以下に添付図面を参照して、本発明に係る除湿空調システムの好適な実施の形態について詳細に説明する。尚、本実施の形態では、除湿空調装置の対象室は、例えばスーパーマーケット、コンビニエンスストア、ショッピングセンター等の店舗であるとして説明する。
図1は、本発明の実施の形態における除湿空調システムの構成を模式的に示す模式図である。ここに例示する除湿空調システムは、店舗1の内部への外気導入による換気、除湿および空気調和を行うものであり、除湿空調装置10と冷却装置20とを備えて構成してある。
除湿空調装置10は、除湿ロータ30、空気供給手段40、空気放出手段50およびヒートポンプユニット60を備えて構成してある。
除湿ロータ30は、短軸円柱状に形成した例えば紙やゼオライト系等の水分吸着体31が設けてある。水分吸着体31は、モータ(図2参照)32の駆動によりその中心軸回りに回転するものである。より詳細に説明すると、水分吸着体31は、互いに区画され、かつ空気の流路を構成する水分吸着領域41と水分放出領域51との間を交互に通過する態様で回転するものである。すなわち、除湿ロータ30は、区画された水分吸着領域41と水分放出領域51との間で水分吸着体31を循環移動させるものである。これにより水分吸着体31が回転すると、水分吸着領域41に位置した部分は水分放出領域51に移動し、次いで再び水分吸着領域41に移動することを順次繰り返すことになる。
空気供給手段40は、導入した処理空気(外気)を店舗1の内部に供給するためのものであり、空気供給路400を有している。
空気供給路400は、除湿空調装置10を構成する筐体の内部に設けてあり、処理空気取入口401から取り入れた処理空気を、処理空気吐出口402を通じて店舗1の内部に供給するための経路であり、水分吸着領域41および供給ファン42が処理空気取入口401側から順に設けてある。
水分吸着領域41は、詳細は後述するが、除湿空調装置10が除湿運転を行う場合に通過する処理空気の水分を水分吸着体31に吸着させるための領域である。これにより、通過する処理空気は、水分吸着領域41で除湿されることになる。
供給ファン42は、処理空気取入口401を通じての処理空気の導入、並びに店舗1の内部への処理空気の送出(供給)の送風源となるものである。従って、供給ファン42の駆動により、空気供給路400を通過した処理空気は、処理空気吐出口402を通じて店舗1の内部に供給されることになる。
空気放出手段50は、空気放出路500を有している。空気放出路500は、除湿空調装置10を構成する筐体の内部に設けてあり、上記空気供給路400とは区画された態様で該空気供給路400に並設してある。かかる空気放出路500は、再生空気取入口501から取り入れた再生空気(外気)を、再生空気吐出口502を通じて外部に放出するための経路であり、水分放出領域51および放出ファン52が再生空気取入口501側から順に設けてある。
水分放出領域51は、詳細は後述するが、除湿空調装置10が除湿運転を行う場合に水分吸着体31に水分を放出させるための領域である。
放出ファン52は、再生空気取入口501を通じての再生空気の導入、並びに外部への再生空気の再生空気の送出(放出)の送風源となるものである。従って、放出ファン52の駆動により、空気放出路500を通過した再生空気は、再生空気吐出口502を通じて外部に放出されることになる。
ヒートポンプユニット60は、冷媒循環回路60aを備えて構成してある。冷媒循環回路60aは、ヒートポンプ用圧縮機61と、処理側熱交換器62と、再生側熱交換器63とを冷媒配管で順次接続して構成してあり、内部に冷媒が封入されてなるものである。ここに冷媒としては、種々のものを用いることができ、例えばクロロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、フルオロカーボン、これらの混合溶媒、臭化メチル、アンモニア、二酸化炭素、水等を用いることができる。
ヒートポンプ用圧縮機61は、空気放出路500において再生空気取入口501の近傍、より詳細には再生空気取入口501の直近の下流域に配設してある。このヒートポンプ用圧縮機61は、冷媒を圧縮して高温高圧の状態にするものである。かかるヒートポンプ用圧縮機61は、弁体64を介して処理側熱交換器62に接続された冷媒配管および再生側熱交換器63に接続された冷媒配管のそれぞれに接続してある。弁体64は、冷媒循環回路60aを流れる冷媒の方向を調整するものである。一例を挙げると、弁体64は、除湿空調装置10が除湿運転を行う場合には、ヒートポンプ用圧縮機61で圧縮された冷媒を再生側熱交換器63に向けて送出するように調整する一方(図中の実線矢印方向)、除湿空調装置10が暖房運転を行う場合には、ヒートポンプ用圧縮機61で圧縮された冷媒を処理側熱交換器62に向けて送出するように調整するものである(図中の破線矢印方向)。
処理側熱交換器62は、空気供給路400において水分吸着領域41の上流域に配設してある。この処理側熱交換器62は、冷媒を周囲空気、すなわち水分吸着領域41に向けて通過する処理空気との間で熱交換させるものである。より詳細に説明すると、処理側熱交換器62は、除湿運転を行う場合には、蒸発器として作用する一方、暖房運転を行う場合には、凝縮器として作用するものである。つまり、除湿運転を行う場合には、冷媒を蒸発させて周囲を通過する処理空気を冷却、換言すると該処理空気より熱をくみあげる態様で吸熱する一方、暖房運転を行う場合には、冷媒を凝縮させて周囲を通過する処理空気を加熱するものである。
再生側熱交換器63は、空気放出路500において水分放出領域51の上流域、すなわちヒートポンプ用圧縮機61と水分放出領域51との間の所定域に配設してある。この再生側熱交換器63は、冷媒を周囲空気、すなわち水分放出領域51に向けて通過する再生空気との間で熱交換させるものである。より詳細に説明すると、再生側熱交換器63は、除湿運転を行う場合には、凝縮器として作用する一方、暖房運転を行う場合には、蒸発器として作用するものである。つまり、除湿運転を行う場合には、冷媒を凝縮させて周囲を通過する再生空気を加熱する一方、暖房運転を行う場合には、冷媒を蒸発させて周囲を通過する再生空気を冷却、換言すると該再生空気より熱をくみあげる態様で吸熱するものである。
このようにヒートポンプユニット60は、除湿運転を行う場合には、処理側熱交換器62を通じて処理空気より熱をくみあげ(吸熱し)、再生側熱交換器63を通じて処理側熱交換器62で吸熱した熱で再生空気を加熱する一方、暖房運転を行う場合には、再生側熱交換器63を通じて再生空気より熱をくみあげ(吸熱し)、処理側熱交換器62を通じて再生側熱交換器63で吸熱した熱で処理空気を加熱するものである。
また、水分放出領域51の上流域、すなわち水分放出領域51と再生側熱交換器63との間には、再生側ロータ前温度センサS1が設けてある。この再生側ロータ前温度センサS1は、水分放出領域51を通過する直前の再生空気の温度を検出するものである。一方、水分吸着領域41の上流域、すなわち水分吸着領域41と処理側熱交換器62との間には、処理側ロータ前温度センサS2が設けてある。この処理側ロータ前温度センサS2は、水分吸着領域41を通過する直前の処理空気の温度を検出するものである。
冷却装置20は、上記店舗1の内部に配設された複数(図示の例では3つ)のショーケース2に対して適用するためのものである。尚、実際には店舗1の内部にショーケース2が多数設けられているのが一般的であるが、本実施の形態では、説明の便宜上のため、店舗1の内部にショーケース2を3つだけ例示して説明を行うことにする。
図1に例示する冷却装置20は、複数のショーケース2に対応してそれぞれ個別に設けられた蒸発器21、膨張弁22および電磁弁23と、ショーケース2の外部にそれぞれ1つずつ設けられ、かつ冷凍機を構成する内部熱交換器24および圧縮機25と、除湿空調装置10の内部に配設された第1凝縮器26および第2凝縮器27とを流体配管で接続して作動流体を循環させる冷凍サイクルを構成してある。より詳細に説明すると、圧縮機25と、第1凝縮器26と、内部熱交換器24と、各蒸発器21とを流体配管で順次接続したものに、圧縮機25と第1凝縮器26とを接続する流体配管の途中の分岐点で分岐させた流体配管に第2凝縮器27の入口側を接続し、該第2凝縮器27の出口側に接続した流体配管を第1凝縮器26と内部熱交換器24とを接続する流体配管の途中に接続して構成してある。すなわち、第1凝縮器26と第2凝縮器27とは、圧縮機25と内部熱交換器24との間で並列となる態様で接続してある。そして、圧縮機25と第1凝縮器26とを接続する流体配管の分岐点には、三方弁28を設けてある。また、各蒸発器21の入口側配管には、膨張弁22および電磁弁23が設けてある。
作動流体としては、種々のものを用いることができ、上記ヒートポンプユニット60の冷媒循環回路60aに封入された冷媒と同様に、例えばクロロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、フルオロカーボン、これらの混合溶媒、臭化メチル、アンモニア、二酸化炭素、水等を用いることができる。圧縮機25は、供給された作動流体を圧縮して高温高圧の状態にするものである。
第1凝縮器26は、空気放出路500において再生側熱交換器63の上流域、すなわちヒートポンプ用圧縮機61と再生側熱交換器63との間の所定域に配設してある。この第1凝縮器26は、圧縮機25より供給された作動流体、すなわち圧縮機25で高温高圧の状態に圧縮された作動流体を凝縮させるものである。これにより、第1凝縮器26の周囲を通過する再生空気は、作動流体を凝縮させることにより加熱される。つまり、第1凝縮器26は、再生側熱交換器63に向けて通過する再生空気を加熱する再生側加熱手段である。
第2凝縮器27は、空気供給路400において処理側熱交換器62の上流域、すなわち処理空気取入口401と処理側熱交換器62との間の所定域に配設してある。この第2凝縮器27は、圧縮機25より供給された作動流体、すなわち圧縮機25で高温高圧の状態に圧縮された作動流体を凝縮させるものである。これにより、第2凝縮器27の周囲を通過する処理空気は、作動流体を凝縮させることにより加熱される。つまり、第2凝縮器27は、処理側熱交換器62に向けて通過する処理空気を加熱する処理側加熱手段である。
内部熱交換器24は、上述したように圧縮機25とともに冷凍機を構成し、第1凝縮器26または第2凝縮器27から供給した作動流体を凝縮させるためのものである。
膨張弁22は、内部熱交換器24から吐出された作動流体を断熱膨張して蒸発器21に供給するためのものである。ここでは、例えば蒸発器21の出口側の作動流体温度と、蒸発器21の入口側の作動流体温度との差として定義される過熱度に基づき開度を変更し、通過する作動流体の流量を調節することのできる膨張弁22を適用している。より具体的には、膨張弁22は、過熱度が大きい場合には開度が大きくなる一方、過熱度が小さい場合には開度が小さくなるものである。
電磁弁23は、膨張弁22の上流域に配設してあり、後述するショーケースコントローラ80から指令が与えられることによりオン・オフ制御されて、すなわち開閉動作して内部熱交換器24から膨張弁22への作動流体の供給を遮断または許容するものである。
蒸発器21は、膨張弁22で低温低圧の状態に断熱膨張された作動流体を蒸発させるものである。これにより、ショーケース2の内部に陳列された商品は、熱を奪われて冷却される。三方弁28は、後述するショーケースコントローラ80から指令が与えられることにより、圧縮機25から第1凝縮器26への作動流体の供給を許容する場合と、圧縮機25から第2凝縮器27への作動流体の供給を許容する場合とに切り換わるものである。尚、三方弁28は、圧縮機25から第1凝縮器26への作動流体の供給を許容している場合には、当該圧縮機25から第2凝縮器27への作動流体の供給を規制しており、一方、圧縮機25から第2凝縮器27への作動流体の供給を許容している場合には、当該圧縮機25から第1凝縮器26への作動流体の供給を規制している。
このような冷凍サイクルでは、ショーケース2の内部の商品を冷却するために常時作動流体が循環しており、より詳細には、三方弁28の切換動作により、圧縮機25→第1凝縮器26→内部熱交換器24→膨張弁22→蒸発器21→圧縮機25、あるいは圧縮機25→第2凝縮器27→内部熱交換器24→膨張弁22→蒸発器21→圧縮機25の順に作動流体が循環している。
図2は、図1に示した除湿空調システムの制御系を模式的に示すブロック図である。図2に例示するように、除湿空調システムは、デシカントコントローラ70およびショーケースコントローラ80を備えている。
デシカントコントローラ70は、図示しないメモリを内蔵し、同じく図示しない入力部を通じて指令が与えられることにより、該メモリに格納してあるデータやプログラムに従って除湿空調装置各部の動作を統括的に制御するためのものである。このデシカントコントローラ70は、種々の処理部を備えるが特に本発明に関連するものとして、目標温度設定記憶部71と、圧縮機駆動処理部72と、通信処理部73とを備えている。
目標温度設定記憶部71は、水分放出領域51を通過する直前の再生空気および水分吸着領域41を通過する直前の処理空気のそれぞれの目標温度を予め設定し、かつこれを記憶するものである。本実施の形態では、それぞれの目標温度としてその上限値および下限値が設定してある。圧縮機駆動処理部72は、ヒートポンプユニット60を構成するヒートポンプ用圧縮機61の駆動処理を行うものである。より詳細には、決められた回転数(周波数)でヒートポンプ用圧縮機61を駆動させる処理、ヒートポンプ用圧縮機61の回転数を増大させる処理、必要に応じてヒートポンプ用圧縮機61の駆動を停止させる処理を行うものである。通信処理部73は、例えばインターフェースのようなものであり、ショーケースコントローラ80との間での通信処理を行うものである。
ショーケースコントローラ80は、図示しないメモリを内蔵し、同じく図示しない入力部を通じて指令が与えられることにより、該メモリに格納してあるデータやプログラムに従って冷却装置20各部の動作を統括的に制御するためのものである。このショーケースコントローラ80は、種々の処理部を備えるが特に本発明に関連するものとして、通信処理部81と、電磁弁駆動処理部82とを備えている。
通信処理部81は、例えばインターフェースのようなものであり、デシカントコントローラ70との間での通信処理を行うものである。電磁弁駆動処理部82は、各電磁弁23をオン・オフ制御、すなわち開成または閉成させるものである。
このように本実施の形態では、デシカントコントローラ70とショーケースコントローラ80との間で互いの通信処理部73,81を介して相互通信を行うことが可能であり、かかる相互通信を行うことにより除湿空調システムの制御手段を構築している。
以上のような構成を有する除湿空調システムを構成する除湿空調装置10では、次のようにして除湿運転および暖房運転が行われる。尚、以下の説明において、除湿空調システムを構成する冷却装置20では、ショーケースコントローラ80より運転指令が与えられて圧縮機25が駆動して作動流体が常時冷凍サイクルを循環しているものとする。これにより、各ショーケース2の内部雰囲気は冷却されて商品が冷却されている。
まず除湿運転を行う場合について説明する。かかる説明の前提として、ヒートポンプユニット60を構成する弁体64は、ヒートポンプ用圧縮機61で圧縮された冷媒が再生側熱交換器63に向けて送出されるよう調整されているものとし、また三方弁28は、圧縮機25から第1凝縮器26への作動流体の供給を許容するよう調整されているものとする。
除湿運転指令が与えられたデシカントコントローラ70は、モータ32、供給ファン42、放出ファン52およびヒートポンプ用圧縮機61のそれぞれに駆動指令を与えて駆動させる。
モータ32が駆動することにより水分吸着体31が回転する。ヒートポンプユニット60では、弁体64がヒートポンプ用圧縮機61で圧縮された冷媒が再生側熱交換器63に向けて送出されるよう調整されることにより、ヒートポンプ用圧縮機61で圧縮された冷媒(高温高圧の冷媒)は、再生側熱交換器63に送出され、該再生側熱交換器63で再生空気と熱交換した後に処理側熱交換器62に送出され、該処理側熱交換器62で処理空気と熱交換した後にヒートポンプ用圧縮機61に帰還する態様で冷媒循環回路60aを循環する。つまり、処理側熱交換器62は蒸発器21として作用する一方、再生側熱交換器63は凝縮器として作用する。
供給ファン42の駆動により、処理空気が処理空気取入口401を通じて空気供給路400に取り入れられ、取り入れられた処理空気は、第2凝縮器27を通過して処理側熱交換器62に至る。処理側熱交換器62に至った処理空気は、該処理側熱交換器62の内部を通過する冷媒が蒸発することにより冷却され、水分吸着領域41に至る。水分吸着領域41において、処理空気に含有される水分が水分吸着体31の対応する部分に吸着され、処理空気の湿度が低下する。すなわち、処理空気は除湿される。また、水分吸着体31の水分吸着領域41に対応する部分に吸着された水分は、水分吸着体31の回転とともに、水分吸着領域41から水分放出領域51に移動する。水分吸着領域41で除湿された処理空気は、供給ファン42の駆動により下流域に向けて流れ、その後処理空気吐出口402を通じて店舗1の内部に供給される。
一方、放出ファン52の駆動により、再生空気取入口501を通じて再生空気が取り入れられ、取り入れられた再生空気は、ヒートポンプ用圧縮機61の周囲を通過する。かかるヒートポンプ用圧縮機61の周囲を通過する再生空気は、ヒートポンプ用圧縮機61から発生する駆動熱(実際にはモータ等から発生する熱)により僅かに加熱され、第1凝縮器26に至る。第1凝縮器26に至った再生空気は、第1凝縮器26の内部を流れる作動流体が凝縮することにより加熱され、再生側熱交換器63に至る。再生側熱交換器63に至った再生空気は、該再生側熱交換器63の内部を通過する冷媒が凝縮することにより更に加熱されて高温度になり、水分放出領域51に至る。水分放出領域51において、第1凝縮器26および再生側熱交換器63で加熱された再生空気が通過することにより、水分吸着体31の対応する部分から水分が放出され、該再生空気の湿度が上昇する。その後、水分放出領域51を通過した再生空気は、放出ファン52の駆動により、再生空気吐出口502を通じて外部に放出される。
水分吸着体31の水分放出領域51に対応する部分は、水分が放出されて乾燥するとともに、温度が上昇する。この温度が上昇し、かつ乾燥した水分吸着体31の対応する部分は、水分吸着体31の回転とともに、水分放出領域51から水分吸着領域41に移動し、上述した動作を繰り返すことにより、除湿運転が行われる。
このように除湿空調装置10では、除湿運転を行う場合には、外部より導入した処理空気を処理側熱交換器62で冷却し、冷却した処理空気を水分吸着領域41に通過させることにより水分吸着体31に水分を吸着させて除湿し、除湿した処理空気を店舗1の内部に供給している一方、導入した再生空気を第1凝縮器26で加熱し、更に再生側熱交換器63で加熱して高温度にし、かかる再生空気を水分放出領域51に通過させることにより水分吸着体31に水分を放出させている。つまり、処理側熱交換器62を通じて処理空気より熱をくみあげ(吸熱し)、再生側熱交換器63を通じて処理側熱交換器62で吸熱した熱で再生空気を加熱している。
そして、上記除湿空調装置10では、第1凝縮器26がヒートポンプユニット60(再生側熱交換器63)とは別個に水分放出領域51に向けて通過する再生空気を加熱するので、除湿運転を行う場合において外気温度が低い場合であっても、再生空気を十分に加熱することができる。つまり、処理側熱交換器62を通じての処理空気からの吸熱量が少なくても、これに関係なく再生空気を十分に加熱することができる。これによりかかる再生空気が水分放出領域51を通過することによって水分吸着体31に水分を十分に放出させることができる。従って、除湿運転を行う場合には再生空気を十分に加熱することにより処理空気の除湿能力の低下を抑制することができる。
そして、除湿空調装置10が上述したような除湿運転を行っている際に、ショーケースコントローラ80(冷却装置20)に対して除霜運転指令が与えられた場合には、除湿空調システムは次のように動作する。図3は、除霜運転指令が与えられたショーケースコントローラが実施する処理内容(除霜処理)を示すフローチャートであり、図4は、ショーケースコントローラから除霜信号を受信したデシカントコントローラが実施する処理内容(除霜応答処理)を示すフローチャートである。これら図3および図4を適宜参照しながら、除湿空調システムの動作について説明する。
ショーケースコントローラ80は、除霜運転指令が与えられた場合に、通信処理部81を通じてデシカントコントローラ70に対して除霜信号を与えて(ステップS101)、デシカントコントローラ70からの応答待ちとなる(ステップS102)。
一方、デシカントコントローラ70は、通信処理部73を通じてショーケースコントローラ80より除霜信号が与えられた場合(ステップS201:Yes)、通信処理部73を通じてショーケースコントローラ80に対して除霜応答を行う(ステップS202)とともに、ステップS203へ移行の処理内容を実施する。このステップS203以降の処理については後述する。
除霜応答を受信した場合(ステップS102:Yes)、ショーケースコントローラ80は、電磁弁23の閉動作させる処理を行う(ステップS103)。ここで電磁弁23を閉動作させる処理(以下、電磁弁閉処理ともいう)について説明する。この電磁弁閉処理では、ショーケースコントローラ80は、メモリに予め格納された手順に従い、所定時間毎に決められた数ずつ電磁弁23を閉動作させる、すなわちオフ制御する。本実施の形態では、所定時間毎に例えば1つずつ電磁弁23を閉動作させる。
一方、ステップS202において除霜応答を行ったデシカントコントローラ70は、再生側ロータ前温度センサS1を通じて水分放出領域51を通過する直前の再生空気の温度を検出し(ステップS203)、検出した温度が目標温度設定記憶部71に記憶された目標温度の下限値を下回るか否かを判断する(ステップS204)。
検出温度が目標温度下限値を下回らない場合(ステップS204:No)、デシカントコントローラ70は、ステップS203およびステップS204の処理を繰り返す。一方、検出温度が目標温度下限値を下回った場合(ステップS204:Yes)、デシカントコントローラ70は、圧縮機駆動処理部72を通じてヒートポンプ用圧縮機61の回転数を増大させ(ステップS205)、増大させた回転数が上限値であるか否かを判断する(ステップS206)。尚、ここでいう上限値とは、ヒートポンプ用圧縮機61の能力の限界を示す上限値である必要はなく、予め設定した上限値であっても構わない。
増大させた回転数が上限値でない場合(ステップS206:No)、デシカントコントローラ70は、ステップS203〜ステップS205の処理を繰り返す。一方、増大させた回転数が上限値である場合(ステップS206:Yes)、デシカントコントローラ70は、通信処理部73を通じてショーケースコントローラ80に復帰運転指令を送出し(ステップS207)、その後に今回の処理を終了して手順をリターンさせる。
上記ステップS103の処理を実施している際に、デシカントコントローラ70より復帰運転指令が与えられた場合(ステップS104:Yes)、ショーケースコントローラ80は、復帰運転処理を実施する(ステップS105)。具体的には、かかる指令が与えられる直前にオフ制御した電磁弁23をオン制御する、すなわち電磁弁23を開動作させる。そして、その後に今回の処理を終了して手順をリターンさせる。
このようにデシカントコントローラ70がヒートポンプ用圧縮機61の回転数が上限値に達した場合に復帰運転指令を送出し、この復帰運転指令が与えられたショーケースコントローラ80が復帰運転処理を実施することにより、少なくとも1つの蒸発器21への作動流体の供給を許容し、該蒸発器21で蒸発した作動流体が圧縮機25で圧縮された後に第1凝縮器26に移送することになる。すなわち該蒸発器21で作動流体が蒸発することにより該ショーケース2の内部雰囲気から取得した熱を第1凝縮器26に輸送することになる。これにより、再生側熱交換器63を通じての再生空気の加熱が不足する事態を回避することができるとともに、第1凝縮器26を通じて再生空気を良好に加熱することができる。尚、その後、除湿運転が完了したショーケース2の蒸発器21への冷媒の供給を許容して、除霜運転を停止していたショーケース2を除霜運転させることになる。
次に暖房運転を行う場合について説明する。かかる説明の前提として、ヒートポンプユニット60を構成する弁体64は、ヒートポンプ用圧縮機61で圧縮された冷媒が処理側熱交換器62に向けて送出されるよう調整されているものとし、また三方弁28は、圧縮機25から第2凝縮器27への作動流体の供給を許容するよう調整されているものとする。
暖房運転指令が与えられたデシカントコントローラ70は、モータ32を駆動停止にする一方、ヒートポンプ用圧縮機61、供給ファン42および放出ファン52のそれぞれを駆動する。
このようにモータ32を駆動停止にすることにより水分吸着体31の回転が停止する。従って、水分吸着領域41での水分の吸着、水分放出領域51での水分の放出は殆ど行われない。これにより処理空気は水分吸着領域41を単に通過し、再生空気は水分放出領域51を単に通過することになる。
ヒートポンプユニット60では、弁体64がヒートポンプ用圧縮機61で圧縮された冷媒が処理側熱交換器62に向けて送出されるよう調整されることにより、ヒートポンプ用圧縮機61で圧縮された冷媒(高温高圧の冷媒)は、処理側熱交換器62に送出され、該処理側熱交換器62で処理空気と熱交換した後に再生側熱交換器63に送出され、該再生側熱交換器63で再生空気と熱交換した後にヒートポンプ用圧縮機61に帰還する態様で冷媒循環回路60aを循環する。つまり、処理側熱交換器62は凝縮器として作用する一方、再生側熱交換器63は蒸発器21として作用する。
供給ファン42の駆動により、処理空気が処理空気取入口401を通じて空気供給路400に取り入れられ、取り入れられた処理空気は、第2凝縮器27に至る。第2凝縮器27に至った処理空気は、第2凝縮器27の内部を流れる作動流体が凝縮することにより加熱され、処理側熱交換器62に至る。処理側熱交換器62に至った処理空気は、該処理側熱交換器62の内部を通過する冷媒が凝縮することにより加熱され、水分吸着領域41を通過した後に処理空気吐出口402を通じて店舗1の内部に供給される。
一方、放出ファン52の駆動により、再生空気取入口501を通じて再生空気が取り入れられ、取り入れられた再生空気は、ヒートポンプ用圧縮機61の周囲を通過する。かかるヒートポンプ用圧縮機61の周囲を通過する再生空気は、ヒートポンプ用圧縮機61から発生する駆動熱(実際にはモータ等から発生する熱)により僅かに加熱され、第1凝縮器26を通過した後、再生側熱交換器63に至る。再生側熱交換器63に至った再生空気は、該再生側熱交換器63の内部を通過する冷媒が蒸発することにより冷却され、すなわち該再生側熱交換器63に吸熱され、水分放出領域51を通過した後に再生空気吐出口502を通じて外部に放出される。
このように除湿空調装置10では、暖房運転時には、外部より導入した処理空気を第2凝縮器27および処理側熱交換器62で加熱し、加熱した処理空気を店舗1の内部に供給している一方、導入した再生空気を再生側熱交換器63で吸熱している。つまり、再生側熱交換器63を通じて再生空気より熱をくみあげ(吸熱し)、処理側熱交換器62を通じて再生側熱交換器63で吸熱した熱で処理空気を加熱している。
除湿空調装置10がこのような暖房運転を行っている際に、ショーケースコントローラ80(冷却装置20)に対して除霜運転指令が与えられた場合には、除湿空調システムは次のように動作する。図5は、除霜運転指令が与えられたショーケースコントローラが実施する処理内容(除霜処理)を示すフローチャートであり、図6は、ショーケースコントローラから除霜信号を受信したデシカントコントローラが実施する処理内容(除霜応答処理)を示すフローチャートである。これら図5および図6を適宜参照しながら、除湿空調システムの動作について説明する。
ショーケースコントローラ80は、除霜運転指令が与えられた場合に、通信処理部81を通じてデシカントコントローラ70に対して除霜信号を与えて(ステップS301)、デシカントコントローラ70からの応答待ちとなる(ステップS302)。
一方、デシカントコントローラ70は、通信処理部73を通じてショーケースコントローラ80より除霜信号が与えられた場合(ステップS401:Yes)、通信処理部73を通じてショーケースコントローラ80に対して除霜応答を行う(ステップS402)とともに、ステップS403へ移行の処理内容を実施する。このステップS403以降の処理については後述する。
除霜応答を受信した場合(ステップS302:Yes)、ショーケースコントローラ80は、電磁弁23の閉動作させる処理を行う(ステップS303)。ここで電磁弁23を閉動作させる処理(以下、電磁弁閉処理ともいう)について説明する。この電磁弁閉処理では、ショーケースコントローラ80は、メモリに予め格納された手順に従い、所定時間毎に決められた数ずつ電磁弁23を閉動作させる、すなわちオフ制御する。本実施の形態では、所定時間毎に例えば1つずつ電磁弁23を閉動作させる。
一方、ステップS402において除霜応答を行ったデシカントコントローラ70は、処理側ロータ前温度センサS2を通じて水分吸着領域41を通過する直前の処理空気の温度を検出し(ステップS403)、検出した温度が目標温度設定記憶部71に記憶された目標温度の下限値を下回るか否かを判断する(ステップS404)。
検出温度が目標温度下限値を下回らない場合(ステップS404:No)、デシカントコントローラ70は、ステップS403およびステップS404の処理を繰り返す。一方、検出温度が目標温度下限値を下回った場合(ステップS404:Yes)、デシカントコントローラ70は、圧縮機駆動処理部72を通じてヒートポンプ用圧縮機61の回転数を増大させ(ステップS405)、増大させた回転数が上限値であるか否かを判断する(ステップS406)。尚、ここでいう上限値とは、ヒートポンプ用圧縮機61の能力の限界を示す上限値である必要はなく、予め設定した上限値であっても構わない。
増大させた回転数が上限値でない場合(ステップS406:No)、デシカントコントローラ70は、ステップS403〜ステップS405の処理を繰り返す。一方、増大させた回転数が上限値である場合(ステップS406:Yes)、デシカントコントローラ70は、通信処理部73,81を通じてショーケースコントローラ80に復帰運転指令を送出し(ステップS407)、その後に今回の処理を終了して手順をリターンさせる。
上記ステップS303の処理を実施している際に、デシカントコントローラ70より復帰運転指令が与えられた場合(ステップS304:Yes)、ショーケースコントローラ80は、復帰運転処理を実施する(ステップS305)。具体的には、かかる指令が与えられる直前にオフ制御した電磁弁23をオン制御する、すなわち電磁弁23を開動作させる。そして、その後に今回の処理を終了して手順をリターンさせる。
このようにデシカントコントローラ70がヒートポンプ用圧縮機61の回転数が上限値に達した場合に復帰運転指令を送出し、この復帰運転指令が与えられたショーケースコントローラ80が復帰運転処理を実施することにより、少なくとも1つの蒸発器21への作動流体の供給を許容し、該蒸発器21で蒸発した作動流体が圧縮機25で圧縮された後に第2凝縮器27に移送することになる。すなわち該蒸発器21で作動流体が蒸発することにより該ショーケース2の内部雰囲気から取得した熱を第2凝縮器27に輸送することになる。これにより、処理側熱交換器62を通じての処理空気の加熱が不足する事態を回避することができるとともに、第2凝縮器27を通じて処理空気を良好に加熱することができる。尚、その後、除湿運転が完了したショーケース2の蒸発器21への冷媒の供給を許容して、除霜運転を停止していたショーケース2を除霜運転させることになる。
以上説明したように、本発明の実施の形態における除湿空調システムによれば、デシカントコントローラ70およびショーケースコントローラ80が相互に通信を行うことにより、除湿空調装置10が除湿運転を行う際にショーケース2の除霜運転指令が与えられた場合に、少なくとも1つのショーケース2を構成する蒸発器21への作動流体の供給を許容し、該蒸発器21で作動流体が蒸発することにより該ショーケース2の内部雰囲気から取得した熱を第1凝縮器26に輸送するので、ヒートポンプ用圧縮機61が過負荷状態となって再生側熱交換器63を通じての再生空気の加熱が不足する事態を回避することができるとともに、第1凝縮器26を通じて再生空気を良好に加熱することができる。従って、ショーケース2が除霜運転を行う場合にも、除湿空調装置10の除湿能力の低下を招来する虞れがない。
また、ショーケース2の除霜運転を行う場合でも、第1凝縮器26を通じて再生空気を加熱することができるので、ショーケース2での排熱を有効に活用することができ、省エネルギー化を図ることができる。
更に、上記除湿空調システムによれば、デシカントコントローラ70およびショーケースコントローラ80が相互に通信を行うことにより、除湿空調装置10が暖房運転を行う際にショーケース2の除霜運転指令が与えられた場合に、少なくとも1つのショーケース2を構成する蒸発器21への作動流体の供給を許容し、該蒸発器21で作動流体が蒸発することにより該ショーケース2の内部雰囲気から取得した熱を第2凝縮器27に輸送するので、ヒートポンプ用圧縮機61が過負荷状態となって処理側熱交換器62を通じての処理空気の加熱が不足する事態を回避することができるとともに、第2凝縮器27を通じて処理空気を良好に加熱することができる。従って、ショーケース2が除霜運転を行う場合にも、除湿空調装置10の暖房能力の低下を招来する虞れがない。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。例えば、上述した実施の形態では、電磁弁23を1つずつオフ制御して温度変化に着目することにより少なくとも1つの蒸発器21に冷媒を供給するようにしたが、本発明では、ショーケースコントローラが予めそれぞれのショーケースの冷却能力に関するデータを記憶し、除霜運転の際に決められた数のショーケースを自動的に駆動停止させるようにしても構わない。
また、上述した実施の形態では電磁弁23を用いて蒸発器21への冷媒の供給を制御したが、本発明では、例えば電子膨張弁を用い、かかる電子膨張弁の開度を制御して蒸発器への冷媒の供給を制御しても構わない。