JP2008175293A - 磁気軸受装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】回転軸の固有振動数を不要に低下させることなく、しかも回転軸に対する回転部品の装着にかかる自由度を高く維持することのできる磁気軸受装置を提供する。
【解決手段】この磁気軸受装置では、一対の電磁石4a,4bを有して磁気軸受を構成する構造体3がそれら一対の電磁石4a,4bにて回転軸1に設けられた1枚のアキシャルディスク2を挟む態様にて設けられている。そして、この磁気軸受を構成する構造体3中、アキシャルディスク2に対抗する面と反対側の面にアキシャル変位センサ5を設け、このアキシャル変位センサ5と対向する態様にて、回転軸1からフランジ状にセンサターゲット6が突設される構造とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、回転軸を磁気の力にて非接触支承する磁気軸受装置に関する。
たとえばコンプレッサ、ブロワ、タービン等の回転機器を駆動する回転駆動装置にあって、特に高速回転が望まれる回転機器においては、その回転軸を支承する軸受装置として磁気軸受を採用したものが多く用いられている。こうした軸受装置では、磁気軸受がたとえばアキシャル方向の軸受として回転軸を支承するようになる。このため回転軸は、その回転時に、軸受とは非接触状態に維持されるようになり、軸受装置としても、潤滑油等を不要とする高い耐久性が保証されるようになる。このような磁気軸受装置の概要を図5に示す。
同図5に示されるように、この磁気軸受装置では、回転軸1に設けられたアキシャルディスク2を挟む態様にて形成されている磁気軸受3に配設された一対の電磁石4a、4bを通じて回転軸1のアキシャル方向の位置が制御される。また、この回転軸1の基端部にはセンサターゲット6が併せて設けられており、このターゲット6のアキシャル方向の位置がアキシャル変位センサ5を通じて常時検知されている。そして、回転軸1、すなわちセンサターゲット6にアキシャル方向の位置ずれが生じた場合には、図示しない制御装置によって上記一対の電磁石4a、4bの磁力を変化させることにより上記アキシャルディスク2のアキシャル位置を変位させ、もって回転軸1のアキシャル方向の位置を修正する。通常はこのように、センサターゲット6は回転軸1の基端部に設けられ、それと対向する配置となるようにアキシャル変位センサ5がハウジングに設けられる。
一方従来は、たとえば特許文献1に見られるように、上記アキシャル変位センサを回転軸の高温となる部分の近傍に設けることによって回転軸の熱膨張による影響を少なくし、ひいては回転軸のアンバランスによる振れ回り量がアキシャル変位センサの出力値に重畳されることを防止するようにした磁気軸受装置なども提案されている。すなわちこの装置では、高温となる回転翼近傍の回転軸にセンサターゲットが設けられ、このセンサターゲットと対向するようにして上記アキシャル変位センサがハウジング(ポンプステータ)に固定されるようになる。
特開2005−240952号公報
ところでこのような磁気軸受装置にあって、たとえば先の図5に例示したように、センサターゲットを回転軸の基端部等に設けると、自ずと回転軸の軸長が長くなる。そのため、通常は回転駆動装置の定格回転数において生じる振動数よりも高い振動数にある回転軸の固有振動数の低下を招き、その回転時に共振等の不都合が生じやすくなる。特にこのような磁気軸受装置は、より高い定格回転数を有する回転駆動装置に採用される傾向にあるため、回転軸としての固有振動数もより高い値に保持されることが望ましい。また、この図5に例示した磁気軸受装置の場合には、センサターゲットと対向する位置にアキシャル変位センサが設けられることとなるため、磁気軸受装置全体としてのサイズの増大が避けられない。しかも、たとえばコンプレッサなど、回転軸の両端に回転翼等の回転部品が設けられる回転駆動装置に対してはこうした磁気軸受装置の採用も難しい。
他方、上記特許文献1に記載の磁気軸受装置にあっては上述のように、高温となる回転翼近傍の回転軸にセンサターゲットが設けられ、このセンサターゲットと対向するように上記アキシャル変位センサをハウジングに固定する必要があることから、このアキシャル変位センサをハウジングに固定するための構造物が別途必要となる。このため、こうした構造物が必要とされる分だけ回転軸の軸長も延長せざるを得なくなり、結局この場合も、回転軸としての固有振動数の低下が避けられない。
本発明はかかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、回転軸の固有振動数を不要に低下させることなく、しかも回転軸に対する回転部品の装着にかかる自由度を高く維持することのできる磁気軸受装置を提供することにある。
こうした目的を達成するため、本発明の磁気軸受装置では、回転軸に設けられた円盤状のアキシャルディスクに対向する一対の電磁石を有し、該電磁石による磁力を通じて前記回転軸をアキシャル方向に非接触にて支承する磁気軸受と、前記回転軸と共に回転並びに変位するセンサターゲットに対向して設けられ、このセンサターゲットのアキシャル方向の位置の検知を通じて前記回転軸のアキシャル方向の位置を検知するアキシャル変位センサとを備え、前記アキシャル変位センサによる検知結果に基づき前記磁気軸受を構成する電磁石の磁力を制御しつつ、前記回転軸をアキシャル方向の所定の非接触支承状態に維持する磁気軸受装置として、前記アキシャル変位センサを前記磁気軸受を構成する構造体に設けることとしている。
磁気軸受装置としてのこのような構造によれば、アキシャル変位センサが上記磁気軸受を構成する構造体に設けられることで、同アキシャル変位センサをハウジングに固定するための別途の構造物等は不要となる。これにより、回転軸の短縮化が可能となり、ひいてはその固有振動数の不要な低下を避け、むしろ固有振動数を高めることすら可能となる。しかも同構造によれば、上記アキシャル変位センサを回転軸の軸端に対向する位置に設ける必要もないため、回転軸に対する回転部品の装着にかかる自由度も高く維持されるようになる。
また、このような構造においては、前記アキシャル変位センサを、前記磁気軸受を構成する構造体中、前記電磁石が配設される面である前記アキシャルディスクに対向する面と反対側の面に設け、前記センサターゲットを、このアキシャル変位センサと対向する態様にて前記回転軸からフランジ状に突設する構造とすることが、上記電磁石の漏洩磁界によるアキシャル変位センサの検知精度への影響を回避するうえで特に有効である。
一方、上記構造において、前記アキシャル変位センサを、前記磁気軸受を構成する構造体中、前記電磁石が配設される面である前記アキシャルディスクに対向する面に設け、前記センサターゲットを、このアキシャル変位センサと対向する態様にて前記アキシャルディスクの対向面に内装する構造とすれば、電磁石の漏洩磁界によるアキシャル変位センサの検知精度への影響は懸念されるものの、回転軸の短縮化という観点からすればより有効な構造となる。
また、これらの構造に関して、前記アキシャル変位センサを、前記磁気軸受を構成する構造体のうちの前記回転軸側に突出した部分に設ける構造とすれば、特に前者の構造に関しては、フランジ状に突設されるセンサターゲットの前記回転軸からの突出長を最小限に抑えることができるようになり、また後者の構造に関しては、電磁石の漏洩磁界によるアキシャル変位センサの検知精度への影響を緩和することが可能となる。
他方、上記各構造に関してはさらに、
(a)前記磁気軸受を構成する構造体は、前記一対の電磁石にて前記アキシャルディスクを挟む態様にて設けられてなり、前記アキシャル変位センサは、同磁気軸受を構成する構造体中、前記一対の電磁石の少なくとも一方に対応した側に設けられる構造。あるいは
(b)前記アキシャルディスクは、前記回転軸の軸方向に離間した2枚のディスクとして設けられてなるとともに、前記磁気軸受を構成する構造体は、前記一対の電磁石がこれら2枚のアキシャルディスクのそれぞれ内側もしくは外側に対向する態様にて分離形成されてなり、前記アキシャル変位センサは、これら分離形成された構造体の少なくとも一方に設けられる構造。
等々が有効である。通常、上記(a)の構造とするか、あるいは上記(b)の構造とするかは、当該磁気軸受装置が適用される回転駆動装置としての内部構造や製品仕様によるところが大きいが、これらいずれの構造であれ、磁気軸受装置として、回転軸のアキシャル方向に関する安定した非接触支承が可能となる。なお、上記アキシャル変位センサおよびセンサターゲットがそれぞれ対として設けられる場合には、それらアキシャル変位センサを通じてのモニタ精度の向上が図られるようになり、同アキシャル変位センサおよびセンサターゲットが1つだけ設けられる場合には、その分だけ回転軸の短縮が図られるようになる。
本発明にかかる磁気軸受装置によれば、支承対象とする回転軸の短縮化が可能となり、ひいてはその固有振動数の不要な低下を避け、むしろ固有振動数を高めることすら可能となる。しかも同磁気軸受装置によれば、上記アキシャル変位センサを回転軸の基端部等、軸端に対向する位置に設ける必要もないため、回転軸に対する回転部品の装着にかかる自由度も高く維持されるようになる。
(第1の実施形態)
図1に、本発明にかかる磁気軸受装置の第1の実施形態を示す。
この第1の実施形態にかかる磁気軸受装置は、一対の電磁石を有して磁気軸受を構成する構造体がそれら一対の電磁石にて1枚のアキシャルディスクを挟む態様にて設けられている。この点は、先の図5に例示した磁気軸受装置と同様である。ただしこの実施形態の磁気軸受装置では、上記磁気軸受を構成する構造体中、アキシャルディスクに対抗する面と反対側の面にアキシャル変位センサを有し、このアキシャル変位センサと対向する態様にて、回転軸からフランジ状にセンサターゲットが突設される構造としている。
すなわち、図1にその一部断面構造を示すように、この磁気軸受装置は、支承対象とする回転軸1に取り付けられた円盤状の磁性体からなるアキシャルディスク2に対し、上記磁気軸受を構成する構造体3が一対の電磁石4a,4bによって同ディスク2を挟む構造となっている。そして、この磁性体からなるアキシャルディスク2をアキシャル方向についてそれぞれ反対向きに引っ張るように上記一対の電磁石4a,4bの磁力が図示しない制御装置を通じて制御されることにより、回転軸1がアキシャル方向に非接触支承されるようにしている。なおこの実施形態において、磁気軸受を構成する構造体3は、当該磁気軸受装置の搭載対象となる回転駆動装置のハウジング10に対し、その内周面に一体形成されている。
一方、この磁気軸受装置において、回転軸1のアキシャル方向の変位を検知するアキシャル変位センサ5は、上記磁気軸受を構成する構造体3に対して設けられている。詳しくは、同構造体3に設けられた上記一対の電磁石4a,4bの一方側、この実施形態においてはその搭載対象となる回転駆動装置の中心部側(図中右側)となる電磁石4b側の上記アキシャルディスク2に対向する面と反対側の面にこのアキシャル変位センサ5が設けられている。しかも同実施形態において、このアキシャル変位センサ5は、上記構造体3の突出した部分、すなわち同構造体3から回転軸1側に突出した部分9に設けられており、このアキシャル変位センサ5に対向する態様にて、そのアキシャル変位検知ターゲットとなるセンサターゲット6が回転軸1からフランジ状に突設形成されている。そして、このセンサターゲット6のアキシャル方向の変位が回転軸1のアキシャル方向の変位として上記アキシャル変位センサ5を通じて常時検知(モニタ)され、その検知結果が上記図示を割愛した制御装置に対して出力される。なお、こうしたアキシャル変位センサ5としては渦電流式変位センサ、インダクタンス式変位センサ等を採用することができ、渦電流式変位センサが小型化の点で特に好ましい。また、センサターゲット6としては銅、ステンレス鋼、アルミニウム合金等が使用される。
磁気軸受装置としてのこのような構造により、上記磁気軸受を通じて非接触支承される回転軸1にアキシャル方向の位置ずれが生じたとしても、この位置ずれは上記センサターゲットのアキシャル方向の変位としてその変位量が上記アキシャル変位センサ5を通じて検知され、この検知されたアキシャル方向の変位量が上記制御装置に取り込まれる。このとき制御装置では、この取り込まれた変位量が解消される態様にてアキシャルディスク2を挟む上記一対の電磁石4a,4bの磁力をフィードバック制御することとなり、これによって回転軸1も、そのアキシャル方向の位置が一定となる所定の非接触支承状態に保持されるようになる。
しかも、本実施形態にかかる磁気軸受装置にあっては、アキシャル変位センサ5を上記磁気軸受を構成する構造体3に設けたことで、このセンサ5をハウジング10に固定するための別途の構造物等は不要となり、その分だけ回転軸1の短縮化が図られるようになる。すなわち、回転軸1としての固有振動数が高められることとなり、ひいては同磁気軸受装置の搭載対象となる回転駆動装置の定格回転数をより高く設定することが可能となる。なお、これも図示は割愛しているが、こうした磁気軸受装置は通常、回転軸1がラジアル方向にも非接触支承されている。そして、そのラジアル方向の変位が併せて検知され、該検知結果に基づき、同ラジアル方向の変位も併せて修正されている。
ところで、本実施形態にかかる磁気軸受装置は上述のように、回転軸1の短縮化が可能となることに加え、同回転軸1の基端部等、軸端にセンサターゲット6やアキシャル変位センサ5等を設ける必要がないことから、回転軸1に対する回転部品の装着にかかる自由度も高く維持されている。そのため同磁気軸受装置は、たとえばコンプレッサなど、より高い回転数が要求されるとともに、回転軸1の両端に回転翼が設けられる回転駆動装置に適用して特に有効である。図2に、同磁気軸受装置をこのようなコンプレッサの軸受装置として適用した場合の概略構成を参考までに示す。
すなわち図2に示されるように、このコンプレッサは、吸入口23,24から導入した外気を加圧ボリュート25,26内で圧縮するものであり、こうした外気の圧縮のために加圧ボリュート25内に設けられる回転翼21と加圧ボリュート26内に設けられる回転翼22とをそれぞれ備える構成となっている。そしてこのコンプレッサにおいて、これら回転翼21および22は、上述の磁気軸受装置によって非接触支承されている回転軸1の両端部にそれぞれ取り付けられており、これら回転翼21および22と共々、回転軸1がステータ7およびロータ8からなるモータによって回転駆動される。ちなみにこのようなコンプレッサは、定格回転数として、より高い回転数が要求される傾向にあるものの、その軸受装置として本実施形態にかかる磁気軸受装置が適用されることによって回転軸1の固有振動数が高く維持され、共振の発生等も好適に抑制されるようになる。
以上説明したように、本実施形態にかかる磁気軸受装置によれば、以下のような優れた効果を得ることができるようになる。
(1)この磁気軸受装置では、アキシャル変位センサ5を磁気軸受を構成する構造体3に設けることとした。これにより、アキシャル変位センサ5をハウジング10に固定するための別途の構造物等は不要となり、回転軸1の短縮化が可能となる。すなわち、回転軸1としての固有振動数の不要な低下を避けることができ、むしろその固有振動数を高めることすら可能となる。
(2)しかも、同磁気軸受装置としての上記構造によれば、アキシャル変位センサ5を回転軸1の基端部等、軸端に対向する位置に設ける必要がないために、回転軸1に対する回転部品の装着にかかる設計自由度も高く維持される。よって、たとえばコンプレッサも含めて、回転軸1の両端に回転翼等の回転部品が設けられる回転駆動装置への適用も容易となる。
(3)また、この磁気軸受装置では、上記磁気軸受を構成する構造体3中、電磁石4bが配設されるアキシャルディスク2に対向する面と反対側の面にアキシャル変位センサ5を設けるようにした。これにより、電磁石4bからの漏洩磁界による影響がアキシャル変位センサ5に及ぶことが抑制され、アキシャル変位センサ5としての検知精度も高く維持されるようになる。
(4)この磁気軸受装置ではさらに、アキシャル変位センサ5を上記磁気軸受を構成する構造体3に設けるに際し、この構造体3に、同構造体3から回転軸1側に突出した部分9を設け、この回転軸1側に突出した部分9に対して上記アキシャル変位センサ5を配設する構造とした。そして、このように配設したアキシャル変位センサ5と対向する態様にて、センサターゲット6を回転軸1からフランジ状に突設形成した。これにより、センサターゲット6の上記回転軸1からの突出長を最小限に抑えることができるようになる。しかも、こうしてセンサターゲット6の突出長が抑制されることで、回転軸1としての固有振動数の不要な低下に対する回避効果も助長されるようになる。
(第2の実施形態)
図3は、本発明にかかる磁気軸受装置の第2の実施形態を示したものであり、以下、先の図1に示した第1の実施形態にかかる磁気軸受装置との相違点を中心に、同第2の実施形態にかかる磁気軸受装置の構造について詳述する。
図3にその一部断面構造を示すように、この第2の実施形態にかかる磁気軸受装置では、支承対象とする回転軸1に対し、その軸方向に離間した2枚のアキシャルディスク2aおよび2bを設けるとともに、これらディスク2aおよび2bのそれぞれ内側に上記磁気軸受を構成する構造体を構造体3aおよび構造体3bとして分割形成している。すなわちこの場合、磁気軸受を構成する構造体3a側では、アキシャルディスク2aの内側に対向する面に電磁石4aが設けられるとともに、このアキシャルディスク2aに対向する面と反対側の面から回転軸1側に突出した部分9aにアキシャル変位センサ5aが設けられる。そして、このアキシャル変位センサ5aに対向する態様にて、そのアキシャル変位検知ターゲットとなるセンサターゲット6aが回転軸1からフランジ状に突設形成されている。他方、磁気軸受を構成する構造体3b側でも、アキシャルディスク2bの内側に対向する面に電磁石4bが設けられるとともに、このアキシャルディスク2bに対向する面と反対側の面から回転軸1側に突出した部分9bにアキシャル変位センサ5bが設けられる。そして、このアキシャル変位センサ5bに対向する態様にて、そのアキシャル変位検知ターゲットとなるセンサターゲット6bが回転軸1からフランジ状に突設形成されている。したがってこの場合であれ、上記非接触支承される回転軸1にアキシャル方向の位置ずれ(変位)が生じたとしても、
(イ)センサターゲット6a,6bのアキシャル方向の変位としてその変位量がそれぞれ上記アキシャル変位センサ5a,5bを通じて検知され、この検知されたアキシャル方向の変位量が制御装置(図示略)に取り込まれること。
(ロ)このとき制御装置では、この取り込まれた変位量が解消される態様にてアキシャルディスク2a,2bのそれぞれ内側に対向する一対の電磁石4a,4bの磁力をフィードバック制御すること。
等々は、先の第1の実施形態にかかる磁気軸受装置と基本的に同様であり、これによって回転軸1も、そのアキシャル方向の位置が一定となる所定の非接触支承状態に保持されるようになる。
なお、この実施形態にかかる磁気軸受装置にあっては、同図3に示されるように、回転軸1を回転駆動するステータ7およびロータ8からなるモータを挟む態様にてアキシャルディスク2a,2bの各内側に上記磁気軸受を構成する構造体3a,3bを分割形成するようにしている。このため、少なくとも2枚のアキシャルディスク2a,2bを使用する分だけ、またアキシャル変位センサ5a,5b並びにセンサターゲット6a,6bの対を2組使用する分だけ、回転軸1としての軸長の短縮化は難しくなるものの、反面、それらアキシャル変位センサ5a,5bを通じた変位検知精度は高められるようになる。しかも、上記モータを中心にそれら構造体3a,3b並びにアキシャルディスク2a,2bが略対称に配設される構造でもあるため、たとえば図2に例示したコンプレッサ等への適用に際しては、回転軸1に対する、よりバランスのとれた回転駆動が可能ともなる。
以上説明したように、この第2の実施形態にかかる磁気軸受装置によっても先の第1の実施形態による前記(1)〜(4)の効果に準ずる効果が得られるとともに、新たに次のような効果も併せて得られるようになる。
(5)回転軸1そのものとしての軸長の短縮化は難しいものの、アキシャル変位センサ5a,5bを通じた変位検知精度はより高められるようになり、制御装置を通じた一対の電磁石4a,4bを用いてのアキシャル位置制御もより信頼性の高いものとなる。
(6)モータを中心に、磁気軸受として上記分割形成した構造体3a,3b並びにアキシャルディスク2a,2bが略対称に配設される構造でもあるため、たとえば図2に例示したコンプレッサ等への適用に際しては、回転軸1に対する、よりバランスのとれた回転駆動が可能ともなる。
(第3の実施形態)
図4は、本発明にかかる磁気軸受装置の第3の実施形態を示したものであり、以下でも、先の図1に示した第1の実施形態にかかる磁気軸受装置との相違点を中心に、同第3の実施形態にかかる磁気軸受装置の構造について詳述する。
図4にその一部断面構造を示すように、この第3の実施形態にかかる磁気軸受装置も、基本的には先の第1の実施形態にかかる磁気軸受装置と同様、支承対象とする回転軸1に取り付けられたアキシャルディスク2に対し、磁気軸受を構成する構造体3が一対の電磁石4a,4bによって同ディスク2を挟む構造となっている。そして、回転軸1のアキシャル方向の変位を検知するアキシャル変位センサ5が上記磁気軸受を構成する構造体3に対して設けられていることも先の第1の実施形態にかかる磁気軸受装置と同様であるが、本実施形態にかかる磁気軸受装置では特に、このアキシャル変位センサ5を、同構造体3の上記アキシャルディスク2に対向する面に設けている。このため、そのアキシャル変位検知ターゲットとなるセンサターゲット6も、同アキシャル変位センサ5と対向する態様にて上記アキシャルディスク2の対向面に埋設されるかたちとなる。なお、同アキシャル変位センサ5が上記構造体3の突出した部分、すなわち同構造体3から回転軸1側に突出した部分9に設けられることも先の第1の実施形態にかかる磁気軸受装置と基本的に同様であるが、この構造体3から突出した部分9が上記アキシャルディスク2に対向する面側に位置していることは上述の通りである。ちなみに、この構造体3の上記アキシャルディスク2に対向する面には電磁石4bが配設されていることから、通常はこの電磁石4bの漏洩磁界によるアキシャル変位センサ5の検知精度への影響が懸念されるものの、同構造体3から突出した部分9を通じてこれらが物理的に離間されることにより、こうした影響も緩和されるようになる。そしてこの場合も、上記非接触支承される回転軸1にアキシャル方向の位置ずれ(変位)が生じたとき、
(イ’)センサターゲット6のアキシャル方向の変位としてその変位量がそれぞれ上記アキシャル変位センサ5を通じて検知され、この検知されたアキシャル方向の変位量が制御装置(図示略)に取り込まれること。
(ロ’)このとき制御装置では、この取り込まれた変位量が解消される態様にて、アキシャルディスク2を挟むように配設された一対の電磁石4a,4bの磁力をフィードバック制御すること。
等々は、先の第1の実施形態にかかる磁気軸受装置と同様であり、これによって回転軸1も、そのアキシャル方向の位置が一定となる所定の非接触支承状態に保持される。
本実施形態にかかる磁気軸受装置にあってはこのように、先の第1の実施形態にかかる磁気軸受装置と比較して電磁石4bの漏洩磁界によるアキシャル変位センサ5の検知精度への影響が懸念されるところではあるが、センサターゲット6がアキシャルディスク2に埋設されることで、回転軸1としての軸長はさらにその短縮化が促進されるようになる。すなわち、回転軸1としての固有振動数もさらに高められることとなる。もっとも、電磁石4bの漏洩磁界によるアキシャル変位センサ5の検知精度への影響については、上述のように構造体3から突出した部分9を通じて物理的な離間を図ること、あるいは適宜の磁気遮蔽部材を介在させること、等々を通じてこれを抑制、もしくは回避することは可能である。
また、本実施形態にかかる磁気軸受装置にあっても、回転軸1の基端部等、軸端にセンサターゲット6やアキシャル変位センサ5を設ける必要がなく、回転軸1に対する回転部品の装着にかかる自由度が高く維持されていることは先の第1の実施形態にかかる磁気軸受装置と同様である。このため、この磁気軸受装置も、先の図2に準ずる態様でのコンプレッサ等への適用は可能であり、むしろ回転軸1としての固有振動数のさらなる上昇化を利用して、搭載対象となる回転駆動装置の定格回転数のさらなる上昇化が期待できるようにもなる。
以上説明したように、この第3の実施形態にかかる磁気軸受装置によっても先の第1の実施形態による前記(1)および(2)の効果に準ずる効果が得られるとともに、同第1の実施形態による前記(3)および(4)の効果に代わる効果として、次のような効果が得られるようになる。
(3’)磁気軸受を構成する構造体3のアキシャルディスク2に対向する面にアキシャル変位センサ5を設けるとともに、そのアキシャル変位検知ターゲットとなるセンサターゲット6を、同アキシャル変位センサ5と対向する態様にて上記アキシャルディスク2の対向面に内装するようにした。これにより、回転軸1に対するセンサターゲット6の配設領域が割愛される分だけ、同回転軸1としてのさらなる短縮化が図られるようになる。
(4’)アキシャル変位センサ5を上記磁気軸受を構成する構造体3に設けるに際し、この構造体3に、同構造体3から回転軸1側に突出した部分9を設けるとともに、該突出した部分9に対してアキシャル変位センサ5を設け、同アキシャル変位センサ5を電磁石4bから物理的に離間する構造とした。これにより、電磁石4bの漏洩磁界によるアキシャル変位センサ5の検知精度への影響が緩和されるようになる。もっとも上述のように、これらアキシャル変位センサ5と電磁石4bとの間に適宜の磁気遮蔽部材を介在させるようにすれば、こうした漏洩磁界による検知精度への影響も回避することは可能である。
(他の実施形態)
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施することもできる。
・上記第2の実施形態は上記第1の実施形態にかかる磁気軸受装置の構造に準じてその磁気軸受を構成する構造体3を分割形成するように拡張したものであるが、上記第3の実施形態にかかる磁気軸受装置についてもその磁気軸受を構成する構造体3を分割形成するかたちで上記第2の実施形態に準じた構造に拡張することはできる。これにより、上記第2の実施形態にかかる磁気軸受装置にあっても、その回転軸1としての軸長をさらに短縮することができるようになる。
・上記第1あるいは第3の実施形態では、アキシャル変位センサ5とセンサターゲット6との対を磁気軸受を構成する構造体3の一方側にのみ設ける構造としたが、アキシャルディスク2を挟んで、同構造体3の両側に設ける構造としてもよい。この場合、回転軸1としての軸長の面では不利となるものの、アキシャル変位センサ5を通じた変位検知精度はより高められるようになる。すなわち、上記制御装置を通じた一対の電磁石4a,4bを用いてのアキシャル位置制御もより信頼性の高いものとなる。
・逆に上記第2の実施形態では、分割形成した構造体3a,3bの各々に対応してアキシャル変位センサ5a,5bとセンサターゲット6a,6bとを各別に設ける構造としたが、これら分割形成した構造体3a,3bのいずれか一方のみに対応してアキシャル変位センサとセンサターゲットとの対を設ける構造としてもよい。これにより、同第2の実施形態の磁気軸受装置にあっても、これらアキシャル変位センサとセンサターゲットとの対を割愛した分だけ、回転軸1としての軸長の短縮化を図ることが可能となる。
・同じく上記第2の実施形態では、支承対象とする回転軸1の軸方向に離間した2枚のアキシャルディスク2aおよび2bのそれぞれ内側に磁気軸受を構成する構造体を構造体3aおよび構造体3bとして分割形成したが、これら分割形成する構造体3aおよび構造体3bをアキシャルディスク2aおよび2bのそれぞれ外側に設ける構造としてもよい。すなわち、これら構造体3aおよび構造体3bを、アキシャルディスク2aおよび2bのそれぞれ内側に設けるか外側に設けるかは、回転軸1に装着される回転部品の装着位置に応じて自由に選択可能である。
・上記第1〜第3の実施形態ではいずれも、磁気軸受を構成する構造体のうちの回転軸1側に突出した部分にアキシャル変位センサを設ける構造としたが、要は、こうした突出した部分の要否に拘わらず、同アキシャル変位センサが上記構造体中に設けられる構造であればよい。このような構造でさえあれば、各実施形態の前記(1)および(2)の効果を得ることはできる。なお、特に上記第3の実施形態に関しては、上述した磁気遮蔽部材の採用によって、こうした構造の実現も容易である。
本発明にかかる磁気軸受装置の第1の実施形態についてその一部断面構造を示す部分断面図。 同第1の実施形態にかかる磁気軸受装置をコンプレッサに適用した場合の一部断面構造を示す部分断面図。 本発明にかかる磁気軸受装置の第2の実施形態についてその一部断面構造を示す部分断面図。 本発明にかかる磁気軸受装置の第3の実施形態についてその一部断面構造を示す部分断面図。 従来の磁気軸受装置の一例についてその一部断面構造を示す部分断面図。
符号の説明
1…回転軸、2,2a,2b…アキシャルディスク、3,3a,3b…磁気軸受を構成する構造体、4a,4b…電磁石、5,5a,5b…アキシャル変位センサ、6,6a,6b…センサターゲット、7…ステータ(モータステータ)、8…ロータ(モータロータ)、9,9a,9b…磁気軸受を構成する構造体の回転軸側に突出した部分、10…ハウジング、21,22…回転翼、23,24…吸入口、25,26…加圧ボリュート。

Claims (6)

  1. 回転軸に設けられた円盤状のアキシャルディスクに対向する一対の電磁石を有し、該電磁石による磁力を通じて前記回転軸をアキシャル方向に非接触にて支承する磁気軸受と、前記回転軸と共に回転並びに変位するセンサターゲットに対向して設けられ、このセンサターゲットのアキシャル方向の位置の検知を通じて前記回転軸のアキシャル方向の位置を検知するアキシャル変位センサとを備え、前記アキシャル変位センサによる検知結果に基づき前記磁気軸受を構成する電磁石の磁力を制御しつつ、前記回転軸をアキシャル方向の所定の非接触支承状態に維持する磁気軸受装置において、
    前記アキシャル変位センサを前記磁気軸受を構成する構造体に設けた
    ことを特徴とする磁気軸受装置。
  2. 前記アキシャル変位センサは、前記磁気軸受を構成する構造体中、前記電磁石が配設される面である前記アキシャルディスクに対向する面と反対側の面に設けられ、前記センサターゲットは、このアキシャル変位センサと対向する態様にて前記回転軸からフランジ状に突設されてなる
    請求項1に記載の磁気軸受装置。
  3. 前記アキシャル変位センサは、前記磁気軸受を構成する構造体中、前記電磁石が配設される面である前記アキシャルディスクに対向する面に設けられ、前記センサターゲットは、このアキシャル変位センサと対向する態様にて前記アキシャルディスクの対向面に内装されてなる
    請求項1に記載の磁気軸受装置。
  4. 前記アキシャル変位センサは、前記磁気軸受を構成する構造体のうちの前記回転軸側に突出した部分に設けられてなる
    請求項2または3に記載の磁気軸受装置。
  5. 前記磁気軸受を構成する構造体は、前記一対の電磁石にて前記アキシャルディスクを挟む態様にて設けられてなり、前記アキシャル変位センサは、同磁気軸受を構成する構造体中、前記一対の電磁石の少なくとも一方に対応した側に設けられてなる
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の磁気軸受装置。
  6. 前記アキシャルディスクは、前記回転軸の軸方向に離間した2枚のディスクとして設けられてなるとともに、前記磁気軸受を構成する構造体は、前記一対の電磁石がこれら2枚のアキシャルディスクのそれぞれ内側もしくは外側に対向する態様にて分離形成されてなり、前記アキシャル変位センサは、これら分離形成された構造体の少なくとも一方に設けられてなる
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の磁気軸受装置。
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