JP2008159310A - ランプ - Google Patents

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Takahiro Endo
孝宏 遠藤
Masaru Shimoyama
勝 下山
Yuko Tsuruta
祐子 鶴田
Hiroshi Mori
寛 森
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Abstract

【課題】周囲環境の湿度が高い場合には湿気を速やかに吸収し、逆に周囲環境の湿度が低い場合には吸収した湿気を速やかに放出することができる吸放湿性能の可逆性と応答性に優れた調湿シートをランプハウジング内に設けることにより結露を防止し、ランプ機能の低下(照度の低下)、見映えの低下を効果的に防止したランプを提供する。
【解決手段】水蒸気を可逆的に吸放湿する調湿粒子が、熱可塑性樹脂粉体により互いに接着されてシート状に成形されてなる、空隙率が15%以上の調湿層を備える調湿シート10,10Aを、ランプハウジング11内に設けたランプ。調湿粒子間に形成される空隙の割合が大きいために、調湿粒子間の空隙を吸放湿のための保水スペースとして利用し、調湿粒子本来の吸放湿能力のみならず、調湿粒子間の空隙による吸放湿能力をも援用して、高い可逆的吸放湿性能と、優れた吸放湿応答性で、ランプハウジング11内での結露を防止することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ランプハウジング内の結露を防止して、ランプ機能の低下(照度の低下)、見映えの低下を防止したランプに関する。
ランプ、例えば、自動車等の車両用ランプ(ヘッドランプ、テールランプ等)は、図2に示す如く、ランプハウジング11と、このランプハウジング11の前面開口部に装着された透明ランプカバー(レンズ)12とで形成される発光ランプ収容室20内に、発光ランプ(光源)13と反射鏡14とを設けた構成とされている。
ランプハウジング11には、発光ランプ13の点灯及び消灯に伴う温度変化で、収容室20内の空気が膨張、収縮して、各構成部材が変形ないし破損したりすることを防止するために、通気孔15,16が設けられており、ランプ点灯で温度が上昇したときには収容室20内の空気を排気し、ランプ消灯で収容室20内の空気が収縮したときには外気を収容室20内に吸気するように構成されている。
このようなランプにおいては、外気温が収容室20内部の温度よりも低下したときに、収容室20内の水蒸気が飽和して前面のランプカバー12の内面や反射鏡14の表面に結露することがある。特に、車両に装備したランプは、前面のランプカバー12が最も外気に触れ易い状態にあり、温度の低下が著しいために、ランプカバー12の内面に結露が生じ易い。このようにランプカバー12の内面に結露が生じるとランプカバー12が曇った状態となり、発光ランプ13から出射された光がランプカバー12を透過する際の透過率が低下し、ランプ機能が低下することになる。また、ランプカバー12の曇った領域の反射率が低下するため、ランプを外部から見たときの見映えが低下するという問題もある。
この問題は特に高湿の外気を吸気し易い梅雨期や、外気が低下し易い冬期に顕著になる。
特開平8−195104号公報には、この問題を解決するために、塩化カルシウムからなる吸湿材を収納した防湿容器をランプ収容室に取り付けたものが提案されているが、このように、ランプ収容室に別部材としての防湿容器を取り付けることは、装着の手間のみならず、この防湿容器の設置スペース分だけ、ランプの設置に必要なスペースが大きくなるという問題もあり、有利な方法とは言えない。
ところで、ランプのようなある程度密閉された空間における結露を防止する場合、乾燥材などを用いて湿気を吸湿することが考えられるが、単に吸湿のみを行う吸湿材では、吸湿性能が飽和した後は、もはやそれ以上使用することはできないために、吸湿材の交換が必要となる。これに対して、周囲環境の湿度が高い場合には湿気を吸収し、逆に周囲環境の湿度が低い場合には吸収した湿気を放出するような吸放湿性を有する材料であれば、吸放湿を繰り返して、長期に亘って継続的に使用することができる。
従来、周囲環境の湿度が高い場合には湿気を吸収して結露を防止し、逆に、周囲環境の湿度が低い場合には吸収した湿気を放出することにより、湿度を高めると共に放湿により吸湿性を回復する調湿材が提供されており、これらは主にシート状に成形された調湿シートとして実用に供されている。
しかし、シリカゲル、アルミナ、アルミナシリカ、ゼオライト、吸水性ポリマー、珪藻土、木炭などの吸湿材を使用した従来の調湿シートは、吸湿性には優れるものの、放湿性には劣り、通常の使用条件下では、殆ど放湿しないか、放湿したとしても放湿速度が遅く、元の吸湿性を回復するまでに長時間を要するという欠点がある。
このような放湿性の低い調湿シートを使用し続けた場合、やがてシート内の吸湿水が飽和に達し、調湿シートとしては、もはや機能しなくなり、前述の結露による問題を防止し得ない。
また、放湿機能が不十分な調湿シートでは、経時的に保有している水に起因するカビの発生や細菌の増殖などといった衛生面での問題も発生する。
従って、調湿シートには、水蒸気を可逆的に素早く吸放湿する機能が望まれる。
従来、このような調湿シートとして、例えば、特開2000−43179号公報に、平均細孔径が制御されたテンプレート型メソポーラスシリカとバインダーの混合物を基材シートにコーティングして調湿層を形成したものが提案されている。しかし、この調湿シートでは、コーティングにより調湿層を作成しているため、厚膜化には限界があり、また、調湿材であるメソポーラスシリカ本来の優れた調湿機能を有効に利用しているとは言いがたい。
また、特開2001−334596号公報には、2枚のシート間にシリカゲル粒子をホットメルトパウダーで接着して調湿層を形成したものが提案されているが、この調湿シートもまた、調湿性において十分であるとは言えない。
特開平8−195104号公報 特開2000−43179号公報 特開2001−334596号公報
本発明は、周囲環境の湿度が高い場合には湿気を速やかに吸収し、逆に周囲環境の湿度が低い場合には吸収した湿気を速やかに放出することができる吸放湿性能の可逆性と応答性に優れた調湿シートをランプハウジング内に設けることにより結露を防止し、ランプ機能の低下(照度の低下)、見映えの低下を効果的に防止したランプを提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく、ランプハウジング内に設ける調湿シートとして好適な、吸放湿性能の可逆性と応答性に優れた調湿シートについて鋭意検討した結果、水蒸気を可逆的に吸放湿する調湿粒子を、熱可塑性樹脂粉体で互いに接着してシート状に成形して調湿層を形成した場合、調湿粒子間に形成される空隙が吸放湿性能及びその応答性に影響する重要な因子となり、また、湿度が過度に上昇し、結露が生じる条件になっても、この空隙も重要な保水スペースとなり得ることから、調湿粒子間の空隙の割合がある程度大きいことが必要であることを見出した。
本発明は、このような知見に基いて達成されたものであり、以下を要旨とする。
[1] ランプハウジング内に調湿シートを設けたランプにおいて、該調湿シートは、水蒸気を可逆的に吸放湿する調湿粒子が、熱可塑性樹脂粉体により互いに接着されてシート状に成形されてなる調湿層を備え、該調湿層の空隙率が15%以上であることを特徴とするランプ。
[2] [1]において、前記調湿層を構成する熱可塑性樹脂粉体と調湿粒子との重量比が1/4〜2/1であることを特徴とするランプ。
[3] [1]又は[2]において、前記熱可塑性樹脂粉体の平均粒径と調湿粒子の平均粒径との比が1/20〜1/1であることを特徴とするランプ。
[4] [1]ないし[3]のいずれかにおいて、前記調湿粒子の平均粒径が5〜1000μmであることを特徴とするランプ。
[5] [1]ないし[4]のいずれかにおいて、前記調湿粒子がシリカであることを特徴とするランプ。
[6] [5]において、前記シリカがメソポーラスシリカであることを特徴とするランプ。
[7] [1]ないし[6]のいずれかにおいて、前記調湿層に抗菌剤及び/又は防カビ剤が含有されていることを特徴とするランプ。
[8] [1]ないし[7]のいずれかにおいて、前記熱可塑性樹脂の吸水率が0.2%以上で、MFRが55g/10min以下であることを特徴とするランプ。
[9] [1]ないし[8]のいずれかにおいて、前記調湿層の少なくとも一方の面に通気性材料よりなる基材シートが積層されて一体化されていることを特徴とするランプ。
[10] [1]ないし[9]のいずれかにおいて、前記調湿層の一方の面に基材シートが積層されて一体化されており、該基材シートの調湿層と反対側の面に粘着剤層が設けられており、該粘着剤層に剥離シートが積層されていることを特徴とするランプ。
[11] [1]ないし[10]のいずれかにおいて、前記調湿シートがランプハウジング内の後面側の内壁面に貼着されていることを特徴とするランプ。
本発明で用いる調湿シートは、吸放湿性能の可逆性と応答性に著しく優れる。
即ち、本発明で用いる調湿シートは、調湿粒子を、熱可塑性樹脂粉体で互いに接着してシート状に成形してなる調湿層において、調湿粒子間に形成される空隙の割合が大きいために、調湿シート内部での水蒸気の拡散が容易となり、調湿粒子本来の吸放湿能力のみならず、調湿粒子間の空隙による吸放湿能力をも援用して、高い可逆的吸放湿性能と、優れた吸放湿応答性を得ることができる。
このため、調湿粒子の細孔のうち、吸放湿に利用する有効利用率を高くすると共に、調湿粒子間の空隙を吸放湿のための保水スペースとして利用し、調湿粒子本来の吸放湿能力のみならず、調湿粒子間の空隙による吸放湿能力をも援用して、高い可逆的吸放湿性能と、優れた吸放湿応答性を得ることができる。
本発明のランプは、このような、吸放湿性能の可逆性と応答性に優れた調湿シートをランプハウジング内に配設したものであり、この調湿シートにより、ランプハウジング内の湿気を速やかに吸収して、ランプハウジング内での結露を防止し、結露に起因するランプ機能の低下(照度の低下)、見映えの低下の問題を軽減することができる。しかも、この調湿シートは、ランプハウジング内の湿度が低下したときに、吸収した湿分を速やかに放出してその吸収性を回復させることができるため、この吸放湿を繰り返すことにより、長期に亘り使用可能である。
本発明において、調湿層を構成する熱可塑性樹脂粉体と調湿粒子との比は、1/4〜2/1であることが好ましい。
また、熱可塑性樹脂粉体の平均粒径と調湿粒子の平均粒径との比は1/20〜1/1であることが好ましく、調湿粒子の平均粒径は5〜1000μmであることが好ましい。この調湿粒子としては、シリカが好ましく、特に、メソポーラスシリカが、その優れた調湿機能の面から好ましい。
また、本発明に係る調湿層は、抗菌剤及び/又は防カビ剤が含有されていることが、吸湿時の水分によるカビの発生、細菌の増殖を防止する点において好ましい。
また、熱可塑性樹脂粉体の熱可塑性樹脂は、吸水率が0.2%以上で、MFRが55g/10min以下であるものが好ましい。この場合には、調湿粒子間に形成される空隙に吸水率の高い親水性の熱可塑性樹脂粉体が表出し、また、この熱可塑性樹脂粉体のMFRが小さく、熱融着時の樹脂の流動が少ないために、調湿粒子表面や細孔が熱可塑性樹脂粉体によって過度に覆われたり塞がれたりすることなく、空隙に臨む調湿粒子の細孔面を大きく確保することができる。このため、調湿粒子の細孔のうち、吸放湿に利用する有効利用率を高くすると共に、調湿粒子間の空隙を吸放湿のための保水スペースとしてより一層有効に利用して、高い可逆的吸放湿性能と、優れた吸放湿応答性を得ることができる。
また、本発明において、調湿粒子を熱可塑性樹脂粉体で互いに接着してシート状に成形してなる調湿層は、それのみで十分に調湿シートとして使用可能であるが、調湿層の少なくとも一方の面に通気性材料よりなる基材シートを積層して一体化して用いても良い。また、調湿層の一方の面に基材シートを積層一体化し、この基材シートの調湿層と反対側の面に粘着剤層を設け、更に、この粘着剤層に剥離シートを積層したものとしても良い。
調湿シートは、特に、結露が生じる近傍に貼着して設けることが好ましい。
以下に本発明のランプの実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明のランプの実施の形態を示す断面図である。
結露はランプカバー11の内壁面に最も発生しやすいため、このランプは、ランプカバー11下側の内壁面に、後述の本発明に係る調湿シート(以下「本発明の調湿シート」と称す場合がある)、例えば調湿シート10又は調湿シート10Aを取り付けた点が、図2に示す従来のランプと異なり、その他は全く同様の構成とされている。図1において、図2に示す部材と同一機能を奏する部材には同一符号を付してある。
図1のランプでは、外気温が低下して収容室20内の水蒸気圧が低下した場合でも、収容室20内の湿気を調湿シート10又は調湿シート10Aが吸収することにより、結露を防止する。一方、ランプの点灯で収容室20内の空気が通気孔15,16から排気され、また温度の上昇で収容室20内が乾燥された場合には、調湿シート10又は調湿シート10Aが吸収した湿分を放出し、その吸湿性能を回復する。
図1において、調湿シート10、10Aは、ランプカバー11下側の内壁面に貼着されているが、本発明において、調湿シート10,10Aの設置箇所はこの箇所に何ら限定されず、ランプハウジング11内であれば、いずれの箇所であっても良い。
例えば、ランプハウジング11の天井面であってもよく、床面であっても良い。また、これらの部位に複数箇所設置してもよい。更には、この調湿シート10、10Aの調湿効果をより有効に作用させるために、切削加工、プリーツ加工、重ね合わせ加工などの後加工してから貼着しても良い。
以下に、本発明で用いる調湿シートについて図3,4を参照して詳細に説明する。
図示の如く、本発明で用いる調湿シートは、水蒸気を可逆的に吸放湿する調湿粒子3が、熱可塑性樹脂粉体4により互いに接着されてシート状に成形されてなる調湿層7を備える調湿シート10,10Aであって、該調湿層7の空隙率が15%以上であるものであり、好ましくは、前記熱可塑性樹脂4の吸水率が0.2%以上で、MFRが55g/10min以下であるものである。
図3の調湿シート10は、2枚の基材シート1,2の間に、調湿粒子3を熱可塑性樹脂粉体4で互いに接着してシート状に成形した調湿層7を形成したものであり、図4の調湿シート10Aは、この図3に示す調湿シート10において、更に一方の基材シート2の調湿層7と反対側の面に粘着剤層5を形成し、この粘着剤層5に剥離シート6を積層したものである。図3,4において、8は調湿粒子3間に形成された空隙を示す。
なお、本発明において、熱可塑性樹脂の吸水率及びMFR、並びに調湿層の空隙率は、以下のようにして測定されたものである。
<熱可塑性樹脂の吸水率>
ポリエステル製剥離フィルム又はアルミ箔上に熱可塑性樹脂粉体を均一に散布した後、この上にポリエステル製剥離フィルム又はアルミ箔を重ね合わせて熱可塑性樹脂粉体を挟持させ、次いでこの積層体をホットプレスにより、熱可塑性樹脂粉体の融点よりも10℃高い温度にて0.5MPaで2分間処理し、その後、剥離フィルム又はアルミ箔を剥がし取り、吸水率測定用フィルム(厚さ約1mm)を作成する。このフィルムを25℃の水に3時間浸漬した後引き上げ、吸水性の良い紙にはさみ込んで表面の水滴を取り去った後、重量を測定し、重量増加分から吸水率(=重量増加分/吸水前の重量 ×100)を算出する。
<熱可塑性樹脂のMFR>
JISK6760に従って、190℃、2.16kg荷重で測定する。
<調湿層の空隙率>
調湿層の空隙率とは、調湿層の両面に表面平滑なシートを積層したときに、そのシート間に形成される体積のうち、空隙(ただし、調湿粒子の細孔容積は含まない)が占める割合(百分率)をさし、調湿層を構成する材料の比重及び使用重量から求めた調湿層に占める構成材料の体積と、調湿層の見掛け体積(上述のシート間に形成される体積)から計算によって求められる。
具体的には、12cm×12cm(面積)の調湿層について、次のような方法で算出される。
調湿層体積[cm] 12×12×(調湿層厚さ)
調湿粒子体積[cm] (調湿層重量)×(調湿層構成粉体中の調湿粒子 重量割合)/(調湿粒子真比重)
調湿粒子細孔容積[cm] (調湿層重量)×(調湿層構成粉体中の調湿粒子 重量割合)×(調湿粒子の細孔容積[cm/g ])
熱可塑性樹脂粉体体積[cm] (調湿層重量)×(調湿層構成粉体中の熱可塑性 樹脂粉体重量割合)/(熱可塑性樹脂粉体密度)
空隙容積[cm] (調湿層体積[cm]−調湿粒子体積[cm] −調湿粒子細孔容積[cm]−熱可塑性樹脂粉 体体積[cm])
調湿層空隙率[%] (空隙容積[cm])/(調湿層体積[cm ])×100
本発明において、調湿粒子3としては水蒸気を可逆的に吸放湿するものであれば良く、特に制限はないが、3nm〜50nmのメソ領域に細孔径を有する無機多孔質材料が好適である。例えば、B型シリカゲル、メソポーラスシリカ、メソポーラスシリカアルミナ、メソポーラスアルミナ等のメソポーラス酸化物のほか、メソポーラスカーボンなどを採用することができる。これらの中で、特にB型シリカゲル、メソポーラスシリカが望ましい。更に望ましくは、平均細孔径が特に4nm〜25nmの範囲内にあり、かつ細孔径分布がシャープなメソポーラスシリカが最も好ましい。メソポーラスシリカは、平均細孔径が4nm〜25nmの範囲にあるため、吸放湿量が大きく、また、細孔径分布がシャープであるため、吸放湿速度が速く、特定の狭い湿度領域において、応答性良く、吸放湿する優れた調湿粒子である。本発明に好適なメソポーラスシリカの製造方法については後述する。
なお、本発明におけるB型シリカゲルとは、水蒸気の毛管凝縮現象が容易に起こり得る、平均細孔径が3nmから50nmの範囲内にあるシリカゲルを示す。この範囲内に平均細孔径を有する市販品のシリカゲルとしては、サイリシア530、サイリシア550、サイリシア420、サイリシア430、サイリシア435、サイリシア436、サイリシア440、サイリシア445、サイリシア446、サイリシア450、サイリシア456、サイリシア310P、サイリシア320、サイリシア350、サイリシア370、サイリシア380、サイリシア250、サイリシア250N、サイリシア256、サイリシア256N(以上、富士シリシア社製)、ニップジェルAY−200、ニップジェルAY−220、ニップジェルAY−420、ニップジェルAY−460、ニップジェルAY−401、ニップジェルAY−601、ニップジェルAY−603、ニップジェルAZ−200、ニップジェルAZ−201、ニップジェルAZ−204、ニップジェルAZ−260、ニップジェルAZ−360、ニップジェルAZ−400、ニップジェルAZ−600、ニップジェルBY−200、ニップジェルBY−400、ニップジェルBY−001、ニップジェルBZ−200、ニップジェルCX−200、ニップジェルCX−440、ニップジェルCY−200(以上、東ソー・シリカ社)、カープレックスBS−304、カープレックスBS−306、カープレックスBS−304N、カープレックスBS−304F、(以上、塩野義製薬社製)、ミズカシルP−73、ミズカシルP−78A、ミズカシルP−78D、ミズカシルP−78F、ミズカシルP−707、ミズカシルP−740、ミズカシルP−752、ミズカシルP−50(以上、水澤化学社製)、ML−367、ML−369、ML−361、ML−362、ML−367W、ML−369W、ML−367F、ML−369F、ML−384、ML−385、ML−386、ML−389、ML−381、ML−386L、ML−386D、ML−386Y、ML−386W、ML−389W、ML−381W、ML−644、ML−649、(以上、東海化学工業所製)などがあるが、特にこれらに限定されるものではない。
これらの調湿粒子は1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して使用しても良い。また、有機系、無機系を問わず、これら以外の調湿材、乾燥剤と混合して使用することもできる。
調湿粒子3の粒径については、調湿シートの寸法や用途、後述の熱可塑性樹脂粉体の粒径との関係もあり、一概に決定することはできないが、過度に小さいと、調湿粒子間に有効な空隙を形成し得ず、また、熱可塑性樹脂粉体との均一な混合が困難であり、逆に過度に大きいと、調湿粒子内部の調湿機能を有効に使うことができない上に、調湿シートが厚くなり、好ましくない。従って、調湿粒子3は平均粒径5〜1000μm、特に50〜400μmであることが好ましい。
なお、本発明において、調湿粒子3の平均粒径は、レーザー回折・散乱法(水分散湿式法)により求められた値である。
一方、熱可塑性樹脂粉体4の材質としては、調湿粒子3同士を熱融着により接着することができるものであれば良く、好ましくは前述の吸水率及びMFRを満足するものであり、特に制限はないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ケン化エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、アイオノマー樹脂などの熱可塑性樹脂、およびこれらの変性物など、好ましくは、ポリ酢酸ビニル、ケン化エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、アイオノマー樹脂などの熱可塑性樹脂、およびこれらの変性物などを用いることができる。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を混合して用いても良い。
本発明において、熱可塑性樹脂粉体4の熱可塑性樹脂は、吸水率が0.2%以上であることが好ましい。吸水率が0.2%未満の熱可塑性樹脂粉体では、疎水性が強く、調湿層7において、調湿粒子3間の空隙8に表出した熱可塑性樹脂粉体4が水をはじくことによって、調湿シートの吸放湿性、特に吸水性が劣るものとなる場合がある。熱可塑性樹脂の吸水率は高い程好ましく、特に0.5%以上であることが好ましい。ただし、熱可塑性樹脂の吸水率の上限としては、通常10%以下である。
なお、本発明において、熱可塑性樹脂の吸水率は、熱可塑性樹脂の親水性の指標として用いているが、熱可塑性樹脂の親水性は、水接触角によっても表すことができる。本発明で用いる熱可塑性樹脂粉体の熱可塑性樹脂は、これを前述の吸水率測定用フィルムと同様の方法でフィルム状とし、このフィルム面に対してθ/2法により測定した水接触角が95°以下、特に85°以下であることが好ましい。ただし、前述の吸水率とこの水接触角とは必ずしも対応しておらず、水接触角が小さくても吸水率が低い熱可塑性樹脂や、吸水率が大きくても水接触角が大きい熱可塑性樹脂もある。これら両方の特性の指標とした場合、吸水率が大きくかつ水接触角が小さいものが最も好ましいが、吸水率が0.2%に近く、比較的小さくても水接触角が小さいものであれば本発明に有効であると言える。
本発明で用いる熱可塑性樹脂粉体4の熱可塑性樹脂はまた、MFRが55g/10min以下であることが好ましい。MFRが55g/10minを超えるような流動性の大きいものでは、熱融着時の流動で、調湿粒子3の表面を広く覆うこととなり、調湿粒子3の表出面積を低減し、また、調湿粒子3の細孔をふさいでしまい、調湿粒子本来の調湿機能を有効に発揮し得なくなる場合がある。熱可塑性樹脂のMFRは小さいほうが好ましいが、MFRが過度に小さいものは熱溶融時の流動性が小さ過ぎて、調湿粒子3同士を十分に接着することができない。従って、熱可塑性樹脂のMFRは1〜55g/10min、特に5〜50g/10minであることが好ましい。
なお、熱可塑性樹脂の融点について特に制限はないが、50〜250℃の範囲内にあること、特に80〜150℃の範囲内にあることが好ましい。熱可塑性樹脂の融点が50℃未満の場合は、常温での使用におい熱変形しやすいという問題があり、逆に、250℃を超えると調湿層の加熱溶融成形時に、後述の基材シートを熱変形させてしまうおそれがある。
また、本発明で用いる熱可塑性樹脂粉体4には、調湿粒子3の粒径との関係において、好適な粒径が存在する。即ち、調湿粒子3の粒径に対して、熱可塑性樹脂粉体4の粒径が過度に大きいと、調湿粒子3間に良好な空隙8を形成し得ず、また、成形時に熱可塑性樹脂粉体中に調湿粒子が埋没してしまい、十分な調湿機能を発揮することができない。逆に、熱可塑性樹脂粉体4の粒径が過度に小さくても、調湿粒子3同士が密接し、調湿層7の空隙率が小さくなってしまう。また、粒径が過度に小さい熱可塑性樹脂粉体は市販品として入手し難く、また調湿粒子との均一混合性にも劣るという欠点がある。
従って、熱可塑性樹脂粉体4の平均粒径は、調湿粒子3の平均粒径に対して、熱可塑性樹脂粉体の平均粒径/調湿粒子の平均粒径=1/20〜1/1、特に1/10〜1/2の範囲であることが好ましい。なお、熱可塑性樹脂粉体の平均粒径自体は、上記平均粒径比を満たす範囲において任意であるが、入手し易さ、取り扱い性等の面から20〜200μm程度であることが好ましい。
なお、本発明において熱可塑性樹脂粉体の平均粒径は、レーザー回折・散乱法(水分散湿式法)により求められた値である。
また、本発明において、調湿層7を構成する熱可塑性樹脂粉体4と調湿粒子3との重量比は1/4〜2/1、特に1/2〜1.5/1であることが好ましい。この範囲よりも熱可塑性樹脂粉体が少ないと、調湿粒子同士を接着して成形性良く、シート状の調湿層を形成し得ず、多いと相対的に調湿粒子量が減ると共に空隙率も小さくなり、吸放湿性能に優れた調湿シートを得ることができない。
本発明において、調湿層7には、調湿粒子3と接着剤としての熱可塑性樹脂粉体4の他、抗菌剤や防カビ剤の1種又は2種以上を混合して用いても良く、これにより調湿層7に吸湿した水分によるカビの発生や細菌の増殖を防止して、調湿シートを衛生的に保つことができる。
ここで用いられる抗菌・防カビ剤は無機系及び有機系の2種に大別され、無機系抗菌・防カビ剤は金属(銀、銅、亜鉛)及びその化合物系、無機/有機複合系、酸化物光触媒系から成る。有機系抗菌・防カビ剤は合成系、天然系から成る。
具体的な無機系抗菌剤としては、銀、銅、亜鉛などの金属単体、及びこれらの少なくとも1種の金属をリン酸塩(リン酸ジルコニウム、リン酸アルミニウム、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト)、又はケイ酸塩(ゼオライト、シリカゲル、ケイ酸カルシウム、粘土鉱物)、又は溶融性ガラス、又は活性炭に担持させた化合物が挙げられる。更には、無機/有機複合系としては層状リン酸塩の層間に存在する水素イオンをイオン交換反応で四級アンモニウム塩に置き換えたもの、酸化物光触媒系としては酸化チタンなどがある。
具体的な有機系抗菌剤としては、2−(4−チアゾリル)ベンゾイミダゾール、2−ベンゾイミダゾールカルバミン酸メチル、2−メチルカルボニルアミノベンツイミダゾールなどのイミダゾール系、2−(4−チオシアノメチルチオ)ベンツチアゾールなどのチアゾール系、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンなどのイソチアゾリン系、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホン)ピリジン、ビス(ピリジン−2−チオール−1−オキシド)亜鉛酸、2−ピリジンチオール−1−オキシドナトリウム塩、2,2’−ジチオビスピリジン−1−オキシドなどのピリジン系、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−S−トリアジンなどのトリアジン系、α−ブロモシンナムアルデヒド、ホルマリンなどのアルデヒド系、2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテル、3−メチル−4−イソプロピルフェノール、2−イソプロピル−5−メチルフェノール、石炭酸などのフェノール系、グルコン酸クロルヘキシジンなどのビグアナイド系、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリルなどのニトリル系、3−ヨード−2−プロピルチオカルバメートなどのハロゲン系、トリクロロカルバニリドなどのアニリド系、テトラメチルチウラムジスルフィドなどのジスルフィド系、ソジウムN−メチルジチオカルバメートなどのチオカルバメート系、オクタデシルジメチル(3−トリメトキシプロピル)アンモニウムクロライドなどの有機ケイ酸塩系、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウムなどの四級アンモニウム塩系、10,10’−オキシビスフェノキシアルシンなどの有機金属系、エタノール、プロパノールなどのアルコール系、プロピオン酸などのカルボン酸系、p−ヒドロキシ安息香酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ショ糖脂肪酸エステルなどのエステル系、及びヒノキチオール、キトサン、カラシ抽出物、ユーカリ抽出物などの天然有機物系がある。
これらは1種を単独で、若しくは2種以上を混合して使用することができる。
本発明においては、持続性効果の高い無機系抗菌剤を使用することが望ましい。より高度な抗菌・防カビ性効果を得るためには、銅、亜鉛よりも銀を使用することが更に望ましく、また、抗菌・防カビ効果を長期間維持するためには、金属単体で使用するよりも、これらの金属をゼオライトに担持させて用いた方が更に効果的である。本発明では、銀をゼオライトに担持させたもの(銀ゼオライト)が、効力が高く、かつ持続性のある抗菌・防カビ剤として最も好ましい。
このような抗菌剤や防カビ剤の使用量は、少な過ぎると、これを用いたことによる抗菌、防カビ効果を十分に得ることができず、多過ぎると抗菌・防カビ剤により調湿粒子の表面が覆われることにより調湿性能が損なわれることから、調湿粒子と熱可塑性樹脂粉体との合計100重量部に対して0.5〜10重量部程度とすることが好ましい。
調湿層7には、その他、空隙を形成しやすくするために嵩高い繊維状または板状フィラー;断熱性を付与するために中空フィラー;を添加することもできる。また、耐光性を向上させるために、酸化防止剤、紫外線吸収剤、遮蔽性フィラー;消臭性を付与するために活性炭;意匠性を付与するために顔料;などを含有させてもよい。また、これらはいずれも組み合わせて使用することができる。
本発明において、調湿層7は、空隙率が15%以上であることを必須とする。調湿層7の空隙率が15%未満では調湿粒子3による優れた調湿性能を十分に得ることができず、また、調湿層7の空隙8を調湿のための特に保水スペースとして有効利用して、調湿性能の向上を図ることができない。空隙率は15%以上である程度高いことが好ましいが、過度に高いと相対的に調湿粒子の割合が減ることにより調湿性能が低下し、また、調湿粒子や熱可塑性樹脂粉体が少ないことにより調湿層の成形性、形状保持性が劣るものとなる。従って、調湿層7の空隙率は特に15〜50%、とりわけ30〜40%であることが好ましい。
本発明の調湿シートの調湿層7の厚さには特に制限はなく、用途、即ち、適用対象に応じて適宜決定されるが、十分量の調湿粒子を含有させるためにはある程度の厚さが必要であり、また、狭い場所への適用のためには薄肉化が要求されるなどの観点から、50〜5000μm程度、特に200〜2000μm程度であることが好ましい。
本発明で用いる基材シート1,2としては、不織布、織布、和紙、洋紙、ネット、スポンジ、多孔質フィルムのような通気性を有するものの他、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリエチレンサルファイドフィルム、ポリエーテルサルファイドフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリフェニレンエーテルフィルム、トリアセチルセルロースフィルムなどの熱可塑性樹脂フィルム、更にはアルミニウム、鉄などの金属箔などを用いることができる。これらの基材シートは複数層積層して用いても良く、例えば、アルミニウム蒸着樹脂フィルム、アルミニウム蒸着紙などとして用いることもできる。
本発明において、図3に示す如く、調湿層7の両面にそれぞれ基材シート1,2を設ける場合、少なくとも一方の基材シートは通気性を有する材料で構成されている必要がある。図4に示す如く、一方の基材シート2に粘着剤層5を形成する場合、基材シート2は必ずしも通気性である必要はないが、基材シート1については通気性である必要がある。材料自体に通気性が乏しい樹脂フィルムや金属箔などを用いる場合、必要に応じて微細な穴やスリットを開けて使用することも可能である。
基材シート1,2の厚さとしては特に制限はないが、強度と薄肉化の観点から通常10〜1000μm程度である。
なお、この基材シート1,2には、前述の抗菌剤や防カビ剤を添着して抗菌、防カビ処理を施しても良く、また、各種の塗料を塗布して意匠性を付与したり、品番、商品名などを印刷することもできる。
図4の調湿シート10Aにおいて、粘着剤層5の形成に用いる粘着剤としては、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ゴム系樹脂等の公知のものを用いることが可能であり、特に規定するものではない。
また、剥離シート6としても、特に規定するものではなく、従来多用されている、剥離面がシリコーン処理された剥離紙(セパレーター)などを使用すれば良い。
粘着剤層5を形成して剥離シート6を設けた図4の調湿シート10Aであれば、剥離シート6を取り去って粘着剤層5を表出させ、この面を施工対象面に貼着することにより、容易に施工することができる。
図3,4においては、調湿層7の両面に基材シート1,2を有する調湿シートを示したが、この基材シートは調湿層7の一方の面に設けられていても良く、また、本発明の調湿シートは、基材シートのない調湿層のみからなるものであっても良い。
図3,4に示す如く、調湿層7の両面に基材シート1,2を有する調湿シートは、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、調湿粒子と熱可塑性樹脂粉体、更に必要に応じて添加される抗菌剤、防カビ剤等を一方の基材シート上に散布した後、他方の基材シートをこの上に積層する。散布に当たり、調湿粒子及び熱可塑性樹脂粉体等は予め混合して混合物として散布しても良く、これらを別々に散布しても良いが、調湿性に影響がなければ、予め混合して混合物として散布することが好ましい。散布の方法としては、ホッパーの下部からの自由落下による散布、グラビアロールなど凹部を有するロールに連続供給して基材シート上に供給する方法、空気中に分散した送風による散布などを採用することができる。この他、粉体をより均一に混合したい場合は、混合粉体を水や溶剤などの媒体に分散させた後、基材シート上にスプレーコーティングやダイコーティングし、その後、乾燥させる方法もある。ただし、この液状物コーティングの場合は、厚塗りが困難なこと、加えて乾燥工程が必要でエネルギー的に不利であることから、混合粉体の乾式散布による方法が好ましい。
このようにして、一方の基材シート上に調湿粒子と熱可塑性樹脂粉体、その他の添加剤を散布した後は、その上に他方の基材シートを積層し、この積層体を加熱又は、加熱しながら加圧することにより調湿粒子同士を熱可塑性樹脂粉体で接着すると共に、この調湿層に基材シートを接着する。
このときの加熱方法は特に限定されるものではないが、ホットプレス、加熱ロール、加熱ベルトなどによる接触式の熱伝導による加熱、又は赤外線ヒーターやガスバーナーヒーターのような非接触式の放射熱による加熱などがある。本発明では、熱伝導による加熱方法が好ましい。加熱温度は、用いた熱可塑性樹脂粉体に応じて、熱可塑性樹脂の溶融で調湿粒子同士及び調湿粒子と基材シートとを接着一体化できる程度であれば良い。
また、加圧方法としては、例えばホットプレスによる方法、又は加圧したロール間を通す方法などを採用することができる。加圧の程度は、接着強度、調湿粒子の潰れ、空隙率の確保、通気性への影響などを考慮して、適宜設定すれば良い。
上述の調湿シートの成形加工は以下に示すパウダーラミネート法によって効率的に実施することもできる。この方法を採用することにより、本発明の調湿シートを連続的に製造することが可能となる。
図6に加熱ローラー式パウダーラミネート装置の製造ラインを簡略化したものを示す。製造ラインの上流側には上側シート37を繰り出す上側シート用ローラー36と下側シート32を繰り出す下側シート用ローラー31が回転可能に支持されている。下側シート用ローラー31の下流側には同ローラーから繰り出される下側シート32の搬送経路の上方に位置するように混合粉体フィードホッパー34が設けられており、このホッパー34内において少なくても調湿粒子と熱可塑性樹脂粉体とが一定比率をもって混合して貯蓄されているとともに、混合粉体フィードホッパー34の下方を下側シート32が通過する際に前記混合粉体が散布されるようになっている。このようにして、上下2枚のシート間に狭持された混合粉体は回転可能に支持された上側加熱ローラー39および回転可能に支持された下側シリコーンゴム製ローラー40間を通過する際に熱可塑性樹脂粉体が加熱されて溶融し、調湿粒子および上下のシート間が接着される。なお、下側シリコーンゴム製ローラー40は、その内部を温水、スチームなどで加熱して使用することもできる。その後、製造ラインの下流側の巻き取りローラーにより、本発明における調湿シート41を連続的に生産することができる。
図7には加熱ベルト式パウダーラミネート装置の製造ラインを示す。図7において図6と同一部材には同一符号が付してある。40Aは下側加熱ベルトである。図7の装置の基本構成は図6の装置とほぼ同様であるが、混合粉体散布後の熱圧着工程が異なる。図7の装置は加熱ベルト式のため長時間加熱が可能である。そのため、図6の装置よりも混合粉体中の熱可塑性樹脂粉体をより均一に低温で加熱溶融させることができて、厚物シートの連続成形も可能となる。従って、本発明の調湿シートを連続成形する際には、図6の加熱ローラー式パウダーラミネート装置よりも、図7の加熱ベルト式パウダーラミネート装置のほうが望ましい。
基材シートに抗菌、防カビ処理を施す場合には、この熱融着処理後に薬剤の噴霧、燻蒸処理等を行えば良い。また、粘着剤層5を形成する場合は、この後に粘着剤層5及び剥離シート6の積層を行えば良い。
前述した調湿層の一方の面にのみ基材シートを有する調湿シートや、調湿層のみの調湿シートを製造する場合には、上述した製造方法において、基材シートとして剥離性のものを用い、熱融着処理後に一方又は双方の基材シートを取り去れば良い。
前述の如く、本発明において、調湿粒子としては、平均細孔径が特に4nm〜25nmの範囲内にあり、かつ細孔径分布がシャープなメソポーラスシリカが最も好ましいが、以下に、このようなメソポーラスシリカの製造方法の好適例について説明する。
このようなメソポーラスシリカは、細孔制御のための水熱処理の前にシリカヒドロゲルを熟成しないという点を除けば、その製造方法は実質的に制限されるべきではない。例えば、珪酸アルカリ塩又はシリコンアルコキシドを加水分解した後、これをゲル化して得られたシリカヒドロゲルを用いて、水熱処理による方法を応用して製造することができる。水熱処理による方法の応用例として、好ましくは、シリコンアルコキシドを含む化合物とを加水分解する方法が挙げられる。なお、原料のシリコンアルコキシド等に由来する炭素分が含まれている場合には、必要に応じて、通常400〜600℃で焼成除去してもよい。さらに、表面状態をコントロールするために、最高900℃の温度で焼成してもよい。
原料として使用されるシリコンアルコキシドとしては、トリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、トリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等の炭素数1〜4の低級アルキル基を有するトリ又はテトラアルコキシシラン或いはそれらのオリゴマーが挙げられるが、好ましくはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン及びそれらのオリゴマーである。以上のシリコンアルコキシドは蒸留により容易に精製し得るので、高純度の球状シリカゲルの原料として好適である。シリコンアルコキシド中の不純物元素の総含有量は、通常好ましくは100ppm以下、更に好ましくは50ppm以下である。これらの不純物元素の含有率は、一般的なシリカゲル中の金属元素等(不純物元素)の含有率の測定法と同じ方法で測定できる。
シリコンアルコキシドの加水分解は、シリコンアルコキシド1モルに対して、通常2〜20モル、好ましくは3〜10モル、特に好ましくは4〜8モルの水を用いて行なう。この加水分解反応は、通常、室温から100℃程度であるが、加圧下で液相を維持することで、より高い温度で行なうことも可能である。また、加水分解時には必要に応じて、水と相溶性のあるアルコール類等の溶媒を添加してもよい。具体的には、炭素数1〜3の低級アルコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトン、テトラヒドロフラン、メチルセロルブ、エチルセロルブ、メチルエチルケトン、その他の水と任意に混合できる有機溶媒を任意に用いることができるが、中でも強い酸性や塩基性を示さないものが、均一なシリカヒドロゲルを生成できる理由から好ましい。また、後の工程にて他の溶媒にシリコンアルコキシドの加水分解液を分散することにより球状化する場合には、分散する溶媒と親和性の少ない有機溶媒を選択することが好ましい。
結晶構造を有するシリカゲルは、水中熱安定性に乏しくなる傾向にあり、ゲル中に細孔を形成するのに用いられる界面活性剤等のテンプレートの存在下でシリコンアルコキシドを加水分解すると、ゲルは容易に結晶構造を含むものとなる。従って、本発明においては、界面活性剤等のテンプレートの非存在下で、すなわち、これらがテンプレートとしての機能を発揮するほどの量は存在しない条件下で加水分解するのが好ましい。
反応時間は、反応液組成(シリコンアルコキシドの種類や、水とのモル比)並びに反応温度に依存し、ゲル化するまでの時間が異なるので、一概には規定されない。なお、反応系に触媒として、酸、アルカリ、塩類などを添加することで加水分解を促進させることができる。しかしながら、かかる添加物の使用は、後述するように、生成したヒドロゲルの熟成を引き起こすことになるので、好ましくない。
上記のシリコンアルコキシドの加水分解反応では、シリコンアルコキシドが加水分解してシリカヒドロゾルが生成するが、引き続いて該シリカヒドロゾルの縮合反応が起こり、反応液の粘度が上昇し、最終的にゲル化してシリカヒドロゲルとなる。本発明においては、まず、このシリカヒドロゲルを公知の何れかの手法により球状又は略球状の液滴とし、この形状を保ったままゲル化させることによって、球状又は略球状のシリカヒドロゲルを得る。
さらに、本発明に好適なメソポーラスシリカを製造するためには、得られた球状又は略球状のシリカヒドロゲルを実質的に熟成することなく、直ちに水熱処理を行なうことが重要である。ここで、シリカヒドロゲルを球状又は略球状の液滴とする従来の方法には、大別して、ゲル化直前のヒドロゾルを空気中に放出する方法と、ゾル液と親和性の無い溶媒中にヒドロゾルを分散・攪拌して、表面張力によりこれを球状化する方法という、2種の方法がある。このうち前者の方法は、ヒドロゾル液滴の急速なゲル化を促すために、ヒドロゾルに比較的強い触媒が添加されたり、或いは触媒を添加した有機溶媒中に液滴を落下させたり、液滴が高温・減圧条件で放出されることが多く、何れも生成した球状ヒドロゲルの熟成や乾燥を促進することとなるため、メソポーラスシリカの製造条件として好ましくない。一方、後者の方法は、シリカヒドロゲルに不要な熟成をさせることの無いままゆっくりとゲル化させることが可能であり、メソポーラスシリカの製造条件として好ましい。
後者の方法をとる場合、ゲル化にいたる過程で溶媒中に分散された液滴は粘稠なゾル状態を経由するため、生成した球状ヒドロゲルが合一して塊状となりやすく、これを防ぐために系内に界面活性剤成分を添加することがあるが、この際に必要な界面活性剤の量は、前述のミセルテンプレートシリカが生成するために必要な量より遥かに少ない。この様にして得られた球状のシリカヒドロゲルは、熟成や乾燥が進まないよう配慮して分散溶媒から取り出され、必要に応じてシリカヒドロゲルの含液組成を変えない条件で表面に付着した界面活性剤や分散溶媒を概略洗浄し、次工程の水熱処理に供される。なお、シリカヒドロゲルを球状化する方法は、勿論上記の方法に限定されることは無く、シリカヒドロゲルの熟成を実質的に進めない方法であれば、各種方法を用いることが可能である。
水熱処理の条件としては、水の状態が液体、気体のいずれでもよく、溶媒や他の気体によって希釈されていてもよいが、好ましくは液体の水が使われる。シリカのヒドロゲルに対して、通常0.1〜10重量倍、好ましくは0.5〜5重量倍、特に好ましくは1〜3重量倍の水を加えてスラリー状とし、通常40〜250℃、好ましくは50〜200℃の温度で、通常0.1〜100時間、好ましくは1〜10時間実施される。水熱処理に使用される水には低級アルコール類、メタノール、エタノール、プロパノールや、ジメチルホルムアミド(DMF)やジメチルスルホキシド(DMSO)、その他の有機溶媒などが含まれてもよい。
以上の水熱処理条件において温度を高くすると、得られるメソポーラスシリカの細孔径、細孔容積が大きくなる傾向がある。水熱処理温度としては、50〜200℃の範囲であることが好ましい。また、処理時間とともに、得られるメソポーラスシリカの比表面積は、一度極大に達した後、緩やかに減少する傾向がある。以上の傾向を踏まえて、所望の物性値に応じて条件を適宜選択する必要があるが、水熱処理は、メソポーラスシリカの物性を変化させる目的なので、通常、前記の加水分解の反応条件より高温条件とすることが好ましい。
水熱処理の温度、時間を上記範囲外に設定すると、本発明に好適なメソポーラスシリカを得ることが困難となる。例えば、水熱処理の温度が高すぎると、シリカゲルの細孔径、細孔容積が大きくなりすぎ、また、細孔分布も広がる。逆に、水熱処理の温度が低過ぎると、生成するシリカゲルは、架橋度が低く、熱安定性に乏しくなり、細孔分布にピークが発現しなくなる傾向がある。
なお、水熱処理をアンモニア水中で行なうと、純水中で行なう場合よりも低温で同様の効果が得られる。また、アンモニア水中で水熱処理すると、純水中で処理する場合と比較して、最終的に得られるシリカゲルは一般に疎水性となるが、通常30〜250℃、好ましくは40〜200℃という比較的高温で水熱処理すると、特に疎水性が高くなる。ここでのアンモニア水のアンモニア濃度としては、好ましくは0.001〜10%、特に好ましくは0.005〜5%である。
水熱処理されたシリカヒドロゲルは、通常40〜200℃、好ましくは60〜120℃で乾燥する。乾燥方法は特に限定されるものではなく、バッチ式でも連続式でもよく、且つ、常圧下でも減圧下でも乾燥することができる。なお、それまでの工程に由来する炭素成分が含まれている場合には、通常400〜600℃で焼成除去することができる。また、表面状態をコントロールするために、最高900℃の温度で焼成することもある。更に、必要に応じて粉砕又は粉砕後に分級することで粒度を調整して、最終的に目的とするメソポーラスシリカを得ることができる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
まず、本発明で用いる調湿シートの調湿性能を示す、実験例を挙げる。
[使用材料]
以下の実験例及び比較実験例で用いた調湿粒子、熱可塑性樹脂粉体、基材シート、その他の使用材料は次の通りである。
<調湿粒子,吸水粒子>
Figure 2008159310
なお、メソポーラスシリカI、IIの製造方法は次の通りである。
・メソポーラスシリカI
ガラス製で上部に大気開放の水冷コンデンサが取り付けてある5Lセパラブルフラスコ(ジャケット付き)に、純水1000gを仕込んだ。攪拌速度としては、攪拌翼先端速度2.5m/sで攪拌しながら、テトラメトキシシラン1400gを3分間かけて仕込んだ。用いたテトラメトキシシラン1モルに対する水のモル数(水/テトラメトキシシランのモル比)は6である。セパラブルフラスコには50℃の温水を通水した。引き続き攪拌を継続し、内容物が沸点に達した時点で、攪拌を停止した。引き続き約0.5時間、ジャケットに50℃の温水を通水して、精製したゾルをゲル化させた。その後、速やかにゲルを取り出し、目開き900ミクロンのナイロンメッシュを通して、このゲル状物(シリカヒドロゲル)を粉砕した。このシリカヒドロゲル300gと水450gを1Lのガラス製オートクレーブに仕込み、150℃で3時間、密閉系で水熱処理を実施した。水熱処理して得られたシリカを濾紙(No.5A)で濾過し、濾滓を別のセパラブルフラスコに純水500gと共に入れ、攪拌翼を用いて室温でゆっくりと1時間攪拌した。このスラリーをデカンテーションにより固液分離し、得られた固体について、水500gを用いて再度、上述と同様の液置換操作を行った。このようにして得られたシリカを、100℃で恒量となるまで減圧乾燥を実施して、メソポーラスシリカIを得た。こうして得られたメソポーラスシリカIの平均細孔径は9nmであった。
・メソポーラスシリカII
メソポーラスシリカIの製法において、水熱処理を200℃で3時間、密閉系で実施する以外は同様の方法でメソポーラスシリカIIを得た。こうして得られたメソポーラスシリカIIの平均細孔径は15nmであった。
なお、シリカの細孔径、細孔容積の測定法は、以下の通りである。
カンタクローム社製AS−1にてBET窒素吸着等温線を測定し、平均細孔径(最頻直径)及び細孔容積を求めた。具体的には、細孔容積は相対圧P/P=0.98のときの値を採用して算出した。また、BJH法で細孔分布曲線及び最頻直径における微分細孔容積を求めた。測定する相対圧各点の間隔は0.25とした。
<熱可塑性樹脂粉体>
Figure 2008159310
<抗菌剤>
銀ゼオライト:シナネンゼオミック社製「ゼオミックLB10N」平均粒径7μm
<基材シート>
ポリエステル製スパンボンド不織布:東洋紡績社製「ハイム H3401A」目付量40g/m、厚さ220μm
<粘着材>
アクリル系粘着材:綜研化学社製「SKダイン1720」固形分46〜48%
<剥離シート>
半晒クラフト紙よりなるベースシートの片面にシリコンコートの剥離層を形成したもの:サンエー化研社製「N−80HS」
また、実験例及び比較実験例で製造した調湿シートの評価は、次の方法により行った。
[評価方法]
<成形性>
調湿シートをカッターで10cm角にカットし、以下の状態を確認して判定した。
○:熱溶融したバインダーの熱可塑性樹脂粉体により基材シート、調湿粒子、及びその他の構成材料がしっかりと接着固定されていて、カットした調湿シートの端部での基材シートの剥離がなく、かつ10cm角にカットした際に発生する粉落ち量が10mg未満である。
×:上記各材料間の接着固定が不十分で、カットした調湿シートの端部で基材シートの剥離がある。又は、10cm角にカットした際に発生する粉落ち量が10mg以上である。
<吸湿性>
10cm角にカットした調湿シートを、温度20℃、相対湿度50%の恒温恒湿器中で1時間放置した後、温度20℃のまま相対湿度を95%にして3時間放置する。このときの調湿シートの重量増加量を測定して、以下の基準により吸湿性を判定した。
◎:調湿粒子又は吸湿粒子1.0gあたりの吸湿量が1.0g以上である。
○:調湿粒子又は吸湿粒子1.0gあたりの吸湿量が0.4g以上、1.0g未満である。
×:調湿粒子又は吸湿粒子1.0gあたりの吸湿量が0.4g未満である。
<放湿性>
10cm角にカットした調湿シートを、温度20℃、相対湿度50%の恒温恒湿器中で1時間放置した後、温度20℃のまま相対湿度を95%にして3時間放置して、吸湿させる。その後、すぐに20℃のまま相対湿度を50%に戻し、再放湿させた。この時点から2時間後の吸湿シート重量減少量を測定して、以下の基準により放湿性を判定した。
◎:調湿粒子又は吸湿粒子1.0gあたりの吸湿量が0.4g以上であり、かつ吸湿した水分の90%以上を再放湿する。
○:調湿粒子又は吸湿粒子1.0gあたりの吸湿量が0.4g以上であり、かつ吸湿した水分の80%以上、90%未満を再放湿する。
×:調湿粒子又は吸湿粒子1.0gあたりの吸湿量が0.4g未満である。又は吸湿した水分の80%未満しか再放湿しない。
<吸水性>
10cm角にカットした調湿シート上に50μLの水滴をのせ、下記に示す水のしみ込み速さの基準により、吸水性を確認した。
◎:3分以内に水滴がすべてシート内に吸収される。
○:3分以内に水滴がすべてシート内に吸収されないが、水滴拭き取り後にウォータースポット(水がしみ込んだ跡)が観察される。
×:3分以内に水滴がすべてシート内に吸収されず、水滴拭き取り後もウォータースポットが観察されない。
<防カビ性>
4cm角にカットした調湿シートのカビ抵抗性をJIS Z2911(かび抵抗性試験方法)に則り評価し、以下の基準により判定した。
◎:肉眼及び顕微鏡下でカビの発生は認められない。
○:肉眼ではカビの発生は認められない。
×:肉眼でカビの発生が認められる。
[実験例1〜11、比較実験例1〜5]
メソポーラスシリカIと表2に示す熱可塑性樹脂粉体とを表3に示す重量比で均一に混合し、この混合粉体を基材シートであるポリエステル製スパンボンド不織布の上に200g/mとなるよう、均一に散布した。この上に更にスパンボンド不織布を重ね合わせて、2枚の基材シートの間に混合粉体を狭持させた。
次いで、この積層体をホットプレスにより、熱可塑性樹脂粉体の融点よりも10℃高い温度にて、0・5MPaで2分間処理して、熱圧着することにより、調湿シートを得た。
得られた調湿シートの評価結果を表3に示した。
表3には、形成された調湿層の厚さ及び空隙率を併記した。
なお、調湿層の厚さ及び空隙率は次のようにして求めた。即ち、基材シートとしてポリエステル製剥離フィルム又はアルミ箔を用いたこと以外は、各実験例及び比較実験例と同様にして調湿シートを製造し、その後、剥離フィルム又はアルミ箔を剥し取り、調湿層のみの厚さをマイクロメーターで各シート毎、8点測定し、その平均値を厚さとした。また、このシートから12cm×12cmのサンプルを切り出し、前述の空隙率の算出方法で、シリカの真比重=2、メソポーラスシリカの細孔容積=1.089cm/gとして、空隙率を計算した。
Figure 2008159310
表3より、調湿粒子を熱可塑性樹脂粉体により熱融着して成形して空隙率15%以上の調湿層を形成することにより、成形性、吸放湿性、吸水性、及び防カビ性に優れた調湿シートが得られることがわかる。
[実験例12]
実験例7において、抗菌剤である銀ゼオライトをメソポーラスシリカIとポリアミド粉体との合計100部に対して更に1部加えて、均一混合した以外は、同様の方法で調湿シートを得、その評価結果を表4に示した。
[実験例13,14]
実験例7において、メソポーラスシリカIに代えて、表1に示す調湿粒子を使用したこと以外は、同様の方法で調湿シートを得、その評価結果を表4に示した。
[実験例15]
剥離シートである半晒クラフト紙のシリコーンコート側にアクリル系粘着剤を70g/mとなるように均一に塗工して、十分に乾燥させ片面粘着シートを得た。更に、この粘着層面と実験例7で作製した調湿シートの片面とを張り合わせ、片面粘着処理調湿シートとし、その評価結果を表4に示した。
[比較実験例6〜8]
実験例7において、メソポーラスシリカIに代えて、表4に示す吸湿粒子を使用したこと以外は、同様の方法で調湿シート得、その評価結果を表4に示した。
なお、表4には実験例7の結果も併記した。
Figure 2008159310
表4より、調湿層に抗菌剤を添加することにより、防カビ性が改善されることが分かる。なお、片面粘着処理により、施工性が向上する。
また、調湿粒子としては、B型シリカゲルも有効であるが、メソポーラスシリカが最も好ましく、A型シリカゲル、ゼオライト、及び吸水性ポリマーでは放湿性が劣ることが分かる。
[実験例16〜19、比較実験例9〜12]
図6または図7に示すパウダーラミネート装置で本発明の調湿シートを作成した。上側シート37および下側シート32をいずれもポリエステル製スパンボンド不織布とした。混合粉体フィードホッパー34には、メソポーラスシリカI、表2に示すポリアミド粉体、および抗菌剤である銀ゼオライトを50/50/1の重量比で均一に混合し、充填した。上側シート37および下側シート32のラインスピードは、いずれも2m/minとし、下側シート32の上方より、混合粉体フィードホッパー34で混合粉体を400g/minの速度で均一に散布した。この上に更に上側シート37を重ね合わせて、2枚の基材シート間に混合粉体を狭持させた。次いで、この積層体を表5に示す熱圧着条件で処理することにより、調湿シートを得た。得られた調湿シートの評価結果を表5に示した。
Figure 2008159310
なお、実験例7において調湿粒子として用いたメソポーラスシリカIと、実験例13において調湿粒子として用いたB型シリカゲルと、実験例14において調湿粒子として用いたメソポーラスシリカIIと、比較実験例6において吸湿粒子として用いたA型シリカゲルについて、それぞれ吸放湿特性を調べ、結果を図5に示した。
図5から、特定の狭い湿度領域で高い吸放湿特性を示す点において、調湿粒子としてはメソポーラスシリカが有効であることが分かる。
[実施例1]
ランプハウジング内の結露でランプカバー12の曇りの問題があった容量約1.5Lのヘッドライトにおいて、2cm×10cm角にカットした実験例1〜15で製造した調湿シートをそれぞれ図1に示す如く、ランプカバー12下側内面に貼り付けた。このランプ内部を45℃、湿度90%の空気で置換した後、45℃の恒温室へ入れた。その後、恒温室の温度(外温)を20分毎に10℃ずつ段階的に5℃まで低下させ、このときのランプ内部の結露状態を目視で確認した。その結果、実験例1〜15製造したいずれの調湿シートにおいても、外温が5℃に低下したときでも、ランプ内部には結露の発生は確認されなかった。
[比較例1]
実施例1で使用した容量約1.5Lのヘッドライトにおいて、図2示す如く調湿シート10、10Aを貼り付けない以外は、実施例1と同様の試験を実施した。その結果、外温が35℃になったとき、ランプカバー12内壁に結露の発生が確認された。
実施例1、比較例1より、実験例1〜15で製造した調湿シートをランプ内部に貼り付けることにより、結露の発生を防止できることが確認された。
本発明のランプは、自動車等の車輌用ランプに何ら限定されず、低温環境に晒される用途に用いられるランプ、街路灯や工事現場の仮設ランプ等、様々なランプに適用することができる。
本発明のランプの実施の形態を示す断面図である。 従来のランプを示す断面図である。 本発明の調湿シートの実施の形態を示す模式的な断面図である。 本発明の調湿シートの他の実施の形態を示す模式的な断面図である。 A型シリカゲル、B型シリカゲル及びメソポーラスシリカを用いた調湿シートの吸放湿特性を示すグラフである。 加熱ローラー式パウダーラミネート装置の製造ラインを示す模式的な構成図である。 加熱ベルト式パウダーラミネート装置の製造ラインを示す模式的な構成図である。
符号の説明
1,2 基材シート
3 調湿粒子
4 熱可塑性樹脂粉体
5 粘着剤層
6 剥離シート
7 調湿層
10,10A 調湿シート
11 ランプハウジング
12 ランプカバー
13 発光ランプ
14 反射鏡
15,16 通気孔
20 吸収室

Claims (11)

  1. ランプハウジング内に調湿シートを設けたランプにおいて、
    該調湿シートは、水蒸気を可逆的に吸放湿する調湿粒子が、熱可塑性樹脂粉体により互いに接着されてシート状に成形されてなる調湿層を備え、該調湿層の空隙率が15%以上であることを特徴とするランプ。
  2. 請求項1において、前記調湿層を構成する熱可塑性樹脂粉体と調湿粒子との重量比が1/4〜2/1であることを特徴とするランプ。
  3. 請求項1又は2において、前記熱可塑性樹脂粉体の平均粒径と調湿粒子の平均粒径との比が1/20〜1/1であることを特徴とするランプ。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、前記調湿粒子の平均粒径が5〜1000μmであることを特徴とするランプ。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項において、前記調湿粒子がシリカであることを特徴とするランプ。
  6. 請求項5において、前記シリカがメソポーラスシリカであることを特徴とするランプ。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項において、前記調湿層に抗菌剤及び/又は防カビ剤が含有されていることを特徴とするランプ。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1項において、前記熱可塑性樹脂の吸水率が0.2%以上で、MFRが55g/10min以下であることを特徴とするランプ。
  9. 請求項1ないし8のいずれか1項において、前記調湿層の少なくとも一方の面に通気性材料よりなる基材シートが積層されて一体化されていることを特徴とするランプ。
  10. 請求項1ないし9のいずれか1項において、前記調湿層の一方の面に基材シートが積層されて一体化されており、該基材シートの調湿層と反対側の面に粘着剤層が設けられており、該粘着剤層に剥離シートが積層されていることを特徴とするランプ。
  11. 請求項1ないし10のいずれか1項において、前記調湿シートがランプハウジング内の後面側の内壁面に貼着されていることを特徴とするランプ。
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