路9に沿って並ぶように設けられている。これにより、カソードセパレータ6bの厚み方向から見て、カソードセパレータ6bの第1領域21及び第2領域22に対向するMEA5(正確には、カソード4b)の部分から酸化剤ガス流路9への水蒸気の拡散を抑制することができ、MEA5(特に、高分子電解質膜1)の乾燥を抑制することができる。
なお、貫通孔13は、MEA5から酸化剤ガス流路9への水蒸気の移動を抑制しつつ、酸化剤ガス流路9からMEA5への酸化剤ガスを供給することができるようにする観点から、酸化剤ガス流路9の幅(酸化剤ガス流路9の酸化剤ガスの流れ方向に対して垂直な方向の長さ)よりも小さいことが好ましい。なお、貫通孔13の数については、カバー部材11及びカバー部材12の大きさ、酸化剤ガス流路9の溝幅、酸化剤ガス流路9を通流する酸化剤ガスの流量等から、適宜設計することができる。
また、本実施の形態2においては、貫通孔13の開口形状を円にしたが、これに限定されず、貫通孔13の開口形状を長円や長方形等にしてもよい。
また、カバー部材11及びカバー部材12としては、ガスを通しにくいように構成されていることが好ましく、例えば、チタンやステンレス等の金属で形成された金属板や、テフロン(登録商標)やシリコン等の樹脂で形成された樹脂膜や、カーボン粉末やカーボン粉末と樹脂で形成された薄膜等で構成されていてもよい。
また、カバー部材11及びカバー部材12は、当該カバー部材11及びカバー部材12の貫通孔13以外の部分で発電ができるようにする観点から、導電性の材料で構成されていることが好ましい。導電性の材料としては、例えば、金属が挙げられる。また、カバー部材11及びカバー部材12は、該カバー部材11及びカバー部材12の貫通孔13以外の部分から酸化剤ガス流路9への水蒸気の移動を抑制する観点から、多孔度が0の材料で構成されていることが好ましい。多孔度が0の材料としては、例えば、金属が挙げられる。
このように構成された本実施の形態2に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)においては、カソードセパレータ6bの第1領域21及び第2領域22に対向するMEA5(正確には、カソード4b)の部分から酸化剤ガス流路9への水蒸気の拡散を抑制することができ、MEA5(特に、高分子電解質膜1)の乾燥を抑制することができる。
また、本実施の形態2に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)においては、カバー部材11及びカバー部材12の主面に、酸化剤ガス流路9に沿って並ぶように複数の貫通孔13を設けることにより、MEA5(正確には、カソード4b)から酸化剤ガス流路9への水蒸気の移動を抑制しつつ、酸化剤ガス流路9からMEA5への酸化剤ガスを供給することができる。
また、本実施の形態2に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)においては、カバー部材11及びカバー部材12を多孔度が0の材料で構成することにより、カバー部材11及びカバー部材12の貫通孔13以外の部分から酸化剤ガス流路9への水蒸気の移動を抑制することができ、MEA5(特に、高分子電解質膜1)の乾燥をより抑制することができる。
さらに、本実施の形態2に係る燃料電池スタック(燃料電池)においては、カバー部材11及びカバー部材12を導電性を有する材料で構成することにより、当該カバー部材11及びカバー部材12の貫通孔13以外の部分で発電ができ、燃料電池スタック(燃料電池)の発電能力を維持することができる。また、この発電により、生成水が生成されるので、MEA5(特に、高分子電解質膜1)の乾燥をより抑制することができる。
なお、本実施の形態2においては、カバー部材11及びカバー部材12に貫通孔13を設けることにより、水蒸気の拡散を抑制しつつ、MEA5への反応ガス(ここでは、酸化剤ガス)が供給できるように構成したが、これに限定されず、カバー部材11及びカバー部材12の多孔度を調整する(例えば、カバー部材11及びカバー部材12をセラミックで構成し、セラミックを焼成する際に多孔度を調整する)ことにより、水蒸気の拡散を抑制しつつ、MEA5への反応ガスが供給できるように構成してもよい。
(実施の形態3)
図10は、本発明の実施の形態3に係る燃料電池スタック(燃料電池)のカソードセパレータの概略構成を示す模式図であり、図11は、本発明の実施の形態3に係る燃料電池スタック(燃料電池)のアノードセパレータの概略構成を示す模式図である。なお、図10においては、カソードセパレータにおける上下方向を図における上下方向として表し、燃料ガス流路の一部を仮想線で示している。また、図11においては、アノードセパレータにおける上下方向を図における上下方向として表し、酸化剤ガス流路の一部を仮想線で示している。
図10及び図11に示すように、本発明の実施の形態3に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)は、実施の形態1及び実施の形態2に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)と基本的構成は同じであるが、カソードセパレータ6bにカバー部材11が配置され、アノードセパレータ6aにカバー部材12が配置されている点が異なる。
具体的には、図10に示すように、カソードセパレータ6bにおける第1領域21は、カソードセパレータ6bの周縁部の内面より一定の深さ窪んだ凹状に形成されていて、該第1領域21には、カバー部材11が、第1領域21を覆うように配置されている。また、図11に示すように、アノードセパレータ6aにおける第2領域22は、アノードセパレータ6aの周縁部の内面より一定の深さ窪んだ凹状に形成されていて、該第2領域22には、カバー部材12が、第2領域22を覆うように配置されている。
なお、カバー部材11及びカバー部材12の材料等の構成は、実施の形態1及び実施の形態2に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)のカバー部材11及びカバー部材12と同様に構成されているので、その詳細な説明は省略する。
このように構成された本実施の形態3に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)においては、カソードセパレータ6bの第1領域21に対向するMEA5(正確には、カソード4b)の部分から酸化剤ガス流路9への水蒸気の拡散を抑制することができ、アノードセパレータ6aの第2領域22に対向するMEA5(正確には、アノード4a)の部分から燃料ガス流路8への水蒸気の拡散を抑制することができ、MEA5(特に、高分子電解質膜1)の乾燥を抑制することができる。なお、カバー部材11及びカバー部材12の材料等の構成による作用効果は、実施の形態1及び実施の形態2に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)と同様である。
(実施の形態4)
図12は、本発明の実施の形態4に係る燃料電池スタックのカソードセパレータの内面の概略構成を示す模式図であり、図13は、本発明の実施の形態4に係る燃料電池スタックのアノードセパレータの内面の概略構成を示す模式図である。なお、図12においては、カソードセパレータにおける上下方向を図における上下方向として表し、燃料ガス流路の一部を仮想線で示している。また、図13においては、アノードセパレータにおける上下方向を図における上下方向として表し、酸化剤ガス流路の一部を仮想線で示している。
図12及び図13に示すように、本発明の実施の形態4に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)は、実施の形態1に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)と基本的構成は同じであるが、アノードセパレータ6aの厚み方向から見て、アノードセパレータ6aの第1領域21と第2領域22が互いに重なり合うように(一致する)ように構成され、1つの領域を構成している点が異なる。
具体的には、図13に示すように、アノードセパレータ6aにおける第1領域21(換言すると、第2領域22)は、燃料ガス流路8の上流端から最初にアノード4aと接触する部分41と、酸化剤ガス流路9の上流端から最初にカソード4bと接触する部分42と、の間の領域であって、燃料ガス流路8の部分41から燃料ガス流路8に沿って部分42まで延びた領域である。すなわち、アノードセパレータ6aの厚み方向から見て、第1領域21の水平方向における一方の端部(第1の側部側端部)は、燃料ガス流路8の上流端から最初にアノード4aと接触する部分41であり、また、第1領域21の水平方向における他方の端部(第2の側部側端部)は、酸化剤ガス流路9の上流端から最初にカソード4bと接触する部分42である。
そして、アノードセパレータ6aにおける第1領域21(第2領域22)には、カバー部材11(換言すると、カバー部材12)が、該第1領域21(第2領域22)を覆うように配置されている。なお、カバー部材11(カバー部材12)の材料等の構成は、実施の形態1に係る燃料電池スタック(燃料電池)のカバー部材11及びカバー部材12と同様に構成されているので、その詳細な説明は省略する。
このように構成された本実施の形態4に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)においても、実施の形態1に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)と同様の作用効果を奏する。
(実施の形態5)
図14は、本発明の実施の形態5に係る燃料電池スタックのカソードセパレータの内面の概略構成を示す模式図であり、図15は、本発明の実施の形態5に係る燃料電池スタックのアノードセパレータの内面の概略構成を示す模式図である。なお、図14においては、カソードセパレータにおける上下方向を図における上下方向として表し、燃料ガス流路の一部を仮想線で示している。また、図15においては、アノードセパレータにおける上下方向を図における上下方向として表し、酸化剤ガス流路の一部を仮想線で示している。
図14及び図15に示すように、本発明の実施の形態5に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)は、実施の形態1に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)と基本的構成は同じであるが、カソードセパレータ6bが、実施の形態2に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)のカソードセパレータ6bと同様に構成されている点が異なる。
すなわち、本実施の形態5に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)では、アノードセパレータ6a及びカソードセパレータ6bの両方に、カバー部材11及びカバー部材12が配置されている。なお、アノードセパレータ6a及びカソードセパレータ6bの両方に配置されたカバー部材11及びカバー部材12の材料等の構成は、実施の形態1及び実施の形態2に係る燃料電池スタック(燃料電池)のカバー部材11及びカバー部材12と同様に構成されているので、その詳細な説明は省略する。
このように構成された本実施の形態5に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)では、実施の形態1及び実施の形態2に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)の両方の作用効果を奏する。すなわち、本実施の形態5に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)では、アノードセパレータ6a及びカソードセパレータ6bの第1領域21及び第2領域22に、それぞれ、カバー部材11及びカバー部材12を覆うように配置することにより、当該アノードセパレータ6aの第1領域21及び第2領域22に対向するMEA5(正確には、アノード4a)の部分から燃料ガス流路8への水蒸気の拡散を抑制することができ、また、カソードセパレータ6bの第1領域21及び第2領域22に対向するMEA5(正確には、カソード4b)の部分から酸化剤ガス流路9への水蒸気の拡散を抑制することができる。このため、MEA5(特に、高分子電解質膜1)の乾燥をより抑制することができる。
なお、本実施の形態5に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)では、アノードセパレータ6a及びカソードセパレータ6bの第1領域21及び第2領域22を互いに重ならないように構成したが、これに限定されず、第1領域21及び第2領域22が、互いに重なり合う部分を有するように構成してもよく、例えば、実施の形態4に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)のアノードセパレータ6aのように、第1領域21と第2領域22が互いに一致するように構成してもよい。
(実施の形態6)
図16は、本発明の実施の形態6に係る燃料電池スタックにおける燃料電池の概略構成を模式的に示す断面図である。なお、図16においては、一部を省略している。
図16に示すように、本発明の実施の形態6に係る燃料電池スタック61の燃料電池100は、実施の形態1に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)と基本的構成は同じであるが、アノードセパレータ6aの第1領域21及び第2領域22(図示せず)が、アノードセパレータ6aの周縁部の内面から窪んだ凹状に形成されていない点と、アノードガス拡散層3aのカバー部材11及びカバー部材12と接触する部分が、厚み方向に窪んで凹状に形成されている点が異なる。
すなわち、本実施の形態6に係る燃料電池100のアノードセパレータ6aは、カソードセパレータ6bと同様に形成されている。また、アノードガス拡散層3aは、炭素繊維(カーボンペーパー又はカーボン繊維織布等)からなる基材を用いる場合には、炭素繊維からなる基材の圧縮率が大きいため、燃料電池100を締結部材(図示せず)で締結したときに、アノードガス拡散層3aは、厚み方向に充分に圧縮される。このため、アノードガス拡散層3aの一方の主面(カバー部材11及びカバー部材12と接触する主面)におけるカバー部材11及びカバー部材12が接触する部分を、予め凹状に形成しても、また、凹状に形成しなくてもよい。一方、炭素繊維からなる基材を用いない場合には、アノードガス拡散層3aの圧縮率が小さいため、カバー部材11及びカバー部材12の厚みを吸収することができない場合があるため、アノードガス拡散層3aの一方の主面におけるカバー部材11及びカバー部材12が接触する部分を、予め凹状に形成していることが好ましい。
このように構成された本実施の形態6に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)においても、実施の形態1に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)と同様の作用効果を奏する。
(実施の形態7)
図17は、本発明の実施の形態7に係る燃料電池スタックのカソードセパレータの内面の概略構成を示す模式図であり、図18は、本発明の実施の形態7に係る燃料電池スタックのアノードセパレータの内面の概略構成を示す模式図である。なお、図17においては、カソードセパレータにおける上下方向を図における上下方向として表し、燃料ガス流路の一部を仮想線で示している。また、図18においては、アノードセパレータにおける上下方向を図における上下方向として表し、酸化剤ガス流路の一部を仮想線で示している。
図17及び図18に示すように、本発明の実施の形態7に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)は、実施の形態1に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)と基本的構成は同じであるが、燃料ガス流路8と酸化剤ガス流路9が、いわゆる対向流となるように構成されている点が異なり、また、燃料ガス供給マニホールド孔31等の各マニホールド孔の設けられている位置が異なる。
まず、カソードセパレータ6bにおける燃料ガス供給マニホールド孔31等の各マニホールド孔の設けられている位置について、図17を参照しながら説明する。なお、アノードセパレータ6aにおける燃料ガス供給マニホールド孔31等の各マニホールド孔の設けられている位置は、カソードセパレータ6bにおける燃料ガス供給マニホールド孔31等の各マニホールド孔と同様に設けられているため、その詳細な説明は省略する。
図17に示すように、カソードセパレータ6bにおける第1の側部の上部には、冷却媒体供給マニホールド孔35が設けられており、その下部には、冷却媒体排出マニホールド孔36が設けられている。また、第1の側部の冷却媒体排出マニホールド孔36が設けられている下部の内側には、燃料ガス排出マニホールド孔32が設けられている。また、カソードセパレータ6bにおける第2の側部の上部には、燃料ガス供給マニホールド孔31が設けられており、その下部には、酸化剤ガス供給マニホールド孔33が設けられている。さらに、第2の側部の燃料ガス供給マニホールド孔31が設けられている下部の外側には、酸化剤ガス排出マニホールド孔34が設けられている。
そして、図17及び図18に示すように、酸化剤ガス流路9が、酸化剤ガス供給マニホールド孔33と酸化剤ガス排出マニホールド孔34を結ぶように、サーペンタイン状に形成され、同様に、燃料ガス流路8が、燃料ガス供給マニホールド孔31と燃料ガス排出マニホールド孔32を結ぶように、サーペンタイン状に形成されていて、これらの流路は、上述したように、いわゆる対向流となるように構成されている。ここで、対向流について、図19を参照しながら説明する。
図19は、図17及び図18に示す本実施の形態7に係る燃料電池100のアノードセパレータ6a及びカソードセパレータ6bの構造を示す模式図である。なお、図19において、アノードセパレータ6a及びカソードセパレータ6bは、燃料電池100の厚み方向から見て透視的に描かれている。また、アノードセパレータ6aの燃料ガス流路8の溝及びカソードセパレータ6bの酸化剤ガス流路9の溝をそれぞれ1本の線で代表するようにして示し、各セパレータ6a、6bにおける上下方向を図における上下方向として表している。さらに、図19においては、燃料ガス流路8と酸化剤ガス流路9のそれぞれの流路を見やすくするために、互いに上下方向に位置をずらして示している。
図19に示すように、燃料ガス流路8と酸化剤ガス流路9が、一部に燃料ガスと酸化剤ガスが並走するように流れる部分を有するが、アノードセパレータ6aの厚み方向から見て、巨視的に(全体として)燃料ガスと酸化剤ガスの上流から下流への全体的な流れの方向が互いに反対になるように構成されていることを、対向流という。
そして、燃料ガス供給マニホールド孔31等の各マニホールド孔、燃料ガス流路8、及び酸化剤ガス流路9がこのように構成されているため、第1領域21及び第2領域22が、以下のように構成される。すなわち、第1領域21の水平方向における一方の端部(第2の側部側端部)は、図18に示すように、アノードセパレータ6aの厚み方向から見て、アノード4aの第2の側部側端部であり、第1領域21の水平方向における他方の端部(第1の側部側端部)は、第1領域21の水平方向における一方の端部(第2の側部側端部)から燃料ガス流路8に沿って所定の距離L1延びた部分である。また、アノードセパレータ6aの厚み方向から見て、第1領域21の上側端部は、燃料ガス流路8の上流端から最初にアノード4aと接触する部分41であり、第1領域21の下側端部は、3本の並走する(互いに並んで設けられた)燃料ガス流路8のうち、最も下側に位置する燃料ガス流路8が形成するリブ部14である。
また、第2領域22の水平方向における一方の端部(第2の側部側端部)は、アノードセパレータ6aの厚み方向から見て、アノード4aの第2の側部側端部であり、また、第2領域22の水平方向における他方の端部(第1の側部側端部)は、第2領域22の水平方向における一方の端部(第2の側部側端部)から酸化剤ガス流路9に沿って所定の距離L2延びた部分である。また、アノードセパレータ6aの厚み方向から見て、第2領域22の上側端部は、3本の並走する(互いに並んで設けられた)燃料ガス流路8のうち、最も下側に位置する燃料ガス流路8が形成するリブ部14であり、第2領域22の下側端部は、アノード4aの下側端部(換言すると、酸化剤ガス流路9の上流端から最初にアノード4aと接触する部分42)である。
なお、本実施の形態7においては、第1領域21の水平方向における他方の端部は、第1領域21の水平方向における一方の端部(第2の側部側端部)から燃料ガス流路8に沿って所定の距離L1延びた部分としたが、これに限定されず、燃料ガス流路8の酸化剤ガス流路9と重なってから最初に離れる部分であってもよい。また、第2領域22の水平方向における他方の端部は、第2領域22の水平方向における一方の端部(第2の側部側端部)から酸化剤ガス流路9に沿って所定の距離延びた部分L2としたが、これに限定されず、酸化剤ガス流路9の燃料ガス流路8と重なってから最初に離れる部分であってもよい。
このように構成された本実施の形態7に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)についても、実施の形態1に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)と同様の作用効果を奏する。
なお、本実施の形態7に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)では、カバー部材11及びカバー部材12を、実施の形態1に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)と同様に、アノードセパレータ6aの第1領域21及び第2領域22に配置する構成としたが、これに限定されず、実施の形態2〜6に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)と同様に構成してもよい。
(実施の形態8)
図20は、本発明の実施の形態8に係る燃料電池スタックにおける燃料電池の概略構成を模式的に示す断面図であり、図21は、図20に示す燃料電池におけるアノードセパレータの内面の概略構成を示す模式図である。なお、図20においては、一部を省略し、図21においては、アノードセパレータにおける上下方向を図における上下方向として表し、酸化剤ガス流路の一部を仮想線で示している。
図20及び図21に示すように、本発明の実施の形態8に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)は、実施の形態1に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)と基本的構成は同じであるが、アノードセパレータ6aにおける第1領域21及び第2領域22の構成が異なる。
具体的には、アノードセパレータ6aにおける燃料ガス流路8の第1領域21及び第2領域22を通過する部分が、溝状の燃料ガス流路8の開口を、アノードセパレータ6aの内面が覆うように形成されている。すなわち、アノードセパレータ6aにおける燃料ガス流路8の第1領域21及び第2領域22を通過する部分が、アノードセパレータ6aをくり抜いたトンネルで構成されている(暗渠状(トンネル状)に形成されている)。そして、アノードセパレータ6aの該トンネル部分が、ガス透過抑制部を構成し、このトンネル部分には、複数の燃料ガス流路8と連通する(換言すると、アノードセパレータ6aの内面に開口する)貫通孔13が設けられている。
このように構成された、本実施の形態8に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)についても、実施の形態1に係る燃料電池スタック(燃料電池100)と同様の作用効果を奏する。
(実施の形態9)
図25は、本発明の実施の形態9に係る燃料電池スタックのアノードセパレータの内面の概略構成を示す模式図であり、図26は、本発明の実施の形態9に係る燃料電池スタックのカソードセパレータの内面の概略構成を示す模式図である。なお、図25においては、アノードセパレータにおける上下方向を図における上下方向として表し、酸化剤ガス流路の一部を仮想線で表している。また、図26においては、カソードセパレータにおける上下方向を図における上下方向として表し、燃料ガス流路の一部を仮想線で表している。さらに、図25及び図26においては、冷却媒体供給マニホールド孔及び冷却媒体排出マニホールド孔を省略している。
図25及び図26に示すように、本発明の実施の形態9に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)は、実施の形態1に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)と基本的構成は同じであるが、燃料ガス流路8と酸化剤ガス流路9が、いわゆるストレート状に形成されている点が異なり、また、燃料ガス供給マニホールド孔31等の各マニホールド孔の設けられている位置が異なる。以下、具体的に説明する。
まず、アノードセパレータ6aにおける燃料ガス供給マニホールド孔31等の各マニホールド孔の設けられている位置について、図25を参照しながら説明する。なお、カソードセパレータ6bにおける燃料ガス供給マニホールド孔31等の各マニホールド孔の設けられている位置は、アノードセパレータ6aにおける燃料ガス供給マニホールド孔31等の各マニホールド孔と同様に設けられているため、その詳細な説明は省略する。
図25に示すように、アノードセパレータ6aにおける第1の側部の上部には、酸化剤ガス供給マニホールド孔33が設けられており、その下部には、燃料ガス排出マニホールド孔32が設けられている。また、アノードセパレータ6aにおける第2の側部の上部には、燃料ガス供給マニホールド孔31が設けられており、その下部には、酸化剤ガス排出マニホールド孔34が設けられている。
また、図25に示すように、燃料ガス流路8は、第1上流ガス流路8cと、第1下流ガス流路8dと、第1上流ガス流路8cと第1下流ガス流路8dを連通し直線状に形成された複数の第1連通ガス流路8eと、を有している。
第1上流ガス流路8cの上流端は、燃料ガス供給マニホールド孔31に接続され、燃料ガス流路8の上流端を構成する。また、第1上流ガス流路8cは、上下方向に延びる部分と水平方向に(第2の側部から第1の側部に向かって)延びる部分とから構成されている。また、第1下流ガス流路8dの下流端は、燃料ガス排出マニホールド孔32に接続され、燃料ガス流路8の下流端を構成する。また、第1下流ガス流路8dは、上下方向に延びる部分と水平方向に(第2の側部から第1の側部に向かって)延びる部分とから構成されている。さらに、第1連通ガス流路8eは、上下方向に延びるように形成されている。
さらに、図26に示すように、カソードセパレータ6bにおける酸化剤ガス流路9も、図25に示す燃料ガス流路8と同様に構成されている。具体的には、酸化剤ガス流路9は、第2上流ガス流路9cと、第2下流ガス流路9dと、第2上流ガス流路9cと第2下流ガス流路9dを連通し直線状に形成された複数の第2連通ガス流路9eと、を有している。
第2上流ガス流路9cの上流端は、酸化剤ガス供給マニホールド孔33に接続され、酸化剤ガス流路9の上流端を構成する。また、第2上流ガス流路9cは、上下方向に延びる部分と水平方向に(第1の側部から第2の側部に向かって)延びる部分とから構成されている。また、第2下流ガス流路9dの下流端は、酸化剤ガス排出マニホールド孔34に接続され、酸化剤ガス流路9の下流端を構成する。また、第2下流ガス流路9dは、上下方向に延びる部分と水平方向に(第1の側部から第2の側部に向かって)延びる部分とから構成されている。さらに、第2連通ガス流路9eは、上下方向に延びるように形成されている。なお、冷却媒体流路10の形状は任意であり、実施の形態1のようにサーペンタイン状に形成してもよく、本実施の形態9の燃料ガス流路8及び酸化剤ガス流路9のようにストレート状に形成してもよい。
そして、このように燃料ガス流路8と酸化剤ガス流路9が構成されているため、図25に示すように、第1領域21と第2領域22が互いに重なり合っている(一致している)。第1領域21は、アノードセパレータ6aの厚み方向から見て、アノードセパレータ6aの厚み方向から見て、燃料ガス流路8の上流端から最初にアノード4aと接触する部分41と、燃料ガス流路8の部分41から燃料ガス流路8に沿って所定の距離L1延びた領域である。すなわち、アノードセパレータ6aの厚み方向から見て、第1領域21の上側端部は、燃料ガス流路8の上流端から最初にアノード4aと接触する部分41(アノード4aの上側端部)であり、第1領域21の下側端部は、燃料ガス流路8の部分41から燃料ガス流路8に沿って所定の距離L1延びた部分である。また、第1領域21の水平方向における一方の端部(第1の側部側端部)は、アノード4aの第1の側部側端部であり、第1領域21の水平方向における他方の端部(第2の側部側端部)は、アノード4aの第2の側部側端部である。
同様に、第2領域22は、酸化剤ガス流路9の上流端から最初にカソード4bと接触する部分42と、酸化剤ガス流路9の部分42から酸化剤ガス流路9に沿って所定の距離L1延びた部分との間の領域である。なお、本実施の形態9においては、第1連通ガス流路8e及び第2連通ガス流路9eを上下方向に延びるように形成したので、第1領域21及び第2領域22は、上記のように構成されたが、第1連通ガス流路8e及び第2連通ガス流路9eを水平方向に延びるように形成すると、第1領域21及び第2領域22は、実施の形態1のように構成される。また、第1領域21には、カバー部材11が配置されている。このカバー部材11は、実施の形態1に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)のカバー部材11と同様に構成されているため、その詳細な説明は省略する。
このように構成された本実施の形態9に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)であっても、実施の形態1に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)と同様の作用効果を奏する。
なお、本実施の形態9においては、アノードセパレータ6aにカバー部材11を設け、カソードセパレータ6bには、カバー部材11を設けない構成としたが、これに限定されず、アノードセパレータ6aには、カバー部材11を設けず、カソードセパレータ6bにカバー部材11を設ける構成としてもよい。このように構成した場合は、実施の形態2に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)と同様の作用効果を奏する。
また、本実施の形態9においては、カバー部材11と第1領域21のアノードセパレータ6aの厚み方向から見た形状を、矩形としたが、これに限定されず、変形例1のように、円形状等の任意の形状にしてもよい。さらに、カバー部材11と第1領域21の断面形状についても、変形例2のように、台形状等の任意の形状にしてもよい。
(実施の形態10)
図27は、本発明の実施の形態10に係る燃料電池スタックのアノードセパレータの内面の概略構成を示す模式図であり、図28は、本発明の実施の形態10に係る燃料電池スタックのカソードセパレータの内面の概略構成を示す模式図である。なお、図27においては、アノードセパレータにおける上下方向を図における上下方向として表し、酸化剤ガス流路の一部を仮想線で表している。また、図28においては、カソードセパレータにおける上下方向を図における上下方向として表し、燃料ガス流路の一部を仮想線で表している。図27及び図28においては、冷却媒体供給マニホールド孔及び冷却媒体排出マニホールド孔を省略している。
図27及び図28に示すように、本発明の実施の形態10に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)は、実施の形態9に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)と基本的構成は同じであるが、カソードセパレータ6bの第1領域21(第2領域22)にカバー部材12が配置されている点が異なる。なお、カバー部材12は、実施の形態1に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)のカバー部材12と同様に構成されているため、その詳細な説明は省略する。
このように構成された本実施の形態10に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)では、実施の形態9に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)の作用効果を奏し、また、カソードセパレータ6bの第2領域22(第1領域21)に対向するMEA5(正確には、カソード4b)の部分から酸化剤ガス流路9への水蒸気の拡散を抑制することができ、MEA5(特に、高分子電解質膜1)の乾燥を抑制することができる。
(実施の形態11)
図29は、本発明の実施の形態11に係る燃料電池スタックのアノードセパレータの内面の概略構成を示す模式図であり、図30は、本発明の実施の形態11に係る燃料電池スタックのカソードセパレータの内面の概略構成を示す模式図である。なお、図29においては、アノードセパレータにおける上下方向を図における上下方向として表し、酸化剤ガス流路の一部を仮想線で表している。また、図30においては、カソードセパレータにおける上下方向を図における上下方向として表し、燃料ガス流路の一部を仮想線で表している。さらに、図29及び図30においては、冷却媒体供給マニホールド孔及び冷却媒体排出マニホールド孔を省略している。
図29及び図30に示すように、本発明の実施の形態11に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)は、実施の形態9に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)と基本的構成は同じであるが、燃料ガス流路8と酸化剤ガス流路9が、いわゆる対向流となるように構成されている点が異なり、また、燃料ガス供給マニホールド孔31等の各マニホールド孔の設けられている位置が異なる。
まず、アノードセパレータ6aにおける燃料ガス供給マニホールド孔31等の各マニホールド孔の設けられている位置について、図29を参照しながら説明する。なお、カソードセパレータ6bにおける燃料ガス供給マニホールド孔31等の各マニホールド孔の設けられている位置は、アノードセパレータ6aにおける燃料ガス供給マニホールド孔31等の各マニホールド孔と同様に設けられているため、その詳細な説明は省略する。
図29に示すように、アノードセパレータ6aにおける第1の側部の上部には、酸化剤ガス排出マニホールド孔34が設けられており、その下部には、燃料ガス排出マニホールド孔32が設けられている。また、アノードセパレータ6aにおける第2の側部の上部には、燃料ガス供給マニホールド孔31が設けられており、その下部には、酸化剤ガス供給マニホールド孔33が設けられている。
また、図29に示すように、第2領域22は、酸化剤ガス流路9の上流端から最初にカソード4bと接触する部分42と、酸化剤ガス流路9の部分42から酸化剤ガス流路9に沿って所定の距離L1延びた部分との間の領域である。すなわち、アノードセパレータ6aの厚み方向から見て、第2領域22の下側端部は、酸化剤ガス流路9の上流端から最初にカソード4bと接触する部分42(カソード4bの下側端部)であり、第2領域22の上側端部は、酸化剤ガス流路9の部分42から酸化剤ガス流路9に沿って所定の距離L2延びた部分である。また、第1領域21の水平方向における一方の端部(第1の側部側端部)は、アノード4aの第1の側部側端部であり、第1領域21の水平方向における他方の端部(第2の側部側端部)は、アノード4aの第2の側部側端部である。
そして、第1領域21には、カバー部材11が配置され、第2領域22には、カバー部材12が配置されている。これらのカバー部材11、12は、実施の形態1に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)のカバー部材11、12と同様に構成されているため、その詳細な説明は省略する。
このように構成された実施の形態11に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)であっても、実施の形態9ひいては実施の形態1に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)と同様の作用効果を奏する。
(実施の形態12)
図31は、本発明の実施の形態12に係る燃料電池スタックのアノードセパレータの内面の概略構成を示す模式図であり、図32は、本発明の実施の形態12に係る燃料電池スタックのカソードセパレータの内面の概略構成を示す模式図である。なお、図31においては、アノードセパレータにおける上下方向を図における上下方向として表し、酸化剤ガス流路の一部を仮想線で表している。また、図32においては、カソードセパレータにおける上下方向を図における上下方向として表し、燃料ガス流路の一部を仮想線で表している。さらに、図29及び図30においては、冷却媒体供給マニホールド孔及び冷却媒体排出マニホールド孔を省略している。
図31及び図32に示すように、本発明の実施の形態12に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)は、実施の形態11に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)と基本的構成は同じであるが、カソードセパレータ6bの第1領域21にカバー部材11が配置され、カソードセパレータ6bの第2領域22にカバー部材12が配置されている点が異なる。
このように構成された本実施の形態12に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)では、実施の形態11に係る燃料電池スタック61(燃料電池100)と同様の作用効果を奏し、また、カソードセパレータ6bの第1領域21及び第2領域22に対向するMEA5(正確には、カソード4b)の部分から酸化剤ガス流路9への水蒸気の拡散を抑制することができ、MEA5(特に、高分子電解質膜1)の乾燥を抑制することができる。
なお、上記実施形態1〜12においては、燃料電池スタックとして、各マニホールド孔がセパレータに設けられたいわゆる内部マニホールド形を採用したが、これに限定されず、燃料電池スタックとして、外部マニホールド形を採用してもよい。
また、上記実施の形態1〜8においては、燃料ガス流路8、酸化剤ガス流路9、及び冷却媒体流路10をサーペンタイン状に形成し、実施の形態9〜12においては、燃料ガス流路8又は酸化剤ガス流路9をストレート状に形成したが、これに限定されず、アノードセパレータ6a及びカソードセパレータ6bの主面のほぼ全域を反応ガス又は冷却媒体が通流するようにすれば、どのような形状であってもよい。
また、上記実施の形態1〜5においては、アノードセパレータ6a又はカソードセパレータ6bの内面とカバー部材11及びカバー部材12の主面とが面一になるように構成したが、これに限定されず、カバー部材11及びカバー部材12の主面が、アノードセパレータ6a又はカソードセパレータ6bの内面よりも凹むように構成されていてもよい。すなわち、アノードセパレータ6a又はカソードセパレータ6bの第1領域21及び第2領域22の窪みの深さが、カバー部材11及びカバー部材12の高さよりも小さくなるように形成されていてもよい。
さらに、上記実施の形態9〜12においては、ガス透過抑制部を、カバー部材11及びカバー部材12が、燃料ガス流路8の開口を覆うことにより形成したが、これに限定されず、実施の形態8のように、ガス透過抑制部をアノードセパレータ6a又はカソードセパレータ6bをくり抜いたトンネルで構成してもよい。
[実施例]
次に、本発明の作用効果について、実施例を用いてさらに説明する。
実施例の燃料電池100は、アノードセパレータ6a及びカソードセパレータ6bともに、図13に示すようなカバー部材11を設ける構成とした。すなわち、カバー部材11を燃料ガス流路8の上流端から最初にアノード4aと接触する部分41と、酸化剤ガス流路9の上流端から最初にカソード4bと接触する部分42と、の間の領域を覆うように、アノードセパレータ6a及びカソードセパレータ6bに設けた。なお、実施例の燃料電池100の他の部分については、実施の形態1に示す燃料電池(単電池)100を作製した。
一方、比較例の燃料電池100は、実施例の燃料電池100にカバー部材11を設けない構成とした。
そして、これらの燃料電池100を、それぞれ、発電条件を、電流密度0.02A/cm、燃料ガスの利用率2%、酸化剤ガスの利用率1.4%、燃料ガスには水素75%、二酸化炭素25%の混合ガスを用い、酸化剤ガスには100%酸素ガスを用い、燃料ガス及び酸化剤ガスの露点を65℃及び電池温度を90℃として、100時間運転した。そして、各燃料電池100の燃料ガス流路8の排出水及び酸化剤ガス流路9の排出水を、燃料電池運転の間回収して、イオンクロマトグラフィーによりフッ化物イオンの量を測定し、その積算量を高分子電解質膜の劣化量とした。その結果を示したのが、図33である。
図33は、燃料電池100の100時間運転後のフッ化物イオンの総溶出量を示したグラフである。図33に示すように、実施例の燃料電池100では、フッ化物イオンの総溶出量が、2.374μg/cm/dayであり、比較例の燃料電池100では、フッ化物イオンの総溶出量が、7.098μg/cm/dayであった。このように、実施例の燃料電池100では、比較例の燃料電池100に比べて、フッ化物イオンの溶出量が1/3程度であることが示された。すなわち、実施例の燃料電池100は、比較例の燃料電池100に比べて、ガス透過抑制部を設けることにより、アノード4a(アノードガス拡散層3a)におけるアノードセパレータ6aの第1領域21及び第2領域22に対向する部分から燃料ガス流路8への水蒸気の拡散を抑制し、また、カソード4b(カソードガス拡散層3b)におけるカソードセパレータ6bの第1領域21及び第2領域22に対向する部分から酸化剤ガス流路9への水蒸気の拡散を抑制することにより、高分子電解質膜1の劣化が抑制されることが示された。
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
本発明の燃料電池及び燃料電池スタックは、高温低加湿の条件で運転した場合に、電解質層(高分子電解質膜)の乾燥を抑制することにより、電解質層の劣化を抑制することが可能な燃料電池及び燃料電池スタックとして有用である。
1 高分子電解質膜(電解質層)
2a アノード触媒層
2b カソード触媒層
3a アノードガス拡散層
3b カソードガス拡散層
4a アノード
4b カソード
5 MEA(Membrane−Electrode−Assembly:膜−電極接合体(電解質層−電極接合体))
6a アノードセパレータ
6b カソードセパレータ
7 ガスケット
8 燃料ガス流路(第1反応ガス流路)
8a 往復部
8b 反転部
9 酸化剤ガス流路(第2反応ガス流路)
9a 往復部
9b 反転部
10 冷却媒体流路
11 カバー部材
12 カバー部材
13 貫通孔
14 リブ部
21 第1領域
22 第2領域
31 燃料ガス供給マニホールド孔
32 燃料ガス排出マニホールド孔
33 酸化剤ガス供給マニホールド孔
34 酸化剤ガス排出マニホールド孔
35 冷却媒体供給マニホールド孔
36 冷却媒体排出マニホールド孔
41 部分
42 部分
61 燃料電池スタック
62 セル積層体
63 第1の端板
64 第2の端板
100 燃料電池
131 燃料ガス供給マニホールド
132 燃料ガス排出マニホールド
133 酸化剤ガス供給マニホールド
134 酸化剤ガス排出マニホールド
135 冷却媒体供給マニホールド
136 冷却媒体排出マニホールド
202 電極
202A 部分
202B 部分
203 反応ガス流路
204 リブ部

Claims (18)

  1. 電解質層及び該電解質層を挟む一対の電極を有する電解質層−電極接合体と、
    板状で、前記電解質層−電極接合体と接触するように配設され、一方の前記電極と接触する内面に溝状の第1反応ガス流路が形成された導電性の第1セパレータと、
    板状で、前記電解質層−電極接合体と接触するように配設され、他方の前記電極と接触する内面に溝状の第2反応ガス流路が形成された導電性の第2セパレータと、
    前記電極にガスが透過するのを抑制する1以上のガス透過抑制部と、を備え、
    前記第1セパレータ及び前記第2セパレータの前記内面は、前記第1セパレータの厚み方向から見て、前記第1反応ガス流路の第1反応ガスの通流方向における上流端から最初に一方の前記電極と接触する部分を少なくとも含む領域(以下、第1領域)を有しており、
    前記第1セパレータ及び前記第2セパレータの前記内面は、前記第1セパレータの厚み方向から見て、前記第2反応ガス流路の第2反応ガスの通流方向における上流端から最初に他方の前記電極と接触する部分を少なくとも含む領域(以下、第2領域)と、を有しており、
    前記第1反応ガス流路及び前記第2反応ガス流路の少なくとも一方の流路においては、前記第1セパレータの厚み方向から見て、前記第1領域と重なるように前記ガス透過抑制部が配置されており、かつ、前記第1反応ガス流路及び前記第2反応ガス流路の少なくとも一方の流路においては、前記第1セパレータの厚み方向から見て、前記第2領域と重なるように前記ガス透過抑制部が配置され、
    前記第1反応ガス流路の前記ガス透過抑制部は、前記第1反応ガス流路の開口をカバー部材が覆うことにより形成されており、
    前記第2反応ガス流路の前記ガス透過抑制部は、前記第2反応ガス流路の開口をカバー部材が覆うことにより形成されており、
    前記カバー部材の前記第1反応ガス流路又は前記第2反応ガス流路を覆う部分には、貫通孔が開けられている、燃料電池。
  2. 電解質層及び該電解質層を挟む一対の電極を有する電解質層−電極接合体と、
    板状で、前記電解質層−電極接合体と接触するように配設され、一方の前記電極と接触する内面に溝状の第1反応ガス流路が形成された導電性の第1セパレータと、
    板状で、前記電解質層−電極接合体と接触するように配設され、他方の前記電極と接触する内面に溝状の第2反応ガス流路が形成された導電性の第2セパレータと、
    前記電極にガスが透過するのを抑制する1以上のガス透過抑制部と、を備え、
    前記第1セパレータ及び前記第2セパレータの前記内面は、前記第1セパレータの厚み方向から見て、前記第1反応ガス流路の第1反応ガスの通流方向における上流端から最初に一方の前記電極と接触する部分を少なくとも含む領域(以下、第1領域)を有しており、
    前記第1セパレータ及び前記第2セパレータの前記内面は、前記第1セパレータの厚み方向から見て、前記第2反応ガス流路の第2反応ガスの通流方向における上流端から最初に他方の前記電極と接触する部分を少なくとも含む領域(以下、第2領域)と、を有しており、
    前記第1反応ガス流路及び前記第2反応ガス流路の少なくとも一方の流路においては、前記第1セパレータの厚み方向から見て、前記第1領域と重なるように前記ガス透過抑制部が配置されており、かつ、前記第1反応ガス流路及び前記第2反応ガス流路の少なくとも一方の流路においては、前記第1セパレータの厚み方向から見て、前記第2領域と重なるように前記ガス透過抑制部が配置され、
    前記第1反応ガス流路の前記ガス透過抑制部は、前記第1セパレータと一体化し、前記第1セパレータをくり抜いたトンネルで構成されており、
    前記第2反応ガス流路の前記ガス透過抑制部は、前記第2セパレータと一体化し、前記第2セパレータをくり抜いたトンネルで構成されている、燃料電池。
  3. 電解質層及び該電解質層を挟む一対の電極を有する電解質層−電極接合体と、
    板状で、前記電解質層−電極接合体と接触するように配設され、一方の前記電極と接触する内面に溝状の第1反応ガス流路が形成された導電性の第1セパレータと、
    板状で、前記電解質層−電極接合体と接触するように配設され、他方の前記電極と接触する内面に溝状の第2反応ガス流路が形成された導電性の第2セパレータと、
    前記電極にガスが透過するのを抑制する1以上のガス透過抑制部と、を備え、
    前記第1セパレータ及び前記第2セパレータの前記内面は、前記第1セパレータの厚み方向から見て、前記第1反応ガス流路の第1反応ガスの通流方向における上流端から最初に一方の前記電極と接触する部分を少なくとも含む領域(以下、第1領域)を有しており、
    前記第1セパレータ及び前記第2セパレータの前記内面は、前記第1セパレータの厚み方向から見て、前記第2反応ガス流路の第2反応ガスの通流方向における上流端から最初に他方の前記電極と接触する部分を少なくとも含む領域(以下、第2領域)と、を有しており、
    前記第1反応ガス流路及び前記第2反応ガス流路の少なくとも一方の流路においては、前記第1セパレータの厚み方向から見て、前記第1領域と重なるように前記ガス透過抑制部が配置されており、かつ、前記第1反応ガス流路及び前記第2反応ガス流路の少なくとも一方の流路においては、前記第1セパレータの厚み方向から見て、前記第2領域と重なるように前記ガス透過抑制部が配置され、
    前記第1反応ガス流路の前記ガス透過抑制部は、前記第1反応ガス流路の開口をカバー部材が覆うことにより形成されており、
    前記第2反応ガス流路の前記ガス透過抑制部は、前記第2反応ガス流路の開口をカバー部材が覆うことにより形成されており、
    前記第1セパレータ及び第2セパレータの少なくとも一方の内面の前記第1領域又は前記第2領域には、前記カバー部材の前記第1セパレータ又は前記第2セパレータと当接しない側の主面と前記第1セパレータ又は前記第2セパレータの内面とが全体として同一平面上に位置するように、凹部が設けられている、燃料電池。
  4. 前記ガス透過抑制部は、暗渠状に形成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池。
  5. 前記カバー部材は、導電性の材料で構成されている、請求項1又は3に記載の燃料電池。
  6. 前記カバー部材の多孔度が、前記電極のガス拡散層の多孔度よりも小さい、請求項1又は3に記載の燃料電池。
  7. 前記カバー部材は、多孔度が0の材料で構成されている、請求項1又は3に記載の燃料電池。
  8. 前記第1セパレータの前記トンネルには、該第1セパレータの内面に開口する貫通孔が設けられ、
    前記第2セパレータの前記トンネルには、該第2セパレータの内面に開口する貫通孔が設けられている、請求項に記載の燃料電池。
  9. 前記第1反応ガス流路は、前記第1セパレータの前記第1領域及び前記第2領域に形成された部分に前記ガス透過抑制部が形成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池。
  10. 前記第2反応ガス流路は、前記第2セパレータの前記第1領域及び前記第2領域に形成された部分に前記ガス透過抑制部が形成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池。
  11. 前記第1反応ガス流路は、前記第1セパレータの前記第1領域及び前記第2領域に形成された部分に前記ガス透過抑制部が形成され、
    前記第2反応ガス流路は、前記第2セパレータの前記第1領域及び前記第2領域に形成された部分に前記ガス透過抑制部が形成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池。
  12. 前記第1反応ガス流路は、前記第1セパレータの前記第1領域に形成された部分に前記ガス透過抑制部が形成され、
    前記第2反応ガス流路は、前記第2セパレータの前記第2領域に形成された部分に前記ガス透過抑制部が形成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池。
  13. 前記第1反応ガス流路は、前記第1セパレータの前記第2領域に形成された部分に前記ガス透過抑制部が形成され、
    前記第2反応ガス流路は、前記第2セパレータの前記第1領域に形成された部分に前記ガス透過抑制部が形成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池。
  14. 前記第1反応ガス流路と前記第2反応ガス流路は、並行流となるように形成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池。
  15. 前記第1反応ガス流路と前記第2反応ガス流路は、対向流となるように形成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池。
  16. 前記第1反応ガス流路と前記第2反応ガス流路は、サーペンタイン状に形成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池。
  17. 前記第1反応ガス流路は、第1上流ガス流路と第1下流ガス流路と前記第1上流ガス流路と前記第1下流ガス流路を連通し直線状に形成された複数の第1連通ガス流路とから構成され、
    前記第2反応ガス流路は、第2上流ガス流路と第2下流ガス流路と前記第2上流ガス流路と前記第2下流ガス流路を連通し直線状に形成された複数の第2連通ガス流路とから構成され、
    前記第1上流ガス流路の上流端が前記第1反応ガス流路の上流端であり、前記第1下流ガス流路の下流端が前記第1反応ガス流路の下流端であり、
    前記第2上流ガス流路の上流端が前記第2反応ガス流路の上流端であり、前記第2下流ガス流路の下流端が前記第2反応ガス流路の下流端である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池。
  18. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池が複数積層して締結されている、燃料電池スタック。
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