JP2009145122A - 漏洩電流測定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】400V級の星形配電電源から給電される配電線、この配電線に接続される負荷設備の対地絶縁抵抗を通じて流れる漏洩電流Igrの値を測定する。
【解決手段】切換開閉器10によって順次入力された星形配電電源からの相電圧ER、ES又は線間電圧ETS、ERTと、零相変流器9により配電線4から検出された零相電流I0とを信号処理し、相電圧ER、ES又は線間電圧ETS、ERTのいずれかと零相電流I0との位相差θを計測して出力する信号処理部14と、この信号処理部14において得られた零相電流I0と、相電圧ER、ES又は線間電圧ETS、ERTのいずれかとの位相差θを演算し、この位相差θと、零相電流I0の値と、配電線に順次入力された各相電圧ER、ES又は線間電圧ETS、ERTとから、各相対地絶縁抵抗に流れる合計漏洩電流Igrを演算する。演算部15によって演算された漏洩電流Igrは、表示部16に表示される。
【選択図】 図2
【解決手段】切換開閉器10によって順次入力された星形配電電源からの相電圧ER、ES又は線間電圧ETS、ERTと、零相変流器9により配電線4から検出された零相電流I0とを信号処理し、相電圧ER、ES又は線間電圧ETS、ERTのいずれかと零相電流I0との位相差θを計測して出力する信号処理部14と、この信号処理部14において得られた零相電流I0と、相電圧ER、ES又は線間電圧ETS、ERTのいずれかとの位相差θを演算し、この位相差θと、零相電流I0の値と、配電線に順次入力された各相電圧ER、ES又は線間電圧ETS、ERTとから、各相対地絶縁抵抗に流れる合計漏洩電流Igrを演算する。演算部15によって演算された漏洩電流Igrは、表示部16に表示される。
【選択図】 図2
Description
本発明は、配電線又はその負荷設備としての電気機器の電圧印加部分から接地部分へ流れる漏洩電流を測定する漏洩電流測定装置及びその測定方法に関する。
電気の利用は、便利な反面、適切な管理や使用を誤れば、大変危険な側面も兼ね備えており、電気火災や感電事故等の重大な事故を引き起こす可能性も少なくない。例えば、その重大事故の原因の一つとして、電路や電気機器の絶縁不良がある。電路及び電気機器の絶縁状態を調べる方法として、被測定電路及び電気機器を停電させて、絶縁抵抗計で測定する方法が従来の標準であった。
近年のように、停電が許されない配電線や連続操業の工場等には適用が制限される等の欠点がある。つまり、現在の社会状況では、コンピュータが社会の各方面に利用され、インテリジェントビルの普及拡大及び工場のFA(ファクトリー・オートメーション)化により、24時間連続稼動するシステムが構築されており、絶縁状態を調べるために、一時的に停電状態にすることができない状況となっている。
したがって、現在では、このような高度情報化による社会の無停電化の要請から、電路及び電気機器の絶縁不良管理が停電を伴う絶縁抵抗計による方法から、電気を切ることなく測定できる漏洩電流測定方法が用いられるようになっている。そして、漏電遮断器や漏電火災警報機等により漏洩電流を測定して絶縁状態を管理する通電中の予防策は、種々提案されている。
その一例として、200V三相3線のうちの1線を接地する配電方式の測定方法がある。この測定方法は、電路及び電気機器の電圧印加部分から接地部分への漏れ電流、すなわち、零相電流I0と検知し、この零相電流I0と線間電圧との間の位相差とに基づいて絶縁不良の目安となる電路及び電気機器の電圧印加部分と接地部分間の絶縁抵抗を通じて流れる漏れ電流Igrを算出するようにしたものである。
この方法は、近年大口需要家で採用が増加し、かつ、海外の配電方式の標準となっている変圧器の低圧側三相巻線を星形に結線した電源から給電される400V級三相4線式又は三相3線式配電方式(以下星形配電方式という)の電線路及び機器の絶縁測定には適用できない。別な方法で、配電系統に低周波低電圧を印加して漏洩電流の測定を行うようにした計測器があるが、この装置は重量が大きくコストも高いものとなっている。
また、星形配電方式では、接地線や4本又は3本の配電線を一括して零相変流器によって零相電流I0を測定し、この値を絶縁抵抗を通じて流れる漏れ電流Igrの値として絶縁を監視する方法が行われている。この方法は、電路や電気機器の電圧印加部分と接地部分との間に存在する対地静電容量の値が三相とも同じ(この状態をバランス状態という。)で、ある1一相だけ漏れ電流Igrが存在する際には正常な値を示すが、漏れ電流Igrが二相又は二相間であるいわゆる線間に接続される機器の巻線や回路内部で発生した場合には正確な測定ができない。
星形配電方式は、線間電圧が約480Vから380Vの間で、配電容量及び規模も大きいので、測定現場で電圧のかかった電線の端子を計器に接続する際に感電や誤接続による事故波及等の危険度も大きい。また、計器には接地線も接続する必要があり、測定現場によっては接地箇所の発見が困難で、測定そのものが不能になる。
特開平3−179271号公報
特開2002−125313号公報
本発明は、星形配電方式配電線やそれに接続される電気機器の対地絶縁抵抗を通じて流れる漏れ電流Igrを通電状態のまま安全に誤差を少なく検出することができる漏洩電流測定装置及びその測定方法の提供を目的とする。
本発明に係る漏洩電流測定装置は、上述の課題を解決するため、電圧測定手段が星形配電方式の電源各相の線間電圧又は対地電圧を順次入力測定し、零相電流測定手段が上記電源から配電線やこの配電線に接続された負荷設備としての電気機器を通じて流れる対地漏洩電流である零相電流I0を測定し、信号処理手段が零相電流測定手段により測定した零相電流I0から、電圧測定手段により測定した星形配電方式電源の入力された線間電圧又は対地電圧と同相方向の成分である有効成分及び有効成分と90度の位相差の無効成分とを順次入力された各電圧ごとに算出し、演算手段が信号処理手段により算出された零相電流I0の各電圧に対する有効成分及び無効成分、それに零相電流I0の値と電圧測定手段により入力された電圧若しくは設定された電圧の値から配電線や電気機器の対地絶縁抵抗を通じて流れる漏れ電流Igrを演算する。
本発明に係る電気機器における漏洩電流測定方法は、上記課題を解決するために、電圧測定工程において星形配電電源各相の対地電圧又は線間電圧を順次入力測定し、零相電流測定工程において上記電源から配電線やこの配電線に接続された負荷設備としての電気機器を通じて流れる対地漏洩電流である零相電流I0を測定し、信号処理工程において零相電流測定工程で測定した零相電流I0から、電圧測定工程で測定した星形配電方式の電源が入力された線間電圧又は対地電圧と同相方向の成分である有効成分及び有効成分と90度の位相差の無効成分を順次入力された各電圧ごとに算出し、演算工程において信号処理工程で算出された零相電流I0の各電圧に対する有効成分及び無効成分、それに零相電流の値と電圧測定工程で入力された電圧若しくは設定された電圧の値から配電線や電気機器の対地絶縁抵抗を通じて流れる漏れ電流Igrを演算する。
ところで、本発明が適用される漏洩電流測定装置及び方法が適用される星形配電電源に接続される三相配電線及びこれに接続される負荷設備としての電気機器の電源端子の対地電圧は、120度の位相差で大きさが等しい三相電圧である。
そして、変圧器の低圧側三相巻線を星形に結線した星形配電電源を用いた400V級三相3線式配電系統は、大きな工場やプラント設備の電気機器への電力供給に用いられ、電圧が加わる部分とそれを覆って接地された金属部分又は地面との間に存在する対地静電容量は三相各相に対して通常ほとんど同じ値、つまりバランス状態である。
星形配電電源の電圧をバランス状態の対地静電容量に印加すると、各相の対地静電容量を流れる電流は大きさが同じで位相差が120度になり、三相分を合計した電流値は0になる。
絶縁劣化の結果、対地絶縁抵抗rを通じて流れる漏れ電流Igrが発生すれば、この電流と前述の対地静電容量を流れる電流との合成値が漏れ電流の合計である零相電流I0として計測されるが、前述のように対地静電容量を流れる電流の合成値は0であるので、対地絶縁抵抗rを通じて流れる漏れ電流Igrのみについて検討すればよい。
但し、星形配電電源の電圧に含まれる電源周波数の3倍及びその倍数の周波数を持つ高調波電圧に対して、各相の対地静電容量を流れる電流は大きさが同じで位相差が360度及びその倍数になり、三相分の合計電流値は各相電流値の和になり、対地絶縁抵抗rを通じて流れる漏洩電流Igrの数値に合算される。そこで、零相電流測定手段は、電源周波数を超える周波数成分を除去する手段を備え、あるいは零相電流測定工程においてこれを除去する工程を備える必要がある。
ところで、星形配電方式を採用した電源においては、配電用三相変圧器の低圧側星形巻線の中性点は接地され、三相端子R、S、Tには接地電位である中性点に対して、大きさが等しく、位相が120度ずつ異なる三相電圧ER、ES、ETが発生している。
そして、三相3線式配電方式の三相のうちのT相に対するS相の電圧であるTS相間の線間電圧をETS、R相に対するT相の電圧であるRT相間の線間電圧をERT、S相に対するR相の電圧であるSR相間の線間電圧をESRとすると、これらの電圧及び相電圧ER、ES、ETの関係は、図1に示すベクトル図で表される。
これらの電圧の関係をベクトル記号法で表すと、係数jは90度進みの記号表示なので、三相の各相電圧ER、ES、ETには、下記の式(1)〜(3)に示す関係がある。
ER=jETS/√3 ・・・(1)
ES=jERT/√3 ・・・(2)
ET=jESR/√3 ・・・(3)
そして、TS相間の線間電圧ETSを計測するために電圧を入力するとき、この電圧を基準電圧Eとすると、各線間電圧ETS、ERT、ESRは下記の式(4)〜(6)により示され、相電圧ER、ES、ETは下記の式(7)〜(9)により示される。
ES=jERT/√3 ・・・(2)
ET=jESR/√3 ・・・(3)
そして、TS相間の線間電圧ETSを計測するために電圧を入力するとき、この電圧を基準電圧Eとすると、各線間電圧ETS、ERT、ESRは下記の式(4)〜(6)により示され、相電圧ER、ES、ETは下記の式(7)〜(9)により示される。
ETS=E ・・・(4)
ETR=−0.5E−j0.5√3E ・・・(5)
ESR=−0.5E+j0.5√3E ・・・(6)
ER=jETS/√3=jE/√3 ・・・(7)
ES=jERT/√3=(0.5√3−j0.5)E/√3 ・・・(8)
ET=jESR/√3=(−0.5√3−j0.5)E/√3 ・・・(9)
また、R相、S相、T相と接地部分との間に漏洩抵抗rR、rS、rTが存在するとき、これら漏洩抵抗rR、rS、rTを流れる漏洩電流をそれぞれIgrR、IgrS、IgrTとすると、各漏洩電流IgrR、IgrS、IgrTは、下記の式(10)〜式(12)に示すようになる。
ETR=−0.5E−j0.5√3E ・・・(5)
ESR=−0.5E+j0.5√3E ・・・(6)
ER=jETS/√3=jE/√3 ・・・(7)
ES=jERT/√3=(0.5√3−j0.5)E/√3 ・・・(8)
ET=jESR/√3=(−0.5√3−j0.5)E/√3 ・・・(9)
また、R相、S相、T相と接地部分との間に漏洩抵抗rR、rS、rTが存在するとき、これら漏洩抵抗rR、rS、rTを流れる漏洩電流をそれぞれIgrR、IgrS、IgrTとすると、各漏洩電流IgrR、IgrS、IgrTは、下記の式(10)〜式(12)に示すようになる。
IgrR=ER/rR=j(E/√3)/rR ・・・(10)
IgrS=ES/rS=(0.5√3−j0.5)(E/√3)/rS ・・・(11)
IgrT=ET/rT=(−0.5√3−j0.5)(E/√3)/rT ・・・(12)
そして、零相電流I0は、漏洩抵抗rR、rS、rTを流れる漏洩電流IgrR、IgrS、IgrTの合計値(I0=IgrR+IgrS+IgrT)であり、ここで、gR=1/rR、gS=1/rS、gT=1/rTとおくと、零相電流I0は、下記の式(13)のように示すことができる。
I0=0.5√3(gS−gT)E/√3+j(gR−0.5gS−0.5gT)E/√3
・・・(13)
そして、電圧値E/√3は、相電圧ER、ES、ETの値であるので、零相電流I0は、下記の式(14)に示すようになる。
I0=0.5√3(IgrS−IgrT)+j(IgrR−0.5IgrS−0.5IgrT)
・・・(14)
さらに、線間電圧ETS入力時の零相電流I0の有効成分をAd、無効成分をBdとすると、有効成分Adは下記の式(15)により示され、無効成分Bdは下記の式(16)により示される。
IgrS=ES/rS=(0.5√3−j0.5)(E/√3)/rS ・・・(11)
IgrT=ET/rT=(−0.5√3−j0.5)(E/√3)/rT ・・・(12)
そして、零相電流I0は、漏洩抵抗rR、rS、rTを流れる漏洩電流IgrR、IgrS、IgrTの合計値(I0=IgrR+IgrS+IgrT)であり、ここで、gR=1/rR、gS=1/rS、gT=1/rTとおくと、零相電流I0は、下記の式(13)のように示すことができる。
I0=0.5√3(gS−gT)E/√3+j(gR−0.5gS−0.5gT)E/√3
・・・(13)
そして、電圧値E/√3は、相電圧ER、ES、ETの値であるので、零相電流I0は、下記の式(14)に示すようになる。
I0=0.5√3(IgrS−IgrT)+j(IgrR−0.5IgrS−0.5IgrT)
・・・(14)
さらに、線間電圧ETS入力時の零相電流I0の有効成分をAd、無効成分をBdとすると、有効成分Adは下記の式(15)により示され、無効成分Bdは下記の式(16)により示される。
なお、ここで、線間電圧ETS入力時の零相電流I0の有効成分Adは、線間電圧ETSと同位相方向の成分の正又は負の実測値であり、無効成分Bdは、線間電圧ETSと直角方向の成分の正又は負の実測値である。
Ad=0.5√3(IgrS−IgrT) ・・・(15)
Bd=IgrR−0.5IgrS−0.5IgrT ・・・(16)
同様に、線間電圧ERT入力時のI0の有効成分をCd、無効成分をDdとすると、有効成分Cdは下記の式(17)により示され、無効成分Ddは下記の式(18)により示される。
Bd=IgrR−0.5IgrS−0.5IgrT ・・・(16)
同様に、線間電圧ERT入力時のI0の有効成分をCd、無効成分をDdとすると、有効成分Cdは下記の式(17)により示され、無効成分Ddは下記の式(18)により示される。
また、ここで、線間電圧ERT入力時のI0の有効成分をCdは、線間電圧ERTと同位相方向の成分の正又は負の実測値であり、無効成分は、線間電圧ERTと直角方向の成分の正又は負の実測値である。
Cd=0.5√3(IgrT−IgrR) ・・・(17)
Dd=IgrS−0.5IgrT−0.5IgrR ・・・(18)
これらAd,Bd,Cd,Ddの値は、信号処理工程から出力され、前記式の関係から各相における漏洩電流Igrの関係が導出される。
Dd=IgrS−0.5IgrT−0.5IgrR ・・・(18)
これらAd,Bd,Cd,Ddの値は、信号処理工程から出力され、前記式の関係から各相における漏洩電流Igrの関係が導出される。
すなわち、前記Ad,Bd,Cd,Ddの関係式(15)〜(18)から、
IgrR−IgrT=Bd+Ad/√3=Xと置き、
IgrS−IgrR=Dd+Cd/√3=Yと置き、
IgrS−IgrT=Ad/(0.5√3)=Zと置くと、
Ad,Bd,Cd,Ddは正負の値をとるので、X,Y,Zも正負の値になり、上記X,Y,Zの値及び正負の関係から、各相の漏洩電流Igr値の差及び最大漏洩電流Igr値、中間漏洩電流Igr値、最小漏洩電流Igr値の序列が求められる。
IgrR−IgrT=Bd+Ad/√3=Xと置き、
IgrS−IgrR=Dd+Cd/√3=Yと置き、
IgrS−IgrT=Ad/(0.5√3)=Zと置くと、
Ad,Bd,Cd,Ddは正負の値をとるので、X,Y,Zも正負の値になり、上記X,Y,Zの値及び正負の関係から、各相の漏洩電流Igr値の差及び最大漏洩電流Igr値、中間漏洩電流Igr値、最小漏洩電流Igr値の序列が求められる。
星形配電方式の配電系統では絶縁不良の際、一相単独か二相又は線間の負荷設備から対地漏洩電流Igrが流れ、他の相は健全な場合がほとんどである。仮に三相全部が絶縁不良とすれば、短絡事故の場合が殆どで、過電流保護装置が動作する。過電流でなくても三相に発生した対地漏洩電流Igr同士が打ち消しあって正常な測定値が得られない。
したがって、全体のIgr値は、最小Igr値を0レベルとして、下記の式(19)に示すようになる。
合計Igr値=最大Igr値+中間Igr値 ・・・(19)
この式(19)より、下記の関係が得られる。
この式(19)より、下記の関係が得られる。
X,Yが共に正又は一方が0のとき、
合計Igr値=X+Z ・・・(20)
X,Yが共に負または片方0のとき、
合計Igr値=−Y−Z ・・・(21)
Xが負でYが正又はいずれか一方が0のとき、
合計Igr値=Y−X ・・・(22)
Xが正でYが負又はいずれか一方が0で、且つZが正又は0のとき、
合計Igr値=X+Z ・・・(23)
Xが正でYが負又はいずれか一方が0で、且つZが負のとき、
合計Igr値=−Y−Z ・・・(24)
相電圧入力時においても、同様な手法で合計Igr値を求めることができる。
合計Igr値=X+Z ・・・(20)
X,Yが共に負または片方0のとき、
合計Igr値=−Y−Z ・・・(21)
Xが負でYが正又はいずれか一方が0のとき、
合計Igr値=Y−X ・・・(22)
Xが正でYが負又はいずれか一方が0で、且つZが正又は0のとき、
合計Igr値=X+Z ・・・(23)
Xが正でYが負又はいずれか一方が0で、且つZが負のとき、
合計Igr値=−Y−Z ・・・(24)
相電圧入力時においても、同様な手法で合計Igr値を求めることができる。
すなわち、相電圧ER入力時の零相電流I0の有効成分をA、無効成分をBとすると、有効成分Aは下記の式(25)により示され、無効成分Bは下記の式(26)により示される。
なお、ここで、相電圧ER入力時の零相電流I0の有効成分Aは、相電圧ERと同位相方向の成分の正又は負の実測値であり、無効成分Bは、相電圧ERと直角方向の成分の正又は負の実測値である。
A=IgrR−0.5IgrS−0.5IgrT ・・・(25)
B=0.5√3(IgrT−IgrS) ・・・(26)
同様に、相電圧ES入力時の零相電流I0の有効成分をC、無効成分をDとすると、有効成分Cは下記の式(27)により示され、無効成分Dは下記の式(28)により示される。
B=0.5√3(IgrT−IgrS) ・・・(26)
同様に、相電圧ES入力時の零相電流I0の有効成分をC、無効成分をDとすると、有効成分Cは下記の式(27)により示され、無効成分Dは下記の式(28)により示される。
また、相電圧ES入力時の零相電流I0の有効成分Cは、相電圧ESと同位相方向の成分の正又は負の実測値であり、無効成分Bは、相電圧ESと直角方向の成分の正又は負の実測値である。
C=IgrS−0.5IgrT−0.5IgrR ・・・(27)
D=0.5√3(IgrR−IgrT) ・・・(28)
以上の関係式(25)〜(28)から、
IgrR−IgrS=A+B/√3=Uと置き、
IgrS−IgrT=C+D/√3=Vと置き、
IgrR−IgrT=D/(0.5√3)=Wと置くとき、
次のような関係が得られる。
D=0.5√3(IgrR−IgrT) ・・・(28)
以上の関係式(25)〜(28)から、
IgrR−IgrS=A+B/√3=Uと置き、
IgrS−IgrT=C+D/√3=Vと置き、
IgrR−IgrT=D/(0.5√3)=Wと置くとき、
次のような関係が得られる。
U,Vが共に正又はいずれか一方が0のとき、
合計Igr値=V+W ・・・(29)
U,Vが共に負又はいずれか一方が0のとき、
合計Igr値=−U−W ・・・(30)
Uが正でVが負又はいずれか一方が0のとき、
合計Igr値=U−V ・・・(31)
Uが負でVが正又はいずれか一方が0で、且つWが正又は0のとき、
合計Igr値=V+W ・・・(32)
Uが負でVが正又はいずれか一方が0で、且つWが負のとき、
合計Igr値=−U−W ・・・(33)
以上の計測を実際に現場で実施する際、電圧を入力する作業で、400V級の電圧部分に入力用電線を接続するときに感電や誤接続の波及事故等の危険を伴う。本発明においては、電圧を入力させるのに、絶縁電線の外周を電極ではさむ非接触入力方式でも測定可能とする。
合計Igr値=V+W ・・・(29)
U,Vが共に負又はいずれか一方が0のとき、
合計Igr値=−U−W ・・・(30)
Uが正でVが負又はいずれか一方が0のとき、
合計Igr値=U−V ・・・(31)
Uが負でVが正又はいずれか一方が0で、且つWが正又は0のとき、
合計Igr値=V+W ・・・(32)
Uが負でVが正又はいずれか一方が0で、且つWが負のとき、
合計Igr値=−U−W ・・・(33)
以上の計測を実際に現場で実施する際、電圧を入力する作業で、400V級の電圧部分に入力用電線を接続するときに感電や誤接続の波及事故等の危険を伴う。本発明においては、電圧を入力させるのに、絶縁電線の外周を電極ではさむ非接触入力方式でも測定可能とする。
電圧は電極から電線の絶縁を介するコンデンサ結合回路を通じて入力するが、微弱な結合のため増幅と雑音対策を行うことが望ましい。この電圧信号は、零相電流I0との間の位相差計測が主要な役目で、電圧の値は入力電圧信号を増幅出力するが、確実を期するため予め決められている実際の測定対象となる星形配電電源を用いた配電系統の電圧値と照合することが望ましい。線間電圧を入力する方式では接地線の接続を必要としない。
なお、変電室等で固定した測定装置として使用される場合等では、電圧が印加されている部分に入力電線を直接接続することも可能で、接地線を測定装置に接続すれば、相電圧を入力して測定が可能である。
本発明によれば、星形電源で給電される配電線や配電線に接続される電気機器等の負荷設備を稼動状態のままで、安全に、計測作業の手間が少なく、二相分まで合計の漏洩電流Igrの値を測定できるので、絶縁劣化の程度を常時監視可能で、絶縁劣化が進行して発生する地絡故障を未然に防止することができる。また、設備全体の信頼性を著しく向上させることができる。さらに、法律で要求されている定期点検作業でも、停電させて、結線を開放し、その後再結線等を行う作業と時間を節約し、さらに、費用の大幅な節減も可能になる。
以下、本発明を適用した配電線又はこれに接続される負荷設備としての電気機器における漏洩電流の測定を行う漏洩電流測定装置及び測定方法の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図2は 変圧器の低圧側三相巻線を星形に結線した星形配電電源に接続される三相配電線及びこれに接続される電気機器又はいずれか一方の漏洩電流Igrの測定に本発明を適用したときの一実施の形態を示すものであって、商用周波数である配電用三相電源1は、変圧器の低圧側三相巻線を星形に結線し、その中性点Nは接地線8を経由してG点で接地され、三相端子R,S,Tには中性点Nに対して相電圧ER、ES、ETを発生し、三相端子R,S,Tに接続される配電線4R,4S,4T間に線間電圧ETS,ERT,ESRを発生している。
そして、各配電線4R,4S,4T間に発生する線間電圧ETS,ERT,ESRと相電圧ER、ES、ETの関係は、前述したように、図1に示すベクトル図で表される。この図1に示すベクトル図において、相電圧ER、ES、ETの値の√3倍が線間電圧ETS,ERT,ESRの値になり、相電圧ER、ES、ETはそれぞれ線間電圧ETS,ERT,ESRより90度位相が進んでいる。これらの電圧が配電線4R,4S,4Tを経由して負荷設備5に供給されている。
配電線4及び負荷設備5の電圧が印加されている部分と接地部分との間に対地静電容量6及び対地漏洩抵抗7が存在し、各相R,S,Tの対地静電容量6には漏洩電流IgcR、IgcS、IgcTが、対地漏洩抵抗7には漏洩電流IgrR、 IgrS、 IgrTが各相R,S,Tから接地部分へ流れている。
図2に示す概略系統図において、漏洩電流測定装置は、配電線4R,4S,4Tをそれぞれ外側から挟むように構成された電極3R、3S、3Tを経由して3相電源電圧を計測器17に入力し、且つ配電線4から零相変流器9を介して零相電流I0を計測器17に入力して、配電線4R,4S,4T及び負荷設備5の漏洩電流IgrR、 IgrS、 IgrTを測定する。
計測器17は、切換開閉器10によって順次入力された星形配電電源1の線間電圧ETS、ERTと、零相変流器9が配電線4R,4S,4Tから検出した零相電流I0とを信号処理し、上記線間電圧ETS、ERTの各々と零相電流I0との位相差を計測し信号処理する信号処理部14と、この信号処理部14からの信号処理によって得られた測定された零相電流I0の実効値、線間電圧ETS、ERTの各々と零相電流I0との位相差に基いて、各相の対地漏洩抵抗rR、rS、rTを経由して流れる漏洩電流の合計漏洩電流Igrを演算する。
この漏洩電流測定装置は、さらに、演算部15によって演算された漏洩電流Igrを表示する表示部16とを備えている。
すなわち、図2に示す図において、漏洩電流測定装置の計測器17では、切換開閉器10によって星形配電電源1の線間電圧ETS、ERTを順次信号処理部14に入力する。さらに、零相変流器9によって検出された零相電流I0も信号処理部14に入力する。また、信号処理部14では線間電圧ETS、ERTと零相電流I0との位相差を計測する信号処理も行う。演算部15は、信号処理部14からの信号処理によって得られた零相電流I0の実効値、線間電圧ETS、ERTのいずれかと零相電流I0との位相差に基いて、前述した対地漏洩抵抗6を経由して流れる各相R,S,Tに流れる合計漏洩電流Igrを演算する。表示部16は、演算部15によって演算された漏洩電流Igrの値を表示する。
図3は本発明に係る漏洩電流測定装置を星形配電電源1を備える変電室に設けるときの実施の形態を示すものである。本例においては、固定方式であるため、測定用電圧は非接触電極3を通じて線間電圧ETS、ERTを入力する代わりにR相、S相及び接地線8を計測器17に直接接続して、相電圧ER、ESの各々を切換開閉器10の切り換えによって入力する。また、零相変流器9によって接地線8の零相電流I0を検出する。
なお、本発明に係る漏洩電流測定装置を配電線4の途中の配電室に据付使用するときには、図2に示すような3線一括クランプ式の零相変流器9を用い、接地線はその地点の接地線を用いる。また、漏洩電流Igrの値が所定の値より大きくなったときに、遮断器19によって配電線4R,4S,4Tを速やかに遮断することができ、過大な漏洩電流Igrによる事故を未然に防止できる。さらに、漏洩電流Igrが所定の値より大きくなったときに、演算部15に接続した警報器18により、音又は光等により異常があったことを告知する。このような警報器18を備えることにより、異常を速やかに外部に知らせ、過大な漏洩電流Igrによる事故を未然に防止できる。
ところで、零相電流I0と線間電圧ETS、ERT及び相電圧ER、ESのとの関係は、図4のベクトル図で表され、入力電圧としての線間電圧及び相電圧は三相のうちの二相を切り換え入力するので、零相電流I0の入力電圧に対する位相角θは0度から360度間変化する可能性がある。
図4に示すベクトル図から、相電圧ERの入力時の零相電流I0の有効成分A又は相電圧ESの入力時の零相電流I0の有効成分C、及び線間電圧ETSの入力時の零相電流I0の有効成分Ad又は線間電圧ERTの入力時の零相電流I0の有効成分Cdは、下記の式(34)となる。
A又はC、Ad又はCd=I0×cosθ ・・・(34)
また、相電圧ERの入力時の零相電流I0の無効成分B又は相電圧ESの入力時の零相電流I0の無効成分D、及び線間電圧ETSの入力時の零相電流I0の無効成分Bd又は線間電圧ERTの入力時の零相電流I0の無効成分Ddは、下記の式(35)となる。
また、相電圧ERの入力時の零相電流I0の無効成分B又は相電圧ESの入力時の零相電流I0の無効成分D、及び線間電圧ETSの入力時の零相電流I0の無効成分Bd又は線間電圧ERTの入力時の零相電流I0の無効成分Ddは、下記の式(35)となる。
B又はD、Bd又はDd=I0×sinθ ・・・(35)
そして、式(34)、式(35)の左辺の各々の数値は正の値、0、負の値になる。
そして、式(34)、式(35)の左辺の各々の数値は正の値、0、負の値になる。
次に、図2に示す漏洩電流測定装置を構成する信号処理部14の具体的な構成について図5を参照して説明する。図5において、信号処理部14は零相電流I0を検出するI0検出器20と、第1の増幅器21と、第1のフィルタ22と、第1の実効値変換器23と、位相差計測器24と、電圧検出器31と、第2の増幅器32と、第2のフィルタ33と、第2の実効値変換器34とを備える。
I0検出器20は、配電線4R,4S,4T及び負荷設備5の漏洩電流の合計である零相電流I0を零相変流器9を通じて取り込む。第1の増幅器21は、I0検出器20が検出した零相電流I0を適量まで増幅する。第1のフィルタ22は、第1の増幅器21で増幅した零相電流I0の電源電圧の周波数を超える周波数を減衰させる。第1の実効値変換器23は、第1のフィルタ22でフィルタリングされた零相電流I0の交流電流波形を両波整流して実効値に比例したアナログ値に変換し、演算部15へ出力する。
位相差計測器24は、前記零相電流I0と、星形配電電源1の線間電圧ETS、ERT又は相電圧ER、ESのうちの入力された電圧Vの間の位相角を計測して、その位相差θを求める。
前記零相電流I0は第1のフイルタ22を経由することにより、また入力された電圧Vは第2のフイルタ33を経由することによって電源周波数を超える周波数は減衰処理され、零相電流I0及び入力電圧Vの波形は、図6及び図7に示すような電源周波数の正弦波形となる。
そして、零相電流I0及び入力電圧Vの波形は、両者の位相差θが180度以下のときには図6に示すように、零相電流I0は入力電圧Vより遅れたようになっている。ところで、星形配電電源1においては、同じ零相電流I0に対して、入力電圧Vは三相のうちの二相分が順次入力されるので、その位相差θは0度から360度まで変化する。零相電流I0及び入力電圧Vの波形が大きさ零点を通過したいわゆるゼロクロッシングした時点から定量のパルス波形IZ及びVZは、両者の位相差θが0〜180度の角度範囲にあるときには、図6に示すように出力され、両者の位相差θが180〜360度の角度範囲にある場合には図7に示すように出力する。
そして、零相電流I0は入力電圧Vの位相差θが0〜180度の角度範囲にある図6に示す場合では、入力電圧Vがゼロクロッシングした直後の電圧電流の値が正負又は負正いずれかの関係であるかにより、半波パルスIZの立ち上がり又は立ち下がりを判定し、位相差パルス(VZ〜IZ)の面積S1又はパルス幅を示す時限t1、半波パルスIZの面積S2又は時限t2を演算部14へ入力し、下記の式(36)又は式(37)に示す演算処理を行う。
位相差θ=180S1/S2 ・・・(36)
位相差θ=180t1/t2 ・・・(37)
また、零相電流I0は入力電圧Vの位相差θが180〜360度の範囲にある図7に示す場合では、入力電圧Vがゼロクロッシングした直後の電圧電流の値が正正又は負負の関係であることによって、半波パルスIZの立ち上がり又は立ち下がりを判定し、位相差パルス(IZ〜VZ)の面積S3又はパルス幅を示す時限t3、半波パルスIZの面積S2又はパルス幅を示す時限t2を演算部14へ入力し、下記の式(38)又は式(39)に示す演算処理を行う。
位相差θ=180t1/t2 ・・・(37)
また、零相電流I0は入力電圧Vの位相差θが180〜360度の範囲にある図7に示す場合では、入力電圧Vがゼロクロッシングした直後の電圧電流の値が正正又は負負の関係であることによって、半波パルスIZの立ち上がり又は立ち下がりを判定し、位相差パルス(IZ〜VZ)の面積S3又はパルス幅を示す時限t3、半波パルスIZの面積S2又はパルス幅を示す時限t2を演算部14へ入力し、下記の式(38)又は式(39)に示す演算処理を行う。
位相差θ=360−180S3/S2 ・・・(38)
位相差θ=360−180t3/t2 ・・・(39)
そして、電圧検出器31は、星形配電電源1の相電圧ER、ES又は電極3を経由した線間電圧ETS、ERTに比例した微弱な電圧を取り込む。増幅器32は、電圧検出器31が検出した上記電圧を適量まで増幅する。第2のフィルタ33は、第2の増幅器32で増幅された上記入力電圧の電源電圧周波数を超える周波数を減衰させる。第2の実効値変換器34は、第2のフィルタ33でフィルタリングされた上記入力電圧を両波整流して実効値に比例したアナログ値に変換し、演算部15へ出力する。
位相差θ=360−180t3/t2 ・・・(39)
そして、電圧検出器31は、星形配電電源1の相電圧ER、ES又は電極3を経由した線間電圧ETS、ERTに比例した微弱な電圧を取り込む。増幅器32は、電圧検出器31が検出した上記電圧を適量まで増幅する。第2のフィルタ33は、第2の増幅器32で増幅された上記入力電圧の電源電圧周波数を超える周波数を減衰させる。第2の実効値変換器34は、第2のフィルタ33でフィルタリングされた上記入力電圧を両波整流して実効値に比例したアナログ値に変換し、演算部15へ出力する。
演算部15では、位相差計測器24から出力された位相差パルス(VZ〜IZ)の面積S1の面積S1、半波パルスIZの面積S2、位相差パルス(IZ〜VZ)の面積S3又は位相差パルス(VZ〜IZ)のパルス幅を示す時限t1、半波パルスIZのパルス幅を示す時限t2、位相差パルス(IZ〜VZ)のパルス幅を示す時限t3の値を前述の位相差θを算定する式(36)〜(39)に従って求められた位相差θ、第1及び第2の実効値変換器23,34から出力された零相電流I0、順次出力された入力電圧の値又は予め設定された電圧の値及びそれら電圧電流間の位相差θ等から、前述した各式にしたがって各相の対地漏洩抵抗rR、rS、rTを経由して流れる漏洩電流の合計漏洩電流Igrを演算し、その値を算出する。
また、演算部15では、三相の相電圧ER、ES、ETのうち一相の入力相を切換開閉器10に指令して入力し、この入力された相の測定データの採取を行った後、次の相に自動的に切り換えて測定を行う。また、算出した漏洩電流Igrの値を表示部16に出力し、この値を配電線4や負荷設備5としての電気機器の対地絶縁抵抗を通じて流れる漏洩電流Igrの値として表示する。
このように、変圧器の低圧側三相巻線を星形に結線した電源から給電を行う星形配電方式において、図2又は図3に示すように構成された漏洩電流測定装置を用いることにより、通電状態のまま配電線4又はこの配電線4に接続された負荷設備5の絶縁抵抗7を通じて流れる健全な一相を除く各相合計の漏洩電流Igrの値を測定することができる。三相3線方式、三相4線方式とも、各相の対地静電容量の値がほぼ等しい場合においては、この方式の適用が可能である。
図2及び図3を参照して説明した本発明に係る漏洩電流測定装置は、前述したように、本発明に係る漏洩電流測定方法を実行している。すなわち、切換開閉器10は、線間電圧ETS、ERT又は相電圧ER、ESの各々を計測器17に順次入力し、これら電圧の測定を行う測定工程を実行する。また、零相変流器9は、電源1から流出する対地漏洩電流である零相電流I0を測定する零相電流測定工程を実行する。そして、計測器17の信号処理部14は、切換開閉器10により入力され、測定された線間電圧ETS、ERT又は相電圧ER、ESの電圧Vと零相変流器9が測定した零相電流I0の位相を比較して得られた位相差パルス(VZ〜IZ)の面積S1及び位相差パルス(IZ〜VZ)の面積S3と零相電流I0の半周期パルスの面積S2を算出する。
また、演算部15は、信号処理部14が信号処理工程を実行して算出した位相差パルス(VZ〜IZ)の面積S1及び位相差パルス(IZ〜VZ)の面積S3と零相電流I0の半周期パルスの面積S2とから、測定された線間電圧ETS、ERT又は相電圧ER、ESの電圧Vと零相変流器9が測定した零相電流I0の位相差θを算出し、この位相差θと零相電流I0と順次入力された各相電圧ER、ESとから、各相対地絶縁抵抗に流れる合計漏洩電流Igrを演算する演算工程を実行し、さらに、この値を配電線4や負荷設備5としての電気機器の対地絶縁抵抗を通じて流れる漏洩電流Igrの値として表示する。さらにまた、演算工程では、漏洩電流Igrが所定の値より大きくなったことが測定されたとき、演算部15に接続した警報器18により、異常があったことを音や光等により告知する。また、遮断器19を備える装置においては、配電線4R,4S,4Tを遮断する。このような異常の告知又は配電線の遮断により過大な漏洩電流Igrによる事故を未然に防止している。
配電系統や電気機器においては、電気災害の予防の観点から絶縁測定が要求されている。従来、このような絶縁測定は、電源からの給電を停電して行っていたが、近年は停電が制限され、特に400V級星形配電系統で配電している大工場では自動機械その他の機械設備に多数使用され、その停止は生産の停止につながる。本発明は、これまでの装置では行い得なかった配電線や、配電線に接続された電気機器などの負荷設備を停電させることなく、漏洩電流を精度よく測定することを可能とし、連続的な監視による予防保全の実施も可能とする。
この400V級星形配電系統は、国際標準の方式であり、国内でも自動車関連産業や大形ビル等、電力使用量が大きな需要家での実用件数は年々増加しており、且つこれらの設備に対する信頼性確保の要求もレベルアップし、これらの分野において広く用いることが可能である。
1 星形配電電源、3 電極、4 配電線、5 負荷設備、6 対地静電容量、7 対地漏洩抵抗、8 接地線 9 零相変流器、10 切換開閉器、14 信号処理部、15 演算部、16 表示部、17 計測器、18 警報機 19 遮断器
Claims (8)
- 変圧器の低圧側三相巻線を星形に結線した電源から給電される三相4線式又は三相3線式配電方式の三相のうちの二相又は三相の対地電圧若しくは三相線間電圧のうちの二相又は三相の線間電圧を測定する電圧測定手段と、
上記星形電源から給電される配電線及び/又はその負荷設備を通じて流れる対地漏洩電流である零相電流を測定する零相電流測定手段と、
上記電圧測定手段により測定した二相又は三相の対地電圧若しくは二相又は三相の線間電圧と、上記零相電流測定手段により測定した零相電流との間の位相差を算出する信号処理手段と、
上記信号処理手段により算出した位相差と、上記電圧測定手段によって測定された電圧と、上記零相電流測定手段によって測定された零相電流との値から、上記配電線及び/又はその負荷設備の対地絶縁抵抗に流れる各相の漏れ電流の合計値を演算する演算手段と
を備えることを特徴とする漏洩電流測定装置。 - 上記対地漏洩電流である零相電流の、三相線間電圧のうちの一相の入力電圧と同位相方向の成分の正又は負の実測値をAd、三相線間電圧うちの実測値Adを測定した同じ相の入力電圧と直角方向の成分の正又は負の実測値をBd、三相線間電圧のうち、実測値Ad,Bdを測定した相と異なる相の電圧入力時、上記対地漏洩電流である零相電流の入力電圧と同位相方向の成分の正又は負の実測値をCd、三相線間電圧うちの実測値Cdを測定した同じ相の入力電圧と直角方向の成分の正又は負の実測値をDdとしたとき、下記の式(1)〜式(3)にそれぞれ実測値を代入して各式により値X,Y,Zを求め、
X=Bd+Ad/√3 ・・・(1)
Y=Dd+Cd/√3 ・・・(2)
Z=2Ad/√3 ・・・(3)
上記式(1)の値X及び上記式(2)の値Yが共に正又は一方が正で他方が0のとき、各相の漏れ電流の合計値を、式(1)の値Xと、式(3)の値Zとの合計値とし、
上記式(1)に値X及び上記式(2)の値Yが共に負又は一方が負で他方が0のとき、各相の漏れ電流の合計値を、上記式(2)値Yの正負を逆にした値Y’と、上記式(3)の値Zの正負を逆にした値Z’との合計値とし、
上記式(1)の値Xが負、上記式(2)の値Yが正のとき 各相の漏洩電流の合計値を、上記式(2)の値Yと、上記式(1)の値Xの正負を逆にした値X’との合計値とし、
上記式(1)の値Xが正、上記式(2)の値Yが負で且つ上記式(3)の値Zが正のとき、各相の漏れ電流の合計値を、上記式(1)の値Xと上記式(3)の値Zとの合計値とし、
上記式(1)の値Xが正、上記式(2)の値Yが負で且つ上記式(3)の値Zが負のとき、各相の漏洩電流の合計値を、上記式(2)の値Yの正負を逆にした値Y’と上記式(3)の値Zの正負を逆にした値Z’との合計値とし、
上記各合計値を各相の対地絶縁抵抗に流れる漏れ電流の合計値とすることを特徴とする請求項1記載の漏洩電流測定装置。 - 上記対地漏洩電流である零相電流の、三相相電圧のうちの一相の入力電圧と同位相方向の成分の正又は負の実測値をA、三相線間電圧うちの実測値Aを測定した同じ相の入力電圧と直角方向の成分の正又は負の実測値をB、三相相電圧のうち、実測値A,Bを測定した相と異なる相の電圧入力時、対地漏洩電流である零相電流の入力電圧と同位相方向の成分の正又は負の実測値をC、三相相電圧うちの実測値Cを測定した同じ相の入力電圧と直角方向の成分の正又は負の実測値をDとしたとき、下記の式(4)〜式(6)にそれぞれ実測値を代入して各式により値X1,Y1,Z1を求め、
X1=A+B/√3 ・・・(4)
Y1=C+D/√3 ・・・(5)
Z1=2D/√3 ・・・(6)
上記式(4)の値X1及び上記式(5)の値Y1が共に正又は一方が正で他方が0のとき、各相の漏れ電流の合計値を、上記式(5)の値Y1と上記式(6)の値Z1との合計値とし、
上記式(4)の値X1及び上記式(5)の値Y1が共に負又は一方が負で他方が0のとき、各相の漏れ電流の合計値を、上記式(4)の値X1の正負を逆にした値X1’と上記式(6)の値Z1の正負を逆にした値Z1’との合計値とし、
上記式(4)の値X1が正、上記式(5)の値Y1が負のとき 各相の漏洩電流の合計値を、上記式(4)の値X1と上記式(5)の値Y1の正負を逆にした値Y1’との合計値とし、
上記式(4)の値X1が負、上記式(5)の値Y1が正で且つ上記式(6)の値Z1が正のとき、各相の漏れ電流の合計値を、上記式(5)の値Y1と上記式(6)の値Z1との合計値とし、
上記式(4)の値X1が負、上記式(5)の値Y1が正で且つ上記式(6)の値Z1が負のとき、各相の漏れ電流の合計値を、上記式(4)の値X1の正負を逆にした値X1’と上記式(6)の値Z1の正負を逆にした値Z1’との合計値とし、
これら合計値を各相の対地絶縁抵抗に流れる漏れ電流の合計値とすることを特徴とする請求項1記載の漏洩電流測定装置。 - 上記演算手段によって演算された上記漏れ電流の値が所定の値を超えたときに警報を発する警報手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の漏洩電流測定装置。
- 上記演算手段によって演算された上記漏れ電流の値が所定の値を超えたときに電路を遮断する遮断手段をさらに備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の漏洩電流測定装置。
- 上記信号処理手段は、上記位相差を算出するとともに、上記星形配電電源の各相の電圧値及び上記零相電流値を実効値に変換することを特徴とする請求項1記載の漏洩電流測定装置。
- 上記電圧測定手段は、測定される電圧が印加されている部分の絶縁物の表面に接触させた電極を通じて、上記電圧を測定装置に入力させる電圧測定手段を備えることを特徴とする請求項1記載の漏洩電流測定装置。
- 変圧器の低圧側三相巻線を星形に結線した電源から給電される三相4線式又は三相3線式配電方式の三相のうち二相又は三相の対地電圧若しくは三相線間電圧のうちの二相又は三相の線間電圧を測定する電圧測定工程と、
上記星形電源から給電される配電線又はその負荷設備を通じて流れる対地漏洩電流である零相電流を測定する零相電流測定工程と、
上記電圧測定工程により測定した二相又は三相の対地電圧若しくは二相又は三相の線間電圧と、上記零相電流測定工程により測定した零相電流との間の位相差を算出する信号処理工程と、
上記信号処理工程により算出した位相差と、上記電圧測定工程によって測定された電圧と、上記零相電流測定工程によって測定された零相電流との値から、上記配電線又はその負荷設備の対地絶縁抵抗に流れる各相の漏れ電流の合計値を演算する演算工程と
を備えることを特徴とする漏洩電流測定方法。
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