[第1実施形態]
以下、図面を参照して本発明の第1実施形態を詳細に説明する。
図1には、本実施の形態に係る画像表示媒体および画像表示媒体に画像を形成するための画像形成装置が示されている。
第1の実施の形態に係る画像形成装置12は、図30に示すように電圧印加手段201を備えている。画像表示媒体10は、画像が表示される側の表示基板14と該表示基板14と対向する非表示基板16との間に、スペーサ204と黒色粒子18及び白色粒子20とが封入された構成となっている。表示基板14及び非表示基板16には、後述するように透明電極205が付されているが、非表示基板16の透明電極205は接地されており、表示基板14の透明電極205は電圧印加手段201と接続されている。
次に、画像表示媒体10の詳細について説明する。画像表示媒体10の外側を構成する表示基板14および非表示基板16には、例えば50×50×1.1mmの透明電極ITO付き7059ガラス基板を使用する。ガラス基板の粒子と接する内側表面206はポリカーボネート樹脂(PC-Z)で厚さ5μmでコートされている。40×40×0.3mmのシリコンゴムプレート204の中央部を15×15mmの正方形に切り抜いて空間を形成し、このシリコンゴムプレートを非表示基板16上に設置する。イソプロピルトリメトキシシラン処理したチタニアの微粉末を重量比100対0.4の割合で混合した体積平均粒径20μmの酸化チタン含有架橋ポリメチルメタクリレートの球状微粒子(積水化成品工業(株)製テクポリマーMBX−20−ホワイトを分級)と、体積平均粒径20μmのカーボン含有架橋ポリメチルメタクリレートの球状微粒子(積水化成品工業(株)製テクポリマーMBX−20−ブラックを分級)、とを重量比2対1の割合で混合し、この混合粒子約15mgを前記シリコンゴムプレートの正方形に切り抜いた空間にスクリーンを通して振るい落とす。その後、このシリコンゴムプレートに表示基板202を密着させ、両基板間をダブルクリップで加圧保持して、シリコンゴムプレートと両基板とを密着させ、画像表示媒体10を形成する。
上記画像表示媒体10の駆動状態を図31を用いて説明する。表示基板14の透明電極に直流電圧200Vを印加すると、非表示基板16側にあったマイナスに帯電された白色粒子の一部が電界の作用により表示基板14側へ移動し、直流電圧500V以上を印加すると表示基板14側へ多くの白色粒子が移動して表示濃度がほぼ飽和する。この時、プラスに帯電された黒色粒子は非表示基板16側へ移動する。ここで、電圧を0としても、表示基板上の粒子は移動せず、表示濃度に変化はなかった。
次に、表示基板14の透明電極上に直流電圧−100Vを印加しても粒子は移動しない。表示基板14の透明電極に直流電圧−200Vを印加すると、非表示基板16側にあったプラスに帯電された黒色粒子の一部は電界の作用により表示基板14側へ移動し、さらに直流電圧−500V以上を印加すると表示基板14側へ多くの黒色粒子が移動して表示濃度がほぼ飽和する。この時、マイナスに帯電された白色粒子は非表示基板16側へ移動する。ここで、同様に電圧を0としても、表示基板上の粒子は移動せず、表示濃度に変化はなかった。
以上のように、印加する電圧の大きさに対して粒子が移動しない不感帯が存在し、粒子移動に対する電圧のしきい値が存在する。この特性は単純マトリックス駆動に適している。
次に第1実施の形態の作用について説明する。
イソプロピルトリメトキシシラン処理したチタニアの微粉末を添加混合された白色粒子20は、黒色粒子18および基板内側表面206との摩擦帯電により、適正な負極性に帯電する。白色粒子20の平均帯電量は −16fC、黒色粒子18の平均帯電量は +16fC であった。このときの基板内側表面はポリカーボネート樹脂(PC-Z)である。基板内側表面206の材質は粒子の帯電極性に大きな影響を及ぼすので、適宜選択しなければならない。上記のシラン処理されたチタニアの微粉末は粒子の帯電性を、高すぎない適性レベルに押さえ、また粒子の流動性を高いレベルに保つ作用がある。
チタン化合物の添加量は粒子の粒径と微粉末の粒径の兼ね合いから適宜調整される。添加量が多すぎると白色粒子表面から遊離した微粉末が発生し、これが一部の黒色粒子18の表面に付着して、黒色粒子18と白色粒子20の帯電極性が同じになり、電界に対して同方向へ移動するので、好ましくない。チタン化合物の量は、粒子の粒径等により変化するが、粒子100重量部に対して、0.05〜1.0重量部、より好ましくは0.1〜0.5重量部である。
また、粒子への微粉末の添加は白色粒子20、あるいは黒色粒子18のどちらか一方にのみ行うことが望ましい。複数の粒子に其々異なる極性の微粉末を外添した場合、遊離した異極性の微粉末が強固に凝集して粒子の凝集体を形成しやすく、この凝集体は電界で移動せず、画質劣化になる。2種類以上の粒子に微粉末を添加する場合は、粒子表面に微粉末を衝撃力で打込んだり、粒子表面を加熱して微粒子を粒子表面に固着して、遊離し難くすることが望ましい。
また、本実施の形態で用いる粒子の形状は真球であるため、粒子間の接触はほぼ点接触、および粒子と基板内側表面との接触もほぼ点接触であり、粒子間および粒子と基板内側表面206とのvan der Walls力に基づく付着力が小さい。従って、基板内側表面206が誘電体であっても電界により帯電粒子が基板内を円滑に移動できる。
また、隠ぺい力が高い無機顔料のひとつである酸化チタンを含有した粒子を用いるので、基板内側表面206を面積率70%でほぼ全面をカバーする白色粒子20が高い白色濃度を与えることができる。図32に白色粒子20の面積率、黒色粒子18の面積率と表示濃度との関係を示す。この時の白色粒子20と黒色粒子18の混合比率は2:1である。面積率70%でほぼ全面を覆い、飽和濃度に近い。
また、白色粒子20と黒色粒子18の粒子径をほぼ同等にすることで粒子間の付着、凝集が回避されるので、高い白色濃度および黒色濃度が得られる。一方の粒径が小さいと、大きな粒子の周囲に付着して本来の色濃度を下げる。また、コントラストは白黒粒子の混合比によっても変化する。2粒子の表面積が同等になる混合比率の近傍が望ましい。これから大きくずれると比率の多い粒子の色が強くなる。但し、同色で濃い色調の表示と淡い色調の表示でコントラストを付けたい場合や、2種類の着色粒子が混合して作り出す色で表示したい場合はこの限りではない。
次に、他の物質を列記する。粒子に混合する微粉末は、酸化ケイ素(シリカ)、酸化チタンなどが知られている。これらは、シラン化合物、シランカップリング剤、あるいはシリコーンオイルを反応、乾燥させて変性し、正負の帯電性、流動性、環境依存性などを調整されている。よく知られている疎水性シリカや疎水性酸化チタンを用いることができる。特に、特開平10−3177号公報記載のTiO(OH)2とシランカップリング剤のようなシラン化合物との反応で得られるチタン化合物が適している。このチタン化合物は、湿式工程の中で作製されるTiO(OH)2 にシラン化合物あるいはシリコーンオイルを反応、乾燥させて作製される。数百度という焼成工程を通らないため、Ti同士の強い結合が形成されず、凝集が全くなく、粒子はほぼ一次粒子の状態である。さらに、TiO(OH)2にシラン化合物あるいはシリコーンオイルを直接反応させるため、処理量を多くすることができて、シラン化合物の処理量の大小で帯電を制御でき、且つ付与できる帯電能も従来の酸化チタンに対し、大きく改善されているものである。
ここでシラン化合物としてはクロロシラン、アルコキシシラン、シラザン、特殊シリル化剤のいづれのタイプを使用することも可能である。また、シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、α−メチルスルホン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル等が挙げられる。白色粒子20としては、上記の酸化チタン含有架橋ポリメチルメタクリレートの球状微粒子(積水化成品工業(株)製MBX−ホワイト)のほかに、架橋ポリメチルメタクリレートの球状微粒子(綜研化学(株)製ケミスノーMX)に酸化チタン顔料の微粉末を添加し混合したもの、さらに衝撃力によりこの球状微粒子に白色顔料微粉末を打込み微粒子表面に固定化したもの、さらにスチレン樹脂やフェノール樹脂やシリコーン樹脂やガラスなど各種材料からなる母粒子の表面に白色顔料の微粉末を付着させたり、埋め込んだりした粒子が挙げられる。架橋ポリメチルメタクリレートの球状微粒子(綜研化学(株)製ケミスノーMX)は単分散で粒径が揃っており、各粒子の帯電性が均一で、電界に対する粒子移動のしきい値がよりシャープになるとともに、高いコントラストが得られる。白色顔料は、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛などが挙げられる。また、白色粒子として、空気を内包した多孔質のスポンジ状粒子や中空粒子も挙げられる。また、複写機やプリンタに用いられるトナー、特に重合法や懸濁法などの湿式法によって作成される球状粒子も挙げられる。
黒色粒子18としては、上記の架橋ポリメチルメタクリレートの球状微粒子(積水化成品工業(株)製MBX-ブラック)のほかに、ジビニルベンゼンを主成分とする架橋共重合体からなる真球状粒子(積水化学工業(株)製ミクロパールBB、ミクロパールBBP)、フェノール樹脂粒子を焼成したアモルファスカーボンの微粒子(ユニチカ製 ユニベックスGCP)、炭素及び黒鉛質の球状微粒子(日本カーボン(株)製ニカビーズICB、ニカビーズMC、ニカビーズPC)があげられる。さらにまた、白色、黒色の粒子のほかに、赤色や青色や緑色やマゼンタやシアンやイエローや金色や銀色など有色の粒子を用いることができる。例えば、架橋ポリメチルメタクリレートの球状微粒子(積水化成品工業(株)製MBX-レッド)、ジビニルベンゼンを主成分とする架橋共重合体からなる微粒子の表面に無電界ニッケルメッキを行ったのち金置換メッキを施した真球状導電性粒子(積水化学工業(株)製ミクロパールAU(商品名))などがある。また、複写機やプリンタに用いられるトナー、特に重合法や懸濁法などの湿式法によって作成される球状粒子も挙げられる。
一例として、マゼンタ色の球状粒子は次のように調整される。ポリエステル樹脂100重量部、C.I.ピグメントレッド57を4重量部、酢酸エチル110重量部をボールミルで48時間分散してA液とし、一方、カルボキシメチルセルロース2%水溶液を100重量部調整し、B液とする。次に乳化器でB液100重量部を攪拌し、その中にA液50重量部をゆっくり投入して混合液を懸濁した。その後減圧下で酢酸エチルを除去し、水洗、乾燥、分級してマゼンタ色の粒子を得た。粒子の平均粒径は7μmであった。この赤色粒子と前記の白色粒子とを1:5の重量比で混合し、基板間に封入して電界をかけることにより、赤色と白色のコントラストのある表示が得られた。
上記により、良好な帯電性、流動性、環境安定性、に優れた粒子群が得られ、この粒子群が封入された基板間に電界を付与し、粒子群を移動することにより、高い黒色濃度と白色濃度が得られ、高いコントラストの表示ができる。
(実施例1)
次に第1実施形態の実施例について説明する。
第1実施形態の画像表示媒体10に関し、充填率と白色粒子20及び黒色粒子18の基板間の移動特性の充填量および充填率の依存性を実験し、表1の結果を得た。なお、黒色粒子18の平均粒径は20μm、白色粒子20の平均粒径は20μmであり、黒色粒子18と白色粒子20の混合割合は、1:2(重量比)とした。この時、黒色粒子18の真比重は1.23、白色粒子20の真比重は1.85であった。また、充填率は、(粒子体積の総和/基板間体積)で表される。
表1の結果から、粒子の充填率を50%以下となるように粒子群の粒子を封入するとすれば各粒子が基板間を移動可能となることがわかった。また、充填率を40%以下とすることで画像のコントラストをとることできる程度に粒子を移動させることが可能となり、特に充填率を25%以下とすることにより、粒子をより移動しやすくすることができることがわかった。
また、充填量3mg/cm2未満では、例7のように、黒色濃度は1.2とやや低くなる。充填量3.8mg/cm2以上にすると、図41に示すように、表示基板面に付着する粒子の投影面積率は70%以上になり、略1層の粒子層が基板内面に形成され、十分な黒色濃度(1.4以上)が形成される。さらに好ましい充填量は、6〜12mg/cm2である。従って、濃度の観点から充填量は略3mg/cm2以上必要である。図42に示したように、基板間空隙を拡大すればより低い充填率でも十分な濃度を得ることができるので、充填率の下限は基板間空隙の大小に依存する。例12のように基板間距離を15mmとしたとき、充填率0.12%で充填量は略3mg/cm2となる。従って、濃度の観点から充填率は略0.1%以上必要である。
また、表示濃度の観点から基板間に充填される粒子の好ましい充填状態は、表示基板面に付着する粒子の投影面積率が30%以上(表示黒濃度は0.8以上)、好ましくは50%以上(表示黒濃度は1.2以上)、より好ましくは60%以上(表示黒濃度は1.3以上)となることである(図41参照)。
なお、表1及び図42で示した充填量は第1実施形態の画像表示媒体10における値であり、用いる粒子の比重により変わる値である。
(実施例2)
次に、混合された粒子群を、表示基板内面材料(ポリカーボネート樹脂)で被覆した内壁を持つサンプル瓶に封入し、攪拌装置で帯電量が飽和するまで十分攪拌した後に、帯電量測定装置(Charge Spectrograph)で測定した各粒子の平均帯電量を測定した。また、上記粒子群を基板間に封入して基板間に電圧を印加して粒子の電界移動性、および表示濃度を調査した。結果を以下に示す。
平均粒子径20μmの各粒子の平均帯電量が5〜60fC/個で、粒子は分離して異方向へ基板間を移動し、十分な表示濃度を示した。一方平均帯電量が3fC/個では、粒子は分離して異方向へ基板間を移動するものの、十分な表示濃度を示さなかった。また、粒子の帯電極性が同極性で平均帯電量も同等の場合はやはり分離せず、同じ方向へ移動し表示濃度コントラストが取れなかった。さらに、帯電量が165fC/個では粒子は分離せず、凝集体となり同じ方向へ移動し、表示濃度コントラストも小さくなってしまった。
各粒子の平均帯電量(fC/個)はおおよそ粒子の平均粒子径2rの二乗に比例し、平均粒子径が小さいほど平均帯電量(fC/個)は小さくなる。したがって、これを加味すると、おおむね粒子の平均帯電量は5×(r2/102)fC/個以上、150×(r2/102)fC/個以下とすることが、画像表示に必要な表示濃度コントラストを得るのには好ましいことがわかった。
[第2実施形態]
以下、図面を参照して本発明の第2実施形態を詳細に説明する。
図33には、本実施の形態に係る単純マトリックスを用いた画像表示媒体401および画像表示媒体10に画像を形成するための画像形成装置12が示されている。電極403An及び404Bn(nは正数)を単純マトリックス構造にし、電極403An、404Bnによって挟まれた空間に帯電性の異なる複数の粒子群を封入し、波形発生装置405B及び電源405Aにより構成された電界発生装置405により、各電極403An、404Bnに電位を発生させ、シーケンサ406によって電極の電位駆動タイミングを制御して、各電極の電圧の駆動を制御し、片方の面の電極403A1〜Anには1行単位で粒子が駆動できる電界を付与し、他方の面の電極B1〜Bnには画像情報に応じた電界を面内同時に付与させることができる。
図34、図35、図36に図33の任意の面での画像形成部の断面を示す。粒子は、電極面あるいは基板面に接触しており、基板の少なくとも一方の面は透明で粒子の色を外部から透過してみることができるものである。電極403A,404Bは、図34、図35に示すように基板に埋めこまれて一体化しても、図36のように基板と分離した形態をとってもよい。
上記の構成で、単純マトリックス駆動を行なう例を挙げて、図37を用いて作用を説明する。着色粒子に黒の着色粒子を用い、白色粒子20が負帯電、黒色粒子18が正帯電とし、白黒表示を表す例を示す。粒子の移動する電界のしきい値を±E0とする。すなわち図38のような表示濃度と電界の関係を示す粒子群を用いる。表示面は列側にあるものとし、表示面側へ向う電界を正とする。駆動を行なう行をAk、任意の列をBkとする。駆動電圧VAkは電極403Aに付与するが、粒子は粒子の帯電量と基板間の電界によって作用される。そこで、粒子が接触している基板内面の表面電位を規定し、駆動に寄与する行を表面電位VA+、行なわない行を表面電位VA-とする。電極404Bの駆動電圧VBkも同様に粒子が接触している基板内面の表面電位を規定し、白色表示を行なう列を表面電位VB+、行なわない列には表面電位VB-とする。また基板間の距離をdとする。
次に、各電界における粒子移動のメカニズムを示す。駆動を行なう行では、行のストライプにVA+の電位、列のストライプには駆動行の表示内容に応じてVB+、VB-、の電位が生じる。そのとき、基板間にかかる電界は以下で示される。
E1=(VB+−VA+)/d、 E2=(VB-−VA+)/d …(1)
また、白色表示を行なうためには電界を正のしきい値よりも大にしなければならないので以下の条件が必要となる。
E1>E0 …(2)
同様に黒色表示では電界を負のしきい値よりも小にしなければならないので以下の条件が必要となる
E2<−E0 …(3)
ここで、あらかじめ全面に黒表示となるようになっていた場合、白粒子が移動しなければ良いため、列側に強い正電界が生じなければよい。すなわち、以下の条件でもよい。
E1>E0>E2 …(4)
駆動を行なわない行において図39に示すように、行のストライプにVA-の電位、列のストライプには駆動行の表示内容に応じてVB+、VB-の電位が生じる。そのとき、基板間にかかる電界は以下で示される。
E3=(VB+−VA-)/d、 E4=(VB-−VA-)/d …(5)
駆動を行なわないためには粒子が表示色によらず固定されていなければならない。
よって、電界は正負にかかわらず閾値よりも小さくなければならない。すなわち以下のようになる。
|E3|<E0、 |E4|<E0 …(6)
以上から、((2)、(3)または(4))かつ(6)を満足するような電界の設定を行なうことにより、単純マトリックス駆動による表示が可能になる。
なお、粒子は電界に対して移動のしきい値を持つものであれば駆動は可能であり、粒子の色、帯電極性、帯電量、形状などの制限を受けるものではない。
(実施例1)
次に第2実施形態の実施例について説明する。
画像表示媒体10の外側を構成する表示基板電極403Aおよび非表示基板電極404Bには、4mmピッチストライプ8本からなる透明電極ITO付き7059ガラス基板(40×50×1.1mm)を使用した。ガラス基板の粒子と接する内装面はポリカーボネート樹脂で厚さ5μmでコートされている。40×40×0.3mmのシリコンゴムプレートの中央部を15×15mmの正方形に切り抜いて空間を形成し、このシリコンゴムプレートを非表示基板403上に設置する。イソプロピルトリメトキシシラン処理したチタニアの微粉末を重量比100対0.1の割合で混合した体積平均粒径20μmの酸化チタン含有架橋ポリメチルメタクリレートの球状微粒子(積水化成品工業(株)製テクポリマーMBX−20−ホワイトを分級)と、体積平均粒径20μmのカーボン含有架橋ポリメチルメタクリレートの球状微粒子(積水化成品工業(株)製テクポリマーMBX−20−ブラックを分級)、とを重量比2対1の割合で混合し、この混合粒子約25mgを前記シリコンゴムプレートの正方形に切り抜いた空間にスクリーンを通して振るい落とす。その後、このシリコンゴムプレートに表示基板電極403Aを非表示基板電極404Bとがマトリックス状になるよう配置して密着させ、両基板間をダブルクリップで加圧保持して、シリコンゴムプレートと両基板とを密着させ、画像表示媒体10を形成する。このとき電極間距離は0.3mmとなる。
次に、駆動に必要な電位設定を先に述べたメカニズムに対応した例で示す。
駆動寄与する行をVA+=−400V、寄与しない行をVA-=0V、白表示を行なう列をVB+=+400V、黒表示を行なう列をVB-=0Vとして、マトリックス駆動を行なった。本実施例の構成では、粒子移動のための閾値は±500VであることからE0=1.67MV/mとなる。同様にE1=2.67MV/m、E2=1.33MV/m、E3=1.33MV/m、E4=0MV/mとなる。
(4)式、(6)式を満たすので、マトリックス駆動が可能になる。ここでは、(4)式を満たす方法を用いたため、あらかじめ全面黒表示をする電界EX=−2.67MV/mとなるように全面の駆動をした後に表示駆動をおこなった。
その結果、1行あたり0.1秒の駆動時間で単一画素とまったく同じ濃度コントラストの任意の模様の作成ができた。
(実施例2)
次に、多数のストライプおよび電極間距離を縮めたITO透明基板を用いて、駆動電圧を減じた駆動例を示す。
粒子の組み合わせは実施例1と同様で、ITO電極を行側に0.4mmピッチ480本のストライプを埋めこんだもの、列側に0.4mmピッチ640本の電極を埋めこんだものを用い、駆動ドライバとして行側には日立製ECN2112を15個、列側にはECN2001を20個並列に並べて行なった。電極間距離は0.12mmである。
実施例1同様、VA+=−160V、VA-=0V、VB+=+50V、VB-=0Vで実験をおこなった。E1=1.75MV/m、E2=1.33MV/m、E3=0.42MV/m、E4=0MV/mで(4)式、(6)式を満たしている。(4)式を満たす方法を用いたため、あらかじめ全面黒表示をする電界EX=−1.75MV/mとなるように全面の駆動をした後に表示駆動をおこなった。その結果、1行あたり5msecの駆動時間で画像の表示を行なうことを確認できた。
[第3実施形態]
以下、図面を参照して本発明の第3実施形態を詳細に説明する。
ここでは図40を用いて、画像情報に応じた電界を付与する直前に画像表示媒体に交番電界の付与を行う方法を説明する。電極403A、 404Bを単純マトリックス構造にし、両電極によって挟まれた空間に帯電性の異なる複数の粒子群を封入する。電界発生装置402により各電極403A、 404Bに電位を発生させ、シーケンサ406によって電極の電位を制御する。片方の面の電極403Aには画像情報に応じた電界を面内同時に付与し、他方の面の電極404Bには1行単位で粒子が駆動できる電界を付与させる。その際、電界発生装置は増幅装置407および波形発生装置405Bとリレー409からなっており、リレー409はON信号によってすべての電極404Bを短絡させることができるものである。また波形発生装置405BはトリガON信号によって決められた波形を発生するものである。
次に全面に交番電界をかける作用を説明する。リレー409がON状態になると一方の電極404B面全面が同電位になり、イニシャライズ用の電位がシーケンサ406から投入される。A面、もしくはB面に波形発生装置405Bによって作成された電源405Aは、例えば波形発生装置(Wavetek社製)からくる波形を高圧電源により増幅して基板間に交番電界を付与し、粒子を強制的に振動させる。これにより粒子が帯電して電界によって移動しやすくなる。
その際、粒子と基板あるいは粒子同士の付着を引き剥がすことが必要であるため、剥離するための衝撃力に近いものを与える必要がある。粒子が静止している場合、電界による力によって粒子が付着している状態を脱しなければならない。その際、電界を徐々に増やすような方法を取るすなわち電界の波形を正弦波など徐々に強くなるようなものを用いると強固に付着した粒子をはがすことができない。そのため、電界の波形を矩形波にすることにより、一種の衝撃波が発生したような状態になって膠着した粒子を引き剥がす力が生じる。ここで、発生させる交番電界が矩形波であることからわかるように、矩形の一部を接地状態としても良い。この場合は間欠的な直流電界の発生となるが、作用はまったく変わらない。
次に、粒子が空中に存在する場合、粒子に加わる力は電界による鏡像力qEのみで対向面に力をかけつづけたまま付着する。このときの付着力Fv1は鏡像力に対する抗力となるため、付着した粒子を再び引き離すには付着したときに電界によって与えられた力qE1以上の力が必要となる。すなわち、E1以上の電界を付与すれば移動が可能になる。
そこで、交番電界の振幅を徐々に減ずることにより、粒子の基板間移動によって付着した付着力を減じ、かつ交番電界によって粒子同士、粒子と基板の接触による摩擦帯電を促し粒子の帯電量を増加させることにより粒子の電界による移動がしやすい状態にすることができる。
[第4実施形態]
以下、図面を参照して本発明の第4実施形態を詳細に説明する。
図1には、本実施の形態に係る画像表示媒体10及び画像表示媒体10に画像を形成するための画像形成装置12が示されている。
画像表示媒体10は、画像が表示される側の表示基板14と該表示基板14と対向する非表示基板16との間に互いに色が異なる粒子18及び粒子20が封入された構成となっている。また、表示基板14及び非表示基板16は誘電体で構成されている。
ここで、表示基板14及び非表示基板16に用いられる誘電体としては、絶縁性の樹脂があげられる。また、自己支持性のあるフィルムが望ましく、例えば、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等がある。
また、粒子18、20は、一方が絶縁性であればもう一方の粒子は導電性、正孔輸送性、電子輸送性、絶縁性のいずれの性質を持っていても良い。導電性粒子の材料としては、例えば、カーボンブラック、ニッケル、銀、金、錫、ステンレス等の金属やITO等の合金、酸化チタン等の無機顔料があり、導電性粒子は、これらを成分とする粒子やこれらを他の微粒子表面に被覆したり、含有したりした粒子である。具体的には、ジビニルベンゼンを主成分とする架橋共重合体からなる微粒子の表面に無電界ニッケルメッキを行った真球状導電性粒子(積水化学工業製ミクロパールNI(商品名))、さらにその後、金置換メッキを施した真球状導電性粒子(積水化学工業(株)製ミクロパールAU(商品名))があげられる。また、熱硬化性フェノール樹脂を炭素化焼成して得られるアモルファスカーボンの真球状導電性粒子(ユニチカ(株)製ユニベックスGCP、H-Type(商品名):体積固有抵抗≦10-2Ω・cm)、さらに金、銀などの金属を表面被覆した真球状導電性粒子(ユニチカ(株)製ユニベックスGCP(商品名):体積固有抵抗≦10-4Ω・cm)、シリカ、アルミナの真球状酸化物微粒子の表面にAg及び酸化錫をコーティングした真球状導電性粒子((株)アドマテックス製アドマファイン(商品名))、あるいはスチレンやアクリルやフェノール樹脂やシリコーン樹脂やガラスなど各種材料からなる母粒子の表面に導電性の微粉末を付着させたり、埋め込んだりした粒子があげられる。また、異なる色の粒子として、シアン、マゼンタ、イエロー、レッド、グリーン、ブルーなどの有色の粒子のほかに、白色あるいは黒色の無色の粒子も含む。白色あるいは黒色の粒子としては、ジビニルベンゼンを主成分とする架橋共重合体からなる真球状粒子(積水化学工業製ミクロパールSP、ミクロパールBB(商品名))、架橋ポリメチルメタクリレート(架橋ポリメタクリル酸メチル)の微粒子(積水化成品工業(株)製MBX-20ブラック、ホワイト(商品名)など)、架橋ポリアクリル酸エステルの微粒子(積水化成品工業(株)製ARX-15ブラック、ホワイト(商品名)など)、架橋ポリメタクリル酸ブチルの微粒子(積水化成品工業(株)製BMX-15ブラック、ホワイト(商品名)など)、ポリテトラフルオロエチレンの微粒子(ダイキン工業(株)製ルブロンL、Shamrock Technologies Inc.製 SST-2(商品名))、シリコーン樹脂微粒子(東芝シリコーン(株)製トスパール(商品名))などがあげられる。
また、絶縁性粒子の材料としては、絶縁性の樹脂や無機物質等がある。例えば、ポリスチレン、ポリエステル、アクリル、シリコーン等の樹脂、エンジニアリングプラスチック、ガラス、セラミックス等の無機物質がある。
また、正孔輸送機能をもつ材料としては、ヒドラゾン化合物やスチルベン化合物、ピラゾリン化合物、アリールアミン化合物等がある。電子輸送機能を持つ材料としては、フルオレノン化合物、ジフェノキノン誘導体、ピラン化合物、酸化亜鉛等がある。
なお、本実施の形態では、粒子18は黒色の黒色粒子18、粒子20は白色の白色粒子20であり、以下のような特性を有する。
また、基板間に黒色粒子18と白色粒子20とがほぼ等量で、かつ空隙中の体積充填率が50%以下となるように封入されれば画像表示が可能となるが、40%以下とした方が画像のコントラストがよくとれるため好ましい。また、それぞれの粒子は仕事関数が異なり、仕事関数の大きい黒色粒子18は相互の接触により正帯電し、仕事関数の小さい白色粒子は相互の接触により負帯電する。
また、導電性粒子の表面に正孔輸送機能、もしくは電子輸送機能をもつ材料を被覆することによりそれぞれの機能を持つ粒子を生み出すことができる。
粒子が絶縁性の場合には基板の電気的性質が絶縁、導電、正孔輸送、電子輸送のいずれの性質においても粒子への電荷注入は行われず、粒子の摩擦帯害の極性に応じて、基板間の電界によって移動した。例えば、基板を絶縁性のポリカーボネート樹脂でコートした電極で挟んだ空間に2種類の架橋ポリメチルメタクリレートの絶縁性球状微粒子(積水化成品工業製MBX−ブラックおよびホワイト)を封入した場合、基板表面の性質がいずれのものであっても電界に応じて2種類の粒子は互いに異なる基板へ移動した。また、電荷輸送性を持つ基板、粒子でも基板から粒子へ電荷注入が行われない場合には上記と同様の結果を得た(図44に示す上記A丸1の例参照)。
また、一方の粒子が基板からの電荷注入を受ける場合においても、前記仕事関数の相違が粒子間に存在するため粒子相互の接触によって絶縁性粒子は帯電する。たとえば、一方の基板を正孔輸送性を持つ電極、他方の基板を絶縁性ポリカーボネート樹脂でコートした電極で挟んだ空間に真球状導電性粒子(積水化学工業製ミクロパールAU)、および架橋ポリメチルメタクリレートの絶縁性球状微粒子(積水化成品工業製MBX―ホワイト)に負極性外添剤を添加した粒子を混合して封入した例では、負極性に帯電した絶縁性粒子は基板間の電界にしたがって移動した。一方、導電性粒子は正孔輸送性を持つ電極からの正孔注入によって正極性に帯電し、負極の絶縁性基板へ移動して付着した。電界を切り替えるとそれぞれの粒子は互いに逆方向へ移動した。
よって絶縁性の基板面(表示面)から粒子の状態を見ると、表示面が負極のとき導電性の粒子により金色が表示され、表示面が正極のとき絶縁性粒子が表示面に付着して白色を表示した(図45に示す上記B’丸1の例参照)。
また、一方の粒子が基板からの電荷注入を受ける場合においても、前記仕事関数の相違が粒子間に存在するため粒子相互の接触によって絶縁性粒子は帯電する。たとえば、一方の基板をITO電極、他方の基板をポリカーボネート樹脂でコートした電極で挟んだ空間に真球状導電性粒子(積水化学工業製ミクロパールAU)、および架橋ポリメチルメタクリレートの絶縁性球状微粒子(積水化成品工業製MBX―ブラック)を混合して封入した側では、帯電した絶縁性粒子は基板間の電界にしたがって移動した。本実施例では絶縁性粒子は正に帯電して負極に移動した。一方、導電性粒子は電極から受ける電荷注入によって導電性の電極から注入を受け、絶縁性の基板にすべての粒子が付着した。
よって絶縁性の基板面(表示面)から粒子の状態を見ると、表示面が負極のとき絶縁性の粒子と導電性の粒子が混合して黒く表示され、表示面が正極のとき導電性粒子が表示面に付着して金色を表示した(図46に示す上記B’丸3の例参照)。
また、基板が双方導電性であった場合、図47に示すように導電性粒子は電界付与によって双方の基板から電荷注入を受け振動したが、電界を停止すると同時に粒子の移動も停止するため、導電性粒子は双方の基板に均等に付着した。しかし、絶縁性粒子は電界に応じて一方の基板に付着するため表示面には黒および金自の表示が行われた(図47に示す上記B丸2の例参照)。
2種類の粒子がともに電荷注入による帯電を行ない、帯電極性が定まらない場合、粒子の帯電極性がともに一定しないため、どちらの基板に向かうか不定となりコントラストがとれない。また、色の異なる粒子同士で電荷を交換し合い中和されるため移動しなかった(図43に示す空欄の例)。
画像形成装置12は、印字電極11、対向電極26、電源28等を備えている。
図1及び図2(A)に示すように、印字電極11は、基板13と、直径が例えば100μmの複数の電極15とから構成される。
また、複数の電極15は、図2(A)に示すように、基板34の片側の面に画像表示媒体10の搬送方向(図中矢印B方向)と略直交する方向(すなわち、主走査方向)に沿って画像の解像度に応じて所定間隔に1列に並べられている。電極15は、図2(B)に示すように正方形でもよいし、図2(C)に示すようにマトリックス状に配置されていてもよい。
各電極15には、図3に示すように、AC電源17AとDC電源17Bとが接続制御部19を介して接続されている。接続制御部19は、一端が電極15に接続され、かつ、他端がAC電源17Aに接続されたスイッチ21Aと、一旦が電極15に接続され、かつ、他端がDC電源17Bに接続されたスイッチ21Bからなる複数のスイッチで構成されている。
このスイッチは制御部60によりオンオフ制御され、AC電源17A及びDC電源17Bと電極15とを電気的に接続する。これにより、交流電圧や直流電圧、又は交流電圧と直流電圧とを重畳した電圧を印加することができる。
次に、第4の実施の形態における作用を説明する。
まず、画像表示媒体10が図示しない搬送手段により図中矢印B方向へ搬送され、印字電極11と対向電極26との間に搬送されると、制御部60は、接続制御部19に指示して全てのスイッチ21Aをオンさせる。これにより、すべての電極15にAC電源17Aから交流電圧が印加される。
交流電圧が電極15に印加されると、画像表示媒体10内の黒色粒子18及び白色粒子20が表示基板14と非表示基板16との間を往復運動する。これにより、粒子同士の摩擦や粒子と基板との摩擦により黒色粒子18及び白色粒子20は摩擦帯電され、例えば黒色粒子18がプラスに帯電され、白色粒子20は帯電されないか、又はマイナスに帯電される。なお、以下では、白色粒子20はマイナスに帯電されるものとして説明する。
そして、制御部60は、接続制御部19に指示して画像データに応じた位置の電極15に対応するスイッチ17Bのみをオンさせ、画像データに応じた位置の電極15に直流電圧を印加させる。例えば、非画像部に直流電圧を印加し、画像部には直流電圧を印加しないようにする。
これにより、電極15に直流電圧が印加されていた場合、図4に示すように印字電極11が表示基板14と対向する部分にあったプラスに帯電された黒色粒子18は、電界の作用により非表示基板16側へ移動する。また、非表示基板16側にあったマイナスに帯電された白色粒子20は電界の作用により表示基板14側へ移動する。従って、表示基板14側には白色粒子20のみが現れるため、非画像部に対応する部分に画像は表示されない。
一方、電極15に直流電圧が印加されていない場合、印字電極11が表示基板14と対向する部分にあったプラスに帯電された黒色粒子18は、電界の作用に表示基板14側にそのまま維持される。また、非表示基板16側にあったプラスに帯電された黒色粒子20は電界の作用により表示基板14側へ移動する。従って、表示基板14側には黒色粒子20のみが現れるため、画像部に対応する部分に画像が表示される。
これにより、表示基板14側には黒色の粒子18のみが現れるため、画像部に対応する部分に画像が表示される。
このようにして、画像に応じて黒色粒子18及び白色粒子20が移動し、表示基板14側に画像が表示される。なお、白色粒子20が帯電されていない場合、黒色粒子18のみが電界の影響を受けて移動する。画像が表示されない部位での黒色粒子18は非表示基板16に移動し、表示基板14側からは白色粒子20によって隠蔽されるため画像の表示は可能である。また、画像表示媒体10の基板間に発生していた電界が消失した後も、粒子固有の付着力により表示された画像は維持される。また、これらの粒子は、基板間に電界が発生すれば再び移動することができるため、画像形成装置12により繰り返し画像を表示させることができる。
このように、空気を媒体として帯電した粒子を電界により移動させるため、安全性が高い。また、空気は粘性抵抗が低いため、高速応答性を満足させることもできる。
[第5実施形態]
次に、第5実施形態について説明する。
図4に示す画像形成装置12では、画像表示媒体10内の黒色粒子18及び白色粒子20を帯電し、表示基板14側に黒色粒子18を一様に付着させるためのイニシャライザ40を備えている。なお、上記の点以外は、第1の実施の形態で示した画像形成装置12と同一であるため、その詳細な説明を省略する。
イニシャライザ40は、図5に示すように、一対の電極23を備えており、この電極には、交流電源25が接続されている。
交流電源25は、電極23に交流電圧を印加する。これにより、画像表示媒体10内の黒色粒子18及び白色粒子20が表示基板14と非表示基板16との間を往復運動する。これにより、粒子同士の摩擦や粒子と基板との摩擦により黒色粒子18及び白色粒子20は摩擦帯電され、例えば黒色粒子18がプラスに帯電され、白色粒子20は帯電されないか、又はマイナスに帯電される。なお、以下では、白色粒子20はマイナスに帯電されるものとして説明する。
また、交流電圧と直流電圧とを重畳した電圧を印加するようにしてもよい。なお、粒子が基板間に封入した時点で帯電されていた場合や、繰り返し書き換えた場合等により画像形成を行う前から粒子が帯電されていた場合には、粒子間摩擦や粒子と基板間の摩擦により十分に帯電される。
また、図6に示すように、対向する表示基板14、非表示基板16に一対の振動子27を接触させ、これに交流電源29により交流電圧を与えて振動子27を振動させ、これにより粒子を振動させて摩擦帯電するようにしてもよい。
また、図7に示すように、一対の磁気プレート31により粒子を交番磁界で攪拌して粒子間摩擦や粒子と基板表面との摩擦を誘発して粒子を帯電させるようにしてもよい。磁気プレート31は、画像表示媒体10の進行方向にしたがって磁極が次々に変化するものである。このため、磁気吸引される黒色粒子18は磁極ごとに吸引離間を繰り返し、基板内を動き回り粒子同士が接触し、静電的な電荷が粒子に付与される。磁気プレート31は磁性を示して粒子の磁気吸引を促すものであればいかなるものを用いても良く、例えば、磁気プレート31の代わりにコイルを用いて画像表示媒体10の通過時に電流を流すことにより電磁石の作用を用いて磁場を形成し、これにより摩擦帯電させるようにしてもよい。また、画像表示媒体10が磁界を離れる位置で磁界の方向を一定にすることで、例えば黒色粒子18を所望の一方の基板側に付着させることができ、電界による画像形成時の像抜けを防止することができる。また、磁気プレート31の一方の面を他方の面より長くすることにより、一方の面に磁気吸引される粒子を最終的に集めるようにしてもよい。
なお、上記の場合は例えば少なくとも黒色粒子18又は白色粒子20は磁性を帯びていることが必要になる。粒子には例えばコアに磁性を持った粉、シェルに隠ぺい力のある顔料で着色された樹脂からなる粒子を用いることができる。磁性を持たせる物質としてはマグネタイト、フェライト、鉄などの強磁性を示す金属、合金または酸化物の粉末や黒色マグネタイト、γ−ヘマタイト、二酸化クロム、フェライト等の酸化物磁性材料やコバルト、ニッケル等の合金系の金属磁性材料を粉末もしくは薄片を用い、隠ぺい力のある着色材として、カーボンブラックを用いれば黒色粒子、白色顔料たとえば酸化チタンなどを用いることにより白色粒子とすることができる。
ここで、黒色粒子18及び白色粒子20は互いに反対の極性に帯電することが望ましい。互いに反対の極性に帯電させることにより、電界により移動して画像形成する際に、粒子が移動させたい基板と反対の基板へ移動し、付着するのを防止することができる。また、画像部を形成する粒子と非画像部を形成する粒子とが電界によって反対の方向に移動するため、コントラストおよび尖鋭度の高い画像を形成することができる。
次に第5実施形態の作用について説明する。
図4に示す画像表示媒体10が図示しない搬送手段により図中矢印B方向に搬送され、図5に示すようにイニシャライザ40の電極23の間に搬送されると、交流電源25により交流電圧が印加される。
これにより、画像表示媒体10内の黒色粒子18及び白色粒子20が表示基板14と非表示基板16との間を往復運動し、粒子同士の摩擦や粒子と基板との摩擦により黒色粒子18及び白色粒子20は摩擦帯電され、例えば黒色粒子18がプラスに帯電され、白色粒子20がマイナスに帯電される。
そして、画像表示媒体10が印字電極11の位置まで搬送されると、制御部60は、接続制御部19に指示して画像データに応じた位置の電極15に対応するスイッチ21Bのみをオンさせ、画像データに応じた位置の電極15に直流電圧を印加させる。例えば、非画像部に直流電圧を印加し、画像部には直流電圧を印加しないようにする。
これにより、電極15に直流電圧が印加されていた場合、図4に示すように印字電極11が表示基板14と対向する部分にあったプラスに帯電された黒色粒子18は、電界の作用に非表示基板16側へ移動する。また、非表示基板16側にあったマイナスに帯電された白色粒子20は電界の作用により表示基板14側へ移動する。従って、表示基板14側には白色粒子20のみが現れるため、非画像部に対応する部分に画像は表示されない。
一方、電極15に直流電圧が印加されていない場合、印字電極11が表示基板14と対向する部分にあったプラスに帯電された黒色粒子18は、電界の作用に表示基板14側にそのまま維持される。また、非表示基板16側にあったプラスに帯電された黒色粒子20は電界の作用により表示基板14側へ移動する。従って、表示基板14側には黒色粒子20のみが現れるため、画像部に対応する部分に画像が表示される。
このようにして、画像に応じて黒色粒子18及び白色粒子20が移動し、表示基板14側に画像が表示される。なお、白色粒子20が帯電されていない場合、黒色粒子18のみが電界の影響を受けて移動する。画像が表示されない部位での黒色粒子18は非表示基板16に移動し、表示基板14側からは白色粒子20によって隠蔽されるため画像の表示は可能である。また、画像表示媒体10の基板間に発生していた電界が消失した後も、粒子固有の付着力により表示された画像は維持される。また、これらの粒子は、基板間に電界が発生すれば再び移動することができるため、画像形成装置12により繰り返し画像を表示させることができる。
このように、空気を媒体として帯電した粒子を電界により移動させるため、安全性が高い。また、空気は粘性抵抗が低いため、高速応答性を満足させることもできる。
なお、印字電極11に代えて、図8に示すようなマトリックス電極33により電圧を印加するようにしてもよいし、図9に示すように画素電極35により電圧を印加するようにしてもよい(所謂アクティブマトリックス駆動)。
[第6実施形態]
以下、図面を参照して第6実施形態について説明する。
第6実施形態では、図10に示すようなイオン照射ヘッド41を用いた場合について説明する。
イオン照射ヘッド41は、画像表示媒体10と離れた位置で生成した気中イオンを、画像情報にしたがって画像表示媒体10上に照射する。図10に示すように、イオン照射ヘッド41は、気中イオン発生部92とイオン流制御部94から成り、気中イオン発生部92は、例えば図10に示したように電極ワイヤ96に高電圧を印加し、シールド部材98との間でコロナ放電を起こさせることによって、気中イオンを発生させる。またイオン流制御部94は、記録幅方向に所望の解像度に分割して設けられた制御電極100と、気中イオン発生部で発生したイオンを画像表示媒体10上へ照射する開口部102を有しており、制御電極100への印加電圧極性により、発生したイオンの開口部102の通過を制御する。
また、イオン流制御部94は画像表示媒体10と対向して配置され、開口部102を通過したイオンはイオン照射ヘッド41と対向電極26との間に形成される電界にしたがって画像表示媒体10上に付着する。各制御電極100には、画像情報に従って電圧が印加され、画像表示媒体10上に画像が形成される。
また、図11に示すようなスタイラス電極43を用いてもよい。スタイラス電極43は、針状の電極を所望の画像解像度が得られるように多数配列したものである。スタイラス電極39は、図11に示すように、針状電極104を画像表示媒体10に近接配置し、画像信号に従って対向電極26との間に高電圧を印加すると、特に針状電極104の先端部に高い電界が作用し、ここでコロナ電荷が発生する。発生したコロナ電荷は、針状電極104と対向電極26との間に形成される電界によって画像表示媒体10上に付着する。これにより、画像表示媒体10上に画像が形成される。
[第7実施形態]
以下、図面を参照して第7実施形態について説明する。
第7実施形態では、図12に示すように、少なくとも一方、例えば非表示基板16の外側に、光が照射されることにより導電性を示す光導電層45を積層し、さらにその上に一様な電圧を印加できる電極付基板47を形成し、この電極付基板47に直流電源49により一様な電圧印加を行いながら、液晶透過パネル51及び平板光源53から成る露光装置55により画像信号に基づいた像状の露光を行い、そのパターンに従った分布を有する電界を与える。なお、光露光による画像形成を行う前に、各粒子を色に応じて何れかの基板に移動しておく(イニシャライズ)。
この構成を用いた場合は、露光を行わない時は、光導電層45は実質的に誘電層として作用しており、露光状態では、ほぼ導電層として作用する。従って、電源49から印加する一様な直流電圧は、非露光領域においては光導電層47に印加される電圧によって、基板間に作用する電圧が粒子の移動に満たないレベルになり、露光領域では、印加される電圧がほとんど基板間に作用して、粒子が移動できるレベルになるように電圧値が設定されている。このような構成は、微細な電極加工を必要とせずに、高解像度な画像表示を行うことができるという固有の効果を有する。光導電層47は、一般的な電子写真感光体で使用されている有機の光導電層と同様に、電荷輸送層としてトリフェニルアミン系正孔輸送材料Ae-18とポリカーボネート(PC-Z)によるバインダを1対1の割合で混合した固形成分のテトラヒドロフラン溶液をディップコートした上に、電荷発生材料として塩化アルミニウムフタロシアニンのVMCH(塩ビ/酢ビ共重合体)樹脂/酢酸-n-ブチル溶液分散液をディップコートすることによって作製することができる。なお、上記積層順は逆でも構わない。また、上記光導電層47を構成する有機の電荷発生材料としては、他にアゾ系顔料,キノン系顔料,ペリレン系顔料,インジゴ系顔料,チオインジゴ系顔料,ビスベンゾイミダゾール系顔料,フタロシアニン系顔料,キナクリドン系顔料,キノリン系顔料,レーキ系顔料,アゾレーキ系顔料,アントラキノン系顔料,オキサジン系顔料,ジオキサジン系顔料,トリフェニルメタン系顔料,アズレニウム系染料,スクウェアリウム系染料,ピリリウム系染料,トリアリルメタン系染料,キサンテン系染料,チアジン系染料,シアニン系染料等の顔料,染料等でも良く,また、電荷輸送材料としては、正孔性電荷輸送物質であるピレン系,カルバゾール系,ヒドラゾン系,オキサゾール系,オキサジアゾール系,ピラゾリン系,アリールアミン系,アリールメタン系,ベンジジン系,チアゾール系,スチルベン系,ブタジエン系等の化合物などの低分子化合物と、高分子化合物としては,例えば,ポリ-N-ビニルカルバゾール,ハロゲン化ポリ-N-ビニルカルバゾール,ポリビニルピレン,ポリビニルアンスラセン,ポリビニルアクリジン,ピレン-ホルムアルデヒド樹脂,エチルカルバゾール-ホルムアルデヒド樹脂,エチルカルバゾール-ホルムアルデヒド樹脂,トリフェニルメタンポリマー,ポリシランや、電子輸送材料であるベンゾキノン系,テトラシアノエチレン系,テトラシアノキノジメタン系,フルオレノン系,キサントン系,フェナントラキノン系,無水フタール酸系,ジフェノキノン系等を用いることもできる。上記有機の光導電材料の他に、アモルファスシリコン,アモルファスセレン,テルル,セレン-テルル合金,硫化カドミウム,硫化アンチモン,酸化チタン、酸化亜鉛,硫化亜鉛等の無機材料を用いることができる。
また、露光装置55としては、平板光源53(フジカラー販売製カラーイルミネータープロST(商品名))の上に載せた液晶透過パネル51を用いている。このような露光装置55を画像表示媒体10に密着させて、液晶透過パネル51を通過した光を直接画像表示媒体10の光導電層47に照射しながら電圧を印加することにより、液晶透過パネル51と同じパターンの画像が画像表示媒体10表面に形成される。
なお、露光装置55としては、上記の他にCRTのような面発光デバイスとファイバー光学系や結像光学系などを組み合わせたもの、蛍光表示管、プラズマ発光素子、EL発光素子、LED発光素子などをライン状あるいは面状に配列し、一次元光書き込みまたは二次元光書き込み装置などを構成したもの、さらに、レーザー光源を走査光学系により一次元、または二次元的に走査する方法等を用いることができる。また蛍光灯、ハロゲンランプなどからの出射光をOHPフィルムのような透過フィルムを通過させた透過光、反射物を照らした反射光などを光導電層47に直接照射したり、結像光学系を用いて結像したものを用いても良い。
[第8実施形態]
以下、図面を参照して第8実施形態について説明する。
第8実施形態では、図13に示すように、帯電させた黒色粒子18中に光照射によって導電性を示す光導電材料を含有させ、像状の露光パターンに従った領域の粒子を選択的に非帯電状態にし、基板間の一様な電界に従って該基板内の帯電粒子を移動させる。
光導電材料を含有した光電性粒子は以下のようにして作製することができる。まず、ポリエステル樹脂100重量部,塩化ガリウムフタロシアニンを5重量部,トリフェニルアミン20重量部,酢酸エチル110重量部をボールミルで48時間分散しA液とする。一方、カルボキシメチルセルロース2%水溶液を100重量部調整し,B液とする。次に、乳化器でB液100重量部を攪拌し,その中にA液50重量部をゆっくり投入して混合液を懸濁する。その後、減圧下で酢酸エチルを除去し,水洗,乾燥,分級して青色の光導電性粒子を作製する。
次に、このようにして作製した光電性粒子を用いた画像表示媒体10に画像を形成する場合について説明する。上記光導電性粒子18及び異なる色(ここでは白色)の絶縁性粒子20を図5で示した交番電界による帯電方法により非露光状態で攪拌、衝突させ、予め帯電させておく。なお、ここでは光導電性粒子18はプラスの極性に帯電している。次に、図13に示す露光装置55により、露光を行う。なお、露光装置55の液晶透過パネル51の表示パターンは、図12に示した露光装置55の液晶透過パネル51の表示パターンをネガ状態に反転したものとなっている。これは、光が照射された領域の光導電性粒子18中に電子及び正孔のキャリアが発生し、帯電によるプラスの表面電荷が露光によって発生した電子により相殺され、露光終了後に非帯電状態になることを利用していることにより露光領域の粒子が移動しないためである。
なお、画像表示媒体10の基板は、ガラス基板の他、フレキシブル性を有するプラスチック基板を用いることができるが、紙ハードコピーに近いフレキシブル性やラフな取り扱いにも耐えられる機械強度に優れる点でプラスチック材料を用いる事が望ましい。そのようなプラスチック基板としては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系フィルム、ポリカーボネート、ポリイミド等がある。
また、図14に示すように、露光装置55として電子写真装置で用いられるレーザー走査露光装置57を用いて露光してもよい。この場合、フレキシブル基板を用いた画像表示媒体10の表示面と反対側の面を表面にするようにしてドラム61に巻き付け、画像表示媒体10に直流電源59により直流電圧を印加しながらレーザー露光とドラム61の回転によって2次元露光を行うことにより、画像表示媒体10に画像を形成することができる。なお、画像露光前にはイニシャライズを行っておく。
[第9実施形態]
次に、第9実施形態について説明する。
図15には、第9実施形態における画像形成装置12が示されている。画像形成装置12は、静電潜像形成部22、ドラム状の静電潜像担持体24、対向電極26、直流電圧電源28等を備えている。
静電潜像形成部22は、帯電装置80、光ビーム走査装置82を備えている。この場合、静電潜像担持体24は、感光体ドラム24を使用することができる。感光体ドラム24は、ドラム状にしたアルミニウムやSUSなどの導電性基体に光導電層を形成したもので、光導電層としては公知の種々の材料を使用することができる。たとえばα-Si,α-Se,As2Se3などの無機光導電性材料や、PVK/TNFなどの有機光導電性材料を用いることができ、これらはプラズマCVDや蒸着法やディッピング法などにより形成することができる。また必要に応じて電荷輸送層やオーバーコート層等を形成してもよい。
帯電装置80は、静電潜像担持体24の表面を所望の電位に一様に帯電する。帯電装置80は、感光体ドラム24の表面を任意の電位に帯電させられるものであればよく、本実施の形態では電極ワイヤに高電圧を印加し、静電潜像担持体24との間でコロナ放電を発生させて、感光体ドラム24の表面を一様に帯電するコロトロンを使用したものとする。この他にも、導電性のロール部材、ブラシやフィルム部材等を感光体ドラム24に接触させ、これに電圧を印加して感光体ドラム表面を帯電するものなど、公知の種々の帯電器を使用することができる。
光ビーム走査装置82は、帯電された静電潜像担持体24の表面を画像信号に基づいて微小スポット光を照射し、静電潜像担持体24上に静電潜像を形成する。光ビーム走査装置82は、画像情報にしたがって感光体ドラム24表面に光ビームを照射し、一様に帯電された感光体ドラム24上に静電潜像を形成するものであればよく、本実施の形態ではポリゴンミラー84、折り返しミラー86、図示しない光源やレンズ等を備えた結像光学系により、所定のスポット径に調整されたレーザビームを画像信号に応じてオンオフさせながらポリゴンミラー84によって感光体ドラム24の表面を光走査させるROS(RasterOutputScanner)装置とする。この他にもLEDを所望の解像度に応じて並べたLEDヘッド等を使用してもよい。
なお、静電潜像担持体24の導電性支持体24Aは接地されている。また、静電潜像担持体24は、図中矢印A方向へ回転する。
対向電極26は、例えば弾性を有した導電性ロール部材で構成されている。これにより、画像表示媒体10とより密着させることができる。また、対向電極26は、静電潜像担持体24と図中矢印B方向へ図示しない搬送手段により搬送される画像表示媒体10を挟んで対向した位置に配置されている。対向電極26は、直流電圧電源28が接続されている。対向電極26は、この直流電圧電源28によりバイアス電圧VBが印加される。この印加するバイアス電圧VBは、例えば図2に示すように、静電潜像担持体24上の正の電荷が帯電した部分の電位をVH、帯電されていない部分の電位をVLとした場合、両者の中間の電位となるような電圧とする。また、対向電極26は図12において矢印C方向に回転する。
次に、第9実施形態における作用を説明する。
静電潜像担持体24が図15において矢印A方向に回転開始されると、静電潜像形成部22により静電潜像担持体24上に静電潜像が形成される。
一方、画像表示媒体10は、図示しない搬送手段により図中矢印B方向へ搬送され、静電潜像担持体24と対向電極26との間に搬送される。
ここで、対向電極26は図16に示すようなバイアス電圧VBが印加されており、対向電極26と対向する位置の静電潜像担持体24の電位はVHとなっている。このため、静電潜像担持体24の表示基板14と対向する部分が正の電荷で帯電されていた場合(非画像部)で、かつ表示基板14の静電潜像担持体24と対向する部分に黒色粒子18が付着していた場合には、正に帯電している黒色粒子18は、表示基板14側から非表示基板16側へ移動し、非表示基板16に付着する。これにより、表示基板14側には白色の絶縁性粒子20のみが現れるため、非画像部に対応する部分に画像は表示されない。
一方、静電潜像担持体24の表示基板14と対向する部分が正の電荷で帯電されていない場合(画像部)で、かつ非表示基板16の対向電極26と対向する部分に黒色粒子18が付着していた場合には、対向電極26と対向する位置の静電潜像担持体24の電位はVLとなっているので、帯電された黒色粒子18は、非表示基板16側から表示基板14側へ移動し、表示基板14に付着する。これにより、表示基板14側には黒色粒子18のみが現れるため、画像部に対応する部分に画像が表示される。
このようにして、画像に応じて黒色粒子18が移動し、表示基板14側に画像が表示される。なお、画像表示媒体10の基板間に発生していた電界が消失した後も、粒子固有の付着力及び粒子と基板間の鏡像力により表示された画像は維持される。また、黒色粒子18及び白色粒子20は、基板間に電界が発生すれば再び移動することができるため、画像形成装置12により繰り返し画像を表示させることができる。
このように、対向電極26にバイアス電圧が印加されているため、黒色粒子18が表示基板14、非表示基板16の何れの基板に付着している場合であっても黒色粒子18を移動させることができる。このため、黒色粒子18を予め一方の基板側に付着させておく必要がない。また、コントラスト及び尖鋭度の高い画像を形成することができる。さらに、空気を媒体として帯電した粒子を電界により移動させるため、安全性が高い。また、空気は粘性抵抗が低いため、高速応答性を満足させることもできる。
なお、画像表示媒体10の構成として、例えば図17に示すように、画像表示媒体10の対向する基板の間をセル構造とし、各セル37に粒子を封入するようにしてもよい。これにより、基板間に封入された粒子の部分的な偏りが抑えられ、より安定な画像表示を行うことができる。また、セル壁39により対向する基板の間隙が一定に規制されるため、静電気力による画像表示をより安定に行うことができる。さらに、画像表示媒体10に圧力が加わった際に、画像表示媒体10がつぶれて封入された粒子がパッキングされ、静電気力による粒子の移動ができなくなることもなくなるため、それに起因する表示欠陥を防止することができる。
上記のセル構造を有する画像表示媒体10は、少なくとも一方の基板をエッチング処理やレーザ加工、あるいは予め作製した型を使用し、プレス加工、印刷などによって、任意のサイズのセルパターンを形成した後、各セルに所望の粒子を入れ、その上から対向する基板を接着することで形成することができる。
上記のセル構造を有する画像表示媒体10は、表示基板、非表示基板間に多数の開口を持つシートを挟み、各セルに所望の粒子を入れ、その上から対向する基板を接着することで形成することができる。多数の開口を持つシートとして、例えば、網があり、網は入手が容易で安価であり、厚さなども比較的均一であることから、安価に表示媒体を製造する場合など効果的である。この方法は、微細な表示のための表示媒体ではなく解像度のあまり必要としない大型の表示装置向けの技術である。また、他の多数の開口を持つシートの例として、シートにエッチングやレーザー加工などにより穴をあけたシートがあり、このシートは前記の網に比べシートの厚さや穴の形状などに自由度が大きい。このため、微細な表示を行うための表示媒体であったり、よりコントラストを上げる場合などに効果的である。
また、対向する基板の間隙を規制するには、セル構造の他にも図18に示したように、所望の間隙と同等の大きさのスペーサ粒子38を封入し、これによって間隙を規制することもできる。この方法では、粒子の部分的な偏りを防ぐ作用はないが、セル構造を形成するよりも非常に簡単かつ安価に画像表示媒体10を形成することができる。スペーサ粒子としては、表示画像に影響の少ない透明粒子を使用するのが好ましく、例えばガラス粒子や、ポリスチレンやポリエステルやアクリルなどの透明樹脂粒子等を使用することができる。
また、本実施の形態では、黒色粒子18が予め表示基板14側に一様に付着させていない場合を例に説明したが、これに限らず、前述したイニシャライザ40により予め表示基板14側に一様に付着させておいてもよい。
また、本実施の形態では、静電潜像担持体24上の正電荷に帯電された部分を非画像部、帯電されていない部分を画像部として説明したが、これに限らず、電荷の極性、画像部及び非画像部の極性、粒子の極性を適宜組み合わせることにより画像形成を行うようにしてもよい。例えば、静電潜像担持体24上の正電荷に帯電された部分を画像部、帯電されていない部分を非画像部とし、黒色粒子18がマイナスに帯電され、白色粒子20がプラスに帯電されるようにしてもよい。
[第10の実施の形態]
次に、第10の実施の形態について説明する。第10の実施の形態では、繰り返し使用可能な画像表示媒体10に画像を形成することができると共に、通常の記録用紙に画像を形成することもできる画像形成装置について説明する。
図19には、画像表示媒体10及び通常の記録用紙のどちらにも画像を形成することができる画像形成装置12が示されている。なお、第4実施形態で示した画像形成装置12と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図18に示すように、画像形成装置12は、現像装置50、転写装置52、クリーニング装置54、定着装置56、媒体検出センサ58、及び制御部60を備えている。
現像装置50は、静電潜像形成部22により静電潜像担持体24上に形成された静電潜像をトナー現像する。トナー像の画像形成は電子写真で一般に用いられている方法を用いることができ、例えば、磁性一成分、非磁性一成分、二成分現像、また現像ロールは接触、非接触の何れの現像方法を用いてもよい。
転写手段52は、直流電圧電源62と接続されている。転写手段52は、直流電圧電源62により電圧が印加されることにより静電潜像担持体24上に形成されたトナー像を記録用紙64に転写する。転写部材は、コロトロン、ロールなどの電界による転写を行なう部材であればいかなる物を用いてもよい。
また、記録用紙64へのトナー像の転写、画像表示媒体10への画像形成は共に電圧を印加することにより行うことから、転写装置52を、図20に示すように対向電極26と共用してもよい。この場合は、直流電圧電源28を、印加する電圧を制御できる電源とすればよい。
クリーニング装置54は、転写後に静電潜像担持体24上に残ったトナーを除去する。また、クリーニング部材については、ブラシ、ロール、ブレード等の部材を用いることができる。
定着装置56は、所定温度に加熱することができる一対の定着ローラ66を備えている。この加熱された定着ローラ66により記録用紙64を挟持搬送することにより記録用紙64上のトナー像を熱定着させることができる。また、ローラに限らずベルト状でもよく、熱定着に限らず圧力定着により定着させてもよい。
また、画像形成装置12は、図19では図示は省略したが、図21に示すように、媒体の搬送経路上で定着装置56の手前に搬送経路切替部材68が設けられている。この搬送経路切替部材68は、制御部60からの指示により、図中矢印F方向に回転され、媒体の搬送経路を変更する。搬送経路切替部材68は、媒体が記録用紙64の場合は制御部60からの指示により図21に示すように先端が上側に上がった位置とされる。これにより、記録用紙64は定着装置56の方向へ搬送される。一方、媒体が画像表示媒体10の場合は、制御部60からの指示により図中点線で示すように先端が下側に下がった位置とされる。これにより、画像表示媒体10は定着装置56を通過せず、上方へ搬送される。
また、搬送経路切替部材68を設けずに、図22に示すように、定着装置56を、記録用紙64と非接触であり、かつ高速に加熱の切替が可能な一対の熱線70を用いてもよい。これにより、搬送される媒体が記録用紙64のときは熱線70を加熱して定着処理を行い、画像表示媒体10のときは熱線70の加熱をオフする。これにより、同一の搬送経路で記録用紙64及び画像表示媒体10を処理することができる。
また、現像装置50は、図23に示すように、図中矢印G方向へ制御部60からの指示により移動可能となっており、静電潜像担持体24から離間又は当接させることができるようになっている。これにより、記録用紙64への画像形成を行った後に画像表示媒体10の画像形成を行う場合においては、現像装置50を静電潜像担持体50から離間させることにより静電潜像担持体24にトナーが供給されてしまうことがない。従って、画像表示媒体10にトナーが付着するのを防ぐことができる。なお、現像装置50全体を移動させるのではなく、図24に示すように、現像ロール70のみを移動させるようにしてもよい(図中点線の位置)。
また、図25に示すように、現像ロール70の駆動を制御部60からの指示により駆動装置72によって停止させたり、図26に示すように現像ロール70を逆回転させ(図中矢印H方向)、せき止め部材74によりトナーが現像ロールへ供給されるのを停止させたり、図27に示すように、印加する電圧の極性を切りかえることができる電圧印加装置76を用いて、現像ロール70に静電潜像の電位と逆極性の電圧を印加したりすることによりトナーが静電潜像担持体24に供給されるのを防ぐようにしてもよい。
媒体検出センサ58は、制御部60と接続されている。媒体検出センサ58は、例えば通過する媒体に所定の光(例えば赤外光)を照射することにより反射された光を検出し、該検出された反射光の光量を検出して制御部60へ出力する。また、通過する媒体の重量を検出して制御部60へ出力するようにしてもよい。
制御部60では、媒体検出センサ58から出力された検出結果に基づいて画像を形成する媒体が画像表示媒体10であるか記録用紙64であるかの判断を行う。また、制御部60は、媒体に応じて各部の制御パラメータを決定し、この制御パラメータに従って各部を制御する。この制御パラメータには、例えば画像形成パラメータ、電界発生パラメータ、現像装置50を使用するか否か、定着装置56を使用するか否か、媒体の搬送経路等が含まれる。
次に、第10の実施の形態における作用として制御部60で実行される制御ルーチンについて図28を参照して説明する。
図28に示すステップ200では、媒体検出センサ58により媒体が検出されたか否かを判断する。媒体検出センサ58は、例えば通過する媒体に所定の光(例えば赤外光)を照射することにより反射された光を検出し、該検出された反射光の光量を検出して制御部60へ出力する。
媒体が検出された場合にはステップ200で肯定され、ステップ202で媒体検出センサ58からの検出結果、すなわち反射光の光量値から搬送される媒体が画像表示媒体10であるか記録用紙64であるかを判断し、判断結果に応じて画像形成パラメータを決定する。この画像形成パラメータは、例えば電界発生パラメータ、現像装置の設定、搬送経路の設定、搬送速度、露光量等がある。
電界発生パラメータは、例えば、各部における印加電圧値等であり、搬送される媒体が画像表示媒体10の場合は、静電潜像形成部22、現像装置50、対向電極26の各部における印加電圧値、搬送される媒体が記録用紙64の場合は、静電潜像形成部22、現像装置50、転写装置52、クリーニング装置54の各部における印加電圧値等である。
現像装置の設定は、例えば、搬送される媒体が画像表示媒体10の場合には、例えば図23に示すように現像装置50を図中矢印G方向へ移動させ、静電潜像担持体24から離間させるようにする。また、媒体が記録用紙64の場合には、現像装置50を図中矢印G方向へ移動させ、静電潜像担持体24と当接させるようにする。
搬送経路の設定は、搬送される媒体が画像表示媒体10の場合には図20に示すように搬送経路切替部材68を図中矢印F方向へ回転させ、先端が下側に位置するようにする(図中点線の位置)。これにより、画像表示媒体10は、画像形成後に定着装置56を通過することなく上方へ搬送させることができる。また、搬送される媒体が記録用紙64の場合には、搬送経路切替部材68を図中矢印F方向へ回転させ、先端が上側に位置するようにする。これにより、記録用紙64を定着装置56側へ搬送させることができる。なお、この場合は定着ローラ66の加熱温度等も設定する。
そして、ステップ204で、画像形成処理を行う。すなわち、搬送される媒体が画像表示媒体10の場合には、第3の実施の形態で説明したように、静電潜像形成部22を制御して静電潜像担持体24上に静電潜像を形成させ、対抗電極26にバイアス電圧を印加し、画像表示媒体10に画像を形成させる。また、搬送される媒体が記録用紙64の場合には、静電潜像形成部22を制御して静電潜像担持体24上に静電潜像を形成させ、現像装置50によりトナー現像させる。そして、転写装置52により記録用紙64にトナー像を転写させ、定着装置56により転写されたトナー像を定着させる。このようにして記録用紙64上に画像が形成される。
このように、媒体を自動的に検出し、検出した媒体に応じて画像形成処理を行うため、1つの装置で繰り返し使用可能な画像表示媒体10及び記録用紙64の画像形成を行うことができる。また、各媒体に応じて各種パラメータが設定され、これに応じて画像形成が行われるため、画質が劣化するようなこともない。
また、本実施の形態では、媒体を自動的に検出し、検出した媒体に応じて画像形成する場合を例に説明したが、ユーザにより画像表示媒体であるか画像記録媒体であるかをキーボードやマウス等の入力装置により手動で入力させ、この入力結果に応じて画像形成を行うようにしてもよい。
また、静電潜像形成部22の他の例として、前述した図10に示すようなイオン照射ヘッド41を用いてもよい。この場合、静電潜像担持体24としては導電性基体上に誘電体層を形成した誘電体ドラム24を使用することができる。
また、静電潜像形成部22の他の例として、図11に示すようなスタイラス電極43を用いてもよい。この場合、静電潜像担持体24としては導電性基体上に誘電体層を形成した誘電体ドラム24を使用することができる。
[第11の実施の形態]
次に第11の実施の形態について説明する。第11の実施の形態では、画像表示媒体にカラー画像を形成する場合について説明する。
カラー画像を形成するための画像表示媒体10は、図29に示すように、前述した図9に示したようなセル構造の画像表示媒体10において、各セル37にイエロー(6Y)粒子106、マゼンタ(6M)粒子108、シアン(6C)110の着色粒子をそれぞれ予め定めた配置でセル37に封入されている。この画像表示媒体10を各色の画像信号に基づいて形成された静電潜像を胆持する静電潜像担持体24と対向電極26との間を搬送させ、各セル37内の着色粒子が静電潜像の形成する電界に従って表示基板14側へ移動する。なお、各セル37共に白色粒子、又は黒色粒子が封入されていてもよい。ここでは、静電潜像担持体24上の各色の画像信号からなる静電潜像の位置と、画像表示媒体10の各色が内包されたセル37の位置を一致させることが重要となる。また、着色粒子の色は赤(R)、緑(G)、青(B)、黒(K)などを適宜加えて色再現域を調整するようにしてもよい。
また、特に黒(K)は、上記の帯電粒子の電界による移動に替えて、磁性黒色粒子を各セル37に他の着色粒子と共に封入し、画像信号に基づく磁気吸引力で表示基板14側へ移動して黒色表示させるようにしてもよい。この時、画像信号に基づく磁気吸引力は、例えば磁気スタイラスで与えることができる。
各セル37内の各色粒子は、画像形成を行う工程の前に第8の実施の形態で示した方法で同様に帯電することができる。
カラー画像の画像形成は、第7の実施の形態で示した処理と基本的に同じであるが、本実施の形態では、カラー画像信号に基づいて各色毎の静電潜像を静電潜像担持体24上に1度に形成する。これにより、各色毎の静電潜像に従って画像表示媒体10の各セルに封入された各色の粒子が表示基板14側に移動する。これにより、1回の画像形成工程でカラー画像を形成することができる。
ここで、例えばタンデム構成のカラープリンタでは、4つの感光体上に各色の画像を形成し、これを用紙上に4回重ねて転写するため、用紙上での各色の画素位置合わせが大きな問題となる。また、4サイクル1コピーの構成のカラープリンタでも、1つの感光体上に形成された各色の画像を、4回重ねて用紙上に転写するため、同様の問題がある。これに対して本発明では1回の画像形成工程で複数色の粒子を移動させてカラー画像を形成することができるため、画像表示媒体10上のセル37の画素位置と静電潜像の画素位置を1回合わせるだけでよく、より容易にかつ高速にカラー画像を形成することができる。
以上の画像表示方法により上記画像表示装置で形成される画像表示媒体は、メモリー性のある書換え可能な掲示板、回覧版、広告、看板、点滅標識、電子ペーパー、電子新聞、電子書籍、複写機・プリンタと共用可能なテンポラリーシートなど多種多様な商品形態に使用することができる。