JP2008176338A - プロジェクタ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】プロジェクタ(170)は、複数の発熱部品(111,112,113)と、放熱体(171)と、複数の発熱部品と放熱体とを熱的に接続する伝熱部材(131)と、複数の発熱部品を覆う筐体(171)と、を備える。複数の発熱部品は、発熱量が大きい順に、放熱体に至るまでの伝熱部材上での熱的な距離が短い。複数の発熱部品と筐体とが熱的に接続されている。筐体には、吸気孔(173)と、吸気孔に比べて上方に配される排気孔(174)とが設けられている。
【選択図】図26
Description
また、本発明の他の目的は、小型化に適したプロジェクタを提供することを目的とする。
すなわち、本発明のプロジェクタでは、発熱量が大きい発熱部品は、放熱体までの伝熱部材上での熱的な距離が短く、発熱量が小さい発熱部品は、放熱体までの伝熱部材上での熱的な距離が長い。
なお、「熱的な距離」とは、発熱部品と放熱体との間の熱の移動距離であり、伝熱部材上での熱流方向に沿ってはかられるものをいう。
伝熱部材の熱伝導率をλ(W/(m℃))、熱伝導部材の両面の温度差(熱流の方向の温度差)をΔT(℃)、伝熱部材の伝熱面積をA(m2 )、伝熱部材の長さ(熱流方向に沿ってはかった距離)をL(m)とするとき、伝熱部材を通過する熱量Q(W)は次式(1)で表される。
Q=λ×A×ΔT/L …(1)
伝熱部材が1Wの熱を通過させるときの熱抵抗Rは次式(2)で表される。
R=ΔT/Q=L/(λ×A) …(2)
また、各発熱部品の発熱量に基づいて伝熱部材上での熱的な距離(伝熱部材の長さ)が定められることから、伝熱部材の形状の最適化が図られ、その結果、伝熱部材の体積を小さく抑えることが可能となる。
これらのことから、本発明のプロジェクタでは、複数の発熱部品の間での温度差を抑制するとともに、装置の小型化を図ることができる。
この場合、前記光源が発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)を含むLED光源であることにより、装置の小型化をより図りやすい。
すなわち、この場合、放熱体では、前記複数の発熱部品に近い部分ほど表面積が大きく、離れる部分ほど表面積が小さい。
この構成によれば、放熱体における発熱部品に近い部分の表面積が大きく形成されることから、放熱効率の向上が図られ、放熱体の体積を小さく抑えることが可能となる。
この構成によれば、複数のフィン同士の間隙が鉛直方向に延びていることから、放熱体で暖められた空気が上昇しやすいなど、複数のフィンの間を空気が流れやすく、放熱効率の向上が図られる。
放熱体の熱放射率(ふくしゃ率)が0.5以上であることにより、放熱体から空気中へ熱が良好に放射され、放熱体の放熱効率の向上が図られる。
この構成によれば、複数の発熱部品の熱が、筐体からも放熱される。そのため、前記放熱体の熱的な負荷が軽減され、前記放熱体の体積を小さくでき、装置の小型化が図られる。
一般に、鉛直方向の上向きに配される面は、暖められた空気がその表面から離れやすいことなどから、水平方向に向けて配される面に比べて放熱効率が高い(約2倍)。
上記の構成によれば、放熱効率の高い上面の面積が十分に大きくなることから、筐体からの放熱効率が高い。
筐体の内面の熱吸収率が0.5以上であることにより、筐体内部の熱が筐体に良好に吸収され、その熱が筐体の外に放熱される。そのため、筐体内部の温度上昇が抑制され、前記放熱体の熱的な負荷が軽減される。
筐体の外面の熱放射率が0.5以上であることにより、筐体から外気に熱が良好に放射され、筐体からの放熱効率が高くなる。
この構成によれば、空気の対流伝熱により、吸気孔から流入した空気が筐体内を通って発熱部品の熱を奪い、その空気が排気孔から排出される。このとき、吸気孔に比べて排気孔が上方に配されていることにより、暖められた空気が上昇しやすいなど、筐体内を空気が流れやすい。そのため、空気と発熱部品との間で効果的に熱交換が行われる。これにより、この構成では、複数の発熱部品の温度上昇が抑制され、投射画像の劣化が抑制される。
この構成によれば、筐体の上面に排気孔が設けられることにより、使用時にプロジェクタが斜めに配される場合であっても、筐体内の空気が排気孔から確実に排出される。
なお、筐体の上面とは、プロジェクタの使用時に鉛直方向の上向きに配される面をいう。卓上設置(床上設置)の場合と吊下設置(天井設置)の場合とでプロジェクタが上下反転するなど、鉛直方向の上向きに配される筐体の面が使用方法によって変化する可能性がある場合には、使用時に上向きに配される可能性のあるすべての面に排気孔を設けておくとよい。
この構成によれば、空気の熱膨張分を含めて筐体内から空気が排出されやすく、空気と発熱部品との間で効果的に熱交換が行われる。
この構成によれば、吸気孔から排気孔までの空気の流れの途中に複数の発熱部品が配されるので、空気と発熱部品との間で効果的に熱交換が行われる。
この構成によれば、吸気孔及び排気孔の流路が屈曲していることにより、筐体の内部への異物の侵入が防止される。
このプロジェクタによれば、放熱体における発熱部品に近い部分の表面積が大きく形成されることから、放熱効率の向上が図られ、放熱体の体積を小さく抑えることが可能となる。そのため、装置の小型化を図ることができる。
以下、本発明のプロジェクタの一実施の形態例を図面を参照して説明する。
ここでは、第1の実施形態例として、空間光変調手段(ライトバルブ)として、R(赤)、G(緑)、B(青)の3色に対応した3枚の液晶装置(本例では反射型液晶パネル)を備えた3板式反射型液晶プロジェクタについて説明する。
なお、本発明は、1板式液晶プロジェクタや、ライトバルブとして他の空間光変調装置(例えば DMD;Digital Mirror Device など)を用いたプロジェクタにも適用可能である。
図2において、プロジェクタ10は、光源(ランプ)11、集光レンズ12、ダイクロイックミラー13,14、反射ミラー15、リレーレンズ16、ビームスプリッタ17,18,19、液晶ライトバルブ20,21,22、クロスダイクロイックプリズム23、及び投射系24等を含んで構成される。ここで、3つのライトバルブ20,21,22のうち、ライトバルブ20はR(赤)、21はG(緑)、22はB(青)、の光にそれぞれ対応している。
図3において、上述した各構成部材は、ベースプレート30上に搭載されている。また、ベースプレート30には、電源回路31、及びライトバルブの駆動回路(液晶駆動回路)も搭載されている。なお、液晶駆動回路は、ベースプレート30において、他の構成部材の搭載面とは反対側の面に搭載されており、図示を省略している。
そして、これらの複数の発熱部品(光源11、ライトバルブ20,21,22、トランジスタ31a)は、その発熱量が大きい順に、ヒートシンク32に至るまでの伝熱部材33上での熱的な距離が短くなっている。
次に、先の図3に示す第1の実施形態のプロジェクタ10について、熱対策技術の効果について調べた(実施例1、比較例1)。
ここで、電源回路はフォワード・コンバータ方式のスイッチングレギュレータ回路(入力:商用電源100V、出力:DC12V×12A)を用いた。なお、電源回路中のFETトランジスタが最も発熱し、その発熱量は62Wであった。
ランプ(光源)はハロゲンランプ12V−50W(ウシオ電機株式会社製JCR12V−50WG/32)を用い、ヒートシンクは株式会社アルファ社製のUB60−25B(風量0.5m/secのとき熱抵抗1.3℃/W)を6個用いた。
なお、以後の説明において図中の寸法の単位は「mm」である。
したがって、ヒートシンクは118Wの放熱を行う。よってヒートシンクと大気との温度差は、
118(W)×1.3(℃/W)/6=25.6(℃) …(3)
となる。
したがって、伝熱部材の両端で発生する許容温度差は式(3)より、次式(4)で表される。
ΔT=65−25.6−35=4.4(℃) …(4)
図3より、赤色反射型液晶パネルとヒートシンクの端部の最長距離は次式(5)で表される。
L=0.093+0.196+0.36=0.649(m) …(5)
よって、式(4)、(5)、及び、Q=1(W)、アルミ材質を採用するとして、λ=206(W/(m℃))を式(2)へ代入すると、次式(6)が得られる。
A=LQ/(λΔT)=0.649×1/(206×4.4)=0.000716(m2 ) …(6)
ヒートシンクの高さは60mmなので、伝熱部材に必要な厚みは、
0.000716/0.06×1000=11.9(mm) …(7)
である。
同様にして、図3より、L=0.056+0.145+0.36=0.561(m)、Q=2(W)、ΔT=4.4(℃)、λ=206(W/(m℃))を代入すると、次式(8)が得られる。
A=0.00124(m2 ) …(8)
ヒートシンクの高さは60mmなので、伝熱部材に必要な厚みは、
0.00124/0.06×1000=20.6(mm) …(9)
である。なお、伝熱部材Cは赤色及び緑色反射型液晶パネルの合計熱量が通過するので、厚みは式(7)と(9)を合わせた32.5mmとなる。
同様にして、図3より、L=0.31(m)、Q=50(W)、ΔT=4.4(℃)、λ=206(W/(m℃))を代入すると、次式(10)が得られる。
A=0.0171(m2 ) …(10)
ヒートシンクの高さは60mmなので、伝熱部材に必要な厚みは、
0.0171/0.06×1000=285(mm) …(11)
である。
同様にして、図3より、L=0.09+0.267=0.357(m)、Q=3(W)、ΔT=4.4(℃)、λ=206(W/(m℃))を代入すると、次式(12)が得られる。
A=0.00118(m2 ) …(12)
ヒートシンクの高さは60mmなので、伝熱部材に必要な厚みは、
0.00124/0.06×1000=19.7(mm) …(13)
である。
同様にして、図3より、L=0.18(m)、Q=62(W)、ΔT=4.4(℃)、λ=206(W/(m℃))を代入すると、次式(14)が得られる。
A=0.0123(m2 ) …(14)
ヒートシンクの高さは60mmなので、伝熱部材に必要な厚みは、
0.0171/0.06×1000=205.2(mm) …(15)
である。なお、伝熱部材Aは赤色、緑色、青色反射型液晶パネル、及び、ランプ、トランジスタの合計熱量が通過するので、厚みは、式(7)、(9)、(11)、(13)、(15)を合わせた542.4mmとなる。
図4に比較例のプロジェクタの各構成要素の配置の様子を示す。
図4に示すプロジェクタは、図3に示すプロジェクタと同様の、電源回路、ランプ、反射型液晶パネル(ライトバルブ)、ヒートシンクを備えており、図3に示すプロジェクタに対して、ヒートシンクの配置位置を、反射型液晶バルブに近い位置(図4の下側の位置)に変更したものである。
以下、この構成における伝熱部材の設計について説明する。
図4より、トランジスタとヒートシンクの端部の最長距離は、
L=0.18+0.36=0.54(m) …(16)
である。よって、式(4)、(16)、及び、Q=62(W)、アルミ材質を採用するとして、λ=206(W/(m℃))を式(2)へ代入すると、次式(17)が得られる。
A=LQ/(λΔT)=0.54×62/(206×4.4)=0.0369(m2 ) …(17)
ヒートシンクの高さは60mmなので、伝熱部材に必要な厚みは、
0.0369/0.06×1000=616(mm) …(18)
である。
同様にして、図4より、L=0.093+0.36=0.453(m)、Q=3(W)、ΔT=4.4(℃)、λ=206(W/(m℃))を代入すると、次式(19)が得られる。
A=0.00150(m2 ) …(19)
ヒートシンクの高さは60mmなので、伝熱部材に必要な厚みは、
0.0015/0.06×1000=25(mm) …(20)
である。なお、伝熱部材ACはトランジスタ及び青色反射型液晶パネルの合計熱量が通過するので、厚みは、式(18)と(20)を合わせた641mmとなる。
同様にして、図4より、L=0.05+0.36=0.365(m)、Q=50(W)、ΔT=4.4(℃)、λ=206(W/(m℃))を代入すると、
A=0.0201(m2 ) …(21)
ヒートシンクの高さは60mmなので、伝熱部材に必要な厚みは、
0.0201/0.06×1000=336(mm) …(22)
である。なお、伝熱部材ADはトランジスタ及び青色反射型液晶パネル、ランプの合計熱量が通過するので、厚みは、式(18)、(20)、(22)を合わせた977mmとなる。
同様にして、図4より、L=0.093+0.36=0.453(m)、Q=1(W)、ΔT=4.4(℃)、λ=206(W/(m℃))を代入すると、次式(23)が得られる。
A=0.00050(m2 ) …(23)
ヒートシンクの高さは60mmなので、伝熱部材に必要な厚みは、
0.00050/0.06×1000=8.3(mm) …(24)
である。
同様にして、図4より、L=0.056+0.303=0.359(m)、Q=2(W)、ΔT=4.4(℃)、λ=206(W/(m℃))を代入すると、次式(25)が得られる。
A=0.000792(m2 ) …(25)
ヒートシンクの高さは60mmなので、伝熱部材に必要な厚みは、
0.000792/0.06×1000=13.2(mm) …(26)
である。なお、伝熱部材AEはトランジスタ及び青色、緑色、赤色反射型液晶パネル、ランプの合計熱量が通過するので、厚みは、式(18)、(20)、(22)、(24)、(26)を合わせた998.5mmとなる。
次に、本発明のプロジェクタの第2の実施形態例について説明する。
図5は、第2の実施形態例に係るプロジェクタ40を示す図である。なお、先の図2及び図3に示した第1の実施形態例と同一の機能を有する構成要素は同一の符号を付し、その説明を省略または簡略化する。
また、プロジェクタ40は、第1の実施形態と異なり、電源回路(電源ユニット)が本体とは別に配されている。
ヒートシンク44としては、例えば、複数の板状フィンを備えるものが用いられる。
また、伝熱部材43としては、良熱伝導体が好ましく用いられ、例えばアルミニウム材(熱伝導率:206W/(mK))あるいはその合金が用いられる。
そして、これらの複数の発熱部品(光源11、ライトバルブ20,21,22)は、その発熱量が大きい順に、ヒートシンク44に至るまでの伝熱部材43上での熱的な距離が短くなっている。
次に、先の図5に示す第2の実施形態のプロジェクタ40について、熱対策技術の効果について調べた(実施例2、比較例2)。
ここで、ランプはハロゲンランプ12V−50W(ウシオ電機株式会社製JCR12V−50WG/32)を用い、ヒートシンクは株式会社アルファ社製のUB60−25B(風量0.5m/secのとき熱抵抗1.3℃/W)を3個用いた。
以下、ランプとヒートシンク、反射型液晶パネル(ライトバルブ)とヒートシンクを熱的に接続する伝熱部材の設計について説明する。
なお、以後の説明において図中の寸法の単位は「mm」である。
したがって、ヒートシンクは56Wの放熱を行う。よってヒートシンクと大気との温度差は、
56(W)×1.3(℃/W)/3=24.2(℃) …(27)
となる。
このプロジェクタの動作補償上限環境温度は35℃である。また、最も上限温度の低い部品が反射型液晶パネルであり、その温度が65℃である。
したがって、伝熱部材の両端で発生する許容温度差は(27)式より、次式(28)で表される。
ΔT=65−24.2−35=5.8(℃) …(28)
図5より、ランプとヒートシンクの端部の最長距離は、
L=0.093+0.196+0.18=0.469(m) …(29)
である。よって、式(28)、(29)、及び、Q=1(W)、アルミ材質を採用するとして、λ=206(W/(m℃))を式(2)へ代入すると、次式(30)が得られる。
A=LQ/(λΔT)=0.469×1/(206×5.8)=0.000393(m2 ) …(30)
ヒートシンクの高さは60mmなので、伝熱部材に必要な厚みは、
0.000393/0.06×1000=6.5(mm) …(31)
である。
同様にして、図5より、L=0.056+0.145+0.18=0.381(m)、Q=2(W)、ΔT=5.8(℃)、λ=206(W/(m℃))を代入すると、次式(32)が得られる。
A=0.000638(m2 ) …(32)
ヒートシンクの高さは60mmなので、伝熱部材に必要な厚みは、
0.000638/0.06×1000=10.6(mm) …(33)
である。なお、伝熱部材Eは赤色及び緑色反射型液晶パネルの合計熱量が通過するので、厚みは、式(31)と(33)を合わせた17.1mmとなる。
同様にして、図5より、L=0.09+0.093=0.183(m)、Q=3(W)、ΔT=5.8(℃)、λ=206(W/(m℃))を代入すると、次式(34)が得られる。
A=0.000459(m2 ) …(34)
ヒートシンクの高さは60mmなので、伝熱部材に必要な厚みは、
0.000459/0.06×1000=7.7(mm) …(35)
である。
同様にして、図5より、L=0.18−0.05=0.13(m)、Q=50(W)、ΔT=5.8(℃)、λ=206(W/(m℃))を代入すると、次式(36)が得られる。
A=0.00544(m2 ) …(36)
ヒートシンクの高さは60mmなので、伝熱部材に必要な厚みは、
0.00544/0.06×1000=90.7(mm) …(37)
である。なお、伝熱部材Aはランプの熱量に加えて赤色、緑色及び青色反射型液晶パネルの合計熱量が通過するので、厚みは、式(31)、(33)、(35)、(37)を合わせた115.5mmとなる。
図7に比較例のプロジェクタの各構成要素の配置の様子を示す。
図7に示すプロジェクタは、図5に示すプロジェクタと同様の、ランプ、反射型液晶パネル(ライトバルブ)、ヒートシンクを備えており、図5に示すプロジェクタに対して、赤色反射型液晶パネル(R)と青色反射型液晶パネル(B)の配置位置を入れ替え、かつ、ヒートシンクの配置位置を、ランプ(光源)から離して青色反射型液晶パネル(B)の背面側(図7の右側)に変更したものである。
以下、この構成における伝熱部材の設計について説明する。
図7より、ランプとヒートシンクの端部の最長距離は、
L=0.09+0.093+0.196+0.93=0.472(m) …(38)
である。よって、式(28)、(38)、及び、Q=1(W)、アルミ材質を採用するとして、λ=206(W/(m℃))を式(2)へ代入すると、次式(39)が得られる。
A=LQ/(λΔT)=0.472×1/(206×5.8)=0.000395(m2 ) …(39)
ヒートシンクの高さは60mmなので、伝熱部材に必要な厚みは、
0.000395/0.06×1000=6.6(mm) …(40)
である。
同様にして、図7より、L=0.05+0.196+0.093=0.339(m)、Q=50(W)、ΔT=5.8(℃)、λ=206(W/(m℃))を代入すると、次式(41)が得られる。
A=0.0142(m2 ) …(41)
ヒートシンクの高さは60mmなので、伝熱部材に必要な厚みは、
0.0142/0.06×1000=236(mm) …(42)
である。なお、伝熱部材Gはランプの熱量に加えて赤色反射型液晶パネルの合計熱量が通過するので、厚みは、式(40)、(42)を合わせた243mmとなる。
同様にして、図7より、L=0.056+0.04+0.093=0.189(m)、Q=2(W)、ΔT=5.8(℃)、λ=206(W/(m℃))を代入すると、次式(43)が得られる。
A=0.000316(m2 ) …(43)
ヒートシンクの高さは60mmなので、伝熱部材に必要な厚みは、
0.000316/0.06×1000=5.3(mm) …(44)
である。なお、伝熱部材Iは赤色反射型液晶パネル、ランプの熱量に加えて緑色反射型液晶パネルの合計熱量が通過するので、厚みは、式(40)、(42)、(44)を合わせた248mmとなる。
同様にして、図7より、L=0.18(m)、Q=3(W)、ΔT=5.8(℃)、λ=206(W/(m℃))を代入すると、次式(45)が得られる。
A=0.000452(m2 ) …(45)
ヒートシンクの高さは60mmなので、伝熱部材に必要な厚みは、
0.000452/0.06×1000=7.5(mm) …(46)
である。なお、伝熱部材Jはランプの熱量に加えて赤色、緑色反射型液晶パネルの合計熱量が通過するので、厚みは、式(40)、(42)、(44)、(46)を合わせた255.4mmとなる。
次に、本発明のプロジェクタの第3の実施形態例について説明する。
図8は、第3の実施形態例に係るプロジェクタ50を示す図であり、このプロジェクタ50は、先の図5に示した第2の実施形態例に係るプロジェクタ40の変形例である。なお、図5に示した第2の実施形態例と同一の機能を有する構成要素は同一の符号を付し、その説明を省略または簡略化する。
また、プロジェクタ50は、第2の実施形態と異なり、複数の発熱部品(光源11、ライトバルブ20,21,22)と、筐体51とが熱的に接続されている。
また、筐体51は、ヒートシンク52を覆うように配設されかつ、空気を通過させるための開口が形成された金網部52aを有している。
なお、筐体51内には、各部品の支持部材、筐体51の強度確保のためのリブ立て、間仕切り、取り回し電気配線等(いずれも不図示)が存在している。
また、投射系24は、鏡筒53内に保持されている。
この構成によれば、放熱効率の高い上面の面積が十分に大きくなることから、筐体51からの放熱効率が高くなる。そのため、ヒートシンク52の体積を小さくでき、装置の小型化が図られる。
次に、先の図8に示す第3の実施形態のプロジェクタ50について、熱対策技術の効果について調べた(実施例3、比較例3)。
ここで、筐体は厚さ1.5mmのアルミ製とした。図中ABE−ABFの範囲で筐体→伝熱部材→各発熱部品と熱伝導経路が形成され、熱的に接続されている。
また、ヒートシンクは高温になるのでユーザが直接触れないように、かつ、十分な通風量を確保するために金網で囲われている。
また、各発熱部品を同一発熱量を持つ抵抗器に置き換え、ヒートシンク突出長さLAが異なる水準のものについて抵抗器の温度を測定した。
なお、測定環境温度は35℃、最も上限温度の低い部品が反射型液晶パネルであり、その温度が65℃である。
0.4×0.525=0.21(m2 ) …(47)
放熱に寄与している側面積は、図中ABD−ABAのヒートシンクに熱的に接続されている範囲は除くと、
((0.4+0.525)×2−0.18)×0.06=0.10(m2 ) …(48)
である。式(47)、(48)より放熱に寄与している筐体の (上底面積)>(側面積)×2 の関係になっている。
(a)垂直平板の熱伝達率=1.42(Δt/L)0.25、
(b)水平平板(加熱された上向き面)の熱伝達率=1.32(Δt/L)0.25、
(Δtは平板と大気の温度差、Lは代表長さ、例えば正方形ならば一辺の長さ)
であることが示されている。
ここで、筐体の側面は放熱に寄与するのが外側の大気中に向いている面であることを考慮すると、垂直に立てた平板の片側からの放熱の2倍が水平にした平板の上面からの放熱にほぼ等しい。
よって放熱に寄与する筐体の側面積の2倍よりも上底の面積を大きくすることにより、筐体からの放熱効率をより高めることができる。
図10に比較例のプロジェクタの各構成部材の配置の様子を示す。
図10に示すプロジェクタは、図8に示すプロジェクタとほぼ同様の構成となっており、複数の発熱部品(ランプ(光源)、反射型液晶パネル(ライトバルブ))と筐体とが熱的に接続されている。
また、図10のプロジェクタは、図8のプロジェクタと比較して、筐体の高さが倍(高さ120)になっている。
なお、図示していないがベースプレートの裏側の空間には、各部品の支持部材、筐体強度確保のためのリブ立て、間仕切り、取り回し電気配線等が存在している。
また、筐体は厚さ1.5mmのアルミ製である。図中ACE−ACFの範囲で筐体→伝熱部材→各発熱部品と熱伝導経路が形成され、熱的に接続されている。
ヒートシンクは高温になるのでユーザが直接触れないように、かつ、十分な通風量を確保するために金網で囲われている。
0.35×0.3×0.12=0.0126(m3 ) …(49)
先の図8の金網部分を除いた筐体の体積は、
0.4×0.525×0.06=0.0126(m3 ) …(50)
であり、放熱に寄与する筐体の大きさが実施例3と比較例3でほぼ同じである。
さらに、図8の筐体の上底面積は、金網部分の放熱への寄与率が無視できるほど小さいことを考慮して、次式(51)で表される。
0.35×0.3=0.105(m2 ) …(51)
このとき、放熱に寄与している側面積は、図中ACD−ACAのヒートシンクに熱的に接続されている範囲は除くと(ヒートシンクの高さが60(mm)、筐体の高さが120(mm)であることも考慮)、
(0.35+0.3)×2×0.12−0.18×0.06=0.145(m2 ) …(52)
である。式(51)、(52)より放熱に寄与している筐体の (上底面積)<(側面積)×2 の関係になっている。
電源投入から45分後に温度上昇は飽和に達した。その時の温度を先の図9の表の比較例3、実験例3,4に示す。
次に、本発明のプロジェクタの第4の実施形態例について説明する。
図11は、第4の実施形態例に係るプロジェクタ110の概略的な全体構成を模式的に示す図である。
ここでは、第4の実施形態例として、光変調手段(ライトバルブ)として、R(赤)、G(緑)、B(青)の3色に対応した3枚の液晶装置(本例では透過型液晶パネル)を備えた3板式透過型液晶プロジェクタについて説明する。
図11において、プロジェクタ110は、光源111,112,113、光源111,112,113からの各光を変調する液晶ライトバルブ114,115,116、変調された各光を合成するクロスダイクロイックプリズム117、及びこのプリズム117から出射された光を不図示のスクリーンに拡大投射する投射系118等を含んで構成される。ここで、光源111はR(赤)、112はG(緑)、113はB(青)、の光をそれぞれ発するものであり、ライトバルブ114はR、115はG、116はB、の光にそれぞれ対応している。
図12において、上述した各構成部材は、ベースプレート120上に搭載されている。また、ベースプレート120には、ライトバルブの駆動回路(液晶駆動回路)も搭載されているが、他の構成部材の搭載面とは反対側の面に搭載されており、図示を省略している。
また、先の図6に示したプロジェクタと同様に、発熱部品のひとつである電源ユニット(ACアダプタ)が、プロジェクタ本体の外部に配されている。これにより、このプロジェクタ110では、電源ユニット(電源回路)の発熱、ノイズが及ぼす、本体の液晶駆動回路や光学系への影響が防止される。
そして、これらの複数の発熱部品(光源111,112,113)は、その発熱量が大きい順に、ヒートシンク125に至るまでの伝熱部材131上での熱的な距離が短くなっている。
ヒートシンク125の熱放射率が0.5以上であることにより、ヒートシンク125から空気中へ熱が良好に放射され、ヒートシンク125の放熱効率の向上が図られる。そのため、ヒートシンク125の小型化が図られる。
次に、先の図12に示す第4の実施形態のプロジェクタ110について、熱対策技術の効果について調べた(実施例4,5,6、比較例4,5,6)。
ここで、ランプ(光源)はLEDランプ(LumiLeds社製のLuxeonシリーズ)を用いた。消費電力は赤色1.6W、緑色6.1W、青色2.3Wである。ヒートシンクは株式会社アルファ社製のUB35−10B(風量0.5m/secのとき熱抵抗5℃/W)を1個用いた。
なお、以後の説明において図中の寸法の単位は「mm」である。
したがって、ヒートシンクは10Wの放熱を行う。よってヒートシンクと大気との温度差は、
10(W)×5(℃/W)=50(℃) …(53)
となる。
このプロジェクタの動作補償上限環境温度は35℃である。また、LED素子のPN接合部の上限温度は90℃である。
したがって、伝熱部材の両端で発生する許容温度差は(53)式より、次式(54)で表される。
ΔT=90−50−35=5(℃) …(54)
図12より、ランプとヒートシンクの端部の最長距離は、
L=0.025+0.048+0.0175=0.0905(m) …(55)
である。よって、式(54)、(55)、及び、Q=1.6(W)、アルミ材質を採用するとして、λ=206(W/(m℃))を式(2)へ代入すると、次式(56)が得られる。
A=LQ/(λΔT)=0.0905×1.6/(206×5)=0.00014(m2 ) …(56)
ヒートシンクの高さは35mmなので、伝熱部材に必要な厚みは、
0.00014/0.035×1000=4.0(mm) …(57)
である。
同様にして、図12より、L=0.025+0.048+0.0175=0.0905(m)、Q=2.3(W)、ΔT=5(℃)、λ=206(W/(m℃))を代入すると、次式(58)が得られる。
A=0.000202(m2 ) …(58)
ヒートシンクの高さは35mmなので、伝熱部材に必要な厚みは、
0.000202/0.035×1000=5.7(mm) …(59)
である。
同様にして、図12より、L=0.0175(m)、Q=6.1(W)、ΔT=5(℃)、λ=206(W/(m℃))を代入すると、次式(60)が得られる。
A=0.000104(m2 ) …(60)
ヒートシンクの高さは35mmなので、伝熱部材に必要な厚みは、
0.000104/0.035×1000=3.0(mm) …(61)
である。なお、伝熱部材ACは各色LEDランプの合計熱量が通過するので、厚みは、式(57)、(59)、(61)を合わせた12.7mmとなる。
図14に比較例のプロジェクタの各構成要素の配置の様子を示す。
図14に示すプロジェクタは、図12に示すプロジェクタと同様の、光源(LEDランプ)、透過型液晶パネル(ライトバルブ)、ヒートシンクを備えており、図12のプロジェクタに対して、赤色用LEDランプ(R)と緑色用LEDランプ(G)の配置位置を入れ替えたものである。
以下、この構成における伝熱部材の設計について説明する。
図14より、ランプとヒートシンクの端部の最長距離は、
L=0.025+0.048+0.0175=0.0905(m) …(62)
である。よって、式(54)、(62)、及び、Q=6.1(W)、アルミ材質を採用するとして、λ=206(W/(m℃))を式(2)へ代入すると、次式(63)が得られる。
A=LQ/(λΔT)=0.0905×6.1/(206×5)=0.000536(m2 ) …(63)
ヒートシンクの高さは35mmなので、伝熱部材に必要な厚みは、
0.000536/0.035×1000=15.3(mm) …(64)
である。
同様にして、図14より、L=0.025+0.048+0.0175=0.0905(m)、Q=2.3(W)、ΔT=5(℃)、λ=206(W/(m℃))を代入すると、次式(65)が得られる。
A=0.000202(m2 ) …(65)
ヒートシンクの高さは35mmなので、伝熱部材に必要な厚みは、
0.000202/0.035×1000=5.7(mm) …(66)
である。
同様にして、図14より、L=0.0175(m)、Q=1.6(W)、ΔT=5(℃)、λ=206(W/(m℃))を代入すると、次式(67)が得られる。
A=0.0000271(m2 ) …(67)
ヒートシンクの高さは35mmなので、伝熱部材に必要な厚みは、
0.0000271/0.035×1000=0.8(mm) …(68)
である。なお、伝熱部材AFは各色LEDランプの合計熱量が通過するので、厚みは、式(64)、(66)、(68)を合わせた21.8mmとなる。
次に、先の図12に示す第4の実施形態のプロジェクタ110について、ヒートシンクの形態の特徴による放熱効果について調べた(実施例5、比較例5)。
ヒートシンクはアルファ社製UBシリーズを用い、先の図13(a)に示すようにフィンの伝熱面を鉛直方向に配した形態(実施例5)と、先の図13(b)に示すようにフィンの伝熱面を水平方向に配したに形態(比較例5)とについて放熱特性の評価を行った。
なお、比較例5では、プロジェクタのLEDランプを同一発熱量を持つ抵抗器に置き換え、フィンの構造、寸法は同一で底面積の異なる水準のヒートシンクを取り付けて抵抗器の温度を測定した(比較例5a,5b,5c)。
次に、先の図12に示す第4の実施形態のプロジェクタ110について、ヒートシンクの表面の熱放射率による放熱効果について調べた(実施例6、比較例6)。
ヒートシンクはアルファ社製UBシリーズを用い、フィンに黒色塗装を施したところ、熱放射率は、 ε黒=0.95 であった(実施例6)。
また、同一の構造、寸法のヒートシンクを用い、フィンに黒色塗装を施さなかったところ、熱放射率は、 εアルミ=0.06 であった。
なお、熱放射率の測定方法はヒートシンクに黒体テープ(放射率ε=0.93)を貼り付け、放射温度計の測定対象物放射率パラメータを変化させて、黒体テープと同一温度を指し示す放射率の値を読み取ることにより行った。
なお、比較例6では、プロジェクタのLEDランプを同一発熱量を持つ抵抗器に置き換え、フィンの構造、寸法は同一で底面積の異なる水準の黒色塗装なしのヒートシンクを取り付けて抵抗器の温度を測定した(比較例6a,6b,6c)。
次に、本発明のプロジェクタの第5の実施形態例について説明する。
図17は、第5の実施形態例に係るプロジェクタ150を示す図であり、このプロジェクタ150は、先の図11及び図12に示した第4の実施形態例に係るプロジェクタ110の変形例である。なお、図11及び図12に示した第4の実施形態例と同一の機能を有する構成要素は同一の符号を付し、その説明を省略または簡略化する。
また、プロジェクタ150は、第4の実施形態例と同様に、R,G,Bの各光に対応した、光源(LEDランプ)111,112,113、及びライトバルブ(透過型液晶パネル)114,115,116を備え、光源111,112,113は、伝熱部材131を介して、放熱体としてのヒートシンク151に熱的に接続されている。
なお、発熱部品のひとつである電源ユニット(ACアダプタ)は、プロジェクタ本体の外部に配されている。
また、プロジェクタ150は、第4の実施形態例と異なり、ヒートシンク151が、光源111,112,113に近いほど表面積が大きく形成されている。
次に、先の図17に示す第5の実施形態のプロジェクタ150について、熱対策技術の効果について調べた(実施例7、比較例7)。
ヒートシンクはα社製のUB35−10B、3個分を加工して用いた。
なお、以後の説明において図中の寸法の単位は「mm」である。
なお、各LEDランプの上限温度は90℃であり、これを超えると破損したり、寿命が短くなるため、23.6Ω(12Vで0.51A、即ち6.1W発熱)の抵抗器(ニッコーム株式会社製電力用金属被膜抵抗RNP-5タイプ、ヒートシンク接続構造有り)を緑色LEDランプの代わりの発熱部品として用いた。
同様に90Ω(12Vで0.13A、即ち1.6W発熱)の抵抗器を赤色LEDランプの代わりに、62.6Ω(12Vで0.19A、即ち2.3W発熱)の抵抗器を青色LEDランプの代わりの発熱部品として用いた。
また、外部からの風の影響を除去し、大気が自然対流になるように、ユニットを1m四方の透明なアクリル樹脂製の箱に入れた。環境温度は恒温室を用い35℃に保った。
図19に比較例のプロジェクタの各構成要素の配置の様子を示す。
図19に示すプロジェクタは、図12に示すプロジェクタと同じ構成である。このプロジェクタでは、発熱部品(LEDランプ)からの距離にかかわらず、ヒートシンクの表面積を一定としている。すなわち、図19に示すヒートシンクの一の吸熱面の近傍における縦断面方向(図19の紙面に直交方向)の断面形状と、一の吸熱面から離れた位置における同断面形状とが同じである。
ヒートシンクはα社製のUB35−10Bを用いた。
電源投入から30分後に温度上昇は飽和に達した。その時の温度を図18の表の比較例7に示す。
次に、本発明のプロジェクタの第6の実施形態例について説明する。
図20は、第6の実施形態例に係るプロジェクタ160を示す図であり、このプロジェクタ160は、先の図11及び図12に示した第4の実施形態例に係るプロジェクタ110の変形例である。なお、図11及び図12に示した第4の実施形態例と同一の機能を有する構成要素は同一の符号を付し、その説明を省略または簡略化する。
また、プロジェクタ160は、第4の実施形態例と同様に、R,G,Bの各光に対応した、光源(LEDランプ)111,112,113、及びライトバルブ(透過型液晶パネル)114,115,116を備え、光源111,112,113は、伝熱部材131を介して、放熱体としてのヒートシンク161に熱的に接続されている。
なお、発熱部品のひとつである電源ユニット(ACアダプタ)は、プロジェクタ本体の外部に配されている。
また、プロジェクタ160は、第4の実施形態例と異なり、発熱部品である光源111,112,113と、筐体162とが熱的に接続されている。
また、筐体162は、ヒートシンク161を覆うように配設されかつ、空気を通過させるための開口が形成された金網部162aを有している。
なお、筐体162内には、各部品の支持部材、筐体162の強度確保のためのリブ立て、間仕切り、取り回し電気配線等(いずれも不図示)が存在している。
また、投射系118は、鏡筒163内に保持されている。
そして、筐体162からの放熱効率の向上により、さらにヒートシンク161の体積を小さくでき、装置の小型化が図られる。
次に、先の図20に示す第6の実施形態のプロジェクタ160について、熱対策技術の効果について調べた(実施例8,9,10、比較例8,9,10)。
ここで、筐体は厚さ1.5mmのアルミ製とした。図中AAA−AABの範囲で筐体→伝熱部材→各LEDランプと熱伝導経路が形成され、熱的に接続されている。
また、ヒートシンクは高温になるのでユーザが直接触れないように、かつ、十分な通風量を確保するために金網で囲われている。
また、各LEDランプを同一発熱量を持つ抵抗器に置き換え、ヒートシンク突出長さLが異なる水準のものについて抵抗器の温度を測定した。
図22に比較例のプロジェクタの各構成部材の配置の様子を示す。
図22に示すプロジェクタは、図20に示すプロジェクタとほぼ同様の構成となっているものの、複数の発熱部品(LEDランプ(光源))と筐体とが熱的に接続されてない。
ここで、各LEDランプを同一発熱量を持つ抵抗器に置き換え、ヒートシンク突出長さはL=10とした。
次に、先の図20に示す第4の実施形態のプロジェクタ110について、筐体の内面の熱吸収の効果について調べた(実施例9、比較例9)。
ここで、図20に示したプロジェクタの筐体の内面に黒色塗装(熱吸収率α=0.95)を施した。
また、各LEDランプを同一発熱量を持つ抵抗器に置き換え、ヒートシンク突出長さLが異なる水準のものについて抵抗器の温度を測定した。
また、筐体表面に熱電対を取り付け、筐体表面の温度も測定した。測定個所は図23に示す点P7−1、P7−2、P7−3、点P8である。
点P7−1は赤色LEDの真上、P7−2は緑色LEDの真上、P7−3は青色LEDの真上である。点P8はレンズ類の上方で発熱部品から遠い位置にある。
図24の表には図20に示したプロジェクタで筐体の内側がアルミ表面、すなわち、金属光沢(α=0.055)の場合の測定データも比較例(比較例9)として併記する。なお、図24の表に示す比較例9は、図21の表に示す比較例8とほぼ同一条件である。
また、図24の表のヒートシンク突出長さ「L=0」はヒートシンクを取り付けていないことを示す(よって筐体の金網部もない)。ただし、先の図20に示すように、伝熱部材と筐体とはAAA−AABの範囲で筐体に熱的に接続されている。
なお、本実施例9による評価結果から、ヒートシンクを取り外しても使用可能であることが確認された。
次に、先の図20に示す第4の実施形態のプロジェクタ110について、筐体の外面の熱放射の効果について調べた(実施例10、比較例10)。
本実施例10では、先の図20に示すプロジェクタ110からヒートシンクを取り外したものを用いた。
また、筐体の内面と外面に黒色塗装(熱吸収率α=0.95、熱放射率ε=0.95)を施した。
また、各LEDランプを同一発熱量を持つ抵抗器に置き換え、その温度を測定した。
さらに、筐体表面に熱電対を取り付け、筐体表面の温度も測定した。測定個所は先の図23に示す点P7−1、P7−2、P7−3、点P8である(ただし、本例では、ヒートシンクと筐体金網部は存在しない)。
点P7−1は赤色LEDの真上、P7−2は緑色LEDの真上、P7−3は青色LEDの真上である。点P8はレンズ類の上方で発熱部品から遠い位置にある。
図25の表には筐体の内面のみに黒色塗装を施し、外面がアルミ金属光沢(ε=0.055)のデータを比較例(比較例10)として示す。
なお、図25の表に示す比較例10は、図24の表に示す実施例9とほぼ同一条件である。
ここで、各LEDの上限温度は90℃であるが、一方、LEDは高温になるにつれ、輝度が減少し、かつ、波長が長波長側へシフトする半導体素子である。
したがって、LED上限温度を超えないように放熱状態を設計しても、プロジェクタ電源投入開始後から各LEDが飽和温度に達するまで、投影画像の輝度が低下したり、カラーバランスが変化して色合いがずれたりすることがあった。
よって、実施例10は、比較例10とプロジェクタの大きさは同一であるが、電源投入後からの投影画質劣化が小さいという利点を有する。
次に、本発明のプロジェクタの第7の実施形態例について説明する。
図26及び図27は、第7の実施形態例に係るプロジェクタ170を示す図であり、このプロジェクタ170は、先の図20に示した第6の実施形態例に係るプロジェクタ160の変形例である。なお、図11及び図12に示した第4の実施形態例及び図20に示した第6の実施形態例と同一の機能を有する構成要素は同一の符号を付し、その説明を省略または簡略化する。
また、プロジェクタ170は、第6の実施形態例と同様に、R,G,Bの各光に対応した、光源(LEDランプ)111,112,113を備え、発熱部品である光源111,112,113と、筐体171とが熱的に接続されている。
なお、図27に示す符号172は、ライトバルブの駆動回路(液晶駆動回路)である。
すなわち、本例では、筐体171が放熱体となっており、光源111,112,113と筐体171とが、伝熱部材131を介して熱的に接続されている。また、これに伴って、第6の実施形態における筐体の金網部は省かれた構成となっている。筐体171の材質としては、良熱伝導体が好ましく用いられ、例えばアルミニウム材(熱伝導率:206W/(mK))あるいはその合金の他、銅、黄銅、金、鉄(及び鋼)、ニッケルなどの各種金属及びその合金が用いられる。
また、筐体171の内面及び外面の双方には、黒色塗装が施されており、筐体171の内面及び外面の熱吸収率及び熱放射率が約 0.95 となっている。
また、排気孔174は、吸気孔173が形成された側面と対向する筐体171の側面に形成されており、ベースプレート175よりも上方に配されている。
ベースプレート175に対して、吸気孔173が下方、排気孔174が上方に配されていることにより、ベースプレート175上に搭載される発熱部品である光源111,112,113は、鉛直方向に関して吸気孔173と排気孔174との間、すなわち、吸気孔173より上方かつ排気孔174より下方に配されることになる。
なお、本例では、排気孔174は、吸気孔173に比べて開口面積が大きくなるように形成されている。
図28及び図29において、吸気孔173及び排気孔174は、筐体171の一部に切り込みが入れられた後に、その一部分171aを筐体171の内側あるいは外側に向けて折り曲げることにより形成される。
なお、図29中、符号171bは、上記折り曲げ部分171aにおいて筐体171の外面と略平行に配される遮蔽部171b、符号171cは、上記折り曲げ部分171aにおいて筐体171の外面に対して斜めあるいは垂直に配される庇部171cである。
また、図30(a)、図31(a)、及び図32(a)のいずれにおいても、紙面手前が筐体の内方であり、紙面奥側が筐体の外方である。
この場合、筐体171の開口部分(吸気孔173、排気孔174)に、筐体171の外から内に向かう方向に関して鉛直上向きの流路、内から外に向かう方向に関して鉛直下向きの流路が形成される。
この場合、筐体171の開口部分(吸気孔173、排気孔174)に、筐体171の外から内に向かう方向に関して鉛直下向きの流路、内から外に向かう方向に関して鉛直上向きの流路が形成される。
この場合、筐体171の開口部分(吸気孔173、排気孔174)における流路において、鉛直方向に関して抵抗となる部分はなくなる。
次に、先の図26及び図27に示す第7の実施形態のプロジェクタ170について、筐体の吸気孔及び排気孔の効果について調べた(実施例11、比較例11(11a〜11e))。
本実施例11において、筐体に形成された吸気孔及び排気孔は以下のとおりである。
(1)筐体に通風孔を2箇所以上設け、一方を上方(排気孔)、他方を下方(吸気孔)に配置する、(2)吸気孔よりも排気孔の開口面積を大きくする(開口面積とは、空気が通過する孔の開口面積の合計のことである)、(3)吸気孔鉛直位置−排気孔鉛直位置、及び、吸気孔水平位置−排気孔水平位置の囲む領域内に発熱部品(各LEDランプ)を配置する、である。
このとき、空気の流れは、図27中の矢印に示すように、(1)吸気孔を介して室温空気が筐体内部に入る、(2)空気はベースプレートに開けた通気孔を通過してLEDランプに達する、(3)各LEDランプ、伝熱部材等の放熱により暖められた空気は上昇する、(4)暖められた空気は筐体上面内壁に沿って上昇する、(5)排気孔を介して空気が筐体の外に排出される、であった。
環境温度35℃で電源投入から30分後に温度上昇は飽和に達した。その時の温度の測定結果を図33の表の実施例11に示す。なお、図33の表には吸気孔、及び排気孔の開口面積も併記する。
筐体に通風孔(吸気孔、排気孔)を設けない形態について、実施例11と同様に温度を測定した(比較例11a)。その測定結果を図33の表の比較例11aに示す。
筐体に吸気孔のみを設け、排気孔を設けない形態について、実施例11と同様に温度を測定した(比較例11b)。その測定結果を図33の表の比較例11bに示す。吸気孔のみを設けた場合、上昇する風の通り道が形成されにくいことから、暖められた空気が滞留しやすい。その結果、冷却効果は小さく、発熱部品の温度低下は小さい。
筐体に排気孔のみを設け、吸気孔を設けない形態について、実施例11と同様に温度を測定した(比較例11c)。その測定結果を図33の表の比較例11cに示す。排気孔のみを設けた場合、風の通り道が形成されにいことから、冷却効果は小さいため、発熱部品の温度低下は小さい。
筐体に吸気孔及び排気孔を設け、 吸気孔の開口面積>排気孔の開口面積 とした形態について実施例11と同様に温度を測定した(比較例11d)。その測定結果を図33の表の比較例11dに示す。 吸気孔の開口面積>排気孔の開口面積 の場合、暖められた空気が膨張しようとして圧力が高まるのに伴い、排気孔付近の空気圧が高まり、吸気孔から流入する空気の流れを押し戻そうとするので、筐体内部の空気の流れの流量が減少する。よって、冷却効率が減少し、発熱部品の温度低下は小さくなる。
図34に示すように、吸気孔及び排気孔の双方を発熱部品に対して上方に設けた形態について実施例11と同様に温度を測定した(比較例11e)。その時の温度を図33の表の比較例11eに示す。この形態では、吸気孔鉛直位置−排気孔鉛直位置、及び、吸気孔水平位置−排気孔水平位置の囲む領域の外に発熱部品(各LEDランプ)がある。
したがって、図34中の矢印で示すように、各LEDランプで暖められた空気が上昇する流れと、吸気孔から室温空気が下方に吸気される流れが妨げあい、筐体内部の空気の流れの流量が減少する。
すなわち、吸気孔から排気孔まで暖められた空気が上昇しつづける風の通り道の範囲内に発熱部品が配置されるようにしていないため、筐体内部の空気の流れの流量が減少する。
その結果、冷却効率が減少し、発熱部品の温度低下は小さくなる。
次に、先の図26及び図27に示す第7の実施形態のプロジェクタ170について、図28〜図32に示す筐体の吸気孔及び排気孔の形態及び配置の効果について調べた(実施例12(12a、12b)、比較例12)。
筐体に対して、吸気孔を図30に示す状態、排気孔を図31に示す状態で形成した(実施例12a)。
次に、各LEDランプを同一発熱量を持つ抵抗器に置き換え、抵抗器の温度を測定した。
環境温度35℃で電源投入から30分後に温度上昇は飽和に達した。その時の温度の測定結果を図35の表に示す。
筐体に対して、吸気孔及び排気孔をともに図32に示す状態で形成した(実施例12b)。この形態について実施例12aと同様に温度を測定した。その測定結果を図35の表の実施例12bに示す。
筐体に対して、吸気孔を図31に示す状態、排気孔を図31に示す状態で形成した(比較例12)。この形態について実施例12aと同様に温度を測定した。その測定結果を図35の表の比較例12に示す。
その結果、異物の進入が防止できると同時に冷却効率が落ちることがない。
次に、本発明のプロジェクタの第8の実施形態例について説明する。
図36は、第8の実施形態例に係るプロジェクタ180を示す図であり、このプロジェクタ180は、先の図26及び図27に示した第7の実施形態例に係るプロジェクタ170の変形例である。なお、図26及び図27に示した第7の実施形態例と同一の機能を有する構成要素は同一の符号を付し、その説明を省略または簡略化する。
また、プロジェクタ180は、第7の実施形態例と同様に、R,G,Bの各光に対応した、光源(LEDランプ)111,112,113を備え、発熱部品であるこれら光源111,112,113と、筐体181とが熱的に接続されている。
また、このプロジェクタ180では、筐体181が放熱体となっており、筐体181はアルミなどの良熱伝導体からなり、光源111,112,113と筐体181とが、伝熱部材131を介して熱的に接続されている。
また、筐体181の内面及び外面の双方に、黒色塗装が施されており、筐体181の内面及び外面の熱吸収率及び熱放射率が約 0.95 となっている。
さらに、筐体181には、吸気及び排気用の開口(吸気孔183、排気孔184)が形成されており、吸気孔183に比べて排気孔184が上方に配されている。
本例のプロジェクタ180が第7の実施形態例と異なる点は、排気孔184が筐体181の上面に形成されている点である。
なお、吸気孔183は、第7の実施形態例と同様に、筐体181の側面に形成されており、発熱部品である光源111,112,113が搭載されるベースプレート175よりも下方に配されている。
排気孔184は、先の図30〜図32と同様に、排気孔184は、筐体181の一部に切り込みが入れられた後に、その一部分(折り曲げ部分181a)を筐体181の内側あるいは外側(本例では内側)に向けて折り曲げることにより形成されている。また、図38に示す例では、上記折り曲げ部分181aの遮蔽部181bが水平方向に延在して配されかつ、庇部181cが水平方向を向いて配される。
なお、吸気孔183は、例えば、先の図30と同様の形態である。
次に、先の図36及び図37に示す第8の実施形態のプロジェクタ180について、排気孔の効果について調べた(実施例13(13a,13b)、比較例13(13a,13b)。
プロジェクタを、先の図36に示すように、レンズ筒(鏡筒)を下方に傾け、プロジェクタに対して斜め下向きに画像を投射(投影)するように設置した(天井設置・吊下設置)(実施例13a)。
このとき、空気の流れは、図36中の矢印に示すように、(1)吸気孔を介して室温空気が筐体内部に入る、(2)空気はベースプレートに開けた通気孔を通過してLEDランプに達する、(3)各LEDランプ、伝熱部材等の放熱により暖められた空気は上昇する、(4)暖められた空気は筐体上面内壁に沿って若干下降する、(5)筐体上面の排気孔を介して空気が筐体の外に排出される、であった。
環境温度35℃で電源投入から30分後に温度上昇は飽和に達した。その時の温度の測定結果を図39の表の実施例13aに示す。なお、図39の表にはプロジェクタの投影方向(プロジェクタの姿勢)も併記する。
これは、上述の空気の流れの説明(4)の影響により、筐体内部の空気の流れの流量が若干減少した結果、冷却効率(熱交換の効率)が減少し、発熱部品の温度低下が小さくなったためである。
次に、プロジェクタを、図37に示すように、レンズ筒(鏡筒)を上方に傾け、プロジェクタに対して斜め上向きに画像を投射(投影)するように設置した(卓上設置・床上設置)(実施例13b)。
このとき、空気の流れは、図37中の矢印に示すように、(6)吸気孔を介して室温空気が筐体内部に入る、(7)空気はベースプレートに開けた通気孔を通過してLEDランプに達する、(8)各LEDランプ、伝熱部材等の放熱により暖められた空気は上昇する、(9)暖められた空気は筐体上面内壁に沿って上昇する、(10)筐体上面の排気孔を介して空気が筐体の外に排出される、であった。
環境温度35℃で電源投入から30分後に温度上昇は飽和に達した。その時の温度の測定結果を図39の表の実施例13bに示す。
そのため、実施例13bでは、図39の表に示すように、発熱部品(各LEDの代用抵抗)の飽和温度は、先の図33に示す実施例11と同程度となった。
つまり、実施例13bでは、冷却効率(熱交換の効率)、発熱部品(各LEDの代用抵抗)の温度低下は実施例11と同程度であった。
次に、先の図26及び図27に示した第7実施形態例に係るプロジェクタを、図40に示すように、レンズ筒(鏡筒)を下方に傾け、プロジェクタに対して斜め下向きに画像を投射(投影)するように設置した(天井設置・吊下設置)(比較例13a)。なお、プロジェクタの姿勢は、実施例13aと同じである。
このとき、空気の流れは、図40中の矢印に示すように、(11)吸気孔を介して室温空気が筐体内部に入る、(12)空気はベースプレートに開けた通気孔を通過してLEDランプに達する、(13)各LEDランプ、伝熱部材等の放熱により暖められた空気は上昇する、(14)暖められた空気は筐体上面内壁に沿って筐体の排気孔のある位置まで下降する、(15)筐体側面の排気孔を介して空気が外に排出される、であった。
環境温度35℃で電源投入から30分後に温度上昇は飽和に達した。その時の温度の測定結果を図39の表の比較例13aに示す。
また、この比較例13aのプロジェクタを上向きに設置した場合(すなわち、先の実施例11と同条件)を、図39の表の比較例13bに示す。
これは、上述の風の流れの「説明(14)」の方が「説明(4)」よりも長い距離を暖められた空気が下降しなければならない。すなわち、筐体内部の空気の流れの流量が「説明(14)」の方が「説明(4)」よりも小さくなる。その結果、冷却効率が減少し、「説明(14)」の方が「説明(4)」よりも発熱部品の温度低下が小さくなったためである。
実施例13b(上向き)=比較例13b(上向き)<実施例13a(下向き)<比較例13aの(下向き) 、の順に低くなっている。
よって、排気孔を筐体上面に設けることにより、プロジェクタの使用状態の姿勢が変わったときの、発熱部品の放熱効率の変動を減少させることができることがわかった。
例えば、プロジェクタを天井からつるして使用した場合でも、発熱部品の温度上昇を減少させ、それによる輝度の低下、カラーバランスのずれを減少させることが出来る。
次に、本発明のプロジェクタの第9の実施形態例について説明する。
図41及び図42は、第9の実施形態例に係るプロジェクタ190を示す図であり、このプロジェクタ190は、先の図36に示した第8の実施形態例に係るプロジェクタ190の変形例である。なお、図36に示した第8の実施形態例と同一の機能を有する構成要素は同一の符号を付し、その説明を省略または簡略化する。
また、プロジェクタ190は、第9の実施形態例と同様に、R,G,Bの各光に対応した、光源(LEDランプ)111,112,113を備え、発熱部品であるこれら光源111,112,113と、アルミなどの良熱伝導体からなる筐体191とが熱的に接続されている。
また、筐体181の内面及び外面の双方に、黒色塗装が施されており、筐体181の内面及び外面の熱吸収率及び熱放射率が約 0.95 となっている。
本例のプロジェクタ190が第8の実施形態例と異なる点は、複数の排気孔194,195,196が筐体191の上面に形成され、そのうちの少なくとも1つが光源111,112,113のほぼ真上に位置している点である。
なお、吸気孔193は、第8の実施形態例と同様に、筐体191の側面に形成されており、発熱部品である光源111,112,113が搭載されるベースプレート175よりも下方に配されている。
次に、先の図41〜図43に示す第9の実施形態のプロジェクタ190について、排気孔の効果について調べた(実施例13c,13d)。
発熱部品(各LEDランプ)の真上に排気孔が設けられたプロジェクタを、先の図42に示すように、レンズ筒(鏡筒)を下方に傾け、プロジェクタに対して斜め下向きに画像を投射(投影)するように設置した(天井設置・吊下設置)(実施例13c)。
また同様に、発熱部品(各LEDランプ)の真上に排気孔が設けられたプロジェクタを、図43に示すように、レンズ筒(鏡筒)を上方に傾け、プロジェクタに対して斜め上向きに画像を投射(投影)するように設置した(卓上設置・床上設置)(実施例13d)。
環境温度35℃で電源投入から30分後に温度上昇は飽和に達した。その時の温度を図39の表の実施例13c及び実施例13dに示す。
次に、先の図41〜図43に示す第9の実施形態のプロジェクタ190について、投射画像の品質について調べた(実施例14)。なお、吸気孔は先の図30に示す形態、排気孔は先の図38に示す形態とした。
また、第9の実施形態のプロジェクタ190に対して、(a)筐体に黒色塗装を施さない、(b)吸気孔及び排気孔を省いた、形態について、同様に画質を調べた(比較例14)。
なお、実施例14における各LEDランプの飽和温度は74℃、比較例14における各LEDランプの飽和温度は90℃であった。
ただし、このデータは環境温度35℃の場合であるので、画質評価は被験者に快適に判断してもらう必要があるため、室温20〜25℃で画質の評価をした。
画質の評価方法は次のとおりである。
(a)被験者として18歳から60歳までの男女を年齢、性別をランダムに50名ほど選出した。
(b)評価した投影画像は文字、グラフからなる静止画像、及び、風景の静止画像、アニメ動画、実写動画の4種類である。
(c)室内の明るさは、30ルックス(月の明るさ)、70ルックス(労働基準法の雑作業用照明基準)、150ルックス(普通作業)、300ルックス(精密作業)、1000ルックス(精密作業推奨基準)の5水準である。
(d)良好から色あせて見えない、または、明確に色バランスがずれているまでの5段階評価をしてもらい、平均をとり、5から4までを良好(記号○)、4未満3以上をやや不良(記号△)、3未満を不良(記号×)とした。
画質の評価結果を図44の表に示す。
図44に示す表から明らかなように、実施例14は、室内の明るさ30ルックスから1000ルックスまでにおいて実写動画まで良好に投影可能であることがわかった。
また、比較例14は、室内の明るさが30ルックスの時は、実写動画まで使用可能であることが分かった。また室内の明るさが150ルックスまでは、若干の画質劣化はあるものの、風景静止画まで使用可能であった。少なくとも文字静止画、すなわち、ビジネスプレゼンテーション用としては十分である。
すなわち、空気と発熱部品との間での熱交換の促進を図り、発熱部品(各LEDランプ)の温度上昇を減少させることにより、輝度の低下、カラーバランスのすれを減少させ、より明るいところで、または、より自然に近い形の画像を高画質で投影できることがわかった。
次に、本発明のプロジェクタの第10の実施形態例について説明する。
図45及び図46は、第10の実施形態例に係るプロジェクタ200を示す図であり、このプロジェクタ200は、光変調手段(ライトバルブ)として、1つの透過型液晶パネルを備えた単板式透過型液晶プロジェクタである。
プロジェクタ200は、光源201、ホーン型リフレクタ202、ライトバルブ(透過型液晶パネル)203、及び投射系204等を備えて構成されている
なお、電源回路(電源ユニット)は本体とは別に配されている。
すなわち、本例では、光源201から離れる方向とリフレクタ202の軸方向とが一致しており、ヒートシンク210は、リフレクタ202の軸方向に沿って、光源201に近い部分ほど表面積が大きく、遠い部分ほど表面積が小さくなるように形成されている。
次に、先の図45及び図46に示す第10の実施形態のプロジェクタ200について、熱対策技術の効果について調べた(実施例15)。
なお、以後の説明において図中の寸法の単位は「mm」である。
図45及び図46に示す点P1:発熱部品(LEDランプ)の発光部(発熱部)、点P2:ヒートシンクの発熱部に最も近いところ、点P3:ヒートシンクの発熱部に最も遠いところ、に熱電対を貼り付け温度を測定した。
なお、LEDランプの上限温度は90℃であり、これを超えると破損したり、寿命が短くなるため、28.8Ω(12Vで0.42A、即ち5W発熱)の抵抗器(ニッコーム株式会社製電力用金属被膜抵抗RNP-5タイプ、ヒートシンク接続構造有り)をランプの代わりの発熱部品として用いた。
また、外部からの風の影響を除去し、大気が自然対流になるように、ユニットを1m四方の透明なアクリル樹脂製の箱に入れた。環境温度は恒温室を用い35℃に保った。
電源投入から30分後に温度上昇は飽和に達した。その時の温度を図47の表の実施例15に示す。なお、図47の表にはヒートシンクの羽根(フィン)が配列している底面の面積も合わせて示す。この底面積は、ヒートシンクのフィンの表面積(伝熱面・放熱面の面積)の合計に比例している。
図48に比較例のプロジェクタを示す。
図48に示すプロジェクタ(比較例15)は、図45及び図46に示すプロジェクタ(実施例15)に対して、ヒートシンクの表面積を発熱部品(光源(LEDランプ))からの距離に関わらず一定としたものである。他の構成は、図45及び図46に示すプロジェクタと同じである。
なお、実施例15と比較例15との間で、ヒートシンク全体の表面積は同一である。
また、LEDランプは実施例15と同じものを用いた。
電源投入から30分後に温度上昇は飽和に達した。その時の温度を図47の表の比較例15aに示す。
なお、図47の表より、発熱部点P4の温度が上限値の90℃を超えてしまったので、L1の長さを増加させることにより、ヒートシンク底面積(表面積に比例)を増加させて温度を測定した。その測定結果を図47の表の比較例15b、15cに示す。
Claims (5)
- 複数の発熱部品と、
放熱体と、
前記複数の発熱部品と前記放熱体とを熱的に接続する伝熱部材と、
前記複数の発熱部品を覆う筐体と、を備え、
前記複数の発熱部品は、発熱量が大きい順に、前記放熱体に至るまでの前記伝熱部材上での熱的な距離が短く、
前記複数の発熱部品と前記筐体とが熱的に接続され、
前記筐体には、吸気孔と、前記吸気孔に比べて上方に配される排気孔とが設けられている、ことを特徴とするプロジェクタ。 - 前記排気孔は、前記筐体の上面に設けられることを特徴とする請求項1に記載のプロジェクタ。
- 前記排気孔の開口面積は、前記吸気孔の開口面積に比べて大きいことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のプロジェクタ。
- 前記複数の発熱部品は、鉛直方向に関して前記吸気孔と前記排気孔との間に配されることを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれかに記載のプロジェクタ。
- 前記吸気孔及び前記排気孔は、屈曲した流路を有することを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれかに記載のプロジェクタ。
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