JP2008179535A - 次亜塩素酸ナトリウム水溶液の製造方法および該製造方法によって得られる次亜塩素酸ナトリウム水溶液 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の次亜塩素酸ナトリウム水溶液の製造方法は、臭素を含む液体塩素(A)を、下記式(1)を満たす蒸発率で蒸発させ気体塩素を得る第1工程と、第1工程において得た気体塩素と蒸発せずに残存する液体塩素(B)とを分離する第2工程と、第2工程において分離された気体塩素と水酸化ナトリウム水溶液とを反応させ次亜塩素酸ナトリウム水溶液を得る第3工程とを有し、得られた次亜塩素酸ナトリウム水溶液中のBrO3 -の濃度が20wppm未満であることを特徴とする。式(1):Y<−0.03970X+99.95(上記式(1)中、Xは液体塩素(A)に含まれる臭素の含有量(wpp
m)であり、Yは液体塩素(A)の蒸発率(%)である。)
【選択図】図1
Description
化を行う次亜塩素酸ナトリウム水溶液の製造方法が開示されている(例えば、特許文献3参照)。しかし、ダイオキシンは融点が100〜300℃以上、常温で蒸気圧2.5×10-10Pa〜1×10-2Paの有機物であり、融点が−7.2℃で常圧における沸点が5
8.8℃、常温で蒸気圧3.0×104Paの無機物である臭素と比べ物理化学的性質は
大きく異なることから、ダイオキシンを除去するための製造条件と、気体臭素を除去するための条件とでは当然異なる。また、特許文献3には塩素中の臭素の除去に関しては記載も示唆もない。
すなわち本発明の次亜塩素酸ナトリウム水溶液の製造方法は、臭素を含む液体塩素(A)を、下記式(1)を満たす蒸発率で蒸発させ気体塩素を得る第1工程と、第1工程において得た気体塩素と蒸発せずに残存する液体塩素(B)とを分離する第2工程と、第2工程において分離された気体塩素と水酸化ナトリウム水溶液とを反応させ次亜塩素酸ナトリウム水溶液を得る第3工程とを有し、得られた次亜塩素酸ナトリウム水溶液中のBrO3 -の濃度が20wppm未満であることを特徴とする。
(上記式(1)中、Xは液体塩素(A)に含まれる臭素の含有量(wppm)であり、Yは液体塩素(A)の蒸発率(%)である。)
前記液体塩素(A)中の臭素の含有量が80〜600wppmであることが好ましい。
前記気体塩素中の気体臭素の含有量が90wppm以下であることが好ましい。
本発明には上記記載の次亜塩素酸ナトリウム水溶液の製造方法によって得られることを特徴とする次亜塩素酸ナトリウム水溶液を含む。
ができる。
また、本発明の方法は、原料として、液体塩素を用いることにより、従来の塩水を電気分解して得られる気体塩素を直接原料として用いる方法と比べ、電気分解の運転条件および液化条件の違いに影響されることがないため、BrO3 -の濃度を安定して低減することができる。
本発明の次亜塩素酸ナトリウム水溶液の製造方法は、臭素を含む液体塩素(A)を、下記式(1)を満たす蒸発率で蒸発させ気体塩素を得る第1工程と、第1工程において得た気体塩素と蒸発せずに残存する液体塩素(B)とを分離する第2工程と、第2工程において分離された気体塩素と水酸化ナトリウム水溶液とを反応させ次亜塩素酸ナトリウム水溶液を得る第3工程とを有し、得られた次亜塩素酸ナトリウム水溶液中のBrO3 -の濃度が20wppm未満であることを特徴とする。
(上記式(1)中、Xは液体塩素(A)に含まれる臭素の含有量(wppm)であり、Yは液体塩素(A)の蒸発率(%)である。)
なお、本発明において次亜塩素酸ナトリウム水溶液をNaClOaqとも記す。また、本発明において圧力を記す際に、特に断りのない場合、該圧力はゲージ圧を示す。
本発明の製造方法においては、液体塩素(A)が気化装置1に供給され、気化装置1内で液体塩素(A)の一部が気化され、気体塩素と、液体塩素(B)とになる(第1工程)。この気体塩素は供給管を通して、反応槽2に供給され、液体塩素(B)は貯蔵槽3へ貯蔵される(第2工程)。反応槽2には水酸化ナトリウム水溶液が供給され、反応槽2内で気体塩素と水酸化ナトリウムとが反応し、BrO3 -の濃度が20wppm未満である次亜塩素酸ナトリウム水溶液を製造することができる(第3工程)。
〔第1工程〕
本発明に係る第1工程とは、臭素を含む液体塩素(A)を、上記式(1)を満たす蒸発率で蒸発させ気体塩素を得る工程である。
本発明に用いる液体塩素(A)は、臭素を含有している液体塩素であり、市販品の液体塩素を用いても、工業塩を電気分解して得られる気体塩素(以下、生気体塩素とも記す。)を液化したものを用いても良いが、通常は生気体塩素を液化したものを用いる。本発明
に用いる液体塩素(A)としては、生気体塩素を圧力が0.3〜0.4MPa(ゲージ圧)、温度が3〜10℃の条件で液化し、数日〜数週間分の製造に用いる液体塩素を貯蔵することが可能な貯蔵槽に貯めたものを用いることが、工業的な大量生産の観点から好ましい。貯蔵槽に生気体塩素を液化し、貯蔵することにより、電気分解の条件および液化条件の変化に起因する気体塩素中の気体臭素の含有量の変化に左右されずに次亜塩素酸ナトリウム水溶液を製造することができる。
塩素を、例えば上記条件により液化することにより、CO2濃度(wppm)の低い液体
塩素(A)を得ることができるためである。つまり、生気体塩素を上記条件で液化しても、CO2はほぼ気体のままであるため、液体塩素(A)のCO2濃度(wppm)は、生気体塩素中のCO2濃度(wppm)と比べて低くすることが可能となる。
本発明者らは、臭素の含有量の異なる種々の液体塩素(A)を用いて、様々な蒸発率で次亜塩素酸ナトリウム水溶液の製造を行った結果、液体塩素(A)に含まれる臭素の含有量(wppm)と、液体塩素(A)の蒸発率(%)とが、上記式(1)の関係を満たす条件で、次亜塩素酸ナトリウム水溶液を製造することにより、次亜塩素酸ナトリウム水溶液中のBrO3 -の濃度が20wppm未満となることを見いだした。
の含有量(wppm)が多いほど、同一の蒸発率で蒸発させた際に、得られる次亜塩素酸ナトリウム水溶液中に含有されるBrO3 -の濃度が高くなってしまうが、蒸発率の上限を上記式(1)に基づいて決定することにより、BrO3 -の濃度が低い次亜塩素酸ナトリウム水溶液を製造することができる。
蒸発率は上記式(1)を満たすのであれば特に限定はないが、生産設備の運用面や原料塩素中の臭素の含有量によって最適値が異なり、通常50〜90%であり、好ましくは70〜85%である。本発明において蒸発率が高いほど次亜塩素酸ナトリウム水溶液の生産性がよく、蒸発率が低いほど得られる次亜塩素酸ナトリウム水溶液中のBrO3 -の濃度を低減することができる。蒸発率が上記範囲内であれば、得られる次亜塩素酸ナトリウム水溶液の生産性と、次亜塩素酸ナトリウム水溶液中に含有されるBrO3 -の濃度とのバランスに優れている。
気体塩素は液体塩素(A)と比べて、高沸点成分(wppm)の含有量を低減することができる。
本発明に係る第2工程とは、第1工程において得られた気体塩素と蒸発せずに残存する液体塩素(B)とを分離する工程である。
した。
〔第3工程〕
本発明に係る第3工程とは、分離した気体塩素と水酸化ナトリウム水溶液とを反応させ次亜塩素酸ナトリウム水溶液を得る工程である。
5〜50質量%のものを使用し、適宜水で希釈して濃度調整をしたものを使用することもできる。
本発明の次亜塩素酸ナトリウム水溶液の製造方法によって得られた次亜塩素酸ナトリウム水溶液中のBrO3 -の濃度が20wppm未満であり、好ましくは10wppm以下であり、特に好ましくは5wppm以下である。BrO3 -の濃度の下限としては特に限定はない。
Z 109:2005に準拠して測定したのちに、下記式(3)に従って算出することにより求められる。
また、本発明の製造方法によって得られる次亜塩素酸ナトリウム水溶液中の炭酸ナトリウム(Na2CO3)の濃度は、通常0.1重量%未満である。Na2CO3の濃度が1重量%を超えると、厳寒期に炭酸ナトリウムの水和物が析出するといった問題が生じるためNa2CO3の濃度は1重量%未満であることが望まれる。本発明の製造方法によって得られる次亜塩素酸ナトリウム水溶液は、Na2CO3の濃度が通常0.1重量%未満であるため、炭酸ナトリウムの水和物が析出する恐れがないため好ましい。
次の本発明について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
(I)イオンクロマトグラフィー分析装置によるBrO3 -の測定
BrO3 -の含有量は日本水道協会規格JWWA Z 109:2005に準拠してイオンクロマトグラフィー分析装置による測定を行った。
次亜塩素酸ナトリウム水溶液の有効塩素濃度は、日本水道協会規格JWWA K 120:2005に基づいて測定した。
次亜塩素酸ナトリウム水溶液に過酸化水素水を加えて有効塩素分を分解後、フェノールフタレイン溶液を指示薬として塩酸溶液で中和滴定した液に、メチルオレンジ溶液を指示
薬として塩酸で滴定した。メチルオレンジ溶液を指示薬として滴定に要した塩酸溶液量を用いて炭酸ナトリウム濃度を算出した。
結果を表1に示す。
結果を表1に示す。
〔比較例1〕
実施例1と同様の液体塩素を用い、蒸発率を96%とした以外は実施例1と同様に行った。
〔比較例2〕
臭素を395wppm含む液体塩素1000kgを用い、蒸発率を90%とした以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
臭素を590wppm含む液体塩素1000kgを用い、蒸発率を85%とした以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
[比較例4]
液体塩素(A)に変えて、臭素を83wppm含む生気体塩素を用い、該生気体塩素を温度が3℃、圧力が300kPa、液化率が99.4%の条件で連続的に液化させ、残存した気体塩素を水酸化ナトリウム水溶液と反応させた以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
なお、液化率が99.4%とは、生気体塩素100重量%あたり、99.4重量%を液化し、0.6重量%が気体塩素として残存することを意味する。
2・・・反応槽
3・・・液体塩素貯蔵槽
(A) Cl2[L]・・・液体塩素(A)
Cl2[G]・・・気体塩素
(B) Cl2[L]・・・液体塩素(B)
NaOHaq・・・水酸化ナトリウム水溶液
NaClOaq・・・次亜塩素酸ナトリウム水溶液
Claims (7)
- 臭素を含む液体塩素(A)を、下記式(1)を満たす蒸発率で蒸発させ気体塩素を得る第1工程と、
第1工程において得た気体塩素と蒸発せずに残存する液体塩素(B)とを分離する第2工程と、
第2工程において分離された気体塩素と水酸化ナトリウム水溶液とを反応させ次亜塩素酸ナトリウム水溶液を得る第3工程とを有し、
得られた次亜塩素酸ナトリウム水溶液中のBrO3 -の濃度が20wppm未満であることを特徴とする次亜塩素酸ナトリウム水溶液の製造方法。
式(1): Y<−0.03970X+99.95
(上記式(1)中、Xは液体塩素(A)に含まれる臭素の含有量(wppm)であり、Yは液体塩素(A)の蒸発率(%)である。) - 臭素を含む液体塩素(A)を、下記式(1)を満たす蒸発率で蒸発させ気体塩素を得る第1工程と、
第1工程において得た気体塩素と蒸発せずに残存する液体塩素(B)とを分離する第2工程と、
第2工程において分離された気体塩素と水酸化ナトリウム水溶液とを反応させ次亜塩素酸ナトリウム水溶液を得る第3工程とを有し、
得られた次亜塩素酸ナトリウム水溶液中のBrO3 -の濃度が、有効塩素濃度13.0%換算で20wppm未満であることを特徴とする次亜塩素酸ナトリウム水溶液の製造方法。
式(1): Y<−0.03970X+99.95
(上記式(1)中、Xは液体塩素(A)に含まれる臭素の含有量(wppm)であり、Yは液体塩素(A)の蒸発率(%)である。) - 前記液体塩素(A)中の臭素の含有量が80〜600wppmであることを特徴とする請求項1または2に記載の次亜塩素酸ナトリウム水溶液の製造方法。
- 前記第1工程において、液体塩素(A)を圧力が100〜550kPa(ゲージ圧)、温度が−15〜30℃の条件で蒸発させることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の次亜塩素酸ナトリウム水溶液の製造方法。
- 前記気体塩素中の気体臭素の含有量が90wppm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の次亜塩素酸ナトリウム水溶液の製造方法。
- 得られた次亜塩素酸ナトリウム水溶液中のNa2CO3の濃度が0.1重量%未満であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の次亜塩素酸ナトリウム水溶液の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の次亜塩素酸ナトリウム水溶液の製造方法によって得られることを特徴とする次亜塩素酸ナトリウム水溶液。
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