JP2008186650A - 非水電解質二次電池用正極活物質および非水電解質二次電池 - Google Patents

非水電解質二次電池用正極活物質および非水電解質二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】 高出力特性に優れた非水電解質二次電池と、該非水電解質二次電池を構成し得る正極活物質を提供する。
【解決手段】 組成式LiMnNiCo(ただし、0.95≦a≦1.2、0.3≦x+w<0.35、0.3≦y<0.35、0.3≦z<0.35、0.005≦w≦0.1、0.95≦x+y+z+w≦1.05、M:Ti、Zr、Hf、Ge、Sn、およびPbよりなる群から選択される少なくとも1種の元素)で表され、層状結晶構造を有することを特徴とする非水電解質二次電池用正極活物質と、該正極活物質を有する非水電解質二次電池により、上記課題を解決する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、高出力特性に優れた非水電解質二次電池と、該非水電解質二次電池を構成し得る正極活物質に関するものである。
近年、移動通信体を始めとする小型電子機器の普及が急速な展開を見せており、このような小型でありながらも消費電力の大きな機器用の電源として、二次電池の高容量化、高出力化が既に行われている(例えば、特許文献1参照)。
また、化石燃料の枯渇化などに関する環境問題の要求から、更に出力を要する電気自動車電気自動車(EV)や車両の駆動部分の一部を電気モータなどで補うハイブリッド自動車(HEV)の実現などが望まれており、このような機器の電源への適用を可能とするために、二次電池において、従来の正極活物質の欠点を補いつつ高出力に特化した開発も盛んに行われている(例えば、特許文献2参照)。
特開2006−202647号公報 特開2005−259617号公報
特許文献1や特許文献2に開示されている技術により、二次電池の高出力化は進んでいる。しかし、例えば、HEVにおいては、停止・発進の繰り返しや、坂道、急ブレーキ時などの場面において、瞬間的な大電力が必要となることが多いことなどから、このような用途における要求に十分に応えるためには、特許文献1や特許文献2に開示の技術においても、未だ改善の余地がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高出力特性に優れた非水電解質二次電池と、該非水電解質二次電池を構成し得る正極活物質を提供することにある。
上記目的を達成し得た本発明の非水電解質二次電池用正極活物質は、組成式LiMnNiCo(ただし、0.95≦a≦1.2、0.3≦x+w<0.35、0.3≦y<0.35、0.3≦z<0.35、0.005≦w≦0.1、0.95≦x+y+z+w≦1.05、M:Ti、Zr、Hf、Ge、Sn、およびPbよりなる群から選択される少なくとも1種の元素)で表され、層状結晶構造を有することを特徴とするものである。
また、本発明の非水電解質二次電池用正極活物質を有する非水電解質二次電池も、本発明に含まれる。
非水電解質二次電池の高出力特性を向上させるには、1C、5Cおよび10C相当の電流値に対する電圧値を、電流(I)対電圧(V)からなる2次元座標上にプロットし、その傾きから得られる抵抗値[(ΔV/ΔI)=DCR]を低く抑えること、および充放電を繰り返した後のDCRの上昇を抑制することが挙げられる。本発明者らは鋭意検討した結果、上記組成式で表され、層状結晶構造を有する正極活物質を用いて非水電解質二次電池を構成することで、そのDCRを低く抑え、また充放電を繰り返した後のDCRの上昇を抑制できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、高出力特性に優れた非水電解質二次電池と、該非水電解質二次電池を構成し得る正極活物質を提供することができる。
本発明の正極活物質は、組成式LiMnNiCo(ただし、0.95≦a≦1.2、0.3≦x+w<0.35、0.3≦y<0.35、0.3≦z<0.35、0.005<w≦0.1、0.95≦x+y+z+w≦1.05、M:Ti、Zr、Hf、Ge、Sn、およびPbよりなる群から選択される少なくとも1種の元素)で表され、層状結晶構造を有するものである。かかる正極活物質を有する正極を用いて非水電解質二次電池を構成することにより、電池の高出力特性を高めることができる。なお、本明細書でいう非水電解質二次電池の高出力特性とは、10C程度またはそれ以上の電流値での出力特性を意味している。
上記組成式において、Mは、Ti、Zr、Hf、Ge、SnまたはPbであり、これらの元素の1種のみでもよく、2種以上を有していてもよい。これらの元素Mは、正極活物質におけるMnの一部を置換する置換元素であり、かかる元素Mの存在によって、より高出力な電池を構成できるようになる。これらの元素Mの中でも、Tiが特に好ましい、TiとMnとは有効イオン半径の関係がヒューム=ロザリー則[a=|r1−r2|/r2(r1:置換元素の有効イオン半径、r2:被置換元素の有効イオン半径)が15%以内]に従うためにTiはMnを置換し易く、また、Tiを有する正極活物質では、電池の高出力化の作用がより大きいからである。
上記組成式における元素Mの量wは、0.005≦w≦0.1であり、wが多すぎると、電池の容量低下を引き起こし、高出力を得るために多くの電池または反応面積が大きくなるように大きな電池が必要となり、本発明の利点がなくなってしまう。なお、電池の容量低下をより抑制する点からは、wは0.05以下であることが好ましく、また、本発明の効果がより得られ易くなる点で、wは0.01以上であることが好ましい。
上記組成式においてLiの量aは、0.95≦a≦1.2であるが、aが小さすぎると、正極活物質の結晶構造の維持が困難となる。他方、aが大きすぎると、電池の容量が低下してしまう。
上記組成式において、Mnの量と元素Mの量との和x+w、Niの量y、およびCoの量zは、それぞれ0.3≦x+w<0.35、0.3≦y<0.35、0.3≦z<0.35であるが、このようにMn+元素M、NiおよびCoのモル比が1:1:1の近傍にあることにより、正極活物質の結晶構造が安定化される。
また、上記組成式において、Mnの量xとNiの量yとCoの量zと元素Mの量wとの関係は、0.95≦x+y+z+w≦1.05であるが、x+y+z+wが大きすぎると、電池の容量が低下してしまう。
ちなみに、上記の特許文献1では、正極活物質において、誘導結合高周波プラズマ分光分析(ICP分光分析)から得られるMn、Ni、Coに対する置換元素Mの比率をb、X線光電子分光法(XPS)から得られる原子表面におけるMn、Ni、Coに対する置換元素Mの比率をaとして、a/b≧1.5であれば、高耐電圧性が得られるとしており、原子表面における置換元素Mの偏析により上記の効果を確保することを特徴としている。しかしながら、本発明の正極活物質では、元素Mの表面偏在がなくても、電池の高出力化を達成できる。従って、本発明の正極活物質は、Mn、Co、Niに対する元素Mの比率(特許文献1における「a」)と、正極活物質粒子全体におけるMn、Co、Niに対する元素Mの原子比率[特許文献1における「z/(1−z)」]の比が1.5未満(a/[z/(1−z)]<1.5)であってもよい。
また、本発明の正極活物質は、Mnの一部を同価数(4価)の元素Mで置換している点で、上記の特許文献2に開示の正極活物質とは異なっている。
本発明の正極活物質は、Cu−Kα線源を用いて得られるX線回折プロファイルにおいて、2θ=31°付近に生じるピークができる限り小さいことが好ましく、ピークが存在しないことがより好ましい。2θ=31°付近のピークは、元素Mの含有量が多く、上記組成式から外れる組成の化合物に由来するピークである。よって、2θ=31°付近にピークが存在しなければ(すなわち、ピークが確認されなければ)、正極活物質中の不純物量が少なく、例えば、より実用的な容量が確保できるようになる。
正極活物質において、Cu−Kα線源を用いて得られるX線回折プロファイルにおける2θ=31°付近のピークにおけるピーク強度は、正極活物質の製造時において、元素Mの添加量を調整することで制御できる。通常は、元素Mの添加量が多すぎると、2θ=31°付近にピークを有する化合物(不純物)が生成し易くなるため、正極活物質の製造時に、元素Mの添加量を多くしすぎないようにすればよい。
なお、本発明の正極活物質は、層状結晶構造を有するものであるが、これは、X線回折測定により確認することができる。
本発明の正極活物質は、例えば、下記の第一工程および第二工程を有する製造方法により製造することができる。
正極活物質の製造方法における第一工程は、マンガン化合物、コバルト化合物、ニッケル化合物、リチウム化合物、および元素Mを含有する化合物(酸化物など)を、所定比で測り取り、粉砕混合機で処理する粉砕工程である。
粉砕混合機としては強い圧縮、せん断応力がかかるものが望ましい。種類は特に限定しないが、例として、三井鉱山株式会社製「乾式アトライタ」、「湿式アトライタ」、「ダイナミックミル」;ホソカワミクロン株式会社製「攪拌型ボールミル ATR」;株式会社奈良機械製作所製「メカノマイクロス」;などが挙げられる。
原料のマンガン化合物、コバルト化合物、ニッケル化合物およびリチウム化合物としてはそれぞれ、酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物、炭酸塩、塩基性炭酸塩、硝酸塩、塩化物塩、硫酸塩、有機酸塩などが挙げられるが、鉱酸塩は焼成時に有害なガスを発生することから、工業的には酸化物、水酸化物、炭酸塩、塩基性炭酸塩が好ましい。
マンガン化合物、コバルト化合物、ニッケル化合物、リチウム化合物、および元素Mを含有する化合物は、それぞれ1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、マンガン化合物、コバルト化合物、ニッケル化合物、リチウム化合物、および元素Mを含有する化合物を別々に用いる必要はなく、コバルト元素、マンガン元素、ニッケル元素、リチウム元素、および元素Mのうちの二種以上の元素を含む共沈体のような複合体を用いてもよいし、コバルト元素、マンガン元素、ニッケル元素、リチウム元素、および元素Mのうちの二種以上の元素を含む化合物を用いてもよく、要はコバルト元素とマンガン元素とニッケル元素とリチウム元素と元素Mとが必要量含まれるようにすればよい。
第一工程では、ただの粉砕混合とは異なり、媒体(粉砕用のジルコニアビーズなど、以下同じ)と粉砕混合機の容器壁、媒体同士での衝突により粉体に圧縮、せん断応力などの非常に強力なエネルギーをかけることで、それぞれの原料粉末をアモルファス化し、界面にメカノケミカル反応を促進させて、中間相(アモルファスな相)を生成させつつ混合粉体とすることが好ましい。メカノケミカル反応を起こした中間相が、後記の第二工程における焼成時にリチウムコバルトニッケルマンガン複合酸化物の核となり成長していく。
なお、第一工程では、粉砕時に粉体の再凝集を防ぐために、粉砕助剤を加えることが好ましい。粉の性状によっては粉砕時に粉が再凝集または粉砕混合機の容器への固着を起こして粉砕が進み難い。粉砕助剤を加えることで粉に流動性が生まれ、再凝集、固着を防ぎ、粉砕時のエネルギーを効率よく粉体に伝えることができ、メカノケミカル反応を促進することができる。また、粉砕を水や有機溶媒中で行い、湿式粉砕として反応をさせてもよいが、乾式粉砕であれば粉砕後に得られた粉体を乾燥させる必要がなく、生産コスト的にも有利である。なお、特に乾式で混合粉砕を行う場合、原料の容器付着による混合の偏りを防ぐために、第一工程の前にプレミックス工程を入れてもよい。
上記の粉砕助剤としては、水、シリコンオイル、アセトン、脂肪酸(マレイン酸、オレイン酸、カプリル酸、ステアリン酸など)、金属アルコキシド類(テトラエトキシシランなど)、アミン類(トリエタノールアミンなど)、グリコール類(エチレングリコール、プロピレングリコールなど)、アルコール類(メタノール、エタノール、1−ブタノールなど)、脂肪酸塩(ステアリン酸ナトリウムなど)、アミンアセテート、コロイド状シリカ、カーボンブラック、鉱物微粉(カオリン、タルクなど)、カチオン性界面活性剤(ドデシルアンモニウムクロリドなど)、無機塩類(炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ケイ酸ナトリウムなど)、水溶性ポリマー(ポリカルボキシレートなど)、トリポリリン酸ナトリウムなどが挙げられる。
粉砕助剤の添加量は、第一工程での粉砕に供する混合物全量中、通常は0.01〜30質量%であり、生産コストを考慮すると、0.1〜10質量%であることが好ましい。
第一工程における粉砕条件は、使用する粉砕混合機によって異なるので一概に限定できないが、粉砕混合によって得られた粉体が非晶質相を形成しているかどうかで判断できる。Li元素のように焼成時に拡散の速い元素を含む化合物ではさほど問題にならないが、粉砕後にX線回折においてCo、Mn、Niなどの原料のピークがはっきりと確認できるようでは焼成後に結晶性が劣ったり、不純物相を形成し易いため、粉砕後の粉体のX線回折プロファイルにおいて、Co、Mn、Niの各元素のピークが確認できない程度にまで粉砕混合することが好ましい。
正極活物質の製造方法における第二工程は、第一工程で得られた粉体を酸素含有雰囲気中で焼成する焼成工程である。
粉体の焼成には、例えば、ボックス炉、管状炉、トンネル炉、ロータリーキルンなどを使用することができる。焼成工程は、昇温・最高温度保持・降温の三工程に分けたとき、二番目の最高温度保持部分は必ずしも一回とは限らず、目的に応じて二段階またはそれ以上の段階をふませてもよく、二次粒子を破壊しない程度に凝集を解消することを意味する解砕工程、または一次粒子若しくは更に微小粉末まで砕くことを意味する粉砕工程を挟んで、昇温・最高温度保持・降温の工程を二回またはそれ以上繰り返してもよい。
昇温工程では、通常1〜20℃/分の範囲で炉内を昇温させる。昇温速度が速すぎると炉内温度が設定温度に追従しきれなくなり、遅すぎると工業的に不利である。
焼成温度は、400℃以上1200℃以下が好ましく、600℃以上1000℃以下がより好ましい。焼成温度まで昇温した後に保持する時間は0.5〜50hが好ましく、4〜20hがより好ましい。保持時間が長すぎると粉体同士の焼結が進み、その後の解砕が困難になり、短すぎると結晶性の高い粉体が得られない。
上記の第二工程を経て、本発明の正極活物質が得られるが、第二工程の後に、焼成後の正極活物質の焼成による軽い凝集をほぐす目的で解砕工程を入れてもよい。
上記の方法で正極活物質を製造することにより、正極活物質の平均粒子径を500nm〜25μmとし、また、正極活物質の比表面積を1.2〜6m/gとすることができる。このような形態を有する正極活物質であれば、該正極活物質を用いた正極において、導電性を付与するための導電助剤(特にカーボンブラック、詳しくは後述する)との接触が良好になるため、かかる正極を用いた電池の特性をより高めることができる。
上記のような製造方法により得られる本発明の正極活物質は、高出力非水電解質二次電池の正極活物質に好ましく利用できる。
本発明の非水電解質二次電池を構成するための正極は、例えば、集電体と該集電体の片面または両面に形成された正極合剤層とを有するものである。
正極における正極合剤層は、本発明の正極活物質以外に、結着剤と導電助剤とを有することが好ましい。正極合剤層に導電助剤と結着剤とを含有させることで、正極の電子伝導性と強度とを高めることができる。
正極の導電助剤としては、電池内で化学的に安定なものであれば、無機材料、有機材料のいずれも使用できる。例えば、天然黒鉛、人造黒鉛などのグラファイト;アセチレンブラック、ケッチェンブラック(商品名)、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維、金属繊維などの導電性繊維;アルミニウム粉などの金属粉末;フッ化炭素;酸化亜鉛;チタン酸カリウムなどからなる導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;ポリフェニレン誘導体などの有機導電性材料;などが挙げられる。これらの導電助剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、カーボンブラックが特に好ましい。カーボンブラックは、平均粒径が0.01〜1μmと小さいため、正極活物質粒子間の隙間に充填でき、本来電池容量に関与しないスペースを利用できるので、正極活物質粒子の量を減らすことなく電子伝導性を付与できるからである。カーボンブラックによる電子電導性付与効果は、上述したように、平均粒子径が500nm〜25μmで、比表面積が1.2〜6m/gの正極活物質を用いた場合に、特に顕著となる。
正極の結着剤としては、電池内で化学的に安定なものであれば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれも使用できる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、スチレンブタジエンゴム、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE樹脂)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、フッ化ビニリデン−ペンタフルオロプロピレン共重合体、プロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体またはそのNaイオン架橋体、エチレン−メタクリル酸共重合体またはそのNaイオン架橋体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体またはそのNaイオン架橋体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体またはそのNaイオン架橋体などが挙げられる。これらの結着剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも特にPVDFとPTFEが好ましい。これらは、少量で結着力を発揮できるからである。
正極は、例えば、正極活物質に導電助剤や結着剤などを適宜添加した正極合剤を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの溶剤に分散させ(結着剤は溶剤に溶解していてもよい)てスラリー状やペースト状の組成物とし、該組成物を集電体に塗布して帯状の成形体(正極合剤層)に形成することで作製される。ただし、正極の作製方法は、上記の方法に限られず、他の方法により作製してもよい。集電体上に形成する正極合剤層の厚みは、通常10〜100μmである。
正極の集電体の材質は、構成された電池において化学的に安定な電子伝導体であれば特に限定されない。例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、炭素、導電性樹脂などの他に、アルミニウム、アルミニウム合金またはステンレス鋼の表面に炭素層またはチタン層を形成した複合材などを用いることができる。これらの中でも、アルミニウムまたはアルミニウム合金が特に好ましい。これらは、軽量で電子伝導性が高いからである。上記集電体には、例えば、上記材質からなるフォイル、フィルム、シート、ネット、パンチングシート、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の成形体などが使用される。また、集電体の表面に、表面処理を施して凹凸を付けることもできる。集電体の厚さは特に限定されないが、通常1〜500μmである。
正極合剤層においては、正極活物質と導電助剤と結着剤との合計質量に対して、正極活物質を80質量%以上98質量%以下含み、導電助剤を1質量%以上12質量%以下含み、結着剤を1質量%以上8質量%以下含むことが好ましい。この範囲内であれば、電極反応に直接関与しない導電助剤と結着剤の含有量が少ないので、電極を高容量化できるからである。
本発明の非水電解質二次電池は、本発明の正極活物質を有する正極を有していれば、その他の構成・構造については特に制限はなく、従来公知の非水電解質二次電池で採用されている各種構成・構造を適用できる。
負極には、例えば、負極活物質と結着剤などとを有する負極合剤を、集電体上に層状(負極合剤層)に成形したものが使用できる。負極の負極活物質としては、例えば、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、活性炭、Si、Snなどのリチウムと合金化可能な金属またはその合金などが用いられる。また、金属リチウムやリチウム−アルミニウム合金を用いることもできる。
負極の結着剤としては、正極用の結着剤として例示した各種結着剤が使用でき、その中でも、スチレンブタジエンゴム、PVDF、エチレン−アクリル酸共重合体またはそのNaイオン架橋体、エチレン−メタクリル酸共重合体またはそのNaイオン架橋体、エチレン−アクリル酸メチル共重合体またはそのNaイオン架橋体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体またはそのNaイオン架橋体が特に好ましい。
負極合剤層には導電助剤を添加しなくてもよいが、添加してもよい。負極の導電助剤としては、正極用の導電助剤として例示した各種導電助剤が使用できる。
負極は、例えば、負極活物質に結着剤(更には必要に応じて導電助剤)などを適宜添加した負極合剤を、NMPなどの溶剤に分散させ(結着剤は溶剤に溶解していてもよい)てスラリー状やペースト状の組成物とし、該組成物を集電体に塗布して帯状の成形体(負極合剤層)に形成することで作製される。ただし、負極の作製方法は、上記の方法に限られず、他の方法により作製してもよい。集電体上に形成する負極合剤層の厚みは、通常20〜100μmである。
負極の集電体の材質は、構成された電池において化学的に安定な電子伝導体であれば特に限定されない。例えば、銅または銅合金、ステンレス鋼、ニッケル、チタン、炭素、導電性樹脂などの他に、銅、銅合金またはステンレス鋼の表面に炭素層またはチタン層を形成した複合材などを用いることができる。これらの中でも、銅または銅合金が特に好ましい。これらは、リチウムと合金化せず、電子伝導性も高いからである。負極の集電体には、正極の集電体と同様に、例えば、上記材質からなるフォイル、フィルム、シート、ネット、パンチングシート、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の成形体などが使用される。また、集電体の表面に、表面処理を施して凹凸を付けることもできる。集電体の厚さは特に限定されないが、通常1〜500μmである。
負極合剤層においては、負極活物質と結着剤との合計質量に対して、負極活物質を90質量%以上99質量%以下含み、結着剤を1質量%以上10質量%以下含むことが好ましい。この範囲内であれば、電極反応に直接関与しない結着剤の含有量が少ないので、電極を高出力化・高容量化できるからである。
非水電解質としては、溶媒に電解質塩を溶解させたものが使用できる。溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド、1,3−ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジオキソラン、アセトニトリル、ニトロメタン、蟻酸メチル、酢酸メチル、燐酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、ジエチルエーテル、1,3−プロパンサルトンなどの非プロトン性有機溶媒の1種を、または2種以上混合した混合溶媒を用いることができる。これらの中では、ECとMECとDECとの混合溶媒が好ましく、この混合溶媒は、混合溶媒の全容量に対してDECを15容量%以上80容量%以下含むことが特に好ましい。この範囲内であれば、電池の低温特性や充放電サイクル特性を維持しつつ、高電圧充電時における溶媒の安定性を高めることができるからである。
非水電解質に係る電解質塩としては、リチウムの過塩素酸塩、有機ホウ素リチウム塩、トリフロロメタンスルホン酸塩などの含フッ素化合物の塩、またはイミド塩などが好適に用いられる。このような電解質塩の具体例としては、例えば、LiClO、LiPF、LiBF、LiAsF、LiSbF、LiCFSO、LiCSO、LiCFCO、Li(SO、LiN(CFSO、LiC(CFSO、LiCF2n+1SO(n≧2)、LiN(RfOSO〔ここで、Rfはフルオロアルキル基を表す。〕などが挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。中でも、LiPFやLiBFなどが、充放電特性が良好なことから特に好ましい。これらの含フッ素有機リチウム塩はアニオン性が大きく、且つイオン分離しやすいので上記溶媒に溶解しやすいからである。
非水電解質における電解質塩の濃度は、特に限定されるものではないが、通常、0.5〜1.7mol/Lである。
セパレータとしては、その材質や形状は特に限定されず、絶縁性があり、イオン透過率が高く、電気抵抗が低く、保液性が高いものが好ましい。通常、厚さが10〜300μmで、空孔率が30〜80%であるセパレータが使用される。また、セパレータの孔径は、電極より脱離した活物質、導電助剤および結着剤などが通過しない程度であることが好ましく、例えば、0.01〜1μmであることが好ましい。
セパレータは、内部短絡による発熱(100〜140℃)に応じてセパレータが軟化または溶融することにより、セパレータの孔部が閉塞されて電流を遮断するシャットダウン機能を有することが好ましい。電池の安全性を更に向上できるからである。具体的には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィンからなる微孔性フィルムや不織布などをセパレータとして用いると、シャットダウン機能を付与できるので好ましい。また、上記材質の微孔性フィルムと不織布とを複数積層するか、または微孔性フィルム同士や不織布同士を複数積層することによって構成される複層構造のセパレータを用いることにより、高温環境下で使用する場合の電池の信頼性をより高めることができる。
これら電池部品を納める電池ケースとしては、金属製の角形ケース、金属製の円筒ケース、ラミネートフィルムからなるラミネートケースなどが好ましく用いられる。
本発明の非水電解質二次電池は、優れた高出力特性を有していることから、このような特性を生かして、小型でありながら消費電力の大きな、移動通信体などの各種小型電子機器の電源用途、瞬間的な大電力が要求されるEVやHEVなどの電源用途を始めとして、従来公知のリチウム二次電池が適用されている用途に好ましく用いることができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施をすることは、全て本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1
<正極活物質の合成>
原料として炭酸リチウム、酸化マンガン、水酸化コバルト、水酸化ニッケルおよび酸化チタン(アナターゼ型)を使用し、正極活物質を合成した。原料は、各々モル比がLi:Mn:Ni:Co:Ti=1.05:0.3:0.33:0.33:0.03となるように秤量した。これらの原料を乳鉢にて混合した。得られた原料混合物と、5mmφジルコニアビーズと、粉砕助剤であるプロピレングリコール(原料混合物とプロピレングリコールとの合計量100質量%中、3質量%)とを、ジルコニア製ポットに入れ、遊星ボールミルにより2時間精密粉砕して、平均粒径が数十nmであるアモルファス状態の粉体を得た。
得られた粉体を電気炉に入れ、大気中雰囲気下、昇温速度10℃/minの条件で昇温し、その後1000℃で6時間焼成した。焼成後、降温速度10℃/minで炉内を冷却し、電気炉内が常温になったことを確認した後に焼成物を回収し、軽く解砕した後、フルイ分級により粒径30μm以上の粗大粒子を除去して、層状結晶構造を有する正極活物質を得た。
得られた正極活物質は、ICP分光分析により、仕込み通りLi1.05Mn0.3Ni0.33Co0.33Ti0.03であることを確認した。また、Cu−Kα線源によるX線回折装置から得られる正極活物質のX線回折プロファイルにおいて、2θ=31°付近にはピークは観測されなかった。そして、このX線回折測定により、LiNiOと同じ層状構造を有することを確認した。更にX線マイクロアナライザー(以下、EPMA)による正極活物質の元素マッピングにおいて、Tiの偏析がないことを確認した。また、正極活物質のBET比表面積は、1.10m/gであった。
<正極の作製>
上記の正極活物質100質量部と、導電助剤である鱗片状黒鉛10質量部と、結着剤であるPVDF5質量部とを配合して、正極合剤を得た。この正極合剤に分散媒であるNMPを添加し、混練して正極合剤含有スラリーを調製した。得られた正極合剤含有スラリーを集電体であるアルミニウム箔(厚み15μm)の片面に塗布し、乾燥後、圧延ロール機でプレスして、正極を得た。
<負極の作製>
負極活物質である低結晶カーボン90質量部と結着剤であるPVDF10質量部とを配合して負極合剤を調製し、これに分散媒であるNMPを加えて混練して、負極合剤含有スラリーを調製した。この負極合剤含有スラリーを集電体である銅箔(厚み8μm)の片面に塗布し、乾燥後、圧延ロール機でプレスして、負極を得た。
<直流抵抗(DCR)測定用非水電解質二次電池の作製>
上記の正極を、正極合剤層の形成部が40mm×72mmの長方形で、更に15mm×32mmの電流・電圧取り出し用タブ付け部を有する形に打ち抜き、上記タブ取り付け部に、アルミニウムからなる電流・電圧測定用タブ部を超音波溶接により取り付けた。また、上記の負極を、負極合剤層の形成部が42mm×74mmの長方形で、更に10mm×26mmの電流・電圧取り出し用タブ付け部を有する形に打ち抜き、上記タブ取り付け部に、ニッケルからなる電流・電圧測定用タブ部を超音波溶接により取り付けた。
タブ付けした正極と負極との間に、これらが接触しないように多孔質樹脂からなるセパレータを挟んで積層電極体とし、これを袋状のラミネートフィルム外装体内に収納した。積層電極体を収納したラミネートフィルム外装体内に電解液を注入し、真空状態で上記外装体を密封して、DCR測定用非水電解質二次電池(ラミネートセル)を作製した。なお、電解液には、ECとDECとの50:50(質量比)の混合溶媒に、LiPFを1mol/lの濃度で溶解させたものを用いた。
<放電容量測定用非水電解質二次電池の作製>
上記の正極を11mmφの大きさで打ち抜いた。この正極を用い、対極に金属リチウム板(厚み1mm)を、セパレータに多孔質樹脂からなるものを、および電解液にDCR測定用非水電解質二次電池に用いたものと同じ電解液を、それぞれ用いて、放電容量測定用非水電解質二次電池(二極式セル)を作製した。
実施例2
モル比で、Li:Mn:Ni:Co:Ti=1.05:0.26:0.33:0.33:0.07となるように各原料の仕込み比を調整した以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を合成した。得られた正極活物質についてICP分光分析を行い、Li1.05Mn0.26Ni0.34Co0.34Ti0.06であることを確認した。また、X線回折測定により、LiNiOと同じ層状構造を有することを確認した。
上記の正極活物質を用いた以外は、実施例1と同様にして、放電容量測定用非水電解質二次電池を作製した。
比較例1
Ti源となる酸化チタンを使用しない他は、実施例1と同様にして、Li1.05Mn0.33Ni0.33Co0.33の組成を有する正極活物質を合成し、この正極活物質を用いた以外は、実施例1と同様にして、DCR測定用非水電解質二次電池および放電容量測定用非水電解質二次電池を作製した。比較例1は、元素Mを有していない正極活物質と、これを用いた非水電解質二次電池の例である。
比較例2
各原料の仕込み比を、各々モル比がLi:Mn:Ni:Co:Ti=1.05:0.33:0.33:0.3:0.03となるようにした以外は、実施例1と同様にして、Li1.05Mn0.33Ni0.33Co0.3Ti0.03の組成を有する正極活物質を合成し、この正極活物質を用いた以外は、実施例1と同様にして、DCR測定用非水電解質二次電池および放電容量測定用非水電解質二次電池を作製した。比較例2は、Mnではなく、Coの一部を元素M(Ti)で置換した正極活物質と、これを用いた非水電解質二次電池の例である。
比較例3
モル比で、Li:Mn:Ni:Co:Ti=1.05:0.2:0.33:0.33:0.13となるように各原料の仕込み比を調整した以外は、実施例1と同様にして、正極活物質を合成した。得られた正極活物質についてICP分光分析を行い、Li1.06Mn0.20Ni0.34Co0.34Ti0.12であることを確認した。
上記の正極活物質を用いた以外は、実施例1と同様にして、放電容量測定用非水電解質二次電池を作製した。
実施例1および比較例1、2のDCR測定用非水電解質二次電池について、下記の初期DCR測定およびパルスサイクル試験を行った。
<初期DCR測定>
実施例1および比較例1、2のDCR測定用非水電解質二次電池について、充電により充電深度50%の状態にした後、1C、5Cまたは10C相当の電流を5秒間流した後の電圧変化から、オームの法則によって初期のDCRを求めた。
<パルスサイクル試験>
実施例1および比較例1、2のDCR測定用非水電解質二次電池について、充電により充電深度50%の状態にした後、10C相当の電流を10秒間流す充放電を1サイクルとして、この充放電を繰り返し行うパルスサイクル試験を行い、所定サイクル後の非水電解質二次電池のDCRを、上記の初期DCR測定と同じ方法で測定した。
また、実施例1、2および比較例1〜3の放電容量測定用非水電解質二次電池について、下記の放電容量測定を行った。
<非水電解質二次電池の放電容量測定>
実施例1、2および比較例1〜3の放電容量測定用非水電解質二次電池について、温度25℃で、まず電流密度0.2mA/cmの定電流で電圧4.3Vまで充電した後、4.3Vで定電圧充電をする定電流定電圧充電を8時間行った。充電終了後の非水電解質二次電池を5分放置した後、0.2mA/cmの定電流で終止電圧2.6Vまで放電させた。このときの正極活物質1gあたりの放電容量を、非水電解質二次電池の初期放電容量とした。
実施例1および比較例1、2の電池における上記の初期DCR測定および放電容量測定結果を表1に、パルスサイクル試験結果を図1に示す。また、実施例1、2および比較例1〜3の電池における上記の放電容量測定結果を、正極活物質における元素Mの量wと併せて表2に示す。なお、表1において、各電池の初期DCRは、比較例1の電池の初期DCRを100%とした場合の相対値で示している。
Figure 2008186650
Figure 2008186650
表1および表2から明らかなように、元素Mの量wが0.005≦w≦0.1の範囲にある本発明の正極活物質を用いて構成した実施例の非水電解質二次電池、すなわち、Mnの一部(10mol%)をTiで置換した正極活物質を用いて構成した実施例1、およびMnの約20mol%をTiで置換した正極活物質を用いて構成した実施例2の非水電解質二次電池では、Mnの約40mol%をTiで置換した比較例3の非水電解質二次電池に比べ放電容量が大きく、Mnの一部をTiで置換した場合の容量低下が少ないことが分かる。特に、w≦0.05とした実施例1の非水電解質二次電池では、放電容量が比較例1の電池と同等であり、Mnの一部をTiで置換しても、その容量が損なわれていないことも分かる。また、実施例1の非水電解質二次電池の初期DCRは、元素Mを含有しない正極活物質を用いて構成した比較例1の非水電解質二次電池よりも小さく、一方、Mnではなく、Coの一部(10mol%)をTiで置換した正極活物質を用いて構成した比較例2の非水電解質二次電池では、初期DCRが、実施例1の非水電解質二次電池よりも大きく、比較例1の非水電解質二次電池と同等であったことから、元素MによるMnの一部置換が電池のDCR低減に有効であることが分かる。
また、図1では、横軸にパルスのサイクル数を、縦軸には、電池の各サイクル数におけるDCRを比較例1の初期DCRを100%とした場合の相対値で、それぞれ示している。図1から明らかなように、Mnの一部をTiで置換した正極活物質を用いて構成した実施例1の電池では、そのDCRが、パルスサイクルを繰り返しても、比較例1の電池よりも小さい状態で変化しており、充放電の繰り返しによるDCRの上昇が抑えられている。なお、Coの一部をTiで置換した正極活物質を用いて構成した比較例2の電池では、パルスサイクルを繰り返すことによるDCRの上昇が、実施例1や比較例1の電池よりも大きかった。
このように、実施例の非水電解質二次電池は、初期DCRが低く、また、充放電を繰り返したときのDCRの上昇が抑えられており、高出力特性に優れたものである。
実施例1および比較例1、2の非水電解質二次電池のパルスサイクル試験の結果を示すグラフである。

Claims (5)

  1. 組成式LiMnNiCo(ただし、0.95≦a≦1.2、0.3≦x+w<0.35、0.3≦y<0.35、0.3≦z<0.35、0.005≦w≦0.1、0.95≦x+y+z+w≦1.05、M:Ti、Zr、Hf、Ge、Sn、およびPbよりなる群から選択される少なくとも1種の元素)で表され、層状結晶構造を有することを特徴とする非水電解質二次電池用正極活物質。
  2. 上記組成式中の元素Mの量wが、0.05以下である請求項1に記載の非水電解質二次電池用正極活物質。
  3. 上記組成式における元素MがTiである請求項1または2に記載の非水電解質二次電池用正極活物質。
  4. Cu−Kα線源を用いて得られるX線回折プロファイルにおいて、2θ=31°付近にピークが存在しない請求項1〜3のいずれかに記載の非水電解質二次電池用正極活物質。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の非水電解質二次電池用正極活物質を有することを特徴とする非水電解質二次電池。
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