JP2008184649A - 装飾品とその表面加工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】プラチナ合金などの焼結体からなる装飾品では十分なピンク発色が得られない、また十分なピンク発色を得るためにPt品位が悪くなるという問題があった。
【解決手段】Ptを主成分とする1または複数の第1相と、Cuを含む1または複数の第2相と、を有し、両相を表面に対し断面視したとき、第1相が第2相よりも突出した面積よりも、第2相が第1相よりも突出した面積の方が大きいこと。
【選択図】図7
【解決手段】Ptを主成分とする1または複数の第1相と、Cuを含む1または複数の第2相と、を有し、両相を表面に対し断面視したとき、第1相が第2相よりも突出した面積よりも、第2相が第1相よりも突出した面積の方が大きいこと。
【選択図】図7
Description
本発明は、装飾品とその表面加工方法に関する。
希少価値が高く、美しい輝きを持つプラチナ(Pt)は、指輪やネックレス等の装飾品の材料として使用されている。Pt製の装飾品は、銀や金装飾品と比較して清楚な輝きを有することから、その希少性と併せて需要者に好まれている。
その一方で、Ptは延性が高く柔軟であることから、指輪やネックレス等の装飾品に加工した場合、傷付いたり、変形してしまったりする。そのため、Ptは、他の貴金属あるいは卑金属を添加することによって、硬さ、強さを向上させ、装飾品として実用化されてきた。
近年においては、需要者の嗜好の多様化により、装飾品においては、金や銀ばかりでなく、Ptにおいて同様に多色化が求められている。そのため、PtやPt合金と他の金属や合金、あるいはPtやPt合金と色付粉末とを組み合わせた金属材料や装飾品が提案されている(たとえば特許文献1参照)。
特許文献1に記載の金属材料は、Ptなどの貴金属やその合金と、セラミクスやガラスの色付粉末とを粉末治金加工することにより得られるものである。この金属材料では、混合する色付粉末の種類の適宜選択することにより、所望とする色とすることができる。
ところで、ピンク色の装飾品は、銀装飾品においても見られるとおり、女性から多くの支持を集めている。そのため、Ptにおいても、ピンク色の装飾品の登場が望まれている。
特許文献2には、白金とアルミニウムとの金属間化合物PtAl2に銅を添加すること、あるいは白金・アルミニウム・銅を一緒に溶融させた金属間化合物が開示されている。
さらに、銅の添加量を調整することにより種々の色彩の金属間化合物が提供できる旨が記載されている。
たとえば、銅の添加量を1〜8重量%とすることにより黄色化合物が、銅の添加量を8〜15重量%とすることにより褐色化合物が、銅の添加量を20〜30重量%とすることにより赤褐色(桃色がかったふじ色)が得られる旨が記載されている。
ところで、ピンク色の装飾品は、銀装飾品においても見られるとおり、女性から多くの支持を集めている。そのため、Ptにおいても、ピンク色の装飾品の登場が望まれている。
特開昭59−136447号公報
特開平03−158430号公報
しかしながら、特許文献1に記載の金属材料においては、ピンク色の材料を得るために、ピンク色を発現可能な色付粉末を形成する必要がある。ピンク色の色付粉末は、たとえばセラミクスがガラスにピンク色の顔料や染料を添加した後に粉砕するなどして得られるが、研磨中にセラミクスやガラス色付粉末が脱粒してしまい、ピンク発色が損なわれてしまうという問題がある。
Ptにピンク色を与えるためには、鋳造法を採用することも考えられる。鋳造法を採用する場合には、PtとCuとを溶かして鋳型に流し込み、これを冷却することによって全体が金属間化合物(PtCu合金)相からなるピンク色のPtを得ることが考えられる。
例えば、特許文献2に記載の金属材料は、白金とアルミニウムとの金属間化合物PtAl2に銅を添加したもの、あるいは白金・アルミニウム・銅を一緒に溶融させて形成したものである。
すなわち、特許文献2の金属材料は、その全体が金属間化合物であると考えられるので、複数の相が存在しておらず、Cu単独の相からの反射がないため、十分なピンク発色が得られないという問題がある。また十分なピンク発色を得るためにPt品位が悪くなるという問題もある。
本発明においては、Ptを主成分とし、且つ表面が凹状をなす第1相と、Cuを含み、且つ表面が凸状をなす第2相とを備えたことを特徴とする。
さらに、前記第1相と前記第2相との間において両相に接し、PtとCuとを含む金属間化合物を主成分とする第3相をさらに有していることを特徴とする。
さらに、前記第1相と前記第2相との組成比率に比し前記第1相と前記第2相の表面積比率が小さいことを特徴とする。
さらに、前記複数の第2相は、前記第1相内に配置されていることを特徴とする。
さらに、前記複数の第1相は、前記第2相内に配置されていることを特徴とする。
さらに、前記第3相は、前記第1相または前記第2相を囲んでいることを特徴とする。
さらに、上記装飾品の表面加工方法であって、前記装飾品をTiPt合金から成る陰極と電気的に接続した状態で前記装飾品の表面を電解研磨することを特徴とする。
さらに、前記電解研磨における電解質溶液はチオ尿素、リン酸、グリセリン、純水を含むことを特徴とする。
本発明に係る装飾品によれば、Ptを主成分とし、且つ表面が凹状をなす第1相と、Cuを含み、且つ表面が凸状をなす第2相とを備えたことにより、第2相の反射を強調することができるので、Pt品位を維持しつつ、Pt本来の金属光沢である清楚な輝き維持したピンク発色とすることができる。
表面処理方法として前記装飾品をTiPt合金から成る陰極と電気的に接続した状態で前記装飾品の表面を電解研磨する、より好ましくは、前記電解研磨における電解質溶液はチオ尿素、リン酸、グリセリン、純水を含むことにより、第1相を選択的に溶出させることができるので、Cuの反射率を強調することが可能である。そのため、本発明の装飾品は、Pt品位が高くピンク発色の高い装飾品とすることができる。
以下においては、本発明に係る装飾品および装飾品について、指輪を例にとって図面を参照しつつ説明する。ただし、本発明に係る装飾品の適用対象である装飾品、あるいは本発明に係る装飾品は、指輪に限定されるものではない。
図1(a)および図1(b)に示した指輪1は、リング状の部分の全体が装飾品2によって形成されたものである。図2に示したように、装飾品20は、第1相21、第2相22、および第3相23を有している。
本発明はPtを主成分とし、且つ表面が凹状をなす第1相と、Cuを含み、且つ表面が凸状をなす第2相とを備えたことが重要である。ここで図7では、第2相22で反射光Rは図7の矢印方向に示すように全反射及び正反射するが、第1相21では反射光が乱反射するため、Ptの色はあまり強調されず、Cuの波長の色のほうが強調されやすくなる。これにより、ピンク発色を高いプラチナ品位で実現することが出来る。
たとえば図8に示すように、従来のように装飾品よりも硬度の高い研磨剤で鏡面研磨しているだけの場合、第1相21と第2相22の凸凹には差がなく、第1相21、第2相22での光の反射光Rはともに全反射及び正反射に近くなるだけである。
しかしながら、Ptを主成分とし、且つ表面が凹状をなす第1相と、Cuを含み、且つ表面が凸状をなす第2相とを備えたことで、第1相21における反射光Rが面内方向に乱反射する割合が大きくなり、第2相22での反射光Rだけを相対的に大きくできるので、ピンク発色を強調することができるのである。
第1相21は、装飾品2の母材となるものであり、プラチナ(Pt)を主成分としている。第1相21中に含まれるPtの総量は、たとえば全組成の50質量%以上75質量%以下とされている。Ptの総量が50質量%を下回る場合には、後述する第2相22の主成分である銅(Cu)の比率が大きくなるために、PtとCuとの間の電池効果によって耐食性が悪化し、また色合いが銅の色に近くなるため好ましくない。Ptの総量が75質量%を超える場合には、Cuの比率が小さくなるために、ピンク色とするのが困難となる。
第1相21のPt重量は、EDS(エネルギー分散型X線分析)半定量分析によって計算することができる。すなわち、表面から数μmの深さ領域より発生する特性X線を検出して、各元素分析を行い、そのピーク強度から組成を計算することができる。
第1相21は、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、および銀(Ag)のうちの少なくとも1種類を含んでいてもよい。例示した成分を第1相21に含ませることにより、装飾品2の耐食性を向上させることができる。すなわち、第1相21にPt以外の貴金属を含む場合には、PtとCuとの間に生じる電池効果が生じることを抑制することができる。
第2相22は、第1相21中に分散されたものであり、銅(Cu)を主成分としている。この第2相22の存在により、装飾品2はPtに加えてCuを含んだものとなり、その表面において第2相22の一部が露出するためにピンク色となる。また、装飾品2は、第2相22を第1相21中に分散したものであるため、装飾品2の全体が金属間化合物とはなっていない。そのため、装飾品2は、鋳造法によって得られるPt−Cu材料のように全体が金属間化合物とされている場合に比べて靭性が小さくなっている。
第2相22中に含まれるCuの総量は、装飾品2の全組成の25質量%以上50質量%以下とするのが好ましい。Cuの総量が25質量%を下回る場合には、装飾品2が目的とするピンク色よりも淡いピンク色となる傾向がある。Cuの総量が50質量%を超える場合には、耐食性を長期間にわたり良好に維持することが困難になる。
第2相22のCuの重量は、第1相21のPtの質量を測定する場合と同様に、EDS半定量分析によって計算することができる。
また、第2相22の一部は表面に露出しており、このような露出部の直径(平均値)は、5〜150μmであるのが好ましい。第2相22の露出部の直径が5μmを下回る場合には、装飾品2が淡いピンク色となってしまう傾向がある。第2相22の直径が150μmを超える場合には、第2相22の露出面積が大きくなるので、長期間にわたって使用していると露出部が酸化されてしまう可能性が高くなる。
なお、第2相22の平均結晶粒径は任意の断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)において得られる写真(SEM写真)にて、直径1000μmの範囲を1000倍で撮影し、平面上における1μm以上の複数の結晶相の最大直径を測定し、それらの平均値を平均粒径とした。ここで最大直径は各結晶相の外接円の直径とした。SEMによる断面観察においては、断面に対して金蒸着を行なわずに、電子反射像によって結晶相を観察するのが好ましい。そうすれば、第1相21と第2相22との区別を確実にできるため、適切に第2相22の平均粒径を算出することができる。
第2相22は、金(Au)、銀(Ag)およびパラジウム(Pd)のうちの少なくとも1種をさらに含んでいてもよい。例示した成分を第2相22に含ませることにより、装飾品2の耐食性を向上させることができる。すなわち、第2相22にCu以外の貴金属を含ませた場合には、PtとCuとの間に生じる電池効果が生じることを抑制することができる。また、例示した貴金属、とくにAuは、Cuと合金化させることによって、装飾品2の耐食性を向上させることができる。
さらに、前記第1相と前記第2相との組成比率に比し前記第1相と前記第2相の表面積比率が小さいことが好ましい。すなわち、第1相の第2相に対する組成比率に比べると、第1相の第2相に対する表面積の比率が小さいというものである。これは第1相のPtを電解研磨で除去したことにより、第2相の占める表面積を大きくすることができるので、Cuからの反射光Rが多くなり、より高いピンク発色を実現できるからである。
前記複数の第2相は、前記第1相内に配置されているか、または、前記複数の第1相は、前記第2相内に配置されている。そして第3相23は、装飾品2の耐食性の向上に寄与するものであり、金属間化合物により形成されている。この第3相23は、第1相21および第2相22の双方に接するものであり、装飾品2の内部においては第3相23が第2相22を囲み、表面においては第3相の露出部が第2層22の露出部を取り囲むように配置されている。すなわち、第3相23は、第1相21と第2相22との間に介在している。このようにして金属間化合物である第3相23が第1相21と第2相22との間に介在することにより、第1相21のPtと第2相22のCuとの間のイオン化傾向の相違に基づく電池効果を抑制することができる。その結果、装飾品2は、耐食性に優れたものとなる。
第3相23の金属間化合物は、典型的には、PtとCuが整数比で存在するものであり、たとえばPtCuあるいはPtCu3として存在する。また、第3相23には、Pt以外の貴金属とCuとの金属間化合物、たとえばPtAu3が存在してもよい。PtとCu、PtとAuの比は整数比である方が、化学的に安定であるので好ましい。
第3相23の厚みは、たとえば20μm以下とされ、好ましくは0.59μm以下とされる。第3相の厚みが0.59μmを超える場合には、装飾品2を外形加工して宝飾品などを製作する際に、靭性の高い金属間化合物からなる第3相23の部分が他の部位と比べて研磨されにくく、表面に比較的大きな凹凸ができて光沢を出しにくくなる傾向がある。
第3相23の厚み(露出面においては幅)は、図3(a)に示したように装飾品2の任意の断面をSEMによって20×20μmの範囲を3500倍で撮影し、次の定義にしたがって決定した。図3(b)に示したように、まず、SEM写真から第1相21および第2相22の双方の表面に対して垂直に交差する接線Lを含む部分を5箇所選択する、次いで、選択された5箇所について、第3相23における厚みをそれぞれ測定し、それらの平均値を演算して第3相23の厚み(幅)とする。
装飾品2の表面における第3相23の面積比率は、任意の100μm×100μmの範囲において、1〜10%とするのが好ましく、先の範囲における第3相23が第2相22を囲む割合は、第2相22の外周の長さに対して85%以上とするのが好ましい。
図2に示した例では、Ptを主成分とする第1相21内に、Cuを含む複数の第2相22が配置されたものとなっているが、本発明の装飾品は、Cuを含む第2相を母材とし、この第2相内にPtを主成分とする複数の第1相が配置されたものであってもよい。この場合、第1相は、PtとCuとの金属間化合物である第3相により囲まれているのが好ましい。
次に、本発明の装飾品2の製造方法を、放電プラズマ焼結法により指輪1を形成する場合を例にとって説明する。
まず、Ptを含むPt粉末と、Cuを含むCu粉末とを所定割合で混合して混合粉末とする。
Pt粉末としては、たとえば平均粒径が9〜150μm、純度が99.9%以上のものを使用するのが好ましい。Cu粉末としては、たとえば平均粒径が5〜150μm、純度が99.9%以上のものを使用するのが好ましい。
混合粉末におけるPt粉末の重量比率は、たとえば50重量%以上75重量%以下とされ、混合粉末におけるCu粉末の重量比率は、たとえば25重量%以上50重量%以下とされる。
装飾品2にPt以外の貴金属を添加する場合には、Pt粉末またはCu粉末として、Ptと他の金属との合金またはCuと他の金属との合金を使用してもよく、またPt粉末およびCu粉末の他に、貴金属粉末を混合してもよい。
次いで、混合粉末を焼結金型内に充填してリング形状に成形した後、この成形体に対して、真空雰囲気中で、たとえば焼成温度が200℃〜500℃、4V〜20Vの低電圧でパルス状電流を印加する。これにより、成形体の粒子の間隙において、放電プラズマが瞬間的に発生し、成形体が焼結される。
ここで、成形体を形成するときの成形圧力は、たとえば300〜500MPaとされる。成形圧力が300MPaを下回る場合には、装飾品2に気孔が発生しやすく脆くなってしまい、成形圧力が500MPaを超える場合には、原料充填により応力集中を起こし、金型の破損へとつながることがある。焼成温度を200℃〜500℃とするのは、焼成温度が200℃を下回る場合には焼結不良となり、焼成温度が500℃を超える場合には過焼成となり、いずれの場合も焼結体が脆くなる傾向がある。一方、印加パルス電圧を4V〜20Vとするのは、印加パルス電圧が4Vを下回る場合には成形体の間隙において充分な放電が起こらず、目的とするプラズマ状態が達成できず、印加パルス電圧が20Vを超える場合には異常放電が生じる可能性が高くなるため、いずれの場合も目的とする組織状態が得られにくくなる。
このような放電プラズマ焼結法では、高エネルギー密度とジュール熱を広く応用することにより、電力消費量が少なく効率の良い焼結が可能となる。そのため、昇温・保持時間を含めた焼結時間は、概ね5〜20分程度の比較的短時間となり、鋳造法のように、材料全体が金属間化合物となることもなく、Ptを主成分とする第1相21に、Cuを含む複数の第2相22を分散させたものとすることができ、また第2相22を適当な厚みの金属間化合物の第3相23で囲んだものとすることができ、あるいは、Cuを含む第2相に、Ptを主成分とする複数の第1相を分散させるとともに、第1相を適当な厚みの金属間化合物の第3相で囲んだものとすることができる。
ここで本発明の装飾品の研磨方法について説明する。
前記装飾品をTiPt合金から成る陰極と電気的に接続した状態で前記装飾品の表面を電解研磨することをもちいて、前記装飾品の表面のPtを溶出させることができる。処理時間は適時設定可能であるが、必要以上に処理時間を長くしても第2相が脱粒していくだけなので、発色が十分であれば極力最短時間で処理を済ませればよい。
好ましくは、前記電解研磨における電解質溶液はチオ尿素、リン酸、グリセリン、純水を含むことにより、前記装飾品の表面のPtを溶出させることで、装飾品の表面において両方の相を垂直方向に断面視したとき、第2相22は周囲に配置された第1相21よりも突出し、ピンク発色が強調された輝きのある装飾品とすることができる。
次に、装飾品の一部に本発明の装飾品の層を形成した例について、図4に示した指輪を例にとって説明する。
図4に示した指輪4は、芯材5の表面を装飾品の層6によって被覆したものである。
芯材5は、主として指輪4の形状を規定するものであり、たとえば内径が13〜22mm、外径が15〜24mm、厚みが2〜10mmのリング状に形成されている。このような芯材5は、たとえば鋳造法あるいは押し出し成形法により形成することができる。芯材5を形成するための材料としては、貴金属および卑金属をいずれをも使用することができる。ただし、材料コストなどを考慮する必要がある場合は、Ag、Feおよびそれらを含む合金を使用しても良い。
本発明の装飾品の層6は、図1を参照して説明した指輪1と同様に図2に示した組成状態を有する装飾品2により形成されている。すなわち、本発明の装飾品の層6は、Ptを主成分とする第1相21内に、Cuを含む複数の第2相22が分散され、この第2相22がPtとCuとの金属間化合物を含む第3相23によって囲まれた組織とされている(図2参照)。本発明の装飾品の層2の厚みは、たとえば0.03〜0.1μmとされている。もちろん、本発明の装飾品の層2は、Cuを含む第2相内に、Ptを主成分とする第1相が分散され、この第1相がPtとCuとの金属間化合物を含む第3相によって囲まれた組織であってもよい。
このような指輪4は、予め形成しておいた芯材5を、Pt粉末とCu粉末との混合粉末によってインサートした成形体を形成した後に、この成形体を放電プラズマ焼結法により焼成することにより形成することができる。
このような指輪4においても、図2に示した組織状態の装飾品2からなる本発明の装飾品の層6、あるいは第2相内に第3相に囲まれた第1相が分散された本発明の装飾品の層6が表面に形成されているため、耐食性に優れたものとなる。
図5に示した時計7は、ベルト70の少なくとも表層が先に説明した指輪1,4(図1ないし図4参照)と同様な組織状態を有する本発明の装飾品の層とされている。ベルト70は、全体が本発明の装飾品により形成されていてもよく、芯材の表面を本発明の装飾品により被覆したものであってもよい。時計7においては、側縁71が本発明の装飾品により形成されていてもよく、この場合にも、側縁71は、全体が本発明の装飾品により形成されていてもよく、芯材の表面を本発明の装飾品により被覆したものであってもよい。ベルト70または側縁71において芯材の表面に本発明の装飾品の層を形成する場合には、本発明の装飾品の層の厚みは、たとえば0.03〜0.1μmとされる。
図6に示したメガネ8は、フレーム80の少なくとも表層が先に説明した指輪1,4(図1ないし図4参照)と同様な組織状態の本発明の装飾品の層とされている。フレーム80は、全体が本発明の装飾品により形成されていてもよく、芯材の表面を本発明の装飾品により被覆したものであってもよい。フレーム80において芯材の表面に本発明の装飾品の層を形成する場合には、本発明の装飾品の層の厚みは、たとえば0.03〜0.1μmとされる。
また、図5に示した時計7および図6に示したメガネ8における本発明の装飾品の層は、Cuを含む第2相内に、Ptを主成分とする第1相が配置され、この第1相がPtとCuとの金属間化合物を含む第3相によって囲まれた組織状態のものであってもよい。
本発明は上述した実施の形態には限定されず、種々に変更可能である。たとえば、装飾品2(本発明の装飾品の層6)の第3相23は、用途に応じた耐食性が確保できる限りは省略してもよく、また第3相23は、成形体の形成条件や焼成条件を適宜設定することにより、放電プラズマ焼結法以外の方法により生成させてもよい。たとえば、多少のボイドが発生するものの、真空焼成などにより1.33×10-2Paの真空条件下で500℃まで徐々に昇温し、この温度で30分間焼成することによっても生成することができる。
本発明は、上述した指輪、時計およびメガネに限らず、他の装飾品の一部または全部として適用することができる。本発明を適用することができる他の装飾品としては、たとえばペンダント、ネックレス、ブレスレット、万年筆などの文房具類、食器、置物、ゴルフクラブ、携帯電話、あるいはボタンなどを挙げることができる。
本発明の装飾品を他の装飾品の一部として形成する場合には、当該一部における少なくとも直径1mmの円で規定される領域において、本発明の装飾品の組成状態となっていればよく、当該領域の表面から所定深さの領域、たとえば少なくとも表面より1mmの深さの領域までが本発明の装飾品として形成される。
本実施例においては、ピンク発色度合いとは、市販品のピンクシルバー(京セラ製)の720nmの波長における反射率を100%としたときの反射率の比であり、Pt−Cu焼結体からなる試料に対する電解研磨でのピンク発色度合いの効果を評価した。
(試料の作製1)
試料は、Pt粉末およびCu粉末を混合して得られる混合粉末を、成形圧力を550MPaとして焼結金型においてリング状に成形した後、放電プラズマ焼結法により焼成することによりリング状に形成した。試料のサイズは、内径19.8mm、外径23mm、厚みが5mmに設定した。
試料は、Pt粉末およびCu粉末を混合して得られる混合粉末を、成形圧力を550MPaとして焼結金型においてリング状に成形した後、放電プラズマ焼結法により焼成することによりリング状に形成した。試料のサイズは、内径19.8mm、外径23mm、厚みが5mmに設定した。
Pt粉末およびCu粉末の比率は実施例1〜12、比較例1〜5については50:50実施例13については20:80とした。Pt粉末およびCu粉末の最大粒径は75μmとした。
また、焼成条件は、焼成温度を450℃、焼成時間5分、昇温速度を40℃/分とした。
実施例としては、装飾品を電解研磨におけるTiPt陰極に設置し、チオ尿素2g、リン酸500ml、グリセリン10ml、純水490mlとして作製した電解質溶液中に浸し、電流を100A流すことにより、前記装飾品の表面のPtを溶出させることで電解研磨をおこなった。実施例1,2,3,4,5はPt50重量%、Cu50重量%の組成比となっており、電解研磨の時間を制御して表面積比率を調整している。
一方、比較例としては、表面をバフ研磨しただけの比較例1、装飾品を電解研磨における陽極に設置して他は実施例と同様に電解研磨した比較例2、組成を変えてバフ研磨した比較例3を準備した。
第2相22の表面積比率は図7や図8の断面において、100μm四方の範囲で断面視して、第1相と第2相の際の部分で線を引いて測定した。
これらの実施例1〜5と比較例1、2の結果より、ピンク発色度合いは第2相の表面積比率に増加する傾向があることがわかる。特に本実施例のように、Pt50重量%、Cu50重量%の組成比の場合であれば、第2相の表面積比率が65%に達すると十分なピンク発色度合いまで至り、その後のピンク発色度合いは飽和する傾向があることがわかる。
また、比較例3の組成であればピンク発色度合いは100%になるが、Pt品位は25%と低くなってしまうことがわかる。
1,4 指輪
7 時計
70 (時計の)ベルト
71 (時計の)側縁
8 メガネ
80 (メガネの)フレーム
2 装飾品
21,21′ 第1相
22,22′ 第2相
23,23′ 第3相
6 本発明の装飾品の層
D (第3相の)厚み
R 反射光
7 時計
70 (時計の)ベルト
71 (時計の)側縁
8 メガネ
80 (メガネの)フレーム
2 装飾品
21,21′ 第1相
22,22′ 第2相
23,23′ 第3相
6 本発明の装飾品の層
D (第3相の)厚み
R 反射光
Claims (8)
- Ptを主成分とし、且つ表面が凹状をなす第1相と、
Cuを含み、且つ表面が凸状をなす第2相とを備えた装飾品。 - 前記第1相と前記第2相との間において両相に接し、PtとCuとを含む金属間化合物を主成分とする第3相をさらに有している、請求項1に記載の装飾品。
- 前記第1相と前記第2相との組成比率に比し前記第1相と前記第2相の表面積比率が小さいことを特徴とする請求項1または2に記載の装飾品。
- 前記複数の第2相は、前記第1相内に配置されている、請求項1または2に記載の装飾品。
- 前記複数の第1相は、前記第2相内に配置されている、請求項1または2に記載の装飾品。
- 前記第3相は、前記第1相または前記第2相を囲んでいる、請求項2に記載の装飾品。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の装飾品の表面加工方法であって、前記装飾品をTiPt合金から成る陰極と電気的に接続した状態で前記装飾品の表面を電解研磨することを特徴とする装飾品の表面加工方法。
- 前記電解研磨における電解質溶液はチオ尿素、リン酸、グリセリン、純水を含むことを特徴とする請求項7に記載の装飾品の表面加工方法。
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2007018929A Pending JP2008184649A (ja) | 2007-01-30 | 2007-01-30 | 装飾品とその表面加工方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2008184649A (ja) |
-
2007
- 2007-01-30 JP JP2007018929A patent/JP2008184649A/ja active Pending
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