JP2008179108A - 記録装置 - Google Patents

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JP2008179108A
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Abstract

【課題】インクジェット記録装置において、簡易な方法でインクの粘度変化を捉え、インクジェット記録装置のより高画質で均質な記録性能を維持する。
【解決手段】 インク粘度変化を捉えるための各色のテストパターン702,703,704,705をラベル701記録した後、記録部を透過、又は反射した光の受光量をセンサ122で検知し、該センサ122の出力の基準値に対する変化量に基づいて、インクの粘度変化を検知できるようにした。
【選択図】図7

Description

本発明は、インクの粘度を判定する為のテストパターンを用いた粘度検知手段を備えた記録装置に関する。
記録ヘッド(印字ヘッド)に形成された複数のノズルから記録媒体にインク(インク滴)を吐出して画像を記録するインクジェット方式の記録装置(インクジェットプリンタ)が広く使用されている。
インクジェット方式の記録装置には、記録ヘッド回復動作等の際にノズルから排出した比較的大量のインクを画像記録に再び利用する(リサイクル)ことが求められる。
しかし再利用は繰り返し行なわれることになるので、リサイクル中にインクの水分はどうしても蒸発しやすい傾向となって、インクの色材濃度が上昇してインクの粘度が高くなる(インクの増粘とも呼ぶ)。
そこで、例えば想定インク残量と実インク残量の差からインク希釈液の量を求め、インク希釈液を添加することによりインクの粘度を調整する技術が提案されている。
(例えば、特許文献1)
上記と同様に予備的な吐出等、回復動作に使ったインクを回収、再利用する際に記録ヘッドの回復にはフレッシュなインクを使い、通常の記録動作には再利用インクを優先的に使うようにする技術が提案されている。
(例えば、特許文献2)
又、予備的な吐出等、回復動作に使ったインクを回収、再利用する記録装置の別な技術として、記録ヘッドに供給するインクタンク内に電極を設けて電極間のインピーダンス(電気抵抗値)によって粘度の増加を判定し、稀釈剤を注入する技術も提案されている。
(例えば、特許文献3)
特開2001−010087号公報 特開2003−326692号公報 特開2006−088398号公報
しかしながら、上記特許文献1による方法の場合、記録装置(プリンタ)の使用頻度によっては次のような懸念がある。
記録ボリウムが小さい場合には期間あたりのインク消費量は小さいが記録ヘッドの回復動作回数は多くなる。回収を繰り返すことによりインク粘度の上昇が顕在化し易い。
これとは逆に、ヘビーデューティな使われ方であると期間あたりのインク消費量は大きく、回復動作の回数は減少する。従ってインク粘度の上昇は緩やかになる。このことから注入される稀釈液によるインク濃度変化のばらつきが大きくなる。
又、特許文献2による方法においてもやはり記録装置の使用頻度による影響が考えられる。
記録動作頻度が高ければ回復動作回数は小さく、常にフレッシュなインクが使われ、好ましい結果が期待できる。
しかし、記録動作頻度が小さいと記録ヘッドの回復動作回数は増加し、回収、再利用されるインクが増加する。そのために全体的なインク粘度は増加傾向となり、徐々に記録性能に影響が出てくるであろう。
次に、特許文献3による方法によれば、インクタンク内のインクが満タン状態であれば粘度変化によるインピーダンスの違いは捉え易い。しかし、エンプティ(空)に近い状態では粘度変化によるインピーダンス変化は捉えにくくなり、測定誤差による調整剤の不適切な注入、或いは注入不足が懸念される。
本発明は、上記種々の事情に鑑み為されたものであり、簡易な方法でインクの粘度変化を捉え、記録装置のより高画質で均質な記録性能を維持することを目的とする。
上記目的を達成する為に、本発明の記録装置は、
記録媒体に予め決められたテストパターンを記録し、テストパターン部分を透過した光量、又は反射した光量の基準の値に対する変化量を光センサによって測定し、インクの粘度を検知するようにしたものであり、次のような手段を実施した。
即ち、本発明の請求項1による記録装置は
記録媒体を搬送する搬送手段と、前記記録媒体にインクを吐出して画像を記録する記録ヘッドと、インクを貯蔵するインク貯蔵手段と、前記記録媒体に記録するテストパターンを生成するテストパターン生成手段を有する記録装置において、
記録されたテストパターン部分から受光する光量の基準値に対する変化により、
前記インクの粘度変化を検知する粘度検知手段を更に備えることを特徴とする。
又、本発明の請求項2による記録装置は
前記粘度検知手段は透過型の光センサを使用することを特徴とする。
又、本発明の請求項3による記録装置は
前記粘度検知手段は反射型の光センサを使用することを特徴とする。
又、本発明の請求項4による記録装置は
前記インクは複数色であり、これに対応して前記インク貯蔵手段を複数有することを特徴とする。
又、本発明の請求項5による記録装置は
前記粘度検知手段を複数有することを特徴とする。
又、本発明の請求項6による記録装置は
前記粘度検知手段は記録されたテストパターン部分から受光する光量に対するセンサ感度をインク色毎に設定するセンサ感度設定手段を更に備えることを特徴とする。
本発明の請求項7による記録装置は
記録媒体を搬送する搬送手段と、前記記録媒体にインクを吐出して画像を記録する記録ヘッドと、
インクを貯蔵するインク貯蔵手段と、前記記録媒体に記録するテストパターンを生成するテストパターン生成手段と、
記録されたテストパターン部分から受光する光量の基準値に対する変化により、
前記インクの粘度変化を検知する粘度検知手段と、
前記粘度検知手段の検知結果に基づき、前記インク貯蔵手段に稀釈液を注入する稀釈液注入手段、とを備えることを特徴とする。
又、本発明の請求項8による記録装置は
前記インク貯蔵手段のインク残量を検知するインク残量検知手段をさらに有することを特徴とする。
又、本発明の請求項9による記録装置は
前記稀釈液注入手段から注入される稀釈液の量は、前記粘度検知手段の検知結果と前記インク残量検知手段の検知結果に基づき決定することを特徴とする。
又、本発明の請求項10による記録装置は
前記インク貯蔵手段にインクを攪拌する攪拌手段を備えることを特徴とする。
又、本発明の請求項11による記録装置は
前記粘度検知手段の検知結果に基づき、前記攪拌手段によるインクの攪拌を行なうことを特徴とする。
又、本発明の請求項12による記録装置は
前記記録ヘッドと前記インク貯蔵手段との間でインクを循環させるインク循環手段を備えることを特徴とする。
又、本発明の請求項13による記録装置は
前記粘度検知手段の検知結果に基づき、前記インク循環手段によるインクの循環を行なうことを特徴とする。
本発明の実施により、記録装置で使用するインクを有効に利用できる。とりわけ記録ヘッドのクリーニング、回復動作に用いたインクをリサイクル可能な記録装置においては高画質で、より均質な記録性能を維持できる効果がある。
発明を実施するための最良の形態を、図を用いて詳細に説明する。
<第1の実施例>
図1に本発明のインク粘度の自動判定可能な記録装置の一例を示す正面図(図1a)と画像記録部の斜視図(図1b)を示す。
記録装置100は、不図示のホストPC(パソコン)に接続され、記録命令や画像データを受信する。記録装置100には4本の記録ヘッド102、103、104、及び105が記録媒体(ここではロ−ル紙)Pの搬送方向に並んで配置されている。
4つの記録ヘッド102、103、104、及び105からはそれぞれブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色のインクが吐出される。インクは各々交換可能なインクカートリッジ106(ブラック)、107(シアン)、108(マゼンタ)、及びインクカートリッジ109(イエロー)から対応するサブタンク116、117、118、及び119を経由して各々の記録ヘッド102、103、104、及び105に供給される。稀釈液タンク307は各色のサブタンク106〜109に稀釈液を注入するものであり、後述する。
記録ヘッド102、103、104、及び105は、所謂ラインヘッドであり各記録ヘッドの最大記録幅は、記録媒体110の幅よりもやや広く設計される。記録動作中これらの記録ヘッドは記録位置で静止する。
記録ヘッド102、103、104、及び105の安定した記録性能を維持できるよう、各記録ヘッドに対応したキャップ機構(キャッピングユニット)112、113、114、及び115を具えている。
キャップ機構112〜115は、周知のワイパブレード、キャップ等から構成されている。
搬送中のロ−ル紙Pのセパレータ110上に仮付けされたラベル111の先端(又は後端)が先端検知センサ120にて検知される。そして、記録開始位置がブラックの記録ヘッド102の下に到達した時点から、記録データ(画像データ)に基づいて記録ヘッド102(ブラック)からはブラックインクを選択的に吐出する。同様に記録ヘッド103(シアン)、記録ヘッド104(マゼンタ)、記録ヘッド105(イエロー)の順に、各色のインクを吐出して複数ラベルにカラー画像を連続的に記録する。121は操作パネルで、記録装置の動作状態や警報表示のほか記録動作の一時停止、再開等の操作キーも備える。
記録ヘッド102、103、104、及び105の記録位置より搬送方向更に下流側には前述の先端検知センサ120と同様の先端検知センサ122が備えられ記録済みのラベル111の先端(又は後端)を検知して記録媒体Pが正常に搬送されているかを監視する。先端検知センサ120、122は本発明の特徴的な部分であるインク粘度の増加(増粘)判定用のセンサとしても用いるが詳細は後述する。
図2は本発明を実施した記録装置100の電気的なブロック図である。
ホストPC200から送信された記録データやコマンドはインタフェースコントローラ201を介してCPU202に受信される。CPU202は、記録装置100の記録データの受信、記録動作、ロ−ル紙Pのハンドリング等全般の制御を掌る演算処理装置である。尚インタフェースコントローラ201内部には独立した別なCPUを具える場合もある。
CPU202では、受信したコマンドを解析した後に、記録データの各色成分のイメージデータをイメージメモリ(VRAM)207にビットマップ展開して描画する。記録前の動作処理としては、出力ポート220、モータ駆動部221を介してキャッピングモータ215とヘッドアップダウンモータ214を相互に駆動し、各記録ヘッド102〜105をキャップ機構112〜115のキャップ位置から記録位置に移動させる。
続いて、同じく出力ポート220、モータ駆動部221を介してロ−ル紙Pを繰り出す給紙モータ216を駆動、そしてロ−ル紙Pを搬送する搬送モータ212等を駆動開始するためにサーボロジック回路210に所望の搬送速度に対応した指示速度値を書き込む。搬送モータ212のモータ軸、又は不図示の搬送ローラ軸にはロータリエンコーダ213が結合され、ロール紙Pの動きに同期したパルスが出力される。
用紙Pに仮付けされた複数のラベルが繰り出されて先端検知センサ120にてラベルの先端が検知される。
この時点から、前述のロータリエンコーダ213の出力によってサーボロジック回路210内部のU/D(Up/Down)カウンタ(不図示)でロール紙P上のラベルの最新位置は正確に示される。
又サーボロジック回路210はロータリエンコーダ213からの出力パルスのパルス間隔の逆数に比例した値から搬送されるラベルの最新の搬送速度を求めて、前述の指示速度値となるようにフィードバック制御を行なう。
以上から記録開始する切り出しタイミングを決定出来るので、ロ−ル紙Pの搬送に同期して、CPU202はイメージメモリ207から対応する色の記録データを順次読み出し、記録ヘッド制御回路219を経由し、各記録ヘッド102〜105に読み出しデータを転送する。
記録ヘッド105より更に搬送方向下流側の先端検知センサ122の出力はデジタル・ポテンショメータ(センサゲイン設定回路)222、ADコンバータ208を介してCPU202によりほぼリアルタイムに読出しできる。
通常先端検知センサ122は搬送方向上流側の先端検知センサ120と同様、ラベル111の先端(又は後端)の検知に用いるが、本発明の粘度判定用センサとしても使われる為、デジタル・ポテンショメータ222によって受光に対する出力利得(Gain)が設定される。
粘度判定用センサとして使うときには粘度判定用テストパターンの僅かな記録濃度変化を捉える必要があるので、先端検知センサ122出力のプル・ダウン抵抗値を高い値に切り替える。更に粘度判定用テストパターンに使うラベル111の光透過率のバラツキ、それに周囲温度や経時変化に対する発光側の光量、受光素子バラツキ等様々な要因のバラツキを補正しなければならないので、図の如くデジタル値の書き込みによるデジタル・ポテンショメータ222を用いる。
後述するインク粘度判定の為、テストパターンの生成手順はROM203に記憶されている。このインク粘度判定テストは、記録された画像の画質によってユーザが適宜判断することもあるが、記録ヘッド102〜105の交換後所定期間(例えば1ヶ月)経過した時、或いは記録ヘッドのクリーニング回復動作が所定回数に達した場合に実行するようにプログラミングしても良い。
記録装置100のCPU202はこの他、作業用のメモリとしてRAM108を使用する。記録ヘッド102〜105のクリーニングや回復動作時に、CPU202は、出力ポート220、モータ駆動部221を介してポンプモータ217を駆動し、インクの加圧、吸引等の制御を行なう。
記録ヘッド102〜105の取り付けから生じるメカ的な記録位置ズレを微小に補正する電気的な補正値を含む記録装置100固有のパラメータ、又クリーニング回復動作回数等は不揮発性のメモリであるEEPROM205に記憶される。
本発明に関わる粘度(増粘)判定の為のテストパターンの指示は通常ホストPC200から行なうが、オペレーションパネル121上の操作キーや表示器からの入力によっても実行できる。
図3は、本発明の記録装置100のインク供給経路を示す模式図で、交換可能なインクタンクからサブタンクにインクを補給する状態を示す。インク色はブラックを代表的に説明するが、他のインク色も同様である。
供給弁303を開き、ポンプ304を駆動するとインクタンク106内部のインク301はフィルタ302、供給弁303、ポンプ304を経由してサブタンク116に補給される。
そしてインク残量検知センサ305が満タンを検知する迄補給は続くが、所定時間内に満タンに達しない場合にはインクカートリッジ106のインク301が空になったと判断し、インクカートリッジ106の交換要求を表示する。
尚、インク残量検知センサ305の出力は不図示のADコンバータを介して読み出しでき、且つ
インク残量:20 [cc]〜160 [cc]程度まではある直線性をもった検知が可能で、例えば20 [cc]:エンプティ、120 [cc]:満タン、という判定とする。
稀釈液308を貯蔵する希釈液タンク307に関しては後述する。
次に図4では、同じく記録動作中の状態を示す。インク色はブラックを代表的に説明するが、他のインク色もほぼ同様である。
サブタンク116の大気連通弁306は開いた状態で、記録ヘッド102の多数のノズルから用紙Pに画像が記録されるが、吐出されたインク量に応じて記録ヘッド102内部の液室404に負圧が生じ、サブタンク116からフィルタ402、403を介してインクが移動する。
続いて図5に記録ヘッド102の回復動作に入った状態を示す。回復弁401を最初に閉じ、記録ヘッド102はキャップ機構105にてキャップされた状態に戻る。そして加圧ポンプ501を駆動すると、サブタンク116のインクがフィルタ403を介して移動するが、回復弁401が閉じているので液室404のインクは急激に加圧される。
急激な加圧によって記録ヘッド102の各ノズルから比較的多量のインクが瞬時に強制排出されるので、各ノズルは健全な状態に回復される。
この強制排出後記録ヘッド102のフェース面は不図示のワイパ・ブレードによってクリーニングされる。
強制排出されたインクはキャップ機構502のインク溜まり405に一時的に溜まろうとするが、予めリサイクル弁505を開き、ポンプ304を稼動しているので、排出口503〜リサイクル弁505〜ポンプ304の経路でサブタンク116に回収、リサイクルされる。従ってインクは無駄に消費されることはない。
しかし、上記回復動作によって記録装置内部のインクは徐々に水分が蒸発しインクの粘度は増加する傾向になるので、いずれ希釈が必要になる。
図6に希釈液308の注入方法を説明する。
先ずキャップ機構105側から戻る経路のリサイクル弁505を閉じ、希釈液308の入った希釈液タンク307側の弁601は開く。
そしてポンプ304を駆動し希釈液308を弁601〜ポンプ304の経路でサブタンク116に注入する。この際サブタンク116内部の攪拌用ブレード602を予め回転させて、内部のインク濃度を平均化する。
希釈液308は例えば純水に防カビ剤を添加したものであり、本実施例で示すブラックインクに限らず他のインク色にも共通に使用できる。
本発明を実施するための粘度検知パターンの生成例を図7に示す。
粘度検知パターンに使用するラベル701は本来透明なものが好ましいが、専用の透明フィルム状のラベルを準備することは現実的でないので、通常使用できるラベルを前提として説明する。
粘度検知には搬送方向下流側の先端検知センサ122を用いるので記録するパターンのサイズは限られた領域で済む。
ラベル701上に生成するパターンは夫々
記録ヘッド(ブラック)102:パターン702
記録ヘッド (シアン)103:パターン703
記録ヘッド(マゼンタ)104:パターン704
記録ヘッド(イエロー)105:パターン705
各パターンのサイズは、タテ6[mm] × 幅20[mm]
記録ヘッド102〜105の記録分解能が600 [dpi] であれば
タテ142[dot] ×幅473[dot]
程度で可能であるが、検知する時の搬送速度の設定によってタテ方向(搬送方向)は増減する。
さて次にインク粘度検知時の先端検知センサ122の受光量に対するセンサ感度設定に関して説明する。
もしも特定のインク色、例えばブラックを測定対象としてセンサ感度を設定すると、ラベル701の横断面方向に先端検知センサ122の出力を描くと図8のような波形が予測できる。特にイエローの記録パターン部ではセンサ出力の変化は判別できないほど小さいかも知れない。
インクが増粘している時に吐出するインク滴の平均量が僅かに小さくなり、その結果透過光量がほんのわずか増加するのを捉えようとするのであるから、図8の場合にはブラックの記録パターン702の増粘による変化は捉えられるが、イエローの記録パターン705の増粘による変化を捉えるのは難しいであろう。
そこで本発明では図9に示す如く、
ブラックの記録パターン702近傍の先端検知センサ122のセンサ感度をGkに、
シアンの記録パターン703近傍のセンサ感度をGcに、
マゼンタの記録パターン704近傍のセンサ感度をGmに、
そして、イエローの記録パターン705近傍のセンサ感度をGyに夫々設定するようにした。
これらの感度設定はデジタル・ポテンショメータ222に、対応するデジタル値をCPU202が書き込むことによって為される。
設定されるセンサ感度は粘度検知に使用するラベル701とインク色、記録パターンにより予め決められる。
イエローの記録パターン近傍の感度Gy>Gk(ブラック近傍の感度)の関係は明白であるが、イエローの記録パターンの場合、例え増粘したとしても記録パターン部を透過する光量の変化は微量であり、その為使用するラベル701は透明度の高いものに限定される。用紙を限定しない場合には、他の色、例えばマゼンタの検知結果で代用する方法も考えられる。
続いてインクが増粘しているか否かを数値的に判定するために、図9の各色の記録パターン部の先端検知センサ122の出力レベルが基準値:(V1+V2)/2近傍である、V1〜V2の範囲内であれば内部のインク粘度は概ね2[mpa/s]以内で良好と考えられ、且つ所定の画質を維持できる。
しかし、記録パターン部の先端検知センサ122の出力レベルがV2を超えるとインクの増粘が進行したと判定し、何らかの処置が必要となる。
検知結果からの処理の詳細に関しては後述するが概略の目安として、センサ122の出力レベルがV2〜V3の範囲ならば、内部のインク粘度は、4[mpa/s]内外と考えられ、インクをリフレッシュするほどではないにしても、希釈液注入によりインク粘度を下げる必要がある。
更にセンサ122の出力レベルがV3をも上回っていたなら、内部のインク粘度は、6[mpa/s]程度と非常に高く、そのままでは画質の維持は困難なので、加える希釈液を増加するだけでなく、サブタンクと記録ヘッド間のインク循環させてインクをリフレッシュすることが重要である。
尚実施例ではインク粘度が上昇した場合の処置として稀釈液を注入する方法を代表的に説明しているが、他の方法、例えば交換可能なインクカートリッジ(インクカートリッジ)から新たなインクを供給する等、いくつかの選択肢がある。
本発明によるインクの粘度検知を実行するCPU202の動作フローに関して図10〜図12を用いて説明する。
粘度検知パターンの実行はホストPC200から指示されるが、OFFLINEでオペレーションパネル121のキー操作によることもある。
粘度検知用テストパターンが指示されるとCPU202は記録媒体Pの搬送動作を開始する(ステップ1000)。
そして、粘度検知テストパターンを記録するラベル701の先端を先端検知センサ120で検知すると(ステップ1001-Yes )、その時点から記録媒体の搬送位置は搬送モータ212に結合されたロータリエンコーダ213と、不図示の搬送位置カウンタにて最新の現在位置が精密に管理される。
間もなくブラックの記録パターンの書き出し位置が記録ヘッド102に到達すると(ステップ1002-Yes )記録パターン702が記録される(ステップ1003)。
同様、シアンの記録パターンの書き出し位置が記録ヘッド103に到達すると(ステップ1004-Yes )記録パターン704を記録(ステップ1005)、
マゼンタの記録パターンの書き出し位置が記録ヘッド104に到達すると(ステップ1006-Yes )記録パターン704を記録(ステップ1007)、
そしてイエローの記録パターンの書き出し位置が最下流側の記録ヘッド105に到達すると(ステップ1008-Yes )記録パターン705が記録される(ステップ1009)。
そして、搬送方向下流側の先端検知センサ122はこの時点から粘度検知用のセンサ(以降センサ122とも呼ぶ)として用いるので、先ずイエロー用の最も高感度なセンサゲイン:Gyに設定される(1100)。センサゲインの設定は既に説明した通り、CPU202によるデジタル・ポテンショメータ222へのデジタル値の書き込みによる。
直後にイエローの記録パターン705がセンサ122に到達すると(1101-Yes )センサ122の出力電圧Vyが読み出され、記憶される(1102)。
センサ122のセンサゲインは直ちにマゼンタ用のセンサゲイン:Gmに設定替えされる(1103)。
そしてマゼンタの記録パターン704がセンサ122に到達すると(1104)センサ122の出力電圧Vmが読み出され、記憶される(1105)。
センサ122のセンサゲインは直ちにシアン用のセンサゲインに設定替えされる(1106)。
そしてシアンの記録パターン703がセンサ122に到達すると(1107)センサ122の出力電圧Vcが読み出され、記憶される(1108)。
続いてセンサ122のセンサゲインは直ちにブラック用のセンサゲインに設定替えされる(1109)。
そしてブラックの記録パターン702がセンサ122に到達すると(1110-Yes )センサ122の出力電圧Vkが読み出され、記憶される(1111)。
以上一連の動作が完了すると、センサゲインは初期値に戻され、122は下流側の先端検知センサとしての役割に戻る(1112)。次に記録媒体Pの搬送動作をも停止する(1113)。
以降は粘度検知〜解消に関わるCPU202の動作処理である。
上記処理に引き続いて4色のインクに関する並行処理となるが、ここでは代表的にブラックのみの説明する。
記憶されたブラック記録パターン部のセンサ出力電圧値:Vkを読み出し(1200)、先ず所定値V2と比較して、もしV2未満なら(1201-No )インクの継続使用可能と判断し処理は終了する。
一方V2以上なら(1201-Yes )次により高い値V3と比較、V3以上の場合には(1202-Yes )インクの増粘が最も進行した状態と判断し、後述(図13b参照)のインクリフレッシュ動作に入る(1203)。
V3に達していなければ(1202-No )比較的軽度な増粘と判断し、後述(図13a参照)の稀釈液の注入動作に入る(1204)。そして、インクの増粘に対する解消の処理が完了したら、本発明によるインク増粘検知〜増粘解消までの一連処理が終わる。
上記ブラックと並行してCPU202は、
シアン :1210〜1214
マゼンタ:1220〜1224
イエロー:1230〜1234
の処理を実行する。
インクの増粘が進行していた場合にCPU202が実行する処理について図13のフローにて説明する。
既に説明した図3〜図6も併せて参照されたい。
先ず粘度検知パターン702〜705部分のセンサ出力がV2以上でV3以下、つまり,比較的経度な増粘と判断した時の稀釈液の注入動作を図13aにて説明する。
最初にサブタンク116のインク残量を調べ(1301)、サブタンク内の攪拌ブレード602をONする(1302)。
次に1301で得られたインク残量に基づき稀釈液を注入する(1303)。ここで注入する稀釈液の量は例えば図14の1401に示す如く、インク残量の1/10である。
インク残量〜稀釈液注入量の変換テーブル1401はROM203に記憶されている。
稀釈液の注入が終了し(1304-Yes )、更に所定時間経過したら(1305-Yes )攪拌ブレードをOFFし(1306)、稀釈液注入動作は終了する。
次にテストパターン部分702〜705のセンサ出力がV3をも超えていた時、この場合にはインクの増粘はかなり進行しているので、粘度検知パターン702〜705の内、該当する色の粘度検知パターンは目視でもドット抜け等が判別できることもあり得る。
この時のインクリフレッシュ動作を図13bにて説明する。
最初にインク貯蔵手段であるサブタンク116のインク残量を調べ(1341)、サブタンク内の攪拌ブレード602をONする(1342)。
次に1341で得られたインク残量に基づき稀釈液を注入する(1343)。ここで注入する稀釈液の量は例えば図14の1402に示す如く、インク残量の2/10である。
インク残量〜稀釈液注入量の変換テーブル1402はROM203に記憶されている。
稀釈液の注入が終了したら(1344-Yes )、次に図5にて説明したインクリサイクルの準備のため、ポンプ304をONする(1345)。
続いてサブタンク116〜記録ヘッドの間でインク循環させる動作に入る(1346)。インク循環の状態は不図示であるが、図5にて回復弁401を開
いた状態に等しい。
そして所定時間経過したら(1347-Yes )、インク循環動作を終了する(1348)。
更に所定時間後(1349-Yes )、ポンプ304をOFFする(1350)。この時点でインク循環によりキャップ機構502のインク溜まり405に僅かに排出されたインクはサブタンク116に回収、再利用される。
最後に攪拌ブレード602もOFFして(1351)、インク増粘時のインクリフレッシュ動作は完了する。
<第2の実施例>
本発明第2の実施例を図15にて説明する。
既に説明した第1の実施例では透過型センサを用いて粘度検知パターン部を透過する光量の僅かな変化を捉えることによるインクの増粘を判定したが、本発明では反射型センサ1500によって、粘度検知パターン部から反射する光量の僅かな変化を捉えてインクの粘度を判定する。
この方法によってもセンサ感度は図9で述べた如くインク色毎に夫々異なる値を選択することになる。使用する用紙701の光透過率が低い場合や、ばらつきが大きい場合には、本発明を選択する。
<第3の実施例>
本発明第3の実施例を図16にて説明する。
本発明では、やはり反射型の部類であるが、CMOSセンサ等CIS(Contact Image Sensor)1600によって、粘度検知パターン部から反射する光量の僅かな変化を捉えてインクの増粘を判定する。
この方法によってもセンサ感度は図9で述べた如くインク色毎に夫々異なる値を選択することになる。前記第2の実施例に比較すると、複数のセンサ出力の平均化がしやすい利点がある。
<第4の実施例>
本発明第4の実施例を図17にて説明する。
本発明では、測定対象のインク色によって使用するセンサを選択する。
例えばブラック1702、シアン1703は透過型センサ122にて測定し、マゼンタ1704、イエロー1705は反射型センサ122を選択する。
この方法によってもセンサ感度は図9で述べた如くインク色毎に夫々異なる値を選択することになる。前記第2の実施例に比較すると、複数のセンサ出力の平均化がしやすい利点がある。使用する用紙701の透過光のばらつきが大きい場合には明度の高いイエロー等は判定が難しいので本発明の方が精度的に好ましい。
淡シアン、淡マゼンタ、或いはロゴ等に使う特殊色インクに関しても同様に反射型を使用するのが好ましい。
尚全ての色に関して透過型センサ122、反射型センサ1500各々で測定し、判定時に選択するようにしても良い。
本発明の記録装置は高速で且つヘビーデューティのラベルプリンタや大判のカラープリンタ等、とりわけインクのリサイクル可能なラインプリンタ高級機への利用によって、高画質を維持する為の動作信頼性を格段に向上できる。
本発明を実施した記録装置と記録部を模式的に示す図である。 本発明を実施した記録装置の電気的なブロック図である。 サブタンクへのインク補給を示す模式図である。 記録動作時のインクの流れを示す模式図である。 記録ヘッドの加圧回復動作を示す模式図である。 希釈液の注入方法を示す模式図である。 インクの粘度検知パターンを示す図である。 センサ感度を特定した場合の課題を説明する図である。 本発明によるインク粘度検知方法を示す図である。 インクの粘度検知パターンの記録動作を示すフローである。 粘度検知パターンのセンサによる読出し法を示すフローである。 増粘検知〜増粘解消する過程を示すフローである。 稀釈液注入、インクリフレッシュ動作に関するフローである。 インク残量〜稀釈液注入量の変換テーブルである。 第2実施例によるインクの粘度検知方法を示す図である。 第3実施例によるインクの粘度検知方法を示す図である。 第4実施例によるインクの粘度検知方法を示す図である。
符号の説明
100 記録装置
102 記録ヘッド(K)
103 記録ヘッド(C)
104 記録ヘッド(M)
105 記録ヘッド(Y)
106 インクカートリッジ(K)
107 インクカートリッジ(C)
108 インクカートリッジ(M)
109 インクカートリッジ(Y)
112 キャップ機構(K)
113 キャップ機構(C)
114 キャップ機構(M)
115 キャップ機構(Y)
116 サブタンク(K)
117 サブタンク(C)
118 サブタンク(M)
119 サブタンク(Y)
120 先端検知センサ(上流側)
121 オペレーションパネル
122 先端検知センサ(下流側)

200 ホストPC
202 CPU
203 ROM
208 ADコンバータ
212 搬送モータ
213 ロータリエンコーダ
222 デジタル・ポテンショメータ

304 ポンプ
307 希釈液タンク
308 希釈液

505 リサイクル弁

601 弁
602 攪拌用ブレード

701 ラベル
702 粘度検知パターン(ブラック)
703 粘度検知パターン(シアン)
704 粘度検知パターン(マゼンタ)
705 粘度検知パターン(イエロー)

1401 インク残量〜稀釈液注入量変換テーブル
1402 インク残量〜稀釈液注入量変換テーブル

1500 反射型センサ
1502 粘度検知パターン(ブラック)
1503 粘度検知パターン(シアン)
1504 粘度検知パターン(マゼンタ)
1505 粘度検知パターン(イエロー)

1600 反射型センサ
1602 粘度検知パターン(ブラック)
1603 粘度検知パターン(シアン)
1604 粘度検知パターン(マゼンタ)
1605 粘度検知パターン(イエロー)

1702 粘度検知パターン(ブラック)
1703 粘度検知パターン(シアン)
1704 粘度検知パターン(マゼンタ)
1705 粘度検知パターン(イエロー)

Claims (13)

  1. 記録媒体を搬送する搬送手段と、前記記録媒体にインクを吐出して画像を記録する記録ヘッドと、インクを貯蔵するインク貯蔵手段と、前記記録媒体に記録するテストパターンを生成するテストパターン生成手段を有する記録装置において、
    記録されたテストパターン部分から受光する光量の基準値に対する変化により、
    前記インクの粘度変化を検知する粘度検知手段を更に備えることを特徴とする記録装置。
  2. 前記粘度検知手段は透過型の光センサを使用することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  3. 前記粘度検知手段は反射型の光センサを使用することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  4. 前記インクは複数色であり、これに対応して前記インク貯蔵手段を複数有することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  5. 前記粘度検知手段を複数有することを特徴とする請求項4に記載の記録装置。
  6. 前記粘度検知手段は記録されたテストパターン部分から受光する光量に対するセンサ感度をインク色毎に設定するセンサ感度設定手段を更に備えることを特徴とする請求項5に記載の記録装置。
  7. 記録媒体を搬送する搬送手段と、前記記録媒体にインクを吐出して画像を記録する記録ヘッドと、
    インクを貯蔵するインク貯蔵手段と、前記記録媒体に記録するテストパターンを生成するテストパターン生成手段と、
    記録されたテストパターン部分から受光する光量の基準値に対する変化により、
    前記インクの粘度変化を検知する粘度検知手段と、
    前記粘度検知手段の検知結果に基づき、前記インク貯蔵手段に稀釈液を注入する稀釈液注入手段、とを備えることを特徴とする記録装置。
  8. 前記インク貯蔵手段のインク残量を検知するインク残量検知手段をさらに有することを特徴とする請求項7に記載の記録装置。
  9. 前記稀釈液注入手段から注入される稀釈液の量は、前記粘度検知手段の検知結果と前記インク残量検知手段の検知結果に基づき決定することを特徴とする請求項8に記載の記録装置。
  10. 前記インク貯蔵手段にインクを攪拌する攪拌手段を備えることを特徴とする請求項7〜9に記載の記録装置。
  11. 前記粘度検知手段の検知結果に基づき、前記攪拌手段によるインクの攪拌を行なうことを特徴とする請求項10に記載の記録装置。
  12. 前記記録ヘッドと前記インク貯蔵手段との間でインクを循環させるインク循環手段を備えることを特徴とする請求項7〜11に記載の記録装置。
  13. 前記粘度検知手段の検知結果に基づき、前記インク循環手段によるインクの循環を行なうことを特徴とする請求12に記載の記録装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024034264A1 (ja) * 2022-08-09 2024-02-15 富士フイルム株式会社 液滴吐出装置、及び印刷物の製造方法

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