JP2008180543A - 分離デバイス、血液成分測定デバイス、血液成分測定システム、分離機能物質、血液成分測定方法、および分離方法。 - Google Patents

分離デバイス、血液成分測定デバイス、血液成分測定システム、分離機能物質、血液成分測定方法、および分離方法。 Download PDF

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Abstract

【課題】微量の被検物質を効率よく測定することが可能な血液成分測定デバイスが容易に得られる分離デバイスを提供する。
【解決手段】分離デバイスは、固形成分および液性成分からなる血液検体中の前記液性成分に含まれる被検物質を測定する際、前記固形成分と前記液性成分中に含まれる分離目的物質とを、前記血液検体から同時に分離するための分離機能物質を備える。
【選択図】図12

Description

本発明は、血液中の液性成分に含まれる被検物質を測定するための血液成分測定デバイス、およびそれを含む血液成分測定システムやそれを用いた血液成分測定方法に関する。また、本発明は、血球や目的分離成分等の血液成分の分離方法に関する。
近年、分析、解析、および検査等の技術の進歩により、様々な物質を測定することが可能となっている。特に、臨床検査分野においては、生化学反応、酵素反応、免疫反応等の特異反応に基づく測定原理の開発により、病態に反映する血液中の物質の測定が可能となっている。
その中で、POCT(Point Of Care Testing)と呼ばれる臨床検査分野が注目されている。POCTは、簡易迅速測定を第一として、検体を採取してから検査結果が出るまでの時間の短縮を目的とする。従って、POCTに要求されるのは、簡易な測定原理であり、小型で携帯性があり、操作性が良い測定装置である。
近年の技術開発の進歩により、例えば、血糖センサに代表されるように簡単に測定することができる小型の測定機器が開発されている。POCTの波及効果は、迅速な測定結果の取得による迅速正確な診断を可能とすることに加え、検査にかかるコストの低減、血液検体等の少量化に伴う被検者への負担の軽減および感染性廃棄物の少量化等が考えられる。さらに、“医療費の最適化”、“治療から予防”、“根拠に基づく医療”のように、変革が求められる現在の医療現場においては、POCT機器は重要な情報取得・発信源として期待が高まっている。このように、上記ニーズに応えるべくPOCT対応測定機器の開発が行われている。
測定対象となる血液検体は、一般的に、赤血球、白血球、および血小板等の固形成分と、血漿・血清と呼ばれる液性成分とに分けられる。測定すべき血液中の成分は、血漿・血清中に含まれる場合が多い。血液中のマーカー成分を測定する場合、この血液中の固形成分、とくに赤血球が、測定にとって大きなノイズとなる場合がある。赤血球は、直径約10μmの大きさを持つ細胞で、その中には、血液タンパク質の中で最も多いタンパク質といわれるヘモグロビンが含まれる。このヘモグロビンにより血液が深い赤色を示す。この赤血球が含まれているために、測定すべき成分を容易に測定することが困難となる場合がある。そこで、一部のHbA1c等の糖尿病マーカー蛋白質を除いて、血液中のマーカー成分を測定する場合、血球を取り除く工程が必要となる。一般的な方法としては、遠心分離法が挙げられる。遠心分離法により血液成分から血球を沈降させた後、上清液である血漿・血清を取得し、これを測定検体とする。
しかしながら、測定に先立ち、遠心分離により血球を除去するため、測定工程が増える。さらには、遠心分離機といった比較的大型の装置を必要とするため、測定のための設備が増える。また、測定原理が抗原抗体反応原理に基づく場合、BF分離工程が要求されるため、血球除去してから得られた血漿に対する測定処理工程が、さらに全体の測定操作を煩わしくさせる。
上記のような測定操作が煩雑になるという問題を解決する方法としては、血球分離膜を付随させた免疫クロマト原理を利用したテストストリップが提案されている。免疫クロマト原理を利用したテストストリップによる方法では、液性試料をテストストリップに点着して浸透させるだけで、分析結果が得られるため、操作性が大きく向上する。従って、遠心分離等で得られた血漿・血清をストリップ上に点着するだけで、簡易に分析結果が得られる。これに血球分離膜を付随させれば、血液を点着するだけで、血球分離とそれに続く測定工程を簡易に行うことができる。
血球分離膜を付随させたテストストリップに関する先行文献は多く存在する。例えば、特許文献1では、テストストリップ上におけるノイズを下げるために、血液分離膜に血球凝集因子を組み込んで、効率よく分離膜が血球を捕捉できるように血球を凝集させることが提案されている。また、特許文献2では、ポリビニルアルコールまたはポリビニルアルコール/ポリ酢酸ビニルで被膜されたガラス繊維を含むものが提案されている。さらに、特許文献3では、赤血球に対する抗体を含有するマトリックスをデバイスに適用するものが提案されている。いずれの場合も、血球分離工程に用いられる血球分離膜により、効率よく血球を捕捉しつつ、次に続く測定操作のための液性成分の血漿・血清を効率よく得て、測定場となる、次の吸収性多孔質膜へ連続的に移送することができる。
しかしながら、上記テストストリップの基板材料には吸収性多孔質膜が用いられることが多く、血球分離を含むすべての測定工程を終了させるためには、血液検体量が100μl必要となる。患者の負担や感染性廃棄物の観点から、血液量が少ないほうがよいが、100μlという検体量は、普通の採血量としては少なすぎる量であり、一方、ランセット等で行う指先採血の採血量としては多すぎる量である。これに対しては、苦なく指先採血ができる量まで血液検体量を少なくして、測定に足らない量を、展開溶液を加えることで補うという操作が考えられる。しかし、この場合、一度捕捉した赤血球が展開液により再び流出してしまうという問題があった。
これに対して、例えば、特許文献4では、検体中の分析対象物を定性または定量するための、多孔性担体を有する免疫クロマトグラフィーテストストリップであって、多孔性担体がその下流に分析対象物質を検出すための捕捉試薬が固定されている検出領域( 1 ) 、その上流に展開試薬を受領する展開液受容領域( 2 ) 、両領域の間に分析対象物と親和性を有する標識化試薬を含む試薬領域( 3 ) 、検体から測定を阻害する物質を分離する分離領域( 4 ) を含む免疫クロマトグラフィーテストストリップが提案されている。これにより、血液検体量を10μlまで微量化することが可能となる。
テストストリップを基本とする血液成分の測定方法では、簡易測定は可能であるが、血球分離膜に吸収性多孔質膜を使用するため、血液検体量を微量化するのは難しい。従って、血球分離膜が付随するテストストリップ上で行われる測定操作において、血球分離膜に吸収性多孔質膜をできる限り使用しないことも考えられる。例えば、特許文献5および6では、血液分離膜を使用せずに、血液分離は、従来から使用されている遠心分離により行い、その工程から測定工程への移行を簡易にする構成が提案されている。しかしながら、これでも血液検体量を十分に微量化することは難しい。
さらに、近年の半導体分野での微細加工技術の進歩に基づいたチップの作製方法として、特許文献7では、すべての基板材料に吸収性多孔質膜を使用しない構成が提案されている。これにより、ある程度の微量化は期待できる。しかし、それでも、5〜10μl程度に微量化することは難しい。また、それ以上に、テストストリップで求められる以上の流体制御が必要となり、それに伴い、微細加工により構成される流路やチャンバ等の構成が複雑になる。
そこで、特許文献8では、検体中の一つ以上の成分を分析するための一体化された分析チップであって、少なくとも、( 1 ) 検体の前処理をする一つ以上の前処理要素、( 2 ) 前処理後の検体中の一つ以上の成分を分析する、一つ以上の多層乾式分析要素、及び ( 3 ) 前記前処理要素と前記多層乾式分析要素とをつなぐ一つ以上の流路を含む分析チップが提案されている。これにより、血液検体量を10μlまで微量化することが可能となり、操作性に優れた簡易な測定デバイスが得られる。
特許第2940990号明細書 特公平7−85083号公報 特表平7−50474号公報 WO2003 /0445344号パンフレット 特表2001−512826号公報 特表2002−514755 号公報 特開2003−28883 号公報 特開2006−58280号公報
しかしながら、特許文献4では、展開液を使用する必要があり、血液検体量を微量化すると操作性が低下する場合がある。このように、真の意味で微量化することは難しい。特許文献7の測定デバイスでは、微量化および簡易測定が可能であるが、微量化は10μlまでが限界である。この構成において微量化を目的として設計した場合でも5μlが限界である。一般的に、血液中の固形成分および液性成分はヘマトクリット値として数値化される。ヘマトクリット値は、男性、女性、健常人、または病人により、様々な値をとり得るが、通常は約30〜60%である。仮に、ヘマトクリット値60%の検体量を3μlとした場合、その検体から得られる血漿量は1.2μlとなる。従って、約1μlの流体制御が必要となる。約1μlの流体制御のために、上記測定では、一般的に、血液分離等に代表される前処理工程、検出に必要な信号を生成するための物質に変換する酵素反応を生じさせる工程、抗原抗体反応等の特異的な反応を生じさせる工程など、少なくとも3ステップ以上の測定操作を必要とする。
しかしながら、実質は、流体ロス等が発生するため、上記のような流体制御は非常に困難である。また、上記測定操作は直列的に順次実施されるため、上記測定に5〜10分程度の時間を要してしまう。
そこで、本発明は、上記従来の問題を鑑みて、血液成分測定デバイスにおいて、従来よりも少量の検体量で精度よく測定することが容易に実現可能な分離デバイスを提供することを目的とする。また、本発明は、従来よりも少量の検体量で精度よく測定することが可能な血液成分測定システムおよびそれに用いられる血液成分測定デバイスを提供することを目的とする。さらに、上記測定デバイスに用いられる分離機能物質、およびそれを利用した分離方法を提供することを目的とする。
本発明の分離デバイスは、固形成分および液性成分からなる血液検体中の前記液性成分に含まれる被検物質を測定する際、前記固形成分と前記液性成分中に含まれる分離目的物質とを、前記血液検体から同時に分離するための分離機能物質を備えることを特徴とする。
また、本発明は、固形成分および液性成分からなる血液検体中の前記液性成分に含まれる被検物質を測定するための血液成分測定デバイスであって、前記被検物質を測定する際、前記固形成分と前記液性成分中に含まれる分離目的物質とを、前記血液検体から同時に分離するための前記分離機能物質と、検出用物質と、前記検出用物質から検出信号を生成するための検出信号生成手段と、を備えることを特徴とする。
上記血液成分測定デバイスは、さらに、前記検出用物質に検出される検出目的物質、もしくは、それに類する疑似検出目的物質を含むのが好ましい。
前記分離機能物質の第1の好ましい形態は、前記固形成分と特異結合する第一物質と、前記分離目的物質と特異結合する第二物質とを、含む。
前記分離機能物質の第2の好ましい形態は、前記固形成分と特異結合する第一物質と、前記分離目的物質と同じ構造の物質、または前記分離目的物質と同じ構造を含む物質である第二物質とを、含む。
前記固形成分は、赤血球であるのが好ましい。
前記分離機能物質は、2価性以上の官能基を有する架橋物質と、前記架橋物質を介して化学結合する前記第一物質および前記第二物質とからなるのが好ましい。
前記分離機能物質は、担体物質と、前記担体物質に物理吸着する前記第一物質および前記第二物質とからなるのが好ましい。
前記検出信号生成手段は、電極と、前記検出用物質と反応する反応物質と、前記電極と前記反応物質とを担持する担持体からなり、前記分離機能物質により前記固形成分および前記分離目的物質が分離された血液検体と接触することにより検出信号を生成するのが好ましい。
前記検出信号生成手段は、検出用物質と反応する物質が担持されており、前記分離機能物質により前記固形成分および前記分離目的物質と分離された血液検体と接触することにより光学特性を変化させるのが好ましい。
本発明の第一の分離機能物質は、血液検体中の固形成分と特異結合する第一物質と、血液検体中の液性成分中に含まれる分離目的物質と特異結合する第二物質と、を含む。
本発明の第二の分離機能物質は、血液検体中の固形成分と特異結合する第一物質と、血液検体中の液性成分中に含まれる分離目的物質と同じ構造の物質、または前記分離目的物質と同じ構造を含む物質である第二物質とを、含む。
また、本発明は、固形成分および液性成分からなる血液検体中の前記液性成分に含まれる被検物質を測定するための血液成分測定システムであって、
I)前記被検物質を測定する際、前記固形成分と前記液性成分中に含まれる分離目的物質とを、前記血液検体から同時に分離するための前記分離機能物質と、検出用物質と、前記検出用物質から検出信号を生成するための検出信号生成手段と、を備える血液成分測定デバイス、ならびに
II)前記血液検体から前記固形成分と前記分離目的物質とを同時に分離する手段、前記分離機能物質により前記固形成分および前記分離目的物質が分離された血液検体を前記検出信号生成手段に接触させる手段、および前記検出信号生成手段により得られた検出信号を取得するための手段を有する読取装置、
を具備する。
上記血液成分測定システムにおいて、血液成分測定デバイスは、さらに、前記検出用物質に検出される検出目的物質、もしくは、それに類する疑似検出目的物質を含むのが好ましい。
本発明は、上記血液成分測定システムを用い、
(1)前記血液測定デバイスに血液検体を導入する工程と、
(2)前記血液測定デバイスにおいて、前記分離機能物質および前記検出物質と前記血液検体とをインキュベーションさせる工程と、
(3)前記血液測定デバイスを前記読取装置に装着する工程と、
(4)前記血液検体から前記固形成分および前記分離目的物質とを同時に分離する工程と、
(5)前記工程(4)の後、前記固形成分および前記分離目的物質が分離された血液検体を前記検出信号生成手段に接触させる工程と、
(6)前記工程(5)の後、前記読取装置により前記検出信号生成手段からの前記検出信号を取得する工程と、
(7)前記検出信号を取得した結果に基づいて、血液検体中の被検物質量を算出する工程と、
を含む。
本発明の第1の分離方法は、
(A)固形成分および液性成分からなり、前記液性成分中に含まれる被検物質を測定する際、前記固形成分、および前記液性成分に含まれる分離目的物質が分離される血液検体と、前記固形成分と特異結合する第一物質、および前記分離目的物質と特異結合する第二物質を含む分離機能物質とを混合する工程と、
(B)前記固形成分および前記分離目的物質を前記分離機能物質を介して反応させて複合体を形成する工程と、
(C)前記工程(B)の後、前記血液検体から前記複合体を分離することにより、前記固形成分と前記液性成分とを分離すると同時に、前記液性成分から前記分離目的物質を分離する工程と、
を含むことを特徴とする。
本発明の第2の分離方法は、
(a)固形成分および液性成分からなり、前記液性成分中に含まれる被検物質を測定する際、前記固形成分、および前記液性成分中に含まれる分離目的物質が分離される血液検体と、前記固形成分と特異結合する第一物質と、分離目的物質と特異結合する第二物質とを含む分離機能物質とを、前記分離目的物質と特異結合する、検出試薬が標識されている第三物質とともに、混合する工程と、
(b)前記固形成分と前記分離目的物質とを前記分離機能物質を介して反応させ、さらに、前記前記第二物質と前記第三物質とを前記分離目的物質を介して反応させて複合体を形成する工程と、
(c)前記工程(b)の後、前記血液検体から前記複合体を分離することにより、前記固形成分および前記液性成分とを分離すると同時に、前記液性成分から前記分離目的物質を分離し、さらに前記固形成分と複合体を形成しない第三物質を前記液性成分中に分離する工程と、
を含むことを特徴とする。
本発明の第3の分離方法は、
(イ)固形成分および液性成分からなり、前記液性成分中に含まれる被検物質を測定する際、前記固形成分、および前記液性成分中に含まれる分離目的物質が分離される血液検体と、前記固形成分と特異結合する第一物質、および前記液性成分に含まれる被検物質を測定するために競合させる分離目的物質と同じまたは類似の第四物質を含む分離機能物質とを、前記分離目的物質と特異結合する、検出試薬が標識されている第三物質とともに、混合する工程と、
(ロ)前記固形成分と前記第三物質とを、前記分離機能物質を介して反応させて複合体を形成する工程と、
(ハ)前記工程(ロ)の後、前記血液検体から前記複合体を分離することにより、前記固形成分と前記液性成分とを分離すると同時に、前記液性成分から前記分離目的物質を分離し、さらに前記固形成分と複合体を形成しない前記第三物質、または前記分離目的物質と前記第四物質とで形成される複合体を、前記液性成分中に分離する工程と、
を含むことを特徴とする。
本発明によれば、血液成分測定において、従来よりも微量の検体量であっても効率よく分離することができ、前記血液成分測定に必要最小量の血漿成分を取得するための、分離デバイスを提供することができる。また、本発明によれば、血液検体量を5μl以下、さらには3μl以下と、微量化することが可能であり、従来よりも少量の検体量で精度よく測定することが可能な血液成分測定システムおよびそれに用いられる血液成分測定デバイスを提供することができる。
また、血球分離工程と、抗原抗体反応等の特異反応とを同時に行うことができ、測定操作を並列的に行うことができる。これにより、効率よく測定することができ、全体の測定時間の短縮化が可能となる。また、本発明は、分離機能物質を含む点に最大の特徴を有し、これにより赤血球等の固形成分を固相として有効活用することができる。そして、ビーズやプレートのような蛋白質を固相化する際に、別の部材を必要としないため、デバイス作製やコストの面からも効果的である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明は、血液検体中の分離対象物を分離するための分離デバイスに関し、固形成分および液性成分からなる血液検体中の前記液性成分に含まれる被検物質を測定する際、前記固形成分と前記液性成分中に含まれる分離目的物質とを、前記血液検体から同時に分離するための分離機能物質を備える点に、特徴を有する。
また、本発明は、血液検体中の被検物質を測定するための血液成分測定デバイスに関する。そして、前記被検物質を測定する際、前記固形成分と前記液性成分中に含まれる分離目的物質とを、前記血液検体から同時に分離するための前記分離機能物質と、検出用物質と、前記検出用物質から検出信号を生成するための検出信号生成手段と、を備える点に特徴を有する。
上記血液成分測定デバイスは、さらに前記検出用物質に検出される検出目的物質、もしくは、それに類する疑似検出目的物質を含んでもよい。
血液成分は、有形の固形成分である赤血球、白血球、および血小板と、液性成分である血漿・血清からなる。ここで、血清とは、血漿からフィブリノーゲンを除いたものをいう。
血漿・血清は約90%が水であり、蛋白質、アミノ酸、尿素、グルコース、脂肪、脂肪酸やNaCl等の塩類を含み、pHは7.4である。血漿は7〜8g/100mlの血漿蛋白質を含み、そのうち50〜70%はアルブミン、20〜45%がグロブリン、4〜7%がフィブリノーゲンである。そして、病態にある場合、血漿・血清中にこれらの蛋白質に加えて、様々なマーカーとなりうる蛋白質が分泌される。例えば、C反応性蛋白質(CRP)、血清アミノロイドA(SAA)のような炎症・感染性マーカーとなりうる蛋白質、高感度CRP(hsCRP)、ミオグロビン、CK−MB、トロポニンのような心筋関係マーカーとなりうる蛋白質、α−フェトプロテイン(AFP)、CEAのような腫瘍関係マーカーとなりうる蛋白質が分泌される。いずれも血漿中に溶解されている蛋白質であり、血液検体中のマーカー成分を測定する場合、血漿・血清中蛋白質をはじめとする血漿・血清成分であることが多い。
有形である3種類の固形成分について、さらに詳しく説明する。
赤血球のサイズは、動物により異なる。ヒトの赤血球は、直径8〜8.5μmおよび厚さ1〜2.7μmであり、遠心分離により血漿成分と容易に分離することができる。分離の結果は、一般的にヘマトクリット値として数値化される。ヘマトクリット値は、血液全体に対する有形成分の体積の割合を%で表したものであり、一般的には、およそ30〜60%の範囲(男性と女性、健常人と病人、等個人差があり、20〜70%の場合もある。)である。個数にして、1mlあたり約1.1×1010個である。赤血球は、内部に深赤色のヘモグロビンを含む。
白血球は、顆粒球、リンパ球、単球がある。顆粒球は、好塩基球、好中球、好酸球に分類される。白血球の大きさは、約10〜15μmである。白血球のヘマトクリット値は、約0.9%程度である。赤血球のヘマトクリト値から考えると、白血球の量は相対的に少ない。
血小板は、2〜3μmのサイズを有し、血流中に1μlあたり20〜40×104個存在する。赤血球の個数と比較すると、血小板も相対的に少ない。
従って、血液成分を測定する場合、即ち、血漿成分を測定する場合、有形な固形成分、とりわけ、深い赤色を持つサイズの大きい赤血球が、いかなる検出原理においても大きなノイズとなりうる。本発明においても、固形成分、特に赤血球は、測定前処理として除去することは必須である。なお、以下において、「固形成分」または「血球」と記載されている場合、それは、主に「赤血球」を示唆する。
ここで、本発明の最も重要なポイントとしては、分離機能物質を用いて血液検体中の固形成分が分離されると同時に、液性成分に含まれる被検物質を測定するために分離する必要がある分離目的物質も分離されることにある。従来の一般的な測定プロセスは、血球分離等の前処理、酵素反応や抗原抗体反応等の特異反応処理、特異反応により生じる変化量を検出信号として取得する計測工程を含み、プロセスが直列的である場合が多い。血液検体のヘマトクリット値を60%とし、血液検体量が100μl、10μl、5μl、3μl、または1μlである場合、血漿量は、それぞれ40μl、4μl、2μl、1.2μl、または0.4μlである。直列的な測定プロセスを基本とする測定デバイスでは、測定対象となる分離後の血漿を、出来る限り液を減らさずに移送させる必要がある。しかし、実際は、直列的な測定プロセスを経る過程で、液が減少する。通常は、液が減少しても許容できるようにデバイス設計を行うが、対象とする液量が微量になればなるほど、設計の許容差を越え、最終工程で液が足らなくなる等の不具合が起こる場合がある。本発明は、このような問題を解決するものである。
即ち、少なくとも、血球分離等の前処理、酵素反応や抗原抗体反応等の特異反応処理を同時に行うことができるため、測定プロセスを減らすことができる。また、デバイスの構成も簡易化することができる。最も単純な構成としては、例えば1つのチャンバに分離機能物質が担持されているという構成が挙げられる。
また、本発明のデバイスは、上記に示す検体の微量化に対する効果だけでなく、測定時間短縮に対しても大きな効果を有する。即ち、直列の測定プロセスでは、それぞれのプロセスを短縮したとしても、測定時間は各プロセスに要する時間の足し算で決まるため、それ相応の時間はかかる。そこで、使用者の観点から決められる測定時間に対して、各測定プロセスの時間を設定したとしても、測定プロセスによっては不十分なものとなる。これに対して、本発明では、上記にも示すように、複数の測定プロセス(血球分離等の前処理、および酵素反応や抗原抗体反応等の特異反応処理)を同時に行うことができるため、測定時間を短縮できるとともに、各プロセスに対しては十分な時間が与えられる。このように測定を効率よく行うことができる。従って、直列的な測定プロセスと並列的な測定プロセスとが同じ測定時間であったとしても、性能的には後者の方が優れている。
本発明の測定デバイスにおいて、分離機能物質はキーマテリアルである。分離機能物質は、前記固形成分と特異結合する第一物質と、前記分離目的物質と特異結合する第二物質とを、含むのが好ましい。これにより、固形成分と分離目的物質とを分離機能物質を介して複合体を形成することができる。複合体を形成すれば、固形成分を液性成分から分離する過程で、固形成分を含む複合体を分離するため、固形成分とともに分離目的物質を分離することができる。
上記のように、深い赤色であるサイズの大きい赤血球は、いかなる検出原理においても大きなノイズとなりうる点から、本発明の測定デバイスにおける上記固形成分は赤血球であるのが好ましい。そして、分離機能物質における第一物質は、赤血球に特異結合する物質であることが望ましい。赤血球に特異結合する物質としては、赤血球を認識して、赤血球と特異結合するものであればよい。例えば、赤血球に対する抗体、もしくはレクチンが挙げられる。また、各血液型(A型、B型、O型、AB型)に対する抗体、もしくはそれらの混合物でもよい。
本発明の測定デバイスにおける分離目的物質は、赤血球等の固形成分が分離されると同時に分離されるものであり、分離機能物質を介して赤血球等の固形成分と複合体を形成しうるものである。分離目的物質としては、血液成分測定のSN比をノイズの増加により悪化させる赤血球以外の成分、例えば、ヘモグロビン等が挙げられる。赤血球に対して抗体を反応させる際、多少の溶血が認められる場合があり、これが、電気化学的な測定や光学的な測定に誤差因子として悪い影響を及ぼす。これに対して、本発明の測定デバイスでは、このような誤差因子を血球の分離による血液検体からの除去と同時に取り除くことができる。この場合、分離機能物質の第二物質としては、例えば抗ヘモグロビン抗体が挙げられる。
ここでは分離目的物質の例としてヘモグロビンを挙げたが、測定原理によって誤差因子が変わるため、分離目的物質に対して特異結合性を有する第二物質を準備して、分離機能物質を作製することができれば、上記本発明の効果を得ることができる。
また、本発明の測定デバイスに用いられる分離目的物質の機能を、血液成分測定デバイスの構成因子の一つである上記検出目的物質が兼ねてもよい。
検出用物質とは、検出信号を発生する物質もしくは他の物質に検出信号を発生させる物質のことである。例えば、酵素、蛍光性物質、発光反応性物質等であり、分離目的物質、またはそれに類する成分と特異結合する第三物質が標識される。
すなわち、検出用物質とは、酵素免疫測定法、蛍光免疫測定法、化学発光測定法、生物化学発光測定法、または電気化学発光測定法等に用いられる公知の標識抗体のことである。分離目的物質が検出目的物質である場合、被検物質の濃度に応じて、赤血球等に分離機能物質等を介して捕捉される検出用物質の量が変化するが、同時に血漿・血清等の液性成分中の検出用物質濃度も変化する。本発明の測定デバイスでは、この変化量を、検出用物質からの検出信号として生成させることにより、被検物質の濃度を定量する。
従って、本発明の測定デバイスにおける分離機能物質の第二物質は、分離目的物質、またはそれに類する成分と特異結合する物質であることが望ましい。また、第二物質は、分離目的物質と同じ構造の物質、または分離目的物質と同じ構造を含む物質、すなわち分離目的物質と類似の構造を有する物質であることが望ましい。
本発明の測定デバイスでは、血液検体中に含まれる被検物質濃度を測定する際、血液検体を、分離機能物質と同時に検出用物質と反応させることにより、赤血球等の固形成分、分離機能物質、分離目的物質、および検出用物質からなる複合体が形成される。その後、赤血球等の固形成分を分離することにより、血漿から複合体を分離することができる。また、検出目的物質が分離目的物質である場合、赤血球等の固形成分、分離機能物質、および検出用物質からなる複合体を形成させて、赤血球等の固形成分を分離することにより、血漿から複合体を分離することができる。このようにして、抗原抗体反応を利用したアッセイで知られるBF分離を血球分離と同時に行うことができる。
ここでいう、検出用物質で検出される検出目的物質とは、被検物質、擬似検出目的物質、擬似的な被検物質、分離目的物質、検出用物質、もしくは、検出用物質と被検物質の複合体のことである。
なお、第二物質と分離目的物質、分離目的物質と検出用物質(第三物質)、被検物質と検出用物質(第三物質)等の特異結合する関係にある2種の物質は、免疫の抗原抗体反応原理に基づく場合、どちらが抗原であっても、抗体であってもよい。
分離機能物質は、例えば、二価性以上の化学官能基を有する架橋物質、および前記架橋物質を介して化学結合する上記第一物質および第二物質からなる。
ここで、分離機能物質の概念図を図1に示す。図1に示すように、分離機能物質16は、架橋物質13と、架橋物質13を介して化学結合する、固形成分11と特異結合する第一物質12、および分離目的物質15と特異結合する第二物質14からなる。架橋物質13は、第一物質12と第二物質を架橋させるための試薬である。架橋物質13は、第一物質の結合部位となる官能基、および第二物質の結合部位となる官能基を有する。
このような分離機能物質は、主に、酵素を抗体に標識する場合に利用されている。架橋物質には、例えば同仁化学から販売されているものが用いられる。本発明において重要なのは、赤血球が血液検体中の固形成分に含まれるため、分離機能物質の第一物質に相当する部分が、赤血球等の固形成分と特異結合する物質であることが最も重要である。第一物質には、例えば抗赤血球抗体が用いられる。この場合、架橋物質の官能基もアミノ基やチオール基等、第一物質や第二物質と化学結合することが可能であればいずれの官能基であってもよい。また、特異結合物質や抗体の分子形態もIgG、Fab等いずれであってもよい。
また、分離機能物質は、例えば、担体物質、および前記担体物質に物理吸着する第一物質および第二物質からなる。担体物質には、例えばラテックス等の粒子が用いられる。ラテックス粒子は、特に限定されるものではなく、金コロイド等の金属微粒子、磁気微粒子等が挙げられる。また、粒子の形状は、球状でも非球状でもよい。一般的に吸着担体として用いられるものであれば何でもよい。
検出信号生成手段は、例えば、電極と、前記検出用物質と反応する反応物質と、前記電極および前記反応物質を担持する担持体からなる。そして、分離機能物質により、固形成分および分離目的物質が分離された血液検体(血漿等の液性成分)と接触させることにより検出信号を生成することができる。具体的には、例えば、検出用物質が酵素である場合、検出信号生成手段として、酵素と特異的に反応する基質、および電子伝達物質が担持されている電極ユニットが用いられる。血漿を得た後、電極ユニットをスライドさせる等の操作を行うことにより、分離後の血漿に基質や電子伝達物質接触させて、基質や電子伝達物質を溶解・反応させる。次に、電極ユニットの電極に電圧を印加することにより、検出用物質量に基づく電流値を検出する。分離により得られた血漿を電極ユニット等の検出信号生成手段に接触させる方法としては、上記のように電極ユニットをスライドさせる方法以外に、電極ユニットを固定させて、毛細管現象を利用して血漿を吸引させて接触させる方法が挙げられる。この場合、遠心力を利用する測定デバイスでは、回転を制御する必要がある。分離後に、効率良く液性成分と接触させる形態であれば、より簡易な血液成分測定デバイスが提供できる。
また、検出信号生成手段は、例えば、検出用物質と反応する反応物質、および前記反応物質を担持する担持体からなる。そして、分離機能物質により固形成分および分離目的物質が分離された血液検体(血漿等の液性成分)と接触させることにより光学特性を変化させることができる。光学特性を変化させる方法としては、例えば、吸光特性を変化させる方法、反応により蛍光性物質や発光性物質を生成させる方法が挙げられる。吸光特性を変化させる場合または蛍光性物質を生成させる場合は、ある特定の波長の光を照射することで、吸光度または蛍光強度を測定すればよい。また、発光性物質を生成させる場合、発光性物質から放出される発光強度をフォトディテクター等で検知すればよい。具体的には、吸光特性を変化させる場合、テトラゾリウム系色素からホルマザン系色素への酸化還元反応により得られる吸光特性の変化を検知する。これ以外にも、公知技術として知られる酵素免疫測定法、蛍光免疫測定法、化学発光測定法、生物化学発光測定法、もしくは電気化学発光測定法で利用される検出信号を検知する方法が挙げられる。
さらに、検出用物質が検出信号生成手段を兼ねてもよい。すなわち、このような検出用物質としては、例えば、色素や蛍光性物質が挙げられる。これらは、特に、検出信号を生成するための手段を必要とせず、物質そのものが検出信号を生成する。
本発明の測定デバイスにおける分離機能物質や検出用物質等の試薬の担持方法は、乾燥担持が好ましい。乾燥方法としては、凍結乾燥や自然乾燥等が挙げられる。
本発明の固形成分および液性成分からなる血液検体中の前記液性成分に含まれる被検物質を測定するための血液成分測定システムは、上記血液成分測定デバイス、および前記血液成分測定デバイスから得られる検出信号を取得するための読取装置を具備する。
すなわち、本発明は、固形成分および液性成分からなる血液検体中の前記液性成分に含まれる被検物質を測定するための血液成分測定システムであって、
I)前記被検物質を測定する際、前記固形成分と前記液性成分中に含まれる分離目的物質とを、前記血液検体から同時に分離するための前記分離機能物質と、検出用物質と、前記検出用物質から検出信号を生成するための検出信号生成手段と、を備える血液成分測定デバイス、ならびに
II)前記血液検体から前記固形成分と前記分離目的物質とを同時に分離する手段、前記分離機能物質により前記固形成分および前記分離目的物質が分離された血液検体を前記検出信号生成手段に接触させる手段、および前記検出信号生成手段により得られた検出信号を取得するための手段を有する読取装置、
を具備する。
上記血液成分測定システムにおいて、血液成分測定デバイスは、前記検出用物質により検出される検出目的物質、もしくはそれに類する疑似検出目的物質を含んでもよい。
検出信号生成手段により得られた検出信号を取得するための手段としては、電気化学的手段、光学的手段が考えられる。例えば、電気化学的手段の場合、測定デバイス上の電極に、所定の電圧を印加する手段が設けられ、また、光学的な手段の場合、読取装置に光源・フォトディテクターが設けられる。前記血液検体から固形成分および分離目的物質とを同時に分離する手段としては、例えば、血液成分測定デバイスを回転させる手段が挙げられる。
固形成分および分離目的物質と分離された血液検体(血漿等の液性成分)を前記検出信号生成手段に接触させる手段としては、例えば、上記のように検出信号生成手段が電極ユニットからなる場合、所定の時間終了後に、電極ユニットがスライドするように、読取装置側から電極ユニットに物理的な力を加えることが挙げられる。
また、前記液性成分を前記検出信号生成手段に接触させる手段として、例えば、上記のように検出信号生成手段が毛細管現象を利用する場合、上記毛細管現象が生じるように、測定デバイスを回転制御することが挙げられる。
いずれの場合も、分離後に、液性成分と効率よく接触させることができればよい。また、いずれの場合も、検出信号生成手段に関わる部分は、血液成分測定デバイスと読取装置とが機能的に接する部分であり、血液成分測定デバイスの構造と読取装置の機構は、相互に関連性を有する。
本発明の測定方法は、大きく分けて図2に示す4つの工程からなる。すなわち、血液検体と、分離機能物質とを混合する工程161、
血液検体中で分離機能物質をインキュベーションさせて、分離機能物質を介して固形成分および分離目的物質を含む複合体を形成する工程162と、
工程162の後、前記固形成分と前記液性成分とを分離すると同時に、前記液性成分から前記分離目的物質を分離する工程163と、
工程163における分離後に得られた液性成分(血漿成分)の測定を、対象となる被検物質に適した条件で行い、血液検体中の被検物質を算出する工程164と、
を含む。
上記図2の測定方法における工程161〜163の分離方法としては、例えば、以下に示す3つの方法が挙げられる。
本発明の第1の分離方法は、図3に示すように、
被検物質として分析物177を含む血液検体中に含まれる固形成分である赤血球174と特異結合する第一物質と、血液検体の液性成分中に含まれる分離目的物質として不純物175と特異結合する第二物質とを含む分離機能物質176を、血液検体中に混合する工程171と、
赤血球174および不純物175を分離機能物質176を介して反応させて複合体178を形成する工程172と、
工程172の後、血液検体から複合体178を分離することにより、赤血球174を液性成分とを分離すると同時に、分析物177を含む液性成分から不純物175を分離する工程173と、
を含む。
この場合、分離機能物質により液性成分から分離される分離目的物質(不純物)としては、例えば、反応阻害物や測定阻害物が挙げられる。これらも同時に赤血球と同時に除去しようという分離方法である。
本発明の第2の分離方法は、図4に示すように、
血液検体中の固形成分である赤血球184と特異結合する第一物質と、血液検体の液性成分中に含まれる分離目的物質185と特異結合する第二物質とを含む分離機能物質186を、分離目的物質185と特異結合する、検出試薬が標識されている第三物質187とともに、血液検体中に混合する工程181と、
赤血球184と分離目的物質185とを、分離機能物質186を介して反応させ、さらに、分離機能物質186の第二物質と、第三物質187とを分離目的物質185を介して反応させて、複合体188を形成する工程182と、
工程182の後、固形成分184を液性成分と分離すると同時に、赤血球184に結合保持されていない(赤血球184と複合体を形成しない)第三物質187を、液性成分中に分離する工程183と、
を含む。
この場合、第二物質を含む分離機能物質186の量以上の被検物質量が存在すると、液性成分中に増える被検物質と検出用物質との複合体から、赤血球上に捕捉される、被検物質を介して生成する分離機能物質186と検出用物質187とのサンドイッチ複合体を分離する。所謂、血球分離とBF分離同時工程の一例である。この分離方法では、分離機能物質と検出用物質の量設定は重要な制御因子となりうる。なお、分離目的物質185は、検出目的物質でもよい。
さらに、本発明の第3の分離方法は、図5に示すように、
血液検体中の固形成分である赤血球194と特異結合する第一物質と、血液検体の液性成分中に含まれる被検物質を測定するために競合させる、分離目的物質195と同じ構造の第四物質とを、含む分離機能物質196を、分離目的物質195と特異結合する、検出試薬が標識されている第三物質197とともに、血液検体中に混合する工程191と、
赤血球194と第三物質197とを、分離機能物質196を介して反応させて、分離機能物質196を介して赤血球194および第三物質197からなる複合体198を形成する工程192と、
工程192の後、赤血球194を液性成分と分離すると同時に、赤血球194と複合体198を形成しない第三物質197を、液性成分中に分離する工程193と、
を含む。
上記において、分離目的物質195は検出目的物質でもよい。
また、上記では、分離機能物質196の第四物質に分離目的物質195を用いたが、第四物質に、分離目的物質と類似する構造を有する物質を用いてもよい。この場合、工程193において、液性成分中の分離目的物質と第四物質とで形成される複合体も液性成分中に分離する。
この場合、分離機能物質の第四物質と検出用物質の第三物質が被検物に対して競合的に反応するため、液性成分中に被検物質量が増えると、それに応じて、被検物質と検出用物質の複合体が液性成分中に増加し、前記複合体から、赤血球上に捕捉される分離機能物質を介して結合される検出用物質との複合体を分離する。この分離方法においても、分離機能物質と検出用物質の量が重要な制御因子となる。
さらに、本発明の上記血液成分測定システムを用いた測定方法は、
(1)前記血液測定デバイスに血液検体を導入する工程と、
(2)前記血液測定デバイスにおいて、前記分離機能物質と前記検出用物質とをインキュベーションさせる工程と、
(3)前記血液測定デバイスを前記読取装置に装着する工程と、
(4)前記血液検体から前記固形成分および前記分離目的物質とを同時に分離する工程と、
(5)前記工程(4)の後、前記固形成分および前記分離目的物質が分離された血液検体を前記検出信号生成手段に接触させる工程と、
(6)前記工程(5)の後、前記読取装置により前記検出信号生成手段からの前記検出信号を取得する工程と、
(7)前記検出信号を取得した結果に基づいて、血液検体中の被検物質量を算出する工程と、
を含む。
本発明の血液成分測定デバイスおよびそのデバイスを用いた血液成分測定システムでは、上記のように、血液検体量の微量化および測定時間短縮を実現することができる。これは、測定デバイスに分離機能物質を導入する点に最大の特徴を有する。本発明の測定デバイスでは、従来から、測定のSN比を悪化させる原因であった赤血球を除去するのではなく、これを有効に利用している。すなわち、本発明のポイントは、赤血球を固相反応相に利用する点である。これにより、比較的複雑な工程である免疫アッセイのBF分離工程を赤血球分離工程と兼ねることができる。このようにして測定工程を減らして測定を簡素化することができ、血液検体量の微量化および測定時間短縮を実現することができる。
本発明の測定システムに係る一実施の形態として血液検体3μl対応の血液検体デバイスを用いた場合を以下に説明するが、本発明は下記の実施の形態に限定されるものではない。
(実施の形態1)
本発明の血液成分測定システムの一実施形態として、ヘモグロビンの溶血の影響を回避することが可能なALP測定デバイスを用いた血液成分測定システムを、図6を参照しながら説明する。
血液成分測定システム40は、血液成分測定デバイス41と、血液成分測定デバイス41を設置し、かつ回転させることが可能なステージ42と、血液成分測定デバイス41中の血液検体分離後の液性成分の吸光度特性を検出するための光ファイバー43とからなる。光ファイバー43は、後述する検出信号生成領域53において、ステージ42および血液成分測定デバイス41を挟むように配されている。
ステージ42が、上記の血液検体から固形成分および分離目的物質を同時に分離する手段に相当する。光ファイバー43が、上記の検出信号取得手段に相当する。
ここで、図7は、血液成分測定デバイス41の要部上面図である。また、図8は図7のa方向からみた要部縦断面図であり、図9は図7のb方向からみた要部断面図である。血液成分デバイス41は、内部に5mm幅のU字型流路62が形成されている。流路62の一方の端には血液検体注入口611が設けられ、血液検体注入口611の他方の端には空気孔612が設けられている。U字型流路62は、血液検体注入口611から空気孔612への方向に対して、上流域の血液検体反応領域51、中流域の血球分離領域52、および下流域の検出信号生成領域53からなる。
血液成分測定デバイス41は、ポリカーボネート製のベース基板65と、両面粘着性シート66(厚さ50μmの芯材層、および芯材層の両面に設けられた厚さ25μmの接着剤層からなるフレックスコン社製の両面粘着性シート)と、ポリカーボネート製のトップカバー64とからなる3層構造を有する。
深さ100μmの流路62は、両面粘着性シートをカッティングプロッターによりU字型に切り抜くことによって形成されている。血球分離凹部61およびキャピラリーバルブ63a、63bは、トップカバー64の一部に凹部を形成することにより得られる。また、ベース基板65の試薬塗布領域68a、68bには、乾燥前の液体の試薬を容易に保持できるように、窪み(図示しない)が設けられている。血液分離領域52は、血球分離凹部61が形成されている領域である。試薬67は血液検体反応領域51に設けられ、試薬69は検出信号生成領域53に設けられている。図8および9に示すように、キャピラリーバルブ63a、63bは、それぞれ後述する試薬67、69よりも下流側に設けられている。
測定デバイスの流路内における血液検体の逆流を防ぐために、図8および9に示す断面方向の位置614から、位置614よりもU字型流路の両端と反対側に位置する位置613までの間において、図9に示す下流側の流路の断面積が図8に示す上流側の流路の断面積よりも小さくなるように、血球分離凹部61の上流側(血液検体反応領域51側)の上限は位置614に設定され、血球分離領域61の下流側(検出信号生成領域53側)の上限は位置613に設定されている。
試薬69には、検出信号生成手段として機能する試薬として、NADP、リンゴ酸ナトリウム、リンゴ酸脱水素酵素、ジアホラーゼ、およびWST9の混合液が用いられる。
試薬67には、図10に示す、第一部位21、架橋部位22、および第二部位23からなる分離機能物質20が用いられる。分離機能物質20の架橋部位22は、後述する架橋物質32に由来する部位であり、炭素原子数が5個の炭素鎖と、前記炭素鎖の一方の端に位置する、第一物質との結合部位であるマレイミド基と、前記炭素鎖の他方の端に位置する、第二物質との結合部位であるサクシイミジル基とからなる。そして、第一部位21はマレイミド基と結合する、後述する抗赤血球抗体Fabフラグメント(第一物質)31に由来する部位であり、第二部位23はサクシイミジル基と結合する、後述する抗ヘモグロビン抗体(第二物質)33に由来する部位である。
分離機能物質20は、図11に示すように、抗赤血球抗体Fabフラグメント31と、抗ヘモグロビン抗体IgG33とを、架橋試薬32(EMCS、(株)同仁化学研究所製)で架橋することにより得られる。即ち、抗赤血球抗体Fabフラグメント31のチオール基と架橋試薬32のマレイミド基とを、結合させ、さらに、抗ヘモグロビン抗体IgG33のアミノ基と架橋試薬32のサクシイミジル基とを、結合させることにより得られる。
この分離機能物質20を血液検体に加えることにより、分離機能物質20が赤血球とともに血漿中に溶血したヘモグロビンを捕捉して、血液検体から赤血球および溶血ヘモグロビンを同時に分離・除去することができる。
さらに具体的には、上記分離機能物質20は、例えば、公知技術である酵素標識技術に基づいて、ヒンジ−マレイミド法により作製することができる(生物化学実験法27、酵素標識法、石川榮治 著、学会出版センター)。
まず、抗赤血球抗体Fabフラグメントおよび抗ヘモグロビン抗体IgGにマレイミド基を導入する。
5mg/0.5mlの抗赤血球抗体IgGを0.1M酢酸ナトリウム・0.1MNaCl緩衝液(pH4.5)で脱塩した後、これにブタ胃ペプシン0.2mgを加えて溶解し、37℃で24時間インキュベーションし、抗赤血球抗体IgGのFc領域部分を消化させることにより抗赤血球抗体Fabフラグメントを得る。その後、pH7.0として、FPLCシステム(GEヘルスケア社製)およびカラムを用いて、ゲルろ過を行い、F(ab)2フラグメントを分画する。カラムには、例えば、SephacrylS−200HR(1.6×60cm)が用いられる。
F(ab)2フラグメントを濃縮した後、2mMの2−メルカプトエチルアミンおよび10mMのEDTAを加えて30分放置し、F(ab)2フラグメントを還元してFabフラグメントに転換する。これについても、上記と同様のFPLCシステムおよびカラムを用いることができる。
一方、1mg/mlの抗ヘモグロビン抗体IgGの燐酸緩衝液(pH7.0)に(株)同仁化学研究所製のEMCSを約5倍量加えて、マレイミド化する。反応終了後、SepadexG−25を用いてゲルろ過し、未反応のEMCSを除去して、抗ヘモグロビン抗体IgGのマレイミド化物を得る。
次に、抗ヘモグロビン抗体IgGマレイミド化物の燐酸緩衝液(pH6.0)に、抗赤血球抗体Fabフラグメントを加えて、4℃で24時間反応させる。その後、さらに、未反応の抗赤血球抗体Fabフラグメントが反応性を有しないように、N−エチルマレイミドを加えて、反応を終了させる。精製は、FPLCシステムおよびSephacrylS−200HR(1.6×60cm)カラムを用いてゲルろ過により行われる。このとき、燐酸緩衝液(pH6.5)が用いられる。最終的に、使用する濃度まで濃縮する。このようにして分離機能物質20を得ることができる。
上記測定デバイスは、以下の方法により作製することができる。ベース基板65と両面性粘着性シートとを貼り合わせた後、試薬塗布領域68aおよび68bに、それぞれ試薬67および69を乾燥担持させる。その後、両面性粘着性シートを介してベース基板65とトップカバー64とを張り合わせる。
次に、上記測定システムを用いた測定方法について図12を参照しながら説明する。
まず、例えば、毛細管現象を利用して、血液注入口611よりキャピラリーバルブ63まで血液検体を吸引する(工程(1))。そして、図12中の状態71に示すように、血液検体54は、測定デバイス41の血液検体反応領域51に供給される。このとき、流路62における、血液注入口611からキャピラリーバルブまでの間には、試薬67が乾燥担持されているので、血液検体が注入されると同時に試薬が血液検体中に溶解し、血液検体と試薬67との反応が起こり、分離機能物質、赤血球、および溶血ヘモグロビンの複合体が形成される(工程(2))。
次に、デバイス41をステージ42に装着する(工程(3))。その後、ステージ42を回転させて、遠心力によりU字型流路の頂点(血球分離領域52)に血液検体を移送させ、連続的に血球分離を実施する(工程(4))。このとき、血球分離領域52に移動した血液検体の、血液反応領域51側の液面および検出信号生成領域53側の液面は、図8および9中の位置614で釣り合っている状態となる(図12中の状態72)。さらに、図12の状態73に示すように、上記複合体55の沈殿を生じることにより、赤血球および分離目的物質を含む複合体55と、液性成分56とに分離される。
次に、ステージ42の回転を止める。ステージ42の回転を止めると、毛細管現象により、図12の状態74に示すように、工程(4)の血球分離により得られた液性成分56が空気孔612の方、すなわち検出信号生成領域53へ移動する。そして、工程(4)の血球分離により得られた液性成分が試薬69と接触する(工程5)。そして、液性成分中に試薬69が溶解し、液性成分が試薬69と反応し、発色する(工程(6))。この発色反応に基づく光ファイバー43による測定結果から、血液検体中のALPを算出する(工程(7))。
即ち、第一ステップ(工程(2))(状態71)で、赤血球と溶血ヘモグロビンが反応し、第二ステップ(工程(4))(状態73)で、血液検体から赤血球を分離すると同時に、溶血ヘモグロビンも分離する。そして、第三ステップ(工程(5)〜(7))(状態74)で、酵素反応による発色により血液検体中のALPを検出する。このようにして、一連の反応ステップが実施される。
ここで、上記酵素反応について、図13に示す。図13に示すように、酵素反応系は、一般的に、酵素サイクリング反応と呼ばれる反応系である。血漿中のALPを酵素触媒として、NADPをNADに加水分解する。得られたNADは、リンゴ酸ナトリウムとリンゴ酸脱水素酵素存在下でNADHとなり、そのNADHは、WST9およびジアホラーゼ条件下で再びNADとなる。ここで、NADとNADHとが交互に生成することにより、還元体量が増えてくるが、この反応のことを酵素サイクリング反応という。この反応系では、得られるNADが少量であっても、反応時間や、リンゴ酸ナトリウム、WST9、リンゴ酸脱水素酵素、ジアホラーゼの酵素の量によって、反応当量以上の還元体を形成することができる。アッセイへの適用として、血漿中のALP量に依存して、生成されるNADのサイクリング反応により増幅的に生成されるWST9の還元体の吸光度測定を行う。
(実施の形態2)
本実施の形態では、図14に示す分離機能物質90および図15に示す検出用試薬100を備えた血液成分測定デバイス、およびその測定デバイスを含む血液成分測定システムを用いたCRPの電気化学的測定ついて説明する。
まず、血液成分測定システム110を、図16を用いて説明する。
血液成分測定システム110は、図16に示すように、血液成分測定デバイス111、および血液成分測定デバイス111を設置し、かつ回転させることが可能なステージ112、検出信号取得手段としてのボルタメトリー115からなる。さらに、ステージ112は、ボルタメトリー115と接続するための電極端子114を備える。血液成分測定デバイス111は、電極端子114と接続するためのAu電極113を備える。そして、測定デバイス111の回転終了後、Au電極113は、電極端子114に接触することによりボルタメトリーと接続できるように構成されている。
ここで、図17は、血液成分測定デバイス111の要部上面図である。また、図18は図17のa方向からみた要部縦断面図であり、図19は図18のb方向からみた要部断面図である。
血液成分デバイス111は、図18および図19に示すように、試薬67、69の変わりに試薬131、132を用い、さらに流路62の検出信号生成領域53に電極113を備えた以外、実施の形態1の血液成分測定デバイス41と同じ構成である。
試薬131は、図14に示す分離機能物質90および図15に示す検出用試薬100の混合液を基板上に乾燥担持させたものである。
分離機能物質90は、図14に示すように、抗赤血球抗体Fabフラグメント91と、CRP抗原93とを、架橋試薬EMCS92により架橋したものである。分離機能物質90は、実施の形態1の分離機能物質と同じ方法により得られる。検出用試薬100は、図15に示すように、抗CRP抗体Fabフラグメント101と酵素ALP103とをEMCS102により架橋することにより得られるALP標識抗CRP抗体である。
試薬132は、検出信号を生成するための試薬であり、NADP、リンゴ酸ナトリウム、リンゴ酸脱水素酵素、ジアホラーゼ、およびフェリシアン化カリウムの混合液を基板上に乾燥担持させることにより得られる。
次に、上記測定システムを用いた測定方法について図20を参照しながら説明する。
まず、血液注入口611よりキャピラリーバルブ63まで血液を吸引する(工程(1))。そして、図20中の状態141に示すように、血液検体84は、測定デバイス111の血液検体反応領域51に供給される。このとき、流路62における、血液注入口611からキャピラリーバルブ63までの間には、試薬131が乾燥担持されているので、血液検体が注入されると同時に試薬131が血液検体中に溶解し、分離機能物質90と赤血球と検出用試薬100との反応が起こる(工程(3))。この時、血液中に含まれるCRPの量によって、赤血球に捕捉される検出用試薬100の量が変わる。
次に、デバイス111をステージ112に装着する(工程(2))。その後、ステージ112を回転させて、遠心力によりU字型流路の頂点(血球分離領域52)に血液検体を移送させ、連続的に血球分離を実施する(工程(4))。このとき、血球分離領域52に移動した血液検体の、血液反応領域51側の液面および検出信号生成領域53側の液面は、図6中の位置614で釣り合っている状態となる(図20中の状態142)。さらに、図20の状態143に示すように、分離機能物質90と赤血球と検出用試薬100との複合体85の沈殿を生じることにより、この複合体85と、液性成分86とが分離される。
次に、ステージ112の回転を止める。このとき、血液検体が毛細管現象により空気孔612の方へ移動し、検出信号生成領域53に達する。そして、複合体と分離された血液検体を検出信号生成領域53に設けた試薬132と反応させ、この反応に基づくボルタメトリー115による測定結果から、血液検体中のCRP量を算出する。このようにして、血液検体中に含まれるCRPの電気化学的な測定を実施することができる。CRPが血液検体中に存在する場合と、存在しない場合とで、電流値の差を確認することができる。
ここで上記反応について図21に示す。図21に示すように、基本的な反応スキームは、図13の場合と同じである。ただ、検出対象としているものが、血漿中のALPではなく、検出用物質であるALP標識抗体のALPである。この量は、CRPに応じて変わることにより、NAD量も変化する。また、NADとNADPの酵素サイクリング反応により生成し、増幅する物質は、フェリシアン化カリウムの還元体であるフェロシアン化カリウムであり、これを電気化学測定により検出する。なお、図21中のFとは、BF分離により液性成分に遊離した抗体Yもしくは抗体Yを含む複合体が遊離した状態にあることを示す。図21では、抗体Yが遊離した場合を示す。
本発明の血液成分測定デバイスおよびそれを用いた血液成分測定システムでは、血液検体量を5μl以下、さらには3μl以下と、更なる微量化が可能となる。また、血球分離工程と、抗原抗体反応等の特異反応を同時に行えることにより、測定操作を並列的に行えるため、必要な時間を効率よく使用できつつ、全体の測定時間の短縮に効果が期待できる。従って、本発明の血液成分測定デバイスを用いた血液成分測定システムは、迅速簡易測定を必要とするPOCT分野での測定システムとして有用である。
本発明の測定デバイスにおける分離機能物質の概略図である。 本発明の測定デバイスを用いた測定方法の工程を示す図である。 本発明の第1の分離方法の一例を示す図である。 本発明の第2の分離方法の一例を示す図である。 本発明の第3の分離方法の一例を示す図である。 本発明の実施の形態1の血液成分測定システムの概略斜視図である。 本発明の実施の形態1の血液成分測定デバイスの上面図である。 図7のa方向からみた縦断面図である。 図7のb方向からみた縦断面図である。 本発明の実施の形態1の測定デバイスに用いられる分離機能物質の分子構造を示す図である。 図10の分離機能物質の反応機構を示す図である。 本発明の実施の形態1の血液成分測定デバイスの測定時の状態を示す図である。 本発明の実施の形態1の血液成分測定システムにおける検出信号を生成するための酵素反応系を示す図である。 本発明の実施の形態2の血液成分デバイスに用いられる分離機能物質の分子構造を示す図である。 本発明の実施の形態2の血液成分デバイスに用いられる検出用試薬の分子構造を示す図である。 本発明の実施の形態2の血液成分測定システムの概略斜視図である。 本発明の実施の形態2の血液成分測定デバイスの上面図である。 図17のa方向からみた縦断面図である。 図17のb方向からみた縦断面図である。 本発明の実施の形態2の血液成分測定デバイスの測定時の状態を示す。 本発明の実施形態2の血液成分測定システムにおける検出信号を生成するための酵素反応系を示す図である。
符号の説明
11 固形成分
12 第一物質
13 架橋物質
14 第二物質
15 分離目的物質
16、20、90 分離機能物質
21、31、91 抗赤血球抗体Fabフラグメント
22、32、92、102 EMCS
23、33 抗ヘモグロビン抗体
40、110 血液成分測定システム
41、111 血液成分測定デバイス
42、112 回転ステージ
43 光ファイバー
51 血液検体反応領域
52 血球分離領域
53 検出信号生成領域
61 血球分離凹部
62 流路
63 キャピラリーバルブ
64 トップカバー
65 ベース基板
66 両面粘着性シート
67、69、131、132 試薬
68a、68b 試薬塗布領域
93 CRP抗原
100 検出用試薬
101 抗CRP抗体Fabフラグメント
103 ALP
113 電極
114 電極端子
115 ボルタメトリー
611 血液検体注入口
612 空気孔
613、614 位置

Claims (26)

  1. 固形成分および液性成分からなる血液検体中の前記液性成分に含まれる被検物質を測定する際において、前記固形成分と前記液性成分中に含まれる分離目的物質とを、前記血液検体から同時に分離するための分離機能物質を備えることを特徴とする分離デバイス。
  2. 前記分離機能物質は、前記固形成分と特異結合する第一物質と、前記分離目的物質と特異結合する第二物質とを、含むことを特徴とする請求項1記載の分離デバイス。
  3. 前記分離機能物質は、前記固形成分と特異結合する第一物質と、前記分離目的物質と同じ構造の物質、または前記分離目的物質と同じ構造を含む物質である第二物質とを、含むことを特徴とする請求項1記載の分離デバイス。
  4. 前記固形成分は、赤血球であることを特徴とする請求項2または3記載の分離デバイス。
  5. 前記分離機能物質は、2価性以上の官能基を有する架橋物質と、前記架橋物質を介して化学結合する前記第一物質および前記第二物質とからなることを特徴とする請求項2または3記載の分離デバイス。
  6. 前記分離機能物質は、担体物質と、前記担体物質に物理吸着する前記第一物質および前記第二物質とからなることを特徴とする請求項2または3記載の分離デバイス。
  7. 固形成分および液性成分からなる血液検体中の前記液性成分に含まれる被検物質を測定するための血液成分測定デバイスであって、
    前記被検物質を測定する際、前記固形成分と前記液性成分中に含まれる分離目的物質とを、前記血液検体から同時に分離するための前記分離機能物質と、
    検出用物質と、
    前記検出用物質から検出信号を生成するための検出信号生成手段と、
    を備えることを特徴とする血液成分測定デバイス。
  8. さらに、前記検出用物質に検出される検出目的物質、もしくは、それに類する擬似検出目的物質を含むことを特徴とする請求項7記載の血液成分測定デバイス。
  9. 前記分離機能物質は、前記固形成分と特異結合する第一物質と、前記分離目的物質と特異結合する第二物質とを、含むことを特徴とする請求項7または8記載の血液成分測定デバイス。
  10. 前記分離機能物質は、前記固形成分と特異結合する第一物質と、前記分離目的物質と同じ構造の物質、または前記分離目的物質と同じ構造を含む物質である第二物質とを、含むことを特徴とする請求項7または8記載の血液成分測定デバイス。
  11. 前記固形成分は、赤血球であることを特徴とする請求項9または10記載の血液成分測定デバイス。
  12. 前記分離機能物質は、2価性以上の官能基を有する架橋物質と、前記架橋物質を介して化学結合する前記第一物質および前記第二物質とからなることを特徴とする請求項9または10記載の血液成分測定デバイス。
  13. 前記分離機能物質は、担体物質と、前記担体物質に物理吸着する前記第一物質および前記第二物質とからなることを特徴とする請求項9または10記載の血液成分測定デバイス。
  14. 前記検出信号生成手段は、電極と、前記検出用物質と反応する反応物質と、前記電極と前記反応物質とを担持する担持体からなり、
    前記分離機能物質により前記固形成分および前記分離目的物質が分離された血液検体と接触することにより検出信号を生成することを特徴とする請求項7〜13のいずれかに記載の血液成分測定デバイス。
  15. 前記検出信号生成手段は、前記検出用物質と反応する物質が担持されており、前記分離機能物質により前記固形成分および前記分離目的物質が分離された血液検体と接触することにより光学特性を変化させることを特徴とする請求項7〜13のいずれかに記載の血液成分測定デバイス。
  16. 固形成分および液性成分からなる血液検体中の前記液性成分に含まれる被検物質を測定するための血液成分測定システムであって、
    I)前記被検物質を測定する際、前記固形成分と前記液性成分中に含まれる分離目的物質とを、前記血液検体から同時に分離するための前記分離機能物質と、検出用物質と、前記検出用物質から検出信号を生成するための検出信号生成手段と、を備える血液成分測定デバイス、ならびに
    II)前記血液検体から前記固形成分と前記分離目的物質とを同時に分離する手段、前記分離機能物質により前記固形成分および前記分離目的物質が分離された血液検体を前記検出信号生成手段に接触させる手段、および前記検出信号生成手段により得られた検出信号を取得するための手段を有する読取装置、
    を具備することを特徴とする血液成分測定システム。
  17. さらに、前記検出用物質に検出される検出目的物質、もしくは、それに類する擬似検出目的物質を含むことを特徴とする請求項16記載の血液成分測定システム。
  18. 請求項16記載の血液成分測定システムを用い、
    (1)前記血液測定デバイスに血液検体を導入する工程と、
    (2)前記血液測定デバイスにおいて、前記分離機能物質および前記検出物質と前記血液検体とをインキュベーションさせる工程と、
    (3)前記血液測定デバイスを前記読取装置に装着する工程と、
    (4)前記血液検体から前記固形成分および前記分離目的物質とを同時に分離する工程と、
    (5)前記工程(4)の後、前記固形成分および前記分離目的物質が分離された血液検体を前記検出信号生成手段に接触させる工程と、
    (6)前記工程(5)の後、前記読取装置により前記検出信号生成手段からの前記検出信号を取得する工程と、
    (7)前記検出信号を取得した結果に基づいて、血液検体中の被検物質量を算出する工程と、
    を含むことを特徴とする血液成分測定方法。
  19. 血液検体中の固形成分と特異結合する物質である第一物質と、血液検体中の液性成分中に含まれる分離目的物質と特異結合する第二物質と、を含むことを特徴とする分離機能物質。
  20. 血液検体中の固形成分と特異結合する物質である第一物質と、血液検体中の液性成分中に含まれる分離目的物質と同じ構造の物質、または前記分離目的物質と同じ構造を含む物質である第二物質と、を含むことを特徴とする分離機能物質。
  21. 前記固形成分は、赤血球であることを特徴とする請求項19または20記載の分離機能物質。
  22. 2価性以上の官能基を有する架橋物質と、前記架橋物質を介して化学結合する前記第一物質と前記第二物質とからなることを特徴とする請求項19〜21のいずれかに記載の分離機能物質。
  23. 担体物質と、前記担体物質に物理吸着する前記第一物質および前記第二物質とからなることを特徴とする請求項19〜21のいずれかに記載の分離機能物質。
  24. (A)固形成分および液性成分からなり、前記液性成分中に含まれる被検物質を測定する際、前記固形成分、および前記液性成分に含まれる分離目的物質が分離される血液検体と、前記固形成分と特異結合する第一物質、および前記分離目的物質と特異結合する第二物質を含む分離機能物質とを混合する工程と、
    (B)前記固形成分および前記分離目的物質を前記分離機能物質を介して反応させて複合体を形成する工程と、
    (C)前記工程(B)の後、前記血液検体から前記複合体を分離することにより、前記固形成分と前記液性成分とを分離すると同時に、前記液性成分から前記分離目的物質を分離する工程と、
    を含むことを特徴とする分離方法。
  25. (a)固形成分および液性成分からなり、前記液性成分中に含まれる被検物質を測定する際、前記固形成分、および前記液性成分中に含まれる分離目的物質が分離される血液検体と、前記固形成分と特異結合する第一物質と、分離目的物質と特異結合する第二物質とを含む分離機能物質とを、前記分離目的物質と特異結合する、検出試薬が標識されている第三物質とともに、混合する工程と、
    (b)前記固形成分と前記分離目的物質とを前記分離機能物質を介して反応させ、さらに、前記前記第二物質と前記第三物質とを前記分離目的物質を介して反応させて複合体を形成する工程と、
    (c)前記工程(b)の後、前記血液検体から前記複合体を分離することにより、前記固形成分および前記液性成分とを分離すると同時に、前記液性成分から前記分離目的物質を分離し、さらに前記固形成分と複合体を形成しない第三物質を前記液性成分中に分離する工程と、
    を含むことを特徴とする分離方法。
  26. (イ)固形成分および液性成分からなり、前記液性成分中に含まれる被検物質を測定する際、前記固形成分、および前記液性成分中に含まれる分離目的物質が分離される血液検体と、前記固形成分と特異結合する第一物質、および前記液性成分に含まれる被検物質を測定するために競合させる分離目的物質と同じまたは類似の第四物質を含む分離機能物質とを、前記分離目的物質と特異結合する、検出試薬が標識されている第三物質とともに、混合する工程と、
    (ロ)前記固形成分と前記第三物質とを、前記分離機能物質を介して反応させて複合体を形成する工程と、
    (ハ)前記工程(ロ)の後、前記血液検体から前記複合体を分離することにより、前記固形成分と前記液性成分とを分離すると同時に、前記液性成分から前記分離目的物質を分離し、さらに前記固形成分と複合体を形成しない前記第三物質、または前記分離目的物質と前記第四物質とで形成される複合体を、前記液性成分中に分離する工程と、
    を含むことを特徴とする分離方法。
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