JP2008177497A - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

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Koichi Kato
藤 弘 一 加
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Koichi Muraoka
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Abstract

【課題】絶縁膜を形成する際の界面欠陥の生成を抑制するとともに、生成された欠陥を低減させることを可能にする。
【解決手段】半導体基板の表面を窒化する第1窒化ガスと、半導体基板と実質的に反応しない第1希釈ガスとを含み、第1希釈ガスの分圧と第1窒化ガスの分圧の和と、第1窒化ガスの分圧との比が5以上でかつ全圧が40Torr以下である第1雰囲気中に半導体基板を置き、半導体基板の表面に窒化膜を形成する工程と、表面に窒化膜が形成された半導体基板を、酸素原子の結合エネルギーが1eV〜4eVの範囲の酸化ガスと、半導体基板と実質的に反応しない第2希釈ガスとを含む第2雰囲気中に置き、半導体基板と窒化膜との間に第1酸窒化層を形成するとともに窒化膜の表面に第2酸窒化層を形成する工程と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】図18

Description

本発明は、半導体装置の製造方法に関する。
近年、ゲート絶縁膜の薄膜化はとどまるところを知らない。2006年には1.5nmであった酸化膜換算膜厚(以下、EOT(Equivalent Oxide Thickness)ともいう)は、2010年には0.7nm以下が要求されると予想されている。そのために、従来使用されてきたSiO膜よりも誘電率が高く、同じEOTでも物理膜厚を厚くしリーク電流を抑えることのできるSiON膜、高誘電率材料からなるhigh−k膜の重要性はますます高くなっている。
特に、従来の技術の延長で形成できるSiON膜の重要性は極めて高く、より誘電率が高く、EOTの薄い窒素高濃度SiON膜の実現は急務であり、中でも窒素濃度の高濃度化に有利である窒化膜先作りSiON膜(Si基板を窒化したあと、窒化膜越しにSi基板を酸化する)プロセスは注目されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−93865号公報
しかしながら、SiON膜には、膜中の窒素の高濃度化とともに絶縁性が向上する一方で、SiO膜と比べて界面特性(駆動力)、信頼性が劣化するという問題がある。このために、設計要求の面から窒素の高濃度化が難しくなるという問題が顕在化してきた。
このようにSiON膜の窒素の高濃度化には絶縁性向上というメリットとともに、駆動力劣化、信頼性劣化というデメリットがある。
後述するように、SiON膜の界面特性、信頼性が劣化する原因は、SiON膜とSiとの界面に形成される欠陥に起因していることが本発明者達によって明らかになった。
本発明は上記事情を考慮してなされたものであって、絶縁膜を形成する際の欠陥の生成を抑制し、かつ生成した欠陥を効率的に低減することのできる半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一態様による半導体装置の製造方法は、半導体基板の表面を窒化する第1窒化ガスと、前記半導体基板と実質的に反応しない第1希釈ガスとを含み、前記第1希釈ガスの分圧と前記第1窒化ガスの分圧の和と、前記第1窒化ガスの分圧との比が5以上でかつ全圧が40Torr以下である第1雰囲気中に前記半導体基板を置き、前記半導体基板の表面に窒化膜を形成する工程と、表面に前記窒化膜が形成された前記半導体基板を、酸素原子の結合エネルギーが1eV〜4eVの範囲の酸化ガスと、前記半導体基板と実質的に反応しない第2希釈ガスとを含む第2雰囲気中に置き、前記半導体基板と前記窒化膜との間に第1酸窒化層を形成するとともに前記窒化膜の表面に第2酸窒化層を形成する工程と、を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、絶縁膜を形成する際の界面欠陥の生成を抑制するとともに、生成された欠陥を低減させることができる。
本発明の実施形態を説明する前に、本発明に至った経緯を説明する。
本発明者達は、SiON膜の界面特性、信頼性が劣化する原因が、SiON膜の界面にはSiO膜の場合に比べてPセンターと呼称される欠陥に起因するSi−H結合が出来やすいことにあることを突き止めた。Pセンターとは、絶縁膜とSiとの界面に存在する欠陥(フリーのSp3軌道)のことである(例えば、K. Kato, et al., Phys.Rev.B73, (2006) 073302参照)。このPセンターは、Siの結合手が一本切れた状態(・Si−Si)であり、Si(111)の場合にはほぼ一種類のタイプに分類されるが、Si(100)の場合には、図1(a)、1(b)に示すようにバックボンドの結合状態によってPb0センター(・Si−Si)、Pb1センター(・Si−SiO)と呼称される2種類のタイプが存在することが知られている。Pb0センターはSiの未結合手が[111]方向に存在し、Pb1センターはSiの未結合手が[211]方向に存在している。これらのPセンターは、Siのバンドギャップ中に準位を形成することが知られており、界面準位として機能すると考えられている。通常、HシンターによってPセンターはSi−H結合となって不活性となり、界面準位として機能しなくなるが、本発明者達の最近の研究によってPb0センター起因のSi−Hが駆動力劣化の原因に、そしてPb1センター起因のSi−Hが信頼性の劣化の原因になっていることがわかってきた。なお、図1(a)、1(b)において、水素終端後の電荷分布(帯電量)はSi原子1個の帯電量を1とした場合の相対値を示している。図1(a)、1(b)からわかるように、Si−H結合において、Si原子が正に、H原子が負にチャージアップされ、大きなダイポールが形成されている。
次に、SiO膜とSiとの界面のPb0センターを水素で終端してSi−H結合を形成した場合の駆動力(相互コンダクタンスGm)と、Pb0センターに起因するSi−H結合密度との測定結果を図2に示す。Si−H結合密度が高くなるとともに相互コンダクタンスGmが低下していることがわかる。これはSi−H結合がダイポールを形成してキャリアの散乱源となり、駆動力を低下させることを意味している。
一方、Pb1センターを水素で終端してSi−H結合を形成したSiO膜をゲート絶縁膜とするpMOSトランジスタを作製し、このpMOSトランジスタのSiO膜にストレス電圧を印加したときのしきい値電圧Vthの劣化量ΔVthと、Si−H結合密度との測定結果を図3に示す。ストレス電圧の印加条件は、雰囲気の設定温度が105℃であり、10MV/cmのストレス電圧を1000秒印加した。図3からわかるように、Si−H結合密度が高くなるとともに劣化量ΔVthが増大していることがわかる。これは負バイアス印加時におけるPb1センター起因のSi−H結合の不安定性がNBTI(Negative Bias Temperature Instability)特性を劣化させることを意味している。
そして、SiON膜の界面にはSiO膜に比べてPセンターが多く存在するために、同じ界面準位密度の場合でも(Hシンターによって同じ界面準位密度にしたとしても)Si−H結合が必然的に多く存在することになり、結果として駆動力、信頼性が劣化するのである。
以上の説明から、SiON膜の界面に存在するPセンターを低減させることがSiON膜の界面特性を改善するために必要であると考えられる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
本発明の各実施形態による半導体装置の製造方法は、窒素導入による欠陥生成を抑え、かつ、生成された欠陥を酸化によって低減するものである。
本発明者達は、SiON膜とSiとの界面の中のPセンターの生成を極力抑えるための第一段階として、SiON膜を形成する際に、シリコン(Si)と窒素(N)との結合状態が安定となる三配位結合が形成されたシリコン窒化膜を先に作ればよいことを発見した。
そこで、シリコンと窒素との結合状態が安定となる三配位結合が形成されたシリコン窒化膜を形成する方法を第1乃至第2実施形態として説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による半導体装置の製造方法を、図4および図5を参照して説明する。図4は、本実施形態による半導体装置の製造方法の製造工程を示すフローチャートであり、図5は本実施形態の製造方法によって製造された半導体装置の断面図である。
本実施形態による半導体装置の製造方法は、シリコン基板2上にシリコン窒化膜を形成する際に、窒化ガスNHに希釈ガスとしてNガスを混ぜることによって従来よりも界面欠陥(Pセンター)の少ないシリコン窒化膜4を形成するものである。
本実施形態の製造方法は、まず、シリコン基板2を希HF処理することにより、シリコン基板2の表面を水素により終端化する(図4、ステップS1)。その後、このシリコン基板2を成膜装置のチャンバー内に置く(図4、ステップS2)。
続いて、チャンバー内の雰囲気を、製造プロセス中にシリコンと反応もしくはエッチングしないガス(例えば、窒素ガス)のみにした後、シリコン基板2の温度を700℃にまで上げ、シリコン基板2から水素を完全に離脱させる(図4、ステップS3)。
次に、チャンバー内の雰囲気を、例えば分圧30TorrのNガス、分圧0.03TorrのNHガスとし、シリコン基板2の表面を700℃に設定して100秒間維持することにより、シリコン基板2上にシリコン窒化膜4を形成する(図4のステップS4、図5)。
次に、窒化ガス(NH)に窒素ガス(N)を混入すること、すなわちNHガスをNガスで希釈することの効果について説明する。
図6に、Nガスで希釈することによるシリコン窒化膜の表面粗さの変化を示す。図6の横軸は、Nガスの希釈比(=[N+NH]/NH)、すなわちNガスの分圧とNHガスの分圧との和と、NHガスの分圧との比(N分子の数とNH分子の数との和と、NH分子の数との比)を表し、縦軸はシリコン基板2上に形成されたシリコン窒化膜4の表面の二乗平均平方根粗さ(RMS)を表している。図6からわかるように、N希釈比(=[N+NH]/NH)を大きくすることにより表面粗さが小さくなり、滑らかな表面が形成されていることがわかる。
また、図7に、Nガスで希釈することによるシリコン窒化膜4中の窒素(N)の結合状態の変化を光電子分光法(XPS(X-ray Photoelectron Spectroscopy))で測定した結果を示す。図7の横軸はシリコン窒化膜4中の窒素(N)が1s状態の場合の結合エネルギーを表し、縦軸はその結合エネルギーを有する窒素の単位体積当たりの個数を表している。なお、図7においては、窒素原子の個数が最大となる結合エネルギー397.75eVにおける、窒素原子の個数はN希釈比によらず同一の値となるように正規化されている。
窒素原子の個数が最大となる結合エネルギー397.75eVより低い結合エネルギーを有する窒素の個数は、N希釈比を1、5、10と変化させてもほとんど変化しない。しかし、N希釈比を1、5、10と大きくするにつれて、398eVから399eVの範囲の結合エネルギーを有する窒素の個数は少なくなっていることがわかる。すなわち、N希釈比を1、5、10と大きくするにつれて、窒化シリコン膜中の窒素の1s状態のエネルギーは、397.75eVに収斂していることになる。398eVから399eVの範囲の結合エネルギーを有する窒素は結合が二配位結合状態もしくは準安定な擬似三配位状態にあり、397.75eVの結合エネルギーを有する窒素は結合がより安定な三配位結合状態にある。
したがって、図7に示す実験結果から、N希釈比を大きくするにつれて、結合がより安定な三配位結合状態となる窒素が多くなり、結合状態がさらに安定なシリコン窒化膜が形成されることがわかる。
結合状態がより安定になっていることは、酸化による表面粗さの変化にも現れている。
図8に、N希釈比を変えて形成したシリコン窒化膜を酸化した場合の表面粗さRMSの変化を示す。希釈ガス(N)で希釈して形成したシリコン窒化膜は、N希釈比が大きくなるにつれて、酸化前と酸化後の表面粗さの差が縮小し、酸化後であっても酸化前とほぼ同じ程度の粗さとなる。すなわち、希釈ガス(N)で希釈してシリコン窒化膜を形成することにより、酸化による表面粗さの劣化が抑えられている。つまり、酸化は、シリコン窒化膜の表面ではなく、シリコン基板とシリコン窒化膜との界面での反応が支配的である、ということをこの結果は示している。シリコン窒化膜の表面で酸化が起きにくいということは、シリコン窒化膜に到達した酸素が解離されにくい、つまり、酸素を解離する原因である不安定な格子間シリコン(Si)やダングリングボンドがシリコン窒化膜中、および表面、界面に少ないこと、そしてSi−O結合と同等の強さを有するシリコン窒化膜が形成されたことを意味している。
検証の結果、Nガスを含む希釈ガスを窒化ガスに混入してシリコン窒化膜を形成するメカニズムが次のとおりであることを本発明者達は発見した。
(1)シリコン基板表面に到達した希釈ガスは、シリコン表面を泳動しているシリコン原子と衝突し、シリコン原子の運動エネルギーを奪う。
(2)これにより、シリコン基板表面の原子の動きが準静的になる。
(3)窒素原子は基板表面のシリコンの第2原子層が一番安定な吸着サイトであるから(例えば、K. Kato, Y. Nakasaki, D. Matsushita, and K. Muraoka, Proc. 27th ICPS, 2004、参照)、第2原子層に集中的に吸着しつつ、ストレスによりシリコン原子が吐き出される。吐き出されたシリコン原子は表面を泳動するが、Nにより動きを奪われるためシリコン基板表面およびシリコン基板中まで拡散することは少なく、降ってきた窒化ガスNHと反応し、格子間シリコンの発生が抑えられる。
一方、表面シリコンの動きが激しい場合、第2原子層の深さは場所によってばらばらになる。窒素は凝集すると安定な結合を形成する性質を持つため、第2原子層の深さのばらつきは3次元的な島状の成長を発生させる。これらの島同士が融合することによって連続膜が形成されるため、島の境界においてはシリコン過多の領域が形成される。さらにシリコンの吐き出し、拡散も激しいため、シリコン窒化膜中および島の境界には多数の格子間シリコンが形成される。これらはシリコン窒化膜の形状の劣化、格子間シリコンの増加にともなうフラットバンド電圧のシフト、電気的特性の劣化を引き起こし、特に界面においては界面欠陥となり、駆動力の劣化、そして信頼性の劣化を引起す。
次に、窒化ガスをNガスで希釈することにより形成したシリコン窒化膜をゲート絶縁膜とするpチャネルMOSトランジスタを作成し、N希釈比を変えたときのpチャネルMOSトランジスタのフラットバンド電圧のシフト量ΔVfbの変化を測定し、その結果を図9に示す。N希釈を行うことにより、フラットバンド電圧のシフト量ΔVfbの絶対値が小さくなり、フラットバンド電圧のシフトが改善されていることがわかる。これは、N希釈を行うことにより格子間シリコンの発生が抑えられ、シリコン窒化膜中の固定電荷数、界面におけるPbセンターが低減したためである。
次に、Nガスの希釈比を1,2,5,10,100,1000,10000と変えかつ全圧を3Torr、10Torr、30Torr、60Torr、100Torr、300Torr、740Torrと変えて成膜したときの物理的膜厚0.9nmのシリコン窒化膜の屈折率を図10に示す。図10に示すデータから抜き出して、全圧が30Torr、100Torr、300Torrである場合の、Nガスの希釈比に対するシリコン窒化膜の屈折率の変化をグラフにしたものを図11に示す。屈折率は大気中で測定しているので、シリコン窒化膜の屈折率が高いほど、シリコン窒化膜が大気中で酸化されにくい性質、すなわち酸化耐性が高いことを意味する。これは、図12(a)、(b)に示すように、欠陥の少ない窒化膜は、欠陥の多い窒化膜に比べて、屈折率を測定するために大気に暴露したときの表面酸化量が少なく、このため屈折率が1.4であるSiOからなる酸化膜による屈折率の低下が少ないためである。この特性を利用することで、図11に示すように、チャンバー内の全圧を下げ、Nガスの希釈比を大きくすることによって酸化耐性が向上していることがわかる。特に、チャンバー内の全圧を30Torr以下、Nガスの希釈比(=[N+NH]/NH)を5以上にすれば、酸化耐性の向上は顕著となる。
次に、チャンバー内の全圧とNガスの希釈比との関係について述べる。図13にチャンバー内の全圧とNガスの希釈比[=(N+NH)/NH]を変化させて形成した窒化膜の屈折率を測定した結果について示す。希釈比が5以上、かつ全圧が40Torr以下となる領域(図13で破線で囲む領域)で屈折率が急激に上昇している(色が白くなっている)ことが分かる。この結果は、希釈比が高く、全圧が低いほど窒化膜が酸化されにくくなる、すなわち三配位密度が高く、酸化耐性の高い高品質な窒化膜が形成されることを示している。したがって、希釈比が5以上、かつ全圧が40Torr以下の領域で窒化を行うことで、高品質な窒化膜を形成することが可能となる。特に、全圧30Torr以下、希釈比を5以上とすることによって、より高品質な窒化膜を形成することができる。
なお、窒化ガスにNH等を用いる熱窒化の場合、全圧の下限は3Torr以上であることが好ましく、より好ましくは5Torr以上である。全圧の下限は、本実施形態で用いられる熱工程における装置の圧力限界である。
また、希釈比の上限は現状の生産装置のマスフローコントローラで制御できる最大流量と最小流量の比の限界となる10000倍である。
希釈比が5以上、かつ全圧が40Torr以下の領域で窒化膜が高品質化される理由は、以下の通りである。前述したように、窒素原子は基板表面のシリコンの第2原子層が一番安定な吸着サイトであり、第2原子層に集中的に吸着しつつ、ストレスによりシリコン原子が吐き出される。吐き出されたシリコン原子は表面を泳動するが、Nにより動きを奪われるためシリコン基板表面およびシリコン基板中まで拡散することは少なく、降ってきた窒化ガスNHと反応し、格子間シリコンの発生が抑えられるわけである。しかし、さらに全圧が低い場合には、表面に到達してSiに衝突する原子・分子が減少するため、吐き出されたシリコン原子は押し込まれる機会が少なくなり、さらに基板中まで拡散しにくくなる。すなわち、希釈比を5以上にすることによって、吐き出されたSiが動きを奪われる(格子間シリコンとなる可能性が下げられる)効果が顕著に現れ、さらに全圧を40Torr以下に下げることによって、吐き出されたSiを押し込む機会を下げる(格子間シリコン、界面欠陥となる可能性が下げられる)効果が顕著に現れるのである。したがって、希釈比を5以上にすることが望ましく、さらに全圧を40Torr以下にすることによってさらなる効果を望むことが出来るのである。つまり、圧力はSiの押し込みを少なくするために、希釈比はSiの動きを奪うために重要なのである。
以上述べたことから、本実施形態において、チャンバー内の全圧を下げるだけでなく、N希釈比を大きくすることにより、シリコン窒化膜、シリコン窒化膜/Si界面の改善を図ることができる。また、チャンバー内の全圧を40Torr以下、N希釈比(=[N+NH]/NH)を5以上にすることによってさらに高品質なシリコン窒化膜、シリコン窒化膜/Si界面を形成することができる。特に、チャンバー内の全圧を30Torr以下、N希釈比(=[N+NH]/NH)を5以上にすることによって顕著な効果が発現し、より高品質なシリコン窒化膜、シリコン窒化膜/Si界面を形成することができる。
なお、チャンバー内の全圧を40Torr以下または30Torr以下、N希釈比(=[N+NH]/NH)を5以上にすることは後述する他の実施形態においても適用することができ、同様の効果を得ることができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、窒化ガスと同時に希釈ガスを流すことによって、膜中欠陥、界面欠陥の少ないシリコン窒化膜を形成することができる。
なお、本実施形態においては、希釈ガスの一例としてNガスを用いたが、製造プロセス中に実質的にシリコンと反応もしくはエッチングしないガス、例えばシリコンと質量が近く、かつ安定なガス、例えばArを用いても良い。
また、本実施形態においては、窒化ガスとしてNHを用いたが、シリコンの窒化が可能なガス、例えば、窒素(N)のラジカルN、またはN を用いても良い。
また、本実施形態においては、窒化ガスの分圧は0.03Torrとしたが、0.03Torr以外の圧力でも良く、より低いことが望ましい。また、希釈ガスの分圧は30Torrとしたが、希釈ガスの分圧と窒化ガスの分圧の和と、窒化ガスの分圧との比が5以上であることが好ましい。
また、本実施形態においては、三配位結合状態のシリコン窒化膜を形成する際の雰囲気の温度は、700℃であったが、500℃以上850℃以下であってもよい。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態による半導体装置の製造方法を、図14を参照して説明する。図14は、本実施形態の製造方法の製造工程を示すフローチャートである。本実施形態の半導体装置の製造方法は、第1実施形態の製造方法において、希釈ガスとしてNガスのほかに更にHeガスを用いた製造方法である。
まず、シリコン基板を希HF処理し、シリコン基板の表面を水素により終端化する(図14、ステップS11)。その後、このシリコン基板を成膜装置のチャンバーに置く(図14、ステップS12)。
続いて、チャンバー内の雰囲気を、製造プロセス中にシリコンと反応もしくはエッチングしないガス(例えば、窒素ガス)のみにした後、シリコン基板の温度を700℃にまで上げ、シリコン基板から水素を完全に離脱させる(図14、ステップS13)。
次に、チャンバー内の雰囲気を、例えば分圧15TorrのN、分圧15TorrのHe、分圧0.03TorrのNHとし、シリコン基板の表面を700℃に設定して100秒間維持する(図14、ステップS14)。これにより、第1実施形態の場合と同様に図5に示すように、シリコン基板2上にシリコン窒化膜4が形成される。
次に、シリコン窒化膜を成膜する際に、窒化ガスNHをNガスとヘリウム(He)ガスで希釈した場合の、フラットバンド電圧のシフト量ΔVfbの変化を図15に示す。
なお、図15は、横軸がNガスの希釈比(=[N+NH]/NH)、すなわちNガスの分圧とNHガスの分圧との和と、NHガスの分圧との比を表し、縦軸がフラットバンド電圧のシフト量ΔVfbを表し、Heガスの分圧を15Torr、NHガスの分圧を15Torrに保ったままNガスの分圧を変化させた場合と、ヘリウム(He)ガスを混入しないでNガスの分圧を変化させた場合の、フラットバンド電圧のシフト量ΔVfbの変化をそれぞれ示している。図15から、NガスとHeガスで希釈を行うことにより、Nガスのみで希釈を行う場合に比べて、フラットバンド電圧のシフト量ΔVfbがより改善されていることがわかる。これは、ヘリウム(He)がクエンチ効果により、シリコン基板とシリコン窒化膜の界面の原子振動エネルギーを奪うためシリコン窒化膜とシリコン基板との界面近傍のSi−N結合、Si−Si結合の熱による切断を防ぎ、界面におけるPセンターの発生を抑えているためである。
次に、シリコン窒化膜を成膜する際に、窒化ガスをNガスとHeガスで希釈した場合の界面準位密度の変化を図16に示す。この図16は、横軸がNガスの希釈比(=[N+NH]/NH)、すなわちNガスの分圧とNHガスの分圧との和と、NHガスの分圧との比を表し、縦軸がシリコン基板とシリコン窒化膜との界面準位密度を表し、Heガスの分圧を15Torr、NHガスの分圧を0.03Torrに保ったままNガスの分圧を変化させた場合と、ヘリウム(He)ガスを混入しないでNガスの分圧を変化させた場合の、界面準位密度の変化を示す。図16から、NガスとHeガスで希釈を行うことにより、Nガスのみで希釈を行う場合に比べて界面準位密度が低減されていることがわかる。これは、先述したようにHeがシリコン窒化膜とシリコン基板との界面近傍のSi−N結合、Si−Si結合の熱エネルギーを奪うことで、熱による結合の切断を防ぎ、界面におけるPセンターの発生を抑えるためである。
次に、シリコン窒化膜を成膜する際に、NガスとHeガスで希釈した場合の、絶縁性の変化を図15に示す。図17は、横軸がNガスの希釈比(=[N+NH]/NH)、すなわちNガスの分圧とNHガスの分圧との和と、NHガスの分圧との比を表し、縦軸が同じEOTのシリコン酸化膜に対して、リーク電流Jが低減した桁数を表し、Heガスの分圧を15Torr、NHガスの分圧を0.03Torrに保ったままNガスの分圧を変化させた場合と、ヘリウム(He)ガスを混入しないでNガスの分圧を変化させた場合に、同じEOTのシリコン酸化膜に対して、どのくらいリーク電流Jが低減できているかを示す。図17から、Nガスのみで希釈した物理的膜厚2nmのシリコン窒化膜に比べ、NガスとHeガスで希釈することにより、リーク電流の低減する桁数が大きくなり、絶縁性が向上していることがわかる。これは、NガスとHeガスで希釈を行うことにより格子間Si、及び界面におけるPセンターの発生が抑えられ、欠陥を介したリーク電流が低減したためである。
以上説明したように、本実施形態によれば、窒化ガスととともに希釈ガスとしてNガスとHeガスとを流すことによって、欠陥の少ないシリコン窒化膜を形成することができる。また、本実施形態によれば、EOTがより小さく、かつ電気特性に優れたシリコン窒化膜を形成することができる。
なお、本実施形態においては、希釈ガスの一例としてNガスおよびHeガスを用いたが、Heガスと、シリコンと質量が近くかつ安定なガス、例えばアルゴン(Ar)ガスとの混合ガスを用いても良い。なお、希釈ガスとしては、製造プロセス中にシリコンと反応、もしくはエッチングすることがないガスを用いることができる。また、シリコンとシリコン窒化膜との界面の原子振動エネルギーに近い固有振動エネルギーを有するガスを用いれば、成膜中にシリコンとシリコン窒化膜との界面の原子振動エネルギーを奪うことが可能となり、より高品質のシリコン窒化膜を得ることができる。
また、本実施形態においては、窒化ガスとしてNHガスを用いたが、シリコンの窒化が可能なガス、例えば、窒素のラジカルN、またはN を用いても良い。
また、本実施形態においては、窒化ガスの分圧は0.03Torrとしたが、0.03Torr以外の圧力でも良く、より低いことが望ましい。また、希釈ガスの分圧は30Torrとしたが、第1実施形態と同様に、希釈ガスの分圧と窒化ガスの分圧の和と、窒化ガスの分圧との比が5以上であることが好ましい。
また、本実施形態においては、三配位結合状態のシリコン窒化膜を形成する際の雰囲気の温度は、700℃であったが、500℃以上850℃以下であってもよい。
次に、本発明者達は、SiON膜とSiとの界面のPセンターの生成を極力抑えるための第二段階として、シリコン窒化膜を酸化してSiON膜を形成する際に、酸化ガスとして窒化膜中で酸素ラジカルを形成し易いガス、特にNOを用いることが良いことを発見した。
そこで、シリコン窒化膜とSiとの界面に形成されたPセンターを効果的に低減する方法を第3乃至第8実施形態として説明する。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態による半導体装置の製造方法を、図18乃至図19(c)を参照して説明する。図18は本実施形態による半導体装置の製造方法の製造工程を示すフローチャート、および断面図であり、図19(a)乃至19(c)は本実施形態の製造方法によって製造される半導体装置の断面図である。本実施形態による半導体装置の製造方法は、酸化ガスとして窒化膜中で酸素ラジカルを形成し易いガス、特にNOを用いることによって、シリコン基板上にシリコン窒化膜を形成した後の酸化工程において、シリコン窒化膜とシリコン基板との界面に酸素が含まれたシリコン酸窒化層もしくは酸化層を効率的に形成するものである。
まず、シリコン基板12を希HF処理し、シリコン基板12の表面を水素により終端化する(図18のステップS21)。その後、このシリコン基板12を成膜装置のチャンバーに置く(図18のステップS22、図19(a))。
続いて、チャンバー内の雰囲気を、製造プロセス中にシリコンと反応もしくはエッチングしないガス(例えば、窒素ガス)のみにした後、シリコン基板12の温度を700℃にまで上げ、シリコン基板12から水素を完全に離脱させる(図18のステップS23)。
次に、チャンバー内の雰囲気を、例えば分圧30TorrのN、分圧0.03TorrのNHとし、シリコン基板12の表面を700℃にして100秒間維持する(図18のステップS24)。これにより、シリコン基板12上にシリコン窒化膜14が形成される(図19(b))。
次に、シリコン基板12の温度を850℃まで上昇させてそのまま保持する(図18のステップS25)。
続いて、シリコン基板12の温度を850℃に保持したまま、チャンバー内の雰囲気を、例えば分圧35TorrのNOと、シリコン基板12と反応しない分圧35TorrのNとの混合ガスとし、300秒間維持する(図18のステップS26)。これにより、シリコン基板12とシリコン窒化膜14との間に酸素が含まれたシリコン酸窒化層15が、シリコン窒化膜14の表面に酸素が含まれたシリコン酸窒化層16が形成される(図19(c))。すなわち、シリコン基板12上に、シリコン酸窒化層15と、シリコン窒化膜14と、シリコン酸窒化層16とからなるシリコン酸窒化膜13が形成される。
次に、酸化ガスとしてNOを使用する効果について説明する。図20に、酸化温度、全圧、分圧は同じであるが、酸化ガスとしてNOを用いて酸化した場合と、Oを用いて酸化した場合の、シリコン基板12上に形成された、シリコン酸窒化層15と、シリコン窒化膜14と、シリコン酸窒化層16とからなるシリコン酸窒化膜13中の酸素分布を示す。図20の横軸はシリコン基板12とシリコン酸窒化膜13との界面からシリコン酸窒化膜13の表面までの膜厚方向の高さを表し、縦軸は酸素濃度を示す。図20からわかるように、NOを用いて酸化を行うことにより、シリコン基板の界面側において、酸素が分布している領域が増加するとともに酸素濃度が増加している。一方、シリコン酸窒化膜13の表面側においては酸素が分布している領域が減少し、酸素濃度も減少している。つまり、Oで酸化を行う場合に比べて、シリコン酸窒化膜13中の酸素分布がシリコン酸窒化膜13の表面側から、シリコン酸窒化膜13とシリコン基板12との界面側へシフトしていることがわかる。これは、シリコン窒化膜14中に欠陥が少ないためにシリコン窒化膜14中でO、NOを解離する機会が奪われていることに加え、NOの酸素を解離するための活性化エネルギーが小さいので、シリコン窒化膜14とシリコン基板12との界面で効率的に酸化が発生するためである。これによって、酸素が界面側に分布し、窒素が表面側に分布する、理想的な分布をもったシリコン酸窒化膜13を形成することが可能となる。
また、NOを用いて酸化することには次の効果も期待される。ESR(Electron Spin Resonance)法を用いて窒化膜とシリコンとの界面を酸化した場合の、界面の酸素濃度の変化に対する界面のPb0センター(Siの一本だけ結合の切れたダングリングボンド)の密度(界面準位に相当する)の変化を図21に示す。図21からわかるように、同じ界面酸素濃度であるにも関わらず、NOを用いて酸化した場合はOを用いて酸化した場合に比べてPセンターが少なくなっていることがわかる。これは酸素の解離に必要な活性化エネルギーが低いNOを用いることによって、酸素とSiが効率的に結合し、Pセンターの少ないSiO層がシリコン窒化膜14とSi基板12との界面に形成されたことを意味する。
本実施形態および後述する実施形態で用いる酸化ガスとしては、酸素原子の結合エネルギーが1eV〜4eVの範囲であることが好ましい。これは結合エネルギーが小さいほど解離のための活性化エネルギーが小さくて済み、よりPセンターを低減できるからである。しかし、小さすぎてもいけない。これは結合エネルギーが小さいとシリコン窒化膜中で容易に解離して反応し、シリコン窒化膜を酸化してしまい、効率的な界面の酸化が難しくなるからである。したがって、酸素原子の結合エネルギーが5.23eVのOよりは、酸素原子の結合エネルギーが3.82eVのNO 、3.14eVのNO、1.67eVのNO、1.02eVのOが好ましく、結合エネルギーが上記範囲に入る限りにおいてはO (Oラジカル)でも良い。
なお、上述したように、酸化ガスとして酸素原子の結合エネルギーが小さいガスを使用する場合、酸化の対象となる窒化膜は欠陥の少ない高品質な窒化膜であることが要求される。これは、窒化膜中に欠陥が多いと、その欠陥によって酸化ガスの酸素が解離され、窒化膜中で反応してしまうからである。膜厚は同じであるが、シリコン基板上に形成された欠陥の多い窒化膜(例えば、室温におけるプラズマ窒化によって形成した窒化膜)を酸化ガスOと酸化ガスNOとをそれぞれ用いて同じ酸素原子量で酸化した場合の窒化膜中の酸素プロファイルを図55に示す。図55からわかるように、欠陥の多い窒化膜を酸化するのに酸化ガスとしてNOを用いた場合は、Oを用いる場合に比べて、表面および膜中を大いに酸化してしまっている。これは、NOの酸素原子の結合エネルギーがOのそれに比べて小さいために、欠陥によって容易に酸素原子が解離し、酸化反応が起きてしまうことに起因する。
これに対して、図20を参照して既に説明したように、欠陥の少ない高品質な窒化膜を酸化するのにNOを用いて酸化した場合は、Oを用いる場合に比べて、シリコン基板との界面を効果的に酸化することができる。したがって、酸素原子の結合エネルギーが小さい酸化ガスを用いて酸化する場合は、第1乃至第2実施形態および本実施形態で説明した欠陥の少ない高品質の窒化膜に対して行うことで、初めてその効果が発現することができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、絶縁膜を形成する際の界面欠陥の生成を抑制するとともに、生成された欠陥を低減させることができる。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態による半導体装置の製造方法を、図22および図19を参照して説明する。図22は本実施形態による半導体装置の製造方法の製造工程を示すフローチャートである。本実施形態による半導体装置の製造方法は、酸化ガスに希釈ガスを混ぜることによって、シリコン基板12上にシリコン窒化膜14を形成した後、酸化処理を行い、少なくとも、シリコン窒化膜14とシリコン基板12との界面に66at.%の酸素を含んだSiO層を含むシリコン酸窒化層15を形成するものである。
まず、シリコン基板12を希HF処理し、シリコン基板12の表面を水素により終端化する(図22のステップS31)。その後、このシリコン基板12を成膜装置のチャンバーに置く(図22のステップS32)。
続いて、チャンバー内の雰囲気を、製造プロセス中にシリコンと反応もしくはエッチングしないガス(例えば、窒素ガス)のみにした後、シリコン基板12の温度を700℃にまで上げ、シリコン基板から水素を完全に離脱させる(図22のステップS33、図19(a))。
次に、チャンバー内の雰囲気を、例えば分圧30TorrのN、分圧0.03TorrのNHとし、シリコン基板12の表面を700℃にして100秒間維持する(図22のステップS34)。これにより、シリコン基板12上にシリコン窒化膜14が形成される(図19(b))。
次に、シリコン基板12の温度を850℃まで上昇させてそのまま保持する(図22のステップS35)。
続いて、シリコン基板12の温度を850℃に保持したまま、チャンバー内の雰囲気を、例えば分圧35TorrのN、分圧0.7TorrのNOとし、300秒間維持する(図22のステップS36)。これにより、シリコン基板12とシリコン窒化膜14との間に酸素が含まれたシリコン酸窒化層15が、シリコン窒化膜14の表面に酸素が含まれたシリコン酸窒化層16が形成される(図19(c))。すなわち、シリコン基板12上に、シリコン酸窒化層15と、シリコン窒化膜14と、シリコン酸窒化層16とからなるシリコン酸窒化膜13が形成される。
次に、酸化ガスNOをNで希釈することの効果について説明する。図23に、Nで希釈した場合(分圧35TorrのNと、分圧0.7TorrのNOの場合)と、希釈しない場合(全圧35TorrのNOの場合)の、シリコン基板12上に形成された、シリコン酸窒化層15と、シリコン窒化膜14と、シリコン酸窒化層16とからなるシリコン酸窒化膜13中の酸素分布を示す。図23の横軸はシリコン基板12とシリコン酸窒化膜13との界面からシリコン酸窒化膜13の表面までの膜厚方向の高さを表し、縦軸は酸素濃度を示す。図23からわかるように、N希釈を行うことにより、シリコン基板12との界面側において、酸素が分布している領域が増加するとともに酸素濃度が増加し、66at.%に到達している。一方、シリコン酸窒化膜13の表面側においては酸素が分布している領域が減少し、酸素濃度も減少している。つまり、希釈を行わない場合に比べて、シリコン酸窒化膜13中の酸素分布がシリコン酸窒化膜13の表面側から、シリコン酸窒化膜13とシリコン基板12との界面側へシフトし、効率的に界面が酸化されていることがわかる。これは希釈ガスであるNがシリコン窒化膜14の表面の原子の熱を奪うために、表面で酸素が解離吸着しにくくなったためである。一方、シリコン窒化膜14中は加熱されているため、NOを解離し反応が進む。これによって、酸素が界面側に分布し、窒素が表面側に分布する、理想的な分布をもったシリコン酸窒化膜13を形成することが可能となる。
次に、酸化ガスNOをNで希釈し、その分圧を1Torr以下とすることの効果について説明する。図24に、分圧35TorrのNで、分圧がそれぞれ0.3Torr、0.7Torr、5TorrのNOを希釈した場合の、シリコン基板12上に形成された、シリコン酸窒化層15と、シリコン窒化膜14と、シリコン酸窒化層16とからなるシリコン酸窒化膜13のストレス電圧印加時間と、そのときのしきい値電圧のシフト量(NBTI特性)の観察結果を示す。どの場合も界面には66at.%の酸素原子が存在するように形成してある。印加電圧は10MV/cm、設定温度は105℃であった。図24では、加速試験で10年後に相当するストレス状況下において発生する、しきい値電圧Vthのシフト量を示している。
図24からわかるように、希釈したNO雰囲気中で酸化することによって、しきい値電圧Vthのシフト量が小さくなることがわかる。特に、1Torr以下とすることによってシフト量ΔVthが0.1以下にまで大きく改善され、圧力によらず非常に高い信頼性が得られることがわかる。これは希釈ガスであるNがシリコン窒化膜13の表面の原子の熱を奪うために、表面で酸素が解離吸着しにくくなったためである。一方、シリコン窒化膜中は加熱されているため、NOを解離し反応が進む。これによって、酸素が界面側に分布し、窒素が表面側に分布する、理想的な分布をもったシリコン酸窒化膜を形成することが可能になるとともに、界面に生成したPセンターを効率的に低減させることが可能になるのである。すなわち、上記の各実施形態で説明した技術、すなわち希釈されたNOガスを用いて窒化膜を形成する技術を用いることによって、欠陥が少なくて信頼性が高く、かつ窒素が高濃度のSiON膜を形成することが可能である。
次に、NOを用いた酸化を750℃以上900℃以下の温度で行うことの効果について説明する。図25に、分圧35TorrのNと、分圧0.7TorrのNOとからなる雰囲気において、850℃で酸化した場合と950℃で酸化した場合の、シリコン基板12上に形成された、シリコン酸窒化層15と、シリコン窒化膜14と、シリコン酸窒化層16とからなるシリコン酸窒化膜13中の酸素分布を示す。図25の横軸はシリコン基板12とシリコン酸窒化膜13との界面からシリコン酸窒化膜13の表面までの膜厚方向の高さを表し、縦軸は酸素濃度を示す。膜中の平均酸素濃度は、850℃で酸化した場合と950℃で酸化した場合で同じとなっている。
図25からわかるように、950℃で酸化する場合は、850℃で酸化する場合に比べて、シリコン基板12との界面側において、酸素が分布している領域が減少し、逆にシリコン窒化膜14中の酸素濃度が増加しており、界面の効率的な酸化が行われていないことがわかる。つまり、NOを用いて酸化する場合、950℃以上の高温で酸化することは逆にデメリットとなる。これはNOの酸素解離の活性化エネルギーが小さいために、熱によるエネルギーが与えられると急激にNOが解離しやすくなり、表面、シリコン窒化膜14中で酸化を起こしてしまうことに起因する。したがって、900℃以下の温度で酸化することによって、シリコン窒化膜中での解離を抑え、シリコン窒化膜14とSi基板12との界面での効率的な酸化を実現することができるのである。
また、NOの酸化温度と、形成されたSiON膜のpMOSのしきい値電圧のシフト量ΔVfbとの関係を図26に示す。膜中の平均酸素濃度はほぼ同じである。図26からわかるように、750℃以上900℃以下の温度で酸化することによって、pMOSのシフト量ΔVfbが−0.2V以下にまで低減されることがわかる。なお、シフト量ΔVfbが−0.2Vの時は、上記の印加電圧10MV/cm、設定温度105℃の時のしきい値電圧Vthの10年後のシフト量が図25に示すように0.1V以下と良好な特性を示すことを確認しており、非常に高い信頼性が得られることがわかった。
一方、750℃未満であると改善が鈍いのは、温度が足りず、界面の酸化、膜中の酸化が起きにくいためである。また、950℃を超えると改善が鈍いのは、NOの酸素解離の活性化エネルギーが小さいために、熱によるエネルギーが与えられると急激にNOが解離しやすくなり、表面、膜中で酸化を起こしてしまうことに起因する。
したがって、750℃以上900℃以下の温度で酸化することによって、膜中での解離を抑え、シリコン窒化膜とSiとの界面での効率的な酸化を実現し、欠陥が少なくて信頼性が高く、かつ窒素が高濃度のSiON膜を形成することができるのである。
次に、(1)N希釈を行わず、酸化ガスNOのみを用いて形成した物理的膜厚2nmのシリコン酸窒化膜と、(2)本実施形態のように、酸化ガスNOを希釈ガスNで希釈を行って形成した物理的膜厚2nmのシリコン酸窒化膜とをそれぞれゲート絶縁膜とするpチャネルMOSトランジスタを作成し、これらのpチャネルMOSトランジスタのフラットバンド電圧のシフト量ΔVfbを比較した結果を図27に示す。N希釈を行った場合(2)は、N希釈を行わない場合(1)に比べると、フラットバンド電圧のシフト量ΔVfbの絶対値が小さくなり、フラットバンド電圧のシフトが改善されていることがわかる。これは、シリコン酸窒化膜13を形成する前に、欠陥(格子間シリコンや界面Pセンター等)の少ないシリコン窒化膜14を形成したことと、さらに酸化ガスNOを希釈ガスNで希釈を行うことにより、表面の酸化が抑えられるとともに界面がしっかりと酸化され、窒素がシリコン酸窒化膜13の表面寄りの、つまり電荷分布がシリコン酸窒化膜13の表面寄りの理想的な窒素分布が形成できたことに起因する。
以上説明したように、酸化ガスNOと同時に希釈ガスNを流すことによって、界面が優先的に酸化されたシリコン酸窒化膜を形成することが可能となり、EOTがより小さく、かつ電気的特性に優れたシリコン酸窒化膜を形成できる。
なお、本実施形態においては、希釈ガスの一例としてNガスを用いたが、製造プロセス中に実質的にシリコンと反応もしくはエッチングしないガス、例えばシリコンと質量が近く、かつ安定なガス、例えばArを用いても良い。
また、本実施形態においては、窒化ガスとしてNHを用いたが、シリコンの窒化が可能なガス、例えば、窒素(N)のラジカルNを、N を用いても良い。
また、本実施形態においては、窒化ガスの分圧は0.03Torrとしたが、0.03Torr以外の圧力でも良く、より低いことが望ましい。また、希釈ガスの分圧は30Torrとしたが、第1実施形態と同様に、希釈ガスの分圧と窒化ガスの分圧の和と、窒化ガスの分圧との比が5以上であることが好ましい。
また、本実施形態においては、シリコン窒化膜14を形成する際の雰囲気の温度は、700℃であったが、500℃以上850℃以下であってもよい。
また、本実施形態においては、酸化ガスとしてNOを用いたが、他のSiの酸化が可能なガス、例えばNO、O、O、NO、NO 、または酸素ラジカルO を用いても良い。
また、本実施形態においては、酸化時の希釈ガスはNであったが、製造中にシリコンと実質的に反応またはエッチングしないガスを用いてもよい。また、希釈ガスの分圧は35Torrとしたが、35Torr以外の圧力でも良い。
また、本実施形態においては、シリコン酸窒化膜を形成する際の雰囲気の温度は、850℃であったが、750℃以上900℃以下であってもよい。
以上詳述したように本発明の各実施形態によれば、絶縁膜を形成する際の欠陥の生成を抑制することができ、かつ、生成した欠陥を低減することができる。これによってEOTがより小さく、電気的特性に優れた絶縁膜を得ることができる。
また、第1乃至第3実施形態の製造方法によって製造された絶縁膜は、窒素濃度が高く、誘電率が高く、EOTがより小さく、かつフラットバンド電圧Vfbのシフトが小さいので、高誘電率絶縁膜のバッファー膜としてだけではなく、ゲート絶縁膜としても用いることができる。
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態による半導体装置を説明する。本実施形態の半導体装置は、FG(フローティングゲート)型の不揮発性半導体メモリであって、複数のメモリセルを備えている。本実施形態によるメモリセルの製造方法について図28(a)乃至図35(b)を参照して説明する。図28(a)乃至図35(b)においては、各図の(a)と図の(b)は互いに直交する断面を示している。
まず、図28(a)、28(b)に示すように、所望の不純物をドーピングしたシリコン基板1を希HF処理し、シリコン基板32の表面を水素により終端化する。その後、このシリコン基板32を成膜装置のチャンバーに置く。続いて、チャンバー内の雰囲気を、製造プロセス中にシリコンと反応もしくはエッチングしないガス(例えば、窒素ガス)のみにした後、シリコン基板の温度を700℃にまで上げ、シリコン基板32から水素を完全に脱離させる。
次に、チャンバー内の雰囲気を、例えば分圧30TorrのN、分圧0.03TorrのNHとし、シリコン基板の表面を700℃にして100秒間維持する。これにより、図29(a)、29(b)に示すように、シリコン基板32上にシリコン窒化膜34aが形成される。次に、シリコン基板32の温度を850℃まで上昇させてそのまま保持する。続いて、シリコン基板32の温度を850℃に保持したまま、チャンバー内の雰囲気を、例えば分圧35TorrのNおよび分圧0.7TorrのNOとし、300秒間維持する。これにより、図30(a)、30(b)に示すように、シリコン基板32とシリコン窒化膜34aの間に酸素が含まれたシリコン酸窒化層34bが、シリコン窒化膜34aの表面に酸素が含まれたシリコン酸窒化層34cが形成され、シリコン酸窒化層34b、シリコン窒化膜34a、シリコン酸窒化層34cから成るトンネル絶縁膜34が形成される。このようにして形成されたトンネル絶縁膜34は、第1乃至第3実施形態で説明したように、欠陥の少ない酸窒化膜となる。
その後、浮遊ゲート電極となる厚さ60nmのリンドープの多結晶シリコン層36、素子分離加工のためのマスク材37を順次、CVD(Chemical Vapor Deposition)法で堆積した。その後、レジストマスク(図示せず)を用いたRIE(Reactive Ion Etching)法により、マスク材37、多結晶シリコン層36、トンネル絶縁膜34を順次エッチング加工し、さらにシリコン基板32の露出領域をエッチングして、深さ100nmの素子分離溝38を形成した(図31(a)、31(b))。
次に、全面に素子分離用のシリコン酸化膜39を堆積して、素子分離溝38を完全に埋め込み、その後、表面部分のシリコン酸化膜39をCMP(Chemical Mechanical Polishing)法で除去して、表面を平坦化した。このとき、マスク材37が露出する(図32(a)、32(b))。
次に、露出したマスク材37を選択的にエッチング除去した後、シリコン酸化膜39の露出表面を希フッ酸溶液でエッチング除去し、多結晶シリコン層36の側面40の一部を露出させた。その後、全面に電極間絶縁膜となる厚さ15nmのアルミナ膜をALD(Atomic Layer Deposition)法で堆積した。このとき、ALD法での成膜時の酸化剤により、アルミナ膜と多結晶シリコン層36の界面には、極薄のシリコン酸化層が形成され、アルミナ膜/シリコン酸化層からなる2層構造の厚さ16nmの電極間絶縁膜41が形成された(図33(a)、33(b))。
次に、コントロールゲート電極となるタングステンシリサイド層/多結晶シリコン層からなる2層構造の厚さ100nmの導電層42をCVD法で順次堆積し、さらに、マスク材43をCVD法で堆積した。その後、レジストマスク(図示せず)を用いたRIE法により、マスク材43、導電層42、電極間絶縁膜41、多結晶シリコン層36、トンネル絶縁膜34を順次エッチング加工して、ワード線方向のスリット部44を形成した。これにより、フローティングゲート電極となる多結晶シリコン層36およびコントロールゲート電極となる導電層42の形状が確定する(図34(a)、34(b))。
最後に、露出面に電極側壁酸化膜と呼ばれるシリコン酸化膜45を熱酸化法で形成後、イオン注入法を用いてソース/ドレイン拡散層47を形成し、さらに、全面を覆うように層間絶縁膜49をCVD法で形成した。その後は、周知の方法で配線層等を形成して不揮発性メモリセルが完成する(図35(a)、35(b))。
図36に、酸化条件によるSILC(Stress Induced Leakage Current)特性の差異について、そして図37にそれぞれの界面に存在するPb1センター起因のSi−H結合の面密度を示す。横軸はゲート電圧Vとフラットバンド電圧VFBとの差(V−VFB)をゲート絶縁膜の電気的実効膜厚Teffで割った値を表し、縦軸はリーク電流Jgを表す。横軸(V−VFB)/Teffは絶縁膜に印加された電界を示している。このようにしたのは、絶縁膜中の固定電荷の影響を排除し、純粋に絶縁膜に印加されている電界強度で絶縁性を比較するためである。なぜならVFBは膜中固定電荷量に応じてシフトするため、ゲート電圧Vだけで比較した場合、絶縁膜に印加されている電界を誤って見積もることになるからである。シリコン窒化膜とSi基板との界面を、Oを用いて酸化した場合よりも、NOを用いて酸化することによって、Pb1センター起因のSi−H結合が減少するとともに、低電圧域でのリーク電流が急激に減少していることが分かる。
そして、SILC特性の変化による、メモリセルの電荷保持特性を図38に示す。横軸は時間Tを表し、縦軸はリーク電流Jgの変化ΔJgを表す。高品質な窒化膜を形成し、かつ界面を、酸化ガスNOを用いて酸化することによって低電圧ストレス下でのリーク電流が減少し、電荷保持特性が大幅に向上していることが分かる。これらの結果は、SiとNのネットワークをしっかりと形成すること、そして界面にできた欠陥を、NOを用いた酸化によって低減することによって、書き込み/消去時の欠陥の発生が抑えられ、界面およびバルク中のリークパスの発生頻度が減少するためである。すなわち、本実施形態のFG型の不揮発性メモリは、トンネル絶縁膜としてFG向けの信頼性が高く窒素が高濃度のSiON膜を備えており、低電圧ストレス下でのリーク電流が減少するとともに電荷保持特性が大幅に向上することになる。
なお、電極間絶縁膜41としては、より高誘電率であるLaおよびAlを含む酸化物(例えばLaAlO)などを用いてもよい。
以上説明したように、本実施形態によれば、絶縁膜を形成する際の界面欠陥の生成を抑制するとともに、生成された欠陥を低減させることができる、高品質かつ高信頼なトンネル絶縁膜を有するFG型の不揮発性半導体メモリを得ることができる。
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態による半導体装置を説明する。本実施形態の半導体装置は、MONOS(Metal(金属)−Oxide(SiO2)−Nitride(Si3N4)−Oxide(SiO2)−Siの積層構造)型の不揮発性半導体メモリであって、複数のメモリセルを備えている。本実施形態によるメモリセルの製造方法について図39(a)乃至図43(b)を参照して説明する。図39(a)乃至図43(b)においては、各図の(a)と図の(b)は互いに直交する断面を示している。
まず、第5実施形態と同様のプロセスを用いて、シリコン基板32上にシリコン酸窒化層、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化層から成るトンネル絶縁膜34を形成する。このトンネル絶縁膜34も、第5実施形態の場合と同様に、欠陥の少ない窒化膜となる。その後、電荷蓄積層となる厚さ6nmの窒化膜52をCVD法で堆積し、素子分離加工のためのマスク材7を順次、CVD法で堆積した(図39(a))。その後、レジストマスク(図示せず)を用いたRIE法により、マスク材53、窒化膜52、トンネル絶縁膜34を順次エッチング加工し、さらにシリコン基板32の露出領域をエッチングして、図39(b)に示すように、深さ100nmの素子分離溝38を形成した。
次に、全面に素子分離用のシリコン酸化膜39を堆積して、素子分離溝38を完全に埋め込み、その後、表面部分のシリコン酸化膜39をCMP法で除去して、表面を平坦化した。このとき、マスク材53が露出する(図40(a)、40(b))。
次に、露出したマスク材53を選択的にエッチング除去した後、シリコン酸化膜39の露出表面を希フッ酸溶液でエッチング除去した。その後、全面に厚さ15nmのアルミナ膜をALD法で堆積した。このとき、ALD法での成膜時の酸化剤により、アルミナ膜と窒化膜52との界面には、極薄のシリコン酸化層が形成され、アルミナ膜/シリコン酸化層からなる2層構造の厚さ16nmの絶縁膜54が形成された(図41(a)、41(b))。
次に、コントロールゲート電極となるタングステンシリサイド層/多結晶シリコン層からなる2層構造の厚さ100nmの導電層56をCVD法で順次堆積し、さらに、マスク材57をCVD法で堆積した。その後、レジストマスク(図示せず)を用いたRIE法により、マスク材57、導電層56、絶縁膜54、電荷蓄積用窒化膜52、トンネル絶縁膜34を順次エッチング加工して、ワード線方向のスリット部44を形成した(図42(a)、42(b))。これにより、電荷蓄積層52およびコントロールゲート電極56の形状が確定する。
最後に、露出面に電極側壁酸化膜と呼ばれるシリコン酸化膜58を熱酸化法で形成後、イオン注入法を用いてソース/ドレイン拡散層59を形成し、さらに、全面を覆うように層間絶縁膜60をCVD法で形成した(図43(a)、43(b))。その後は、周知の方法で配線層等を形成して不揮発性メモリセルが完成する。
図44に、本実施形態の不揮発積メモリの一定電圧化における、ストレス時間と保持電荷量の変化によるしきい値電圧Vthのシフト量ΔVthの関係、つまりメモリセルの電荷保持特性について示している。欠陥の少ない高品質なシリコン窒化膜を形成し、かつ界面をNOで酸化して欠陥の少ないSiO膜とすることによって、蓄積電荷量の減少によるしきい値電圧のシフト量ΔVthが抑えられていることがわかる。これは電荷保持特性が大幅に向上したことを意味する。これらの結果は、SiとNのネットワークをしっかりと形成し、界面の欠陥を低減させることによって界面およびバルク中のリークパスが減少し、リーク電流が減少するためである。すなわち、本実施形態によるMONOS型不揮発性メモリは、トンネル絶縁膜として信頼性の高い窒素が高濃度のSiON膜を備えており、電荷保持特性が大幅に向上することができるとともにリーク電流を減少させることができる。
なお、絶縁膜54としては、より高誘電率であるLaおよびAlを含む酸化物(例えばLaAlO)などを用いてもよい。
以上説明したように、本実施形態によれば、絶縁膜を形成する際の界面欠陥の生成を抑制するとともに、生成された欠陥を低減させることができる、高品質かつ高信頼なトンネル絶縁膜を有するMONOS型の不揮発性半導体メモリを得ることができる。
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態による半導体装置を説明する。本実施形態の半導体装置は、CMISFETであって、その製造工程を図45(a)乃至図47(b)に示す。
まず、図45(a)に示すように、(100)面方位を持つシリコン基板61に素子分離領域62を形成し、その後、例えば、図45(b)に示すように厚さ50nmのSiO膜63を全面に被膜する。続いて、SiO膜63を介して、ボロンとインジウム両方の元素のイオン打ち込みを行うことにより、チャネルとして用いる領域64に急峻な不純物プロファイルを形成する(図45(c)参照)。
次に、図45(d)に示すように、SiO膜63をフッ化アンモニア溶液でエッチング除去した後、シリコン基板61の表面に希フッ酸処理を行い、基板61の表面を水素で終端化する。
次に、チャンバー内の雰囲気を、例えば分圧30TorrのN、分圧0.03TorrのNHとし、シリコン基板61の表面を700℃にして100秒間維持する。これにより、図45(e)に示すように、シリコン基板61上にシリコン窒化膜65aが形成される。
次に、シリコン基板の温度を850℃まで上昇させてそのまま保持する。続いて、シリコン基板61の温度を850℃に保持したまま、チャンバー内の雰囲気を、例えば分圧30TorrのN、分圧1TorrのNOとし、300秒間維持する。これにより、図46(a)に示すように、シリコン基板61とシリコン窒化膜65aとの間に酸素が含まれたシリコン酸窒化層65bが、シリコン窒化膜65aの表面に酸素が含まれたシリコン酸窒化層65cが形成され、シリコン酸窒化層65b、シリコン窒化膜65a、シリコン酸窒化層65cから成るゲート絶縁膜65が形成される。このゲート絶縁膜65は、第1乃至第3実施形態で説明したように、欠陥の少ない高品質のSiON膜となっている。
その後、図46(b)に示すように、CVD法を用いてゲート電極となるポリシリコン膜67を全面に堆積する。続いて、図46(c)に示すように、ポリシリコン膜67およびゲート絶縁膜65を、例えばRIE法などの異方性エッチング法を用いてパターニングし、チャネル領域24上にゲート絶縁膜65A、65Bとゲート電極67a、67bを形成する。続いて、ゲート電極67a、67bをマスクとしてイオン注入と熱工程を行うことにより、不純物を導入したソース領域68a、68bと、ドレイン領域69a、69bを形成する。
次に、図47(a)に示すように、CVD法によりSiO膜70を全面に堆積する。続いて、図47(b)に示すように、ソース・ドレイン領域68a、68b、69a、69b上にコンタクトホールを開孔し、Al等の金属を蒸着して金属膜を全面に形成することによりソース電極71a、71b、ドレイン電極72a、72bおよびゲート電極73a、73bが形成され、CMISFETが完成する。
次に、ゲート絶縁膜として以下に示す第1乃至第3のSiON膜をそれぞれ有するpMOSFETを作製し、ストレス電圧印加時間とそのときのしきい値電圧のシフト量ΔVth(NBTI特性)の観察結果を図48に示す。なお、印加電圧は10MV/cm、設定温度は105℃であった。第1のSiON膜は、分圧30TorrのNかつ分圧0.03TorrのNHの雰囲気(窒化ガスNHをNガスで希釈した雰囲気)かつ窒化温度700℃で窒化膜を形成し、その後、850℃でOを用いて酸化することにより形成した。第2のSiON膜は、分圧300TorrのNHのガス雰囲気(希釈しない雰囲気)かつ窒化温度700℃で窒化膜を形成し、その後850℃でOを用いて酸化することにより形成した。第3のSiON膜は、分圧30TorrのNかつ分圧0.03TorrのNHの雰囲気(窒化ガスNHをNガスで希釈した雰囲気)かつ窒化温度700℃で窒化膜を形成し、その後、850℃でNOを用いて酸化することにより形成した。
pMOSFETのゲート絶縁膜として、第1のSiON膜を有する場合の特性をグラフgに、第2のSiON膜を有する場合の特性をグラフgに、そして第3のSiON膜を有する場合の特性をgに示す。
図48からわかるように、希釈した雰囲気で欠陥の少ない窒化膜を形成することによって、例えば、しきい値電圧Vthのシフト量が0.1Vとなるのに要する時間が長くなっている。窒化ガスを希釈しないで窒化膜を形成した場合は0.7秒程度でシフトしてしまうが、窒化ガスを希釈して窒化膜を形成した場合には3000秒程度経過しないとシフト量が0.1Vにならない。さらに、酸化ガスとしてOではなく、NOを用いて酸化することによって7万秒程度経過しないとシフト量が0.1Vにならない。つまり、窒化ガスを希釈することによって高品質な窒化膜を形成すること、そしてNOを用いて界面を酸化し、Pセンターを低減させることによってNBTI特性が大きく改善している。これらの結果は、SiとNのネットワークをしっかりと形成することによってSiON膜中の欠陥が減少し、しかも界面の欠陥を低減することによってストレス印加時の新たな欠陥の発生が抑えられることを示している。すなわち、本発明の各実施形態で説明した技術、すなわち希釈された窒化ガスを用いて窒化膜を形成する技術、かつNOを用いて界面をしっかりと酸化する技術を用いることによって、欠陥が少なくて信頼性が高く、かつ窒素が高濃度のSiON膜を形成することが可能である。
(第8実施形態)
次に、本発明の第8実施形態による半導体装置を説明する。本実施形態の半導体装置は、フィン(Fin)型の不揮発性半導体メモリであって、複数のメモリセルを備えている。各メモリセルは図49に示す構成を備えている。本実施形態に係るメモリセルの斜視図を図49に示し、製造工程を図50(a)乃至図51(d)に示す。図50(a)乃至図51(d)は、図49に示す切断面A−Aで切断したときの断面図である。
本実施形態に係るメモリセルは、図49に示すような、フィンと呼ばれる板状の素子領域(半導体領域)82に形成されたトランジスタを備えており、微細化および高集積化することができるとともに短チャネル効果を抑制することができるなどの効果がある。このメモリセルは、シリコン基板80上に板状の半導体領域82が形成されている。そして、この半導体領域82には、板状の半導体領域82が延在する方向に離間してソース領域82aおよびドレイン領域82bが形成され、ソース領域82aとドレイン領域82bとの間の半導体領域82がチャネル領域82cとなる。このチャネル領域82cの上面および側面を覆うようにゲート絶縁膜84が設けられている。なお、このゲート絶縁膜84は基板80上にも延在するように設けられている。このゲート絶縁膜84は、第1乃至第7実施形態で説明した、シリコン酸窒化層、シリコン窒化膜、およびシリコン酸窒化層からなる積層構造を備えており、欠陥の少ない高品質のSiON膜となっている。ゲート絶縁膜84上には、多結晶シリコンからなるフローティングゲート電極86が設けられている。このフローティングゲート電極86上には、シリコン窒化層88b、LaAlOx層89、およびシリコン窒化層90bからなる電極間絶縁膜87が形成されている。この電極間絶縁膜87上にはn型多結晶シリコンからなるコントロール電極92が形成されている。すなわち、ゲート絶縁膜84、フローティングゲート電極86、電極間絶縁膜87、およびコントロール電極92の積層構造からなるゲートがチャネル領域82cを覆うように形成されている。このゲートの両側の半導体領域82がソース領域82aおよびドレイン領域82bとなっている。
次に、本実施形態に係るメモリセルの製造方法を説明する。
まず、図50(a)に示すように、シリコン基板80上に板状の半導体領域82を形成する。次いで、半導体領域82が形成されたシリコン基板80をチャンバー内に導入し、チャンバー内の雰囲気を、例えば分圧30TorrのN、分圧0.03TorrのNHとし、シリコン基板80の表面を700℃にして100秒間維持する。これにより、半導体領域82上に欠陥の少ないシリコン窒化膜が形成される。次に、シリコン基板80の温度を850℃まで上昇させてそのまま保持する。続いて、シリコン基板80の温度を850℃に保持したまま、チャンバー内の雰囲気を、例えば分圧30TorrのN、分圧1TorrのNOとし、300秒間維持する。すると、シリコン基板80と上記シリコン窒化膜との間に酸素が含まれたシリコン酸窒化層が、上記シリコン窒化膜の表面に酸素が含まれたシリコン酸窒化層が形成され、シリコン酸窒化層、シリコン窒化膜、シリコン酸窒化層から成るゲート絶縁膜84が形成される(図50(b))。続いて、フローティングゲート電極86となる多結晶シリコン膜を堆積する(図50(b))。
次いで、図50(c)に示すように、例えばジシランガスを用いて、フローティングゲート電極86上に厚さ0.5nm程度の平坦なアモルファスシリコン層88aを成膜する。このとき、アモルファスシリコンを成膜する直前に多結晶シリコン膜86の表面のダングリングボンドを増加させる工程を追加してもよい。
次いで、図50(d)に示すように、例えば温度700℃、圧力40Torr(5320Pa)でArにより5倍に希釈したプラズマ窒化によって、アモルファスシリコン層88aを直接窒化する。これにより、アモルファスシリコン層88aが厚さ1nm程度のシリコン窒化層88bとなる。
次いで、図51(a)に示すように、シリコン窒化層88b上に例えば厚さ15nmのLaAlOx層89をCVD法で堆積する。続いて、図51(b)に示すように、例えばジシランガスを用いて、LaAlOx層89上に厚さ0.5nm程度の平坦なアモルファスシリコン層90aを成膜する。このとき、アモルファスシリコン層88aの成膜時と同様に、アモルファスシリコンを成膜する直前に、LaAlOx層89の表面のダングリングボンドを増加させる工程を追加してもよい。
次いで、図51(c)に示すように、例えば温度700℃、圧力40Torr(5320Pa)でArにより5倍に希釈したプラズマ窒化によって、アモルファスシリコン層90aを直接窒化する。これにより、アモルファスシリコン層90aが厚さ1nm程度のシリコン窒化層90bとなる。このようにして、シリコン窒化層88b、LaAlOx層89、およびシリコン窒化層90bの積層構造からなる電極間絶縁膜87が形成される。
次いで、図51(d)に示すように、シリコン窒化層90bにコントロールゲート電極92として、厚さ200nmのリンを添加されたn型多結晶シリコン膜を堆積する。
これ以降の工程は図示しないが、他の実施形態と同様に、レジストからなるマスクを形成した後、このマスクを用いて、多結晶シリコン膜92、シリコン窒化層90b、LaAlOx層89、シリコン窒化層88b、多結晶シリコン膜86、およびトンネル絶縁膜84を反応性イオンエッチング法によりエッチングして、ゲートを形成する。さらに、レジストマスクを除去した後に、加工ダメージの回復等を目的として酸化雰囲気中で熱処理を行い、約3nmの後酸化膜(図示せず)を形成する。次いで、例えばリンを全面に3×1015cm−2程度イオン注入した後、例えば1000℃,20秒間の熱処理を行い、リンをシリコン基板中に拡散し活性化させ、ソース領域82aおよびドレイン領域82bを形成する(図49参照)。
次いで、例えば全面に厚さ300nmのシリコン酸化膜をCVD法により堆積し、続いて異方性ドライエッチングによりシリコン酸化膜にコンタクトホールを開口する。この後に、シリコン、銅をそれぞれ例えば0.5%ずつ含有する厚さ800nmのアルミニウム膜を形成した後、これをパターニングして電極を形成する。この後、450℃で15分間水素を10%含む窒素雰囲気で熱処理した。
このように本実施形態によれば、界面欠陥の生成を抑制するとともに、生成された欠陥を低減させることができる、高品質かつ高信頼なトンネル絶縁膜を有し、かつ微細化、高集積化、短チャネル化を抑制するフィン型の不揮発性半導体メモリを得ることができる。
(第9実施形態)
次に、本発明の第9実施形態による半導体装置の製造方法を、図52乃至図53(e)を参照して説明する。本実施形態による半導体装置の製造方法の製造工程のフローチャートを図52に示し、製造工程断面図を図53(a)乃至図53(e)に示す。本実施形態による半導体装置の製造方法は、酸化ガスに希釈ガスを混ぜることによって、シリコン基板12上にシリコン窒化膜14を形成した後、酸化処理を行い、少なくとも、シリコン窒化膜14とシリコン基板12との界面に66at.%の酸素を含んだSiO層を含むシリコン酸窒化層15を形成した後、シリコン酸窒化層15およびシリコン窒化膜14を含むシリコン窒化膜13上に例えばHfSiONに代表される金属酸化膜を形成する方法である。
まず、シリコン基板12を希HF処理し、シリコン基板12の表面を水素により終端化する(図52のステップS41)。その後、このシリコン基板12を成膜装置のチャンバーに置く(図52のステップS42)。
続いて、チャンバー内の雰囲気を、製造プロセス中にシリコンと反応もしくはエッチングしないガス(例えば、窒素ガス)のみにした後、シリコン基板12の温度を700℃にまで上げ、シリコン基板から水素を完全に離脱させる(図52のステップS43、図53(a))。
次に、チャンバー内の雰囲気を、例えば分圧30TorrのN、分圧0.03TorrのNHとし、シリコン基板12の表面を700℃にして100秒間維持する(図52のステップS44)。これにより、シリコン基板12上にシリコン窒化膜14が形成される(図53(b))。
次に、シリコン基板12の温度を850℃まで上昇させてそのまま保持する(図52のステップS45)。
続いて、シリコン基板12の温度を850℃に保持したまま、チャンバー内の雰囲気を、チャンバー内の雰囲気を、例えば分圧35TorrのN、分圧0.7TorrのNOとし、300秒間維持する(図52のステップS46)。これにより、シリコン基板12とシリコン窒化膜14の間に酸素が含まれたシリコン酸窒化層15が、シリコン窒化膜14の表面に酸素が含まれたシリコン酸窒化層16が形成される(図53(c))。
次いで、図52のステップS47に示すように、スパッタ法、CVD法、或いはALD法により、シリコン酸窒化層16上に2nm〜4nmの厚さのHfSiO(ハフニウムシリケート)膜18を堆積し、その後、膜の改質のための熱処理を行う。続いて、図52のステップS48に示すように、例えばプラズマ窒化やアンモニア窒化などにより、HfSiO膜18に窒素を導入し、その後、活性化のための熱処理を行う。ここで、導入する窒素の量はHfSiO膜18が相分離や結晶化が起こらない必要最小の量である。これによりHfSiON膜18aが形成される。これによって、シリコン酸窒化層15、シリコン窒化膜14、シリコン酸窒化層16、HfSiON膜18aからなるゲート絶縁膜13が形成される(図53(e))。
次に、酸化ガスとしてNOを用いることの効果について説明する。図54に、NOを用いて酸化した場合とOを用いて酸化した場合の、シリコン基板12上に形成された、シリコン酸窒化層15、シリコン窒化膜14、シリコン酸窒化層16、HfSiON膜18aからなるゲート絶縁膜13をそれぞれ有するMOSFETを作製し、そのゲート電圧Vgを1.0V、1.5V、2.0V、2.5Vとした場合のそれぞれのId−Vd特性について示す。膜中の平均酸素量、および界面の酸素濃度は全て同じとなるように作製した。図54からわかるように、膜中の平均酸素濃度、界面の酸素濃度が同じであるにも関わらず、Id−Vd特性はNOを用いて酸化した場合において高くなっていることがわかる。これは、より効率的にキャリアの輸送が行われることを意味し、スイッチング特性に優れた高品質なゲート絶縁膜とSiとの積層構造が形成されたことを意味する。これは次の理由による。
第3実施形態で示したように、NOを用いて酸化することによって効率的に界面を酸化することができる。したがって、膜中の平均酸素量が同じであったとしても(つまり、同じ誘電率であったとしても)、NOを用いることによってより効率的に界面の酸素濃度を高めることができる。界面の酸素量を効率的に高められる特性は、SiON膜上にHfSiON膜に代表される金属酸化物を形成する際、「金属酸化物から脱離した酸素による界面酸化を防ぐ」という効果を生み出す。
一般的に、金属酸化物の形成温度はSiON膜の形成温度よりも低いため、脱離した酸素による界面の酸化は必然的に低い温度で行われることになりPセンターの増加を招くが、界面の酸素量が高い場合、それだけ脱離した酸素による酸化を抑えることになる。すなわち、NOを用いた酸化は脱離した酸素による界面の酸化を防ぎ、Pセンターの増加を抑え、移動度の低下を抑えることに繋がるのである。これによって、界面特性に優れたhigh−k膜とSiON膜との積層構造のゲート絶縁膜を形成することが可能となる。すなわち、本実施形態によれば、絶縁膜を形成する際の界面欠陥の生成を抑制するとともに、生成された欠陥を低減させることができる。
また、本実施形態のシリコン窒化膜14は窒素が高濃度に凝集することで強い結合を有しているため、それ以上の窒化は起こりにくい。この特性を利用すれば、シリコン窒化膜は、例えば、結晶化を抑制させるためにHfSiO膜18をプラズマ窒化およびアンモニア窒化した時における窒素がシリコン基板12まで拡散するブロッキング膜としての効果も有している。
なお、第9実施形態の製造方法によって製造されたゲート絶縁膜13は、第5実施形態のFG型の不揮発性半導体メモリまたは第6実施形態のMONOS型の不揮発性半導体メモリのトンネル絶縁膜、第7実施形態のCMISFETまたは第8実施形態のFin型の不揮発性半導体メモリのゲート絶縁膜として用いることができる。
なお金属酸化膜は、形成温度がSiON膜の形成温度よりも低い限りにおいては、HfSiO膜に限らなくてもよい。例えば、形成温度が700℃以下のLaAlO、Al、CeO、Dy、またはY等や、形成温度が600℃以下のLa等や、形成温度が500℃以下のPr、SrTiO、またはBaTiO等を金属酸化膜として用いることができる。
Si−H結合の電荷分布を示す図 b0センターに起因するSi−H結合密度と駆動力(Gm)との関係を示す図。 b1センターに起因するSi−H結合密度としきい値電圧のシフト量との関係を示す図。 第1実施形態による半導体装置の製造方法の製造工程を示すフローチャート。 第1実施形態の製造方法によって製造される半導体装置の断面図。 窒化ガスをNガスで希釈することによって作成したシリコン窒化膜の、Nガス希釈比に対する表面粗さの変化を示す図。 窒化ガスをNガスで希釈することによって作成したシリコン窒化膜の結合状態を示す特性図。 希釈比に対する酸化前と酸化後の表面粗さの変化を示す図。 希釈比に対するフラットバンド電圧のシフト量ΔVfbの変化を示す特性図。 希釈比に対するシリコン窒化膜の屈折率の変化を示す図。 シリコン窒化膜の、N希釈比に対する屈折率の変化を示す図。 シリコン窒化膜の耐酸化性が高い場合は屈折率が高いことを説明する図。 全圧と希釈比を変えた場合のシリコン窒化膜の屈折率の変化を等高線で示す図。 第2実施形態による半導体装置の製造方法の製造工程を示すフローチャート。 シリコン窒化膜を成膜する際に、窒化ガスをNガスとヘリウム(He)ガスで希釈した場合の、フラットバンド電圧のシフト量ΔVfbの変化を示す図。 シリコン窒化膜を成膜する際に、窒化ガスをNガスとHeガスで希釈した場合の界面準位密度の変化を示す図。 シリコン窒化膜を成膜する際に、NガスとHeガスで希釈した場合の、リーク電流の低減特性を示す図。 第3実施形態による半導体装置の製造方法の製造工程を示すフローチャート。 第3実施形態による半導体装置の製造方法に製造工程を示す断面図。 Oを用いて酸化する場合とOを用いて酸化する場合に作成されるシリコン酸窒化膜それぞれの膜中の酸素分布を示す図。 界面の酸素濃度と界面のPb0センターの密度との関係を示す図。 第4実施形態による半導体装置の製造方法の製造工程を示すフローチャート。 酸化ガスをNガスで希釈した場合と希釈しない場合に作成されるシリコン酸窒化膜それぞれの膜中の酸素分布を示す図。 酸化ガスNOの分圧に対するしきい値電圧のシフト量を示す図。 850℃と950℃で酸化したときのシリコン酸窒化膜それぞれの膜中の酸素分布を示す図。 Oガスを用いた酸化温度と、pMOSトランジスタのフラットバンド電圧のシフト量との関係を示す図。 酸化ガスをNガスで希釈した場合と希釈しない場合pMOSトランジスタのシフトバンド電圧のシフト量ΔVfbを示す図。 第5実施形態による半導体装置の製造方法の製造工程を示す断面図。 第5実施形態による半導体装置の製造方法の製造工程を示す断面図。 第5実施形態による半導体装置の製造方法の製造工程を示す断面図。 第5実施形態による半導体装置の製造方法の製造工程を示す断面図。 第5実施形態による半導体装置の製造方法の製造工程を示す断面図。 第5実施形態による半導体装置の製造方法の製造工程を示す断面図。 第5実施形態による半導体装置の製造方法の製造工程を示す断面図。 第5実施形態による半導体装置の製造方法の製造工程を示す断面図。 酸化条件の違いによるSILC特性の差を説明する図。 酸化条件の違いによるPb1センター起因のSi−H結合の面密度を示す図。 SILC特性の変化によるメモリセルの電荷保持特性を示す図。 第6実施形態によるMONOS型不揮発性メモリの製造工程を示す断面図。 第6実施形態によるMONOS型不揮発性メモリの製造工程を示す断面図。 第6実施形態によるMONOS型不揮発性メモリの製造工程を示す断面図。 第6実施形態によるMONOS型不揮発性メモリの製造工程を示す断面図。 第6実施形態によるMONOS型不揮発性メモリの製造工程を示す断面図。 第6実施形態によるMONOS型不揮発性メモリの効果を説明する図。 第7実施形態によるMISFETの製造工程を示す断面図。 第7実施形態によるMISFETの製造工程を示す断面図。 第7実施形態によるMISFETの製造工程を示す断面図。 第7実施形態によるMISFETの効果を説明する図。 第8実施形態によるFin型不揮発性半導体メモリのメモリセルの斜視図。 第8実施形態に係るメモリセルの製造工程を示す断面図。 第8実施形態に係るメモリセルの製造工程を示す断面図。 第9実施形態による半導体装置の製造方法の製造工程を示すフローチャート。 第9実施形態の製造方法の製造工程を示す断面図。 第9実施形態の製造方法の効果を説明する図。 Oを用いて酸化する場合とOを用いて酸化する場合に作成されるシリコン酸窒化膜それぞれの膜中の酸素分布を示す図。
符号の説明
2 シリコン基板
4 シリコン窒化膜
12 シリコン基板
13 シリコン酸窒化膜
14 シリコン窒化膜
15 シリコン酸窒化層
16 シリコン酸窒化層
18 HfSiO膜
18a HfSiON膜
32 シリコン基板
34a シリコン窒化膜
34b シリコン酸窒化層
34c シリコン酸窒化層
36 多結晶シリコン膜
37 マスク材
38 素子分離溝
39 素子分離用のシリコン酸化膜
40 多結晶シリコン膜の側面
41 電極間絶縁膜
42 導電層
43 マスク材
44 ワード線方向のスリット部
45 シリコン酸化膜
47 ソース・ドレイン領域
49 層間絶縁膜

Claims (11)

  1. 半導体基板の表面を窒化する第1窒化ガスと、前記半導体基板と実質的に反応しない第1希釈ガスとを含み、前記第1希釈ガスの分圧と前記第1窒化ガスの分圧の和と、前記第1窒化ガスの分圧との比が5以上でかつ全圧が40Torr以下である第1雰囲気中に前記半導体基板を置き、前記半導体基板の表面に窒化膜を形成する工程と、
    表面に前記窒化膜が形成された前記半導体基板を、酸素原子の結合エネルギーが1eV〜4eVの範囲の酸化ガスと、前記半導体基板と実質的に反応しない第2希釈ガスとを含む第2雰囲気中に置き、前記半導体基板と前記窒化膜との間に第1酸窒化層を形成するとともに前記窒化膜の表面に第2酸窒化層を形成する工程と、
    を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法。
  2. 前記酸化ガスは、NO、O3、NO、NO 、Oラジカルのいずれかであることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
  3. 前記酸化ガスの分圧は、1Torr以下であることを特徴とする請求項1または2記載の半導体装置の製造方法。
  4. 前記第2希釈ガスはNガスであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の半導体装置。
  5. 前記第1および第2酸窒化層を形成する工程は、750℃以上900℃以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
  6. 前記第1酸窒化層には66at.%の酸素が存在する層が含まれることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
  7. 前記第2酸窒化層上に金属酸化膜を形成する工程を備えたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
  8. 前記第1酸窒化層、前記窒化膜、および前記第2酸窒化層の積層構造を有する絶縁膜は、フローティングゲート型の不揮発性メモリのトンネル絶縁膜であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
  9. 前記第1酸窒化層、前記窒化膜、および前記第2酸窒化層の積層構造を有する絶縁膜は、MONOS型の不揮発性メモリのトンネル絶縁膜であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
  10. 前記第1酸窒化層、前記窒化膜、および前記第2酸窒化層の積層構造を有する絶縁膜は、MISFETのゲート絶縁膜であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
  11. 前記第1酸窒化層、前記窒化膜、および前記第2酸窒化層の積層構造を有する絶縁膜は、Fin型の不揮発性メモリのトンネル絶縁膜であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
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