JP2008169060A - Iii族窒化物半導体微細柱状結晶の製造方法およびiii族窒化物構造体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 微細柱状結晶の製造方法が、基板表面の所定領域に、金属窒化物または金属酸化物からなる表面を有する膜を形成する工程と、前記基板表面に成長原料を導き、前記膜上の領域を微細柱状結晶の成長促進領域として、少なくとも前記微細柱状結晶の成長促進領域上にIII族窒化物半導体からなる微細柱状結晶を成長させる工程とを含む。
【選択図】図1
Description
M.Yoshizawa,A.Kikuchi,M.Mori,N.Fujita,and K.Kishino,Jpn.J.Appl.Phys.Vol.36(1997),pp.L459−L462 H.Sekiguchi,T.Nakazato,A.Kikuchi,and K.Kishino,Journal of Crystal Growth H.Tang,S.Haffouz,and J.A.Bardwell,Applied Physics Letters 88.172110(2006) T.Martensson,P.Carlberg,M.Borgstrom,L.Montelius,W.Seifert,and L.Samuelson,Nano Letters 4,699(2004)
前述の非特許文献2の方法のように、バッファ層の成長条件や、GaN柱状結晶の成長条件によって柱状結晶の形成が可能であるという報告は多数ある。しかしながら、上記文献の方法を用いても、ばらつきの低減、および柱状結晶の直径や位置を任意に変化させるような高度な制御(例えば意図的に欠陥を導入したフォトニック結晶など)は困難であった。
本発明は、上記状況に鑑みてなされたものであり、III族窒化物半導体の微細柱状結晶を選択的に成長させることにより、位置および形状を制御する方法を提供するものである。
を含む、微細柱状結晶の製造方法に関するものである。
また、本発明は、基板表面の所定領域に形成された金属窒化物または金属酸化物からなる表面を有する膜と、前記膜表面上のみに選択的に形成されたIII族窒化物半導体からなる微細柱状結晶と、を含むIII族窒化物構造体に関するものである。
まず、シリコン基板表面の所定領域に、金属窒化物からなる表面を有する膜を形成する。金属窒化物からなる表面を有する膜の形成工程は、例えば、基板202上にフォトレジスト204をコーティングした後、リソグラフィ技術を用いて所定領域にパターンを形成する。
具体的には、まず、基板202表面にレジスト材料の溶液を塗布、乾燥してフォトレジスト膜204を形成する(図2(a))。本実施形態では、Si基板202として単結晶シリコンを用いる。このフォトレジスト膜204を露光、現像してパターニングし、所望の位置に溝206を形成する(図2(b))。溝の断面形状は、本実施形態では図2(b)に示すように溝底部に近づくにつれて幅が狭くなる逆テーパ状としているが、これに限られず、溝底部に近づくにつれて幅が広くなるテーパ状、溝の底面と側面が直角である矩形等であってもよい。次に、溝206を含む基板上全面に金属膜208を蒸着させる(図2(c))。金属膜208は溝206の側面には蒸着しない場合もある。
この時の基板温度は、上記の範囲内であれば特に限定されないが、好ましくは700℃以上、950℃以下であり、さらに好ましくは750℃以上、900℃以下である。
また、ドットの直径、縞形状の幅等は特に限定されないが、ドットの平均直径または縞形状の幅は、例えば20nm以上とすることができる。
上記の温度範囲で、窒素リッチの条件下でMBEを行うことにより、窒化物半導体の微細柱状結晶を成長させることができる。
従って、本実施形態では、予め基板上に薄膜金属窒化物パターンを作製しておき、それに続く窒化物半導体の微細柱状結晶成長プロセスにより、形成される微細柱状結晶の位置と形状を制御することができる。
特に、金属窒化物上およびその近傍の微細柱状結晶の形状は、金属窒化物の膜厚等に依存して変化し得る。図9に示すように、例えば、金属窒化物として窒化アルミニウム(AlN)を用いた場合、Al膜厚が約16nm以下の場合、AlNパターン内側には直立した柱状結晶が成長した。また、同様の条件で、膜厚を約18nm以上とした場合、AlNのパターン内側には傾斜した柱状結晶が成長し、パターン周辺端部には直立した柱状結晶が成長した。さらに、Al膜厚が薄いと、微細柱状結晶の高さの差があまり見られず、結晶パターンが薄くなる傾向にあった。ただし、上記の数値は例示であり、微細柱状結晶の形状は、Al膜厚のほか、基板または窒化方法等の条件も複雑に関連して変動し得る。
金属膜厚の違いにより結晶の成長にも違いが生じる原因としては、必ずしも明らかではないが、以下のように推測できる。金属膜厚が厚すぎる場合、窒化工程において十分に金属が窒化されない可能性がある。金属の十分な窒化がなされない場合、基板からの結晶情報が成長する窒化物半導体結晶に引き継がれにくいため、柱状結晶が傾いて成長する場合があると考えられる。一方、金属膜厚が薄すぎる場合、表面の金属膜が途中工程において一部離脱してしまう可能性が考えられる。
微細柱状結晶の成長促進領域において成長する微細柱状結晶の分布密度は、微細柱状結晶の成長促進領域以外の領域において成長する微細柱状結晶の分布密度よりも、高くなる傾向にある。
また、本実施形態では、プロセスも金属のパターニングという確立された技術を用いている。上記金属窒化物からなる表面を有する膜を形成する工程は、比較的安価な手法である光リソグラフィやナノメートルオーダーの精度が得られる電子ビームリソグラフィといった様々な方法から選択して行うことができる。
ここで、金属はシリコンを含まないものとする。
または、金属膜の代わりに金属酸化物を直接基板上にスパッタリング法等により形成してもよい。この場合、酸化工程を省略することができる。
すなわち、金属窒化物または金属酸化物からなる表面を有する膜においては、III族窒化物半導体の微細柱状結晶の核形成レートが速くなり、位置および形状の制御された微細柱状結晶が成長するが、それ以外の領域ではこのような効果は生じない。従って、微細柱状結晶の成長促進領域以外の領域においては、微細柱状結晶が生じない場合も考えられる。例えば、基板温度を一定温度以上(例えば、965℃以上)とした場合、シリコン表面に結晶が析出せず、金属窒化物膜または金属酸化物膜のみに微細柱状結晶が形成する。上記のような条件で窒化物半導体の微細柱状結晶の成長を行った場合、金属窒化物膜または金属酸化物膜を有する表面以外の領域においては、微細柱状結晶が成長しない傾向にある。
Si(111)基板上に光リソグラフィを用いて薄膜のAlパターンを形成した。直径2.8μmの円形Al薄膜が周期4μmで正方格子状に並んだパターンである。これを超高真空チェンバーに搬送後、基板温度860℃にて、高周波プラズマ励起の活性窒素を照射して窒化アルミニウム(AlN)を形成した。さらに基板温度960℃にて前述の高周波プラズマ励起の活性窒素とガリウムを同時に照射し、窒化ガリウム(GaN)の微細柱状結晶を形成した。この際の成長条件はガリウムに比べて活性窒素の実効的な供給量比を大きくし、柱状結晶が成長する条件とした。
図8に、本実施例により形成したミクロンオーダーのAl(膜厚22.5nm)パターン上への窒化ガリウムの微細柱状結晶成長を示す。Al膜厚が18nmから31nmでは同様の結果が得られた。図8において、(a)薄膜AlパターンのAFM像、(b)成長後GaN微細柱状結晶の鳥瞰SEM像、(c)成長後GaN微細柱状結晶の断面模式図、および(d)成長後GaN微細柱状結晶の断面SEM像である。Si基板801上に形成されたAlN膜802上に成長したGaN微細柱状結晶803は、AlN膜802の表面以外の領域において成長したものと比較して、高さが高くなっていることがわかる(図8(b)〜(d))。具体的には、AlN薄膜上に成長した柱状結晶の高さは平均約1200nmであり、AlN薄膜上以外に成長した柱状結晶の高さは平均約810nmであった。従って、AlN薄膜上に成長した柱状結晶の高さの比は、該膜上以外に成長した柱状結晶に対して、平均約1.48であった。
Al膜の厚さを7.7nmに変えた以外は、実施例1と同様の方法によりGaNの微細柱状結晶を形成した。図9(a)に成長したGaN微細柱状結晶の表面SEM像を示す。AlN膜上の柱状結晶は直立しており、その周辺の柱状結晶は若干傾いている。
AlN薄膜上に成長した柱状結晶の高さは平均約1190nmあり、AlN薄膜上以外に成長した柱状結晶の高さは平均約790nmであった。従って、AlN薄膜上に成長した柱状結晶の高さの比は、該膜上以外に成長した柱状結晶に対して、平均約1.51であった。柱状結晶の密度は43本/μm2で、平均直径は111nmであった。
Al膜の厚さを15.5nmに変えた以外は、実施例1と同様の方法によりGaNの微細柱状結晶を形成した。図9(b)に成長したGaN微細柱状結晶の表面SEM像を示す。AlN膜上の柱状結晶は直立しており、その周辺の柱状結晶は傾いている。
AlN薄膜上に成長した柱状結晶の高さは平均約1090nmであり、AlN薄膜上以外に成長した柱状結晶の高さは平均約750nmであった。従って、AlN薄膜上に成長した柱状結晶の高さの比は、該膜上以外に成長した柱状結晶に対して、平均約1.45であった。柱状結晶の密度は61本/μm2で、平均直径は88nmであった。実施例2に比べて柱状結晶同士が独立した形状となった。
Si(111)基板上に電子ビームリソグラフィを用いて薄膜のアルミニウムパターンを形成し、実施例1と同様の方法でGaNの成長を行った。アルミニウムのパターンは、周期300nmの三角格子状に直径約100nm、膜厚約20nmの円形ディスク状薄膜アルミニウムが並んだパターンであった。
AlN薄膜上に成長した柱状結晶の高さは平均約1600nmであり、AlN薄膜上以外に成長した柱状結晶の高さは平均約1500nmであった。また、AlN薄膜上に成長した柱状結晶の高さの比は、該膜上以外に成長した柱状結晶に対して、平均約1.07であった。
本実施例で成長させた微細柱状結晶の中には、AlN薄膜パターンの縁に沿って結晶が形成されてチューブ状となった微細柱状結晶も確認された。チューブ状の微細柱状結晶、もしくは不完全なチューブ形状の微細柱状結晶はAlN薄膜パターンの配列に従って、すなわち周縁に沿って、AlN薄膜パターンを取り囲むように壁状の微細柱状結晶が形成されていた。また、これらは、AlN薄膜パターンの周縁に沿って、AlN薄膜上およびAlN薄膜近傍のSi基板上に成長していた。
2 金属窒化物膜
101 基板
102 金属窒化物膜
103 III族窒化物半導体微細柱状結晶
202 Si基板
204 フォトレジスト
206 溝
208 金属膜
210 AlN膜
211 微細柱状結晶の成長抑制領域
212 GaN微細柱状結晶
301 基板
302 金属パターン
801 Si基板
802 AlN
803 GaN微細柱状結晶
Claims (19)
- 基板表面の所定領域に、金属窒化物または金属酸化物からなる表面を有する膜を形成する工程と、
前記基板表面に成長原料を導き、前記膜上の領域を微細柱状結晶の成長促進領域として、少なくとも前記微細柱状結晶の成長促進領域上にIII族窒化物半導体からなる微細柱状結晶を成長させる工程と、
を含む微細柱状結晶の製造方法。 - 微細柱状結晶を成長させる前記工程において、前記微細柱状結晶の成長促進領域においてIII族窒化物半導体からなる第一の微細柱状結晶を成長させるとともに、前記微細柱状結晶の成長促進領域以外の領域において、III族窒化物半導体からなる前記第一の微細柱状結晶よりも高さの低い第二の微細柱状結晶を成長させる工程と、
を含む、請求項1に記載の微細柱状結晶の製造方法。 - 微細柱状結晶を成長させる前記工程において、前記微細柱状結晶の成長促進領域上のみにIII族窒化物半導体からなる微細柱状結晶を選択的に成長させる、請求項1に記載の微細柱状結晶の製造方法。
- 金属窒化物または金属酸化物からなる表面を有する膜を形成する前記工程は、
基板表面の所定領域に金属膜を形成する工程と、
前記金属膜の少なくとも表面を窒化または酸化する工程と
を含む、請求項1乃至3のいずれかに記載の微細柱状結晶の製造方法。 - 前記微細柱状結晶が単結晶である、請求項1乃至4のいずれかに記載の微細柱状結晶の製造方法。
- 微細柱状結晶を成長させる前記工程において、分子線エピタキシー法(MBE)によりIII族窒化物半導体からなる微細柱状結晶を形成する、請求項1乃至5のいずれかに記載の微細柱状結晶の製造方法。
- 微細柱状結晶を成長させる前記工程において、分子線エピタキシー法による微細柱状結晶の成長温度を350℃以上、1100℃以下とする、請求項6に記載の微細柱状結晶の製造方法。
- 微細柱状結晶を成長させる前記工程において、窒素源として高周波プラズマ励起した活性窒素を用いる、請求項1乃至7のいずれかに記載の微細柱状結晶の製造方法。
- 金属膜の少なくとも表面を窒化する前記工程において、窒素源として高周波プラズマ励起した活性窒素を用いる、請求項4乃至8のいずれかに記載の微細柱状結晶の製造方法。
- 前記金属窒化物または金属酸化物からなる表面を有する膜における金属がIII族金属またはII族金属である、請求項1乃至9のいずれかに記載の微細柱状結晶の製造方法。
- 前記金属がアルミニウム、ガリウム、インジウム、および亜鉛からなる群より選択されるいずれかである、請求項10に記載の微細柱状結晶の製造方法。
- 前記金属がアルミニウムである、請求項10に記載の微細柱状結晶の製造方法。
- 前記III族窒化物半導体がAlxGayIn1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1、かつ0≦x+y≦1)の一般式で表される、請求項1乃至12のいずれかに記載の微細柱状結晶の製造方法。
- 前記III族窒化物半導体が窒化ガリウムである、請求項13に記載の微細柱状結晶の製造方法。
- 金属窒化物または金属酸化物からなる表面を有する膜を形成する前記工程において、ドット形状の前記金属窒化物または金属酸化物からなる表面を有する膜を所定のパターンで形成する、請求項1乃至14のいずれかに記載の微細柱状結晶の製造方法。
- 前記ドット形状の金属窒化物または金属酸化物からなる表面を有する膜の平均直径が20nm以上である、請求項15に記載の微細柱状結晶の製造方法。
- 請求項1乃至16のいずれかに記載の方法により製造した微細柱状結晶を含むIII族窒化物構造体。
- 基板表面の所定領域に形成された金属窒化物または金属酸化物からなる表面を有する膜と、
前記膜表面上に形成されたIII族窒化物半導体からなる第一の微細柱状結晶と、
前記膜表面以外の領域上に形成されたIII族窒化物半導体からなる前記第一の微細柱状結晶よりも高さの低い第二の微細柱状結晶と、
を含むIII族窒化物構造体。 - 基板表面の所定領域に形成された金属窒化物または金属酸化物からなる表面を有する膜と、
前記膜表面上のみに選択的に形成されたIII族窒化物半導体からなる微細柱状結晶と、
を含むIII族窒化物構造体。
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