JP2008164375A - 電気機器における漏洩電流測定装置及び漏洩電流測定方法 - Google Patents

電気機器における漏洩電流測定装置及び漏洩電流測定方法 Download PDF

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実紀雄 森光
Yasumasa Kondo
康正 近藤
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晋一 中山
Tatsuhiko Komiya
龍彦 小宮
Kenji Oka
憲児 岡
Ryoichi Yano
良一 矢野
Katsuji Takeya
勝次 武谷
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Abstract

【課題】3相4線、又は3相3線式の配電方式配電回路の対地静電容量を通じて流れる各相別及び合計の電流Igc、アンバランス状態に起因する誤差を含まない漏れ電流Igr及び漏れ電流Igrが増大している相の判定を行うことのできる漏洩電流測定装置を提供する。
【解決手段】漏洩電流測定装置は、スイッチング電源2の出力端子3から測定ケーブル11を介して3相電源電圧を計測器17に入力し、かつ給電ケーブル4から零相変流器8を介して零相電流Ioを計測器17に入力する。スイッチング電源2からの電流を測定電流Icとして測定する測定コンデンサ10、分流抵抗器12、対地電圧Eを検出する分圧抵抗器13を備え、これら測定された電圧、電流により信号処理部14及び演算部15にて、対地静電容量及び漏洩抵抗に流れる電流(Igc、Igr)を各々算出して絶縁抵抗(Gr)を求め、結果を表示する表示部16を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、インバータ等のスイッチング電源で駆動される電動機を有する電気機器の電圧印加部分から接地部分へ流れる漏洩電流を測定する電気機器における漏洩電流測定装置及び漏洩電流測定方法に関する。
電気の利用は、便利な反面、適切な管理や使用を誤れば、大変危険な側面も兼ね備えており、電気火災や感電事故等の重大な事故を引き起こす可能性も少なくない。例えば、その重大事故の原因の一つとして、電路や電気機器の絶縁不良がある。電路及び電気機器の絶縁状態を調べる方法として、被測定電路及び電気機器を停電させて、絶縁抵抗計で測定する方法が従来の標準であった。
しかし、近年のように、停電が許されない配電線や連続操業の工場等には適用が制限される等の欠点がある。つまり、現在の社会状況では、コンピュータが社会の各方面に利用され、インテリジェントビルの普及拡大及び工場のFA(ファクトリー・オートメーション)化により、24時間連続稼動するシステムが構築されており、絶縁状態を調べるために、一時的に停電状態にすることができない状況となっている。
特に、インバータなどのスイッチング電源で駆動される電動機を有する電気機器における漏洩電流の測定については、電子回路で構成されるスイッチング電源を絶縁抵抗測定時の高電圧から保護するため電動機のみを切り離して測定する必要があり、停電手続やその結線の開放、再接続などに多くの手間と時間とを必要としている。これにより、連続操業の工場等ではラインの停止時間が制限されるので、絶縁抵抗計の適用が制限される等の欠点がある。
したがって、現在では、このような高度情報化による社会の無停電化の要請から、電路及び電気機器の絶縁不良管理が停電を伴う絶縁抵抗計による方法から、電気を切ることなく測定できる漏洩電流測定方法に移ってきた。漏電遮断器や漏電火災警報機等により漏洩電流を測定して絶縁状態を管理する通電中の予防策は種々提案されている。
通電状態のまま電路及び電気機器の絶縁状態を調べる方法として、特許文献1、特許文献2等に開示されているように、零相変流器によって検出する、電路及び電気機器の充電部分から接地部分への漏れ電流、すなわち零相電流Ioを検知する方法が一般的に行われている。漏れ電流Ioは、電路及び電気機器の充電部分と接地部分間の絶縁抵抗を通じて流れる漏れ電流Igrと、この絶縁部分に通常存在する対地静電容量を通じて流れる漏れ電流Igcとのベクトル和で構成されている。
インバータ等のスイッチング電源によって駆動される電動機を有する電気機器にあって、その電動機は運転周波数(以下、基本周波数という)及び電圧が絶えず変化し、漏れ電流に直接関係する対地電圧そのものも変化する。また、電動機の対地絶縁抵抗測定時の電流Igrは1mA以下が多く、以上述べた条件のもとでは、測定そのものが極めて困難である。
他の方式である200V3相3線のうちの1線を接地する配電方式の測定方法は、零相電流Ioと線間電圧との間の位相差を測定し、この値から漏洩電流Igrの値を算出する。スイッチング電源より商用周波数電源側の配電系統の計測は可能であるが、周波数が変化し対地電圧も変化するスイッチング電源側で駆動される電動機の計測は困難である。特殊な回路をつけ加えて漏洩電流Igrを計測する方法も同様で、スイッチング電源の故障の原因になり、精密な制御を行っている電動機の運転に悪影響を及ぼす。
特開平3−179271号公報 特開2002−125313号公報
本発明は、通電状態のまま電気機器が有する電動機の絶縁抵抗を通じて流れる漏れ電流Igr、特にスイッチング電源で駆動される電動機を有する電気機器の対地絶縁抵抗を通じて流れる漏れ電流Igrを運転状態のままで検出することができる電気機器における漏洩電流測定装置及び漏洩電流測定方法の提供を目的とする。
本発明に係る電気機器における漏洩電流測定装置は、上述の課題を解決するため、測定電流測定手段が電気機器を駆動するスイッチング電源に接続された測定回路を流れる測定電流を測定し、零相電流測定手段が上記スイッチング電源の相電源電圧から電気機器で用いる電動機の零相電流を測定し、信号処理手段が測定電流測定手段により測定した測定電流と零相電流測定手段により測定した零相電流をベクトル的に加算してベクトル加算電流を算出し、演算手段が信号処理手段により算出したベクトル加算電流と、測定電流と、零相電流という3つの電流値から上記電気機器の対地絶縁抵抗に流れる漏れ電流を演算する。
本発明に係る電気機器における漏洩電流測定方法では、上記課題を解決するために、測定電流測定工程が電気機器を駆動するスイッチング電源から測定電流を測定し、零相電流測定工程がスイッチング電源の相電源電圧から電気機器で用いる電動機の零相電流を測定し、信号処理工程が測定電流測定工程により測定した測定電流と零相電流測定工程により測定した零相電流をベクトル的に加算してベクトル加算電流を算出し、演算工程が上記信号処理工程により算出したベクトル加算電流と、測定電流と、零相電流という3つの電流値から電気機器の対地絶縁抵抗に流れる漏れ電流を演算する。
スイッチング電源が発生する3相電圧は、スイッチング電源装置の中で発生する直流電圧部分の+−電位の中央電位である0電位に対して、発生周波数である基本周波数に対しては120度の位相差で大きさが等しい3つの相電圧(以下、この電源を3相電源電圧と称する)を持っている。前記0電位点の対地電圧(以下、対地0電位電圧と称する)は、配電線の接地方式によって異なる値を示す。従ってスイッチング電源出力端子の対地電圧は3相電源電圧と対地0電位電圧を合成したものになるので、電圧値としては、3相電源相電圧値と、対地0電位電圧の値との和と差の値の間を各相別に変動している。また、スイッチング電源の電圧電流波形は直流電圧を裁断した方形波を組み合わせた構成のため、基本周波数より周波数が多い高調波成分を多く含んでいる。
スイッチング電源基本周波数の対地電圧は、前述のように3相電源電圧と対地0電位電圧との合成値であるのでこの2つの電源電圧別に検討し、重畳の理によって後で加え合わせる方法で説明を行う。電動機で、電圧が加わる巻線部分と鉄心を含むフレーム部分との間には対地静電容量が存在する。この対地静電容量は、3相電源電圧に対してほとんど同じ静電容量の値を示すので、基本周波数である3相電源電圧を対地静電容量に加えると、各相の対地静電容量を流れる電流は大きさ同じで位相差が120度になり、3相分を合計した電流値は0になる。一方、対地0電位電圧に対して、各相の対地静電容量を流れる電流は同方向となり合計値となる。絶縁劣化の結果、対地絶縁抵抗に流れる電流Igrが発生すれば、この電流と前述の対地静電容量を流れる電流Igcの合計との合成値が漏れ電流Ioとして計測される。
本発明では、前述の基本周波数による計測に併せて、3相電源電圧及び対地0電位電圧に含まれる3次高調波電圧を用いて計測を行う。基本周波数では3相電源相電圧間の位相角は120度であるが、3次高調波相電圧では3倍の周波数であり、位相角120度は3倍の360度同位相になり、3相電源電圧各端子には同じ位相で同じ大きさの3次高調波電圧が存在し、対地0電位電圧も同様に3次高調波電圧が存在するので、3相電源電圧と対地0電位電圧の両電圧の合成値がスイッチング電源の対地発生3次高調波電圧となる。
本発明は基本周波数電圧単独でも、3次高調波相電圧単独でも、または両者の混在でも可能な測定方法で、測定用としてスイッチング電源発生電圧端子各相に、同容量のコンデンサを星形に接続し、その中性点を接地したときに流れる測定電流と電動機の零相電流とを同時に計測して、この両電流をベクトル的に加算した合流電流と共に、3つの電流値から短時間で対地絶縁抵抗電流Igrを算出する。この方法は、対地電圧、周波数の変動に対しては同じように変動する数値同士を比較するので、変動の影響を少なくすることができる。また、短時間で結果を出力することができるので、変動途中での数値の把握も可能である。
また、本発明の漏洩電流測定装置及び方法はスイッチング電源駆動の電動機のみならず、3相の対地電圧がほぼ等しい400V級3相4線式配電方式にも適用可能である。この方式は国外の標準であり国内でも採用が増加しているにもかかわらず、対地静電容量が3相不ぞろいの場合Igr測定の適切な方法がなかった。この配電方式は、対地0電位電圧がほぼ0であるが3次高調波電圧による測定がそのまま適用されるので計測が可能である。
本発明によれば、スイッチ電源で駆動される電気機器を稼動状態のままでも、漏洩電流Igrの値を測定できるので、絶縁劣化の程度を常時監視可能で、絶縁劣化が進行して発生する地絡故障を未然に防止することができる。また、設備全体の信頼性を著しく向上させることができる。また、法律等の規則において要求されている定期点検作業でも、停電させ、結線を開放し、その後再結線等を行う手間と時間、費用の大幅な節減が可能になる。
以下、本発明の電気機器における漏洩電流測定装置及び漏洩電流測定方法の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
まず、図1はスイッチング電源で駆動される電動機を有する電気機器の漏洩電流Igr測定に本発明を適用したときの構成を示す概略系統図である。
図1において、配電3相電源1は、配電線の1本又は中性点等が接地され、インバータ等のスイッチング電源2に接続されている。スイッチング電源2の3出力端子U、V、Wからは、基本周波数が0Hzから120Hz程度まで変化する3相電源電圧が給電ケーブル4を経由して電動機5に供給されている。
電動機5では、電圧が加わる巻線部分と接地されている鉄心を含むフレーム部分との間に対地静電容量6が存在する。また、対地漏洩抵抗7も存在する。
図1に示す概略系統図において、漏洩電流測定装置は、スイッチング電源2の出力端子3から測定ケーブル11を介して3相電源電圧を計測器17に入力し、かつ給電ケーブル4から零相変流器8を介して零相電流Ioを計測器17に入力して、電動機の漏洩電流Igrを測定する。
計測器17は、スイッチング電源2からの電流を測定電流Icとして測定する測定コンデンサ10と、この測定電流Icを電圧値に変換する分流抵抗器12と、3相電源電圧のうちの対地電圧Eを検出する分圧抵抗器13と、零相変流器8が給電ケーブル4から電動機5の零相電流として検出した零相電流Ioと、上記測定電流Icと対地電圧Eとを信号処理する信号処理部14と、信号処理部14からの信号処理によって得られた測定電流Icの実効値、零相電流Ioの実効値、対地電圧Eの実効値及びベクトル加算電流Iの実効値に基づいて上記電動機の漏洩電流Igrを演算する演算部15と、演算部15によって演算された漏洩電流Igrを表示する表示部16とを備えている。
すなわち、図1に示す構成図において、漏洩電流測定装置の計測器17では、測定コンデンサ10を経由した測定電流Icを分流抵抗器12により電圧値にして信号処理部14に入力する。また、分圧抵抗器13によって検出された対地電圧Eも信号処理部14に入力する。さらに、零相変流器8によって検出された零相電流Ioも信号処理部14に入力する。演算部15は、信号処理部14からの信号処理によって得られた測定電流Icの実効値、零相電流Ioの実効値、対地電圧Eの実効値及びベクトル加算電流Iの実効値に基づいて電動機5の漏洩電流Igrを演算する。表示部16は、演算部15によって演算された漏洩電流Igrを表示する。
図2は、図1の概略系統図と漏洩電流測定装置の等価回路である。配電電源1とスイッチング電源2をまとめた電圧源19はEu,Ev,Ewの3相電源電圧とEoの対地0電位電圧とを図のように組み合わせた回路と等価である。零相電流Ioは零相変流器8によって検出され、計測器17に供給される。また、測定コンデンサ10が検出した測定電流Icは分流抵抗器12によって図のように信号処理部14に供給される。
3相電源電圧Eu,Ev,Ewと対地0電位電圧Eoとは重畳されて対地出力電圧となるが、この電圧値は一定せず、スイッチング電源の特性から、比較的長い周期で各相別に周期的に変動する。この現象も従来の測定方法での測定を困難なものにしているが、本発明では変化する測定値のある瞬間の値を最適のタイミングで検出する。
配線(給電ケーブル)4及び電動機5にはそれぞれの相に対地静電容量(C、C及びC)6が存在し、これに漏れ電流Igcが流れる。これら各相の対地静電容量6の値はほぼ等しく、スイッチング電源2が発生する3相電源電圧による各相の漏れ電流Igcの合計は0になるが3次高調波相電圧に起因する漏れ電流Igcは3相分が合計され、これに対地0電位電圧に起因する電流が重畳される。
零相変流器8は、給電ケーブル4を囲み電動機5の漏洩電流を零相電流Ioの値として計測器17へ出力する。電動機巻線等と接地された鉄心を含むフレーム部分間で絶縁が劣化すれば対地漏洩抵抗(r)7を通じて漏洩電流Igrが流れるので、この電流も対地静電容量6の漏れ電流Igcにベクトル的に加算されて上記零相電流Ioになる。
図1において、測定コンデンサ10は、同じ静電容量のコンデンサCを3個星形に結線したもので、その中性点Mは分流抵抗器12を経由して接地される。他の3個の端子は、測定ケーブル11を経て出力端子3のU、V、W相に接続される。測定コンデンサ10のコンデンサCにスイッチング電源基本周波数の3相電源電圧を印加すれば、それらの電流の合計は0になるが、これに対地0電位電圧による電流が重畳され、測定コンデンサ10の中性点Mから接地点へ測定電流Icが流れる。
測定コンデンサ10の端子U,V,W及び対地静電容量6に加わる3相電源電圧は、基本周波数に対しては120度の位相差があり、同じ大きさなので3相のコンデンサ電流の合計は0であった。これに対して、基本周波数の3倍の周波数である3次高調波ではこの位相差が120度の3倍の360度同位相になり、かつ同じ大きさの電圧がU,V,W端子に加わる。このため、測定コンデンサ10の各コンデンサC及び対地静電容量6の各対地静電容量Cには同じ方向同じ大きさの3次高調波電流が流れ、これに基本周波数及び3次高調波を含む対地0電位電圧による電流が重畳される。
分流抵抗器12は、測定電流Icを電圧値にして信号処理部14に入力させる。分流抵抗12の抵抗値を測定コンデンサ10のリアクタンス値より十分小さくして測定電流Icの位相を電圧位相より殆ど90度進めたものにする。
上記測定電流Icと、零相変流器8より出力される電動機5の零相電流Ioとは信号処理部14でベクトル的に加算され、ベクトル電流Iとなる。出力端子3の対地電圧変動に対しては、これらの零相電流Io、測定電流Ic、ベクトル電流Iは、同時に変動する。出力端子3の対地電圧に起因する対地静電容量6へ流入する合計電流Igcと、漏洩抵抗7へ流入する漏洩電流Igrの関係も併せて記入したベクトル図を図3に示す。
図3のベクトル図から各電流の値であるI、Io、Icを3辺とする3角形及びIo、Igr、Igcを3辺とする直角3角形について式(1)、(2)を立てて解けば次の解(3)を得る。
Igc=0.5(I32−Io−Ic)÷Ic ・・・(1)
Igr=(Io−Igc0.5 ・・・(2)
Igr=0.5{(I+Io+Ic)(I+Io−Ic)(I−Io+Ic)
(Io+Ic−I)}0.5/Ic ・・・(3)
IcをIoの5倍以上に選んで、Icの値をIの値とほぼ同じとすると、次の式(4)のように、Igrを{2Io(Io+Ic−I)}0.5とする近似式(4)で表される。
Igr={2Io(Io+Ic−I)}0.5 ・・・(4)
スイッチング電源3相電源電圧をE、電動機5の対地絶縁抵抗7を流れる電流をIgrとすると絶縁抵抗Gr=E÷Igrとして求めることができる。
次に、図1における信号処理部14の詳細について図4を参照して説明する。図4は信号処理部14の具体的構成を示す図である。信号処理部14は、零相電流Ioを検出するIo検出器20と、増幅器21と、フィルタ22と、実効値変換器23と、ベクトル加算器24と、実効値変換器25と、Ic検出器27と、増幅器28と、フィルタ29と、実効値変換器30と、電圧検出器31と、増幅器32と、フィルタ33と、実効値変換器34とを備える。
Io検出器20は給電ケーブル4から電動機5の漏洩電流の合計である零相電流つまり漏洩電流Ioを零相変流器8を通じて取り込む。増幅器21は、Io検出器20が検出した漏洩電流Ioを適量まで増幅する。フィルタ22は、増幅器21で増幅した漏洩電流Ioの3次高調波を超える周波数を減衰させる。実効値変換器23は、フィルタ22でフィルタリングされた漏洩電流Ioの交流電流波形を両波整流して実効値に比例したアナログ値に変換し、演算部15へ入力する。
同様に、Ic検出器27は測定コンデンサ10から分流抵抗器12を経由して接地点へ流れる測定電流Icを分流抵抗器12によって取り込む。増幅器28は、Ic検出器27で検出された測定電流Icを適量まで増幅する。フィルタ29は、増幅器28で増幅された測定電流Icの3次高調波を超える周波数を減衰させる。実効値変換器30は、フィルタ29でフィルタリングされた測定電流Icを両波整流して実効値に比例したアナログ値に変換し、演算部15へ入力する。またこのアナログ値は電圧源19の中の対地0電位電圧Eoに比例するので計算のためのデータとして演算部15に取り込まれる。
ベクトル加算器24は、前記漏洩電流Ioと測定電流Icとを交流波形のまま合成するベクトル加算を行い合流電流Iとして出力する。実効値変換器25はベクトル加算器24からのベクトル加算電流Iを実効値にして演算部15へ入力する。ベクトル加算器の24の代わりに給電ケーブル4及び測定ケーブル11を一括した零相変流器1個を追加して合流電流Iの形で検出し、増幅後フィルタを経由して実効値変換して演算部15へ入力してもよい。
電圧検出器31は、スイッチング電源2の出力端子3のU、V、Wのいずれかの相の対地電圧を分圧して取り込む。増幅器32は、電圧検出器31が検出したいずれかの相の対地電圧を適量まで増幅する。フィルタ33は、増幅器32で増幅されたいずれかの相の対地電圧の3次高調波を超える周波数を減衰させる。実効値変換器34は、フィルタ33でフィルタリングされた上記W相の対地電圧を両波整流して実効値に比例したアナログ値に変換し、演算部15へ入力する。
演算部15では、実効値変換器23,25及び30から出力された電流Io、Ic、Iの値を前記Igrの算定式(3)に従って加減算、乗算、開平してIgrの値を算出する。
また、Igr算定の近似式(4)を用いると計算が簡略化され、計算時間も短縮される。また絶縁抵抗Grの値は実効値変換器34で出力された値から計算された電圧値EをIgr値で除することで求めることができる。
また、演算部15では、電流Io、Icの値、及び上記電流Ioと電流Icとをベクトル的に加算してなるベクトル加算電流I3の値を、式Io+Ic−Iに代入した値、のうち一つが或る値に達した時点で、それらの値から上記(3)又は(4)式によって漏れ電流Igrの値を算出してもよい。
このように、図1に構成を示した漏洩電流測定装置によれば、通電状態のまま電気機器が有する電動機の絶縁抵抗を通じて流れる漏れ電流Igr、特にスイッチング電源で駆動される電動機を有する電気機器の対地絶縁抵抗を通じて流れる漏れ電流Igrを運転状態のままで検出することができる。
本発明では、信号処理部14で使用するフィルタ22及び29の特性を可能な限り一致させることが望ましく、また変化する電流を同時に入力する必要があるので、時間遅れ要素等の特性も一致させる必要がある。これら変化する値を最適時点で、例えばある値が最大時点での値を入力し、その時点の値からIgrを算出する方法としている。
また、図5に示すように、漏洩電流測定装置は、配電ケーブル4の各線路に遮断器9(CB,CB,CB)を設け、演算部15の演算の結果により、各遮断器CB,CB,CBの遮断を制御する構成としてもよい。演算部15は、演算した上記漏れ電流Igrの値が所定の値を超えたときに遮断器9を用いて各線路を遮断する。このため、スイッチング電源により駆動される電動機を有する電気機器は、対地絶縁抵抗に流れてしまった漏れ電流が所定の値より大きくなったときに、速やかに異常がある線路を遮断することができ、過大な漏洩電流による事故を未然に防止できる。
また、図5に示すように、漏洩電流測定装置は、演算部15によって演算された上記漏れ電流の値が所定の値を超えたときに音や光による警報を発する警報器18をさらに備えてもよい。このため、スイッチング電源により駆動される電動機を有する電気機器は、対地絶縁抵抗に流れてしまった漏れ電流が所定の値より大きくなったときに、速やかに異常があることを警報器18により告知することができ、過大な漏洩電流による事故を未然に防止できる。
図1及び図5を参照して説明した漏洩電流測定装置は、本発明の漏洩電流測定方法を実行している。すなわち、測定コンデンサ10は、電気機器を駆動するスイッチング電源から測定電流を測定する測定電流の測定ステップを行う。また、零相変流器9は、スイッチング電源の相電源電圧から電気機器で用いる電動機の零相電流を測定する零相電流測定ステップを行う。また、計測器17の信号処理部14は、測定電流の測定ステップにより測定コンデンサ10が測定した測定電流Icと零相電流測定ステップにより零相変流器8が測定した零相電流Ioをベクトル的に加算してベクトル加算電流Iを算出する。演算部15は、信号処理部14が信号処理ステップを行って算出したベクトル加算電流Iと、測定電流Icと、零相電流Ioという3つの電流値から電気機器の対地絶縁抵抗rに流れる漏れ電流Igrを演算する演算ステップを行う。
本発明に係る漏洩電流測定装置は、スイッチング電源で駆動される電動機だけでなく、3相の対地電圧がほぼ等しい配電線路、例えば海外の標準方式で国内でも多く使われている400V級3相4線式配電系統や電気機器の絶縁測定にも応用できる。
配電系統や電気機器においては、電気災害の予防の観点から絶縁測定が要求されている。従来は停電して測定していたが、近年は停電が制限され、特にインバータなどのスイッチング電源で駆動される電動機は、ロボットや自動機械その他の機械設備に多数使用され、その停止は生産の停止につながる。本発明は、これまでできなかったこれらの機器、及び400V級3相4線式配電系統や電気機器の絶縁状態を停電なしに測定することができ、連続的な監視による予防保全も実施できる。これらスイッチング電源駆動機器及び3相4線式配電系統の実用件数は年々増加しており、かつこれらの設備に対する信頼性確保の要求もレベルアップし、これら分野での使用が可能である。
スイッチング電源で駆動される電動機の漏洩電流Igr測定に本発明を適用したときの構成を示す概略系統及び漏洩電流測定装置の構成図である。 図1の概略系統図と漏洩電流測定装置の等価回路である。 零相電流Io、測定電流Ic、ベクトル電流I、漏洩合計電流Igc、漏洩電流Igrの関係を表すベクトル図である。 漏洩電流測定装置の信号処理部の詳細な構成図である。 遮断器と警報器を制御する構成の漏洩電流測定装置の構成図である。
符号の説明
1 配電電源、2 スイッチング電源、3 出力端子、4 給電ケーブル、5 電動機、6 対地静電容量、7 対地漏洩抵抗、8 零相変流器、10 測定コンデンサ、11 測定ケーブル、12 分流抵抗器、13 分圧抵抗器、14 信号処理部、15 演算部、16 表示部、17 計測器

Claims (8)

  1. 電気機器を駆動するスイッチング電源に接続された測定回路を流れる測定電流を測定する測定電流測定手段と、
    上記スイッチング電源の相電源電圧から電気機器で用いる電動機の零相電流を測定する零相電流測定手段と、
    上記測定電流測定手段により測定した上記測定電流電流と上記零相電流測定手段により測定した上記零相電流をベクトル的に加算してベクトル加算電流を算出する信号処理手段と、
    上記信号処理手段により算出したベクトル加算電流と、上記測定電流と、上記零相電流という3つの電流値から上記電気機器の対地絶縁抵抗に流れる漏れ電流を演算する演算手段と
    を備えることを特徴とする電気機器における漏洩電流測定装置。
  2. 上記演算手段は、上記ベクトル加算電流Iと、上記測定電流Icと、上記零相電流Ioという3つの電流値を用い、以下の式から対地絶縁抵抗に起因する漏れ電流Igrを演算することを特徴とする請求項1記載の漏洩電流測定装置。
    Igr=0.5{(I+Io+Ic)(I+Io−Ic)(I−Io+Ic)
    (Io+Ic−I)}0.5/Ic
  3. 上記演算手段は、上記ベクトル加算電流Iと、上記測定電流Icと、上記零相電流Ioという3つの電流値を用い、以下の近似式から対地絶縁抵抗に起因する漏れ電流Igrを演算することを特徴とする請求項1記載の漏洩電流測定装置。
    Igr={2Io(Io+Ic−I)}0.5
  4. 上記演算手段は、上記測定電流と上記零相電流をベクトル的に加算したベクトル加算電流を用いる代わりに、上記零相電流及び上記測定電流が流れる電路を零相変流器で一括測定した電流値を上記Iとし、上記測定電流Icと上記零相電流Ioと共に用いて上記対地絶縁抵抗に起因する漏れ電流Igrを演算することを特徴とする請求項2又は3記載の漏洩電流測定装置。
  5. 上記演算手段によって演算された上記漏れ電流の値が所定の値を超えたときに警報を発する警報手段をさらに備えることを特徴とする請求項1、2、3、4のいずれ1に記載の漏洩電流測定装置。
  6. 上記演算手段によって演算された上記漏れ電流の値が所定の値を超えたときに電路を遮断する遮断手段をさらに備えることを特徴とする請求項1、2、3、4、5のいずれか1に記載の漏洩電流測定装置。
  7. 上記信号処理手段は、上記ベクトル加算電流を算出すると共に、上記測定電流値、上記零相電流値及び上記スイッチング電源の対地電圧値を実効値に変換することを特徴とする請求項1記載の漏洩電流測定装置。
  8. 電気機器を駆動するスイッチング電源から測定電流を測定する測定電流測定工程と、
    上記スイッチング電源の相電源電圧から電気機器で用いる電動機の零相電流を測定する零相電流測定工程と、
    上記測定電流測定工程により測定した上記測定電流と上記零相電流測定工程により測定した上記零相電流をベクトル的に加算してベクトル加算電流を算出する信号処理工程と、
    上記信号処理工程により算出したベクトル加算電流と、上記測定電流と、上記零相電流という3つの電流値から上記電気機器の対地絶縁抵抗に流れる漏れ電流を演算する演算工程と
    を備えることを特徴とする電気機器における漏洩電流測定方法。
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