JP2008171802A - 非水電解質二次電池用負極とその製造方法およびそれを用いた非水電解質二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】容量維持率、ハイレート特性や低温特性や信頼性に優れた非水電解質二次電池用負極とその製造方法およびそれを用いた非水電解質二次電池を提供する。
【解決手段】少なくとも片面に凹部12と凸部13が形成された集電体11と、集電体11の凸部13上に斜立して形成された元素の含有比率が集電体11の長手方向に順次変化する柱状体部151〜158をn(n≧2)段に積層し、奇数段と偶数段の元素の含有比率の変化方向が異なる柱状体部151〜158を有する柱状体15と、を備え、柱状体部151〜158の斜立方向の中心線と集電体11の厚み方向の中心線との交差角度が鈍角を成す側の柱状体部151〜158の表面に、複数の突状体16を設け、積層された柱状体部151〜158の突状体16により柱状体15に空隙部17を設けた非水電解質二次電池用負極である。
【選択図】図2
【解決手段】少なくとも片面に凹部12と凸部13が形成された集電体11と、集電体11の凸部13上に斜立して形成された元素の含有比率が集電体11の長手方向に順次変化する柱状体部151〜158をn(n≧2)段に積層し、奇数段と偶数段の元素の含有比率の変化方向が異なる柱状体部151〜158を有する柱状体15と、を備え、柱状体部151〜158の斜立方向の中心線と集電体11の厚み方向の中心線との交差角度が鈍角を成す側の柱状体部151〜158の表面に、複数の突状体16を設け、積層された柱状体部151〜158の突状体16により柱状体15に空隙部17を設けた非水電解質二次電池用負極である。
【選択図】図2
Description
本発明は、充放電特性に優れた非水電解質二次電池に関し、より詳しくは容量維持率、ハイレート特性や低温特性に優れた非水電解質二次電池用負極とその製造方法およびそれを用いた非水電解質二次電池に関する。
非水電解質二次電池を代表するリチウムイオン二次電池は、軽量でありながら、起電力が高く、高エネルギー密度であるという特徴を有している。そのため、携帯電話やデジタルカメラ、ビデオカメラ、ノート型パソコンなどの様々な種類の携帯型電子機器や移動体通信機器の駆動用電源としてリチウムイオン二次電池の需要が拡大している。
リチウムイオン二次電池は、リチウム含有複合酸化物よりなる正極と、リチウム金属やリチウム合金またはリチウムイオンを吸蔵・放出する負極活物質を含む負極と、電解質とから構成されている。
そして、近年では、従来から負極材料として用いられてきた黒鉛などの炭素材料に代えて、リチウムイオンの吸蔵性を有し、理論容量密度が833mAh/cm3を超える元素に関する研究が報告されている。例えば、理論容量密度が833mAh/cm3を超える負極活物質の元素として、リチウムと合金化するケイ素(Si)、スズ(Sn)、ゲルマニウム(Ge)やこれらの酸化物および合金などがある。それらの中でも、Si粒子や酸化ケイ素粒子などの含ケイ素粒子は安価なため、幅広く検討されている。
しかし、これらの元素は、充電時において、リチウムイオンを吸蔵する際に、その体積が増加する。例えば、負極活物質がSiの場合、リチウムイオンが最大量吸蔵された状態ではLi4.4Siで表され、SiからLi4.4Siへ変化することにより、その体積は、放電時の4.12倍に増加する。
そのため、特にCVD法やスパッタリング法などによって上記元素の薄膜を集電体上に堆積させて負極活物質を形成した場合、リチウムイオンの吸蔵・放出により負極活物質は膨張・収縮し、充放電サイクルを繰り返す間に負極活物質と負極集電体との密着性の低下による剥離などが発生する可能性があった。
上記課題を解決するために、集電体の表面に凹凸を設け、その上に負極活物質薄膜を堆積して、エッチングにより厚み方向に空隙を形成する方法(例えば、特許文献1参照)が開示されている。また、集電体の上方にメッシュを配置し、メッシュを通して負極活物質薄膜を堆積させることにより、メッシュの枠に相当する領域への負極活物質の堆積を抑制する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、集電体の表面に凹凸を設けて、その上に薄膜状の負極材料を、負極材料の主面に垂直な面に対して傾斜して形成する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。これにより、充放電の膨張・収縮によって発生する応力を負極材料の主面に平行な方向と垂直な方向とに分散させ、皺や剥離の発生を抑制できるとしている。
特開2003−17040号公報
特開2002−279974号公報
特開2005−196970号公報
特許文献1や特許文献2に示す二次電池では、負極活物質の薄膜を柱状に形成し、それぞれの柱間に空隙部を形成して、剥離や皺を防止する構成である。しかし、充電開始時には負極活物質が収縮しているため、空隙部を介して集電体の金属面が露出する場合がある。それにより、充電時に正極に対して露出した集電体が対向するため、リチウム金属が析出しやすく、安全性や容量低下の要因となっていた。また、電池容量を大きくするために、柱状の負極活物質の高さを高く、または空隙部の間隔を小さくすると、特に柱状の負極活物質の先端(開放側)は、集電体などで規制されないため、充電が進むにつれて集電体近傍に比べて、負極活物質が大きく膨張する。その結果、柱状の負極活物質同士が先端近傍で接触し、押し合うことに起因して集電体と負極活物質との剥離や集電体に皺が発生するという課題があった。そのため、集電体と負極活物質との剥離や集電体の皺の発生の防止と高容量化を同時に実現できなかった。さらに、膨張し接触した柱状の負極活物質間の空隙に電解液が閉じ込められるため、放電初期における、リチウムイオンの移動が妨げられ、特に高率放電(以下、「ハイレート放電」と記す)や低温環境下における放電特性などに課題があった。
また、特許文献3に示す構造においては、図12(a)に示すように、傾斜(θ)させて形成した負極活物質53により、集電体51の露出を防止しリチウム金属の析出を未然に防止することができる。しかし、特許文献1、2と同様に、図12(b)に示すように、充電が進むにつれて集電体51近傍に比べて、負極活物質53が大きく膨張するため、柱状の負極活物質同士が先端近傍で接触し、図面中の矢印で示すように押し合う結果、集電体51と負極活物質53との剥離や集電体51に皺が発生するという課題があった。さらに、負極活物質を斜立して形成するため、集電体の凸部の長手方向の2表面にしか形成できない。そのため、充放電に伴う負極活物質の膨張・収縮による応力を凸部の2表面を被覆する負極活物質で緩和しなければならない。その結果、充放電サイクルが進むにつれて、負極活物質が凸部表面から剥離しやすく、信頼性が低下するという課題があった。また、膨張し接触した柱状の負極活物質間の空隙55に電解液が閉じ込められるため、放電初期における、リチウムイオンの移動が妨げられ、特にハイレート放電や低温環境下における放電特性などに課題があった。
本発明は、上記の課題を解決するものであり、高容量化とともに、充放電サイクル特性、ハイレート放電特性や低温特性に優れた非水電解質二次電池用負極とその製造方法およびそれを用いた非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、リチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出する非水電解質二次電池用負極であって、少なくとも片面に凹部と凸部が形成された集電体と、集電体の凸部上に斜立して形成された元素の含有比率が集電体の長手方向に順次変化する柱状体部をn(n≧2)段に積層し、奇数段と偶数段の元素の含有比率の変化方向が異なる柱状体部を有する柱状体と、を備え、それぞれの柱状体部の斜立方向の中心線と集電体の厚み方向の中心線との交差角度が鈍角を成す側の柱状体部の表面に、複数の突状体を設けるとともに、積層された柱状体部の突状体により柱状体に空隙部が設けられた構成を有する。
これにより、柱状体のリチウムイオンの吸蔵・放出に伴う膨張・収縮による応力を空隙部により緩和できるため、容量化を実現するとともに、長寿命で、放電時においてハイレート放電や低温特性を大幅に改善した非水電解質二次電池用負極を実現できる。
また、本発明の非水電解質二次電池用負極の製造方法は、リチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出する非水電解質二次電池用負極の製造方法であって、少なくとも集電体の片面に凹部と凸部を形成する第1ステップと、凸部に1段目の突状体を有する柱状体部を斜立させて形成する第2ステップと、柱状体部の上に1段目の柱状体部と異なる方向に斜立する2段目の突状体を有する柱状体部を形成する第3ステップと、第2ステップと第3ステップを繰り返して奇数段目と偶数段目の柱状体部の斜立方向を異ならせて、n(n≧2)段からなり、突状体により空隙部を有する柱状体を形成する第4ステップと、を含む。
これにより、柱状体のリチウムイオンの吸蔵・放出に伴う膨張・収縮による応力を空隙部により緩和し、容量化の実現とともに、充放電サイクルなどの信頼性に優れた非水電解質二次電池用負極を容易に作製できる。
また、本発明の非水電解質二次電池は、上述の非水電解質二次電池用負極と、リチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出できる正極と、非水電解質とを備えている。これにより、安全性が高く信頼性に優れた非水電解質二次電池を作製できる。
本発明の非水電解質二次電池用負極とその製造方法およびそれを用いた非水電解質二次電池によれば、膨張・収縮の大きな活物質を用いて、高容量を維持しながら、充放電サイクル特性などの信頼性に優れた非水電解質二次電池を実現できる。
本発明の第1の発明は、リチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出する非水電解質二次電池用負極であって、少なくとも片面に凹部と凸部が形成された集電体と、集電体の凸部上に斜立して形成された元素の含有比率が集電体の長手方向に順次変化する柱状体部をn(n≧2)段に積層し、奇数段と偶数段の元素の含有比率の変化方向が異なる柱状体部を有する柱状体と、を備え、それぞれの柱状体部の斜立方向の中心線と集電体の厚み方向の中心線との交差角度が鈍角を成す側の柱状体部の表面に、複数の突状体を設けるとともに、積層された柱状体部の突状体により柱状体に空隙部が設けられた構成を有する。
これにより、柱状体のリチウムイオンの吸蔵・放出に伴う膨張・収縮による応力を空隙部により緩和できるため、容量化を実現するとともに、長寿命で、放電時においてハイレート放電や低温特性を大幅に改善した非水電解質二次電池用負極を実現できる。
本発明の第2の発明は、第1の発明において、少なくとも集電体の凸部の長手方向の断面における2表面が1段目の柱状体部で被覆され、残りの1表面が2段目の柱状体部が被覆されている。これにより、柱状体と凸部との剥離強度を向上させることができる。
本発明の第3の発明は、第1の発明において、少なくとも放電状態において、柱状体のn段の柱状体部は、その奇数段と偶数段が厚み方向につづら折り状で折り重なって積層されている。
これにより、空隙部の形成を容易にするとともに、リチウムイオンの吸蔵・放出時において、隣接する柱状体間の空間を維持し、非水電解質の移動を容易にできる。
本発明の第4の発明は、第1の発明において、少なくとも充電状態において、柱状体部の鋭角側の角度が、放電状態の角度より大きくなる。
これにより、リチウムイオンの吸蔵による柱状体の膨張に対して、隣接する柱状体間の空間を維持しリチウムイオンの移動を容易にできる。
本発明の第5の発明は、第1の発明において、柱状体部として、少なくともリチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出する理論容量密度が833mAh/cm3を超える活物質を用いたものである。これにより、高容量の活物質を用いた非水電解質二次電池用負極が作製される。
本発明の第6の発明は、第5の発明において、活物質として、少なくともケイ素を含むSiOxで表される材料を用いたものである。これにより、電極反応効率が高く、高容量で比較的安価な非水電解質二次電池用負極が作製される。
本発明の第7の発明は、第6の発明において、ケイ素を含むSiOxで表される材料のxの値が、柱状体部の斜立方向の中心線と集電体の厚み方向の中心線との交差角度に対して、鋭角を形成する側から鈍角を形成する側へ向かって連続的に増加しているものである。
これにより、充放電時における膨張に伴う急激な応力変動による機械的ストレスから柱状体を保護しながら柱状体の斜立角度を可逆的に変化させることができる。
本発明の第8の発明は、リチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出する非水電解質二次電池用負極の製造方法であって、少なくとも集電体の片面に凹部と凸部を形成する第1ステップと、凸部に1段目の突状体を有する柱状体部を斜立させて形成する第2ステップと、柱状体部の上に1段目の柱状体部と異なる方向に斜立する2段目の突状体を有する柱状体部を形成する第3ステップと、第2ステップと第3ステップを繰り返して奇数段目と偶数段目の柱状体部の斜立方向を異ならせて、n(n≧2)段からなり、突状体により空隙部を有する柱状体を形成する第4ステップと、を含む。
これにより、柱状体のリチウムイオンの吸蔵・放出に伴う膨張・収縮による応力を空隙部により緩和し、容量化の実現とともに、充放電サイクルなどの信頼性に優れた非水電解質二次電池用負極を容易に作製できる。
本発明の第9の発明は、第2ステップにおいて、凸部に1段目の柱状体部を斜立させて少なくとも凸部の長手方向の断面における2表面を被覆して形成するとともに、第3ステップにおいて、柱状体部の上に1段目の柱状体部と異なる方向に斜立する2段目の柱状体部を凸部の長手方向の断面における残り1表面を被覆して形成する。これにより、柱状体と凸部との剥離強度を向上させた非水電解質二次電池用負極を作製できる。
本発明の第10の発明は、第1から第6のいずれかの発明における非水電解質二次電池用負極と、リチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出する正極と、非水電解質とを備えた非水電解質二次電池である。これにより、安全性が高く、ハイレート特性や低温特性に優れた非水電解質二次電池が作製される。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら、同一部分には同一符号を付して説明する。なお、本発明は、本明細書に記載された基本的な特徴に基づく限り、以下に記載の内容に限定されるものではない。
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態における非水電解質二次電池の断面図である。
図1は、本発明の実施の形態における非水電解質二次電池の断面図である。
図1に示すように、積層型の非水電解質二次電池(以下、「電池」と記す場合がある)は、以下で詳述する負極1と、負極1に対向し放電時にリチウムイオンを還元する正極2と、これらの間に介在し負極1と正極2との直接接触を防ぐ多孔質のセパレータ3とで構成される電極群4を具備する。電極群4とリチウムイオン伝導性を有する電解質(図示せず)は、外装ケース5の内部に収容されている。リチウムイオン伝導性を有する電解質は、セパレータ3に含浸されている。また、正極集電体2aおよび負極集電体1aには、それぞれ正極リード(図示せず)および負極リード(図示せず)の一端が接続されており、その他端は外装ケース5の外部に導出されている。さらに、外装ケース5の開口部は、樹脂材料により封止されている。そして、正極2は、正極集電体2aと、正極集電体2aに担持された正極合剤層2bとから構成されている。
さらに、以下で詳細に説明するように、負極1は、凹部と凸部を有する負極集電体1a(以下、「集電体」と記す)と、少なくとも凸部の長手方向の断面における2表面を被覆するように斜立して設けたn(n≧2)段の突状体を有する柱状体部を積層して、例えばつづら折り状に折り畳まれた柱状体1bとで構成されている。
ここで、柱状体1bは、複数の柱状体部に形成された突状体により空隙部が設けられている。また、突状体は、それぞれの柱状体部の斜立方向の中心線と負極集電体の厚み方向の中心線との交差角度が鈍角を成す側の柱状体部の表面に少なくとも設けられている。
そして、各柱状体部は、それらを構成する元素の含有比率が集電体の凸部が設けられた長手方向に順次変化させて形成されている。さらに、n(n≧2)段に積層して構成される柱状体部は、その奇数段目と偶数段目の元素の含有比率の変化方向が異なるように形成されている。
なお、凸部の2表面とは、凸部の突出した部分を長手方向に切断したときの断面における面を意味している。具体的には、例えば凸部が直方体の場合、凸部の底面を除いて、凸部上面と側面の合計5面を備えている。そのため、1段目の柱状体部で被覆される面は、凸部上面と凸部側面のうち1面となる。ここで、柱状体部が凸部側面と直交する方向で形成された場合は1面となり、直交しない場合には2面で形成されることになる。また、凸部を上面から見たときに凸部形状が楕円や円柱の場合、柱状体部の形成面は凸部の上面と側面となり、1段目の柱状体部で被覆される面は、凸部上面と側面の一部となる。
ここで、正極合剤層2bは、LiCoO2やLiNiO2、Li2MnO4、またはこれらの混合あるいは複合化合物などの含リチウム複合酸化物を正極活物質として含む。正極活物質としては上記以外に、LiMPO4(M=V、Fe、Ni、Mn)の一般式で表されるオリビン型リン酸リチウム、Li2MPO4F(M=V、Fe、Ni、Mn)の一般式で表されるフルオロリン酸リチウムなども利用可能である。さらに、これら含リチウム化合物の一部を異種元素で置換してもよい。金属酸化物、リチウム酸化物、導電剤などで表面処理してもよく、表面を疎水化処理してもよい。
正極合剤層2bは、さらに、導電剤と結着剤とを含む。導電剤としては、天然黒鉛や人造黒鉛のグラファイト類、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック類、炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維類、フッ化カーボン、アルミニウムなどの金属粉末類、酸化亜鉛やチタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー類、酸化チタンなどの導電性金属酸化物、フェニレン誘導体などの有機導電性材料を用いることができる。
また結着剤としては、例えばPVDF、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、アラミド樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアクリルニトリル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸メチルエステル、ポリアクリル酸エチルエステル、ポリアクリル酸ヘキシルエステル、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸メチルエステル、ポリメタクリル酸エチルエステル、ポリメタクリル酸ヘキシルエステル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリエーテル、ポリエーテルサルフォン、ヘキサフルオロポリプロピレン、スチレンブタジエンゴム、カルボキシメチルセルロースなどが使用可能である。また、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン、エチレン、プロピレン、ペンタフルオロプロピレン、フルオロメチルビニルエーテル、アクリル酸、ヘキサジエンより選択された2種以上の材料の共重合体を用いてもよい。また、これらのうちから選択された2種以上を混合して用いてもよい。
正極2に用いる正極集電体2aとしては、アルミニウム(Al)、炭素、導電性樹脂などが使用可能である。また、このいずれかの材料に、カーボンなどで表面処理してもよい。
非水電解質には有機溶媒に溶質を溶解した電解質溶液や、これらを含み高分子で非流動化されたいわゆるポリマー電解質層が適用可能である。少なくとも電解質溶液を用いる場合には正極2と負極1との間にポリエチレン、ポリプロピレン、アラミド樹脂、アミドイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミドなどからなる不織布や微多孔膜などのセパレータ3を用い、これに電解質溶液を含浸させるのが好ましい。またセパレータ3の内部あるいは表面には、アルミナ、マグネシア、シリカ、チタニアなどの耐熱性フィラーを含んでもよい。セパレータ3とは別に、これらのフィラーと、正極2および負極1に用いるのと同様の結着剤とから構成される耐熱層を設けてもよい。
非水電解質材料としては、各活物質の酸化還元電位などを基に選択される。非水電解質に用いるのが好ましい溶質としては、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAlCl4、LiSbF6、LiSCN、LiCF3SO3、LiNCF3CO2、LiAsF6、LiB10Cl10、低級脂肪族カルボン酸リチウム、LiF、LiCl、LiBr、LiI、クロロボランリチウム、ビス(1,2−ベンゼンジオレート(2−)−O,O’)ホウ酸リチウム、ビス(2,3−ナフタレンジオレート(2−)−O,O’)ホウ酸リチウム、ビス(2,2’−ビフェニルジオレート(2−)−O,O’)ホウ酸リチウム、ビス(5−フルオロ−2−オレート−1−ベンゼンスルホン酸−O,O’)ホウ酸リチウムなどのホウ酸塩類、(CF3SO2)2NLi、LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)、(C2F5SO2)2NLi、テトラフェニルホウ酸リチウムなど、一般にリチウム電池で使用されている塩類を適用できる。
さらに、上記塩を溶解させる有機溶媒には、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジプロピルカーボネート、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、ジメトキシメタン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、1,2−ジエトキシエタン、1,2−ジメトキシエタン、エトキシメトキシエタン、トリメトキシメタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなどのテトラヒドロフラン誘導体、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソランなどのジオキソラン誘導体、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、プロピルニトリル、ニトロメタン、エチルモノグライム、リン酸トリエステル、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、スルホラン、3−メチルスルホラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、エチルエーテル、ジエチルエーテル、1,3−プロパンサルトン、アニソール、フルオロベンゼンなどの1種またはそれ以上の混合物など、一般にリチウム電池で使用されているような溶媒を適用できる。
さらに、ビニレンカーボネート、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、ジフェニルエーテル、ビニルエチレンカーボネート、ジビニルエチレンカーボネート、フェニルエチレンカーボネート、ジアリルカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、カテコールカーボネート、酢酸ビニル、エチレンサルファイト、プロパンサルトン、トリフルオロプロピレンカーボネート、ジベニゾフラン、2,4−ジフルオロアニソール、o−ターフェニル、m−ターフェニルなどの添加剤を含んでいてもよい。
なお、非水電解質は、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリホスファゼン、ポリアジリジン、ポリエチレンスルフィド、ポリビニルアルコール、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレンなどの高分子材料の1種またはそれ以上の混合物などに上記溶質を混合して、固体電解質として用いてもよい。また、上記有機溶媒と混合してゲル状で用いてもよい。さらに、リチウム窒化物、リチウムハロゲン化物、リチウム酸素酸塩、Li4SiO4、Li4SiO4−LiI−LiOH、Li3PO4−Li4SiO4、Li2SiS3、Li3PO4−Li2S−SiS2、硫化リン化合物などの無機材料を固体電解質として用いてもよい。ゲル状の非水電解質を用いる場合、ゲル状の非水電解質をセパレータ3の代わりに負極1と正極2との間に配置してもよい。または、ゲル状の非水電解質は、セパレータ3に隣接するように配置してもよい。
そして、負極1の集電体1aは、ステンレス鋼、ニッケル、銅、チタンなどの金属箔、炭素や導電性樹脂の薄膜などが用いられる。さらに、カーボン、ニッケル、チタンなどで表面処理を施してもよい。
また、負極1の柱状体1bを構成する柱状体部としては、ケイ素(Si)やスズ(Sn)などのようにリチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出する理論容量密度が833mAh/cm3を超える活物質を用いることができる。このような活物質であれば、単体、合金、化合物、固溶体および含ケイ素材料や含スズ材料を含む複合活物質のいずれであっても、本発明の効果を発揮させることは可能である。すなわち、含ケイ素材料として、Si、SiOx(0<x≦2.0)、またはこれらのいずれかにAl、In、Cd、Bi、Sb、B、Mg、Ni、Ti、Mo、Co、Ca、Cr、Cu、Fe、Mn、Nb、Ta、V、W、Zn、C、N、Snからなる群から選択される少なくとも1つの元素でSiの一部を置換した合金や化合物、または固溶体などを用いることができる。含スズ材料としてはNi2Sn4、Mg2Sn、SnOx(0<x≦2.0)、SnO2、SnSiO3、LiSnOなどを適用できる。
これらの活物質は単独で構成してもよく、また複数種の活物質により構成してもよい。上記複数種の活物質により構成する例として、Siと酸素と窒素とを含む化合物やSiと酸素とを含み、Siと酸素との構成比率が異なる複数の化合物の複合物などが挙げられる。
以下、本発明の実施の形態における非水電解質二次電池用負極(以下、「負極」と記す場合がある)について、図2と図3を用いて詳細に説明する。なお、以下では、例えば少なくともケイ素を含むSiOx(0≦x≦2.0)で表される負極活物質(以下、「活物質」と記す)を例に説明する。
図2(a)は、本発明の実施の形態における負極の構造を示す部分断面模式図で、図2(b)は、同実施の形態の活物質の幅方向のxの値の変化を説明する模式図である。また、図3(a)は本発明の実施の形態における負極の充電前の状態の構造を詳細に示す部分断面模式図であり、図3(b)は同実施の形態における負極の充電後の状態の構造を詳細に示す部分断面模式図である。なお、図3(a)、(b)は、複数の柱状体部の突状体で形成される柱状体の空隙部の理解を容易にするために任意の縮尺で示している。
図2(a)に示すように、例えば銅(Cu)箔などの導電性金属材料よりなる集電体11の少なくとも上面には凹部12と凸部13が設けられている。そして、凸部13の上部には、柱状体15を構成する、SiOxで表される活物質が、例えばスパッタリング法または真空蒸着法などを用いた斜方蒸着法により、つづら折り状の折り畳まれた状態で、例えば奇数段目と偶数段目の斜立方向の異なるn(n≧2)段の柱状体部からなる柱状体15の形状で形成されている。図2(a)では、例えば柱状体部151〜158がn=8段でつづら折り状に折り畳まれて形成された状態を示している。
そして、柱状体15を構成する、例えば1段目の柱状体部151は、以下、図5と図6を用いて説明するように、その斜立方向の中心線(A−A)と集電体11の厚み方向の中心線(B−B)との交差角θ1が鈍角を成す側に複数の突状体16を有している。そして、図2(a)に示すように、2段目の柱状体部152は、1段目の柱状体部151の斜立方向と異なる方向に形成され、その鈍角側に突状体16が形成される。なお、突状体16は、柱状体15の斜立方向の中心線(A−A)とその垂線との間の角度θ2の方向で、集電体11から遠ざかる方向に向かって柱状体15の表面に形成されている。
以下、柱状体部153〜158は、例えば奇数段目は柱状体部151と、偶数段目は柱状体部152と同様な方向に形成される。なお、生産性や製造装置の構成が許せば、異なる任意の方向に形成してもよいことはいうまでもない。
その結果、複数の柱状体部をつづら折り状に折り畳んで形成することにより、各柱状体部に形成された突状体16を介して積層され、図2(a)に示すような空隙部17を有する柱状体15が形成される。
以下で、図3を用いて、n=5段からなる柱状体部151、152、153、154、155が積層して構成された柱状体15を例に、さらに具体的に説明するが、n≧2段であれば、これに限られないことはいうまでもない。
まず、図3(a)に示すように、柱状体15の柱状体部151は、少なくとも集電体11の凸部13の上で柱状体部151の斜立方向の中心線(A)と集電体11の厚み方向の中心線(B−B)とが交差角度(以下、「斜立角度」と記す)θ1を成すように形成されている。そして、柱状体15の柱状体部152は、柱状体部151の突状体161を覆うように、その斜立方向の中心線(B)と集電体11の厚み方向の中心線(B−B)とが斜立角度θ2を成すように形成されている。さらに、柱状体15の柱状体部153は、柱状体部152の突状体162を覆うように、その斜立方向の中心線(C)と集電体11の厚み方向の中心線(B−B)とが斜立角度θ3を成すように形成されている。また、柱状体15の柱状体部154は、柱状体部153の突状体163を覆うように、その斜立方向の中心線(D)と集電体11の厚み方向の中心線(B−B)とが斜立角度θ4を成すように形成されている。さらに、柱状体15の柱状体部155は、柱状体部154の突状体164を覆うように、その斜立方向の中心線(E)と集電体11の厚み方向の中心線(B−B)とが斜立角度θ5を成すように形成され、その鈍角側に突状体165が形成されている。
上記構成により、柱状体15に中央部には、各柱状体部の突状体により、ポーラスな空隙部17が形成される。このとき、突状体は各柱状体部に斜立する鈍角側の表面に全体に形成されるが、蒸着条件により、各柱状体部の鈍角側表面の上部近傍にのみ形成させることができる。
なお、柱状体部155の突状体165は、必ずしも必要なものではなく形成しなくてもよい。また、斜立角度θ1、θ2、θ3、θ4、θ5は、隣接する柱状体15が、リチウムイオンの吸蔵・放出時の膨張・収縮により接触しなければ、同じ角度でも異なる角度であってもよい。
また、柱状体15を構成する柱状体部151、152、153、154、155、156、157、158は、図2(b)で模式的に示すように、例えば奇数段目の柱状体部151、153、155、157と偶数段目の柱状体部152、154、156、158の幅方向の元素の含有比率、例えばxの値の変化する方向が異なるように設けられる。すなわち、柱状体部151、153、155、157の鋭角を成す斜立角度側から、鈍角を成す側に向かって、xの値を順次大きくするものである。なお、図2(b)では、xの値が直線的に変化するように示しているが、これに限られない。
そして、集電体11の凸部13の上に斜立してn=5段でつづら折り状に折り畳んで形成された柱状体15は、非水電解質二次電池の充電時、リチウムイオンの吸蔵により、その体積が膨張する。このとき、体積の膨張とともに、以下に図4を用いて詳細にその動作を説明するように、柱状体15の各柱状体部151、152、153、154、155の斜立角度θ1、θ2、θ3、θ4、θ5が大きくなることにより、結果的に柱状体15は、例えば立ち上がるように変形する。逆に、放電時、リチウムイオンの放出により、図3(b)に示すように、その体積が収縮するとともに、斜立角度θ1、θ2、θ3、θ4、θ5が小さくなり、初期のつづら折り状の柱状体15になる。
そして、柱状体の各柱状体部の膨張・収縮による各柱状体部間に生じる応力を柱状体の中央部に形成された突状体によるポーラスな空隙部により緩和することができる。つまり、各柱状体部が積層し折り重なった部分は、元素の組成比率が異なるため、膨張・収縮による応力により剥離などを生じやすく信頼性の低いものである。しかし、柱状体の中央部に突状体により空隙部を設けることにより、その応力を緩和し、剥離などの発生を大幅に低減できる。その結果、充放電サイクルなど長期安定性に優れ、信頼性の高い負極を実現できる。
また、図3(a)に示すように、充電開始状態において、5段の柱状体部を有する柱状体15は、集電体11の凸部13の上に斜立しているため、柱状体15を正極18からの投影で見た場合、正極18に対して集電体11の凹部12を柱状体15で部分的に遮蔽した状態となる。したがって、充電時に正極18から放出されたリチウムイオンは、負極の柱状体15によって集電体11の凹部12への直接の到達が遮られ、そのほとんどが柱状体15に吸蔵されるため、リチウム金属の析出が抑制される。そして、リチウムイオンの吸蔵に伴って、5段の柱状体部の斜立角度が大きくなり、最終的に、柱状体15は集電体11に対してほぼ直立した状態になる。なお、必ずしも直立した状態になるものではなく、柱状体部の段数や斜立角度などの設計要因により、斜立角度が90°以下で、つづら折り形状であってもよいが、望ましくは斜立角度90°に設計することが好ましい。
さらに、図3(b)に示すように、完全充電された電池を放電する場合、充電により膨張した5段の柱状体部からなる柱状体15は、集電体11に対して直立した状態となる。そのため、隣接する柱状体15間の電解液19は、図面中の矢印で示すように、柱状体15を介して容易に移動することができる。そして、柱状体15間にある電解液19は、柱状体15間の空隙を介して容易に対流できるので、リチウムイオンの移動などが妨げられない。その結果、ハイレート放電や低温時の放電特性を大幅に改善できる。
以下に、上記柱状体15が、リチウムイオンの吸蔵・放出により、斜立角度が可逆的に変化するメカニズムについて、図4を用いて説明する。なお、本発明は柱状体がn段で構成されるものであるが、説明を容易にするために1つの柱状体部からなる柱状体を例に説明する。しかし、n段構成でも同様のメカニズムで機能することはいうまでもない。
図5(a)は本発明の実施の形態における負極の柱状体の充電前の状態を示す部分断面模式図であり、図5(b)は同実施の形態における負極の柱状体の充電後の状態を示す部分断面模式図である。
図5に示す柱状体15は、柱状体15の中心線(A−A)と集電体11の中心線(B−B)とが鋭角を形成する下部側15aから柱状体15の鈍角を形成する上部側15bへ向けて、xの値が連続的に大きくなるように、SiOxからなる活物質の元素の含有比率を変化させている。そして、一般にSiOxからなる活物質は、xの値が0〜2に増加するにしたがって、リチウムイオンの吸蔵による膨張量が小さくなる。
すなわち、図5(a)に示すように、充電時にリチウムイオンを吸蔵することによる膨張により発生する膨張応力は、柱状体15の下部側15aの膨張応力F1から上部側15bの膨張応力F2へと連続的に小さくなる。その結果、柱状体15の中心線(A−A)と集電体11の中心線(B−B)とが成す斜立角度θが、θ10からθ11へと変化し、図5(a)の矢印で示す方向に、柱状体15が起き上がることになる。逆に、放電時にはリチウムイオンを放出することによる収縮により膨張応力は小さくなる。その結果、柱状体15の斜立角度θが、θ11からθ10へと変化し、図5(b)の矢印で示す方向に、柱状体15が変形することになる。
以上により、柱状体15は、リチウムイオンの吸蔵・放出により、その斜立角度が可逆的に変化することになる。
本実施の形態によれば、n段の柱状体部からなる柱状体の中央部にポーラスの空隙部を設けることにより、柱状体を構成する各柱状体部の膨張・収縮による応力を大幅に緩和できる。また、斜立して形成する柱状体部の高さを低くし、複数段で柱状体を構成するため、柱状体を概略直立させた形状に形成できるので、リチウムイオンの吸蔵・放出時、見かけ上、柱状体の高さ(厚み)だけが変化する。よって、隣接する柱状体間の空隙を大きく維持できる。そのため、隣接する柱状体同士の接触がないため、接触時の応力による集電体の皺や、それに伴う柱状体の剥離などの発生を未然に防止できる。その結果、充放電サイクル特性などの長期安定性に優れた非水電解質二次電池を実現できる。
また、本実施の形態によれば、リチウムイオンの吸蔵・放出による膨張・収縮の大きい活物質を用いて高容量化を実現しながら、膨張・収縮による応力を大幅に緩和する負極構造とすることにより、容量維持率、ハイレート特性や低温特性に優れた非水電解質二次電池を実現できる。
以下、本発明の実施の形態における非水電解質二次電池用負極の柱状体の製造方法について、図6、図7と図8を用いて説明する。
まず、図6を用いて、柱状体構成する柱状体部の鈍角側の表面に突状体が形成されるメカニズムについて説明する。
図6は、本発明の実施の形態における非水電解質二次電池用負極の突状体を備えた柱状体の形成方法を説明する部分断面模式図である。なお、本発明は柱状体がn段の柱状体部で構成されるものであるが、説明を容易にするために1つの柱状体部からなる柱状体を例に説明する。しかし、n段構成でも同様のメカニズムで機能することはいうまでもない。
まず、図6(a)に示すように、厚さ30μmの帯状電解銅箔を用いて、その表面にメッキ法で凹部12と凸部13を形成し、凸部13が、例えば15μm間隔で形成された集電体11を作製する。
つぎに、図6(b)に示すように、集電体11の法線方向に対して角度ω(例えば60°)から、例えばSi(スクラップシリコン:純度99.999%)などの活物質が、集電体11の凸部13上に、図面中の矢印方向から入射する。同時に、酸素(O2)が集電体11に向けて、図面中の矢印方向から供給される。これにより、Siと酸素の結合したSiOxの活物質が凸部13上に角度θ1で成膜される。このとき、SiとO2の量を矢印の長さで示すように、成膜されるSiOxのxの値が集電体11の移動方向に対して順次変化した状態で柱状体15が形成される。例えば、図6(b)においては、図面中の右側のxの値は小さく、図面中の左側のxの値は大きくなる。なお、図6(b)と図6(c)では、理解を助けるために、集電体の凸部13を拡大して示している。
つぎに、図6(c)に示すように、柱状体15が集電体11の凸部13上に成長するにしたがって、xの値が大きい図面中の左側に突状体16が形成される。
つまり、突状体16は、以下で詳細に述べるように、柱状体15を形成する蒸発粒子であるSiが、飛来し、集電体11に形成される間に酸素ガスと結合または衝突により散乱された結果生じるものと考えている。そのため、突状体16は、常に形成されるものではなく、特に成膜速度や真空度などに強く依存する。例えば、10nm/s以下の場合、散乱成分が多くなるため、柱状体15のみが形成されやすい。しかし、この条件は一義的に決まるものではなく、例えば真空度などの他の条件と関連して変動するものである。
つぎに、図6(d)に示すように、突状体16を有する柱状体15が、所定の斜立角度θ1で形成され、負極が作製される。
なお、柱状体15に、例えば成膜速度や真空度などに依存して突状体16が形成されるメカニズムは正確には理解できていないが、以下のように推測している。
一般に、集電体11の凸部13に対応して、柱状体15を相互に空間をあけて形成するためには、蒸着ソースからの蒸発粒子を集電体11に斜方から入射させる方法が知られている。その場合、柱状体15は、巨視的には集電体11の法線方向と蒸発粒子の入射方向の間の角度で成長する。つまり、柱状体15の成長過程において、成長初期には、隣接する集電体の凸部、そして柱状体15が成長するにしたがって柱状体15自身により蒸発粒子に対する陰影効果が発現する。その結果、柱状体15による影の部分には蒸発粒子は飛来しないため、柱状体15は成長せず、空間を持った柱状体15が形成されるものである。これは、真空度が高く、蒸発粒子の直進性が高い場合にはよく知られている現象である。
一方、酸素ガスなどを導入し、真空度が低い場合においては、蒸着ソースから飛来する蒸発粒子は、平均自由工程距離が短く、酸素ガスとの結合や衝突などにより散乱される成分(蒸発粒子が、その入射角度と異なる角度に偏向される成分)が発生する。しかし、蒸発粒子の大多数が飛来する入射角度において、柱状体が成長する方向の面には、散乱成分による蒸発粒子が柱状体と異なる斜立角度で成長しても、大多数の蒸発粒子の成長により柱状体に取り込まれ、連続的に成長した柱状体として形成される。
一方、上記で説明した柱状体の成長する影の部分は、大多数が飛来する入射角度を有する蒸発粒子に曝されない。しかし、蒸発粒子の散乱成分のうち、少なくとも柱状体に向かう方向の成分の蒸発粒子は、柱状体の影の部分の表面に対して、所定の角度で飛来し成長する。このとき、蒸発粒子の散乱成分は、柱状体を形成する蒸発粒子の数より少ないため、連続体の膜に成長せず、離散的に成長して、突状体が形成されるものと考えられる。
なお、形成される突状体の斜立角度も、柱状体の斜立角度と同様に、蒸発粒子の散乱成分の飛来する角度に依存し、柱状体の突状体の形成表面に対して所定の斜立角度で形成される。
また、突状体は、蒸発粒子の散乱成分により形成されるため、真空度、成膜速度、導入ガスの種類と流量や集電体の凸部の形状などによって制御することができるものである。
以降で、本発明の実施の形態における非水電解質二次電池用負極の柱状体の製造方法について、図7と図8を用いて説明する。
図7は、本発明の実施の形態における非水電解質二次電池用負極のn段の柱状体部からなる柱状体の形成方法を説明する部分断面模式図であり、図8はその製造装置を説明する模式図である。
ここで、図8に示す柱状体を形成する製造装置40は、真空容器41中に、加熱手段である電子ビーム(図示せず)と、酸素ガスを真空容器41内に導入するガス導入配管42と、集電体を固定する固定台43とを備え、真空ポンプ47で減圧される構成を有している。ガス導入配管42は、真空容器41内に酸素ガスを放出するノズル45を備え、集電体を固定する固定台43はノズル45の上方に設置されている。また、固定台43の鉛直下方には、集電体の表面に堆積して柱状体を形成する蒸着ソース46が設置されている。そして、製造装置40では、固定台43の角度により、集電体と蒸着ソース46との位置関係を変更可能である。すなわち、n段から構成される柱状体の各段の斜立方向が、集電体の表面の法線方向と水平方向とが成す角ωを固定台43により変更することにより制御される。
なお、本製造装置は、集電体の片面にn段の柱状体部を形成して柱状体を作製する一例を示したものであるが、実際には、集電体の両面に柱状体を作製する装置構成が一般的である。
まず、図7(a)と図8に示すように、厚さ30μmの帯状電解銅箔を用いて、その表面にメッキ法で凹部12と凸部13を形成し、凸部13が、例えば高さ7.5μm、幅10μm、間隔20μmで形成された集電体11を作製する。そして、図8に示す固定台43に集電体11が設置される。
つぎに、図7(b)と図8に示すように、蒸着ソース46に対して、固定台43を集電体11の法線方向に対して角度ω(例えば60°)で配置し、例えばSi(スクラップシリコン:純度99.999%)などの活物質を、電子ビームで加熱して蒸発させ、集電体11の凸部13上に、図7(b)中の矢印方向から入射させる。同時に、ガス導入配管42から酸素(O2)ガスが導入され、ノズル45から集電体11に向けて供給する。このとき、例えば真空容器41の内部は、圧力3.5Paの酸素雰囲気とした。これにより、Siと酸素の結合したSiOxの活物質が、角度ωに配置された固定台43に設置された集電体11の凸部13上に角度θ1で、例えば所定の高さ(厚さ)の突状体(図示せず)を備えた斜立方向の厚み10μmの1段目の柱状体部151が形成される。このとき、成膜されるSiOxのxの値は集電体11の幅方向に対して順次変化した状態で柱状体部151が形成される。例えば、図7(b)においては、図面中の右側のxの値は小さく、図面中の左側のxの値は大きくなる。
つぎに、図7(c)と図8に示すように、凸部13上に1段目の柱状体部151が形成された集電体11を、図面中の破線で示すように固定台43を回転させて、集電体11の法線方向に対して角度(180−ω)(例えば120°)の位置に配置する。そして、蒸着ソース46から、例えばSi(スクラップシリコン:純度99.999%)などの活物質を蒸発させ、集電体11の1段目の柱状体部151に、図7(c)中の矢印方向から入射させる。同時に、ガス導入配管42から酸素(O2)ガスが導入され、ノズル45から集電体11に向けて供給する。これにより、Siと酸素の結合したSiOxの活物質が1段目の柱状体部151上に角度θ2で、斜立方向の厚み(高さ)0.1μm〜5μmで2段目の突状体(図示せず)を備えた柱状体部152が、1段目の柱状体部151の突状体を覆うように形成される。
このとき、成膜されるSiOxのxの値は集電体11の幅方向に対して順次変化した状態で柱状体部152が形成される。例えば、図7(c)の2段目の柱状体部152においては、図面中の左側のxの値は小さく、図面中の右側のxの値は大きくなる。これにより、1段目の柱状体部151と2段目の柱状体部152とは、xの値の変化方向が集電体11の幅方向に対して、反対に形成されるとともに、斜立する角度と斜立方向が異なって作製される。
つぎに、図7(d)と図8に示すように、図7(b)と同様の状態に固定台43を戻して、2段目の柱状体部152の突状体を覆うように、3段目の柱状体部153を、斜立方向の厚み(高さ)0.1μm〜5μmで形成する。このとき、図7(d)に示す3段目の柱状体部153は、図面中の右側のxの値は小さく、図面中の左側のxの値は大きくなる。これにより、2段目の柱状体部152と3段目の柱状体部153とは、xの値の変化方向が集電体11の幅方向に対して、反対に形成されるとともに、斜立する角度と斜立方向が異なって作製される。上記の場合、1段目の柱状体部151と3段目の柱状体部153とは同じ斜立方向に形成されることになる。
つぎに、図7(e)に示すように、図7(c)と図7(d)の工程を繰り返すことにより、1段目の柱状体部以外は、斜立方向の厚み(高さ)0.1μm〜5μmからなる柱状体部で構成された柱状体15を有する負極1が作製される。このとき、図7のように、例えばn=8段で斜立方向の厚みが1段目の柱状体部以外は、2μm〜5μmからなる柱状体部で構成された柱状体15の場合、柱状体15を構成するn=8段の柱状体部は、それぞれに突状体を被覆するように形成される。そのため、奇数段目の柱状体部151、153、155、157と偶数段目の柱状体部152、154、156、158は、xの値の変化方向が集電体11の幅方向に対して、反対に形成されるとともに、斜立する角度と斜立方向が異なって作製される。
なお、上記ではn=8段の柱状体部からなる柱状体を例に説明したが、これに限られない。例えば、上記図7(b)と図7(c)の工程を繰り返すことにより、任意のn(n≧2)段の柱状体部からなる柱状体を形成できる。
また、上記製造装置では、所定の大きさを有する集電体に、柱状体を作製する例で説明したが、これに限られず各種装置構成が可能である。例えば、ロール状の集電体を送出しロールと巻取りロール間に配置して、その間に成膜ロールをシリーズに複数個配置して、集電体を一方方向に移動しながらn段の柱状体を作製してもよい。さらに、集電体の片面に柱状体を形成した後、集電体を反転させて集電体の他方の面に柱状体を形成してもよい。これにより、生産性よく負極を作製できる。
なお、上記実施の形態では、柱状体15の1段目の柱状体部151の高さを10μmで形成し、2段目の柱状体部152がその先端部近傍に形成した例で説明したが、これに限られない。例えば、図9と図10に示すように、集電体11の凸部13の突出した部分の少なくとも長手方向の断面において3表面を被覆するように、n=8段の全ての柱状体部151〜158を2μm〜5μmの高さで、同様に形成してもよい。さらに、全ての柱状体部の高さを0.1μm〜2μmにして、段数を増やしてもよい。
ここで、凸部の3表面とは、上述したように、例えば凸部が直方体の場合、1段目の柱状体部で被覆される面は、凸部上面と凸部側面のうち1面もしくは2面となる。そのため、柱状体部が凸部側面と直交する方向で形成された場合は1面となり、直交しない場合には2面で形成されることになる。そして、2段目の柱状体部で被覆される面は、1段目の柱状体部が凸部側面の1面を被覆するときは、残り3面のうちの少なくとも1面となる。また、1段目の柱状体部が凸部側面の2面を被覆するときは、残り2面に形成される。さらに、凸部を上面から見たときに凸部形状が楕円や円柱の場合、柱状体部の形成面は凸部の上面と側面となり、1段目の柱状体部で被覆される面は、凸部上面と側面の一部となる。そして、2段目の柱状体部で被覆される面は、凸部側面の残りの一部となる。
これにより、集電体の凸部に形成する突状体との付着面積が広くできるため、充放電サイクルの繰り返しによる応力に対する耐力が向上する。その結果、長寿命で信頼性をさらに向上した負極および非水電解質二次電池を実現できる。
以下、本発明を実施例を用いてより具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない限りにおいて、用いる材料などを変更して実施することが可能である。
(実施例1)
(1)負極の作製
負極の柱状体は、図8に示す製造装置を用いて作製した。
(1)負極の作製
負極の柱状体は、図8に示す製造装置を用いて作製した。
まず、集電体として、メッキ法を用いて、その表面に凸部を幅10μm、高さ7.5μm、間隔20μmで形成した厚さ30μmの帯状電解銅箔を用いた。
そして、負極の活物質材料としてSiを用い、蒸着ユニット(蒸着ソース、るつぼ、電子ビーム発生装置をユニット化したもの)を用いて、純度99.7%の酸素ガスをノズル45から真空容器内に導入して、SiOxからなる幅方向にxの値を変化させて柱状体を作製した。このとき、真空容器の内部は、圧力3.5Paの酸素雰囲気とした。また、蒸着時には、電子ビーム発生装置により発生させた電子ビームを偏向ヨークにより偏向させ、蒸着ソースに照射した。なお、蒸着ソースには半導体ウェハを形成する際に生じる端材(スクラップシリコン:純度99.999%)を用いた。
また、柱状体は、固定台の角度を調整し、角度ωが60°になるようにし、約8nm/sの成膜速度で形成した。これにより、1段目の柱状体部(例えば、高さ10μm、断面積150μm2)を形成した。同様に、実施の形態で説明した形成方法で、n=2段目〜8段目の柱状体(例えば、高さ3μm、断面積150μm2)を形成した。
なお、負極中の柱状体の集電体の中心線に対する角度を走査型電子顕微鏡(日立製S−4700)を用い、断面観察により評価したところ各段の柱状体部の斜立角度は約41°であった。このとき、形成した柱状体の厚み(高さ)は31μmで形成されていた。
また、電子線マイクロプローブアナライザー(以下、「EPMA」と記す)を用いて、負極の柱状体を構成する各段の柱状体部の断面方向の線分布測定で酸素分布を調べたところ、各柱状体部の幅方向において、斜立角度θ側から(180−θ)方向において酸素濃度(xの値)が連続的に増加していた。そして、酸素濃度(xの値)の増加方向は、奇数段目の柱状体部と偶数段目の柱状体部では、反対方向であった。このときのxの範囲は、0.1〜2で、平均0.6であった。
上記により、集電体の凸部に3段の柱状体部からなる柱状体を備えた負極を作製した。
その後、負極表面に真空蒸着法によって16μmのLi金属を蒸着した。さらに、負極の内周側に、正極と対向しないCu箔に露出部を設け、Cu製の負極リードを溶接した。
(2)正極の作製
リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極活物質を有する正極を、以下の方法で作製した。
リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極活物質を有する正極を、以下の方法で作製した。
まず、正極活物質であるLiCoO2粉末を93重量部と、導電剤であるアセチレンブラックを4重量部とを混合した。この粉末に結着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液(呉羽化学工業(株)製の品番#1320)を、PVDFの重量が3重量部となるように混合した。この混合物に適量のNMPを加えて、正極合剤用ペーストを調製した。この正極合剤用ペーストをアルミニウム(Al)箔からなる正極集電体(厚さ15μm)上にドクターブレード法を用いて集電体の両面に塗布して、正極合剤層の密度が3.5g/cc、厚さ160μmとなるように圧延し、85℃で充分に乾燥させ、これを裁断して正極を作製した。正極の内周側に負極と対向しないAl箔に露出部を設け、Al製の正極リードを溶接した。
(3)電池の作製
上記のようにして作製した負極と正極を、厚さが25μmの多孔質ポリプロピレンからなるセパレータを介して、積層して、40mm×30mm角の電極群を構成した。そして、電極群に、電解液としてLiPF6のエチレンカーボネート/ジエチルカーボネート混合溶液を含浸して外装ケース(材質:アルミニウム)に収容し、外装ケースの開口部を封止して、積層型電池を作製した。なお、電池の設計容量は21mAhとした。これを、サンプル1とする。
上記のようにして作製した負極と正極を、厚さが25μmの多孔質ポリプロピレンからなるセパレータを介して、積層して、40mm×30mm角の電極群を構成した。そして、電極群に、電解液としてLiPF6のエチレンカーボネート/ジエチルカーボネート混合溶液を含浸して外装ケース(材質:アルミニウム)に収容し、外装ケースの開口部を封止して、積層型電池を作製した。なお、電池の設計容量は21mAhとした。これを、サンプル1とする。
(実施例2)
柱状体は、固定台の角度を調整し、角度ωが70°になるようにした以外は、実施例1と同様にして、負極を作製した。
柱状体は、固定台の角度を調整し、角度ωが70°になるようにした以外は、実施例1と同様にして、負極を作製した。
なお、各段の柱状体部の斜立角度は約54°であり、形成した柱状体の厚み(高さ)は31μmであった。
また、EPMAの測定により、各柱状体部の幅方向において、斜立角度θ側から(180−θ)方向において酸素濃度(xの値)が連続的に増加していた。そして、酸素濃度(xの値)の増加方向は、奇数段目の柱状体部と偶数段目の柱状体部では、反対方向であった。このときのxの範囲は、0.1〜2で、平均0.6であった。
上記負極を用いた以外は、実施例1と同様の方法により作製した非水電解質二次電池をサンプル2とした。
(実施例3)
柱状体は、固定台の角度を調整し、角度ωが50°になるようにした以外は、実施例1と同様にして、負極を作製した。
柱状体は、固定台の角度を調整し、角度ωが50°になるようにした以外は、実施例1と同様にして、負極を作製した。
なお、各段の柱状体部の斜立角度は約31°であり、形成した柱状体の厚み(高さ)は31μmであった。
また、EPMAの測定により、各柱状体部の幅方向において、斜立角度θ側から(180−θ)方向において酸素濃度(xの値)が連続的に増加していた。そして、酸素濃度(xの値)の増加方向は、奇数段目の柱状体部と偶数段目の柱状体部では、反対方向であった。このときのxの範囲は、0.1〜2で、平均0.6であった。
上記負極を用いた以外は、実施例1と同様の方法により作製した非水電解質二次電池をサンプル3とした。
(実施例4)
柱状体は、10段からなる柱状体を形成し、各段目の柱状体部の厚みを3μmにした以外は、実施例1と同様にして、負極を作製した。
柱状体は、10段からなる柱状体を形成し、各段目の柱状体部の厚みを3μmにした以外は、実施例1と同様にして、負極を作製した。
なお、各段の柱状体部の斜立角度は約41°であり、形成した柱状体の厚み(高さ)は30μmであった。
また、EPMAの測定により、各柱状体部の幅方向において、斜立角度θ側から(180−θ)方向において酸素濃度(xの値)が連続的に増加していた。そして、酸素濃度(xの値)の増加方向は、奇数段目の柱状体部と偶数段目の柱状体部では、反対方向であった。このときのxの範囲は、0.1〜2で、平均0.6であった。
上記負極を用いた以外は、実施例1と同様の方法により作製した非水電解質二次電池をサンプル4とした。
(実施例5)
柱状体は、15段からなる柱状体を形成し、各段目の柱状体部の厚みを2μmとした以外は、実施例1と同様にして、負極を作製した。
柱状体は、15段からなる柱状体を形成し、各段目の柱状体部の厚みを2μmとした以外は、実施例1と同様にして、負極を作製した。
なお、各段の柱状体部の斜立角度は約41°であり、形成した柱状体の厚み(高さ)は30μmであった。
また、EPMAの測定により、各柱状体部の幅方向において、斜立角度θ側から(180−θ)方向において酸素濃度(xの値)が連続的に増加していた。そして、酸素濃度(xの値)の増加方向は、奇数段目の柱状体部と偶数段目の柱状体部では、反対方向であった。このときのxの範囲は、0.1〜2で、平均0.6であった。
その後、負極表面に真空蒸着法によって15μmのLi金属を蒸着した。上記負極を用いた以外は、実施例1と同様の方法により作製した非水電解質二次電池をサンプル5とした。
(実施例6)
柱状体は、30段からなる柱状体を形成し、各段目の柱状体部の厚みを1μmにした以外は、実施例1と同様にして、負極を作製した。
柱状体は、30段からなる柱状体を形成し、各段目の柱状体部の厚みを1μmにした以外は、実施例1と同様にして、負極を作製した。
なお、各段の柱状体部の斜立角度は約41°であり、形成した柱状体の厚み(高さ)は30μmであった。
また、EPMAの測定により、各柱状体部の幅方向において、斜立角度θ側から(180−θ)方向において酸素濃度(xの値)が連続的に増加していた。そして、酸素濃度(xの値)の増加方向は、奇数段目の柱状体部と偶数段目の柱状体部では、反対方向であった。このときのxの範囲は、0.1〜2で、平均0.6であった。
その後、負極表面に真空蒸着法によって15μmのLi金属を蒸着した。上記負極を用いた以外は、実施例1と同様の方法により作製した非水電解質二次電池をサンプル6とした。
(実施例7)
真空容器の内部の圧力を1.7Paの酸素雰囲気で、各段目の柱状体部の厚み5μmで5段からなる柱状体とした以外は、実施例1と同様にして、負極を作製した。
真空容器の内部の圧力を1.7Paの酸素雰囲気で、各段目の柱状体部の厚み5μmで5段からなる柱状体とした以外は、実施例1と同様にして、負極を作製した。
なお、各段の柱状体部の斜立角度は約41°であり、形成した柱状体の厚み(高さ)は25μmであった。
また、EPMAの測定により、各柱状体部の幅方向において、斜立角度θ側から(180−θ)方向において酸素濃度(xの値)が連続的に増加していた。そして、酸素濃度(xの値)の増加方向は、奇数段目の柱状体部と偶数段目の柱状体部では、反対方向であった。このときのxの範囲は、0.1〜2で、平均0.3であった。
その後、負極表面に真空蒸着法によって10μmのLi金属を蒸着した。
上記負極を用いた以外は、実施例1と同様の方法により作製した非水電解質二次電池をサンプル7とした。
(実施例8)
柱状体は、60段からなる柱状体を形成し、各段目の柱状体部の厚みを0.5μmにした以外は、実施例1と同様にして、負極を作製した。
柱状体は、60段からなる柱状体を形成し、各段目の柱状体部の厚みを0.5μmにした以外は、実施例1と同様にして、負極を作製した。
なお、各段の柱状体部の斜立角度は約41°であり、形成した柱状体の厚み(高さ)は30μmであった。
また、EPMAの測定により、各柱状体部の幅方向において、斜立角度θ側から(180−θ)方向において酸素濃度(xの値)が連続的に増加していた。そして、酸素濃度(xの値)の増加方向は、奇数段目の柱状体部と偶数段目の柱状体部では、反対方向であった。このときのxの範囲は、0.1〜2で、平均0.6であった。
その後、負極表面に真空蒸着法によって15μmのLi金属を蒸着した。上記負極を用いた以外は、実施例1と同様の方法により作製した非水電解質二次電池をサンプル8とした。
(比較例1)
高さ(厚み)30μmで1段に斜立して柱状体を構成した以外は、実施例1と同様の方法で負極を作製した。
高さ(厚み)30μmで1段に斜立して柱状体を構成した以外は、実施例1と同様の方法で負極を作製した。
なお、負極中の柱状体の集電体の中心線に対する角度を走査型電子顕微鏡(日立製S−4700)を用いて断面観察により評価したところ、柱状体の斜立角度は約41°であった。このとき、形成した柱状体の厚み(高さ)は30μmで形成されていた。
また、EPMAを用いて、負極の柱状体を構成する断面方向の線分布測定で酸素分布を調べたところ、幅方向において、斜立角度θ側から(180−θ)方向において酸素濃度(xの値)が連続的に増加していた。xの範囲は、0.1〜2で、平均0.6であった。
上記負極を用いた以外は、実施例1と同様の方法により作製した非水電解質二次電池をサンプルC1とする。
以上のように作製した各非水電解質二次電池に対し、以下に示す評価を行った。
(電池容量の測定)
各非水電解質二次電池を、25℃環境温度において以下の条件で充放電した。
各非水電解質二次電池を、25℃環境温度において以下の条件で充放電した。
まず、設計容量(21mAh)に対し、時間率1.0C(21mA)の定電流で電池電圧が4.2Vになるまで充電し、4.2Vの定電圧で時間率0.05C(1.05mA)の電流値に減衰させる定電圧充電を行った。その後、30分間休止した。
その後、時間率0.2C(4.2mA)の電流値で、電池電圧が3.0Vに低下するまで定電流で放電した。
そして、上記を1サイクルとして、3サイクル目の放電容量を電池容量とした。
(充放電サイクル特性)
各非水電解質二次電池を、25℃環境温度において、以下の条件で充放電を繰り返した。
各非水電解質二次電池を、25℃環境温度において、以下の条件で充放電を繰り返した。
まず、設計容量(21mAh)に対し、時間率1.0C(21mA)の定電流で電池電圧が4.2Vになるまで充電し、4.2Vの定電圧で充電電流が時間率0.05C(1.05mA)の電流値に低下するまで充電した。そして、充電後30分間休止した。
その後、時間率0.2C(4.2mA)の電流値で電池電圧が3.0Vに低下するまで定電流で放電した。そして、放電後30分間休止した。
上記充放電サイクルを1サイクルとして、それを500回繰り返した。そして、1サイクル目の放電容量に対する500サイクル目の放電容量の割合を、百分率で表した値を容量維持率(%)とした。すなわち、容量維持率が100に近いほど充放電サイクル特性が優れていることを示す。
また、充電容量に対する、0.2C(4.2mA)放電での放電容量の割合を、百分率で表した値を充放電効率(%)とした。さらに、0.2C(4.2mA)放電での放電容量に対する、1.0C(21mA)ハイレート放電での放電容量の割合を、百分率で表した値をハイレート比率(%)とした。
そして、上記容量維持率、充放電効率とハイレート比率を、10サイクル目と500サイクル目で測定した。
以下に、サンプル1〜8とサンプルC1の諸元と評価結果を(表1)および(表2)に示す。
また、図11に、充放電サイクル特性の一例としてサンプル1とサンプルC1の評価結果を示す。
(表1)、(表2)と図11に示すように、サンプル1とサンプルC1とを比較すると、サイクル初期の10サイクル目程度では、容量維持率に差はなかった。しかし、500サイクル目では、サンプル1は80%程度の容量維持率を示したのに対して、サンプルC1は容量維持率が48%程度まで低下している。これは、複数の柱状体部からなる柱状体の中央部に突状体によるポーラスな空隙部を設け、さらに多段構成とした効果によるものである。これにより、各柱状体部の積層する界面での元素の組成比率が異なるために生じる、膨張・収縮による応力により発生する剥離などの抑制や充放電時に隣接する柱状体同士の接触を防止できる。その結果、集電体の皺、歪などの発生や柱状体の剥離、切れなどを抑制したためと考えられる。
また、(表1)、(表2)に示すように、サンプル1〜サンプル3において、柱状体の各柱状体部の斜立角度を31°から54°と変化させても、容量維持率、充放電効率およびハイレート比率の差はほとんどなく、優れた特性を維持できることがわかった。
また、サンプル1、サンプル4〜サンプル6およびサンプル8において、柱状体を構成する柱状体部の段数を変えても、容量維持率、充放電効率およびハイレート比率の差はほとんどなく、優れた特性が得られることがわかった。
また、サンプル1とサンプル7において、柱状体を構成するSiOxのxの平均値が0.3と0.6の場合、xの平均値が小さいサンプル5は、xの平均値が大きいサンプル1と比較して、500サイクル後の容量維持率が若干低下する傾向が見られた。これは、xの平均値が小さいことは充放電時の膨張・収縮が大きいことに対応する。そのため、柱状体の膨張・収縮による集電体への応力や歪が大きくなり、容量維持率が若干低下する傾向が現れたものと考えられる。
上記実施例を用いて説明したように、集電体の凸部に複数の柱状体部からなり、その中央部に突状体によるポーラスな空隙部を有する柱状体を備えた負極を用いることにより、サイクル特性などを大幅に向上した非水電解質二次電池を実現できることが確認された。
なお、上記実施例では、柱状体の活物質として、Si、SiOxを用いた例について説明したが、リチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出できる元素である限り、特に限定されず、例えばAl、In、Zn、Cd、Bi、Sb、Ge、PbおよびSnなどからなる少なくとも1種の元素が好ましい。さらに、活物質としては、上記各元素以外の材料が含まれていてもよい。例えば遷移金属や2A族元素が含まれていてもよい。
なお、本発明において、集電体上に形成された凸部の形状および形成間隔は、上記各実施の形態に記載した内容に制限されるものでなく、斜立する柱状体を形成できるものであれば、いかなる形状でもよい。
また、柱状体の中心線と集電体の中心線とが形成する斜立角度および柱状体の形状、寸法は、上記実施の形態に限定されるものでなく、負極の製造方法や用いられる非水電解質二次電池の必要な特性に応じて適宜変更されるものである。
本発明の非水電解質二次電池用負極は、高容量を可能としながら、ハイレート特性、充放電サイクル特性に優れた非水電解質二次電池を提供することができる。そのため、今後大きな需要が期待される携帯電話やPDAなどの携帯型電子機器から大型の電子機器までの非水電解質二次電池として有用である。
1 負極
1a,11 集電体(負極集電体)
1b,15 柱状体
2,18 正極
2a 正極集電体
2b 正極合剤層
3 セパレータ
4 電極群
5 外装ケース
12 凹部
13 凸部
15a 下部側
15b 上部側
16,161,162,163,164,165 突状体
17 空隙部
19 電解液(非水電解質)
40 製造装置
41 真空容器
42 ガス導入配管
43 固定台
45 ノズル
46 蒸着ソース
47 真空ポンプ
151,152,153,154,155,156,157,158 柱状体部
1a,11 集電体(負極集電体)
1b,15 柱状体
2,18 正極
2a 正極集電体
2b 正極合剤層
3 セパレータ
4 電極群
5 外装ケース
12 凹部
13 凸部
15a 下部側
15b 上部側
16,161,162,163,164,165 突状体
17 空隙部
19 電解液(非水電解質)
40 製造装置
41 真空容器
42 ガス導入配管
43 固定台
45 ノズル
46 蒸着ソース
47 真空ポンプ
151,152,153,154,155,156,157,158 柱状体部
Claims (10)
- リチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出する非水電解質二次電池用負極であって、
少なくとも片面に凹部と凸部が形成された集電体と、
前記集電体の前記凸部上に斜立して形成された元素の含有比率が前記集電体の長手方向に順次変化する柱状体部をn(n≧2)段に積層し、奇数段と偶数段の元素の含有比率の変化方向が異なる前記柱状体部を有する柱状体と、を備え、
それぞれの前記柱状体部の斜立方向の中心線と前記集電体の厚み方向の中心線との交差角度が鈍角を成す側の前記柱状体部の表面に、複数の突状体を設けるとともに、積層された前記柱状体部の前記突状体により前記柱状体に空隙部が設けられていることを特徴とする非水電解質二次電池用負極。 - 少なくとも前記集電体の前記凸部の長手方向の断面における2表面が1段目の前記柱状体部で被覆され、残りの1表面が2段目の前記柱状体部が被覆されていることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池用負極。
- 少なくとも放電状態において、前記柱状体のn段の前記柱状体部は、その奇数段と偶数段が厚み方向につづら折り状で折り重なって積層されていることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池用負極。
- 少なくとも充電状態において、前記柱状体部の鋭角側の角度が、放電状態の角度より大きくなることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池用負極。
- 前記柱状体部として、少なくともリチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出する理論容量密度が833mAh/cm3を超える活物質を用いたことを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池用負極。
- 前記活物質として、少なくともケイ素を含むSiOxで表される材料を用いたことを特徴とする請求項5に記載の非水電解質二次電池用負極。
- 前記ケイ素を含むSiOxで表される材料のxの値が、前記柱状体部の斜立方向の中心線と前記集電体の厚み方向の中心線との交差角度に対して、鋭角を形成する側から鈍角を形成する側へ向かって連続的に増加していることを特徴とする請求項6に記載の非水電解質二次電池用負極。
- リチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出する非水電解質二次電池用負極の製造方法であって、
少なくとも集電体の片面に凹部と凸部を形成する第1ステップと、
前記凸部に1段目の突状体を有する柱状体部を斜立させて形成する第2ステップと、
前記柱状体部の上に1段目の前記柱状体部と異なる方向に斜立する2段目の突状体を有する柱状体部を形成する第3ステップと、
前記第2ステップと前記第3ステップを繰り返して奇数段目と偶数段目の前記柱状体部の斜立方向を異ならせて、n(n≧2)段からなり、前記突状体により空隙部を有する柱状体を形成する第4ステップと、
を含むことを特徴とする非水電解質二次電池用負極の製造方法。 - 前記第2ステップにおいて、
前記凸部に1段目の柱状体部を斜立させて少なくとも前記凸部の長手方向の断面における2表面を被覆して形成するとともに、
第3ステップにおいて、
前記柱状体部の上に1段目の前記柱状体部と異なる方向に斜立する2段目の柱状体部を前記凸部の長手方向の断面における残り1表面を被覆して形成することを特徴とする請求項8に記載の非水電解質二次電池用負極の製造方法。 - 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池用負極と、リチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出する正極と、非水電解質とを備えたことを特徴とする非水電解質二次電池。
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