JP2008183967A - 建設機械用樹脂製タンク - Google Patents
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Abstract
【解決手段】燃料タンク20は、本体22の一部に形成された複数の開口21a,21bに固定用バンド31a,31bを通し、固定用バンド31a,31bを締め付けることで、エンジンルーム内における所定の取付台32上に固定される。
【選択図】図2
Description
例えば、特許文献1,2には、建設機械等に対して強固に固定することが可能な車両用燃料タンク等の取付構造について開示されている。
すなわち、上記公報に開示された取付構造では、樹脂製タンクの外周部に形成されたフランジ部に対してボルト固定穴を設けて固定する構造について開示されているが、このような取付構造では、ボルト止めした箇所に応力が集中し易くなり、固定箇所が破損してしまうおそれがある。
本体部は、内部に液体を貯留する。通過孔は、本体部に形成されており、建設機械の内部に取り付けられる際に固定用バンドを通す。
ここでは、油圧ショベルやホイルローダ、ブルドーザ等の建設機械に搭載される燃料タンク、作動油タンク、リザーバタンク等の樹脂製のタンクにおいて、建設機械に対して取り付ける際に固定用バンドを用いている。そして、この固定用バンドは、樹脂製タンクに形成された通過孔を通過させて、樹脂製タンクを固定側に締め付ける。
これにより、建設機械のような運転中に振動が発生し易い環境下において固定用バンドが緩んでしまった場合でも、従来のバンド用の溝を設けただけの構成のように樹脂製タンクが固定用バンドから外れて脱落してしまうことを回避することができる。特に、例えば、樹脂製タンクをオレフィン系樹脂によって成形した場合には、固定用バンドと樹脂製タンクの表面との間に生じる摩擦抵抗が小さく、樹脂製タンクが容易に脱落してしまうおそれがあるが、通過孔を介して固定用バンドによって取付けを行うことにより、樹脂製タンクの脱落を効果的に防止することができる。また、本体部に形成された通過孔に固定用バンドを通過させて固定することで、固定部分における応力の集中を回避しつつ、強固に固定することができる。
ここでは、本体部の外周部に沿ってフランジ部を設けており、このフランジ部に対して固定用バンドを通すための通過孔を形成している。
これにより、例えば、タンクの成形時に成形用金型を用いてピンチング等の方法によってフランジ部に通過孔を形成することで、固定用バンドを通すための通過孔を容易に形成することができる。
ここでは、固定用バンドを通すために本体部に形成された通過孔を、本体部のほぼ中央部付近等の内側に形成している。
これにより、樹脂製タンクを強固に締め付けた場合でも、樹脂製タンクを変形させたりすることなく、樹脂製タンクの取付けを行うことができる。
ここでは、例えば、ブロー成形等によって、内部に空間を有する樹脂製タンクの本体部を、通過孔とともに一体成形している。
これにより、複数の部品を組み合わせて樹脂製タンクを構成する場合と比較して、成形コストを低減し、かつ強度的にも優れたタンクを成形することができる。
ここでは、例えば、射出成形等によって成形された複数の部品を組み合わせて、通過孔を含む樹脂製タンクを構成している。
これにより、比較的複雑な形状についても、複数の部品を組み合わせることにより成形可能となる。
ここでは、荷重たわみ試験(JIS K 7191−2)において、180℃以上の荷重たわみ温度を有する熱可塑性樹脂を用いて、樹脂製タンクを成形する。
ここで、荷重たわみ温度が180℃以上の熱可塑性樹脂としては、PA(ポリアミド)等が考えられる。
ここでは、樹脂製タンクを、例えば、HDPE(高密度ポリエチレン)やPP(ポリプロピレン)等のオレフィン系樹脂によって成形している。
これにより、オレフィン系樹脂の特性により、耐油性に優れたタンクを形成することができる。この結果、燃料タンクや作動油タンクとして使用することができる。
ここでは、グラスファイバーやカーボン繊維等の繊維材料を含む樹脂を用いて、樹脂製タンクを成形している。
[油圧ショベル1の構成]
本実施形態に係る油圧ショベル1は、図1に示すように、下部走行体2と、旋回台3と、作業機4と、カウンタウェイト5と、エンジン6と、機器室9と、キャブ10と、を備えている。
旋回台3は、下部走行体2上において、任意の方向に旋回可能であって、上面に作業機4と、カウンタウェイト5と、エンジン6と、キャブ10とを搭載している。
エンジン6は、下部走行体2や作業機4を駆動するための駆動源であって、旋回台3上におけるカウンタウェイト5に隣接する空間内に配置されている。そして、エンジン6は、後述する燃料タンク20(図2等参照)から供給される燃料によって駆動される。
キャブ10は、油圧ショベル1のオペレータが乗降する運転室であって、作業機4の先端部を見通せるように、旋回台3上における作業機4の側方となる左側前部に配置されている。
燃料タンク20は、内部の空間内に燃料を貯留しており、図1に示す油圧ショベル1のエンジンルーム内に搭載されており、図2および図3に示すように、本体(本体部)22と、開口(通過孔)21a,21b,21cと、溝部23a,23bと、を備えている。そして、燃料タンク20は、2本の固定用バンド31a,31bによってエンジンルーム内の取付台32上に固定されている(燃料タンク20の取付構造30)。より具体的には、固定用バンド31a,31bは、それぞれ燃料タンク20の外周部分に沿って形成された開口21a,21bに通された状態で、取付台32における貫通穴が形成された取付部32a,32bに対してフック31aa,31baを介して接続される。さらに、燃料タンク20は、荷重たわみ温度(JIS K 7191−2)が80℃以上のHDPE(高密度ポリエチレン)によって成形されている。これにより、エンジン6等から発生する熱による変形を防止することができる。
本実施形態の燃料タンク20は、以上のように、油圧ショベル1のエンジンルーム内における取付台32に対して固定される際には、固定用バンド31a,31bが用いられるとともに、この固定用バンド31a,31bを開口21a,21bに通して固定している。これにより、油圧ショベル1の作業中等において燃料タンク20に対して振動や衝撃が付与されて固定用バンド31a,31bによる締め付けが緩んでしまった場合でも、固定用バンド31a,31bが開口21a,21bを通って締め付けられているため、固定用バンド31a,31bが完全に外れてしまわない限り、燃料タンク20が取付台32上から脱落してしまうことを防止することができる。
本実施形態では、上述した燃料タンク20を、以下のような工程によって、製造し、油圧ショベル1のエンジンルーム内における所定の位置へ取り付ける。
すなわち、図6のフローチャートに示すように、まず、ステップS1では、燃料タンク20の成形用金型の内部に、成形用樹脂であるHDPEを注入する。
次に、ステップS3では、本体22の外周部における所定の位置において成形用金型を用いてピンチングを行い、フランジ部24,26部分と、開口21a〜21cとを形成する。つまり、開口21a〜21c付きのフランジ部24,26を形成する。
以上のように、本体22の外周部に形成された開口21a,21bに固定用バンド31a,31bを通してから締め付け固定するため、従来の固定用バンドを用いた締付け固定よりも、確実に燃料タンクの脱落を防止することができる。
(1)
本実施形態の燃料タンク20は、図2に示すように、本体22の一部に形成された複数の開口21a,21bに固定用バンド31a,31bを通し、固定用バンド31a,31bを締め付けることで、エンジンルーム内における所定の取付台32上に固定される。
本実施形態の燃料タンク20では、図2および図3に示すように、本体22の外周部に沿って複数の開口21a〜21cが形成されている。
これにより、燃料タンク20の本体22を成形する際に、図4および図5に示すように、その外周部分を金型によってピンチングすることで、容易に固定用バンド31a,31bを通すための開口21a〜21cを形成することができる。
本実施形態の燃料タンク20では、図3、図4および図5に示すように、開口21a〜21cを、本体22とともに一体成形している。
これにより、内部に液体貯留用の空間を有し、取手開口21cを外周部に含む燃料タンク20を1つの部品によって成形することで、成形用の金型の数を減らして製造コストを低減することができる。
本実施形態の燃料タンク20では、図6に示すように、開口21a〜21cを含む本体22を、HDPE等のオレフィン系樹脂によって成形している。
これにより、軽油等の燃料を内部に貯留する場合でも、耐油性に優れた樹脂を用いて成形することにより、タンクの変形や燃料漏れ等の問題の発生を回避することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(A)
上記実施形態では、ブロー成形によって内部に空間を有するように成形された1つの部材(本体22)によって、燃料タンク20を構成した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
この場合には、燃料タンクを部品ごとに分割して成形することで、ブロー成形では成形が難しい複雑な形状を含む燃料タンクであっても、比較的容易に成形可能となる。
上記実施形態では、本体22の外周部分に形成されたフランジ部24,26にバンド通し用の開口21a〜21cが形成された燃料タンク20を例として挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、図8に示すように、本体(本体部)222の内部にバンド通し用の開口を有する燃料タンク(建設機械用樹脂製タンク)220であってもよい。この場合でも、本体222に形成された開口221a,221bに固定用のバンドを通して固定することで、固定箇所への応力集中を回避しつつ、燃料タンク220の脱落を防止できるという、上記と同様の効果を得ることができる。
上記実施形態では、燃料タンク20がHDPEによって成形された例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、耐油性が必要なタンクの場合には、LDPE(低密度ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)(例えば、住友化学(株)製「住友ノーブレン」D501や宇部興産(株)製「UBEポリプロ」ZS633)等の他のオレフィン系樹脂を用いて樹脂製タンクを成形してもよい。
つまり、樹脂製タンクに要求される性能に応じて適切な材質を用いて成形を行うことがより好ましい。
上記実施形態では、開口21a,21bにそれぞれ固定用バンド31a,31bを通して、取付台32に対して燃料タンク20を固定する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、固定用バンドを2本用いることは必須ではなく、1本あるいは3本以上の固定用バンドを用いて燃料タンクを固定してもよい。
(E)
上記実施形態では、本体22の外周部分に開口21a〜21cを含むフランジ部24,26をピンチングによって形成した燃料タンク20を例として挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
(F)
上記実施形態では、軽油等の建設機械の燃料を貯留するための燃料タンク20に対して本発明を適用した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
(G)
上記実施形態では、油圧ショベルに対して搭載された燃料タンク20を例として挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
2 下部走行体
3 旋回台
4 作業機
5 カウンタウェイト
6 エンジン
9 機器室
10 キャブ
11 ブーム
12 アーム
13 バケット
20 燃料タンク(建設機械用樹脂製タンク)
21a 開口(通過孔)
21b 開口(通過孔)
21c 取手開口(通過孔)
22 本体(本体部)
23a,23b 溝部
24 フランジ部
25 熱融着部
26 フランジ部
27 空洞
30 燃料タンクの取付構造
31a,31b 固定用バンド
31aa,31ba フック
32 取付台
32a,32b 取付部
120 燃料タンク(建設機械用樹脂製タンク)
121b 開口(通過孔)
122 本体(本体部)
122a 上部部材
122b 下部部材
220 燃料タンク(建設機械用樹脂製タンク)
221a,221b 開口(通過孔)
222 本体(本体部)
Claims (8)
- 建設機械に供給される液体を貯留するために搭載される樹脂製タンクであって、
内部に前記液体を貯留する本体部と、
前記本体部に形成されており、前記建設機械の内部に取り付けられる際に固定用バンドを通す通過孔と、
を備えている建設機械用樹脂製タンク。 - 前記通過孔は、前記本体部における外周部に沿って形成されたフランジ部に形成されている、
請求項1に記載の建設機械用樹脂製タンク。 - 前記通過孔は、前記本体部を貫通するように、前記本体部の内側に設けられている、
請求項1または2に記載の建設機械用樹脂製タンク。 - 前記本体部は、前記通過孔とともに一体に成形されている、
請求項1から3のいずれか1項に記載の建設機械用樹脂製タンク。 - 前記本体部は、前記通過孔を含む複数の部材によって構成されている、
請求項1から3のいずれか1項に記載の建設機械用樹脂製タンク。 - 前記本体部は、荷重たわみ温度が180℃以上の熱可塑性樹脂によって成形されている、
請求項1から5のいずれか1項に記載の建設機械用樹脂製タンク。 - 前記本体部は、オレフィン系樹脂によって成形されている、
請求項1から5のいずれか1項に記載の建設機械用樹脂製タンク。 - 前記本体部は、繊維材料が混入した樹脂によって成形されている、
請求項1から6のいずれか1項に記載の建設機械用樹脂製タンク。
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