JP2008169666A - 反力構造体及び反力構造体の構築方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ケーシングを用いて穿孔した穿孔孔内に被定着部材を挿入した後、孔内に充填した固結材で以って被定着部材を地中に定着する反力構造体であって、穿孔孔内に挿入し、固結材に埋設した有孔構造の補強崩落防止筒を具備する。補強崩落防止筒は穿孔の孔壁の崩落防止機能と、固結材の補強機能を併有する。
【選択図】図1
Description
施工に際しては、穿孔に用いたケーシングで孔壁の崩落を防止した状態でアンカーテンドンを挿入し、その後にケーシングを抜き取っている。
殊に固結材にクラックを生じると、アンカーの定着力が減少するだけでなく、クラックを通じて浸水するために、突然にアンカーテンドンが腐食破壊する危険がある。
こうした固結材にクラックが生じることを防止する手段として、アンカーテンドンの定着長部の範囲に亘りアンカーテンドンと一体に鉄筋篭を一体化することが特許文献1により開示されている。
(1)固結材の充填時にはケーシングが存在しないため、アンカー孔の孔壁が崩壊し易い。特に孔壁の崩落が発生していてもその確認が難しい。
そのため、固結材の充填時に崩落土砂が混入して固結材の品質低下を招き、設計値通りのアンカー耐力を確保できない場合がある。
(2)アンカーテンドンが鋼より線製で、その地表の露出端部にケーシング径より大形のループ部を一体に形成している場合は、大形のループ部が邪魔になってアンカーテンドンの挿入後にケーシングを抜き取ることが困難である。
そのため、ケーシングを抜き取って孔壁が崩落し易い状況下で、アンカーテンドンの挿入作業と固結材の充填作業を強いられることとなって、地表の露出端部に大形のループ部を形成したアンカーテンドンは施工ができない。
そのため、地表の露出端部に大形のループ部を一体に形成したアンカーテンドンであっても施工できる解決策の提案が望まれている。
(3)特許文献2に記載のように、鉄筋篭をアンカーテンドンと一体化したものを使用すれば、固結材へのクラック発生を抑制できるが、上記(1)と同様にアンカー孔の孔壁の崩壊を確実に防止することができない。
そのため、鉄筋篭を用いていながら設計値通りの定着耐力を確保できないといった問題がある。
さらに本発明は、追加工程と追加部材を最小限に抑えて施工性と経済性が図れる反力構造体及び反力構造体の構築方法を提供することにある。
さらに本発明は、被定着部材がその地表の露出端部にループ部を一体形成してある場合であっても簡易に施工できる反力構造体及び反力構造体の構築方法を提供することにある。
本願の第2発明は、前記第1発明において、前記補強崩落防止筒を複数の分割筒体で構成し、穿孔方向に沿って配置した複数の分割筒体の突合せ端が一体に連結されていることを特徴とする、反力構造体を提供する。
本願の第3発明は、前記第1発明において、前記補強崩落防止筒を穿孔孔内の略全長に亘って挿入したことを特徴とする、反力構造体を提供する。
本願の第4発明は、前記第1発明において、前記被定着部材の穿孔外に露出する一端に大径部を形成していることを特徴とする、反力構造体を提供する。
本願の第5発明は、穿孔孔内に被定着部材を挿入し、穿孔孔内に充填した固結材に被定着部材を埋設して定着する反力構造体の構築方法において、穿孔孔内に前記被定着部材から分離独立した有孔構造の補強崩落防止筒を挿入して孔壁の崩落を防止し、補強崩落防止筒で穿孔の孔壁の崩落を防止しつつ、固結材の充填作業と、前記補強崩落防止筒で囲繞した固結材に被定着部材を埋設して定着する作業を行なうことを特徴とする、反力構造体の構築方法を提供する。
本願の第6発明は、ケーシングで穿孔した穿孔孔内に被定着部材を挿入し、穿孔孔内に充填した固結材に被定着部材を埋設して定着する反力構造体の構築方法において、穿孔孔内に前記被定着部材から分離独立した有孔構造の補強崩落防止筒を挿入し、その後にケーシングを撤去して孔内に残置した補強崩落防止筒で孔壁の崩落を防止し、穿孔孔内に固結材を充填して前記補強崩落防止筒を埋設し、前記補強崩落防止筒で囲繞した固結材に被定着部材を埋設して定着することを特徴とする、反力構造体の構築方法を提供する。
本願の第7発明は、前記第5又は第6発明において、前記補強崩落防止筒を複数の分割筒体で構成し、各分割体の突合せ端を一体に連結しながら穿孔孔内に挿入したことを特徴とする、反力構造体の構築方法を提供する。
本願の第8発明は、前記第5又は第6発明において、前記補強崩落防止筒を穿孔孔内の略全長に亘って挿入したことを特徴とする、反力構造体の構築方法を提供する。
(1)反力構造体の施工中においては補強崩落防止筒が穿孔孔壁の崩落を防止して固結材の品質良好に保ち、かつ施工後においては補強崩落防止筒が固結材を増強して固結材のクラック発生や破壊を防止できて、これまで実現が困難であった穿孔孔壁の崩落防止と固結材のクラック防止の両立が可能となって、十分な定着耐力を確保することができる。
(2)資材としては補強崩落防止筒を追加するだけであり、また工程も簡易に行なえる補強崩落防止筒の挿入工程が追加するだけであるから、追加工程と追加部材を最小限に抑えて施工性と経済性の両立を図ることができる。
(3)被定着部材の露出端部に大径部を有する被定着部材であっても、簡易に被定着部材を定着施工することができる。
図1に本発明に係る反力構造体の一例を示す。
反力構造体は穿孔1の孔内に注入する固結材2と、穿孔1の孔内に挿入し、固結材2に定着する被定着部材3と、被定着部材3の地表側に突出した露出端部を緊張定着する定着装置4を具備したものを前提とし、本発明はこれに有孔構造の補強崩落防止筒5を付加して構成するものである。
本発明はせん断力が引張力に卓越して作用する用途に好適な反力構造体を提供するものであるから、被定着部材3の素材はその用途に応じてその他にPC鋼線やPCより鋼線等の公知の各種素材を適宜選択して使用すればよい。
尚、定着装置4は必須の構成要素ではなく、定着装置4を省略して被定着部材3を定着する場合もある。
補強崩落防止筒5は前記被定着部材3から分離独立した有孔構造の筒体で、穿孔1の孔壁の崩落防止機能(図2参照)と、固結材2の補強機能(図3参照)を併有する。
補強崩落防止筒5は例えば複数の縦材51と複数の環状の横材52とを交差させた溶接金網や、エキスパンドメタル、或いは周面に多数の開孔を開設した筒体等で構成する。
本例で例示した接続金具6について説明すると、接続金具6は内外一対の挟持板61,62と、これらの挟持板61,62間を連結するボルト63とにより構成するもので、同一線上に突き合わせた補強崩落防止筒5,5の端部間の横材52,52間に跨って配置した内外一対の挟持板61,62間をボルト63で締め付けることで連結することができる。
その他の連結方法としては、カプラやねじ込み機構を用いた結合手段、或いは接着や溶着等でもよい。自重で補強崩落防止筒5の連結が外れない程度の連結力があれば十分である。
複数の補強崩落防止筒5,5を連結して使用することで、穿孔1の全長が長い場合であっても所定の寸法の補強崩落防止筒5を複数繋ぎ合わせて全体の全長を任意に調整することができる。
つぎに図5〜7を参照しながら反力構造体の施工方法について説明する。
図外のボーリングマシンを使用して、先端に夫々ビットを有するケーシング11とインナロッド12に夫々回転を与えて所定の深さまで穿孔1を穿孔する。
穿孔を完了したらインナロッド12のみを抜き取り、ケーシング11は抜き取らずに穿孔1の孔内に残置して孔壁の崩壊を阻止する。
次に穿孔1の孔内に残置したケーシング11内に補強崩落防止筒5を挿入する。
既述したように複数の補強崩落防止筒5を連結しながら、穿孔1の略全長に亘って挿入する。
補強崩落防止筒5を運搬や取り扱いに便利な寸法に形成しておくと、現場で複数の補強崩落防止筒5を連結しながら挿入できるので、穿孔1の深さが深い場合であっても、現場における補強崩落防止筒5の挿入作業が容易となる。
補強崩落防止筒5の挿入を完了したら、穿孔1の孔内からケーシング11を抜き取ることで、穿孔1の孔内に補強崩落防止筒5を残置する。
ケーシング11に代わって穿孔1と略同径の補強崩落防止筒5が、穿孔1の孔壁全面を覆うため、引き続き穿孔1の孔壁の崩壊が阻止される。
また、補強崩落防止筒5の開孔が土砂の透過を規制する寸法に形成してあるので、孔壁の一部が崩落したとしても、崩落土砂が補強崩落防止筒5の周面を透過してその内側に入り込むことを防止できる。
つぎに補強崩落防止筒5で覆われた穿孔1内に被定着部材3を挿入すると共に、穿孔1内にモルタル等の固結材2を充填して被定着部材3の先端部側を付着させて定着する。
被定着部材3の挿入作業中や固結材2の充填作業中においても、補強崩落防止筒5が穿孔1の孔壁崩壊を防止するため、固結材2に土砂が混入することがなくなり、高品質のまま固結材2を充填することができる。
また、補強崩落防止筒5が有孔構造を呈するため、流動性を有する固結材2は補強崩落防止筒5の周面を透過して穿孔1の起伏のある孔壁面に密着する。
このように穿孔1の孔壁の崩落防止に用いた補強崩落防止筒5は撤去しないから、固結材2の充填範囲に位置する一部の補強崩落防止筒5は埋設されることになる。
固結材2が硬化したら、地表に突出する被定着部材3に支圧板41をセットすると共に、被定着部材3に螺合した定着ナット42を締め付けて定着する。
補強崩落防止筒5が固結材2を包囲するように埋設してあるため、補強崩落防止筒5が固結材2の拡径方向の膨張変形を効果的に拘束する。
その結果、固結材2のクラック発生を防止するだけでなく、固結材2の膨張破壊を効果的に防止する。
既述したように補強崩落防止筒5は、土砂の混入を阻止して固結材2の高品質を保証できると共に、固結材2のクラック発生や膨張破壊を防止できるから、設計通りの定着耐力を得ることができる。
本発明は既述した実施例に限定されるものではない。
固結材2の充填範囲は、例えば図8(A)に示すように穿孔1の略全長に亘って充填してもよい。
さらに補強崩落防止筒5の挿入長は、例えば図8(B)に示すように穿孔1の入口側の一定範囲に垂下させて挿入する場合もある。
要は穿孔1の孔壁落下を防止する補強崩落防止筒5の一部または全部が、固結材2を囲繞するように埋設されていればよい。
既述したように本発明は穿孔時はケーシング11で孔壁の崩落を防止し、さらにケーシング11の撤去後は補強崩落防止筒5で引き続き孔壁の崩落を防止するものである。
したがって、穿孔1内に挿入予定の被定着部材3の頭部(露出端部)の形状やその大きさに制約を受けない。
そのため、図9に示すように被定着部材3の頭部(露出端部)に穿孔1の口径より大形の大径部31が形成してあっても、前述した実施例と同様の工程で反力構造体の施工が可能となる。
尚、同図に示した大径部31は被定着部材2と一体に形成するか、或いは被定着部材2の一端に別体の大径部31を一体に接続したものであり、可撓性の有無は問わない。
本例の反力構造体は、被定着部材2を緊張せずに地中に定着して、大径部31を各種の反力源に活用するアンカー用途に好適である。
2・・・・・・固結材
3・・・・・・被定着部材
31・・・・・大径部
4・・・・・・定着装置
41・・・・・支圧板
42・・・・・定着ナット
5・・・・・・補強崩落防止筒
51・・・・・縦材
52・・・・・横材
6・・・・・・接続金具
Claims (8)
- 穿孔孔内に被定着部材を挿入した後、孔内に充填した固結材で以って被定着部材を地中に定着した反力構造体であって、
前記被定着部材から分離独立した有孔構造の補強崩落防止筒を具備し、
穿孔の孔壁の崩落防止機能と、固結材の補強機能を併有する前記補強崩落防止筒が、前記固結材を囲繞するように穿孔孔内に挿入されていることを特徴とする、
反力構造体。 - 請求項1において、前記補強崩落防止筒を複数の分割筒体で構成し、穿孔方向に沿って配置した複数の分割筒体の突合せ端が一体に連結されていることを特徴とする、反力構造体。
- 請求項1において、前記補強崩落防止筒を穿孔孔内の略全長に亘って挿入したことを特徴とする、反力構造体。
- 請求項1において、前記被定着部材の穿孔外に露出する一端に大径部を形成していることを特徴とする、反力構造体。
- 穿孔孔内に被定着部材を挿入し、穿孔孔内に充填した固結材に被定着部材を埋設して定着する反力構造体の構築方法において、
穿孔孔内に前記被定着部材から分離独立した有孔構造の補強崩落防止筒を挿入して孔壁の崩落を防止し、
補強崩落防止筒で穿孔の孔壁の崩落を防止しつつ、固結材の充填作業と、前記補強崩落防止筒で囲繞した固結材に被定着部材を埋設して定着する作業を行なうことを特徴とする、
反力構造体の構築方法。 - ケーシングで穿孔した穿孔孔内に被定着部材を挿入し、穿孔孔内に充填した固結材に被定着部材を埋設して定着する反力構造体の構築方法において、
穿孔孔内に前記被定着部材から分離独立した有孔構造の補強崩落防止筒を挿入し、
その後にケーシングを撤去して孔内に残置した補強崩落防止筒で孔壁の崩落を防止し、
穿孔孔内に固結材を充填して前記補強崩落防止筒を埋設し、
前記補強崩落防止筒で囲繞した固結材に被定着部材を埋設して定着することを特徴とする、
反力構造体の構築方法。 - 請求項5又は請求項6において、前記補強崩落防止筒を複数の分割筒体で構成し、各分割体の突合せ端を一体に連結しながら穿孔孔内に挿入したことを特徴とする、反力構造体の構築方法。
- 請求項5又は請求項6において、前記補強崩落防止筒を穿孔孔内の略全長に亘って挿入したことを特徴とする、反力構造体の構築方法。
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