JP2008159430A - 撚線導体の製造方法、及びそれに用いる撚線機用の従動車 - Google Patents
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Abstract
【課題】撚癖である螺旋状のうねりを軽減するとともに、真円性の優れた撚線導体の製造方法、及びそれに用いる撚線機用の従動車を提供する。
【解決手段】回転駆動軸12と一体に回転する1個の環状のブロックで構成された引取車2と、複数の環状のブロック3、4、5で構成され、該各ブロック3、4、5を支軸7に対して各々回転自在に遊嵌してなる従動車1を有する撚線機を用い、前記従動車1と前記引取車2間の線掛け形態を、クロス掛けからオーバル掛けへ、又は/及びオーバル掛けからクロス掛けへと変更する。
【選択図】図3
【解決手段】回転駆動軸12と一体に回転する1個の環状のブロックで構成された引取車2と、複数の環状のブロック3、4、5で構成され、該各ブロック3、4、5を支軸7に対して各々回転自在に遊嵌してなる従動車1を有する撚線機を用い、前記従動車1と前記引取車2間の線掛け形態を、クロス掛けからオーバル掛けへ、又は/及びオーバル掛けからクロス掛けへと変更する。
【選択図】図3
Description
本発明は、撚線導体の製造方法、及びそれに用いる撚線機用の従動車に関するもので、より詳しくは、電線等に使用される撚線導体の製造方法、及びその製造に用いるダブルツイツトバンチャー機用の従動車に関するものである。
電線等に使用される撚線導体を製造する撚線機として、ダブルツイツトバンチャー機等がある。このうちのダブルツイツトバンチャー機において、撚線導体の撚りピッチを設定する方法として、歯車交換式と引取車交換方式がある。
従来、このうちの引取車交換方式に用いる引取車及び従動車としては、図4(a)に示すように、1つのブロックからなる環状の車輪で構成された引取車101と、図4(b)に示すように、1つのブロックからなる環状の車輪で構成された従動車102を用いたものがある。この引取車101、従動車102には、必要に応じ、V字状の溝からなる走線路103、104が、軸105、106の軸心を中心として、円周状に複数本平行して形成されている。該引取車101と従動車102の走線路103、104間に撚線導体の中間体(以下、撚線という)を掛け渡すようになっている。
この撚線の撚りピッチの大きさは引取車101の直径の大きさにより使い分けがなされ、撚りピッチが細かい程、引取車101の直径は小さくなるものである。
また、引取車101は回転駆動軸105に固設され、図示しない撚線機本体内の駆動手段により、回転駆動軸105が回転され、それに伴い引取車101も回転するようになっている。また、従動車102は、軸106に対して回転自在に設けられている。
前記従来技術においては、引取車101が1つのブロックとして一体に形成され回転駆動軸105に固着されていることにより、引取車101の回転方向は、回転駆動軸105の回転方向と同じになる。この引取車101の回転方向は、撚り方向によって時計方向あるいは反時計方向に設定されている。
また、従動車102も1つのブロックとして一体に形成されていることにより、この従動車102の回転方向は、引取車101及び従動車102の各走線路103と104に掛け渡した撚線の掛け方によって決まり、従動車102の回転方向は、引取車101の回転方向と同方向若しくは逆方向のいずれか一方向の回転となる。
そのため、引取車101と従動車102の走線路103、104間に掛け渡す撚線の線掛け(走線方向)を経路途中で変更すること、すなわち、クロス掛けからオーバル掛け、或いはオーバル掛けからクロス掛けへと変更することは物理的にできない。そのため、撚線は、引取車101における複数の走線路103を同じ回転方向で走線することになり、撚線には、引取車101の車輪径(走線路103の谷底で形成される円の内径)のR形状が印加され、製造された撚線導体は、図5(b)に示すように、撚癖としての螺旋状のうねりが発生するという問題点がある。
撚りピッチが細かく、かつ、引取車101と従動車102の走線路103、104間の線掛け方向がクロス掛けの場合には、引取車101の車輪径が小さいこともあり、撚癖が一層強く、真直性のないうねりが生ずるものとなる。この撚線導体のうねりは線材が硬くなる程、また、撚りピッチが細かく成ればなる程、強い状態として現れるものである。
このうねりを有する撚線導体に被覆材を被覆し電線とすると、被覆材が薄い場合には、製造した電線にも螺旋状のうねりが生じ、電線としての機能特性を劣悪なものにするという問題点がある。
前記のうねりは、矯線機を通すことにより改善することができるが、矯線機を通すと撚線導体の横断面での真円性が損なわれるという新たな問題が生ずる。また、矯線機を再度通すという工程が増え製造コストが増大するという問題点もある。
そこで、本発明は、前記撚癖である螺旋状のうねりを軽減するとともに、真円性の優れた撚線導体の製造方法、及びそれに用いる撚線機用の従動車を提供することを目的とするものである。
前記の課題を解決するために、請求項1記載の発明は、回転駆動軸と一体に回転する1個の環状のブロックで構成された引取車と、
複数の環状のブロックで構成され、該各ブロックを支軸に対して各々回転自在に遊嵌してなる従動車を有する撚線機を用い、
前記従動車と前記引取車間の線掛け形態を、クロス掛けからオーバル掛けへ、又は/及びオーバル掛けからクロス掛けへと変更することを特徴とする撚線導体の製造方法である。
複数の環状のブロックで構成され、該各ブロックを支軸に対して各々回転自在に遊嵌してなる従動車を有する撚線機を用い、
前記従動車と前記引取車間の線掛け形態を、クロス掛けからオーバル掛けへ、又は/及びオーバル掛けからクロス掛けへと変更することを特徴とする撚線導体の製造方法である。
請求項2記載の発明は、回転駆動軸と一体に回転する1個の環状のブロックで構成される引取車に対して設けられる撚線機用の従動車であって、
前記従動車は、複数の環状のブロックで構成され、該各ブロックを支軸に対して各々回転自在に遊嵌して形成されていることを特徴とする撚線機用の従動車である。
前記従動車は、複数の環状のブロックで構成され、該各ブロックを支軸に対して各々回転自在に遊嵌して形成されていることを特徴とする撚線機用の従動車である。
本発明によれば、従動車を複数のブロックで構成し、その各ブロックを夫々回転自在に設けたことにより、引取車と従動車間の線掛け形態(クロス掛けとオーバル掛け)、すなわち、走線方向を途中で変更できるので、撚線導体に生じる撚癖(うねり)を前記従来のものよりも軽減でき真直性の優れた撚線導体を得ることができる。これにより、矯線機を通す必要がなくなることで、真円性の優れた撚線導体を提供することができる。また、矯線機を通す必要がなくなることで、製造時間を短縮でき製造コストを下げることができる。
更に、引取車は従来の1つのブロックのものをそのまま使用できる。
本発明を実施するための最良の形態を図に基づいて説明する。
図1は、本発明に用いる従動車1の上面図、図2は引取車2の上面図を示すものである。
前記従動車1について説明する。
該従動車1は、図1、図3に示すように、第1ブロック3、第2ブロック4、第3ブロック5の3個のブロックで構成されている。各ブロック3、4、5は、支軸7に対して、回転自在に遊嵌して設けられ、各々のブロック3、4、5は、時計方向(一方向)にも、反時計方向(逆方向)にも独立して回転可能となっている。前記支軸7の基部側(図1の左側)は、図示しない撚線機本体に固設され、支軸7の先端側(図1の右側)には、抜止部材8が固設されている。
該従動車1は、図1、図3に示すように、第1ブロック3、第2ブロック4、第3ブロック5の3個のブロックで構成されている。各ブロック3、4、5は、支軸7に対して、回転自在に遊嵌して設けられ、各々のブロック3、4、5は、時計方向(一方向)にも、反時計方向(逆方向)にも独立して回転可能となっている。前記支軸7の基部側(図1の左側)は、図示しない撚線機本体に固設され、支軸7の先端側(図1の右側)には、抜止部材8が固設されている。
前記各ブロック3、4、5は、図3に示すように、環状の車輪で形成され、図1に示すように、その外周面には横断面がV字状の溝からなる走線路10が、支軸7の中心軸を中心とする円周状に形成されている。
前記走線路10は、図1に示すように、第1ブロック3には3本平行して形成され、第2ブロック4には3本平行して形成され、第3ブロック5には1本形成され、従動車1全体として合計7本の走線路10を有している。各ブロック3、4、5における走線路10は、相互に平行して形成されている。
各ブロック3、4、5の厚みは、前記走線路10の個数に比例する。すなわち、1本の走線路10を有する第3ブロック5の厚みは、3本の走線路10を有する第1ブロック3、第2ブロック4の厚みの1/3となる。
次に、前記引取車2について説明する。
該引取車2は、図2に示すように、1つのブロックからなる環状の車輪で形成されている。該引取車2の外周面には、前記従動車1と同様に、横断面がV字状の溝からなる走線路11が形成され、該走線路11は6本で相互に平行して形成されている。従って、従動車1の走線路10の合計数は、引取車2の走線路11の数よりも1本多くなる。
該引取車2は、図2に示すように、1つのブロックからなる環状の車輪で形成されている。該引取車2の外周面には、前記従動車1と同様に、横断面がV字状の溝からなる走線路11が形成され、該走線路11は6本で相互に平行して形成されている。従って、従動車1の走線路10の合計数は、引取車2の走線路11の数よりも1本多くなる。
該引取車2は、回転駆動軸12に固設され、図示しない撚線機本体に設けられた回転駆動手段によって回転駆動軸12が回転駆動されることにより、引取車2も回転駆動軸12と一体に回転するようになっている。該引取車2は、前記従来技術の引取車101と同じものを使用している。
次に、前記従動車1及び引取車2への撚線14の掛け方について、図3を用いて説明する。なお、図3において前側をXとし、後側をYとして説明する。
先ず、撚線14を、中心案内車15の図3における下側から前側を経て上側に向かって通した後に、従動車1の第1ブロック3の最内部に位置する走線路10、すなわち、第1走線路20に対し、図3における前側から上側に掛け通した後、図3のAのように、引取車2の最内部に位置する走線路11、すなわち、第1走線路30に対し、図3における下側から後側を経て上側に向かって通した後、図3のBのように、従動車1の第1ブロック3の前記第1走線路20に隣接する第2走線路21の下側に掛け通す。この撚線14の線掛け形態A、Bは、クロス掛けとなる。
その後前記と同様に、従動車1の第1ブロック3の第2走線路21と、引取車2の第1走線路30に隣接する第2走線路31と、従動車1の第1ブロック3の第2走路21に隣接する第3走線路22と、引取車2の第2走路31に隣接する第3走線路32間を、各々クロス掛けにより撚線14の線掛けを行う。
次に、引取車2の第3走線路32に対し、図3における下側から後側を経て上側に通した撚線14を、図3のCのように、従動車1の第2ブロック4の最内部に位置する第1走線路23の図3における上側に掛け渡し、その前側を経て下側に向かって通す。その後に、図3のDのように、引取車2の第3走路32に隣接する第4走路33の図3における下側に掛け渡し、その後側を経て上側に向かって通した後に、図3のEのように、従動車1の第2ブロック4の第1走線路23に隣接する第2走線路24の上側に向かって掛け渡す。この撚線14の線掛け形態C、D、Eは、オーバル掛けとなる。
その後前記と同様に、従動車1の第2ブロック4の第2走線路24と、引取車2の前記第4走線路33に隣接する第5走線路34と、従動車1の第2ブロック4の前記第2走路24に隣接する第3走線路25と、引取車2の前記第5走路34に隣接する第6走線路35間を、オーバル掛けにより撚線14の線掛けを行う。
次に、引取車2の第6走線路35に対し、図3における下側から後側を経て上側に通した撚線14を、従動車1の第3ブロック5の走線路26に対し、図3における下側に、図3のFのようにクロス掛けで掛け渡し、その前側を経て上側に向かって通した後に、図3のGのように、図示しない撚線機本体に設けられている走線路案内車38に掛け渡した後に撚線導体となる。
この撚線導体を構成する素線としては、銅線や該銅線に、錫、ニッケル、銀をメッキしたものや、或いはアルミ線、各種合金線を使用できる。
素線径0.184mmの錫メッキ軟銅線12本を、圧縮率7.2%で成形し、撚りピッチ7.2mmで右撚りした撚線14を、前記従来の引取車101及び従動車102を用いて処理したところ、図5(b)に示す撚線導体41が得られた。これを比較品1とする。
素線径0.184mmの錫メッキ軟銅線12本を、圧縮率7.2%で成形し、撚りピッチ7.2mmで右撚りした撚線14を、前記本発明の引取車2及び従動車1を用いて上記のように処理したところ、図5(a)に示す撚線導体40が得られた。これを実施品1とする。
比較品1及び実施品1を、各々直線状に伸張させて1mの長さで切断した後のスプリングバック値L1は、比較品1が10mmであるのに対し実施品1は2mmであった。比較品1の螺旋状のうねりの振幅値L2(中心軸Zから螺旋の最外端までの距離L3の2倍)は20mmであるのに対し、実施品1の振幅値L2は2mmであった。また、比較品1及び実施品1の1mにおける山(螺旋の頂点)43の数は、共に6山であった。
この結果より、本発明の実施品1は、従来技術の比較品1よりもスプリングバック値L1で80%、振幅値L2で90%の改善が見られ、実施品1は真直性に優れた撚線導体であることが確認できた。
以上のようであるため、本発明によれば、従動車1を複数のブロックで構成し、これらを支軸7に対して回転自在に備えたことにより、引取車2と従動車1との間の線掛け形態を、クロス掛けからオーバル掛けへ、更に、オーバル掛けからクロス掛けへと自在に変更することができ、すなわち、線掛け形態が一方向でなく逆方向掛けが可能となることにより、撚線導体に生じる撚癖(うねり)を前記従来のものよりも軽減でき真直性の優れた撚線導体を得ることができる。これにより、矯線機を通す必要がなく、矯線機による真円性が損なわれることがなくなり、真円性の優れた撚線導体を提供することができる。また、矯線機を通す必要がなくなることで、製造時間を短縮でき製造コストを下げることができる。
更に、従来の引取車をそのまま使用することができる。
更に、従動車1及び引取車2の走線路10、11の横断面をV字状の溝としたことで、撚線14が常に、V字状の溝の一定の部位に位置することとなり、撚線14が製造中にずれることがなく、安定した撚線導体を得ることができる。
更に、従動車1及び引取車2の走線路10、11の横断面をV字状の溝としたことで、撚線14が常に、V字状の溝の一定の部位に位置することとなり、撚線14が製造中にずれることがなく、安定した撚線導体を得ることができる。
前記実施例1においては、引取車2と従動車1との間の線掛け形態を、クロス掛けからオーバル掛けへ、更にオーバル掛けからクロス掛けに変更するようにしたものであるが、引取車2と従動車1との間の線掛け形態を、オーバル掛けからクロス掛けや、クロス掛けからオーバル掛けへの変更のみとしてもよいし、オーバル掛けからクロス掛け及びクロス掛けからオーバル掛けを任意に組み合わせても良い。
。
。
前記実施例1においては、従動車1を、3つのブロックで構成したが、従動車は複数のブロックで構成すればよく、その構成数は任意に設定でき、走線路が1つからなるブロックを7つ設けても良い。
また、前記実施例1においては、従動車1を構成する第1ブロック3に3つの走線路10を、第2ブロック4に3つの走線路10を、第3ブロック5に1つ走線路10を形成したが、各ブロックに形成する走線路10の数は、任意に設定することができる。
また、前記実施例1においては、従動車1に設けた合計の走線路10の数を7つとしたが、その数は複数で、かつ、従動車1の走線路10の合計数が、引取車2の走線路11の数よりも1つ多い数となるように任意に設定してもよい。
なお、上記以外の構造、構成及び製造方法は前記実施例1と同様である。
本実施例2においても、前記実施例1と同様の作用、効果を奏する。
本実施例2においても、前記実施例1と同様の作用、効果を奏する。
1 従動車
2 引取車
3、4、5 従動車のブロック
40 撚線導体
2 引取車
3、4、5 従動車のブロック
40 撚線導体
Claims (2)
- 回転駆動軸と一体に回転する1個の環状のブロックで構成された引取車と、
複数の環状のブロックで構成され、該各ブロックを支軸に対して各々回転自在に遊嵌してなる従動車を有する撚線機を用い、
前記従動車と前記引取車間の線掛け形態を、クロス掛けからオーバル掛けへ、又は/及びオーバル掛けからクロス掛けへと変更することを特徴とする撚線導体の製造方法。 - 回転駆動軸と一体に回転する1個の環状のブロックで構成される引取車に対して設けられる撚線機用の従動車であって、
前記従動車は、複数の環状のブロックで構成され、該各ブロックを支軸に対して各々回転自在に遊嵌して形成されていることを特徴とする撚線機用の従動車。
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JP2006347597A JP2008159430A (ja) | 2006-12-25 | 2006-12-25 | 撚線導体の製造方法、及びそれに用いる撚線機用の従動車 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110167475A (zh) * | 2017-10-26 | 2019-08-23 | 爱惜康有限责任公司 | 用于机器人外科工具的改进驱动缆线绞盘 |
CN112408078A (zh) * | 2020-12-01 | 2021-02-26 | 江苏汉鼎机械有限公司 | 一种双轮牵引机及其使用方法 |
Citations (1)
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---|---|---|---|---|
JP2002008460A (ja) * | 2000-06-20 | 2002-01-11 | Sanshu Densen Kk | キャプスタンホイール装置 |
-
2006
- 2006-12-25 JP JP2006347597A patent/JP2008159430A/ja active Pending
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