JP2008182120A - 半田付け方法、半田付け装置、及び半導体装置の製造方法 - Google Patents

半田付け方法、半田付け装置、及び半導体装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ボイドの発生を抑制すること。
【解決手段】回路基板と半導体素子との間に半田を介在させた半田付け対象物周囲の雰囲気ガスの圧力を制御しながら前記半田を溶融温度以上の温度まで加熱して溶融し、その後に前記半田を前記溶融温度未満の温度まで下げて凝固させることにより、半田付けを行う。そして、半田付けは、少なくとも半田の凝固時において雰囲気ガスの圧力が上昇している状態で行う。
【選択図】図6

Description

本発明は、回路基板に半導体素子を半田付けする半田付け方法、半田付け装置、及び半導体装置の製造方法に関する。
従来、セラミックス基板の表面に配線層となる金属板を接合するとともに裏面に接合層となる金属板を接合し、表面側の金属板には半導体素子を接合する一方で、裏面側の金属板には半導体素子の発する熱を放熱する放熱装置(ヒートシンク)を接合し、モジュール化した半導体モジュールが知られている。この種の半導体モジュールでは、表面側の金属板に対して半導体素子を半田付けにより接合している。また、半導体素子の半田付けには、例えば、特許文献1に記載されるような半田付け装置などが用いられている。
ところで、半導体素子の半田付けでは、半田を溶融して凝固させるまでの過程において半田の中にボイドが発生する場合が多く、問題とされている。半田の中に多くのボイドが発生した場合には、電気や熱の抵抗が高くなることに加えて、1つのボイドがある程度以上の大きさになると半導体素子からの電気や熱が当該ボイドを迂回して金属板側に流れることになる。このため、半導体素子からの電気や熱は、ボイドがあると当該ボイドがない部位を迂回して金属板側(回路側)に到達することから、ボイド周縁部に位置する半導体素子の部位には局所的な高温領域(ホットスポット)が生じ、半導体素子の破壊に繋がる虞がある。
そこで、従来、ボイドの発生を抑制するための提案がなされている。これらの特許文献1〜3には、収容室内の雰囲気圧力を上昇させた状態で半田付けを行う方法が開示されている。
特開平11−154785号公報 特開2004−114074号公報 特開2005−230830号公報
ところで、特許文献1〜3では、半田の凝固前に雰囲気圧力を上昇させており、半田の凝固時の雰囲気圧力は一定とされている。しかしながら、本発明者の実験によれば、これらの半田付け方法ではボイドの発生を十分に抑制することができないことを確認した。本発明者の実験結果は、図9及び図10に示しており、その詳細は後述する。
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、ボイドの発生を抑制することができる半田付け方法、半田付け装置、及び半導体装置の製造方法を提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、回路基板と半導体素子との間に半田を介在させた半田付け対象物周囲の雰囲気ガスの圧力を制御しながら前記半田を溶融温度以上の温度まで加熱して溶融し、その後に前記半田を前記溶融温度未満の温度まで下げて前記半田を凝固させることにより、前記回路基板と前記半導体素子とを半田付けする半田付け方法であって、少なくとも前記半田の凝固時には、前記雰囲気ガスの圧力が上昇している状態で半田付けを行うことを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の半田付け方法において、前記半田の冷却開始から前記半田の凝固時には、前記雰囲気ガスの圧力を上昇させ続けることを要旨とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のうち何れか一項に記載の半田付け方法において、前記半田付け対象物を収容室に収容し、前記収容室内へ前記雰囲気ガスを供給することにより、前記雰囲気ガスの圧力を上昇させることを要旨とする。
請求項7に記載の発明は、回路基板と半導体素子との間に半田を介在させた半田付け対象物を半田付けする半田付け装置であって、前記半田を加熱し、溶融させる加熱手段と、半田付け対象物周囲の雰囲気ガスの圧力を制御する雰囲気ガス制御手段と、を備え、前記加熱手段は、前記半田を溶融温度以上の温度まで加熱して溶融し、前記雰囲気ガス制御手段は、溶融後の前記半田の凝固時において前記雰囲気ガスの圧力が上昇している状態に制御することを要旨とする。
請求項8に記載の発明は、回路基板と半導体素子との間に半田を介在させた半田付け対象物周囲の雰囲気ガスの圧力を制御しながら前記半田を溶融温度以上の温度まで加熱して溶融し、その後に前記半田を前記溶融温度未満の温度まで下げて前記半田を凝固させることにより、前記回路基板と前記半導体素子とを半田付けした半導体装置の製造方法であって、少なくとも前記半田の凝固時には、前記雰囲気ガスの圧力が上昇している状態で半田付けを行うことを要旨とする。
請求項1、請求項2、請求項6、請求項7及び請求項8に記載の発明によれば、半田の凝固時には、収容室内の雰囲気圧力が上昇していることにより、圧力変化が生じる。このため、圧力を一定とした場合よりも、圧力変化が生じることによって、ボイドの発生を抑制することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の半田付け方法において、少なくとも前記半田の加熱段階において前記半田が前記溶融温度に達した時には、前記雰囲気ガスの圧力が上昇している状態で半田付けを行うことを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の半田付け方法において、前記半田が前記溶融温度に達した時から加熱が終了する迄の間、前記雰囲気ガスの圧力を上昇させ続けることを要旨とする。
請求項3及び請求項4に記載の発明によれば、半田の溶融時には、収容室内の雰囲気圧力が上昇していることにより、圧力変化が生じる。このため、圧力を一定とした場合よりも、圧力変化が生じることによって、ボイドの発生を抑制することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載の半田付け方法において、前記半田の冷却段階において前記雰囲気ガスの圧力は、前記半田の加熱段階における前記雰囲気ガスの最大圧力よりも高い0.2MPa以下の圧力まで上昇させることを要旨とする。
請求項5に記載の発明によれば、雰囲気ガスの圧力を上昇させて半田付けを行った場合、加圧により縮小されて残ったボイドの内圧は大気圧に近い圧となる。そして、加圧力を高めた場合、ボイドの内圧は高くなる。このため、内圧が高い状態でボイドが残ると、半田に応力が生じ、半田付けの信頼性の低下をもたらす虞がある。
本発明によれば、ボイドの発生を抑制することができる。
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図10にしたがって説明する。
図1及び図2は、半導体装置としての半導体モジュール10を示している。半導体モジュール10は、回路基板11と、当該回路基板11に接合される半導体素子12と、放熱装置としてのヒートシンク13とから構成されている。回路基板11は、セラミックス基板14の両面に金属板15,16を接合して構成されている。セラミックス基板14は、例えば、窒化アルミニウム、アルミナ、窒化ケイ素などにより形成されている。また、金属板15は、配線層として機能し、例えば、アルミニウム(純アルミニウム及びアルミニウム合金)や銅などで形成されている。半導体素子12は、金属板15に接合(半田付け)されている。図2の符号「H」は、半田層を示している。半導体素子12は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor )やダイオードからなり、回路基板11(金属板15)には複数(本実施形態では4つ)の半導体素子12が接合されている。また、金属板16は、セラミックス基板14とヒートシンク13とを接合する接合層として機能し、例えば、アルミニウムや銅などで形成されている。ヒートシンク13は、金属板16に接合されている。
図3は、半田付けに用いる半田付け装置としてのリフロー装置HKの構成を概略的に示している。リフロー装置HKは、回路基板11に半導体素子12を半田付けするための装置として構成されている。
リフロー装置HKは、収容室としてのリフロー室20と、ワーク収容室を構成する投入室21及び取出室22とを備えている。リフロー室20は、半田溶融前の半田付け対象物を受け入れ、当該半田付け対象物を加熱し、半田を溶融する部位として機能する。また、本実施形態においてリフロー室20は、半田溶融後の半田付け対象物を冷却し、半田を凝固させる部位としても機能する。本実施形態の半田付け対象物は、回路基板11とヒートシンク13を接合した接合物に半導体素子12を積層し、当該接合物と半導体素子12との間に半田(半田シート17)を介在させてなるものである。図3中、半田付け対象物は網掛けで図示している。
投入室21は、リフロー室20に投入する半田溶融前の半田付け対象物を収容する部位として機能する。一方、取出室22は、リフロー室20から取り出した半田溶融凝固後の半田付け対象物を収容する部位として機能する。そして、投入室21は、リフロー室20における半田付け対象物の投入側に接続されているとともに、取出室22は、リフロー室20における半田付け対象物の取り出し側に接続されている。本実施形態のリフロー装置HKは、投入室21に半田付け対象物を収容し、当該半田付け対象物を各室20〜22内に配設した搬送機構(コンベアなど)でリフロー室20に搬送し、当該リフロー室20において加熱及び冷却の各処理を経た後に搬送機構で取出室22に搬送する構成となっている。したがって、リフロー室20における半田付け対象物の投入側に接続される投入室21は、リフロー装置HKのワーク搬送方向(図3に示す矢印方向)の上流側(前側)に接続されているとともに、リフロー室20における半田付け対象物の取り出し側に接続される取出室22は、前記ワーク搬送方向の下流側(後側)に接続されていることとなる。
リフロー室20と投入室21は、両室20,21を連通状態と非連通状態に仕切る仕切部材として機能する開閉式の投入側扉(例えば、ゲートバルブ)23を介して接続されている。また、リフロー室20と取出室22は、両室20,22を連通状態と非連通状態に仕切る仕切部材として機能する開閉式の取出側扉(例えば、ゲートバルブ)24を介して接続されている。投入側扉23と取出側扉24は、図3(b)に示す矢印方向(紙面上、上下方向)を開閉方向として動作可能に装着されている。リフロー室20は、投入側扉23の開放によりリフロー室20の入口が開放されて投入室21と連通状態となり、投入室21内にある半田溶融前の半田付け対象物を投入可能な状態となる。その一方で、リフロー室20は、投入側扉23の閉鎖によりリフロー室20の入口が閉鎖されて投入室21と非連通状態となり、投入室21内にある前記半田付け対象物を投入不能な状態となる。
また、リフロー室20は、取出側扉24の開放によりリフロー室20の出口が開放されて取出室22と連通状態となり、リフロー室20内にある半田溶融凝固後の半田付け対象物を取り出し可能な状態となる。その一方で、リフロー室20は、取出側扉24の閉鎖によりリフロー室20の出口が閉鎖されて取出室22と非連通状態となり、リフロー室20内にある前記半田付け対象物を取り出し不能な状態となる。すなわち、リフロー室20の室内空間は、投入側扉23と取出側扉24の両方を閉鎖することにより、投入室21と取出室22の各室内空間と区画される。
投入室21には、入口側扉(例えば、ゲートバルブ)25が設けられている。入口側扉25は、投入室21へ半田付け対象物を投入する入口に設けられている。また、取出室22には、出口側扉(例えば、ゲートバルブ)26が設けられている。出口側扉26は、取出室22から半田付け対象物を取り出す出口に設けられている。入口側扉25と出口側扉26は、図3(b)に示す矢印方向(紙面上、上下方向)を開閉方向として動作可能に装着されている。投入室21は、入口側扉25の開放により入口が開放され、半田溶融前の半田付け対象物を投入可能な状態となる。そして、投入室21の室内空間は、投入側扉23と入口側扉25の両方を閉鎖することにより、リフロー室20の室内空間と区画される。また、取出室22は、出口側扉26の開放により出口が開放され、半田溶融凝固後の半田付け対象物を取り出し可能な状態となる。取出室22の室内空間は、取出側扉24と出口側扉26の両方を閉鎖することにより、リフロー室20の室内空間と区画される。
以下、リフロー室20、投入室21及び取出室22の構成をさらに詳しく記載する。
リフロー室20には、投入室21から投入された半田付け対象物を搬送する搬送手段としてのコンベア27が配設されている。リフロー室20は、1回の半田付けで投入する個数の半田付け対象物を収容可能な大きさで形成されている。1回の半田付けで投入する半田付け対象物の個数は、1個でも良いし、複数個でも良い。また、リフロー室20には、半田付け対象物を加熱し、半田を溶融するための加熱手段としての加熱装置(例えば、ヒータなど)28が配設されている。
リフロー室20には、室内に還元性ガス(本実施形態では水素(H))を供給する還元性ガス供給部30が接続されている。還元性ガス供給部30は、配管30aと、当該配管30aの開閉バルブ30bと、減圧弁(圧力調整手段)30cと、還元性ガス供給源(例えば、水素を充填した水素タンク)30dとを備えている。減圧弁30cは、開閉バルブ30bを介して導入した還元性ガス供給源30dからの水素ガスの圧力を一定圧にし、リフロー室20内に供給するようになっている。また、リフロー室20には、室内に不活性ガス(本実施形態では窒素(N))を供給する不活性ガス供給部31が接続されている。不活性ガス供給部31は、配管31aと、当該配管31aの開閉バルブ31bと、減圧弁(圧力調整手段)31cと、不活性ガス供給源(例えば、窒素を充填した窒素タンク)31dとを備えている。減圧弁31cは、開閉バルブ31bを介して導入した不活性ガス供給源31dからの窒素ガスの圧力を一定圧にし、リフロー室20内に供給するようになっている。
また、リフロー室20には、室内を真空引きするための真空部32が接続されている。真空部32は、配管32aと、当該配管32aの開閉バルブ32bと、真空ポンプ32cとを備えている。また、リフロー室20には、室内に導入した還元性ガス及び不活性ガスを室外に排出するガス排出部33が接続されている。ガス排出部33は、配管33aと、当該配管33aの開閉バルブ33bと、絞り弁(圧力調整手段)33cとを備えている。リフロー室20内のガスは、絞り弁33cにて排出量が調整され、外部に排出される。また、リフロー室20には、室内の温度を計測する温度センサ(例えば、熱電対など)34が設置されている。本実施形態において温度センサ34は、半導体素子12と金属板15の接合部位(半田付けを行う部位)の温度、すなわち半田の温度を計測し得るようにリフロー室20内に設置されている。
リフロー室20は、還元性ガス供給部30、不活性ガス供給部31、真空部32及びガス排出部33が接続されることにより、リフロー室20内の雰囲気ガスの圧力(以下、「雰囲気圧力」とも示す)を調整可能な構成とされており、圧力調整によって加圧されたり、減圧されたりする。そして、リフロー室20に投入された半田付け対象物は、還元性ガス供給部30、不活性ガス供給部31、真空部32及びガス排出部33による圧力調整により、半田付け対象物周囲の雰囲気ガスの圧力が制御され、リフロー室20にガスを供給することで半田付け対象物周囲の雰囲気ガスの圧力は上昇する。そして、本実施形態においてリフロー室20の雰囲気圧力は、図6〜図8に示すように、リフロー室20内の温度変化に合わせて制御される。また、リフロー室20では、還元性ガス供給部30の減圧弁30cとガス排出部33の絞り弁33cの作用、及び不活性ガス供給部31の減圧弁31cとガス排出部33の絞り弁33cの作用により、雰囲気圧力を一定値に保ちつつ、ガスを室内と室外で流通させるようになっている。そして、本実施形態においてリフロー室20では、半田付け対象物の半田の溶融から凝固まで行うようになっている。
次に、投入室21について説明すると、該投入室21には、半田付け対象物を搬送する搬送手段としてのコンベア35が配設されている。投入室21は、リフロー室20と同様に、1回の半田付けで投入する個数の半田付け対象物を収容可能な大きさで形成されている。
次に、取出室22について説明すると、該取出室22には、半田付け対象物を搬送する搬送手段としてのコンベア36が配設されている。取出室22は、リフロー室20と同様に、1回の半田付けで投入する個数の半田付け対象物を収容可能な大きさで形成されている。
投入室21には、当該投入室21に隣接して配置されたワーク供給ライン37から半田付け対象物が供給されるようになっている。図4及び図5には、ワーク供給ライン37から投入室21に供給される半田付け対象物を示している。ワーク供給ライン37では、回路基板11とヒートシンク13の接合物(図3(a)には「基板」と図示する)に半導体素子12や半田シート17の位置決め用の治具38が載置され、次いで半田シート17と半導体素子12とが順次積層される。
図4及び図5は、投入室21に投入される半田付け対象物を示している。治具38は、回路基板11を構成するセラミックス基板14と同一の大きさをなす平板状に形成されている。治具38は、例えば、グラファイトやセラミックスなどの材料で形成されている。治具38には、回路基板11における半導体素子12の接合部位に対応する部位に位置決め用の貫通孔39が形成されている。貫通孔39は、半導体素子12のサイズに応じた大きさで形成されている。そして、本実施形態においては、回路基板11上に複数個(4つ)の半導体素子12が接合されるので、治具38には複数個(4つ)の貫通孔39が形成されている。
取出室22に搬送された半田溶融凝固後の半田付け対象物は、当該取出室22に隣接して配置されたワーク排出ライン40に排出されるようになっている。ワーク排出ライン40では、治具38が取り外され、半田溶融凝固後の半田付け対象物が製品(半導体モジュール10)として搬送される。ワーク排出ライン40で取り外された治具38は、ワーク供給ライン37に再び戻される。
次に、本実施形態のリフロー装置HKを用いて半導体素子12の半田付けを行う方法について説明する。本実施形態のリフロー装置HKは、制御装置41を備えており、制御装置41が還元性ガス供給部30、不活性ガス供給部31、真空部32及びガス排出部33を制御することによりリフロー室20の雰囲気圧力の調整が行われるとともに、制御装置41が各扉23〜26の開閉及び搬送機構(コンベア27,35,39)の動作を制御する。本実施形態では、制御装置41、還元性ガス供給部30、不活性ガス供給部31、真空部32及びガス排出部33により、雰囲気ガス制御手段が構成される。
リフロー装置HKは、起動時、投入側扉23、取出側扉24、入口側扉25及び出口側扉26の全ての扉が閉鎖されている。半田付けを行う場合には、最初に、入口側扉25を開放してワーク供給ライン37から半田付け対象物を投入室21に投入し、その後に投入側扉23を開放して投入室21内の半田付け対象物をリフロー室20に投入する。そして、投入側扉23を閉鎖し、リフロー室20を密閉する。
次に、リフロー室20内のガス置換を行う。まず、真空部32を操作してリフロー室20内を真空引きし、還元性ガス供給部30からリフロー室20内へ還元性ガスを供給し、密閉空間とされたリフロー室20内を還元性ガス雰囲気に置換する。このとき、リフロー室20は、雰囲気圧力が所定圧(本実施形態では0.01MPa)となるように雰囲気調整を行う。このときの所定圧は、本実施形態において半田付け開始時(加熱開始時)の圧力となる。リフロー室20は、還元性ガス供給部30からの還元性ガスの供給とガス排出部33からのガスの排出により、室内でガスを流通させながら一定圧(0.01MPa)に保持される。そして、この状態で半田付けを開始する。また、リフロー室20に半田付け対象物を投入したならば、投入室21には、ワーク供給ライン37から次の半田付け対象物を投入し、入口側扉25を閉鎖する。
次に、半田付けを開始すると、リフロー室20では、加熱装置28を作動させることにより、該リフロー室20に投入した半田溶融前の半田付け対象物を加熱し、半田を溶融する。そして、半田付けの開始後、リフロー室20内は、温度センサ34により計測される半田の温度変化に合わせて、時間の経過とともに圧力が制御される。具体的には、不活性ガス供給部31からリフロー室20内へ不活性ガスを供給し、半田の温度と時間をもとに、段階的に圧力が上昇させられる。これにより、リフロー室20に投入した半田付け対象物周囲の雰囲気ガスの圧力は、段階的に上昇させられる。そして、リフロー室20は、不活性ガス供給部31からの不活性ガスの供給とガス排出部33からのガスの排出により、室内でガスを流通させながら雰囲気圧力が所定圧に保持される。
その後、半田が完全に溶融したならば、加熱装置28を停止させ、溶融した半田が凝固する迄の間、冷却する。本実施形態のリフロー装置HKでは、溶融した半田を自然冷却させる。溶融した半田は、半田温度が溶融温度未満に冷却されることによって凝固し、金属板15と半導体素子12を接合する。そして、リフロー室20内で半田が溶融凝固したならば、リフロー室20内へのガスの供給を停止するとともにリフロー室20内のガスをガス排出部33により大気開放し、その後に取出側扉24を開放して半田溶融凝固後の半田付け対象物を取出室22へ搬送する。取出側扉24は、半田溶融凝固後の半田付け対象物の搬送後に閉鎖する。
取出室22へ搬送した半田溶融凝固後の半田付け対象物は、取出室22にて半田温度が所定温度に低下する所定時間の間、さらに自然冷却し、その後に取出室22からワーク排出ライン40へ搬送する。取出室22の出口側扉26は、半田溶融凝固後の半田付け対象物をワーク排出ライン40へ搬送する際に開放し、搬送後に閉鎖する。
一方、半田溶融凝固後の半田付け対象物を取出室22へ搬送した後のリフロー室20には、投入室21で待機している次の半田付け対象物を投入し、次の半田付け対象物の半田付けを行う。この半田付けは前述同様に行い、リフロー装置HKでは、投入室21からリフロー室20に半田溶融前の半田付け対象物を投入し、半田付け後に半田溶融凝固後の半田付け対象物をリフロー室20から取出室22に搬送する作業が繰り返される。
次に、本実施形態のリフロー装置HKを用いて半田付けを行った場合の結果を図6〜図8に示す実験例1〜3を用いて説明する。
図6〜図8は、本実施形態のリフロー装置HKを用いて半田付けを行う場合のリフロー室20内の圧力と温度の関係を示したグラフと、半田付け後の半導体素子12の裏面側(接合面側)を示したX線写真である。
実験例1〜3で用いた半導体モジュール10の各寸法は、以下のとおりである。
セラミックス基板14は、窒化アルミニウムからなり、30mm×30mmの四角形で、厚み0.635mmである。金属板15,16は、純アルミニウム(例えば、工業用純アルミニウムである1000系アルミニウム)からなり、27mm×27mmの四角形で、厚み0.4mmである。半導体素子12は、厚み0.35mmである。半田シート17は、Sn(錫)−Cu(銅)−Ni(ニッケル)−P(リン)系の鉛フリー半田からなり、厚み0.1mm〜0.2mmである。なお、本実施形態の半田シート17の成分は、Sn:99%、Cu:0.7%、Ni:0.07%、P:0.003%である。また、本実施形態で用いる半田シート17は、溶融温度が227℃〜230℃である。
最初に、図6に示す実験例1を説明する。実験例1では、図6のグラフに示すように半田温度に合わせてリフロー室20内の圧力を変遷させている。
実験例1において、半田温度は、リフロー室20内を0.01MPaに雰囲気調整した後、予熱温度となる200℃に達し、所定時間の予熱後に本加熱温度となる300℃に達するように制御した。そして、半田温度は、所定時間の本加熱後、加熱装置28を停止させることで自然冷却により、時間の経過とともに下降させた。
一方、リフロー室20内の雰囲気圧力は、予熱時に0.01MPaを維持し、半田温度を200℃から300℃に昇温させる際に0.01MPaから0.045MPaに昇圧するとともに本加熱時に0.045MPaを維持するように制御した。実験例1では、0.045MPaが、半田の加熱段階における雰囲気圧力となる。また、雰囲気圧力は、本加熱の終了と略同時に0.045MPaから0.2MPaに昇圧させるように制御した。実験例1では、0.2MPaが、半田の冷却段階における雰囲気圧力となる。
そして、実験例1では、半田温度が200℃から300℃に昇温する過程と雰囲気圧力が0.01MPaから0.045MPaに昇圧する過程において、半田温度が溶融温度に達した時、雰囲気圧力が上昇している状態に制御している。すなわち、雰囲気圧力は、半田温度が溶融温度に達した時に、0.01MPaから0.045MPaへの昇圧状態となっている。また、雰囲気圧力は、半田温度が溶融温度に達した時から加熱終了となる300℃に達する迄の間、時間の経過とともに連続的に上昇し続けるように制御している。
また、実験例1では、半田温度が300℃から自然冷却により下降する過程と雰囲気圧力が0.045MPaから0.2MPaに昇圧する過程において、半田温度が凝固温度(溶融温度)に達した時、雰囲気圧力が上昇している状態に制御している。すなわち、雰囲気圧力は、半田の凝固時に、0.045MPaから0.2MPaへの昇圧状態となっている。また、雰囲気圧力は、溶融した半田の冷却開始から半田が凝固する迄の間、時間の経過とともに連続的に上昇し続けるように制御している。なお、実験例1では、半田温度を200℃から300℃に昇温する加熱段階における雰囲気圧力の上昇比率と、半田を本加熱の終了によって冷却する冷却段階における雰囲気圧力の上昇比率を同一比率に設定している。具体的に言えば、0.01MPaから0.045MPaに昇圧する上昇比率と0.045MPaから0.2MPaに昇圧する上昇比率は、何れも約4.5倍に設定されている。
実験例1のように2段階で加圧して半田付けを行った場合は、図6に掲載する半導体素子12の裏面側(接合面側)のX線写真に見られるように、ボイドの発生が好適に抑えられている。なお、実験例1で半田付けを行った場合のボイド率は、実験に用いたサンプルの平均値として[0.03]であった。ボイド率は、体積中に占める気体の割合を示す。
次に、図7に示す実験例2を説明する。実験例2では、図7のグラフに示すように半田温度に合わせてリフロー室20の雰囲気圧力を変遷させている。なお、実験例2は、半田温度については実験例1の半田温度と同様に制御しており、雰囲気圧力の制御が実験例1と異なっている。したがって、以下の説明では、実験例2における雰囲気圧力の制御を中心に説明する。
リフロー室20内の雰囲気圧力は、予熱時に0.01MPaを維持し、半田温度を200℃から300℃に昇温させる際に0.01MPaから0.1MPa(10倍)に昇圧するとともに本加熱時に0.1MPaを維持するように制御した。実験例2では、0.1MPaが、半田の加熱段階における雰囲気圧力となる。また、雰囲気圧力は、本加熱の終了と略同時に0.1MPaから0.2MPa(2倍)に昇圧させるように制御した。実験例2では、0.2MPaが、半田の冷却段階における雰囲気圧力となる。実験例2では、半田温度を200℃から300℃に昇温する加熱段階における雰囲気圧力の上昇比率と、半田を本加熱の終了によって冷却する冷却段階における雰囲気圧力の上昇比率を異なる比率に設定している。
そして、実験例2では、実験例1と同様に、半田温度が200℃から300℃に昇温する過程と雰囲気圧力が0.01MPaから0.1MPaに昇圧する過程において、半田温度が溶融温度に達した時、雰囲気圧力が上昇している状態に制御している。すなわち、雰囲気圧力は、半田温度が溶融温度に達した時に、0.01MPaから0.1MPaへの昇圧状態となっている。また、雰囲気圧力は、半田温度が溶融温度に達した時から加熱終了となる300℃に達する迄の間、時間の経過とともに連続的に上昇し続けるように制御している。
また、実験例2では、実験例1と同様に、半田温度が300℃から自然冷却により下降する過程と雰囲気圧力が0.1MPaから0.2MPaに昇圧する過程において、半田温度が凝固温度(溶融温度)に達した時、雰囲気圧力が上昇している状態に制御している。すなわち、雰囲気圧力は、半田の凝固時に、0.1MPaから0.2MPaへの昇圧状態となっている。また、雰囲気圧力は、溶融した半田の冷却開始から半田が凝固する迄の間、時間の経過とともに連続的に上昇し続けるように制御している。
実験例2のように2段階で加圧して半田付けを行った場合は、図7に掲載する半導体素子12の裏面側(接合面側)のX線写真に見られるように、ボイドの発生が好適に抑えられている。なお、実験例2で半田付けを行った場合のボイド率は、実験に用いたサンプルの平均値として[0.12]であった。
次に、図8に示す実験例3を説明する。実験例3では、図8のグラフに示すように半田温度に合わせてリフロー室20の雰囲気圧力を変遷させている。なお、実験例3は、半田温度については実験例1,2の半田温度と同様に制御しており、雰囲気圧力の制御が実験例1,2と異なっている。したがって、以下の説明では、実験例3における雰囲気圧力の制御を中心に説明する。
リフロー室20内の雰囲気圧力は、予熱から本加熱が略終了する迄の間、0.01MPaを維持するように制御し、本加熱の終了と略同時に0.01MPaから0.2MPa(20倍)に昇圧させるように制御した。実験例3では、半田温度を200℃から300℃に昇温する加熱段階において雰囲気圧力を加圧することなく、半田を本加熱の終了によって冷却する冷却段階においてのみ雰囲気圧力を加圧している。実験例3では、0.01MPaが半田の加熱段階における雰囲気圧力となり、0.2MPaが半田の冷却段階における雰囲気圧力となる。
そして、実験例3では、実験例1,2と同様に、半田温度が300℃から自然冷却により下降する過程と雰囲気圧力が0.01MPaから0.2MPaに昇圧する過程において、半田温度が凝固温度(溶融温度)に達した時、雰囲気圧力が上昇している状態に制御している。すなわち、雰囲気圧力は、半田の凝固時に、0.01MPaから0.2MPaへの昇圧状態となっている。また、雰囲気圧力は、溶融した半田の冷却開始から半田が凝固する迄の間、時間の経過とともに連続的に上昇し続けるように制御している。
実験例3のように1段階で加圧して半田付けを行った場合は、図8に掲載する半導体素子12の裏面側(接合面側)のX線写真に見られるように、ボイドの発生が好適に抑えられている。なお、実験例3で半田付けを行った場合のボイド率は、実験に用いたサンプルの平均値として[0.01未満]であった。
次に、図9及び図10を用いて比較例1,2を説明する。
比較列1,2で用いた半導体モジュール10の各寸法は、実験例1〜3で用いた半導体モジュール10と同じである。そして、比較列1,2は、実験例1〜3に対して雰囲気圧力の制御が実験例1〜3と異なっている。したがって、以下の説明では、各比較例1,2について雰囲気圧力の制御を中心に説明する。
図9に示す比較例1においてリフロー室20内の雰囲気圧力は、予熱から本加熱が略終了する迄の間、0.1MPaを維持するように制御し、本加熱の終了と略同時に0.1MPaから0.2MPaに昇圧させるように制御した。そして、比較例1では、半田温度が300℃から自然冷却により下降する過程と雰囲気圧力が0.1MPaから0.2MPaに昇圧する過程において、半田温度が凝固温度(溶融温度)に達した時、雰囲気圧力が一定圧(0.2MPa)を維持するように制御している。
また、図10に示す比較例2においてリフロー室20内の雰囲気圧力は、予熱時に0.01MPaを維持し、半田温度を200℃から300℃に昇温させる際に0.01MPaから0.1MPaに昇圧するとともに本加熱時及び本加熱の終了後も0.1MPaを維持するように制御した。そして、比較例2では、半田温度が200℃から300℃に昇温する過程と雰囲気圧力が0.01MPaから0.1MPaに昇圧する過程において、半田温度が溶融温度に達した時、雰囲気圧力が上昇している状態に制御している。一方、比較列2では、半田温度が300℃から自然冷却により下降する過程において、半田温度が凝固温度(溶融温度)に達した時、雰囲気圧力が一定圧(0.1MPa)を維持するように制御している。
比較例1,2のように半田付けを行った場合は、図9及び図10に掲載する半導体素子12の裏面側(接合面側)のX線写真に見られるように、実験例1〜3に比べてボイドが発生していることが分かる。比較例1で半田付けを行った場合のボイド率は、実験に用いたサンプルの平均値として[1.38]であった。また、比較列2で半田付けを行った場合のボイド率は、実験に用いたサンプルの平均値として[0.31]であり、ボイド率としてはまずまずの結果を得られたがばらつきが大きかった。なお、実験例1〜3及び比較例1,2のボイド率は、同数のサンプルの平均値である。
以上、これらの実験結果を踏まえると、図8の実験例3と図9及び図10の比較例1,2の対比結果から、半田の冷却段階で雰囲気圧力を加圧し、さらに冷却段階で加圧する場合には半田の凝固時においても雰囲気圧力を加圧していることがボイドの発生を抑制する上で効果的であることが分かる。そして、図6の実験例1及び図7の実験例2からは、半田の加熱段階で雰囲気圧力を加圧し、さらに半田の冷却段階で雰囲気圧力を加圧すれば、ボイドの発生を抑制する上でさらに効果的であることが分かる。
ボイドが発生する原因には、雰囲気から半田内に取り込まれたガスや加熱によって基板などの接合対象物から発生したガスが溶融凝固した半田内に閉じ込められてしまうことが挙げられる。このため、雰囲気を圧力が上昇している状態にすれば、半田内のガスを半田外に放出させたり、ガスの体積を縮小させたりすることが可能となる。しかし、本発明者が行った実験結果によれば、雰囲気を単に加圧しただけではボイドの発生を好適に抑えることはできず、昇圧タイミングが重要であることが分かる。具体的に言えば、半田の凝固時において昇圧、すなわち雰囲気圧力を変化(変動)させることによりボイドの発生を好適に抑えられることが分かる。このため、ボイドの発生は、半田の凝固時において雰囲気圧力が一定となるように加圧するよりも、半田の凝固時においても雰囲気圧力が変化しているように加圧した方が効果的に抑制し得る。
したがって、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)半田付け対象物の半田付けを行う際、半田の凝固時にはリフロー室20内の雰囲気圧力を上昇させるように、圧力を制御する。これによれば、溶融されている半田内に存在するガスを半田外に放出させたり、ガスの体積を縮小させたりすることができる。したがって、半田の凝固時には雰囲気圧力を上昇させているので、半田の凝固前に雰囲気圧力を上昇させて凝固時の雰囲気圧力を一定にしている場合に比してボイドの発生を抑制することができる。
(2)また、半田の冷却開始から半田の凝固時には、リフロー室20内の雰囲気圧力を上昇させ続けることにより、半田の凝固時には確実に雰囲気圧力が上昇している環境を作り出すことができるとともに、雰囲気圧力の制御を簡素化することができる。
(3)半田付け対象物の半田付けを行う際、半田の溶融時にはリフロー室20内の雰囲気圧力を上昇させるように、圧力を制御する。これによれば、溶融されている半田内に存在するガスを半田外に放出させたり、ガスの体積を縮小させたりすることができる。したがって、半田の溶融時には雰囲気圧力を上昇させているので、半田の溶融前に雰囲気圧力を上昇させて溶融時の雰囲気圧力を一定にしている場合に比してボイドの発生を抑制することができる。そして、半田の溶融時と半田の凝固時の2段階で雰囲気圧力を上昇させることで、ボイドの発生をさらに抑制することができる。
(4)また、半田が溶融温度に達した時から加熱が終了する迄の間、リフロー室20内の雰囲気圧力を上昇させ続けることにより、半田の溶融時には確実に雰囲気圧力が上昇している環境を作り出すことができるとともに、雰囲気圧力の制御を簡素化することができる。
(5)半田の冷却段階においてリフロー室20の雰囲気圧力は、半田の加熱段階における最大雰囲気圧力(実験例1では0.045MPa、実験例2では0.1MPa、実験例3では0.01MPa)よりも高い0.2MPaの圧力まで上昇させている。これによれば、圧力が上昇している状態で半田付けを行った場合、加圧により縮小されて残ったボイドの内圧は大気圧に近い圧となる。リフロー室20の雰囲気圧力をさらに高く設定すれば、ボイドの体積をより縮小させることができると考えられるが、ボイドの内圧は高くなる。このため、内圧が高い状態でボイドが残ると、半田に応力が生じ、半田付けの信頼性の低下をもたらす。例えば、内圧が高い状態のボイドは膨張することもあり、半導体モジュール10を通電した際に、そのボイドの膨張による影響を受けて背景技術で記載したように局所的な高温領域(ホットスポット)が生じ易くなる。したがって、ボイドの内圧は、大気圧に近い圧に止めておくことで、局所的な高温領域(ホットスポット)の発生を抑制することができる。
(6)実験例1のように、半田の加熱段階と半田の冷却段階における雰囲気圧力の上昇比率を同一比率に設定することで、加圧しながら半田付けを行う場合の加熱段階と冷却段階の効果を均等化することができる。
なお、本実施形態は以下のように変更してもよい。
○ 実施形態において、半田付け装置を図11に示すように、収容室としての容器(チャンバ)50で構成しても良い。容器50は、開口部51aを有する箱型の本体部材51と開口部51aを開放及び閉鎖する蓋部材52から構成する。そして、本体部材51内には半田付け対象物を位置決めし、支持する支持台53が設置されている。また、本体部材51には、蓋部材52の装着部材にパッキン54が配設されている。また、本体部材51には、実施形態のリフロー室20と同様に、還元性ガス供給部30、不活性ガス供給部31、真空部32及びガス排出部33を接続する。このような容器50内に半田付け対象物を収容し、実施形態で説明したように、半田温度に合わせて雰囲気圧力を調整し、半田付けを行う。なお、容器50は、密閉可能な構造とすることが好ましいが、室外へのガス漏れを考慮して容器50内にガスを供給し、半田付けを行うための所望の圧力に調整可能な構成を採用すれば、容器50を必ずしも密閉可能な構造にする必要はない。
○ 実施形態において、リフロー室20は、投入側扉23と取出側扉24の両方を閉鎖した際に密閉可能な構造とすることが好ましいが、室外へのガス漏れを考慮してリフロー室20内にガスを供給し、半田付けを行うための所望の圧力に調整可能な構成を採用すれば、リフロー室20を必ずしも密閉可能な構造にする必要はない。
○ 実施形態において、半田付け時における各段階で維持する雰囲気圧力の値を変更しても良い。そして、実施形態では、冷却段階における雰囲気圧力を0.2MPaに設定し、加圧しているが、このときの圧力値は0.2MPaを超える値に設定しても良いし、0.2MPa以下の値に設定しても良い。また、0.2MPa以下の値に設定する場合、その値は常圧(おおよそ0.1023MPa)未満の値としても良い。なお、冷却段階における雰囲気圧力の値は、実施形態で理由を述べたように、0.2MPa以下の値が好ましい。
○ 実施形態において、半田の加熱段階や冷却段階で加圧する場合、少なくとも半田温度が溶融温度(凝固温度)に達した時、雰囲気圧力が上昇している状態に制御すれば良く、それ以外の所では雰囲気圧力が段階的(上昇と一定を繰り返す)に上昇するように制御しても良い。
○ 実施形態において、リフロー室20の雰囲気圧力を監視し、当該監視によって得られた圧力値に基づきガスを導入し、室内の圧力を一定に保つようにしても良い。
○ 還元性ガスは、水素を含むガスに限らず、ホルムアルデヒドを含むなど他の組成のガスであっても良い。
○ 実施形態において、加熱装置28は、リフロー室20内にヒータなどを設けて加熱しても良いし、ヒートシンク13に熱媒体を流通させて当該ヒートシンク13から半田シート17に熱を伝えるように加熱しても良い。また、加熱装置28として、高周波誘導加熱により半田を加熱する構成を採用しても良い。
○ 半田付け対象物は、ヒートシンク13を接合していない状態の回路基板11でも良い。この場合、リフロー室20には、回路基板11と半導体素子12からなる半導体装置が収容されて半田付けされることとなる。
○ 半田シート17の成分は、実施形態に限定されず、変更しても良い。すなわち、ボイドの発生を抑制するためには、実施形態で説明したように半田付け時に加圧すれば良く、使用する半田シート17の成分は限定されない。
○ 実施形態では、リフロー室20内へのガスの入口側となる還元性ガス供給部30及び不活性ガス供給部31に減圧弁30c,31cを設ける一方で、室外への出口側となるガス排出部33に絞り弁33cを設けているが、弁体の配設態様を変更しても良い。例えば、還元性ガス供給部30、不活性ガス供給部31及びガス排出部33の何れにも減圧弁を設けても良いし、何れにも絞り弁を設けても良い。なお、何れにも絞り弁を設ける場合には、室内へのガス導入量と室外へのガス排出量を同一に設定し、室内の圧力を一定圧に保つようにする。また、実施形態とは逆に、還元性ガス供給部30及び不活性ガス供給部31に絞り弁を設ける一方で、ガス排出部33に減圧弁を設けても良い。上記の各配置態様によれば、リフロー室20の圧力を一定に保つことが可能である。
○ 実施形態において、リフロー室20に、還元性ガス供給部30、真空部32及びガス排出部33のみを接続しても良い。
○ 実施形態では、ガスの供給によりリフロー室20の雰囲気圧力を調整しているが、リフロー室20の容積を圧縮することで雰囲気圧力を上昇させるようにしても良い。
半導体モジュールの平面図。 図1のA−A線断面図。 (a)は本実施形態のリフロー装置の平面図、(b)は前記リフロー装置を構成するリフロー室、投入室及び取出室の正面図。 投入室に投入される半田付け対象物の断面図。 図4に示す半田付け対象物の平面図。 実験例1の半田温度とリフロー室の圧力の変遷を示すグラフとX線写真。 実験例2の半田温度とリフロー室の圧力の変遷を示すグラフとX線写真。 実験例3の半田温度とリフロー室の圧力の変遷を示すグラフとX線写真。 比較例1の半田温度とリフロー室の圧力の変遷を示すグラフとX線写真。 比較例2の半田温度とリフロー室の圧力の変遷を示すグラフとX線写真。 別例における半田付け装置を示す縦断面図。
符号の説明
HK…リフロー装置、11…回路基板、12…半導体素子、20…リフロー室、21…投入室、22…取出室、28…加熱装置、30…還元性ガス供給部、31…不活性ガス供給部。

Claims (8)

  1. 回路基板と半導体素子との間に半田を介在させた半田付け対象物周囲の雰囲気ガスの圧力を制御しながら前記半田を溶融温度以上の温度まで加熱して溶融し、その後に前記半田を前記溶融温度未満の温度まで下げて前記半田を凝固させることにより、前記回路基板と前記半導体素子とを半田付けする半田付け方法であって、
    少なくとも前記半田の凝固時には、前記雰囲気ガスの圧力が上昇している状態で半田付けを行うことを特徴とする半田付け方法。
  2. 前記半田の冷却開始から前記半田の凝固時には、前記雰囲気ガスの圧力を上昇させ続けることを特徴とする請求項1に記載の半田付け方法。
  3. 少なくとも前記半田の加熱段階において前記半田が前記溶融温度に達した時には、前記雰囲気ガスの圧力が上昇している状態で半田付けを行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半田付け方法。
  4. 前記半田が前記溶融温度に達した時から加熱が終了する迄の間、前記雰囲気ガスの圧力を上昇させ続けることを特徴とする請求項3に記載の半田付け方法。
  5. 前記半田の冷却段階において前記雰囲気ガスの圧力は、前記半田の加熱段階における前記雰囲気ガスの最大圧力よりも高い0.2MPa以下の圧力まで上昇させることを特徴とする請求項1〜請求項4のうち何れか一項に記載の半田付け方法。
  6. 前記半田付け対象物を収容室に収容し、前記収容室内へ前記雰囲気ガスを供給することにより、前記雰囲気ガスの圧力を上昇させることを特徴とする請求項1〜請求項5のうち何れか一項に記載の半田付け方法。
  7. 回路基板と半導体素子との間に半田を介在させた半田付け対象物を半田付けする半田付け装置であって、
    前記半田を加熱し、溶融させる加熱手段と、
    半田付け対象物周囲の雰囲気ガスの圧力を制御する雰囲気ガス制御手段と、を備え、
    前記加熱手段は、前記半田を溶融温度以上の温度まで加熱して溶融し、
    前記雰囲気ガス制御手段は、溶融後の前記半田の凝固時において前記雰囲気ガスの圧力が上昇している状態に制御することを特徴とする半田付け装置。
  8. 回路基板と半導体素子との間に半田を介在させた半田付け対象物周囲の雰囲気ガスの圧力を制御しながら前記半田を溶融温度以上の温度まで加熱して溶融し、その後に前記半田を前記溶融温度未満の温度まで下げて前記半田を凝固させることにより、前記回路基板と前記半導体素子とを半田付けした半導体装置の製造方法であって、
    少なくとも前記半田の凝固時には、前記雰囲気ガスの圧力が上昇している状態で半田付けを行うことを特徴とする半導体装置の製造方法。
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