JP2008163404A - 合金ナノ結晶、合金ナノ結晶の製造方法および合金ナノ結晶分散液 - Google Patents

合金ナノ結晶、合金ナノ結晶の製造方法および合金ナノ結晶分散液 Download PDF

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Abstract

【課題】
製造コストを低減しつつ容易かつ効率よく製造することができ、溶媒中に容易かつ長期間安定して分散可能で、基板上に配列したときに、高密度磁気記録媒体、磁気抵抗効果素子、燃料電池の電極用の触媒または磁気温熱療法用の発熱体等として好適に使用し得る新規合金ナノ結晶を提供する。
【解決手段】
FeおよびCoから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素と、PtおよびPdから選ばれる少なくとも1種の貴金属元素とを含むコア部と、該コア部の表面に付着した長鎖飽和脂肪酸とを有することを特徴とする合金ナノ結晶である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、合金ナノ結晶、合金ナノ結晶の製造方法および合金ナノ結晶分散液に関する。
さらに詳しくは、本発明は、基板上に配列したときに、高密度磁気記録媒体、磁気抵抗効果素子、燃料電池の電極用の触媒または磁気温熱療法用の発熱体等として好適に使用し得る合金ナノ結晶、該合金ナノ結晶を効率よく製造する方法および上記合金ナノ結晶を有する分散液に関する。
FePt、FePdおよびCoPt等の合金結晶からなる磁性材料は、face−centered tetragonal(fct)相において大きな結晶磁気異方性を示し、粒子径が10nm以下の合金ナノ結晶であっても磁気記録情報を安定に維持できるので、高密度磁気記録材料として注目されている。
近年、上記合金ナノ結晶の製造例として、白金アセチルアセトナト(Pt(acac))および鉄アセチルアセトナト(Fe(acac))を、窒素雰囲気下、オレイン酸とオレイルアミンの混合液中で還元することにより、表面がオレイン酸やオレイルアミンで覆われたPtFe合金ナノ結晶を製造した例が報告されるに至っている(非特許文献1参照)。
この合金ナノ結晶は、表面がオレイン酸やオレイルアミンといった有機分子で覆われているため、有機溶媒中に容易に単分散させることができ、また、その結晶構造は、通常face−centered cubic(fcc)相であるため、550℃〜700℃で熱処理することによってfct相に相転移させることができる。
しかしながら、上記合金ナノ結晶を製造する場合、原料であるFe(acac)を構成するFe3+が還元されにくいため、強力な還元剤(例えば水素化ホウ素ナトリウム)を用いたり、Ptに対してFeが過剰になるように原料を加える必要があり、このため、原料コストが高くなるとともに、単離精製処理が煩雑になってしまう。
また、上記合金ナノ結晶は、表面が炭素−炭素二重結合(不飽和結合)を持つオレイン酸とオレイルアミンで覆われているため、空気酸化を受けやすいという課題や、オレイン酸やオレイルアミンの重合により合金ナノ結晶同士が凝集し、有機溶媒中に安定して分散させることができなくなるという課題を有している。
一方、原料である鉄の供給源として、鉄ペンタカルボニル(Fe(CO))を用いたり(非特許文献2参照)、塩化第一鉄(FeCl)を用いる(非特許文献3参照)製造法も報告されている。
しかし、Fe(CO)は、毒性が強く引火性の液体であり、また反応の過程で有害な一酸化炭素が発生するので、安全性および環境保全の観点から使用するのは好ましくなく、さらに、揮発性が高いので反応中に揮発してしまい得られる合金ナノ粒子の組成がばらつき易い。一方、FeClの場合は吸湿性があり、空気酸化を受けやすいので取り扱いが容易でないという課題を有している。
M. Nakaya et al. Langmuir, 22, (2006), p3485-3487 S. Sun et al., Science, 287, (2000), p1989-1992 S. Sun et al. J. Phys. Chem. B, 107, (2003), p5419-5425
本発明は、このような事情のもとで、製造コストを低減しつつ容易かつ効率よく製造することができ、溶媒中に容易かつ長期間安定して分散可能で、基板上に配列したときに、高密度磁気記録媒体、磁気抵抗効果素子、燃料電池の電極用の触媒または磁気温熱療法用の発熱体等として好適に使用し得る新規合金ナノ結晶を提供することを第1の目的とする。また、本発明は、上記合金ナノ結晶を製造する方法および上記合金ナノ結晶の分散液を提供することを第2および第3の目的とする。
本発明者が鋭意検討したところ、FeおよびCoから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素と、PtおよびPdから選ばれる少なくとも1種の貴金属元素とを含むコア部と、該コア部の表面に付着した長鎖飽和脂肪酸とを有する合金ナノ結晶により、上記第1の目的を達成し得ることを見出した。
また、上記第2の目的は、FeおよびCoから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素を含む長鎖飽和脂肪酸塩と、PtおよびPdから選ばれる少なくとも1種の貴金属元素の塩または錯体とを、溶媒中、還元剤の存在下に加熱することを特徴とする合金ナノ結晶の製造方法により達成し得ることを見出した。
また、上記第3の目的は、上記合金ナノ結晶が、該合金ナノ結晶と反応しない溶媒中に分散していることを特徴とする合金ナノ結晶分散液により達成し得ることを見出した。
すなわち、本発明は、
(1)FeおよびCoから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素と、PtおよびPdから選ばれる少なくとも1種の貴金属元素とを含むコア部と、該コア部の表面に付着した長鎖飽和脂肪酸とを有することを特徴とする合金ナノ結晶、
(2)前記遷移金属元素および貴金属元素の合計含有量に対する前記遷移金属元素の合計含有量の比がモル比で0.4以上0.7以下である上記(1)に記載の合金ナノ結晶、
(3)前記コア部が粒子形状を有し、その平均粒径が1nm以上15nm以下である上記(1)または(2)に記載の合金ナノ結晶、
(4)前記長鎖飽和脂肪酸が、アルキル基の炭素数が7〜23のアルキルモノカルボン酸である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の合金ナノ結晶、
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の合金ナノ結晶を製造する方法であって、
FeおよびCoから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素を含む長鎖飽和脂肪酸塩と、PtおよびPdから選ばれる少なくとも1種の貴金属元素の塩または錯体とを、溶媒中、還元剤の存在下に加熱することを特徴とする合金ナノ結晶の製造方法、
(6)前記遷移金属元素を含む長鎖飽和脂肪酸塩が、アルキル基の炭素数が7〜23のアルキルモノカルボン酸の塩である上記(5)に記載の合金ナノ結晶の製造方法、
(7)前記貴金属元素の塩または錯体が、ハロゲン化物、カルボン酸塩、硝酸塩、β−ジケトナト錯体、エチレンジアミン錯体、アンミン錯体、ホスフィン錯体、ニトリル錯体、π−アリル錯体およびシクロオクタジエン錯体から選ばれる少なくとも1種の塩または錯体である上記(5)または(6)に記載の合金ナノ結晶の製造方法、
(8)前記溶媒が、前記遷移金属元素を含む長鎖飽和脂肪酸塩および前記貴金属元素の塩または錯体と反応しないものである上記(5)〜(7)のいずれかに記載の合金ナノ結晶の製造方法、
(9)前記溶媒が、200〜400℃の範囲の沸点を有するものである前記(5)〜(8)のいずれかに記載の合金ナノ結晶の製造方法、
(10)前記還元剤が、炭素数が8〜24のアルコール、炭素数が8〜24のホスフィン
、水素化ホウ素化合物、シラン化合物、水素化リチウム、水素化ナトリウムおよびヒドラジンから選ばれる少なくとも1種である上記(5)〜(9)のいずれかに記載の合金ナノ結晶の製造方法、
(11)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の合金ナノ結晶が、該合金ナノ結晶と反応しない溶媒中に分散していることを特徴とする合金ナノ結晶分散液、
(12)前記溶媒が、前記合金ナノ結晶を単分散し得るものである上記(11)に記載の合金ナノ結晶分散液、および
(13)前記溶媒が、炭素数が6〜12の芳香族炭化水素、炭素数が1〜3の塩素化炭化水素、炭素数が5〜18の飽和炭化水素および炭素数が4〜18のエーテルから選ばれる少なくとも1種を50容量%以上含むものである上記(11)または(12)に記載の合金ナノ結晶分散液
を提供するものである。
本発明によれば、製造コストを低減しつつ容易かつ効率よく製造することができ、溶媒中に容易かつ長期間安定して分散可能で、基板上に配列したときに、高密度磁気記録媒体、磁気抵抗効果素子、燃料電池の電極用の触媒または磁気温熱療法用の発熱体等として好適に使用し得る新規合金ナノ結晶を提供することができる。また、本発明によれば、上記合金ナノ結晶を製造する方法および上記合金ナノ結晶の分散液を提供することができる。
先ず、本発明の合金ナノ結晶について説明する。
本発明の合金ナノ結晶は、FeおよびCoから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素と、PtおよびPdから選ばれる少なくとも1種の貴金属元素とを含むコア部と、該コア部の表面に付着した長鎖飽和脂肪酸とを有することを特徴とする。
本発明の合金ナノ結晶を構成するコア部は、FeおよびCoから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素と、PtおよびPdから選ばれる少なくとも1種の貴金属元素とを含むものであり、例えば、FePt、FePd、CoPt、CoPdからなるものである。上記遷移金属元素および貴金属元素は、実質的にfct相を有するかまたはfct相に相転移させることができるものであれば、それぞれコア部に2種づつ含まれていてもよく、例えば、FeとCoの両者が含まれていてもよく、PtとPdの両者が含まれていてもよい。
上記コア部は、実質的にfct相を有するかまたはfct相に相転移させることができるものであれば、上記遷移金属元素および貴金属元素以外に、さらに、Au、Ag、Cu、V、Bi、Sb及びMnからなる群から選ばれる少なくも1種の第3金属元素を含んでもよい。コア部が上記第3金属元素を含む場合、合金ナノ結晶のfct相への相転移温度を低くすることができる。
上記遷移金属元素および貴金属元素の合計含有量に対する上記遷移金属元素の合計含有量の比は、モル比で0.4以上0.7以下であることが好ましく、0.45以上0.60以下であることがより好ましく、0.50以上0.55以下であることがさらに好ましい。遷移金属元素および貴金属元素の合計含有量に対する遷移金属元素の合計含有量の比が、上記範囲内にある場合、得られる合金ナノ結晶が実質的にfct相を有するかまたはfct相に容易に相転移することができる。
コア部が、Au、Ag、Cu、V、Bi、Sb及びMnからなる群から選ばれる少なくも1種の第3金属元素を含む場合、第3金属元素の合計含有量は、コア部を構成する全金属元素量に対して5〜50at%であることが好ましく、10〜40at%であることが
より好ましく、15〜20at%であることがさらに好ましい。第3金属元素の合計量がコア部を構成する全金属元素量に対して5at%未満では、合金ナノ結晶のfct相への相転移温度を十分に低くすることができず、また、第3金属元素の合計量がコア部を構成する全金属元素量に対して50at%を超えると、所望の磁気特性を得ることができなくなる。
上記コア部は、通常、粒子形状を有しており、その平均粒径は1nm以上15nm以下であることが好ましく、1nm以上10nm以下であることがより好ましく、2nm以上8nm以下であることがさらに好ましい。上記平均粒径が1nm未満であると、高い結晶磁気異方性を有するfct相においても合金ナノ結晶個々の異方性エネルギーが熱エネルギーに近接し、熱擾乱の影響が増大して磁気記録媒体材料として十分な熱安定性が得られない。また、上記平均粒径が15nmを越えると、有機溶媒に対する分散性が失われ、基板上へのナノ結晶単層膜の作製に適さなくなる。
なお、本明細書において、平均粒径とは、透過型電子顕微鏡写真により求めたものを意味する。
本発明の合金ナノ結晶は、コア部の表面に付着した長鎖飽和脂肪酸を有している。長鎖飽和脂肪酸としては、アルキル基の炭素数が7〜23のアルキルモノカルボン酸が好ましく、アルキル基の炭素数が7〜19のアルキルモノカルボン酸がより好ましく、アルキル基の炭素数が11〜17のアルキルモノカルボン酸がさらに好ましい。このようなアルキルモノカルボン酸としては、例えば、ウンデシル酸(アルキル基の炭素数10)、ラウリン酸(同11)、トリデシル酸(同12)、パルミチン酸(同15)、へプタデシル酸(同16)、ステアリン酸(同17)、ノナデカン酸(同18)、アラキン酸(炭素数19)等を挙げることができる。アルキル基の炭素数が7未満であると、有機溶媒への分散性が落ちるので、有機溶媒中で合金ナノ結晶が沈殿、凝集しやすくなる。また、アルキル基の炭素数が23を超えると、アルコールなどの極性溶媒に対する長鎖飽和脂肪酸
の溶解度が低下するので、合金ナノ結晶の単離、精製が困難になる。
上記長鎖飽和脂肪酸は、コア部表面を構成する金属元素に配位することにより付着していることが好ましい。
本発明の合金ナノ結晶は、相転移温度が350〜800℃であることが好ましく、550〜750℃であることがより好ましく、600〜700℃であることがさらに好ましい。コア部が第3金属元素を含むものである場合、相転移温度は300〜600℃であることが好ましく、350〜550℃であることがより好ましく、400〜500℃であることがさらに好ましい。
本発明の合金ナノ結晶は、コア部表面に長鎖飽和脂肪酸を有しているため、有機溶媒、特に極性の小さな有機溶媒中に容易に単分散可能である。また、コア部表面の脂肪酸が不飽和結合を有さないことから、脂肪酸の重合による合金ナノ結晶同士の凝集を防止し、合金ナノ結晶を有機溶媒中に安定して分散させることができる。また、本発明の合金ナノ結晶は、コア部表面に長鎖飽和脂肪酸を有しているため、本発明の合金ナノ結晶を含む分散液を基板上に塗布すること等により、自己組織化現象を利用して基板上に安定して合金ナノ結晶を配列することが可能になる。
本発明の合金ナノ結晶は、好ましくは、本発明の合金ナノ結晶の製造方法により製造することができる。
本発明の合金ナノ結晶の製造方法は、本発明の合金ナノ結晶を製造する方法であって、
FeおよびCoから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素を含む長鎖飽和脂肪酸塩と、PtおよびPdから選ばれる少なくとも1種の貴金属元素の塩または錯体とを、溶媒中、還元剤の存在下に加熱することを特徴とするものである。
上記遷移金属元素を含む長鎖飽和脂肪酸塩は、アルキル基の炭素数が7〜23のアルキルモノカルボン酸の塩であることが好ましく、アルキル基の炭素数が7〜19のアルキルモノカルボン酸の塩であることがより好ましく、アルキル基の炭素数が11〜17のアルキルモノカルボン酸の塩であることがさらに好ましい。アルキルモノカルボン酸としては、例えば、ウンデシル酸(アルキル基の炭素数10)、ラウリン酸(同11)、トリデシル酸(同12)、パルミチン酸(同15)、へプタデシル酸(同16)、ステアリン酸(同17)、ノナデカン酸(同18)、アラキン酸(炭素数19)等を挙げることができる。
このような長鎖脂肪酸塩としては、一般式(I)
(C2n+2COO)Fe (ただし、7≦n≦23) (I)
で示される2価のFe脂肪酸塩や、一般式(II)
(C2n+2COO)Co (ただし、7≦n≦23) (II)
で示される2価のCo脂肪酸塩を挙げることができる。一般式(I)で表されるFe脂肪酸塩および一般式(II)で表されるCo脂肪酸塩は単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
一般式(I)および一般式(II)で表される脂肪酸塩は毒性が低く、反応中に一酸化炭素のような有害な分解生成物を放出しない。また、酸素や水に対して安定であり、使用する前に精製を必要としないため、容易に合金ナノ結晶を製造することが可能になる。
また、PtおよびPdから選ばれる少なくとも1種の貴金属元素の塩または錯体は、ハロゲン化物、酢酸塩等のカルボン酸塩、硝酸塩、アセチルアセトナト錯体等のβ−ジケトナト錯体、エチレンジアミン錯体、アンミン錯体、トリフェニルホスフィン錯体等のホスフィン錯体、ニトリル錯体、π−アリル錯体およびシクロオクタジエン錯体から選ばれる少なくとも1種の塩または錯体であることが好ましい。上記錯体としては、配位子中に炭素原子、窒素原子、酸素原子またはリン原子を電子供与原子として有する錯体や、配位子中の塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子が白金またはパラジウムに配位した錯体であれば、特に制限なく使用することができ、このような錯体としては、上記錯体の他、例えば、クロロアンミン錯体、ブロモアンミン錯体、クロロホスフィン錯体等を挙げることができる。
上記遷移金属元素を含む長鎖飽和脂肪酸塩と、PtおよびPdから選ばれる少なくとも1種の貴金属元素の塩または錯体の使用量は、遷移金属元素を含む長鎖飽和脂肪酸塩の使用量が、貴金属元素の塩または錯体の使用量に対してモル換算で0.5〜3.0倍であることが好ましく、0.8〜2.0倍であることがより好ましく、1.0〜1.5倍であることがさらに好ましい。
また、得られる合金ナノ結晶が、Au、Ag、Cu、V、Bi、SbおよびMnからなる群から選ばれる少なくも1種の第3金属元素を含む場合、第3元素の原料としては、上記各元素のハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、カルボン酸塩等の塩や、アルコキシド、アンミン錯体、エチレンジアミン錯体、シアン錯体等の錯体を用いることができる。
本発明の方法において用いられる溶媒としては、上記遷移金属元素を含む長鎖飽和脂肪酸塩および上記貴金属元素の塩または錯体と反応しないものが好ましい。また、上記溶媒としては、200〜400℃の範囲の沸点を有するものが好ましく、このような溶媒とし
ては、沸点が上記範囲内にある炭化水素、エーテル、アルコール、アルキルカルボン酸およびアルキルアミンから選ばれる少なくとも1種を挙げることができ、例えば、沸点が上記範囲内にある炭素数が12〜24のアルキルカルボン酸や、沸点が上記範囲内にある炭素数が12〜24のアルキルアミンを挙げることができる。
本発明の方法で用いられる還元剤としては、炭素数が8〜24のアルコール、炭素数が8〜24のホスフィン、水素化ホウ素化合物、シラン化合物、水素化リチウム、水素化ナトリウムおよびヒドラジンから選ばれる少なくとも1種を挙げることができ、特に炭素数が8〜24のアルコール、炭素数が8〜24のホスフィンが好ましい。上記水素化ホウ素化合物として、具体的には、リチウム塩またはナトリウム塩等が挙げられる。還元剤の使用量は、用いる還元剤の種類、遷移金属元素と貴金属元素の組合せ、反応温度等によって適宜規定することができる。
本発明の方法においては、例えば、上記遷移金属元素を含む長鎖飽和脂肪酸塩、上記貴金属元素の塩または錯体、および場合により第3金属元素の塩または錯体を、還元剤とともに溶媒中に加え、好ましくは200〜400℃、より好ましくは250〜350℃、さらに好ましくは290〜320℃の温度に加熱する。加熱処理は、マイクロ波加熱装置等の電磁波加熱装置、マントルヒーター、オイルバス等により行うことができ、加熱時間は、電磁波加熱装置による場合は1分間以上が好ましく、マントルヒーターやオイルバス等による場合は30分間以上が好ましい。この加熱処理は、希ガスや窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
加熱処理することにより得られた合金ナノ結晶含有液に、アルコール等の合金ナノ結晶を沈殿し得る溶媒を加えて遠心分離すること等により、合金ナノ結晶を分離することができる。また、上記溶媒が、合金ナノ結晶を分散し得るものである場合は、合金ナノ結晶含有液を、そのまま合金ナノ結晶分散液とすることもできる。
得られた合金ナノ結晶がfcc相を有するものである場合、不活性雰囲気中で、好ましくは350℃〜800℃、より好ましくは550〜750℃、さらに好ましくは600〜700℃の温度範囲で加熱処理することにより、fct相に相転移させることができる。加熱処理は、例えば、電気炉、赤外線ヒーターまたはレーザー等により行うことができる。fct相への相転移は、X線回折法等により確認することができる。
本発明の合金ナノ結晶の製造方法においては、安全性が高く取り扱いの容易な原料を、原料量を低減しつつ使用できるとともに、安価な還元剤を使用することができ、また、得られる合金ナノ結晶を容易に単離精製することができるので、製造コストを低減しつつ、容易かつ効率的に合金ナノ結晶を製造することが可能になる。
次に、本発明の合金ナノ結晶分散液について説明する。
本発明の合金ナノ結晶分散液は、本発明の合金ナノ結晶が、該合金ナノ結晶と反応しない溶媒中に分散していることを特徴とする。
上記溶媒としては、本発明の合金ナノ結晶と反応せず、これを単分散し得るものであれば特に制限されず、例えば、炭素数が6〜12の芳香族炭化水素、炭素数が1〜3の塩素化炭化水素、炭素数が5〜18の飽和炭化水素および炭素数が4〜18のエーテルから選ばれる少なくとも1種を挙げることができ、特に、トルエン、クロロホルム、ヘキサン、ジエチルエーテル等であることが好ましい。また、上記各溶媒から選ばれる少なくとも1種を50容量%以上含むものが好ましく、80容量%以上含むものがより好ましく、上記溶媒のみからなるものが特に好ましい。
本発明の合金ナノ結晶分散液は、本発明の合金ナノ結晶を溶媒中に混合、分散することにより容易に得ることができる。
本発明の合金ナノ結晶分散液を用いて、高密度磁気記録媒体を製造する方法としては、例えば、本発明の合金ナノ結晶分散液をディップコート法等により基板上に塗布し、溶媒を乾燥処理する方法を挙げることができる。分散液中に含まれる合金ナノ結晶が、fcc相を有するものである場合は、分散液を基板上に滴下した後、不活性雰囲気中で、好ましくは350℃〜800℃、より好ましくは550〜750℃、さらに好ましくは600〜700℃の温度に加熱処理することにより、fct相に相転移させることができる。加熱処理は、例えば、電気炉、赤外線ヒーターまたはレーザー等により行うことができる。fct相への相転移は、X線回折法等により確認することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1
ジオクチルエーテル4mLにステアリン酸鉄(II)90mg、ビス(アセチルアセトナト)白金(II)40mgおよび1,2−ヘキサデカンジオール400mgを加え、Arガス雰囲気下で撹拌しながら280℃で30分加熱を行なった。
反応溶液を室温まで冷却した後、エタノールを加えて遠心分離を行い、沈殿物を集めることにより、ステアリン酸が表面に付着したFePtナノ結晶を得た。
また、上記FePtナノ結晶をトルエンに単分散させることによりFePtナノ結晶のトルエン分散液を作製した。
上記FePtナノ結晶において、コア部の組成、コア部の平均粒径、コア部の結晶相を以下の方法で測定し、得られた結果を表1に示す。
(1)コア部の組成
ICP発光分光分析装置(セイコー電子工業(株)製SPS4000)を用いて、誘導結合プラズマ原子発光法により、測定した。
(2)コア部の平均粒径
粒子像を透過型電子顕微鏡(日本電子(株)製、JEM2000EX)で観察することにより、測定した。
(3)コア部の結晶相
X線回折装置((株)マックサイエンス製、MXP−18)により、確認した。
また、得られたFePtナノ結晶を、10−5Torrの真空中で700℃,30分加熱処理をすることにより、fct相へ相転移することをX線回折により確認した。
実施例2
オクタデセン4mLにステアリン酸鉄(II)90mg、ビス(アセチルアセトナト)白金(II)40mgおよび1,2−ヘキサデカンジオール400mgを加え、Arガス雰囲気下で撹拌しながら320℃で30分加熱を行なった。
反応溶液を室温まで冷却した後、エタノールを加えて遠心分離を行い、沈殿物を集めることにより、ステアリン酸が表面に付着したFePtナノ結晶を得た。
また、上記FePtナノ結晶をトルエンに単分散させることにより、FePtナノ結晶のトルエン分散液を作製した。
得られたFePtナノ結晶における、コア部の組成、平均粒径および結晶相を実施例1と同様の方法で調べた結果を表1に示す。
実施例3
2−ドデカノール4mLにステアリン酸鉄(II)90mg、ビス(アセチルアセトナト)白金(II)40mgおよび1,2−ヘキサデカンジオール400mgを加え、Arガス雰囲気下で撹拌しながら300℃で30分加熱を行なった。
反応溶液を室温まで冷却した後、エタノールを加えて遠心分離を行い、沈殿物を集めることにより、ステアリン酸が表面に付着したFePtナノ結晶を得た。
また、上記FePtナノ結晶をクロロホルムに単分散させることによりFePtナノ結晶のクロロホルム分散液を作製した。
得られたFePtナノ結晶における、コア部の組成、平均粒径および結晶相を実施例1と同様の方法で調べた結果を表1に示す。また、得られたナノ結晶を10−5Torrの真空中で700℃,30分加熱処理をすることにより、fct相へ相転移することをX線回折により確認した。
実施例4
ジオクチルエーテル4mLにステアリン酸鉄(II)90mg、cis−ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)白金(II)80mgおよび1,2−ヘキサデカンジオール400mgを加え、Arガス雰囲気下で撹拌しながら280℃で30分加熱を行なった。
反応溶液を室温まで冷却した後、エタノールを加えて遠心分離を行い、沈殿物を集めることによりステアリン酸が表面に付着したFePtナノ結晶を得た。
また、得られたFePtナノ結晶をジエチルエーテルに分散させることによりFePtナノ結晶のジエチルエーテル分散液を作製した。
得られたFePtナノ結晶における、コア部の組成、平均粒径および結晶相を実施例1と同様の方法で調べた結果を表1に示す。また、得られたナノ結晶を10−5Torrの真空中で700℃,30分加熱処理をすることにより、fct相へ相転移することをX線回折により確認した。
実施例5
ジオクチルエーテル4mLにステアリン酸鉄(II)90mg、ビス(アセチルアセトナト)白金(II)40mgおよびトリオクチルホスフィン560mgを加え、Arガス雰囲気下で撹拌しながら280℃で30分加熱を行なった。
反応溶液を室温まで冷却した後、エタノールを加えて遠心分離を行い、沈殿物を集めることによりステアリン酸が表面に付着したFePtナノ結晶を得た。
また、得られたFePtナノ結晶をクロロホルムに単分散させることにより、FePtナノ結晶のクロロホルム分散液を作製した。
得られたFePtナノ結晶における、コア部の組成、平均粒径および結晶相を実施例1と同様の方法で調べた結果を表1に示す。また、得られたナノ結晶を10−5Torrの真空中で700℃,30分加熱処理をすることにより、fct相へ相転移することをX線回折により確認した。
実施例6
ジオクチルエーテル4mLにステアリン酸鉄(II)90mg、ビス(アセチルアセトナト)白金(II)40mgおよびトリヘキシルシラン430mgを加え、Arガス雰囲気下で撹拌しながら280℃で30分加熱を行なった。
反応溶液を室温まで冷却した後、エタノールを加えて遠心分離を行い、沈殿物を集めることにより、ステアリン酸が表面に付着したFePtナノ結晶を得た。
また、得られたFePtナノ結晶をクロロホルムに単分散させることにより、FePtナノ結晶のクロロホルム分散液を作製した。
得られたFePtナノ結晶における、コア部の組成、平均粒径および結晶相を実施例1と同様の方法で調べた結果を表1に示す。また、得られたナノ結晶を10−5Torrの真空中で700℃,30分加熱処理をすることにより、fct相へ相転移することをX線回折により確認した。
実施例7
ジオクチルエーテル4mLにステアリン酸鉄(II)90mg、ビス(アセチルアセトナト)白金(II)40mgおよびトリ−2−ブチル水素化ホウ素リチウム290mgを加え、Arガス雰囲気下で撹拌しながら280℃で30分加熱を行なった。
反応溶液を室温まで冷却した後、エタノールを加えて遠心分離を行い、沈殿物を集めることにより、ステアリン酸が表面に付着したFePtナノ結晶を得た。
また、得られたFePtナノ結晶をクロロホルムに単分散させることにより、FePtナノ結晶のクロロホルム分散液を作製した。
得られたFePtナノ結晶における、コア部の組成、平均粒径および結晶相を実施例1と同様の方法で調べた結果を表1に示す。また、得られたナノ結晶を10−5Torrの真空中で700℃,30分加熱処理をすることにより、fct相へ相転移することをX線回折により確認した。
実施例8
ジオクチルエーテル4mLにステアリン酸鉄(II)90mg、ビス(アセチルアセトナト)白金(II)40mgおよび水素化リチウム30mgを加え、Arガス雰囲気下で撹拌しながら280℃で30分加熱を行なった。
反応溶液を室温まで冷却した後、エタノールを加えて遠心分離を行い、沈殿物を集めることにより、ステアリン酸が表面に付着したFePtナノ結晶を得た。
また、得られたFePtナノ結晶をクロロホルムに単分散させることにより、FePtナノ結晶のクロロホルム分散液を作製した。
得られたFePtナノ結晶における、コア部の組成、平均粒径および結晶相を実施例1と同様の方法で調べた結果を表1に示す。また、得られたナノ結晶を10−5Torrの真空中で700℃,30分加熱処理をすることにより、fct相へ相転移することをX線回折により確認した。
実施例9
ジオクチルエーテル4mLにステアリン酸鉄(II)90mg、ビス(アセチルアセトナト)白金(II)40mgおよび水素化ナトリウム60mgを加え、Arガス雰囲気下で撹拌しながら280℃で30分加熱を行なった。
反応溶液を室温まで冷却した後、エタノールを加えて遠心分離を行い、沈殿物を集めることにより、ステアリン酸が表面に付着したFePtナノ結晶を得た。
また、得られたFePtナノ結晶をクロロホルムに単分散させることにより、FePtナノ結晶のクロロホルム分散液を作製した。
得られたFePtナノ結晶における、コア部の組成、平均粒径および結晶相を実施例1と同様の方法で調べた結果を表1に示す。また、得られたナノ結晶を10−5Torrの真空中で700℃,30分加熱処理をすることにより、fct相へ相転移することをX線回折により確認した。
実施例10
ジオクチルエーテル4mLにステアリン酸コバルト(II)90mg、ビス(アセチルアセトナト)白金(II)40mgおよび1,2−ヘキサデカンジオール400mgを加え、Arガス雰囲気下で撹拌しながら280℃で30分加熱を行なった。
反応溶液を室温まで冷却した後、エタノールを加えて遠心分離を行い、沈殿物を集めることにより、ステアリン酸が表面に付着したCoPtナノ結晶を得た。
また、得られたCoPtナノ結晶をトルエンに単分散させることにより、CoPtナノ結晶のトルエン分散液を作製した。
得られたCoPtナノ結晶における、コア部の組成、平均粒径および結晶相を実施例1と同様の方法で調べた結果を表1に示す。また、得られたナノ結晶を10−5Torrの真空中で700℃,30分加熱処理をすることにより、fct相へ相転移することをX線回折により確認した。
実施例11
オクタデセン4mLにステアリン酸コバルト(II)90mg、ビス(アセチルアセトナト)白金(II)40mgおよび1,2−ヘキサデカンジオール400mgを加え、Arガス雰囲気下で撹拌しながら320℃で30分加熱を行なった。
反応溶液を室温まで冷却した後、エタノールを加えて遠心分離を行い、沈殿物を集めることにより、ステアリン酸が表面に付着したCoPtナノ結晶を得た。
また、得られたCoPtナノ結晶をトルエンに単分散させることによりステアリン酸で表面を保護されたCoPtナノ結晶のトルエン分散液を作製した。
得られたCoPtナノ結晶における、コア部の組成、平均粒径および結晶相を実施例1と同様の方法で調べた結果を表1に示す。
実施例12
ジオクチルエーテル4mLにステアリン酸鉄(II)90mg、ビス(アセチルアセトナト)パラジウム(II)31mgおよび1,2−ヘキサデカンジオール400mgを加え、Arガス雰囲気下で撹拌しながら280℃で30分加熱を行なった。
反応溶液を室温まで冷却した後、エタノールを加えて遠心分離を行い、沈殿物を集めることにより、ステアリン酸が表面に付着したFePdナノ結晶を得た。
また、得られたFePdナノ結晶をヘキサンに溶解することにより、FePdナノ結晶のヘキサン溶液を作製した。
得られたFePdナノ結晶において、コア部の組成、平均粒径および結晶相を実施例1と同様の方法で調べた結果を表1に示す。また、得られたナノ結晶を10−5Torrの真空中で700℃,30分加熱処理をすることにより、fct相へ相転移することをX線
回折により確認した。
実施例13
ジオクチルエーテル4mLにステアリン酸鉄(II)90mg、酢酸パラジウム(II)23mgおよび1,2−ヘキサデカンジオール400mgを加え、Arガス雰囲気下で撹拌しながら280℃で30分加熱を行なった。
反応溶液を室温まで冷却した後、エタノールを加え遠心分離を行い、沈殿物を集めることにより、ステアリン酸が表面に付着したFePdナノ結晶を得た。
また、得られたFePdナノ結晶をヘキサンに溶解することにより、FePdナノ結晶のヘキサン溶液を作製した。
得られたFePdナノ結晶において、コア部の組成、平均粒径および結晶相を実施例1と同様の方法で調べた結果を表1に示す。また、得られたナノ結晶を10−5Torrの真空中で700℃,30分加熱処理をすることにより、fct相へ相転移することをX線回折により確認した。
実施例14
ジオクチルエーテル4mLにステアリン酸コバルト(II)90mg、ビス(アセチルアセトナト)パラジウム(II)31mgおよび1,2−ヘキサデカンジオール400mgを加え、Arガス雰囲気下で撹拌しながら280℃で30分加熱を行なった。
反応溶液を室温まで冷却した後、エタノールを加え遠心分離を行い、沈殿物を集めることにより、ステアリン酸が表面に付着したCoPdナノ結晶を得た。
また、得られたCoPdナノ結晶をヘキサンに溶解することにより、CoPdナノ結晶のヘキサン溶液を作製した。
得られたCoPdナノ結晶において、コア部の組成、平均粒径および結晶相を実施例1と同様の方法で調べた結果を表1に示す。
実施例15
ジオクチルエーテル4mLにステアリン酸コバルト(II)90mg、硝酸パラジウム(II)23mgおよびトリオクチルホスフィン560mgを加え、Arガス雰囲気下で撹拌しながら280℃で30分加熱を行なった。
反応溶液を室温まで冷却した後、エタノールを加え遠心分離を行い、沈殿物を集めることにより、ステアリン酸が表面に付着したCoPdナノ結晶を得た。
また、得られたCoPdナノ結晶をヘキサンに溶解することにより、CoPdナノ結晶のヘキサン溶液を作製した。
得られたCoPdナノ結晶において、コア部の組成、平均粒径および結晶相を実施例1と同様の方法で調べた結果を表1に示す。
Figure 2008163404
実施例1〜15より、本発明においては、新規な合金ナノ結晶を、取り扱いの容易な原料を用い、製造コストを低減しつつ、反応液から容易に単離精製して作製できることが分かる。また、得られた合金ナノ結晶は、表面に長鎖飽和脂肪酸を有していることから、溶媒中に容易に分散することができ、空気酸化を受けたり合金ナノ結晶同士の凝集が起きることなく長期間安定して分散できることが分かる。さらに、本発明の合金ナノ結晶は、そのほとんどがfct相を有するかまたはfct相に相転移させることができるものであるため、基板上に配列したときに、高密度磁気記録媒体、磁気抵抗効果素子、燃料電池の電極用の触媒または磁気温熱療法用の発熱体等として好適に使用し得るものであることが分かる。
本発明によれば、製造コストを低減しつつ容易かつ効率よく製造することができ、溶媒中に容易かつ長期間安定して分散可能で、基板上に配列したときに、高密度磁気記録媒体、磁気抵抗効果素子、燃料電池の電極用の触媒または磁気温熱療法用の発熱体等として好適に使用し得る新規合金ナノ結晶を提供することができる。また、本発明によれば、上記合金ナノ結晶を製造する方法および上記合金ナノ結晶の分散液を提供することができる。

Claims (13)

  1. FeおよびCoから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素と、PtおよびPdから選ばれる少なくとも1種の貴金属元素とを含むコア部と、該コア部の表面に付着した長鎖飽和脂肪酸とを有することを特徴とする合金ナノ結晶。
  2. 前記遷移金属元素および貴金属元素の合計含有量に対する前記遷移金属元素の合計含有量の比がモル比で0.4以上0.7以下である請求項1に記載の合金ナノ結晶。
  3. 前記コア部が粒子形状を有し、その平均粒径が1nm以上15nm以下である請求項1または請求項2に記載の合金ナノ結晶。
  4. 前記長鎖飽和脂肪酸が、アルキル基の炭素数が7〜23のアルキルモノカルボン酸である請求項1〜請求項3のいずれかに記載の合金ナノ結晶。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の合金ナノ結晶を製造する方法であって、
    FeおよびCoから選ばれる少なくとも1種の遷移金属元素を含む長鎖飽和脂肪酸塩と、PtおよびPdから選ばれる少なくとも1種の貴金属元素の塩または錯体とを、溶媒中、還元剤の存在下に加熱することを特徴とする合金ナノ結晶の製造方法。
  6. 前記遷移金属元素を含む長鎖飽和脂肪酸塩が、アルキル基の炭素数が7〜23のアルキルモノカルボン酸の塩である請求項5に記載の合金ナノ結晶の製造方法。
  7. 前記貴金属元素の塩または錯体が、ハロゲン化物、カルボン酸塩、硝酸塩、β−ジケトナト錯体、エチレンジアミン錯体、アンミン錯体、ホスフィン錯体、ニトリル錯体、π−アリル錯体およびシクロオクタジエン錯体から選ばれる少なくとも1種の塩または錯体である請求項5または請求項6に記載の合金ナノ結晶の製造方法。
  8. 前記溶媒が、前記遷移金属元素を含む長鎖飽和脂肪酸塩および前記貴金属元素の塩または錯体と反応しないものである請求項5〜請求項7のいずれかに記載の合金ナノ結晶の製造方法。
  9. 前記溶媒が、200〜400℃の範囲の沸点を有するものである請求項5〜請求項8のいずれかに記載の合金ナノ結晶の製造方法。
  10. 前記還元剤が、炭素数が8〜24のアルコール、炭素数が8〜24のホスフィン、水素化ホウ素化合物、シラン化合物、水素化リチウム、水素化ナトリウムおよびヒドラジンから選ばれる少なくとも1種である請求項5〜請求項9のいずれかに記載の合金ナノ結晶の製造方法。
  11. 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の合金ナノ結晶が、該合金ナノ結晶と反応しない溶媒中に分散していることを特徴とする合金ナノ結晶分散液。
  12. 前記溶媒が、前記合金ナノ結晶を単分散し得るものである請求項11に記載の合金ナノ結晶分散液。
  13. 前記溶媒が、炭素数が6〜12の芳香族炭化水素、炭素数が1〜3の塩素化炭化水素、炭素数が5〜18の飽和炭化水素および炭素数が4〜18のエーテルから選ばれる少なくとも1種を50容量%以上含むものである請求項11または請求項12に記載の合金ナノ結晶分散液。
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