JP2008171874A - 誘電体薄膜の製造方法及び誘電体薄膜の製造装置 - Google Patents

誘電体薄膜の製造方法及び誘電体薄膜の製造装置 Download PDF

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浩 西岡
Kouko Suu
紅コウ 鄒
Makoto Kikuchi
真 菊地
Isao Kimura
勲 木村
Tomoyasu Kondo
智保 近藤
Hideto Nagashima
英人 長嶋
Taketo Jinbo
武人 神保
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Abstract

【課題】パーティクル数を低減させて生産性を向上させた誘電体薄膜の製造方法及び誘電体薄膜の製造装置を提供するものである。
【解決手段】ターゲット表面を初期状態にするための目標ダミー間枚数Npを規定し、ダミー間枚数Naが目標ダミー間枚数Npに到達するまで、誘電体薄膜の成膜処理を継続させた。そして、ダミー間枚数Naが目標ダミー間枚数Npに到達するとき、後続する基板を成膜室に搬入する前に、成膜室にスパッタガスのみを導入してターゲットをスパッタさせるダミースパッタ処理を実行させた。
【選択図】図3

Description

本発明は、誘電体薄膜の製造方法及び誘電体薄膜の製造装置に関する。
誘電体薄膜は、FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory)の記憶素子、DRAM(Dynamic Random Access Memory)の容量素子、圧電素子、光素子など、各種の電子デバイスとし
て広く利用されている。誘電体薄膜の製造技術としては、ターゲットから得られるスパッタ粒子と、酸素や窒素などのプラズマとを反応させて誘電体を生成させる、いわゆる反応性スパッタ法が知られている(例えば、特許文献1)。
上記の反応性スパッタ法において、基板の上に誘電体薄膜を形成させる期間、ターゲットの表面は活性化した反応性のプラズマに晒され続ける。スパッタされないターゲット表面の一部は、この反応性のプラズマによって、相対的に高い誘電率からなる誘電体層に変質してしまう。この誘電体層は、プラズマ空間から入射する正の電荷によって容易にチャージアップし、最後には異常放電(以下単に、アークという。)を招く。
そこで、反応性スパッタ法を用いた誘電体薄膜の製造技術には、従来よりから、上記の成膜不良を解消させるための提案がなされている(例えば、特許文献1、特許文献2)。
特許文献2は、ターゲットの電源としてパルスDC電源を用いる。パルスDC電源は、イオン粒子を引き付けてスパッタリングを生じさせるための負の蒸着電圧と、ターゲット表面の電荷を中性化させてターゲット表面のアーク及びマイクロアークを除去させるための正の中和電圧とを繰り返して印加させる。ターゲット表面に帯電する正電荷は、中和電圧の印加により撥ね退けられ、異常放電の頻度を低減させる。
特許文献3は、基板とターゲットとの間に、交流電源に接続されたアンテナコイルを配設させる。アンテナコイルは、基板とターゲットとの間に、独立して制御可能な誘導結合型のプラズマ領域を形成させる。アンテナコイルは、成膜に先立って、アルゴンプラズマを生成させ、アルゴンイオンのスパッタリングによって基板の表面とターゲットの表面とを同時にクリーニングさせる。
特開平10−25573号公報 特開2002−533574号公報 特開平11−269643号公報
ところで、上記の電子デバイスは、高速化や高集積化の進展に伴い、そのデザインルールを縮小化させる必要がある。誘電体薄膜の製造技術においては、このデザインルールの縮小化に応じ、成膜時におけるパーティクルの増加量を、より低い数値に抑えなければならない。特に、65nmノード以降の電子デバイスにおいては、1度の成膜処理に対し、粒径が0.2μm以上となるパーティクルの増加量を30個未満に抑える要請がある。
しかし、ターゲットの表面に形成された誘電体層は、上記パルスDC電源を用いる場合であっても、誘電体層とバルクとの間に抵抗率の差異を招き、微小な異常放電(マイクロアーク)を誘起させてしまう。そのため、特許文献2では、マイクロアークの発生した箇所において多数のパーティクルを発生させ、デザインルールの縮小化に対して十分に対応できるものではなかった。
また、ターゲット表面に形成された誘電体層は、上記のクリーニングによって除去されるとき、そのスパッタされた一部を基板の表面に付着させ、結果的に基板表面を汚染させてしまう。そのため、特許文献3では、ターゲット表面のクリーニングが基板表面の汚染を招き、パーティクルの増加量を十分に低減できるものではなかった。
本願発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、パーティクル数を低減させて生産性を向上させた誘電体薄膜の製造方法及び誘電体薄膜の製造装置を提供するものである。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、成膜室にスパッタガス及び反応ガスを導入して導体または半導体ターゲットをスパッタし、前記成膜室に搬入した基板の上に誘電体薄膜を成膜させる誘電体薄膜の製造方法であって、前記導体または半導体ターゲットの表面を初期状態にするための所定の処理枚数を規定し、前記処理枚数に相当する基板の各々に前記誘電体薄膜を成膜させた後、後続する基板を前記成膜室に搬入する前に前記スパッタガスのみを導入して前記導体または半導体ターゲットをスパッタすること、を要旨とする。
この構成によれば、成膜した基板の枚数が処理枚数になるたび、導体または半導体ターゲットは、基板の存在しない成膜室の内部でスパッタ洗浄される。したがって、基板の表面を汚染させること無く、導体または半導体ターゲットの表面を適宜初期状態に戻すことができる。この結果、複数の基板の各々に対し、それぞれ略同じ表面状態を有した導体または半導体ターゲットの下で誘電体薄膜を成膜させることができる。よって、誘電体薄膜のパーティクル数を低減させることができ、その生産性を向上させることができる。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の誘電体薄膜の製造方法であって、前記スパッタガスのみを導入して前記導体または半導体ターゲットをスパッタするときに、前記導体または半導体ターゲットに供給するスパッタ電力を前記誘電体薄膜の成膜時に供給するスパッタ電力よりも高くし、かつ、前記成膜室の圧力を前記誘電体薄膜の成膜時の圧力値よりも低くすること、を要旨とする。
この構成によれば、スパッタ洗浄時のスパッタ電力を成膜時のスパッタ電力よりも高くさせることによって、成膜時に形成された生成物を、より確実にスパッタし洗浄させることができる。また、スパッタ洗浄時の成膜室の圧力を成膜時の圧力よりも低くさせることによって、スパッタ粒子の散乱を抑制させることができる。そのため、導体または半導体ターゲットからスパッタされたスパッタ粒子に対し、散乱に起因した導体または半導体ターゲットへの再付着を抑制させることができる。この結果、スパッタ洗浄の洗浄能力を向上させることができる。
請求項3に記載の発明では、請求項1又は2に記載の誘電体薄膜の製造方法であって、前記スパッタガスのみを導入して前記導体または半導体ターゲットをスパッタするときに、前記基板を載置するための基板ステージの上に、前記基板ステージに対してスパッタ粒子を遮蔽するシャッター板を配置させること、を要旨とする。
この構成によれば、導体または半導体ターゲットをスパッタ洗浄させるとき、スパッタ粒子の付着に対し、シャッター板が基板ステージを保護する。よって、基板ステージの状態を安定させることができ、ひいては誘電体薄膜の成膜状態を安定させることができる。
請求項4に記載の発明では、請求項1又は2に記載の誘電体薄膜の製造方法であって、反応ガスは、酸素、一酸化ニ窒素、オゾンの少なくともいずれか1つであること、前記誘
電体薄膜は、SiO、TiO、Al、Ta、MgO、ZrO、HfO、BaSrTiO、SrTiO、PbZrTiO、SrBiTa、BiTi12、LaSrMnO、PrCaMnOのいずれか1つであること、を要旨とする。
請求項5に記載の発明では、請求項1又は2に記載の誘電体薄膜の製造方法であって、反応ガスは、窒素とアンモニアの少なくともいずれか1つであること、前記誘電体薄膜は、SiN、AlN、BNのいずれか1つであること、を要旨とする。
請求項6に記載の発明では、導体または半導体ターゲットを有した成膜室にガスを導入する手段と、前記成膜室中のガスを排気して前記成膜室の圧力を所定の圧力に調整する手段と、前記導体または半導体ターゲットに所定の電力を供給する手段と、前記各手段を駆動し、前記成膜室にスパッタガスと反応ガスを導入させて前記成膜室の圧力を所定の成膜圧力に調整させるとともに、前記導体または半導体ターゲットに所定の成膜電力を供給させて前記導体または半導体ターゲットをスパッタさせ前記成膜室に搬送された基板の上に誘電体薄膜を成膜させる制御手段と、を備えた誘電体薄膜の製造装置であって、前記制御手段は、前記導体または半導体ターゲットの表面を初期状態にするための所定の処理枚数を記憶し、前記誘電体薄膜を成膜させた基板の枚数をカウントしてカウント値が前記処理枚数になるたび、前記成膜室に基板が搬送される前に、前記各手段を駆動し、前記成膜室に前記スパッタガスのみを導入させて前記成膜室の圧力を所定のダミースパッタ圧力に調整させるとともに、前記導体または半導体ターゲットに所定のダミースパッタ電力を供給させ前記導体または半導体ターゲットをスパッタさせること、を要旨とする。
この構成によれば、成膜した基板の枚数が所定の処理枚数になるたび、制御手段は、基板を有しない成膜室の中で導体または半導体ターゲットをスパッタ洗浄させる。したがって、基板の表面を汚染させること無く、導体または半導体ターゲットの表面を適宜初期状態に戻すことができる。この結果、複数の基板の各々に対し、略同じ表面状態を有したターゲットの下で誘電体薄膜を成膜させることができる。よって、誘電体薄膜のパーティクル数を低減させることができ、その生産性を向上させることができる。
請求項7に記載の発明では、請求項6に記載の誘電体薄膜の製造装置であって、前記基板を載置するための基板ステージの上にシャッター板を配置して前記基板ステージに対してスパッタ粒子を遮蔽させるシャッター機構を有し、前記制御手段は、前記ダミースパッタ圧力の下で前記導体または半導体ターゲットをスパッタさせるとき、前記シャッター機構を駆動して前記基板ステージ上に前記シャッター板を配置させること、を要旨とする。
この構成によれば、導体または半導体ターゲットをスパッタ洗浄させるとき、制御手段は、スパッタ機構を介して、スパッタ粒子の付着に対し基板ステージを保護させる。よって、基板ステージの状態を安定させることができ、ひいては誘電体薄膜の成膜状態を安定させることができる。
上記したように、本発明によれば、パーティクル数を低減させて生産性を向上させた誘電体薄膜の製造方法及び誘電体薄膜の製造装置を提供することができる。
以下、本発明を具体化した一実施形態について説明する。図1は、誘電体薄膜の製造装置としての成膜装置を示す概略断面図である。図1において、成膜装置10は、誘電体薄膜を成膜するためのマグネトロン方式のスパッタチャンバである。誘電体薄膜としては、SiO、TiO、Ta、MgO、ZrO、HfO、BaSrTiO、S
rTiO、PbZrTiO、SrBiTa、BiTi12、LaSrMnO、PrCaMnO、SiN、AlN、BNなどに利用することができる。
成膜装置10は、真空槽(以下単に、チャンバ本体11という。)を有し、チャンバ本体11の内部空間(以下単に、成膜室11aという。)に基板Sを搬入する。基板Sとしては、例えばシリコン基板やセラミック基板などを用いることができる。
チャンバ本体11は、供給配管12を介してマスフローコントローラMC1に連結されている。マスフローコントローラMC1は、スパッタガスGsの供給元に接続され、成膜室11aに所定の流量のスパッタガスGsを導入する。スパッタガスGsとしては、例えばArガス、Heガス、Xeガスなどの希ガスを用いることができる。
チャンバ本体11は、供給配管13を介してマスフローコントローラMC2に連結されている。マスフローコントローラMC2は、反応ガスGrの供給元に接続され、成膜室11aに所定の流量の反応ガスGrを導入する。誘電体として金属酸化物を成膜させる場合、反応ガスGrとしては、例えばOガス、オゾンガス、NOガスなどを用いることができる。誘電体として金属窒化物を成膜させる場合、反応ガスGrとしては、例えばNガス、NHガスなどを用いることができる。
チャンバ本体11は、排気配管14を介して排気システムPSに連結されている。排気システムPSは、成膜室11aのスパッタガスGsや反応ガスGrなどを排気して成膜室11aの圧力値を所定の値に減圧する。排気システムPSとしては、例えばターボ分子ポンプとドライポンプからなる排気系を用いることができる。
チャンバ本体11は、成膜室11aに基板ステージ15を有している。基板ステージ15は、成膜室11aに搬入される基板Sを載置し、基板Sを成膜室11aの所定の位置に位置決め固定する。基板ステージ15は、例えば図示しないヒータを有し、載置した基板Sを所定の温度に調整する。
チャンバ本体11は、基板ステージ15の直上に導体または半導体ターゲット(以下単に、ターゲット16という。)を搭載している。ターゲット16としては、例えばSi、Al、Ti、Ta、Zr、Hfなどを主成分とする金属やPb−Zr−Ti合金、Sr−Bi−Ta合金などの合金などからなる導体ターゲット、またはこれらの酸化物を主成分とする半導体ターゲットを用いることができる。
チャンバ本体11は、ターゲット16の上側にターゲット電極17を配設している。ターゲット電極17は、外部電源(以下、ターゲット電源18という。)に接続され、ターゲット電源18から所定の電力が入力される。ターゲット電源18としては、パルスDC電源、AC電源、あるいはRF電源を用いることができる。成膜室11aにスパッタガスGs又は反応ガスGrが導入されるとき、所定の電力を受けるターゲット電極17は、成膜室11aにプラズマを生成し、プラズマ空間に対して負電位、すなわちカソードとして機能する。そして、ターゲット電極17は、プラズマ空間のイオン粒子を引き込み、ターゲット16をスパッタさせる。なお、ターゲット電極17は、ターゲット16を基板Sに対向させて、ターゲット16と基板Sとの間の距離を所定の距離に保持させる。
チャンバ本体11は、ターゲット電極17の上側に回転磁場機構19を搭載している。回転磁場機構19は、ターゲット16の内表面に沿ってマグネトロン磁場を形成させ、成膜室11aにプラズマが生成されるとき、プラズマ密度を増加させ、そのプラズマ状態を安定させる。
成膜装置10は、基板Sの表面に誘電体薄膜を被覆させるとき、各マスフローコントローラMC1,MC2によって所定の流量のスパッタガスGs及び反応ガスGrを成膜室11aに導入させ、排気システムPSによって成膜室11aの圧力を所定の値にまで減圧させる。成膜装置10は、この状態において、ターゲット電源18に所定の電力を印加させ、スパッタガスGsのプラズマにターゲット16をスパッタさせる。スパッタされた粒子は、反応ガスGrのプラズマと反応しながら基板Sの表面に堆積され、基板Sの表面に誘電体薄膜を形成する。
ここで、上記誘電体薄膜を成膜するときの成膜室11aの圧力値を、成膜圧力という。また、上記誘電体薄膜を成膜するときのターゲット電源18の出力値を、成膜電力という。
一方、成膜装置10は、上記誘電体薄膜を形成させる間、ターゲット16の内表面をスパッタガスGsによってスパッタさせながら、反応ガスGrのプラズマに晒し続け、スパッタされていない内表面の酸化あるいは窒化を促進させる。すなわち、成膜装置10は、誘電体薄膜を形成させるとき、ターゲット16の内表面の一部にバルクと異なる誘電体層を成長させ、ターゲット16の一部をチャージアップさせる。ターゲット16の内表面に成長した誘電体層は、誘電体薄膜の成膜処理を施すたびにチャージアップを繰り返し、最後にはチャージアップに起因する異常放電、すなわちアークあるいはマイクロアークを発生させる。
そこで、成膜装置10は、誘電体薄膜の成膜処理を所定の回数だけ施した後、マスフローコントローラMC1によって所定の流量のスパッタガスGsのみを成膜室11aに導入させ、排気システムPSによって成膜室11aの圧力値を所定の値にまで減圧させる。成膜装置10は、この状態において、ターゲット電源18に所定の電力を印加させ、スパッタガスGsのみのプラズマによってターゲット16の内表面を所定の時間だけスパッタさせる(洗浄させる)。これにより、ターゲット16の内表面は、その全体にわたってターゲット16のバルクを露出させ、ターゲット16の内表面に成長した誘電体層を除去する。つまり、ターゲット16の内表面は、誘電体薄膜を成膜する前の状態、すなわち初期状態に戻る。
しかも、成膜装置10は、成膜室11aの圧力値が上記成膜圧力よりも低くなるように、排気システムPSに成膜室11aを減圧させる。これにより、成膜装置10は、ターゲット16からスパッタされたスパッタ粒子の散乱確率を低下させる。そして、ターゲット16の誘電体層から得られるスパッタ粒子が散乱されて再びターゲット16の内表面に付着する確率、すなわち再付着の確立を低下させる。
また、成膜装置10は、ターゲット電極17に印加する電力値が成膜電力よりも高くなるように、ターゲット電源18に所定の電力を印加させる。これにより、成膜装置10は、ターゲット16の内表面を、より高いエネルギーのイオン粒子によってスパッタさせることができる。すなわち、ターゲット16の内表面を、より高速にスパッタさせることができ、また強固な結合を有した誘電体層を、より確実に除去させることができる。
なお、上記ターゲット16の内表面に対しスパッタガスGsによるスパッタを施し、内表面に成長した誘電体層を除去させる処理を、ダミースパッタ処理という。また、ダミースパッタ処理を実行するときの成膜室11aの圧力値を、ダミースパッタ圧力という。また、上記ダミースパッタ処理を実行するときのターゲット電源18の出力値を、ダミースパッタ電力という。
次に、上記成膜装置10の電気的構成について説明する。図2は、成膜装置10の電気
的構成を示す電気ブロック回路図である。
図2において、成膜装置10は、制御手段としての制御部21を有している。制御部21は、成膜装置10に各種の処理(例えば、基板Sに対する搬送処理、基板Sに対する成膜処理、ターゲット16に対するダミースパッタ処理など)を実行させるものである。制御部21は、CPUなどからなり各種の演算処理を実行するための演算部21aと、RAM、ROM、ハードディスクなどからなり各種のデータや各種の制御プログラムを記憶するための記憶部21bとを有する。
制御部21は、ハードディスクに格納された成膜処理プログラムを読み出し、成膜処理プログラムに従って成膜処理を実行させる。例えば、制御部21は、成膜処理の施された基板Sの枚数を順次カウントして記憶する。また、制御部21は、先行して実行したダミースパッタ処理と後続するダミースパッタ処理との間の期間において、成膜処理の施された基板Sの枚数を順次カウントして記憶する。
ここで、成膜処理の施された基板Sの積算枚数を、総処理枚数NTaという。また、先行するダミースパッタ処理と後続するダミースパッタ処理との間の期間において、成膜処理の施された基板Sの枚数を、ダミー間枚数Naという。
制御部21には、入出力部21cが接続されている。入出力部21cは、起動スイッチや停止スイッチなどの各種操作スイッチと、液晶ディスプレイなどの各種表示装置とを有する。入出力部21cは、各種の処理に利用するデータを制御部21に入力し、成膜装置10の処理状況に関するデータを出力する。入出力部21cは、成膜に用いる各種のパタメータを基板処理データIdとして制御部21に入力する。入出力部21cは、例えばスパッタガスGsの流量、反応ガスGrの流量、成膜圧力、成膜電力、成膜時間、ダミースパッタ圧力、ダミースパッタ電力などを基板処理データIdとして制御部21に入力する。また、入出力部21cは、誘電体薄膜を成膜する基板Sの総数やダミースパッタ処理のサイクルに関するデータを基板処理データIdとして制御部21に入力する。制御部21は、入出力部21cから入力される基板処理データIdを受信し、基板処理データIdに対応する成膜条件の下で成膜処理を実行させる。
ここで、成膜処理を施す基板Sの総数を、目標総処理枚数NTpという。また、先行するダミースパッタ処理と後続するダミースパッタ処理との間の期間に処理する基板Sの枚数を、目標ダミー間枚数Npという。
制御部21には、搬送システム駆動回路22が接続されている。制御部21は、搬送システム駆動回路22に対応する駆動制御信号を搬送システム駆動回路22に出力する。搬送システム駆動回路22は、制御部21からの駆動制御信号に応答して、基板Sを搬送させるための図示しない搬送システムを駆動させ、成膜室11aに対する基板Sの搬入・搬出を実行させる。
制御部21には、排気システムPSを駆動制御するための排気システム駆動回路23が接続されている。制御部21は、排気システム駆動回路23に対応する駆動制御信号を排気システム駆動回路23に出力する。排気システム駆動回路23は、制御部21からの駆動制御信号に応答して排気システムPSを駆動させ、成膜室11aの圧力値を所定の圧力値に調整させる。制御部21は、例えば成膜室11aの圧力値を成膜圧力にするための駆動制御信号を排気システム駆動回路23に出力し、排気システムPSによって成膜室11aの圧力値を成膜圧力に調整させる。また、制御部21は、成膜室11aの圧力値をダミースパッタ圧力にするための駆動制御信号を排気システム駆動回路23に出力し、排気システムPSによって成膜室11aの圧力値をダミースパッタ圧力に調整させる。
制御部21には、ターゲット電源18を駆動制御するためのターゲット電源駆動回路24が接続されている。制御部21は、ターゲット電源駆動回路24に対応する駆動制御信号をターゲット電源駆動回路24に出力する。ターゲット電源駆動回路24は、制御部21からの駆動制御信号に応答してターゲット電源18を駆動させ、ターゲット電極17に対し所定の電力を印加させる。制御部21は、例えばターゲット電極17に成膜電力を印加するための駆動制御信号をターゲット電源駆動回路24に出力し、ターゲット電源18に成膜電力を印加させる。また、制御部21は、ターゲット電極17にダミースパッタ電力を印加するための駆動制御信号をターゲット電源駆動回路24に出力し、ターゲット電源18にダミースパッタ電力を印加させる。
制御部21には、マスフローコントローラMC1を駆動制御するためのスパッタガスコントローラ駆動回路25が接続されている。制御部21は、スパッタガスコントローラ駆動回路25に対応する駆動制御信号をスパッタガスコントローラ駆動回路25に出力する。スパッタガスコントローラ駆動回路25は、制御部21からの駆動制御信号に応答してマスフローコントローラMC1を駆動させ、マスフローコントローラMC1にスパッタガスGsを導入させる。
制御部21には、マスフローコントローラMC2を駆動制御するための反応ガスコントローラ駆動回路26が接続されている。制御部21は、反応ガスコントローラ駆動回路26に対応する駆動制御信号を反応ガスコントローラ駆動回路26に出力する。反応ガスコントローラ駆動回路26は、制御部21からの駆動制御信号に応答してマスフローコントローラMC2を駆動させ、マスフローコントローラMC2に反応ガスGrを導入させる。
次に、上記成膜装置10を利用した誘電体薄膜の製造方法について説明する。図3は、誘電体薄膜の製造方法を示すフローチャートである。
まず、制御部21は、入出力部21cから基板処理データIdを受信し、記憶部21bから成膜処理プログラムを読み出して成膜処理プログラムを実行する。
すなわち、制御部21は、基板処理データIdを利用してスパッタガスGsの流量、反応ガスGrの流量、成膜圧力、成膜時間などに関するデータを生成し、各データをそれぞれ記憶部21bに格納する。また、制御部21は、総処理枚数NTa及びダミー間枚数Naに関するデータとして初期値“0”を生成し、各初期値をそれぞれ記憶部21bに格納する。さらに、制御部21は、基板処理データIdを利用して目標総処理枚数NTpに関するデータを生成し、目標総処理枚数NTpに関するデータを記憶部21bに格納する(ステップS10)。また、制御部21は、基板処理データIdを利用して目標ダミー間枚数Npに関するデータを生成し、目標ダミー間枚数Npに関するデータを記憶部21bに格納する(ステップS11)。
なお、目標ダミー間枚数Npは、予め実施された試験等に基づいて設定される数値であり、目標ダミー間枚数Npに相当する枚数の成膜処理の期間、ターゲット16の内表面に形成されたバルクと異なる誘電体層が誘電体薄膜の膜特性に影響を及ぼさない数値に設定されている。目標ダミー間枚数Npは、例えばダミースパッタ処理を実行せず、連続して成膜処理を施した場合、成膜処理の施された処理枚数の中で、誘電体薄膜が膜厚、膜厚均一性及びパーティクル数の初期値を維持できる最大の処理枚数として設定されている。
制御部21は、目標総処理枚数NTp及び目標ダミー間枚数Npを設定すると、搬送システム駆動回路22を介して、1枚目の基板Sを成膜室11aに搬送させ、同基板Sを基板ステージ15の上に載置させる。次いで、制御部21は、スパッタガスコントローラ駆動回路25及び反応ガスコントローラ駆動回路26を介して、各マスフローコントローラMC1,MC2にそれぞれ所定の流量のスパッタガスGs及び反応ガスGrを導入させる
。また、制御部21は、排気システム駆動回路23を介して、排気システムPSに成膜室11aの圧力値を成膜圧力に調整させる。制御部21は、成膜室11aの圧力値が成膜圧力になるとき、ターゲット電源駆動回路24を介して、ターゲット電源18に成膜電力を印加させてターゲット16のスパッタを開始させる、すなわち誘電体薄膜の成膜処理を開始させる。制御部21は、ターゲット電源18により成膜電力を成膜時間だけ印加させると、ターゲット電源駆動回路24を介して、ターゲット電極17への電力供給を遮断させる。すなわち、制御部21は、誘電体薄膜の成膜処理を終了させ、搬送システム駆動回路22を介して、同基板Sを成膜室11aから搬出させる(ステップS12)。
基板Sに誘電体薄膜が形成される期間、ターゲット16の内表面は、反応ガスGrとの反応によってその一部にバルクと異なる誘電体層を成長させてチャージアップする。
制御部21は、成膜処理を終了するとき、記憶部21bに記憶した総処理枚数NTaを読み出し、同総処理枚数NTaに“1”を加えて総処理枚数NTaを更新させる(ステップS13)。また、制御部21は、成膜処理を終了するとき、記憶部21bに記憶したダミー間枚数Naを読み出し、同ダミー間枚数Naに“1”を加えてダミー間枚数Naを更新させる(ステップS14)。
制御部21は、総処理枚数NTa及びダミー間枚数Naを更新させると、記憶部に記憶したダミー間枚数Na及び目標ダミー間枚数Npを読み出し、ダミー間枚数Naが目標ダミー間枚数Npに到達したか否かを判断する(ステップS15)。そして、制御部21は、ダミー間枚数Naが目標ダミー間枚数Npに到達するまで、2枚目の基板S、3枚目の基板S、・・・を順に成膜室11aに搬入・搬出させ、各々の基板Sに対して上記の成膜処理と、総処理枚数NTaの更新と、ダミー間枚数Naの更新と、を実行させる(ステップS15においてNo)。
そして、制御部21は、ダミー間枚数Naが目標ダミー間枚数Npに到達するとき、スパッタガスコントローラ駆動回路25を介して、マスフローコントローラMC1に所定の流量のスパッタガスGsを導入させる。また、制御部21は、排気システム駆動回路23を介して、排気システムPSに成膜室11aの圧力値をダミースパッタ圧力に調整させる。制御部21は、成膜室11aの圧力値がダミースパッタ圧力になるとき、ターゲット電源駆動回路24を介して、ターゲット電源18にダミースパッタ電力を印加させターゲット16のスパッタを開始させる(ステップS15においてYes)。
すなわち、制御部21は、ダミー間枚数Naが目標ダミー間枚数Npに到達するたびにダミースパッタ処理を開始させ、基板Sの存在しない成膜室11aでターゲット16の内表面をスパッタさせる。そして、制御部21は、ダミースパッタ電力を所定の時間だけ印加させると、ターゲット電源駆動回路24を介して、ターゲット電極17への電力供給を遮断させ、ダミースパッタ処理を終了させる(ステップS16)。
これにより、制御部21は、チャージアップした誘電体層をスパッタし、ターゲット16の内表面の全体にわたってターゲット16のバルクを露出させる、すなわちターゲット16の内表面を初期状態に戻させる。
制御部21は、ダミースパッタ処理を終了するとき、記憶部21bに記憶したダミー間枚数Naを読み出し、同ダミー間枚数Naを初期値“0”にリセットする(ステップS17)。制御部21は、ダミー間枚数Naをリセットすると、記憶部に記憶した総処理枚数NTa及び目標総処理枚数NTpを読み出し、総処理枚数NTaが目標総処理枚数NTpに到達したか否かを判断する(ステップS18)。
制御部21は、総処理枚数NTaが目標総処理枚数NTpに到達するまで、ダミー間枚
数Naが目標ダミー間枚数Npに到達するたびに、上記ダミースパッタ処理と、ダミー間枚数Naのリセットとを実行させる(ステップS18においてNo)。そして、制御部21は、総処理枚数NTaが目標総処理枚数NTpに到達するとき、成膜処理プログラムを終了させる(ステップS18においてYes)。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を説明する。
図4及び図5は、それぞれ上記成膜装置10を利用して得たSiO薄膜の膜厚安定率、膜厚均一性及びパーティクル数を示す図である。図6及び図7は、それぞれ上記成膜装置10を利用して得たTiO薄膜の膜厚安定率及びパーティクル数を示す図である。図8及び図9は、上記成膜装置10を利用して得たAlN薄膜の膜厚安定率及びパーティクル数を示す図である。
なお、図4、図6及び図8の左縦軸は、それぞれ各誘電体薄膜の膜厚案定率を示す。膜厚安定率とは、成膜された誘電体薄膜の各々の膜厚に対して規定される値であって、対応する初期膜厚(1枚目に成膜された誘電体薄膜の膜厚)を100%としたときの百分率によって得られる値である。すなわち、膜厚案定率は、100%に近い値ほど成膜状態が初期状態に近いことを示すものである。
また、図5及び図7の縦軸は、それぞれ粒径が0.2μm以上のパーティクルのカウント値をパーティクル数PNとし、そのパーティクル数PNの対数を示したものである。
(実施例1)
基板Sとして、直径が300mmのシリコン基板を基板Sに用いた。
成膜条件として、ターゲット16の構成材料にSiを用い、スパッタガスGsにArガス、反応ガスGrにOガスを用い、ターゲット電源18にパルスDC電源を用いた。また、成膜時間として、1枚目の基板Sに100nmのSiO薄膜が成膜される時間を設定した。
ダミースパッタ条件として、スパッタガスにArガスを用い、ダミースパッタ圧力を成膜圧力よりも低くし、かつ、ダミースパッタ電力を成膜電力よりも高くした。また、目標ダミー間枚数Npに“1”を設定し、目標総処理枚数NTpに“200”を設定した。
上記の条件下において、SiO薄膜の成膜処理を実行するたびに逐次ダミースパッタ処理を実行し、得られた200枚のSiO薄膜に対し、それぞれ膜厚測定とパーティクル測定を実行した。この際、SiO薄膜の膜厚を基板Sの面内において多点測定し、その平均値をSiO薄膜の膜厚として用い、各SiO薄膜の膜厚案定率及び膜厚均一性を算出した。
(比較例1)
成膜条件として、実施例1と同じ条件を用い、ダミースパッタ処理を行うことなく、200枚の基板Sに対して連続する成膜処理を施した。そして、得られた200枚のSiO薄膜に対し、それぞれ膜厚測定とパーティクル測定を実行し、各SiO薄膜の膜厚案定率及び膜厚均一性を算出した。
図4に示すように、実施例1においては、膜厚案定率及び膜厚均一性に関し、全てのSiO薄膜がそれぞれ1枚目のSiO薄膜と略同じ値を維持させていることが分かる。また、図5に示すように、実施例1においては、パーティクル数に関し、全てのSiO薄膜がそれぞれ30個以下の値を維持させていることが分かる。
一方、比較例1においては、各SiO薄膜が、それぞれ総処理枚数NTaの増加に伴
い膜厚案定率を減少させ、また総処理枚数NTaの増加に伴い膜厚均一性を徐々に増加させていることが分かる。さらに、比較例1においては、各SiO薄膜が、それぞれ総処理枚数NTaの増加に伴いパーティクル数を急激に増加させていることが分かる。例えば、1枚目のSiO薄膜が30個以下のパーティクル数を示しているにも関わらず、25枚目のSiO薄膜は、100個以上のパーティクル数を示し、さらに100枚目のSiO薄膜は、1000個以上のパーティクルを示していることが分かる。
この結果、上記ダミースパッタ処理を利用することにより、SiO薄膜は、その膜厚、膜厚均一性、パーティクル数、すなわち成膜状態を安定させることができる。
(実施例2)
基板Sとして、直径が200mmのシリコン基板を基板Sに用いた。
成膜条件として、ターゲット16の構成材料にTiを用い、スパッタガスGsにArガス、反応ガスGrにOガスを用い、ターゲット電源18にパルスDC電源を用いた。また、成膜時間として、1枚目の基板Sに100nmのTiO薄膜が成膜される時間を設定した。
ダミースパッタ条件として、スパッタガスにArガスを用い、ダミースパッタ圧力を成膜圧力よりも低くし、かつ、ダミースパッタ電力を成膜電力よりも高くした。また、目標ダミー間枚数Npに“25”を設定し、目標総処理枚数NTpに“100”を設定した。
上記の条件下において、25枚の基板Sに対しTiO薄膜の成膜処理を実行するたびに3分間のダミースパッタ処理を実行し、得られた100枚のTiO薄膜に対し、それぞれ膜厚測定とパーティクル測定を実行した。この際、TiO薄膜の膜厚を基板Sの面内において多点測定し、その平均値をTiO薄膜の膜厚として用い、各TiO薄膜の膜厚案定率を算出した。
(比較例2)
成膜条件として、実施例2と同じ条件を用い、ダミースパッタ処理を行うことなく、100枚の基板Sに対して連続する成膜処理を施した。そして、得られた100枚のTiO薄膜に対し、それぞれ膜厚測定とパーティクル測定を実行し、各TiO薄膜の膜厚案定率を算出した。
図6に示すように、実施例2においては、各TiO薄膜が、それぞれ98〜100%の膜厚安定率を有し、1枚目のTiO薄膜と略同じ膜厚を維持させていることが分かる。また、図7に示すように、実施例2においては、パーティクル数に関し、全てのTiO薄膜がそれぞれ30個以下の値を維持させていることが分かる。
一方、比較例2においては、各TiO薄膜が、それぞれ総処理枚数NTaの増加に伴い膜厚案定率を減少させていることが分かる。さらに、比較例2においては、各TiO薄膜が、それぞれ総処理枚数NTaの増加に伴いパーティクル数を急激に増加させていることが分かる。例えば、1枚目のTiO薄膜が30個以下のパーティクル数を示しているにも関わらず、25枚目のTiO薄膜は、100個以上のパーティクル数を示し、さらに75枚目のTiO薄膜は、1000個以上のパーティクルを示していることが分かる。
この結果、上記ダミースパッタ処理を利用することにより、TiO薄膜は、その膜厚及びパーティクル数、すなわち成膜状態を安定させることができる。
(実施例3)
基板Sとして、直径が200mmのシリコン基板を基板Sに用いた。
成膜条件として、ターゲット16の構成材料にTiを用い、スパッタガスGsにArガス、反応ガスGrにNガスを用い、ターゲット電源18にRF電源を用いた。また、成膜時間として、1枚目の基板Sに100nmのAlN薄膜が成膜される時間を設定した。
ダミースパッタ条件として、スパッタガスにArガスを用い、ダミースパッタ圧力を成膜圧力よりも低くし、かつ、ダミースパッタ電力を成膜電力よりも高くした。また、目標ダミー間枚数Npに“25”を設定し、目標総処理枚数NTpに“100”を設定した。
上記の条件下において、25枚の基板Sに対しAlN薄膜の成膜処理を実行するたびに1分間のダミースパッタ処理を実行し、得られた100枚のAlN薄膜に対し、それぞれ膜厚測定とパーティクル測定を実行した。この際、AlN薄膜の膜厚を基板Sの面内において多点測定し、その平均値をAlN薄膜の膜厚として用い、各AlN薄膜の膜厚案定率を算出した。
(比較例2)
成膜条件として、実施例3と同じ条件を用い、ダミースパッタ処理を行うことなく、100枚の基板Sに対して連続する成膜処理を施した。そして、得られた100枚のAlN薄膜に対し、それぞれ膜厚測定とパーティクル測定を実行し、各AlN薄膜の膜厚案定率を算出した。
図8に示すように、実施例3においては、各AlN薄膜が、それぞれ1枚目のAlN薄膜と略同じ膜厚を維持させていることが分かる。また、図9に示すように、実施例2においては、パーティクル数に関し、全てのAlN薄膜がそれぞれ30個以下の値を維持させていることが分かる。
一方、比較例3においては、各AlN薄膜が、それぞれ総処理枚数NTaの増加に伴い膜厚案定率を減少させていることが分かる。さらに、比較例3においては、各AlN薄膜が、それぞれ総処理枚数NTaの増加に伴いパーティクル数を増加させていることが分かる。例えば、1枚目のAlN薄膜が30個以下のパーティクル数を示しているにも関わらず、75枚目のAlN薄膜は、100個以上のパーティクル数を示し、さらに100枚目のAlN薄膜は、約500個のパーティクル数を示していることが分かる。
この結果、上記ダミースパッタ処理を利用することにより、AlN薄膜は、その膜厚及びパーティクル数、すなわち成膜状態を安定させることができる。
上記実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)上記実施形態によれば、ターゲット16の表面を初期状態にするための目標ダミー間枚数Npを規定し、ダミー間枚数Naが目標ダミー間枚数Npに到達するまで、誘電体薄膜の成膜処理を継続させた。そして、ダミー間枚数Naが目標ダミー間枚数Npに到達するとき、後続する基板Sを成膜室11aに搬入する前に、成膜室11aにスパッタガスGsのみを導入してターゲット16をスパッタさせた。
したがって、基板Sの表面を汚染させること無く、ターゲット16の表面を目標ダミー間枚数Npのサイクルで洗浄させることができる。この結果、目標総処理枚数NTpの各基板Sに対し、それぞれ略同じ表面状態を有したターゲット16の下で成膜処理を施すことができる。よって、誘電体薄膜のパーティクル数を低減させることができ、その生産性を向上させることができる。
(2)上記実施形態によれば、ダミースパッタ処理を実行するときに、ダミースパッタ
電力を成膜電力よりも高くし、かつ、ダミースパッタ圧力を成膜圧力よりも低くした。この結果、ダミースパッタ電力を成膜スパッタ電力よりも高くさせることにより、成膜時に形成されたバルクと異なる誘電体層を、より確実にスパッタ洗浄させることができる。また、ダミースパッタ圧力を成膜圧力よりも低くさせることによって、スパッタ粒子の散乱を抑制させることができる。そのため、誘電体層からなるスパッタ粒子に対し、散乱に起因したターゲット16への再付着を抑制させることができる。この結果、ダミースパッタ処理による洗浄能力を向上させることができる。
尚、上記実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・上記実施形態において、基板ステージ15に対してスパッタ粒子を遮蔽させるためのシャッター機構を設けてもよい。そして、ダミースパッタ処理を実行するときに、制御部21がシャッター機構を駆動し、基板ステージ15の上にシャッター板を配置させる構成にしてもよい。
詳述すると、図10に示すように、チャンバ本体11は、基板ステージ15の上を基板Sの面方向に沿って回動する回動アーム31と、回動アーム31の基端部に設けられて回動アーム31を回動させる回動軸32とを有する。回動アーム31は、その先端部に基板Sと略同じサイズに形成されたシャッター板Csを搭載する。回動アーム31は、基板ステージ15上の位置(ダミースパッタ位置:図10の実線位置)に配置されるとき、基板ステージ15上の領域であって基板Sを載置する領域(基板載置領域Sa)をシャッター板Csによって覆う。また、回動アーム31は、基板ステージ15上から離間した位置(成膜位置:図10の二点鎖線位置)に配置されるとき、シャッター板Csを基板載置領域Sa上から離脱させ、基板載置領域Saを露出させる。
そして、制御部21は、ダミースパッタ処理を実行するとき、回動アーム31をダミースパッタ位置に配置させ、基板載置領域Saをシャッター板Csによって保護する。また、制御部21は、成膜処理を実行するとき、回動アーム31を成膜位置に配置させ、基板載置領域Sa、すなわち基板Sの領域を露出させる。
これによれば、ターゲット16をスパッタ洗浄させるとき、スパッタ粒子の付着に対し、シャッター板Csが基板ステージ15を保護する。よって、基板ステージ15の状態を安定させることができ、ひいては誘電体薄膜の成膜状態を安定させることができる。また、基板ステージ15が保護されている分だけ、ダミースパッタ処理のパラメータに対してその選択範囲を拡張させることができる。
・上記実施形態では、成膜装置10を直流あるいは交流マグネトロン方式に具体化した。これに限らず、例えば成膜装置10を直流あるいは交流スパッタ方式に具体化してもよい。
成膜装置を示す概略断面図。 成膜装置を示す電気ブロック回路図。 誘電体薄膜の製造方法を示すフローチャート。 SiOの膜厚安定性と膜厚均一性を示す図。 SiOのパーティクル数を示す図。 TiOの膜厚安定性を示す図。 TiOのパーティクル数を示す図。 AlNの膜厚安定性を示す図。 AlNのパーティクル数を示す図。 変更例の成膜装置を示す概略平面図。
符号の説明
S…基板、Cs…シャッター板、Gs…スパッタガス、Gr…反応ガス、10…誘電体薄膜の製造装置としての成膜装置、11a…成膜室、16…導体または半導体ターゲットとしてのターゲット、15…基板ステージ、21…制御手段を構成する制御部。

Claims (7)

  1. 成膜室にスパッタガス及び反応ガスを導入して導体または半導体ターゲットをスパッタし、前記成膜室に搬入した基板の上に誘電体薄膜を成膜させる誘電体薄膜の製造方法であって、
    前記導体または半導体ターゲットの表面を初期状態にするための所定の処理枚数を規定し、
    前記処理枚数に相当する基板の各々に前記誘電体薄膜を成膜させた後、後続する基板を前記成膜室に搬入する前に前記スパッタガスのみを導入して前記導体または半導体ターゲットをスパッタすること、
    を特徴とする誘電体薄膜の製造方法。
  2. 請求項1に記載の誘電体薄膜の製造方法であって、
    前記スパッタガスのみを導入して前記導体または半導体ターゲットをスパッタするときに、
    前記導体または半導体ターゲットに供給するスパッタ電力を前記誘電体薄膜の成膜時に供給するスパッタ電力よりも高くし、かつ、前記成膜室の圧力を前記誘電体薄膜の成膜時の圧力値よりも低くすること、
    を特徴とする誘電体薄膜の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の誘電体薄膜の製造方法であって、
    前記スパッタガスのみを導入して前記導体または半導体ターゲットをスパッタするときに、
    前記基板を載置するための基板ステージの上に、前記基板ステージに対してスパッタ粒子を遮蔽するシャッター板を配置させること、
    を特徴とする誘電体薄膜の製造方法。
  4. 請求項1又は2に記載の誘電体薄膜の製造方法であって、
    反応ガスは、酸素、一酸化ニ窒素、オゾンの少なくともいずれか1つであること、
    前記誘電体薄膜は、SiO、TiO、Al、Ta、MgO、ZrO、HfO、BaSrTiO、SrTiO、PbZrTiO、SrBiTa、BiTi12、LaSrMnO、PrCaMnOのいずれか1つであること、
    を特徴とする誘電体薄膜の製造方法。
  5. 請求項1又は2に記載の誘電体薄膜の製造方法であって、
    反応ガスは、窒素とアンモニアの少なくともいずれか1つであること、
    前記誘電体薄膜は、SiN、AlN、BNのいずれか1つであること、
    を特徴とする誘電体薄膜の製造方法。
  6. 導体または半導体ターゲットを有した成膜室にガスを導入する手段と、
    前記成膜室中のガスを排気して前記成膜室の圧力を所定の圧力に調整する手段と、
    前記導体または半導体ターゲットに所定の電力を供給する手段と、
    前記各手段を駆動し、前記成膜室にスパッタガスと反応ガスを導入させて前記成膜室の圧力を所定の成膜圧力に調整させるとともに、前記導体または半導体ターゲットに所定の成膜電力を供給させて前記導体または半導体ターゲットをスパッタさせ前記成膜室に搬送された基板の上に誘電体薄膜を成膜させる制御手段と、を備えた誘電体薄膜の製造装置であって、
    前記制御手段は、
    前記導体または半導体ターゲットの表面を初期状態にするための所定の処理枚数を記憶
    し、前記誘電体薄膜を成膜させた基板の枚数をカウントしてカウント値が前記処理枚数になるたび、前記成膜室に基板が搬送される前に、前記各手段を駆動し、前記成膜室に前記スパッタガスのみを導入させて前記成膜室の圧力を所定のダミースパッタ圧力に調整させるとともに、前記導体または半導体ターゲットに所定のダミースパッタ電力を供給させ前記導体または半導体ターゲットをスパッタさせること、を特徴とする誘電体薄膜の製造装置。
  7. 請求項6に記載の誘電体薄膜の製造装置であって、
    前記基板を載置するための基板ステージの上にシャッター板を配置して前記基板ステージに対してスパッタ粒子を遮蔽させるシャッター機構を有し、
    前記制御手段は、
    前記ダミースパッタ圧力の下で前記導体または半導体ターゲットをスパッタさせるとき、前記シャッター機構を駆動して前記基板ステージ上に前記シャッター板を配置させること、
    を特徴とする誘電体薄膜の製造装置。
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