JP2008157865A - 六価クロムの分析方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】供試試料中に含まれる有色イオンの影響を低減し、六価クロムを優れた感度で分析する。
【解決手段】六価クロムとの間で錯体を形成する化合物を含む試薬と供試試料とを混合した後、有機溶媒で抽出分離する工程と、上記工程の後、有機溶媒層の着色を検査する工程とを備え、上記有機溶媒層に赤色が認められる場合には、上記供試試料に六価クロムが含まれていると判断する。
【選択図】図1
【解決手段】六価クロムとの間で錯体を形成する化合物を含む試薬と供試試料とを混合した後、有機溶媒で抽出分離する工程と、上記工程の後、有機溶媒層の着色を検査する工程とを備え、上記有機溶媒層に赤色が認められる場合には、上記供試試料に六価クロムが含まれていると判断する。
【選択図】図1
Description
本発明は、例えば、各種金属部品などから調製した供試試料中に含まれる六価クロムの有無を分析する際に適用される、六価クロムの分析方法に関する。
JIS K1020「工場排水試験方法、65.2クロム(VI)」では、六価クロムの溶出液にジフェニルカルバジドを加えて錯体を生成させた後、その錯体の吸光度(542nm)を測定し濃度を算出するジフェニルカルバジド吸光光度法が規定されている。ジフェニルカルバジド吸光光度法を用いた六価クロムの分析方法としては、例えば特許文献1及び2が挙げられる。特許文献1には、クロメート被膜に亀裂を形成した状態で六価クロムを抽出し、ジフェニルカルバジド吸光光度法によって六価クロムを分析する手法が開示されている。特許文献2には、銅溶液をイオン交換水で希釈した後にジフェニルカルバジド吸光光度法によって六価クロムを分析する手法が開示されている。
このように、六価クロムの分析方法としてはジフェニルカルバジド吸光光度法が一般的であるが、その他の手法としては例えば特許文献3が挙げられる。特許文献3には、アルカリ性溶媒に六価クロムを抽出し、マススペクトル分析にて六価クロムの有無を判定する手法が開示されている。
上述したように、六価クロムの分析方法としては、ジフェニルカルバジド吸光光度法に代表される様々方法が知られているが、供試試料中に有色イオンが共存する場合には六価クロムの正確な分析が困難であるといった問題があった。そこで、本発明は、このような実状に鑑み、六価クロムを優れた感度で分析することがでる六価クロムの分析方法を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するため本発明者らが鋭意検討した結果、供試試料中に含まれる有色イオンを六価クロムから分離する有効な手段を開発し、六価クロムを優れた感度で分析できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下を包含する。
(1)六価クロムとの間で錯体を形成する化合物を含む試薬と供試試料とを混合した後、有機溶媒で抽出分離する工程と、上記工程の後、有機溶媒層の着色を検査する工程とを備え、上記有機溶媒層に赤色が認められる場合には、上記供試試料に六価クロムが含まれていると判断することを特徴とする、六価クロムの分析方法。
(1)六価クロムとの間で錯体を形成する化合物を含む試薬と供試試料とを混合した後、有機溶媒で抽出分離する工程と、上記工程の後、有機溶媒層の着色を検査する工程とを備え、上記有機溶媒層に赤色が認められる場合には、上記供試試料に六価クロムが含まれていると判断することを特徴とする、六価クロムの分析方法。
ここで上記化合物としてはジフェニルカルバジドを例示することができ、上記錯体としてはジフェニルカルバジド-クロム錯体を例示することができる。また、本分析方法において、上記有機溶媒層の赤色とは紅色から紫色の範囲で規定される色とすることができる。
また、本分析方法において、上記有機溶媒層に赤色が認められる場合には、上記有機溶媒層から有機溶媒を除去してクロム定量分析を行うことによって、上記供試試料における六価クロム量を測定することができる。ここで、上記クロム定量分析としては、原子分光法によってクロムを検出する手法が挙げられる。上記原子分光法としては、原子吸光分析法又は高周波数誘導結合プラズマ発光分光分析法を適用することができる。
本発明に係る六価クロムの分析方法によれば、供試試料に含まれる有色イオンの影響を除去して、当該供試試料中の六価クロムを優れた感度で検出することができる。本分析方法によれば、従来では分析が困難であった試料であっても六価クロムを検出できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る六価クロムの分析方法は、供試試料中の六価クロムを検出する方法である。本分析方法において、供試試料とは、特に限定されないが、六価クロムの含有が疑われる溶液、工場排水、クロメート被膜の洗浄液、シャシー用のボルトやナット等の防錆処理済部品及びプラスチック部品等を挙げることができる。本分析方法においては、供試試料中に有色イオンや還元剤が含まれていても良い。有色イオンとは特に限定されないが、それ自身に所定の吸収波長を有するイオンである。有色イオンとしては、例えば、銅、ニッケル、鉄及びコバルトを挙げることができる。また、本分析方法においては、六価クロム以外の物質でジフェニルカルバジドと錯体を形成しうる物質が含まれていても良い。六価クロム以外の物質でジフェニルカルバジドと錯体を形成しうる物質としては、モリブデン酸(MoO4)やバナジウム(VO4)や臭素等の酸化剤を挙げることができる。
本発明に係る六価クロムの分析方法は、供試試料中の六価クロムを検出する方法である。本分析方法において、供試試料とは、特に限定されないが、六価クロムの含有が疑われる溶液、工場排水、クロメート被膜の洗浄液、シャシー用のボルトやナット等の防錆処理済部品及びプラスチック部品等を挙げることができる。本分析方法においては、供試試料中に有色イオンや還元剤が含まれていても良い。有色イオンとは特に限定されないが、それ自身に所定の吸収波長を有するイオンである。有色イオンとしては、例えば、銅、ニッケル、鉄及びコバルトを挙げることができる。また、本分析方法においては、六価クロム以外の物質でジフェニルカルバジドと錯体を形成しうる物質が含まれていても良い。六価クロム以外の物質でジフェニルカルバジドと錯体を形成しうる物質としては、モリブデン酸(MoO4)やバナジウム(VO4)や臭素等の酸化剤を挙げることができる。
本分析方法では、先ず、六価クロムとの間で錯体を形成する化合物を含む試薬と供試試料とを混合する。ここで、当該化合物としては、ジフェニルカルバジド(1,5-ジフェニルカルボノヒドラジド)を挙げることができる。なお、当該化合物としてジフェニルカルバジドを使用する場合、「JIS K0102 65.2 クロム(VI)[Cr(VI)]に規定されている「65.2.1ジフェニルカルバジド吸光光度法」に準拠して、ジフェニルカルバジド溶液を準備することが好ましい。
具体的にジフェニルカルバジド溶液は、例えば、ジフェニルカルバジド0.5gをアセトン25mlに溶かし、水を加えて全量50mlとすることで調製することができる。なお、ジフェニルカルバジド溶液としては、このような調整方法に限定されず、六価クロムとジフェニルカルバジドとの錯体が形成される条件であれば如何なる組成、如何なる濃度で調製されてもよい。
なお、六価クロムとジフェニルカルバジドとの錯体は以下のようにして形成される。
なお、六価クロムとジフェニルカルバジドとの錯体は以下のようにして形成される。
次に、本分析方法では、供試試料に上記化合物を加えた混合液を有機溶媒で抽出分離する。有機溶媒を用いた抽出分離工程では、上記の混合液に含まれる六価クロム錯体を有機溶媒層に分離するとともに、供試試料に含まれていた有色イオンや酸化剤等を水層に分離することができる。ここで、有機溶媒としては、特に限定されないが、クロロホルム等を使用することができる。また、有機溶媒を用いた分離抽出工程は、上述した有機溶剤に加えて塩析剤を添加することが好ましい。塩析剤としては、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸塩(ナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩)及び硝酸塩(ナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩)等を使用することができる。
本工程において、塩析剤の濃度を上記混合液中25wt/vol%以上とすることによって、上記混合液内で形成されたジフェニルカルバジド-六価クロム錯体の90%以上が有機溶媒層に分離されることとなる。よって、本工程を経た後、有機溶媒層の着色を検査することで、供試試料に六価クロムが含有されていたか否かを分析することができる。
有機溶媒層の着色を検査する手法としては、特に限定されないが、目視による検査、吸光度計を用いた検査を挙げることができる。目視による検査の際には、有機溶媒層の着色が紅色〜紫色の範囲である場合にはジフェニルカルバジド-六価クロム錯体による着色であると判断する。なお、目視による検査には色見本を使用して着色を検査してもよいし、標準溶液を用いた着色標本を比較対照として有機溶媒層の着色を検査しても良い。また、吸光度計を用いた検査においては、ジフェニルカルバジド-六価クロム錯体が波長543nmに吸収波長を有するため、波長540nm付近の吸光度を測定する。
また、本工程において、水層の着色が観察された場合には有色イオンによる着色であることを示している。すなわち、本分析方法によれば、有機溶媒層の着色を検査することで供試試料に含まれている六価クロムを分析することができ、供試試料に含まれている有色イオンの影響を排除することができる。
次に、本分析方法では、有機溶媒層を水層から分離した後に有機溶媒層に六価クロムが含まれていることを確認、或いは有機溶媒層に含まれているクロム量を測定することができる。具体的には、例えば、分離した有機溶媒層をろ過した後、有機溶媒層から有機溶媒成分を揮発させて得られた残査を硝酸等の酸を用いて加熱分解する。これにより、ジフェニルカルバジド-六価クロム錯体から六価クロムを分離することができ、六価クロムを含む溶液を調製することができる。その後、当該溶液に含まれる六価クロムを、所望の手段で検出する。当該手段としては、六価クロムの検出方法として知られる従来公知の如何なる手段を用いても良いが、例えば、原子吸光分析法(AA)及び高周波数誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法等に代表される原子分光法を適用することができる。
本工程によれば、着色を検出した有機溶媒層に六価クロムが含まれていることを確認することがき、また、有機溶媒層に含まれる六価クロムを定量することもできる。六価クロムを定量する場合には、検量線を作成した後に当該検量線を用いて行うことができる。
以上のように本発明に係る六価クロムの分析方法によれば、供試試料中に含まれる有色イオンの影響を排除し、当該供試試料に六価クロムが含まれるか否か、及び六価クロムが含まれる場合にはその定量を非常に優れた感度で実施することができる。本発明に係る六価クロムの分析方法によれば、従来のジフェニルカルバジド吸光光度法では、有色イオンの影響によって測定が困難であった供試試料に対しても、非常に簡便な操作によって六価クロムの検出及び定量を行うことができる。
また、本発明に係る六価クロムの分析方法では、六価クロム以外の物質であってジフェニルカルバジドと錯体を形成しうる物質の影響を排除することができる。すなわち、本発明に係る六価クロムの分析方法によれば、ジフェニルカルバジドと六価クロムとの錯体形成を阻害することを防止できる。したがって、本発明に係る六価クロムの分析方法は、従来のジフェニルカルバジド吸光光度法と比較して、ジフェニルカルバジド-六価クロム錯体以外の錯体による影響を低減することができる。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
本実施例1では、三価クロメート処理液に含まれる六価クロムを分析する系を検討した。供試試料としては、表1に示す三価クロメート処理液を用いた。
〔実施例1〕
本実施例1では、三価クロメート処理液に含まれる六価クロムを分析する系を検討した。供試試料としては、表1に示す三価クロメート処理液を用いた。
本実施例において行った実験のフローチャートを図1に示す。なお、本実施例で使用した試薬はJIS K0102に準じて調製し使用した。本実験では、先ず、供試試料(三価クロム処理液原液、表1の組成)1〜2mlを全容フラスコに2本採取し、水で約40mlに薄めた(図1中S1と表記)。次に、6N硫酸1.5mlを加えて振り混ぜた(S2)。そして、一方の供試試料には水で50ml標線まで薄め、振り混ぜブランク溶液とした。他方の供試試料には、0.5%ジフェニルカルバジド溶液1.5mlを加えた後、水で50ml標線まで薄めて振り混ぜた(S3)。
約10分間放置後、この段階で二つの供試試料分光光度計(島津製作所製、UV-1200)を用いて540nm付近における吸光度を測定した。その結果を表2に示した。
表2に示したように、図1中S3の段階では、ジフェニルカルバジドの添加区と無添加区との間で吸光度に差が見られない場合が多かった。このことは、図1中S3の段階では、540nm付近における吸光度を測定しても、ジフェニルカルバジド-六価クロム錯体以外の有色イオンの影響により、ジフェニルカルバジド-六価クロム錯体を検出できない場合があることが明らかとなった。
本実施例では、次に、これらの試料溶液をそれぞれ分液ロートに移し、塩析剤として塩化ナトリウム5g及び酢酸ナトリウム5gを加えて塩濃度を25wt/vol%とし、さらにクロロホルム20mlを加えた(S5)。その後、シェーカを用いて約2分間浸蕩した(S6)。分液ロート内の供試試料が二層に分離するまで放置し、下層(有機溶媒層)を乾燥ろ紙(No5A)を用いて、三角フラスコにろ過した(S7)。上層(水層)のみが残った分液ロートにクロロホルム20mlを再び加えて浸蕩後、分液ロート内の供試試料が二層に分離するまで放置した。分離後の下層(有機溶媒層)は、三角フラスコ内の有機溶媒層に合液した(S8)。
以上のようにして回収された有機溶媒層の着色を目視によって確認した(S9)。本工程によって、有機溶媒層に赤(紅〜紫)色の着色が認められる場合には、供試試料に六価クロムが含まれていたことを示すこととなる。本実施例で使用した供試試料については、有機溶媒層に紅色の着色を目視によって確認することができた。
また、本実施例のように、S8で得られた有機溶媒層に着色が確認された場合は、以下の方法によって六価クロムを検出及び定量することができる。すなわち、先ず、回収した有機溶媒層をロータリーエバポレーダ(約30〜40℃)にセットし、脱溶媒する(S10)。次に、三角フラスコに硝酸5〜10mlを加えて容器内の溶液が透明になるまで加熱分解する(S10)。次に、得られた溶液を全量フラスコ25mlに移し、少量の水でフラスコ内を洗浄した後、水で標線まで薄め振り混ぜる。
得られた溶液をICP分析装置(島津製作所製、ICP-V 8100)により波長267.72nmにおけるクロムの発光強度を測定する(S11)。これにより、六価クロムの存在を再度、確認することができる(S12)。なお、定法に従って作成した検量線を用いることで、クロム発光強度から六価クロムを定量することもできる。
本実施例では、上述した供試試料に代えて六価クロム標準溶液及び三価クロム標準溶液を用いてS1〜S12を処理した。S4の吸光度測定結果、S9の有機溶媒層の着色確認結果、S7で分離した水層の吸光度測定結果、S12の有機溶媒層に含まれている六価クロム量及び有機溶媒層への六価クロムの回収率を表3に示した。
表3に示したように、六価クロム標準溶液を用いた場合に、有機溶媒層から検出されたCr6+量は回収率が90%以上であった。なお、一部のCr6+がろ過工程でロスされているため回収率が100%になっていないものと考えられる。また、Cr6+は水層からは不検出であり、六価クロム標準溶液に含まれるCr6+の全量がジフェニルカルバジドと錯体を形成し、有機溶媒層に抽出されていることが判る。一方、三価クロム標準溶液を用いた場合には、ジフェニルカルバジド添加の有無に拘わらず、有機溶媒層からCrは不検出であり、有機溶媒抽出分離後の水層にCrの全量が存在していた。即ちCr3+はジフェニルカルバジド錯体を形成せず、完全にCr6+との分離が出来ていることが明らかとなった。S8において、水層の混入を確実に防止することによって、供試試料に含まれる三価クロムが有機溶媒層に混入することを防止できることが分った。
〔実施例2〕
本実施例2では、実施例1で準備した三価クロメート処理液で処理した部品(ナット、ワッシャ)4種類を用いて六価クロムの分析を行った。本実施例における処理のフローチャートを図2に示す。
本実施例2では、実施例1で準備した三価クロメート処理液で処理した部品(ナット、ワッシャ)4種類を用いて六価クロムの分析を行った。本実施例における処理のフローチャートを図2に示す。
先ず、JIS H8625(電気亜鉛めっき及び電気カドミウムのクロメート皮膜)に準じて上記部品から供試試料を準備した。すなわち、部品表面積50cm2をJIS H8625に従い、水50mlに100℃で10分間浸漬後、部品を取り出した。得られた抽出液を放冷することで、本実施例で使用する供試試料を準備した(S20)。次に、供試試料に対して6N硫酸1.5mlを加え(S21)、続いてジフェニルカルバジド溶液1.5mlを加えた(S22)。よく撹拌した後、10分間放置した。後の工程でCrを定量する際の比較のため、実施例1と同様に、供試試料の一部を使用し、分光光度計を用いて波長540nmにおける吸光度を測定した(S23)。また、ブランク(部品を浸漬していない以外は同様に調製した溶液)を使用して同様に吸光度を求めた。予め作成した検量線から六価クロム量を求めた(S23)。
次に、供試試料の40mlを分液ロートに移し、塩析剤として塩化ナトリウム約5g及び酢酸ナトリウム約5gを加えて塩濃度を25wt/vol%とし、さらにクロロホルム25mlを加えた(S24)。その後、シェーカで約2分間浸蕩し(S25)、溶液が二層に分離するまで放置した。下層に分離された有機溶媒層を、乾燥ろ紙を用いてろ過し、フラスコに回収した(S26)。上層(水層)のみが残った分液ロートにクロロホルム20mlを再び加えて浸蕩後、分液ロート内の供試試料が二層に分離するまで放置した。分離後の下層(有機溶媒層)を同様に回収し、フラスコ内の有機溶媒層に合液した(S27)。
以上のようにして回収された有機溶媒層の着色を目視によって確認した(S28)。本工程によって、有機溶媒層に赤(紅〜紫)色の着色が認められる場合には、供試試料に六価クロムが含まれていたことを示すこととなる。さらに、回収した有機溶媒層をロータリーエバポレーダ(約30〜40℃)にセットし、脱溶媒した(S29)。次に、三角フラスコに硝酸5mlを加えて容器内の溶液が透明になるまで加熱分解した(S29)。次に、得られた溶液を用いて、実施例1と同様に、ICP分析装置(島津製作所製、ICP-V 8100)により波長267.72nmにおけるクロムの発光強度を測定した(S30)。そして、定法に従って作成した検量線を用いることで、クロム発光強度から六価クロムを定量した(S31)。
上述したS23における測定結果及びS31における測定結果を併せて表4に示す。
上述したS23における測定結果及びS31における測定結果を併せて表4に示す。
表4に示すように、A-1〜D-1試料におけるDPC呈色物(S23の測定結果)では、ブランク試料の吸光度が高く、有色イオンが存在していることが分かる。この影響により各試料溶液のCr6+相当量は0.3〜3.0μgを示した。ブランク補正後のCr6+量と有機溶媒層のCr量を比較するとA-1、C-1試料は両者のCr量に違いが見られず、これら試料に六価クロムは含まれないことが分かる。
これに対して、B-1試料についてはブランク補正後のCr量が0.4μgであったが、有機溶媒層からCrは検出されず、S23の測定結果(DPC呈色物)はCr6+以外の成分によるものと考えられた。また、D-1試料、Cr6+試料では有機溶媒層からそれぞれ2.7μg、9.2μgのCrが検出されており、約90%以上の回収率が得られることが分かった。
以上の実験結果から、本発明に係る六価クロムの分析方法によれば、有色イオンによる影響を低減して、供試試料に含まれる六価クロムを優れた感度で分析できることが実証された。
ところで、本実施例では、S24における塩析剤の量について検討した。すなわち、S24において添加する塩析剤の量を様々な値に変えて、上述した分析方法で処理した。その結果を表5に示す。
表5に示すように、供試試料中の塩濃度が25%以上でほぼ90%以上のCr6+が回収できることが分かった。ただし、両者の配合量がそれぞれ7g以上では、不溶解塩類が分液ロート内に沈殿するため、分離操作がやや煩雑になった。以上の結果から、塩化ナトリウム5gと酢酸ナトリウム5gを塩析剤として使用することが好ましいという結論に至った。
Claims (6)
- 六価クロムとの間で錯体を形成する化合物を含む試薬と供試試料とを混合した後、有機溶媒で抽出分離する工程と、
上記工程の後、有機溶媒層の着色を検査する工程とを備え、
上記有機溶媒層に赤色が認められる場合には、上記供試試料に六価クロムが含まれていると判断することを特徴とする、六価クロムの分析方法。 - 上記化合物はジフェニルカルバジドであり、上記錯体はジフェニルカルバジド-クロム錯体であることを特徴とする、請求項1記載の六価クロムの分析方法。
- 上記有機溶媒層の赤色とは、紅色から紫色の範囲で規定される色であることを特徴とする、請求項1記載の六価クロムの分析方法。
- 上記有機溶媒層に赤色が認められる場合には、上記有機溶媒層から有機溶媒を除去してクロム定量分析を行うことによって、上記供試試料における六価クロム量を測定することを特徴とする、請求項1記載の六価クロムの分析方法。
- 上記クロム定量分析は、原子分光法によってクロムを検出することを特徴とする、請求項4記載の六価クロムの分析方法。
- 上記原子分光法は、原子吸光分析法又は高周波数誘導結合プラズマ発光分光分析法であることを特徴とする、請求項5記載の六価クロムの分析方法。
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