JP2008185457A - パンタグラフの接触力測定方法及び接触力測定装置 - Google Patents

パンタグラフの接触力測定方法及び接触力測定装置 Download PDF

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Abstract

【課題】加圧部分にセンサを設置することなく精度のよい接触力測定を行うことができるパンタグラフの接触力測定方法及び接触力測定装置を提供する。
【解決手段】本発明は、すり板体110の舟体120に対する相対変位を、ラインCCDカメラ150によってこれらを撮像した撮像結果に基づいて求め、この相対変位を二階微分してすり板体110の舟体120に対する相対加速度を算出する。この相対加速度に基づいて求めたすり板体110の慣性力Fと、相対変位に基づいて求めたすり板体付勢バネ112の反力Fとを加算してパンタグラフ100の接触力Fとする。
【選択図】図3

Description

本発明は、電気鉄道におけるトロリ線とパンタグラフのすり板体との間に作用する接触力を測定する方法及び装置に関する。特には、より少ない数のセンサで精度の良い接触力測定を行うことができるパンタグラフの接触力測定方法及び接触力測定装置に関する。
現状の営業用の電気鉄道においては、トロリ線からパンタグラフを介して車両に電力を送る方式が一般的である。トロリ線とパンタグラフのすり板体との接触力は、トロリ線の高さ変動や車両・パンタグラフの振動等によって変動する。この接触力の変化が大きすぎると、パンタグラフのすり板体がトロリ線から離れる離線が生じるおそれがある。離線が頻発すると、すり板体とトロリ線との間にスパークが生じてすり板体の損耗が進み問題となる。また、離線に至らない場合でも、パンタグラフの接触力は極力変動の小さいほうがよい。
そこで、電車の走行中のトロリ線とパンタグラフとの接触力を測定し、得られた測定結果を離線の抑制対策の参考としたいとの要望がある。あるいは、このような接触力の測定技術は、離線の抑制対策だけではなく、トロリ線−パンタグラフ系の集電性能の評価や、電車線の設備診断方法の1つとして活用することも考えられている。
このようなパンタグラフの接触力測定技術として、以下が公知である。
(1)舟体支持バネの伸縮量を測定し、この伸縮量から同バネの押圧力を計算して接触力を求める。舟体支持バネの伸縮量は、舟体と舟体支持パイプの間の寸法を渦電流式や光学式の距離センサを用いて測定する(例えば、特許文献1を参照)。
ところが、この方法では、舟体(すり板を含む)の慣性力が無視されることとなり、接触力の測定誤差が生じ易い。
(2)舟体に取り付けた2種類のひずみゲージ(変位測定用及び揚力測定用)から舟体のひずみ(曲げモーメント)を測定するとともに、舟体に取り付けた加速度センサから舟体の加速度(慣性力)を推定し、これらの測定値に基づいて接触力を求める(例えば、特許文献2参照)。この方法においては、既存のパンタグラフを特別に加工する必要がなく、接触力を連続的に測定できる。
(3)舟体を支持する復元バネの両端に設置した光源を異方倍率レンズつきのCCDカメラで撮像し、バネの復元力を算出して接触力を求める(例えば、特許文献3参照)。
特開平7−291001号公報 特開平11−136804号公報 特開2001−235310号公報
しかし、上記したように、加速度センサを用いて慣性力を求める従来技術においては、ひずみゲージと加速度センサとをそれぞれ設置する必要があることからセンサ数が多くなってその配置が複雑となる。特に、複数のすり板を配列したいわゆる多分割タイプのすり板を有するパンタグラフの場合には、複数のすり板に加速度センサを装着するとともに、これらを支持する複数のバネにもひずみゲージを装着する必要があることから、全体としてセンサ数が多くなって煩雑である。
さらに、すり板や舟体のようにトロリ線を介して高電圧が印加される部分(加圧部分)に加速度センサを装着する場合、加速度センサの出力をテレメータを用いて車体側に伝達する必要がある。このため、テレメータ本体やその電源の設置によって測定装置の構成がより複雑化し、またテレメータの使用に際して、測定実施場所の法規によっては免許の取得等が必要となる。
また、CCDカメラによる撮像結果から接触力を求める方法の場合、加圧部分にセンサの設置をする必要はなくなるが、舟体の慣性力が無視されることによって測定誤差が生じ易い。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、加圧部分にセンサを設置することなく精度の良い接触力測定を行うことができるパンタグラフの接触力測定方法及び接触力測定装置を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するため、本発明のパンタグラフの接触力測定方法は、トロリ線に接触する摺動部、該摺動部を車体に対して昇降可能に支持する支持部、該支持部に対して前記摺動部を前記トロリ線方向に付勢する第1のバネ要素、及び、前記車体に対して前記支持部を前記トロリ線方向に付勢する第2のバネ要素を備えるパンタグラフにおいて、前記摺動部の前記トロリ線に対する接触力を測定するパンタグラフの接触力測定方法であって、前記摺動部及び前記支持部を撮像した撮像結果に基づいて前記摺動部の前記支持部に対する相対変位を求め、前記相対変位を二階微分して前記摺動部の前記支持部に対する相対加速度を求め、前記相対加速度に基づいて前記摺動部の慣性力を求め、前記相対変位に基づいて前記第1のバネ要素の反力を求め、前記慣性力及び前記反力を加算して前記接触力を求めることを特徴とする。
本発明によれば、撮像結果に基づいて摺動部の支持部に対する相対変位を求め、これを二階微分して相対加速度を求めてこの相対加速度から摺動部の慣性力を求めるとともに、この相対変位に基づいて第1のバネ要素の反力を求めることによって、パンタグラフの加圧部分にひずみゲージや加速度センサ等を設けることなく、摺動部の慣性力を考慮した精度の良い接触力測定を行うことができる。
なお、本明細書、請求の範囲等において、「慣性力」とは、摺動部に作用する上下方向の加速度に対応する接触力の成分を指すものとする。
本発明のパンタグラフの接触力測定方法においては、前記車体に対する前記支持部の相対変位を求め、前記支持部の相対変位を二階微分して前記支持部の前記車体に対する相対加速度を求め、前記支持部の前記車体に対する相対加速度に基づいて、前記摺動部の前記トロリ線への接触力を補正することができる。
この場合、摺動部と支持部との相対加速度と、摺動部の絶対加速度との誤差に起因する慣性力の誤差を補正して、より精度良くパンタグラフの接触力を測定することができる。
また、この場合には、車体に対する前記支持部の相対変位をレーザ変位計などの非接触センサによって求めることができる。
さらに上述した場合において、前記車体の加速度を求め、前記車体の加速度に基づいて、前記摺動部の前記トロリ線への接触力を補正することができる。
この場合、支持部と車体との相対加速度と、支持部の絶対加速度との誤差に起因する慣性力の誤差を補正して、よりいっそう精度良くパンタグラフの接触力を測定することができる。
また、本発明のパンタグラフの接触力測定方法は、前記摺動部を撮像した撮像結果に基づいて撮像部に対する前記摺動部の変位を求め、前記摺動部の前記撮像部に対する変位を二階微分して前記摺動部の加速度を求め、前記加速度に基づいて前記摺動部の慣性力を求めることもできる。
この場合、撮像部から見た摺動部の絶対変位を測定することができ、この絶対変位に基づいて摺動部の慣性力を求めることによって、車体に対する支持部の変位に起因する誤差を低減することができる。
また、この場合においては、前記撮像部に作用する加速度に基づいて、前記摺動部の慣性力を補正することができる。これによって、この加速度に起因する撮像部のブレの影響を低減し、より精度良く接触力を測定することができる。
本発明のパンタグラフの接触力測定方法においては、典型的には前記摺動部は舟体及び前記舟体に固定されたすり板を含み、前記支持部は前記舟体を前記車体に対して昇降可能に支持する枠体を含む構成とすることができる。
また、前記支持部は舟体及び該舟体を前記車体に対して将校可能に支持する枠体を含み、前記摺動部は前記舟体に対して前記第1のバネ要素を介して相対変位可能に支持されたすり板を含む構成とすることができる。
そして、前記支持部は、舟体及び該舟体を前記車体に対して昇降可能に支持する枠体を含み、前記摺動部は、前記舟体に対して複数の前記第1のバネ要素を介してそれぞれ相対変位可能に支持された複数のすり板を含み、複数の前記第1のバネ要素についてそれぞれ求めた前記反力及び前記慣性力を加算して前記摺動部の前記トロリ線への接触力を求める構成とすることができる。
この場合、複数のすり板体にそれぞれ加速度センサやひずみゲージを設けることなく各すり板体の慣性力を求めることができるので、センサを大幅に簡素化することができる。
本発明のパンタグラフの接触力測定方法においては、前記摺動部及び前記支持部の撮像をラインCCDカメラによって行うことができる。
この場合、ラインCCDは二次元画像を撮像するカメラよりも時間分解能、空間分解能に優れるため、異方倍率レンズや高速度カメラといった特殊な装置を必要とせずに摺動部の支持部に対する相対変位をより精度良く検出することができ、パンタグラフの接触力の測定精度を向上することができる。
本発明のパンタグラフの接触力測定方法においては、前記摺動部及び前記支持部を撮像する撮像手段のブレを検出し、該ブレに応じて前記撮像手段の光軸方向を変化させることができる。これによって、車両の走行による振動に起因する撮像手段のブレを補正し、パンタグラフの接触力の測定精度をよりいっそう向上することができる。
さらに、本発明においては、前記摺動部の前記支持部に対する相対変位と前記第1のバネ要素の反力との相関、及び、前記摺動部の加速度と前記摺動部の慣性力との相関を予めベンチ試験で求めることができる。
また、本発明のパンタグラフの接触力測定装置は、トロリ線に接触する摺動部、該摺動部を車体に対して昇降可能に支持する支持部、該支持部に対して前記摺動部を前記トロリ線方向に付勢する第1のバネ要素、及び、前記車体に対して前記支持部を前記トロリ線方向に付勢する第2のバネ要素を備えるパンタグラフにおいて、前記摺動部の前記トロリ線に対する接触力を測定するパンタグラフの接触力測定装置であって、前記摺動部及び前記支持部を撮像する撮像手段と、前記撮像手段の撮像結果に基づいて前記摺動部の前記支持部に対する相対変位を求める摺動部相対変位算出手段と、前記相対変位を二階微分して前記摺動部の前記支持部に対する相対加速度を求める摺動部相対加速度算出手段と、前記相対加速度に基づいて前記摺動部の慣性力を求める摺動部慣性力算出手段と、前記相対変位に基づいて前記第1のバネ要素の反力を求めるバネ反力算出手段と、前記慣性力及び前記反力を加算して前記接触力を求める接触力算出手段と、を備えることを特徴とする。
本発明においては、前記車体に対する前記支持部の相対変位を求める支持部相対変位検出手段と、前記支持部の相対変位を二階微分して前記支持部の前記車体に対する相対加速度を求める支持部相対加速度算出手段と、前記支持部の前記車体に対する相対加速度に基づいて、前記摺動部の前記トロリ線への接触力を補正する接触力補正手段と、を備える構成とすることができる。
この場合には、前記支持部相対変位検出手段はレーザ変位計などの非接触センサを有する構成とすることができる。
さらに、本発明においては、前記車体の加速度を求める車体加速度検出手段を備え、前記接触力補正手段は、前記車体の加速度に基づいて、前記摺動部の前記トロリ線への接触力を補正する構成とすることができる。
また、本発明のパンタグラフの接触力測定装置は、撮像手段の撮像結果に基づいて前記摺動部の撮像部に対する変位を求める摺動部変位検出手段と、前記摺動部の前記撮像部に対する変位を二階微分して前記摺動部の加速度を求める加速度算出手段を備える構成とすることができる。
この場合、前記撮像部に作用する加速度を検出する撮像部加速度検出手段と、前記撮像部に作用する加速度に基づいて前記摺動部の慣性力を補正する慣性力補正手段とを備える構成とすることができる。
本発明においては、前記摺動部は、舟体及び該舟体に固定されたすり板を含み、前記支持部は、前記舟体を前記車体に対して昇降可能に支持する枠体を含む構成とすることができる。
また、本発明においては、前記支持部は、舟体及び該舟体を車体に対して昇降可能に支持する枠体を含み、前記摺動部は、前記舟体に対して前記第1のバネ要素を介して相対変位可能に支持されたすり板を含む構成とすることができる。
さらに、本発明においては、前記支持部は、舟体及び該舟体を前記車体に対して昇降可能に支持する枠体を含み、前記摺動部は、前記舟体に対して複数の前記第1のバネ要素を介してそれぞれ相対変位可能に支持された複数のすり板体を含み、前記接触力算出手段は、複数の前記第1のバネ要素についてそれぞれ求めた前記慣性力及び前記反力を加算して前記摺動部の前記トロリ線への接触力を求める構成とすることができる。
本発明において、前記撮像手段はラインCCDカメラを備える構成とすることができる。
また、本発明において、前記撮像手段のブレを検出するブレ検出手段と、前記撮像手段のブレに応じて前記撮像手段の光軸方向を変化させるブレ補正駆動手段とを備える構成とすることができる。
以上のように、本発明によれば、摺動部及び舟体を撮像した撮像結果に基づいて摺動部の変位を求め、これを二階微分して相対加速度を求めるとともに、撮像結果に基づいて求めた摺動部と支持部との相対変位に基づいて第1のバネ要素の反力を求めることによって、パンタグラフの加圧部分にひずみゲージや加速度センサ等を設けることなく、摺動部の慣性力を考慮した精度の良い接触力測定を行うことができる。
以下、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明では、通常の鉄道車両の技術におけるのと同様に、レールの長手方向(車両の進行方向)を前後方向、軌道面におけるレール長手方向と直角をなす方向を左右方向(車幅方向)、軌道面に垂直な方向を上下方向と呼ぶ。
<第1の実施形態>
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、接触力の測定対象となるパンタグラフの周辺を前方側から見た状態を示す模式的立面図である。
図2は、パンタグラフ系の集中質量・バネモデルを示す図である。
車体屋根1に搭載されたパンタグラフ100は、図1の上から下に向かって、すり板体110、舟体120、枠体130、台枠140等を備えて構成されている。
すり板体110は、トロリ線(給電線)Tに接触し、車両の走行時にはトロリ線Tと摺動して導通を確保するプレート状の部材であって、例えば鉄系や銅系の焼結合金製、あるいは、カーボン系材料からなる。トロリ線Tは、ほぼ車両の進行方向に沿って延びているが、すり板体110の局所的な磨耗を防止するため、すり板体110の有効幅内において蛇行して配置されている。
本実施の形態において、すり板体110は舟体120に対して相対変位可能に支持された可動式すり板であって、また、車幅方向に配列された複数のすり板体要素(コマ)111からなる多分割すり板となっている。
個々のすり板体要素111は、すり板体付勢バネ(第1のバネ要素)112を介して舟体120に支持されている。すり板体付勢バネ112は、各すり板体要素111の車幅方向における両端部にそれぞれ設けられている。また、一対のすり板体要素111が隣接する箇所においては、これらの中間に配置された一つのすり板体付勢バネ112が双方のすり板体要素111にそれぞれ接続されている。
また、すり板体要素111は、隣接する他のすり板体要素111と、例えば銅製薄板等の弾性連結部材113(図3参照。)によって接続され、例えば1つのすり板体要素111が変位した場合には、近隣の他のすり板体要素111も連動して変位する。この点については後に詳しく説明する。
舟体120は、車幅方向に延びる梁状の部材であって、上述したすり板体110を支持する。上述したすり板体110を構成する個々のすり板体要素111は、すり板体付勢バネ112の伸縮に応じて舟体120に対して上下方向に相対変位する。
枠体130は、舟体120を車体に対して上下方向に変位可能に支持する。同枠体130は、リンク機構を備えており、すり板体110がトロリ線Tに接した上昇状態と、パンタグラフ100の不使用時にすり板体110がトロリ線Tから離間した下降状態とをとることができる。
また、枠体130は、舟体120をトロリ線方向(上方)に押し上げる方向に付勢する枠体付勢バネ(第2のバネ要素)を備えている。枠体付勢バネは、例えば、エアシリンダやコイルバネを備えている。
台枠140は、車体屋根1に固定され、枠体130の下端部を支持するパンタグラフ100の基部である。また、台枠140と車体屋根1との間には、絶縁用の碍子141が設けられている。
さらに、本実施形態においては、ラインCCDカメラ150、レーザ変位計160、及び、図示しない加速度センサが設けられている。
ラインCCDカメラ150は、すり板体110を構成するすり板体要素111と舟体120とを動画撮像するものであり、一次元的に配列された複数の撮像素子(ラインCCDセンサ)を備えている。この撮像素子の配列方向(走査線方向)は、すり板体110の舟体120に対する上下方向の相対変位と対応する方向に配置されている。また、ラインCCDカメラ150には、その撮像結果(画像出力)に所定の画像処理を施し、舟体120に対するすり板体要素111の相対変位を算出する図示しない画像処理手段が設けられている。
なお、図1、2等において、ラインCCDカメラ150は例えば1つのみ図示するが、本実施形態のような多分割すり板の場合において、測定が必要な箇所が複数存在する場合には、各測定箇所に対応して複数のラインCCDカメラ150を設けるとよい。
さらに、ラインCCDカメラ150には、ブレ検出用のCCDカメラ151、XYトラッカ152、情報処理装置153、サーボモータ154を備えている。
CCDカメラ151は、2次元画像を撮像する撮像手段であり、すり板体110に設けられた図示しない追尾対象マークを含む画像を撮像する。
XYトラッカ152は、CCDカメラ151が出力する画像信号を処理し、この画像内における追尾対象マークの横方向(車幅方向)における画素位置変化を検出する。
情報処理装置153は、典型的にはパーソナルコンピュータを備えて構成され、XYトラッカ152の出力に基づいて、CCDカメラ151が撮像した画像内において追尾対象マークの画素位置が横方向に変化した場合に、追尾対象マークの画素位置をもとの位置へ復帰させるようにサーボモータ154に制御信号を出力する。
上述した構成により、ラインCCDカメラ150は、車両の走行による横方向の振動に関わらず、撮像対象部の横方向へのずれが防止されている。
レーザ変位計160は、台枠140に対する舟体120の上下方向変位を検出するものである。
また、加速度センサは、車体の上下方向加速度を検出するものである。
次に、本実施の形態のパンタグラフの接触力測定方法について説明する。
まず、集中質量とバネを用いたモデルを用いた数値計算によって多分割すり板の復元力及び慣性力を求める方法について説明する。
ここで、図2に示すように、すり板体の質量をm、舟体及び枠の質量をm、すり板体付勢バネ112のバネ定数をk、すり板体、舟体、台枠(車体)の変位をそれぞれx,x,xとする。
なお、実際にはすり板体付勢バネ112、枠体付勢バネのそれぞれに対応する減衰要素が存在するが、これらはともに影響が微小であり接触力に対する寄与が小さいことから無視しても差支えない。
図2に示したモデルの運動方程式は、質点mに加振力F(t)が加わるとすると、
Figure 2008185457
となる。
式1をラプラス変換し、ベクトル
Figure 2008185457
で整理すると、
Figure 2008185457
となる。ただし、初期値を0としているのは、平衡点からの変化分に注目しているためである。
式2の左辺の行列の逆行列をAとし、式2の両辺にかけると、
Figure 2008185457
となる。ところで、xは実際の車両では台枠の変位、つまり車両の上下変位に相当する。車両の上下変位が非常に小さいと仮定すると、式3は、
Figure 2008185457
と変換できる。
ところで、図2でバネ定数kをもつすり板体付勢バネ112による復元力Feは、すり板体110と舟体120との相対変位により決定するので、
Figure 2008185457
となる。
また、慣性力Fiは、すり板質量とすり板加速度により決定するので、
Figure 2008185457
となる。
ここで、s領域における接触力に対する慣性力Fと復元力Fの比をそれぞれR(s),R(s)とすると、
Figure 2008185457
となる。
これを周波数領域で考えると、
Figure 2008185457
となり、周波数ごとの寄与度がわかる。
但し、A11,jω,A21,jωは、それぞれA11,A21を周波数領域に置き換えたものである。式8では複素数のままであるので、その絶対値をとった値を用いて結果を表示する。
次に、上述した計算を行うための各定数の設定について説明する。
本実施形態において、上記計算に用いるmは、0.7kgとする。
また、m=16.6kgとする。
また、バネ定数は約14000N/mとする。
本実施の形態に係るパンタグラフにおいては、例えば約10.3Hzまでは慣性力の寄与は低く接触力全体に占める割合が2割以下となり、復元力の寄与が大きくなる。一方、11Hz以上では接触力全体に占める慣性力の寄与が2割以上となり、20Hz以上では慣性力が接触力全体を占めるようになる。
なお、実際には慣性力及び復元力のほかに、減衰力及び空気力が接触力に影響する。しかし、減衰力の寄与は小さく実質的に無視できる場合が多い。また、空気力の寄与も小さいが、必要であれば風洞試験等によってパンタグラフ100の揚力係数Cを測定し、これと車両の走行速度から空気力を求め接触力を補正してもよい。
トロリ線Tを支持するハンガ間の周期が5mである場合、車両が360km/hで走行すると、ハンガ由来の加振力の周波数は20Hzとなるので、接触力測定においては30Hz程度の周波数帯まで精度を確保することが求められる。図5より、慣性力を考慮しない場合には接触力測定の精度が保証される周波数は10Hz程度となってしまうので、この要求を満たすことができない。
そこで、本実施の形態では、ラインCCDカメラ150ですり板体110及び舟体120を撮像した撮像結果を画像処理してすり板体110のすり板体要素111の加速度を求めている。つまり、ラインCCDカメラ150の出力からxとxの相対変位x−xが測定でき、x−x=g(ε)として表すことができる。このとき、x−xの時間の二階微分をとると、
Figure 2008185457
となる。
そして、すり板体要素111の加速度を、
Figure 2008185457
で代用すると、
Figure 2008185457
となる。
そこで、
Figure 2008185457
の寄与が低ければ、すり板体要素111と舟体120との相対変位を測定することによって慣性力を推定し、接触力を測定することができる。
ここで、舟体120の加速度とすり板体要素111の質量とを積算した力である
Figure 2008185457
を測定できないとき、共振点付近では13%程度の力を測定できなくなり誤差となる。ところが、
Figure 2008185457
は舟体の変位、つまり車体(台枠)に対する枠の上下運動を観測することで測定することができる。ここで、この値は車体の上下方向変位が小さい場合には
Figure 2008185457
とほぼ一致するから、レーザ変位計160によって台枠140に対する舟体120の上下方向変位を測定し、これを二階微分した値によって接触力を補正し、測定精度を向上することができる。
また、車体の上下方向加速度が無視できない程度に大きい場合においては、式1においてx−x=x12,x−x=x23とすると、
Figure 2008185457
となる。
ここで、
Figure 2008185457
は、車体に設けられた加速度センサによって測定することができる。
従って、加速度センサの出力を用いて接触力の補正を行うことによって、さらに測定精度を向上することができる。
図3は、本実施の形態のパンタグラフの接触力測定方法を示すフローチャートである。
以下、ステップ毎に順を追って説明する。
<ステップS01:ラインCCD撮像>
ラインCCDカメラ150によって、すり板体110を構成するすり板体要素111のうち測定対象となるもの、及び、舟体120を含む画像を撮像する。
<ステップS02:すり板体−舟体相対変位検出>
ステップS01において撮像された画像データに画像処理を施し、舟体120に対するすり板体111の相対変位x−xを算出する。
<ステップS03:すり板体−舟体相対変位の時間二階微分>
ステップS02において算出された舟体120に対するすり板体要素111の相対変位x−xを時間で二階微分する。
<ステップS04:すり板体−舟体相対加速度算出>
ステップS03における舟体120に対するすり板体要素111の相対変位x−xの二階微分結果を、すり板体要素111の舟体120に対する相対加速度とする。
<ステップS05:舟体−車体相対変位検出>
レーザ変位計160によって舟体120の車体に対する相対変位x−xを検出する。
<ステップS06:舟体−車体相対変位時間二階微分>
ステップS05において求めた舟体120の車体に対する相対変位x−xを時間で二階微分する。
<ステップS07:舟体―車体相対加速度算出>
ステップS06における舟体120の車体に対する相対変位x−xの時間二階微分結果を、舟体120の車体に対する相対加速度とする。
<ステップS08:車体加速度算出>
車体に備えられた図示しない加速度センサを用いて、車体の上下方向の加速度(絶対加速度)を検出する。
<ステップS09:各加速度加算>
ステップS04において求めたすり板体要素111の舟体120に対する相対加速度、ステップS07において求めた舟体120の車体に対する相対加速度、及び、ステップS08において検出した車体の上下方向の加速度を加算し、すり板体111の絶対加速度を算出する。
<ステップS10:ベンチ試験による等価質量算出>
事前にパンタグラフ100のベンチ試験を行い、すり板体要素111の等価質量m及びすり板体付勢バネ112の等価バネ定数kを算出しておく。
<ステップS11:すり板体要素絶対加速度と等価質量を乗算>
ステップS09において求めたすり板体要素111の絶対加速度と、ステップS10において求めたすり板体要素111の等価質量とを乗算し、すり板体要素111の慣性力Fを算出する。
<ステップS12:変位に基くバネ反力の算出>
ステップS02において算出された舟体120に対するすり板体要素111の相対変位(すり板体付勢バネ112の伸縮量)と、上述したベンチ試験によって求めたすり板体付勢バネ112のバネ定数とに基づいて、すり板体付勢バネ112の反力(復元力)Fを算出する。
<ステップS13:慣性力と反力の加算による接触力の算出>
ステップS11において算出された慣性力Fと、ステップS12において算出された反力Fとを合算し、パンタグラフ100の接触力Fを算出する。
ここで、測定対象となるパンタグラフが複数のすり板体要素111とすり板体付勢バネ112とを有する多分割すり板を備えたものであるときは、個々のすり板体付勢バネ112のひずみからそれぞれ算出した接触力を、全てのバネについて合算することによってパンタグラフ100の接触力Fを求めることができる。
次に、上述した本実施の形態の効果を、以下説明する本発明の比較例と対比して説明する。なお、比較例の説明において、上述した本実施の形態と共通する箇所については同じ符号を付して説明を省略する。
図4は、比較例におけるパンタグラフの接触力測定における集中質量・バネモデルとセンサの配置を示す模式図である。
比較例においては、すり板体付勢バネ112に、その伸縮に伴うひずみを検出するひずみゲージ170が装着されている。このひずみゲージ170としては、例えば、ファイバ・ブラッグ・グレーティング(FBG)光ファイバセンサ等が用いられる。ひずみゲージ170は、すり板体付勢バネ112に直接貼り付けてもよく、またすり板体付勢バネ112の上面もしくは下面に小さな梁をわたして、ここに貼り付けてもよい。
また、比較例においては、すり板体110を構成するすり板体要素111に、その加速度を検出する加速度センサ180を装着している。ここで、すり板体要素111は、トロリ線Tから供給される高電圧が印加された加圧部であることから、加速度センサ180の出力は、図示しないテレメータ装置を用いて車体側に伝送される。
図5は、比較例のパンタグラフの接触力測定方法を示すフローチャートである。以下、ステップ毎に順を追って説明する。
<ステップS51:すり板体加速度測定>
加速度センサ180を用いてすり板体要素111に作用する加速度を測定する。
<ステップS52:加速度に基く慣性力の算出>
ステップS51において算出されたすり板体要素111の加速度に基づいて、すり板体要素111に作用する慣性力を算出する。
<ステップS53:すり板体付勢バネひずみ測定>
すり板体付勢バネ112のひずみを、ひずみゲージ170を用いて測定する。
<ステップS54:ひずみに基くバネ反力の算出>
ステップS53において測定されたすり板体付勢バネ112のひずみと、上述したベンチ試験によって求めたすり板体付勢バネ112のバネ定数とに基づいて、すり板体付勢バネ112の反力(復元力)を算出する。
<ステップS55:慣性力と反力の合算による接触力の算出>
ステップS52において算出された慣性力と、ステップS54において算出された反力とを合算し、パンタグラフ100の接触力を算出する。
比較例においては、加速度センサ180からの出力
Figure 2008185457
とひずみゲージ170の出力εから接触力を求めている。この場合、ひずみから直接バネ反力Fは測定できないため、予めベンチ試験によって関数F=f(ε)を用意し、得られたひずみから反力を求めている。また、加速度からも直接的に慣性力Fが得られるわけではないので、ベンチ試験によって
Figure 2008185457
を用意し、得られた加速度から慣性力を求めている。そして、慣性力Fと反力Fを合算してパンタグラフの接触力を求めている。
比較例においては、パンタグラフ100の接触力測定に際し、加速度センサ180をすり板体要素111の各コマに装着するとともに、ひずみゲージ170を個々のすり板体付勢バネ112に装着する必要があることから、センサ数が多くなり、測定装置の構成やセンサの設置作業が煩雑となる。また、加速度センサ180の出力はテレメータを用いて車体側に伝送する必要があるから、テレメータ装置の設置、電源の確保も煩雑であり、さらにテレメータの使用に際して法規等に応じて免許の取得等が必要な場合もある。
これに対し、本実施の形態によれば、すり板体110及び舟体120をラインCCDカメラ150で撮像した撮像結果を画像処理して、これらの相対変位x−xを求めることができる。この変位を時間で二階微分することによって、
Figure 2008185457
を求め、同様にベンチ試験で得た慣性力の式
Figure 2008185457
から慣性力を求める。
ただし、上述した式では
Figure 2008185457
の項が余分に含まれてしまい誤差になり得るが、すり板体の質量が軽い場合にはこの項による影響は無視し得る程度まで小さくなるため、高い精度でパンタグラフの接触力を測定することができる。
また、すり板体の質量が比較的大きい場合であっても、上述したようにレーザ変位計160の出力から求めた車体に対する舟体の相対加速度、及び、車体に設けた加速度センサによって求めた車体の絶対加速度を用いて、すり板体の加速度を補正することによって、測定精度を確保することができる。
また、本実施の形態によれば、比較例のようにすり板体に加速度センサを設けたり、すり板体付勢バネにひずみゲージを設ける必要がないため、センサ数を低減し、さらにテレメータ装置及びその電源等も不要となり、測定準備作業や測定装置の構成を簡素化することができる。
さらに、ラインCCDカメラ150に装着したCCDカメラ151の画像出力をXYトラッカ152及び情報処理装置152によって処理し、サーボモータ154によってラインCCDカメラ150が所定の撮像対象部を追尾することから、車幅方向(枕木方向)の振動に関わらず、パンタグラフの接触力測定を精度よく行うことができる。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態においては、ラインCCDカメラ150の撮像結果に基づいて、直接車体に対するすり板体要素111の変位を検出している。
また、第2の実施形態においては、第1の実施形態におけるレーザ変位計160は用いず、一方ラインCCDカメラ150の振動による上下方向加速度を検出する図示しない加速度センサが設けられる。
図6は、第2の実施形態におけるパンタグラフの接触力測定方法を示すフローチャートである。以下、ステップ毎に順を追って説明する。
<ステップS21:ラインCCD撮像>
ラインCCDカメラ150によって、すり板体110を構成するすり板体要素111のうち測定対象となるもの及び舟体120を含む画像を撮像する。
<ステップS22:すり板体変位検出>
ステップS21において撮像された画像データに画像処理を施し、すり板体111の絶対変位xを算出する。
<ステップS23:すり板体変位の時間二階微分>
ステップS22において算出されたすり板体要素111の絶対変位xを時間で二階微分する。
<ステップS24:すり板体加速度算出>
ステップS23におけるすり板体要素111の絶対変位xの二階微分結果を、すり板体要素111の絶対加速度とする。
<ステップS25:車体加速度算出>
車体に備えられた図示しない加速度センサを用いて、車体の上下方向の加速度(絶対加速度)を検出する。
<ステップS26:ラインCCDカメラ加速度検出>
ラインCCDカメラ150に備えられた加速度センサによって、車両等の振動に起因してラインCCDカメラ150に発生する上下方向の加速度を検出する。
<ステップS27:すり板体加速度補正値算出>
ステップS24において求めたすり板体要素111の加速度を、
Figure 2008185457
ステップS25において求めた車体の加速度を、
Figure 2008185457
ステップS26において求めたラインCCDカメラ150の振動による加速度を、
Figure 2008185457
とすると、ラインCCDカメラ150の振動に起因する加速度によるすり板体要素111の加速度測定結果への影響は、ラインCCDカメラ150の設置位置、角度、レンズの焦点距離などにより決定される定数αを、ラインCCDカメラ150の加速度
Figure 2008185457
に乗じた値として、すり板体要素111の加速度
Figure 2008185457
に加えられる。そのため、ラインCCDカメラ150の撮像結果生データに基づいて得られるすり板体要素111の加速度は、
Figure 2008185457
である。そこで、ラインCCDカメラ150の振動による加速度の影響を減じるために、測定された加速度に対して定数αをラインCCDカメラ150の加速度に乗じた補正値
Figure 2008185457
を算出する。
<ステップS28:各加速度加算>
ステップS24において算出したすり板体要素111の加速度
Figure 2008185457
に、ステップS25で求めた車体の加速度
Figure 2008185457
及び、ステップS27で求めた補正値
Figure 2008185457
を加算する補正を行う。これによって、上述したラインCCDカメラ150の振動による影響の補正に加え、車体に設けられた加速度センサによって検出された車体の加速度を用いた補正を行うことで、すり板体要素111の絶対加速度を精度よく測定することができる。
<ステップS29:ベンチ試験による等価質量算出>
事前にパンタグラフ100のベンチ試験を行い、すり板体要素111の等価質量m及びすり板体付勢バネ112の等価バネ定数kを算出しておく。
<ステップS30:すり板体要素絶対加速度と等価質量を乗算>
ステップS28において求めたすり板体要素111の絶対加速度と、ステップS29において求めたすり板体要素111の等価質量とを乗算し、すり板体要素111の慣性力Fを算出する。
<ステップS31:すり板体−舟体相対変位検出>
ステップS01において撮像された画像データに画像処理を施し、舟体120に対するすり板体111の相対変位x−xを算出する。
<ステップS32:変位に基くバネ反力の算出>
ステップS31において算出された舟体120に対するすり板体要素111の相対変位(すり板体付勢バネ112の伸縮量)と、上述したベンチ試験によって求めたすり板体付勢バネ112のバネ定数とに基づいて、すり板体付勢バネ112の反力(復元力)Fを算出する。
<ステップS33:慣性力と反力の加算による接触力の算出>
ステップS30において算出された慣性力Fと、ステップS32において算出された反力Fとを合算し、パンタグラフ100の接触力Fを算出する。
以上説明した第2の実施形態においても、上述した第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
(他の実施の形態)
なお、本発明は上記した実施の形態のみに限定されるものではなく、種々の応用や変形が考えられる。例えば、上記実施の形態を応用した次の各形態を実施することもできる。
(1)上述した実施の形態では、ラインCCDカメラを用いてすり板体と舟体との相対変位を検出しているが、本発明はこれに限らず、一般的な二次元画像を撮像するCCDカメラ、CMOSカメラ等の撮像装置を用いてもよい。
(2)上述した実施の形態は、舟体に対して変位可能な多分割すり板を備えたパンタグラフに係るものであったが、本発明はこれに限らず、分割されていない一体型の可動式すり板を備えたパンタグラフにも適用することができる。また、すり板体が舟体に対して一定的に固定されたパンタグラフにも適用することができる。この場合、上述した集中質量・バネモデルにおいて、すり板体と舟体の質量の合計をmとし、枠体の質量をmとするとよい。
(3)上述した第1の実施形態においては、舟体の加速度を、レーザ変位計で測定した車体と舟体との相対変位に基づいて求めているが、本発明はこれに限らず、他の方法によって舟体の加速度を検出してもよい。例えば、舟体に加速度センサを装着して舟体の絶対加速度を直接検出してもよい。
本発明の第1の実施の形態に係る電気鉄道のパンタグラフ周辺を示す模式的立面図である。 第1の実施の形態のパンタグラフの集中質量・バネモデルを示す図である。 第1の実施の形態に係るパンタグラフの接触力測定方法を示すフローチャートである。 本発明の比較例におけるパンタグラフの接触力測定における集中質量・バネモデルとセンサの配置を示す模式図である。 本発明の比較例であるパンタグラフの測定方法を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施の形態に係るパンタグラフの接触力測定方法を示すフローチャートである。
符号の説明
1 車体屋根
100 パンタグラフ
110 すり板体
111 すり板体要素(コマ)
112 すり板体付勢バネ
113 弾性結合部材
120 舟体
130 枠体
140 台枠
141 碍子
150 ラインCCDカメラ
160 レーザ変位計

Claims (23)

  1. トロリ線に接触する摺動部、該摺動部を車体に対して昇降可能に支持する支持部、該支持部に対して前記摺動部を前記トロリ線方向に付勢する第1のバネ要素、及び、前記車体に対して前記支持部を前記トロリ線方向に付勢する第2のバネ要素を備えるパンタグラフにおいて、前記摺動部の前記トロリ線に対する接触力を測定するパンタグラフの接触力測定方法であって、
    前記摺動部及び前記支持部を撮像した撮像結果に基づいて前記摺動部の前記支持部に対する相対変位を求め、
    前記相対変位を二階微分して前記摺動部の前記支持部に対する相対加速度を求め、
    前記相対加速度に基づいて前記摺動部の慣性力を求め、
    前記相対変位に基づいて前記第1のバネ要素の反力を求め、
    前記慣性力及び前記反力を加算して前記接触力を求めることを特徴とするパンタグラフの接触力測定方法。
  2. 前記車体に対する前記支持部の相対変位を求め、
    前記支持部の相対変位を二階微分して前記支持部の前記車体に対する相対加速度を求め、
    前記支持部の前記車体に対する相対加速度に基づいて、前記摺動部の前記トロリ線への接触力を補正することを特徴とする請求項1に記載のパンタグラフの接触力測定方法。
  3. 前記車体に対する前記支持部の相対変位はレーザ変位計などの非接触センサによって求めることを特徴とする請求項2に記載のパンタグラフの接触力測定方法。
  4. 前記車体の加速度を求め、
    前記車体の加速度に基づいて、前記摺動部の前記トロリ線への接触力を補正することを特徴とする請求項1乃至3に記載のパンタグラフの接触力測定方法。
  5. トロリ線に接触する摺動部、該摺動部を車体に対して昇降可能に支持する支持部、該支持部に対して前記摺動部を前記トロリ線方向に付勢する第1のバネ要素、及び、前記車体に対して前記支持部を前記トロリ線方向に付勢する第2のバネ要素を備えるパンタグラフにおいて、前記摺動部の前記トロリ線に対する接触力を測定するパンタグラフの接触力測定方法であって、
    前記摺動部及び前記支持部を撮像した撮像結果に基づいて前記摺動部の前記支持部に対する相対変位を求め、
    前記摺動部の前記支持部に対する相対変位に基づいて前記第1のバネ要素の反力を求め、
    前記摺動部を撮像した撮像結果に基づいて撮像部に対する前記摺動部の変位を求め、
    前記摺動部の前記撮像部に対する変位を二階微分して前記摺動部の加速度を求め、
    前記加速度に基づいて前記摺動部の慣性力を求め、
    前記反力及び前記慣性力を加算して前記接触力を求めることを特徴とするパンタグラフの接触力測定方法。
  6. 前記撮像部に作用する加速度に基づいて、前記摺動部の慣性力を補正すること
    を特徴とする請求項5に記載のパンタグラフの接触力測定方法。
  7. 前記摺動部は舟体及び前記舟体に固定されたすり板を含み、
    前記支持部は前記舟体を前記車体に対して昇降可能に支持する枠体を含むこと
    を特徴とする請求項1乃至6に記載のパンタグラフの接触力測定方法。
  8. 前記支持部は舟体及び該舟体を前記車体に対して昇降可能に支持する枠体を含み、
    前記摺動部は前記舟体に対して前記第1のバネ要素を介して相対変位可能に支持されたすり板を含むことを特徴とする請求項1乃至6に記載のパンタグラフの接触力測定方法。
  9. 前記支持部は、舟体及び該舟体を前記車体に対して昇降可能に支持する枠体を含み、
    前記摺動部は、前記舟体に対して複数の前記第1のバネ要素を介してそれぞれ相対変位可能に支持された複数のすり板を含み、
    複数の前記第1のバネ要素についてそれぞれ求めた前記慣性力及び前記反力を加算して前記摺動部の前記トロリ線への接触力を求めること
    を特徴とする請求項1乃至6に記載のパンタグラフの接触力測定方法。
  10. 前記摺動部及び前記支持部の撮像をラインCCDカメラによって行うことを特徴とする請求項1乃至9に記載のパンタグラフの接触力測定方法。
  11. 前記摺動部及び前記支持部を撮像する撮像手段のブレを検出し、該ブレに応じて前記撮像手段の光軸方向を変化させることを特徴とする請求項1乃至10に記載のパンタグラフの接触力測定方法。
  12. 前記摺動部の前記支持部に対する相対変位と前記第1のバネ要素の反力との相関、及び、前記摺動部の加速度と前記摺動部の慣性力との相関を予めベンチ試験で求めることを特徴とする請求項1乃至11に記載のパンタグラフの接触力測定方法。
  13. トロリ線に接触する摺動部、該摺動部を車体に対して昇降可能に支持する支持部、該支持部に対して前記摺動部を前記トロリ線方向に付勢する第1のバネ要素、及び、前記車体に対して前記支持部を前記トロリ線方向に付勢する第2のバネ要素を備えるパンタグラフにおいて、前記摺動部の前記トロリ線に対する接触力を測定するパンタグラフの接触力測定装置であって、
    前記摺動部及び前記支持部を撮像する撮像手段と、
    前記撮像手段の撮像結果に基づいて前記摺動部の前記支持部に対する相対変位を求める相対変位算出手段と、
    前記相対変位を二階微分して前記摺動部の前記支持部に対する相対加速度を求める摺動部相対加速度算出手段と、
    前記相対加速度に基づいて前記摺動部の慣性力を求める摺動部慣性力算出手段と、
    前記相対変位に基づいて前記第1のバネ要素の反力を求めるバネ反力算出手段と、
    前記慣性力及び前記反力を加算して前記接触力を求める接触力算出手段と、を備えることを特徴とするパンタグラフの接触力測定装置。
  14. 前記車体に対する前記支持部の相対変位を求める支持部相対変位検出手段と、
    前記支持部の相対変位を二階微分して前記支持部の前記車体に対する相対加速度を求める支持部相対加速度算出手段と、
    前記支持部の前記車体に対する相対加速度に基づいて、前記摺動部の前記トロリ線への接触力を補正する接触力補正手段と、を備えることを特徴とする請求項13に記載のパンタグラフの接触力測定装置。
  15. 前記支持部相対変位検出手段はレーザ変位計などの非接触センサを有することを特徴とする請求項14に記載のパンタグラフの接触力測定装置。
  16. 前記車体の加速度を求める車体加速度検出手段を備え、
    前記接触力補正手段は、前記車体の加速度に基づいて、前記摺動部の前記トロリ線への接触力を補正することを特徴とする請求項14又は15に記載のパンタグラフの接触力測定装置。
  17. トロリ線に接触する摺動部、該摺動部を車体に対して昇降可能に支持する支持部、該支持部に対して前記摺動部を前記トロリ線方向に付勢する第1のバネ要素、及び、前記車体に対して前記支持部を前記トロリ線方向に付勢する第2のバネ要素を備えるパンタグラフにおいて、前記摺動部の前記トロリ線に対する接触力を測定するパンタグラフの接触力測定装置であって、
    前記摺動部及び前記支持部を撮像する撮像手段と、
    前記撮像手段の撮像結果に基づいて前記摺動部の前記支持部に対する相対変位を求める相対変位算出手段と、
    前記摺動部の前記支持部に対する相対変位に基づいて前記第1のバネ要素の反力を求めるバネ反力算出手段と、
    前記撮像手段の撮像結果に基づいて前記摺動部の撮像部に対する変位を求める摺動部変位検出手段と、
    前記摺動部の前記撮像部に対する変位を二階微分して前記摺動部の加速度を求める加速度算出手段と、
    前記加速度に基づいて前記摺動部の慣性力を求める摺動部慣性力算出手段と、
    前記反力及び前記慣性力を加算して前記接触力を求める接触力算出手段と、を備えることを特徴とするパンタグラフの接触力測定装置。
  18. 前記撮像部に作用する加速度を検出する撮像部加速度検出手段と、
    前記撮像部に作用する加速度に基づいて前記摺動部の慣性力を補正する慣性力補正手段とを備えることを特徴とする請求項17に記載のパンタグラフの接触力測定装置。
  19. 前記摺動部は、舟体及び該舟体に固定されたすり板を含み、
    前記支持部は、前記舟体を前記車体に対して昇降可能に支持する枠体を含むこと
    を特徴とする請求項13乃至18に記載のパンタグラフの接触力測定装置。
  20. 前記支持部は、舟体及び該舟体を前記車体に対して昇降可能に支持する枠体を含み、
    前記摺動部は、前記舟体に対して前記第1のバネ要素を介して相対変位可能に支持されたすり板を含むことを特徴とする請求項13乃至18に記載のパンタグラフの接触力測定装置。
  21. 前記支持部は、舟体及び該舟体を前記車体に対して昇降可能に支持する枠体を含み、
    前記摺動部は、前記舟体に対して複数の前記第1のバネ要素を介してそれぞれ相対変位可能に支持された複数のすり板を含み、
    前記接触力算出手段は、複数の前記第1のバネ要素についてそれぞれ求めた前記慣性力及び前記反力を加算して前記摺動部の前記トロリ線への接触力を求めることを特徴とする請求項13乃至18に記載のパンタグラフの接触力測定装置。
  22. 前記撮像手段はラインCCDカメラを備えることを特徴とする請求項13乃至21に記載のパンタグラフの接触力測定装置。
  23. 前記撮像手段のブレを検出するブレ検出手段と、
    前記撮像手段のブレに応じて前記撮像手段の光軸方向を変化させるブレ補正駆動手段とを備えることを特徴とする請求項13乃至22に記載のパンタグラフの接触力測定装置。
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