JP2008179505A - ダイヤモンド単結晶基板及び、その製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】窒素原子含有量の異なる2つ以上の層からなり、少なくとも炭素原子に対する窒素原子含有量が0ppm以上10ppm以下の層、及び5ppm以上100ppm以下である層を有し、かつ0ppm以上10ppm以下の層より5ppm以上100ppm以下の層の窒素原子含有量が多いダイヤモンド単結晶基板であって、これらの層は気相合成法において窒素原子を含むガスの導入量を調整することにより形成される。
【選択図】図1
Description
特許文献2では、1つ又は複数の層に窒素、ホウ素などの不純物を含有させて、成膜速度を落とすことなく特性を向上させたダイヤモンド単結晶を製造する方法が述べられている。また特許文献3では、窒素を含有させることで成膜速度を向上させられることが示されている。また特許文献4では窒素原子含有量が異なる層を積み重ねた構造が示されている。
、本発明を完成させた。すなわち、本発明は以下の構成を採用する。
(2)前記ダイヤモンド単結晶基板において、気相合成法で得られる窒素原子含有量の異なる三以上の層からなり、前記炭素原子に対する窒素原子含有量が0ppm以上10ppm以下の層と、前記5ppm以上100ppm以下の層の間に一層以上の層が形成されていることを特徴とする上記(1)に記載のダイヤモンド単結晶基板である。
本発明のダイヤモンド単結晶基板は半導体用途にも使用できる高品質な単結晶で、製作時には比較的安価で短時間に入手することが可能である。
本発明に係るダイヤモンド単結晶基板は、窒素原子含有量の異なる2つ以上の層からなり、少なくとも炭素原子に対する窒素原子含有量が0ppm以上10ppm以下の層、及び5ppm以上100ppm以下である層を有し、かつ0ppm以上10ppm以下の層に比べ、5ppm以上100ppm以下の層の方で窒素原子含有量が多く、これらの層が気相合成法で作られることを特徴とするダイヤモンド単結晶基板である。この場合の層とは種基板の面積を持ち10μm以上の厚みを持つ部分を指し、同一層の製作時に導入する炭素に対する窒素を含んだガス量が±10%以内のものとする。範囲内であれば、同一層内でも窒素原子含有量が変化しているものでも良い。図1は、本発明のダイヤモンド単結晶基板の典型的な構造の一例である。
ンド成膜時の基板温度が、ダイヤモンド単結晶成長条件に比べ低くなる、もしくは高くなることによって多結晶化してしまう。ここで窒素添加量を増やすことで、多結晶化しない基板温度範囲を広げられることを見出した。これにより、初期層は5ppm以上100ppm以下となる層が好ましい。窒素添加量が5ppm以下では多結晶化しやすく、100ppm以上では不純物量が多くなりすぎ新たな多結晶化の原因となってしまう。
この方法で得たダイヤモンド単結晶は、X線ロッキングカーブの半値幅が100秒以内またはラマン散乱スペクトルの半値幅が2cm−1という結晶性の良い単結晶を得ることができ、半導体用途への使用も可能である。
5mm×5mm、厚さ0.5mmの人工Ib型単結晶{100}基板を用意して、マイクロ波プラズマCVDによるエピタキシャル成長を行った。基板温度は1100℃、圧力90torrでおこなった。導入したガスはメタン200sccm(standard cubic cm)、水素1000sccmとした。
添加する窒素ガスは、成膜開始から2時間は1sccmとし、2時間後からは0.4sccmとした。計20時間成膜を行った。このとき、平均成膜速度は51μm/hとなった。成膜したダイヤモンド単結晶から、CVDで作製した部分から1mmt厚みの単結晶を切り出した。SIMS(secondary ion mass spectrometry:2次イオン質量分析法)による炭素原子に対する窒素原子含有量の計測を行ったところ、上記人工Ib型単結晶基板に接していた部分から上20μmの位置では20ppmとなっており、更にその上200μmの位置では4ppmとなっていた。同時に水素原子量も同様の位置で測定し、それぞれ10ppm、15ppm含有することを確認した。最表面についてX線回折測定、ラマン分光測定を行った結果、単結晶であることを確認した。
スはメタン20sccm、水素100sccmとした。この際に意図した窒素ガスの導入は行わなかった。100時間の成膜を行った。
成膜後、基板について結晶性を評価した。まず半導体特性の評価として試料を水素プラズマ処理し、ホール測定によって水素化表面伝導層の常温における正孔移動度を評価した結果、1100cm2/V・secと半導体基板として十分高速な値を得た。次に、二次イオン質量分析により結晶中の窒素不純物量を定量した結果、炭素原子に対して窒素原子量は1.2ppmと十分少ない値を得た。本実施例のダイヤモンド単結晶基板は大型かつ高品質であることを確認した。
6mm×2mm、厚さ1.0mmの人工Ib型単結晶{100}基板を用意して、マイクロ波プラズマCVDによるエピタキシャル成長を行った。基板温度は1000℃、圧力70torrでおこなった。導入したガスはメタン150sccm(standard cubic cm)、水素1000sccmとした。
添加する窒素ガスは、成膜開始から2時間は1sccmとし、2時間後からは0.4sccmとした。20時間後からは添加する窒素ガスを0sccmとし(窒素ガスを導入せずに)、成膜を更に80時間行った。この時、平均成膜速度は18μm/hとなった。成膜したダイヤモンド単結晶から、CVDで作製した部分から1mmt厚みの単結晶を切り出した。SIMSによる炭素原子に対する窒素原子含有量の計測を行ったところ、上記人工Ib型単結晶基板に接していた部分から上20μmの位置では20ppmとなっており、更にその上200μmの位置では4ppmとなっていた。最表面について半導体特性の評価として試料を水素プラズマ処理し、ホール測定によって水素化表面伝導層の常温における正孔移動度を評価した結果、1000cm2/V・secと半導体基板として十分高速な値を得た。次に、二次イオン質量分析により結晶中の窒素不純物量を定量した結果、炭素原子に対して窒素原子量は1.2ppmと十分少ない値を得た。本実施例のダイヤモンド単結晶基板は大型かつ高品質であることを確認した。
6mm×3mm、厚さ0.7mmの人工Ib型単結晶{100}基板を用意して、マイクロ波プラズマCVDによるエピタキシャル成長を行った。基板温度は1050℃、圧力70torrでおこなった。導入したガスはメタン200sccm(standard cubic cm)、水素1000sccmとした。
添加する窒素ガスは、成膜開始から2時間は1sccmとした。更にその後、連続的に2時間かけて0.3sccmまで減らすようにした。添加する窒素ガス量を減らし始めてから2時間後からは0.3sccmと一定とし、計20時間成膜を行った。平均成膜速度は48μm/hとなった。成膜したダイヤモンド単結晶からCVDで作製した部分から0.5mmt厚みの単結晶を切り出した。SIMSによる炭素原子に対する窒素原子含有量の計測を行ったところ、15ppmの層と3ppmの層が存在した。その間には、8ppmの層も見られた。
実施例1と同様にし、5mm×5mm、厚さ0.5mmの人工Ib型単結晶{100}基板を用意して、マイクロ波プラズマCVDによるエピタキシャル成長を行った。基板温度は1100℃、圧力90torrでおこなった。導入したガスはメタン200sccm(standard cubic cm)、水素1000sccmとしたが、添加する窒素ガスは、成膜開始2時間は1sccmとし、2時間後から12時間後までは10sccmとし、その後更に20時間後までは0.4sccmで成膜を行った。結果、平均成膜速度は70μm/hと、実施例1の51μm/hと比較して速くなった。
成膜後、結晶性を評価した。SIMSによる炭素原子に対する窒素原子含有量の計測を行ったところ、上記人工Ib型単結晶基板に接していた部分から上20μmの位置では20ppmとなっており、更にその上200μmの位置では40ppmとなっていた。成膜後、最も上面だった部分より下側20μmの部分でも測定を行ったところ4ppmとなっていた。
実施例1と同様の成膜方法で、添加窒素ガス量を以下の表の窒素原子含有量になるように調整して成膜した。作成した基板の人工単結晶部分を切り取り、その底面から20μmから40μmの領域を第一層とし、基板の上面5μmから25μmの領域を第二層とした。
それぞれの成膜品について、SIMS測定によって炭素原子に対する窒素原子量を各層について測定した。作製した単結晶基板の最表面について、X線ロッキングカーブ測定を行った。結果の半値幅は以下の通りとなった。
Claims (3)
- ダイヤモンド単結晶基板において、気相合成法で得られる窒素原子含有量の異なる二以上の層からなり、少なくとも炭素原子に対する窒素原子含有量が0ppm以上10ppm以下の層、及び5ppm以上100ppm以下である層を有し、かつ前記0ppm以上10ppm以下の層より前記5ppm以上100ppm以下の層の方が窒素原子含有量が多いことを特徴とするダイヤモンド単結晶基板。
- 前記ダイヤモンド単結晶基板において、気相合成法で得られる窒素原子含有量の異なる三以上の層からなり、前記炭素原子に対する窒素原子含有量が0ppm以上10ppm以下の層と、前記5ppm以上100ppm以下の層の間に一層以上の層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のダイヤモンド単結晶基板。
- 製造時における導入ガスが、気相合成法で得られる炭素原子に対する窒素原子含有量が5〜100ppmまたは0〜10ppmの層のダイヤモンド層を成長させるのに必要な量の窒素原子を含んでおり、該窒素原子を含むガスの導入量を調整することで窒素原子含有量の異なるダイヤモンド単結晶層を製造することを特徴とするダイヤモンド単結晶基板の製造方法。
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