JP2008166721A - シリコンウエハ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】デバイス製造プロセスにおけるスリップ転位及び反りの発生を共に抑制することができるシリコンウエハ及びその製造方法を提供する。
【解決手段】BMDの形態が板状であるシリコンウエハであって、シリコンウエハの表面から深さ50μm以上の位置に存在しているBMDのうち、対角長が10nm以上120nm以下のBMDが1×1011/cm以上であり、対角長が750nm以上のBMDが1×10/cm以下であり、且つ、格子間酸素濃度が5×1017atoms/cm以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体ウエハ製造技術分野において、特に、デバイス製造プロセスにおいてスリップ転位及び反りの発生を共に抑制することができるシリコンウエハ及びその製造技術に関する。
半導体デバイスなどの基板として用いられるシリコンウエハは、シリコン単結晶インゴットをスライスして、熱処理や鏡面加工等を行うことにより製造される。こうしたシリコン単結晶インゴットの製造方法としては、たとえば、チョクラルスキ法(以下、「CZ法」とする。)が挙げられる。CZ法は、大口径の単結晶インゴットを得やすいことや、欠陥の制御が比較的容易であるなどの理由により、シリコン単結晶インゴットの製造の大部分を占める。
CZ法によって引き上げられたシリコン単結晶(以下、「CZ−Si」とする)は、grown−in欠陥と呼ばれる結晶欠陥が存在する。またCZ−Siは、酸素を格子間に過飽和に取り込んでいるが、こうした過飽和酸素は、その後の熱処理(アニール)で、Bulk Micro Defect(以下、「BMD」とする。)と称される微小欠陥を誘起する原因となる。
シリコンウエハに半導体デバイスを形成するには、半導体デバイス形成領域に結晶欠陥がないことが求められる。回路を形成する面に結晶欠陥が存在すると、その欠陥部分から回路破壊等を引き起こす原因となるためである。一方でシリコンウエハ内部には適度なBMDが存在することが求められる。このようなBMDは半導体デバイス動作不良の原因となる金属不純物などをゲッタリングする作用があるためである。
上記要求を満たすため、シリコンウエハを高温アニールすることによって、シリコンウエハの内部にBMDを誘起してIntrinsic Gettering層(以下、「IG層」とする。)を形成するとともに、シリコンウエハの表面に存在するgrown−in欠陥を消滅させ、結晶欠陥の限りなく少ないDenuded Zone(以下、「DZ層」とする。)層を形成する手法が用いられる。
具体例として、窒素添加したサブストレートを高温アニールすることで、表面のgrown−in欠陥を低減するとともに、窒素を核としたBMDを内部に形成させる方法(特許文献1)が提案されている。
ところが、前記の高温アニール過程によりシリコンウエハ表裏面に形成したDZ層は、熱処理中の酸素の外方拡散により酸素濃度が極端に低下している。その結果、ウエハ表裏面の転位欠陥伸展の抑制力が著しく低下するため、アニール工程で導入された表裏面の微小傷から、転位欠陥(以下、「スリップ」とする。)がバルク中に伸展しやすく、こうしたスリップ転位の伸展によってシリコンウエハの強度が低下するという問題があった。たとえば、熱処理ポート等によって支持した状態でアニールをおこなうと、ウエハの裏面周辺の支持されている部分からスリップ転位が伸展することがしばしばある。また、シリコンウエハエッジ部からスリップ転位が伸展することもある。
シリコンウエハの強度が低下すると、製造工程中にウエハが損傷したり、ウエハの破壊といった事態が生じる懸念がある。しかしながら、DZ層は半導体デバイス形成には不可欠であり、DZ層を有しつつ強度特性に優れたシリコンウエハが求められていた。
下記特許文献1に記載の従来技術ではシリコンウエハの強度低下に関する配慮がなされておらず、このような方法で作ったシリコンウエハはスリップ転位の伸展を避けることができなかった。
一方で、このようなスリップ転位の発生を防止するために、高密度にBMDを発生させる方法も提案されている。
具体的には、シリコン単結晶インゴットから切り出したサブストレートを、窒素ガスまたは不活性ガスあるいはアンモニアガスと不活性ガスとの混合ガスの雰囲気下で、温度500〜1200℃、時間1〜600分の範囲内で急速昇降温熱処理することにより、BMD層に20nm以下のサイズの酸素析出核を1×1010atoms/cm以上形成するシリコンウエハ製造方法が提案されている(特許文献2)。また、熱処理を数工程繰り返すことにより、高濃度(1×1010atoms/cm〜1×1012atoms/cm)のBMDを発生させたシリコンウエハも提案されている(特許文献3)。
特開平10−98047号公報 特開2006−40980号公報 特開平08−213403号公報
しかし、近年シリコンウエハが大径化し、かつRapid Thermal Annealer(以下、「RTA」とする。)による急速昇降温熱処理を多用するようになってから、スリップ転位の発生に加えて、ウエハに発生する反りが問題となってきた。
RTA熱処理によって導入されるスリップと反りの模式図を図1に示す。スリップはウエハ裏面とウエハ保持部の接点から導入される。導入されたスリップは110方向に伸び、場合によってはウエハ損傷や破壊を引き起こす。反りは、RTA熱処理時の熱歪みによりウエハが変形する現象である。たとえば100面のウエハでは、図1に示すように山形と谷型になる箇所が現れる。通常、所望の特性を付与するための熱処理が行われる前のシリコンウエハの反りは10μm以下に抑えられている。しかし、RTAのような熱処理が加わると、シリコンウエハの山と谷の高さの差は数十μmに達する場合もある。反りが大きくなると、ウエハ表面に半導体デバイスパターンを正確に露光できなくなり、半導体デバイス歩留まり低下の原因となる。
反りの問題はウエハ径が200mm以上になると顕著であり、BMD濃度を上記のように単に高濃度に規定するのみでは回避不可能であった。
そこで本発明が解決しようとする課題は、デバイス製造プロセスにおけるスリップ転位及び反りの発生を共に抑制することができるシリコンウエハ及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、シリコンウエハ内に存在するBMDには、密度にして10〜1013/cm、サイズにして5〜1000nmといった幅広いサイズ分布があることを明らかにし、さらに、所定のサイズのBMDの密度を制御することで、デバイス製造プロセスにおけるスリップおよび反りの発生を著しく抑えることができるという知見を得、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、小さなサイズのBMDが高密度に形成されるとともに、大きなサイズのBMD密度が低減され、好ましくは、さらに、格子間酸素濃度が低減されたシリコンウエハとその製造方法に関するものである。本発明には、以下の(1)〜(8)の発明が含まれる。
(1)BMDの形態が板状であるシリコンウエハであって、該シリコンウエハの表面から深さ50μm以上の位置に存在しているBMDのうち、対角長が10nm以上120nm以下のBMDが1×1011/cm以上であり、対角長が750nm以上のBMDが1×10/cm以下であり、且つ、格子間酸素濃度が5×1017atoms/cm以下であることを特徴とするシリコンウエハ。
(2)板状、および八面体形状のBMDが混在しているシリコンウエハであって、該シリコンウエハの表面から深さ50μm以上の位置に存在しているBMDのうち、形態が八面体で対角長が10nm以上50nm以下であるBMDが5×1011/cm以上であり、形態が板状で対角長が750nm以上であるBMDが1×10/cm以下であり、且つ、格子間酸素濃度が5×1017atoms/cm以下であることを特徴とするシリコンウエハ。
(3)前記(1)のシリコンウエハの製造方法であって、サブストレートに、(A)600℃以上750℃以下の温度範囲、10分以上10時間以下の所要時間で熱処理を行う低温熱処理工程と、(B)さらに、1000℃までの昇温処理を、0.1℃/分以上1℃/分以下の昇温速度、5時間以上50時間以下の所要時間で行う昇温工程と、(C)さらに、1000℃以上1250℃以下の温度範囲で、かつ、格子間酸素の拡散長が20μm以上30μm未満となるように熱処理を行う高温熱処理工程と、を含む熱処理を行うことを特徴とする、製造方法。
(4)前記(1)のシリコンウエハの製造方法であって、サブストレートに、(A)600℃以上750℃以下の温度範囲、10分以上10時間以下の所要時間で熱処理を行う低温熱処理工程と、(B)さらに800℃までの昇温処理を、0.1℃/分以上1℃/分以下の昇温速度、1時間以上20時間以下の所要時間で行う昇温工程と、(C)昇温工程の後、1℃/分以上10℃/分以下の降温速度で炉の温度を下げ、当該炉の温度が600℃以上800℃以下のときにサブストレートを炉外に取り出してサブストレートを室温まで冷却する降温・取出工程と、(D)降温・取出工程の後、炉の温度を600℃以上800℃以下にして当該炉内にサブストレートを挿入して、当該炉の温度を1000℃まで1℃/分以上10℃/分以下の昇温速度で昇温させた後、1000℃以上1250℃以下の温度範囲で、かつ、格子間酸素の拡散長が20μm以上30μm未満となるように熱処理を行う高温熱処理工程と、を含む熱処理を行うことを特徴とする、製造方法。
(5)前記(2)のシリコンウエハの製造方法であって、サブストレートに、(A)600℃以上750℃以下の温度範囲、30分以上10時間以下の所要時間で熱処理を行う低温熱処理工程と、(B)さらに、1000℃までの昇温処理を、0.1℃/分以上1℃/分以下の昇温速度、5時間以上50時間以下の所要時間で行う昇温工程と、(C)さらに、1000℃以上1250℃以下の温度範囲で、かつ、格子間酸素の拡散長が30μm以上50μm以下となるように熱処理を行う高温熱処理工程と、を含む熱処理を行うことを特徴とする、製造方法。
(6)前記(2)のシリコンウエハの製造方法であって、サブストレートに、(A)600℃以上750℃以下の温度範囲、30分以上10時間以下の所要時間で熱処理を行う低温熱処理工程と、(B)さらに800℃までの昇温処理を、0.1℃/分以上1℃/分以下の昇温速度、1時間以上20時間以下の所要時間で行う昇温工程と、(C)昇温工程の後、1℃/分以上10℃/分以下の降温速度で炉の温度を下げ、当該炉の温度が600℃以上800℃以下のときにサブストレートを炉外に取り出してサブストレートを室温まで冷却する降温・取出工程と、(D)降温・取出工程の後、炉の温度を600℃以上800℃以下にして当該炉内にサブストレートを挿入して、当該炉の温度を1000℃まで1℃/分以上10℃/分以下の昇温速度で昇温させた後、1000℃以上1250℃以下の温度範囲で、かつ、格子間酸素の拡散長が30μm以上50μm以下となるように熱処理を行う高温熱処理工程と、を含む熱処理を行うことを特徴とする、製造方法。
(7)前記サブストレートの窒素濃度が、5×1014atoms/cm以上1×1016atoms/cm以下であることを特徴とする、(3)〜(6)のいずれかの製造方法。
(8)前記サブストレートの炭素濃度が、2×1015atoms/cm以上3×1016atoms/cm以下であることを特徴とする、(3)〜(7)のいずれかの製造方法。
ここで、本発明において、八面体形態であるBMDとは、図2に示すように、複数の{111}面とそれ以外の面で囲まれた形のBMDのことを意味する。通常、図2(1)や図2(3)に示すように、八面の{111}面で囲まれるものと、図2(2)に示すように、{111}面と共に{100}面で囲まれているものがある。また、{111}面や{100}面以外の面が現れる場合もある。
ウエハに存在するBMDの形状には、八面体の他に板状のものもあり、板状のBMDは、図2(4)や図2(5)に示すように、比較的大きな二面の{100}面とその他の面で囲まれた形のBMDである。なお、BMDの内部が、図2(5)に示すように樹状になっている場合もある。八面体と板状の区別としては、図3に示すように、[001]方向から見た時の[100]方向と[010]方向のサイズのうち、長い方をA、短い方をBとした時のA/B(以下、「扁平率」とする。)が1.5以下のものを八面体、1.5を越えるものを板状とする。シリコンウエハ中のBMD形態にはばらつきがあるので、ウエハ内に存在するBMDが八面体であるか板状であるかの判定は、ウエハ内の位置が異なる複数のBMDのA/Bを測定し、それらの平均値(以下、「平均扁平率」とする。)を求め、その値が1.5を越えるか否かにより行えばよい。
さらに、本発明において、BMDの対角長とは、上記[100]方向と[010]方向のうち、長い方Aを意味する。
本発明のシリコンウエハは、いずれも所定のサイズのBMDの密度が上記のように制御されていることで、デバイス製造プロセスにおけるスリップと反りの発生を共に極小さく抑え、DZ層を有しながらも強度低下を防止でき、さらには、大径(典型的には200mm以上)、且つ、高品質なデバイスの製造を可能とする。
本発明のシリコンウエハは、ウエハ内部にBMDを持たないミラーウエハよりも、スリップ転位、反りが発生しにくく、また高いゲッタリング能力を有する。
本発明のシリコンウエハは、いずれも格子間酸素濃度が、5×1017atoms/cm以下であることで、デバイス製造プロセスにおける熱処理でのBMD分布の変化を少なくすることができ、それに起因するスリップと反りの発生をも防止することができる。さらに、格子間酸素濃度を5×1017atopms/cm3以下にすることで、サーマルドナーの発生を抑制することができる。サーマルドナーはデバイス製造時の熱処理で発生し、シリコンウエハの抵抗率を変化させる要因となる。サーマルドナーの発生を抑制することで、シリコンウエハの抵抗率が一定に保たれるため、デバイスの誤動作を防止することができる。
本発明の製造方法によれば、上記のような優れた特性を有する本発明のシリコンウエハを製造することができる。
以下、本発明を実施の形態に即して詳細に説明する。
(シリコンウエハ)
本発明のシリコンウエハは、デバイス製造プロセスにおけるスリップや反りの発生を、共にごく小さく抑制することができることを特徴とするものである。
ここで、本発明が実現されるウエハの大きさ(直径、厚さ)、種々の元素のドープの有無に関しての制限は特になく、これらの特徴は要求される半導体シリコンウエハの種類に応じて適宜選択することができる。
また、本発明のシリコンウエハを使用して製造される半導体デバイスに関しての制限も特になく、種々の半導体デバイス製造に応用することができる。具体的には、本発明のシリコンウエハは、表面にエピタキシャル層を形成したエピタキシャルウエハ、貼り合わせSOIウエハ、SIMOX(Separation By Implanted Oxygen)処理をしたSIMOXウエハ、あるいは表面にSiGe層を形成したSiGeウエハの製造などに広く適用できるものである。
本発明のシリコンウエハの特徴は、BMDの形態が板状、あるいは板状と八面体形状であるシリコンウエハにおいて、該シリコンウエハ表面から深さ50μm以上の位置に存在しているBMDのうち、形態が板状の場合は対角長が10nm以上120nm以下のBMDが1×1011/cm以上であり、形態が八面体の場合は対角長が10nm以上50nm以下のBMDが5×1011/cm以上で形成されていることである。これは、本発明者等による下に説明する知見に基づく。
すなわち、表面から50μmより深い位置に存在しているBMDが、スリップや反りの特性に影響を与え、さらに、それらのうち、所定対角長を有するBMDが、所定の密度以上の高密度で形成されたシリコンウエハでは、一般的デバイス製造プロセスにおいて、極めてスリップの発生を小さく、具体的には発生するスリップが10mm以下に抑えられたことである。また、これにより、デバイス製造プロセスにおいてウエハ支持部からスリップが発生した場合でも、シリコンウエハ表面に突き抜けることを防止でき、ウエハエッジ部にスリップが発生した場合においても、半導体デバイス作成領域にまでスリップが到達することを防止でき、デバイスへの悪影響を防止できたことである。
板状のBMDは八面体のBMDに比べてスリップ伝搬に対する障壁効果が強いため、八面体より低密度でもスリップ抑制効果があると推測される。
ここでBMD形態が板状の場合は、BMDの対角長が10nm未満、あるいはBMDの密度が1×1011/cm未満、BMD形態が八面体形状の場合は、BMDの対角長が10nm未満、あるいはBMDの密度が5×1011/cm未満であるとBMDがスリップ伝搬に対して十分な障壁となりにくい。スリップ伝搬の障壁となりうるBMDの密度・対角長に上限はないが、後述する理由により、現実のシリコンウエハで実現できる範囲は、BMD形態が板状の場合はBMD対角長は120nm、BMD形態が八面体形状の場合はBMD対角長は50nmが上限になる。すなわち、高密度にBMDが存在すると、固溶酸素はほぼ全てがBMDとして析出している状態になる。一方で、BMDとして析出する酸素原子の個数はCZ−Si中に固溶している酸素原子を上回ることはなく、固溶酸素濃度は多くても1×1018atoms/cm程度が上限である。よって、高密度にBMDが存在した状態では、BMDとして析出している酸素原子はほぼ1×1018atoms/cm程度で一定であると考えてよい。この状態ではBMD密度が増えるほど、個々の対角長は低下する。すなわち、ある密度以上に存在するBMDは対角長に上限があり、BMD形態が板状の場合は密度1×1011/cmのBMDをサイズ120nm超で実現することはできず、BMD形態が八面体形状の場合は密度5×1011/cmのBMDをサイズ50nm超で実現することはできない。したがって、スリップ伝搬を抑制できるBMD密度・対角長の範囲は、BMD形態が板状の場合は密度が1×1011/cm以上、かつ対角長が10nm以上120nm以下、BMD形態が八面体形状の場合は密度が5×1011/cm以上、かつ対角長が10nm以上50nm以下となる。
さらに、高密度形成されたBMDが板状の場合、かかる範囲の対角長を有するBMDが1×1012/cm以上であるか、あるいはすべてのBMDの対角長が30nm以上であり、かつ、対角長が120nm以下のBMD密度が1×1011/cm以上であることが好ましい。また、高密度形成されたBMDが八面体形状の場合、かかる範囲の対角長を有するBMDが1×1012/cm以上であるか、あるいはすべてのBMDの対角長が20nm以上であり、かつ、対角長が50nm以下のBMD密度が5×1011/cm以上であることが好ましい。これにより、一般的なデバイス製造プロセスにおいて発生するスリップの長さをさらに小さく(典型的には5mm以下)抑えることができる。現行世代のデバイスにおいては、スリップの長さを10mm以下にしておけば問題ないが、例えば、デザインルール50nm以下といった次世代のデバイスに対しては、シリコンウエハのエッジぎりぎりまでデバイス領域として使用する方向であるため、スリップの長さを5mm以下に抑える事が望ましい。
本発明のシリコンウエハのもう一つの特徴は、上で説明した特徴に加えて、表面から50μmより深い位置に存在するBMDのうち、板状で、対角長が750nm以上のBMDが、1×10/cm以下であることであり、これは本発明者等による以下の知見に基づくものである。
すなわち、ウエハに熱応力がかかると、表面から深さ50μm以上の位置に存在しているBMDのうち、所定サイズ以上であるBMDが起点となってウエハ内部に高密度の転位が発生しやすく、その結果、ウエハが塑性変形を起こして反りが引き起こされるということである。そのようなBMDを所定密度(1×10/cm)以下に低減することで、一般的なデバイス製造プロセスにおける反りの発生を著しく小さく、典型的には20μm以下に抑えることができたことである。板状BMDは八面体BMDに比べて反りの原因となるウエハ内部の転位を発生しにくい。よって、このような所定サイズ以上のBMDは板状にする事が望ましい。
本発明のシリコンウエハにおいて、上で説明した特徴に加えて、さらに、格子間酸素濃度の平均値が低減されていることが好ましい。
ここで、格子間酸素濃度は、通常シリコンウエハの全体に関して測定され、測定領域の中にはBMD層の他、DZ層も含まれる。しかし、DZ層はBMD層に比べて極めて薄いので、シリコンウエハ全体で測定された格子間酸素濃度は、BMD層の中の格子間酸素濃度と同じであると考えてよい。
このようにシリコンウエハの全体の格子間酸素濃度を規定するのは、デバイス製造プロセスにおける熱処理の条件によっては、上で説明した最適BMD分布(サイズ及び密度)が、格子間酸素の析出によって変化し、それに起因するスリップや反りが発生することがあるという本発明者等の予想外の知見に基づくものである。
この目的のため、格子間酸素濃度は、5×1017atoms/cm以下であることが好ましい。一方で、格子間酸素濃度の下限は、2×1017atoms/cm程度であると考えてよい。これは、それよりも低減するためには、低温で極めて長時間の熱処理を要することとなるため、実現が難しいからである。
上で説明したBMDサイズ分布、および格子間酸素濃度は、ウエハ全面に渡って実現していることが望ましいが、用途によっては一部の領域で実現できていてもよい。例えば、ウエハのエッジ部から導入される典型的なスリップのみを防止する場合は、ウエハ中心からウエハ半径の80%以上離れた領域で、上記BMDサイズ分布、および格子間酸素濃度が実現できていればよい。これは、ウエハのエッジ部から導入されるスリップは主にウエハ半径の80%以上離れた領域に発生することが多いためである。また、典型的なウエハの反りのみを防止するためには、ウエハ半径の80%より内側の領域で上記BMDサイズ分布、および格子間酸素濃度が実現できていればよい。これは、反りを引き起こす典型的なウエハ内部の高密度転位は、ウエハ半径の80%以内の領域で多く発生するためである。
本発明のシリコンウエハは、デバイス製造プロセスにおいて発生するスリップと反りが小さいという点で極めて優れている。より具体的には、本発明に係るシリコンウエハ、特に、上記のようにBMDが制御され、かつ、格子間酸素濃度が低減されたシリコンウエハでは、下記の熱処理においても発生するスリップの長さが極めて小さい(典型的には、スリップが10mm以下であり、且つ、熱処理後のウエハの反り量が20μm以下)ことを特徴とする。
すなわち、デバイス製造プロセスにおけるスリップや反りの発生への耐性を評価する目的の熱処理として、700℃以上1100℃以下の温度域を30℃/秒以上の速度で昇降温し、1100℃以上の温度で保持する熱処理である。
このような熱処理は、スリップや反りが発生しやすい温度域で、かつ、熱応力も実用上最大となるため、この温度範囲と昇降温速度で転位が発生しないようにすれば、一般的なデバイス製造プロセスのほぼすべてにおいてスリップ及び反りの発生が極めて少ないシリコンウエハであると言える。
なお、上で説明したBMDの形態、対角長、個数の測定を目的としては、通常公知の測定方法により測定が可能である。より具体的には、透過型電子顕微鏡(以下、「TEM」とする。)及び赤外干渉法(Optical Precipitate Profiler:以下、「OPP」とする。)による測定があげられる。
また、ウエハのスリップ転位、反り量の測定、評価方法に関しても制限はなく、通常公知の方法により測定可能である。より具体的には、スリップ転位の測定としてX線トポグラフ、反り量としては、NIDEK社製FT−90Aなどを用いて観測することで評価することが可能である。
さらに、格子間酸素濃度を測定する目的としては、フーリエ変換赤外吸収分光法(FTIR)を用いることができる。
(シリコンウエハの製造方法)
本発明に係るシリコンウエハは、上に説明した特徴を有する。したがって、かかる特徴を有するシリコンウエハを製造するための方法であれば特に制限はない。具体的には、単結晶育成条件(結晶引上速度、結晶冷却速度、坩堝回転、ガス流など)や熱処理条件(熱処理温度、時間、昇降温など)を適切に制御することで、上の特徴を有するシリコンウエハを作製することができる。
本発明では、特に、サブストレートを段階的に熱処理することが好ましい。
ここで、サブストレートとは、未熱処理のシリコンウエハを意味し、単結晶インゴットから切り出され、適宜、面取りなどの熱処理以外の工程が施されたものを含む意である。
また、サイズ(直径、厚さ等)に関しての制限、種々の元素のドープの有無に関しての制限は特になく、要求されるシリコンウエハの種類・性能に合わせて適宜選択することが可能である。
本発明では、より好ましくは、BMDの形態が板状であるシリコンウエハを製造する場合、前記熱処理が、(A):600〜750℃の温度で10分〜10時間で行う低温熱処理と、(B):さらに、1000℃までの間を0.1℃/分〜1℃/分の昇温速度で昇温する工程を含む昇温工程と、(C):さらに、1000℃〜1250℃の温度で、かつ、格子間酸素の拡散長が20μm〜30μmとなる高温熱処理工程と、を含むことである。また、板状、および八面体形状BMDが混在しているシリコンウエハを製造する場合、前記熱処理が、(A):600〜750℃の温度で30分〜10時間で行う低温熱処理と、(B):さらに、1000℃までの間を0.1℃/分〜1℃/分の昇温速度で昇温する工程を含む昇温工程と、(C):さらに、1000℃〜1250℃の温度で、かつ、格子間酸素の拡散長が30μm〜50μmとなる高温熱処理工程と、を含むことである。
(A)の工程において、熱処理の温度が600℃未満であると酸素の拡散が十分起こらないため、BMD形成が十分に起こらなくなり好ましくなく、一方、750℃を超えてもBMD最適化にほとんど影響を与えないため、無駄が多くなり好ましくない。また、この熱処理の時間が短いと、BMD核形成のための時間が不十分であり、BMD密度が所定の密度以上にならないので好ましくなくない(10分未満ではBMD密度が1×1011/cm未満になり、30分未満ではBMD密度が5×1011/cm未満になる)。さらに、10時間を越えると生産性が極端に低下するため好ましくない。
(B)の工程は、1000℃まで昇温した段階で、対角長が5nm以上のBMDの密度を所定の密度(板状の場合は1×1011/cm、八面体形状の場合は5×1011/cm)以上にして、かつ、格子間酸素濃度を5×1017atoms/cm以下にすることを目的としている。対角長が5nm未満の場合は、後続する(C)の高温熱処理でBMDが収縮消滅してしまうため、後続する高温熱処理を行った後のシリコンウエハのBMD密度が、所定の密度未満になってしまうおそれがあるため好ましくない。また、5nm以上のBMD密度が所定の密度未満の場合は、後続する高温熱処理を行った後のシリコンウエハのBMD密度が、所定の密度未満になってしまうおそれがあるため好ましくない。また、格子間酸素濃度が5×1017atoms/cmを越えると、後続する高温熱処理を行った後のシリコンウエハでも、格子間酸素濃度が5×1017atoms/cmを越えたり、形態が板状で対角長が750nm以上のBMD密度が1×10/cmを越えることがあるため、好ましくない。これは(C)の高温熱処理で、格子間酸素を外方拡散させている間に、シリコンウエハ内部の格子間酸素がBMDに集まるためと考えられる。この工程において、昇温レートが0.1℃/未満であると熱処理炉の制御の関係から安定的な昇温レートが確保できないので好ましくなく、1℃/分を超えると(A)の工程で作り出されたBMDが昇温中に消滅してしまうため、1000℃まで昇温した段階でBMD密度が5×1011/cm未満になってしまい、好ましくない。
また、0.1℃/分以上1℃/分以下で昇温する工程が5時間未満の場合は、(A)の工程で作り出されたBMDが昇温中に消滅してしまうため、1000℃まで昇温した段階でBMD密度が所定の密度(板状の場合は1×1011/cm、八面体形状の場合は5×1011/cm)未満になってしまい、好ましくない。また、50時間を超えると、生産性が極端に低下するため好ましくない。また、格子間酸素の拡散長が5μm未満の場合は、1000℃まで昇温した段階での格子間酸素濃度が5×1017aoms/cmを越えてしまうため、好ましくない。
1000℃まで昇温した段階のBMD密度と格子間酸素濃度を測定するには、(B)の熱処理が終わった段階でシリコンウエハを炉内から急速に引き出し、室温まで冷却した後で測定を行えばよい。この際の冷却速度は、通常のバッチ式の縦型炉で実現できる範囲内の冷却速度でよい。
さらに、(C)の工程は、格子間酸素を外方拡散させ、DZ層を形成することを目的とする。この工程において、温度が1000℃未満であると格子間酸素の外方拡散に長時間要すこととなり生産性低下の観点から好ましくなく、温度が1250℃を超えると、アニール炉の部材劣化が激しくなり好ましくない。また、格子間酸素の拡散長とは、この工程における温度、および時間に基づいて計算される数値であり、具体的には下記式(i)により求めることができる。
格子間酸素の拡散長(μm)=2×10×(D×時間(秒))0.5 (i)
ここで、
D(cm/秒)=0.17×exp(−2.53÷8.62×10−5÷温度(K))
このように、格子間酸素の拡散長を20μm以上となる熱処理は、5μm以上といった広いDZ層を形成するうえで好ましい。
また、格子間酸素の拡散長を30μm未満にすると、(C)の高温熱処理が終わった後のBMD形態は板状となり、格子間酸素の拡散長を30μm以上にすると、BMD形態は八面体形状になる。なお、格子間酸素の拡散長が30μm以上となる場合も、例えば後述するように窒素を添加することで、比較的大きなサイズのBMDの形態を板状にすることもできる。格子間酸素の拡散長が50μmを越えるような高温熱処理は、時間が長くなりすぎて、生産性が低下するので好ましくない。
(B)の工程から(C)の工程に至る昇温に関しての制限は特になく、通常の昇温レートを好ましく使用することができる。最も一般的な昇温レートとしては、1℃/分〜10℃/分程度である。
本発明では、より好ましくは、BMDの形態が板状であるシリコンウエハを製造する場合、前記熱処理が(A)600℃以上750℃以下の温度範囲で10分以上10時間以下熱処理を行う低温熱処理工程と、(B)さらに、800℃までの昇温処理を0.1℃/分〜1℃/分の昇温速度で1時間以上20時間以下行う昇温工程と、(C)昇温工程の後、1℃/分以上10℃/分以下の降温速度で炉の温度を下げ、炉の温度が600℃以上800℃以下のときにサブストレートを炉外に取り出して該サブストレートを室温まで冷却する降温・取出工程と、(D)降温・取出工程の後、1000℃以上1250℃以下の温度範囲で、かつ、格子間酸素の拡散長が30μm以上50μm以下となるように熱処理を行う高温熱処理工程とを含むことである。また、板状、および八面体形状BMDが混在しているシリコンウエハを製造する場合、前記熱処理が、(A):600℃以上750℃以下の温度範囲で30分以上10時間以下熱処理を行う低温熱処理工程と、(B):さらに800℃までの昇温処理を0.1℃/分以上1℃/分以下の昇温速度で1時間以上20時間以下行う昇温工程と、(C):昇温工程の後、1℃/分以上10℃/分以下の降温速度で炉の温度を下げ、炉の温度が600℃以上800℃以下のときにサブストレートを炉外に取り出して該サブストレートを室温まで冷却する降温・取出工程と、(D):降温・取出工程の後、炉の温度を600℃以上800℃以下にして炉内にウエハを挿入し、炉の温度をさらに1000℃まで1℃/分以上10℃/分以下の昇温速度で昇温させた後、1000℃以上1250℃以下の温度範囲で、かつ、格子間酸素の拡散長が30μm以上50μm以下となるように熱処理を行う高温熱処理工程とを含むことである。
(C)の降温・取出工程を追加するのは、熱処理炉が二台あり、(A)〜(C)の熱処理と、(D)の熱処理をそれぞれ別の熱処理炉で行う場合である。生産性を上げるために、それぞれの熱処理を別々の炉で行ったほうが有利な場合は、(C)の工程を追加して、熱処理を(A)〜(C)、および(D)に分割することが好ましい。
この場合、アニールウエハのBMD密度が所定の密度(板状の場合は1×1011/cm3、八面体形状の場合は5×1011/cm3)以上にするためには、(B)において昇温速度を0.1〜1℃/分にするのは800℃まででよく、800℃以上の昇温速度はBMD密度に影響を及ぼさない。これは、分割熱処理の場合、(C)においてサブストレートを一度室温に冷却することで、(C)が終わった段階で形成されているBMDがその後の高温熱処理工程(D)においても収縮・消滅しないBMDに変容しているためと考えられる。そのため、連続熱処理の場合と異なり、0.1〜1℃/分の昇温を1000℃まで行う必要はない。さらに、(B)および(C)の工程を経た場合、(D)の工程で1000℃に昇温した段階での格子間酸素濃度は5×1017atoms/cm3以下となり、750nm以上のBMD密度が1×107/cm3以下になる。
ここで、(B)における昇温レートが0.1℃/分未満であると、安定した昇温レートが確保できなくなり、1℃/分を超えると析出したBMDが消滅するおそれがあり好ましくない。また、1時間未満の場合は、析出したBMDが消滅するおそれがあり、20時間を超えると生産性の極端な低下が生じるため好ましくない。また、昇温速度が0.1以上1℃/分以下である昇温工程が、800℃より低温で終了すると、析出したBMDが消滅するおそれがあり好ましくない。
また、(B)において、800℃までの昇温が終わった後、800℃より降温までさらに昇温を行ってもよいし、すぐに炉温を下げて(C)の工程に進んでもよい。800℃より高い温度まで昇温すると、よりBMD密度が増加するが、(B)の工程が長くなることになる。800℃で炉温を下げ(C)の工程に進むと、BMD密度が少なくなる傾向があるが、サブストレートの酸素・炭素濃度を調整することで、所定のBMD密度を確保することは可能である。
(C)における降温速度は、一般的な炉で実現できる1℃/分以上10℃/分以下が好ましい。サブストレートを炉外に取り出すときの炉の温度は、600℃未満にすると炉のヒーターの寿命低下を招くため好ましくなく、800℃超にすると炉の部材が劣化するため好ましくない。
(D)におけるウエハを挿入するときの炉の温度は、(C)と同じ理由から、600℃未満と800℃超は好ましくない。1000℃までの昇温速度は、一般的な炉で実現できる1℃/分以上10℃/分以下が好ましい。1000℃以上の熱処理における温度、酸素の拡散長の範囲は前述した通りである。高温熱処理を行った後の降温速度、引出温度には特に制限はない。
また、上で説明した一連の熱処理において使用する装置に関しての制限は特になく、従来公知の装置が好ましく使用可能である。具体的には、通常のバッチ式の縦型炉、酸素パージ機能のついたバッジ式の縦型炉などがあげられる。
本発明の製造方法において、前記サブストレートは窒素を含有していることが好ましい。これは、前記サブストレートが窒素を含有することで、反りがさらに小さく(典型的には15μm以下)抑えられるためである。このように、反りを更に抑えることにより、より高性能なデバイス製造が可能となる。
この目的で添加される窒素の濃度は、5×1014atoms/cm〜1×1016atoms/cmであることが好ましい。係る範囲を超えると、多結晶化が起こって、歩留まりが低下するおそれがあるため好ましくない。
更に、かかる濃度範囲で窒素が添加されていると、例えば1100℃以上の温度範囲における格子間酸素の拡散長が30μm以上になるような比較的高温の熱処理でも、比較的大きなサイズのBMD形態は板状とすることができ、反りの原因となる転位の発生が起こりにくい。なお、この場合、比較的サイズが小さく、高密度に存在しているBMDの形態は八面体である。窒素がBMD形態に及ぼす効果は、このような高密度BMDには作用しにくいと考えられる。
例えば、DZ層を7μm以上有するシリコンウエハを製造する場合、1100℃以上の温度範囲における格子間酸素の拡散長が30μm以上になるような熱処理を行う必要がある。そのような場合、窒素を添加して所定サイズ以上のBMDの形態を板状にしておくことは、反りを低減する上で有効となる。
また、本発明の製造方法において、前記サブストレートは炭素を含有していることが好ましい。これは、前記サブストレートが炭素を含有することで、(A)の低温熱処理が比較的低温・短時間でも、比較的高密度のBMDが形成できる、という効果が得られるからである。
この目的で添加される炭素の濃度は、2×1015atoms/cm〜3×1016atoms/cmであることが好ましい。かかる範囲を超えて炭素を添加すると、熱処理後の格子間酸素が増大することとなり好ましくない。この原因は定かではないが、BMDに格子間酸素が凝集する効果が炭素によって阻害されているものと推測される。
なお、サブストレートに窒素や炭素を添加する方法に関しては特に制限はなく、従来公知の方法が好ましく使用可能である。より具体的には窒素の添加方法として、窒化膜付きの基板を単結晶引き上げの融液に添加して、得られるサブストレートの窒素濃度を調節すること、炭素の添加方法として、炭素粉を単結晶引き上げの融液に添加して、得られるサブストレートの炭素濃度を調節することができる。
また、サブストレートに含まれる窒素、炭素、及び酸素濃度の測定方法に関しても特に制限はなく、従来公知の方法で好ましく測定可能である。より具体的には、窒素濃度の測定として二次イオン質量分析装置(SIMS)を使用して求めることができる。また、酸素及び炭素濃度の測定として赤外吸収法により測定し、換算係数としてJEITA(電子情報技術産業協会)の値により求めることができる。
以下、本発明を実施例をあげながら詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら制限されるものではない。
(アニールウエハおよびエピタキシャルウエハの作製方法)
単結晶インゴットを種々の条件(ウエハ径、伝導型、酸素、窒素、炭素濃度)で作製し、それぞれの単結晶インゴットの直胴部の同一部位を、ワイヤソーを用いて切り出し、ミラー加工して作成した厚さ725〜750μmの基板をサブストレートとした。得られたサブストレートをバッチ式の縦型熱処理炉内に投入し、同じ炉内で第一熱処理(AおよびB)、第二熱処理(C)をアルゴン雰囲気中にて行った。各熱処理の条件は、1)〜9)に示す通りである。このようにアニールウエハおよびエピタキシャルウエハを作製した。なお、本実施例中、以下の1)〜9)の条件に示す熱処理後のウエハを、「アニールウエハ」とし、また、2)、及び4)のエピタキシャル層が堆積されたウエハを、「エピタキシャルウエハ」とする。また、各熱処理の格子間酸素の拡散長は、第二熱処理の温度パターンに従って上記式(i)を温度および時間について積分することで得た。各実施例及び比較例の熱処理条件は、以下に示す通りである。また、エピタキシャル層堆積は、アニールウエハの表面に気相成長装置でエピタキシャル層を5μm堆積することで行った。
1)表1
第一熱処理:700℃1時間を行った後、700℃から1000℃の間を1℃/分の昇温速度で昇温、
第二熱処理:1000℃から1100℃の間を5℃/分の昇温速度で昇温し、1100℃で4時間保持
降温工程:1200℃から700℃までを1℃/分〜5℃/分で降温
2)表2
表1の熱処理の後にエピタキシャル層堆積
3)表3
第一熱処理:700℃4時間を行った後、700℃から1000℃の間を1℃/分の昇温速度で昇温
第二熱処理:1000℃から1100℃の間を5℃/分の昇温速度で昇温し、1100℃から1200℃の間を1℃/分の昇温速度で昇温し、1200℃で1時間保持
降温工程:1200℃から700℃までを1℃/分〜5℃/分で降温
4)表4
表3の熱処理の後にエピタキシャル層堆積
5)表5
比較例1:第一熱処理として800℃で4時間を行った後、800℃から1000℃の間を0.1℃/分の昇温速度で昇温、第二熱処理・降温工程は表1の実施例と同じ。
比較例2:第一熱処理として700℃で1時間を行った後、700℃から1000℃の間を3℃/分の昇温速度で昇温、第二熱処理・降温工程は表1の実施例と同じ。
比較例3:第一熱処理として700℃30分を行った後、700℃から1000℃の間を3℃/分の昇温速度で昇温。第二熱処理として、1000℃から1100℃の間を5℃/分で昇降温し、1100℃で1時間保持。降温工程として、1100℃から700℃までを1℃/分〜5℃/分で降温。
6)表6
比較例4:第一熱処理として800℃で4時間を行った後、800℃から1000℃の間を1℃/分の昇温速度で昇温、第二熱処理・降温工程は表3の実施例と同じ。
比較例5:第一熱処理として700℃で4時間を行った後、700℃から1000℃の間を3℃/分の昇温速度で昇温、第二熱処理・降温工程は表3の実施例と同じ。
比較例6:第一熱処理として700℃30分を行った後、700℃から1000℃の間を3℃/分の昇温速度で昇温。第二熱処理として、1000℃から1100℃の間を5℃/分で昇降温し、1100℃で1時間保持。降温工程として、1100℃から700℃までを1℃/分〜5℃/分で降温。
また、1000℃の段階でのBMD密度と格子間酸素濃度を調べるため、同条件で作製したサブストレートをバッチ式の縦型熱処理炉内に投入し、第一熱処理のみを行って、1000℃で炉から引き出したウエハも用意した。
7)表7
分割熱処理
第一熱処理:700℃1時間を行った後、700℃〜900℃を1℃/分の昇温速度で昇温、900〜700℃を2℃/分で降温、700℃で炉から取出し、室温まで冷却
第二熱処理:700℃で挿入、700〜1100℃の間を5℃/分で昇温、1100℃にて4時間保持
8)表8
分割熱処理
第一熱処理:700℃4時間を行った後、700℃〜800℃を0.5℃/分の昇温速度で昇温、800〜700℃を2℃/分で降温、700℃で炉から取出し、室温まで冷却
第二熱処理:700℃で挿入、700〜1100℃の間を5℃/分で昇温、1000〜1100℃の間を1℃/分で昇降温、1200℃にて1時間保持
9)表9
分割熱処理
比較例7:第一熱処理:700℃1時間を行った後、700℃〜750℃を0.5℃/分の昇温速度で昇温、750〜700℃を2℃/分で降温、700℃で炉から取出し、室温まで冷却
第二熱処理:表7の実施例と同じ
比較例8:
第一熱処理:700℃1時間を行った後、700℃〜800℃を2℃/分の昇温速度で昇温、800〜700℃を2℃/分で降温、700℃で炉から取出し、室温まで冷却
第二熱処理:表7の実施例と同じ
比較例9:
第一熱処理:700℃4時間を行った後、700℃〜750℃を0.5℃/分の昇温速度で昇温、750〜700℃を2℃/分で降温、700℃で炉から取出し、室温まで冷却
第二熱処理:表8の実施例と同じ
比較例10:
第一熱処理:700℃4時間を行った後、700℃〜800℃を2℃/分の昇温速度で昇温、800〜700℃を2℃/分で降温、700℃で炉から取出し、室温まで冷却
第二熱処理:表8の実施例と同じ
また、1000℃の段階でのBMD密度と格子間酸素濃度を調べるため、同条件で作製したサブストレートをバッチ式の縦型熱処理炉内に投入し、連続熱処理の場合は第一熱処理のみを行って、分割熱処理の場合は第二熱処理の1000℃まで昇温を行って、1000℃で炉から引き出したウエハも用意した。
(アニールウエハ及びエピタキシャルウエハの測定及び評価)
上記作製条件で得られたそれぞれのアニールウエハ及びエピタキシャルウエハについて以下の(1)、(2)、(3)、(5)に関する測定及び評価を行った。また、窒素添加したウエハに関しては、(4)窒素濃度も測定した。また、第一熱処理のみを行ったウエハに関しては、(2)および(3)を行った(結果は、表10〜18に示した)。また、(1)及び(2)の測定に使用するサンプルのうちTEMサンプルは、各ウエハを所定深さ(50μm、100μm、300μm)まで、精密研磨機により削り、ウエハの中心部と、エッジから10mmの二箇所から採取した。OPPは、各ウエハの所定深さ(50μm、100μm、300μm)、所定位置(中心、エッジから10mm)にフォーカスを設定して測定を行った。
(1)BMD形状の判定:BMD扁平率は、同じ測定サンプルをOPPのスキャン方向を<110>方向と<100>方向に変えて二回測定し、両測定で得られたシグナル強度の比から判定した。すなわち、シグナル強度の比とBMD扁平率との関係を予め調べておき、シグナル強度の比から扁平率を求めた。また、TEMによっても測定し、その際は、[001]方向から見た顕微鏡像から扁平率を測定し求めた。これらの結果からBMD形態判定を行った。なお、それぞれのサンプルで少なくとも10個以上のBMDを測定し、それによって得られた扁平率をすべて平均することで平均扁平率を求め、それらが1.5を超えるか否かで行った。
(2)BMD対角長および密度:各サンプルに関して、OPP及びTEMを用いて測定することで得た。下記1)と下記2)の方法で得られたBMDの観察結果から、所定の対角長を有するBMDの密度を求めた。なお、所定の対角長を有するBMDの密度は、三箇所の平均値とした。
1)OPPによる測定:アクセント社のOPPを用い、BMDに起因する透過レーザーの位相差を電気的に信号処理したシグナル強度を測定した。その校正曲線は下記の通りである。
八面体形状のBMD対角長(nm)=153×(OPPシグナル)0.43
板状のBMD対角長(nm)=344×(OPPシグナル)0.52
予め、対角長がわかっているBMDをOPPで測定し、シグナル強度とBMDサイズの校正曲線を作成した。この校正曲線を使って、シグナル強度からBMDの対角長を求めた。なお、対角長を求める際は、ゴーストシグナル除去処理(K. Nakai Review of Scientific Instruments, vol. 69 (1998) pp. 3283)を行った。検出感度は、対角長80nm以上のBMDが測定できる感度に設定した。
2)TEMによる測定:測定で得られた顕微鏡像から所定対角長のBMDの密度を求めた。なお、密度は視野内で観察されたBMDの個数と、観察した領域にあたる試料の体積から求めた。
(3)アニールウエハ及びエピタキシャルウエハの格子間酸素濃度
アニールウエハ及びエピタキシャルウエハの格子間酸素濃度は赤外吸収法により測定し、換算係数としてJEITA(電子情報技術産業協会)の値を使用した。
(4)アニールウエハ及びエピタキシャルウエハの窒素濃度
アニールウエハ及びエピタキシャルウエハからサンプルを採取し、表面の窒素外方拡散層を除去するために20μmのポリッシュを行った後、SIMSを用いて窒素濃度を測定した。
(5)アニールウエハ及びエピタキシャルウエハのスリップ長さ、及び反り耐性評価
アニールウエハ及びエピタキシャルウエハに対して、下記(5)−Aを行った後に、(5)−Bを10回繰り返す熱処理(以下、「疑似デバイスプロセス熱処理」とする。)を行った。そして、疑似デバイスプロセス熱処理前、および疑似デバイスプロセス熱処理後のアニールウエハ及びエピタキシャルウエハの反りをNIDEK社製FT−90Aで測定した。また、疑似デバイスプロセス熱処理後のアニールウエハをX線トポグラフで観察し、観察されたスリップの長さのうち最大の長さを代表値とした。
(5)−A:縦型炉を使った熱処理
(I):780℃3時間
(II):さらに、1000℃8時間
なお、挿入、引出は全て700℃で行い、昇降温レートは全て5℃/分、雰囲気は全てアルゴン下で行った。
(5)−B:RTAを使った熱処理
挿入 室温
昇温 50℃/分
保持 1100℃1分
降温 30℃/分
引出 室温
雰囲気 アルゴン
(アニールウエハ及びエピタキシャルウエハの各測定結果並びに評価結果)
表10〜18には、実施例および比較例として、種々の作製条件により作製されたアニールウエハおよびエピタキシャルウエハについて、測定された所定対角長のBMDの密度および格子間酸素濃度と、疑似デバイスプロセス熱処理により発生したスリップと反り量をまとめた。
ここで、表10、表11、表14、表16、表18の比較例7,8のBMD密度(1)は形態が板状で対角長が10nm以上120nm以下のBMD密度であり、BMD密度(2)は形態が板状で対角長が750nm以上のBMD密度、第一熱処理が終わった段階でのBMD密度は形態が板状で対角長が5nm以上のBMD密度である。また、表12、表13、表15、表17、表18の比較例9,10のBMD密度(1)は形態が八面体形状で対角長が10nm以上50nm以下のBMD密度であり、BMD密度(2)は形態が板状で対角長が750nm以上のBMD密度、第一熱処理が終わった段階でのBMD密度は形態が板状で対角長が5nm以上のBMD密度である。また、実施例2、4では、BMD対角長はすべて30nm以上であり、実施例29,31では、BMD対角長は全て20nm以上であった。
なお、ウエハのスリップおよび反り評価前の反り量は、すべて10μm以下であった。また、窒素添加されたアニールウエハ及びエピタキシャルウエハの窒素濃度は、asgrownで測定された窒素濃度と変わらなかった。
これらの結果より、シリコンウエハの伝導型に関係なく、いずれの径のアニールウエハ及びエピタキシャルウエハでも、板状のBMD密度(1)が1×1011/cm以上となり、かつ、板状のBMD密度(2)が1×10/cm以下になるか、あるいは八面体のBMD密度(1)が5×1011/cm以上となり、かつ、板状のBMD密度(2)が1×10/cm以下になることで、スリップの長さが10mm以下になり、反り量が20μm以下に抑えられていることがわかる。この傾向は、第一熱処理と第二熱処理を連続して行う場合、あるいは第一熱処理が終わった後、サブストレートを室温まで冷却してから、第二熱処理を行う分割熱処理の場合、いずれも同じであった。
更に、板状のBMD密度(1)が5×1011/cm以上になるか、八面体形状のBMD密度(1)が1×1012/cm以上になると、スリップがさらに小さく(5mm以下)なった。また、板状のBMD密度(1)が1×1011/cm以上であり、かつ全てのBMDが30nm以上になるか、八面体形状のBMD密度(1)が5×1011/cm以上であり、かつ全てのBMDが20nm以上になると、スリップがさらに小さく(5mm以下)なった。
また、板状のBMD密度(2)が同じでも、サブストレートに窒素を添加することで、反りが15μm以下となった。
さらに、比較例より、板状のBMD密度(1)が1×1011/cm未満、あるいは八面体のBMD密度(1)が5×1011/cm未満となる場合、スリップは10mmを越える結果となった。このシリコンウエハは、第一熱処理が終わった段階、および分割熱処理の場合は第二熱処理の1000℃で炉から取り出した段階で、5nm以上のBMD密度が1×1011/cm未満、あるいは5×1011/cm未満であった。
また、板状のBMD密度(2)が1×10/cmを越える場合は、反りが20μmを越えた。このシリコンウエハは、第一熱処理が終わった段階で、格子間酸素濃度が5×1017atoms/cmを越えていた。このシリコンウエハは、第一熱処理が終わった段階、および分割熱処理の場合は第二熱処理の1000℃で取り出した段階で、格子間酸素濃度が5×1017atoms/cm3を超えていた。
また、本実施例における熱処理条件では、板状のBMD密度(1)が1×1011/cm以上となり、かつ、板状のBMD密度(2)が1×10/cm以下、あるいは八面体のBMD密度(1)が5×1011/cm以上となり、かつ、板状のBMD密度(2)が1×10/cm以下の場合も、格子間酸素濃度が5×1017atoms/cmを越えると、反りが20μmを越える結果となった。
また、本実施例では、格子間酸素の析出を伴うスリップ、反り耐性評価試験を行ったため、格子間酸素濃度が低減されていない場合の本発明に係るシリコンウエハにおいて、スリップおよび反り抑制の効果が顕著ではないが、熱処理が格子間酸素の析出をあまり伴わない熱処理(たとえば、比較的低温、短時間の熱処理)である場合には、格子間酸素濃度の低減がされていない本発明のシリコンウエハでも、スリップおよび反りの発生が著しく抑えることが可能である。
図1は、RTA熱処理で導入されるスリップと反りを説明する図である。 図2は、八面体形状のBMDと板状BMDの区別を示す模式図である。

Claims (8)

  1. BMDの形態が板状であるシリコンウエハであって、
    該シリコンウエハの表面から深さ50μm以上の位置に存在しているBMDのうち、
    対角長が10nm以上120nm以下のBMDが1×1011/cm以上であり、
    対角長が750nm以上のBMDが1×10/cm以下であり、
    且つ、格子間酸素濃度が5×1017atoms/cm以下であることを特徴とするシリコンウエハ。
  2. 板状、および八面体形状のBMDが混在しているシリコンウエハであって、
    該シリコンウエハの表面から深さ50μm以上の位置に存在しているBMDのうち、
    形態が八面体で対角長が10nm以上50nm以下であるBMDが5×1011/cm以上であり、
    形態が板状で対角長が750nm以上であるBMDが1×10/cm以下であり、
    且つ、格子間酸素濃度が5×1017atoms/cm以下であることを特徴とするシリコンウエハ。
  3. 請求項1記載のシリコンウエハの製造方法であって、
    サブストレートに、
    (A)600℃以上750℃以下の温度範囲、10分以上10時間以下の所要時間で熱処理を行う低温熱処理工程と
    (B)さらに、1000℃までの昇温処理を、0.1℃/分以上1℃/分以下の昇温速度、5時間以上50時間以下の所要時間で行う昇温工程と、
    (C)さらに、1000℃以上1250℃以下の温度範囲で、かつ、格子間酸素の拡散長が20μm以上30μm未満となるように熱処理を行う高温熱処理工程と、
    を含む熱処理を行うことを特徴とする、製造方法。
  4. 請求項1記載のシリコンウエハの製造方法であって、
    サブストレートに、
    (A)600℃以上750℃以下の温度範囲、10分以上10時間以下の所要時間で熱処理を行う低温熱処理工程と、
    (B)さらに800℃までの昇温処理を、0.1℃/分以上1℃/分以下の昇温速度、1時間以上20時間以下の所要時間で行う昇温工程と、
    (C)昇温工程の後、1℃/分以上10℃/分以下の降温速度で炉の温度を下げ、当該炉の温度が600℃以上800℃以下のときにサブストレートを炉外に取り出してサブストレートを室温まで冷却する降温・取出工程と、
    (D)降温・取出工程の後、炉の温度を600℃以上800℃以下にして当該炉内にサブストレートを挿入して、当該炉の温度を1000℃まで1℃/分以上10℃/分以下の昇温速度で昇温させた後、1000℃以上1250℃以下の温度範囲で、かつ、格子間酸素の拡散長が20μm以上30μm未満となるように熱処理を行う高温熱処理工程と、
    を含む熱処理を行うことを特徴とする、製造方法。
  5. 請求項2記載のシリコンウエハの製造方法であって、
    サブストレートに、
    (A)600℃以上750℃以下の温度範囲、30分以上10時間以下の所要時間で熱処理を行う低温熱処理工程と
    (B)さらに、1000℃までの昇温処理を、0.1℃/分以上1℃/分以下の昇温速度、5時間以上50時間以下の所要時間で行う昇温工程と、
    (C)さらに、1000℃以上1250℃以下の温度範囲で、かつ、格子間酸素の拡散長が30μm以上50μm以下となるように熱処理を行う高温熱処理工程と、
    を含む熱処理を行うことを特徴とする、製造方法。
  6. 請求項2記載のシリコンウエハの製造方法であって、
    サブストレートに、
    (A)600℃以上750℃以下の温度範囲、30分以上10時間以下の所要時間で熱処理を行う低温熱処理工程と、
    (B)さらに800℃までの昇温処理を、0.1℃/分以上1℃/分以下の昇温速度、1時間以上20時間以下の所要時間で行う昇温工程と、
    (C)昇温工程の後、1℃/分以上10℃/分以下の降温速度で炉の温度を下げ、当該炉の温度が600℃以上800℃以下のときにサブストレートを炉外に取り出してサブストレートを室温まで冷却する降温・取出工程と、
    (D)降温・取出工程の後、炉の温度を600℃以上800℃以下にして当該炉内にサブストレートを挿入して、当該炉の温度を1000℃まで1℃/分以上10℃/分以下の昇温速度で昇温させた後、1000℃以上1250℃以下の温度範囲で、かつ、格子間酸素の拡散長が30μm以上50μm以下となるように熱処理を行う高温熱処理工程と、
    を含む熱処理を行うことを特徴とする、製造方法。
  7. 前記サブストレートの窒素濃度が、5×1014atoms/cm以上1×1016atoms/cm以下であることを特徴とする請求項3〜6のいずれか一項に記載のシリコンウエハの製造方法。
  8. 前記サブストレートの炭素濃度が、2×1015atoms/cm以上3×1016atoms/cm以下であることを特徴とする請求項3〜7のいずれか一項に記載のシリコンウエハの製造方法。
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