JP2008157122A - スクロール圧縮機 - Google Patents

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Daisuke Funakoshi
大輔 船越
Noboru Iida
飯田  登
Hiroyuki Kono
博之 河野
Kiyoshi Sawai
澤井  清
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

【課題】固定スクロールと旋回スクロールの摺動面に十分なオイルを保持させ、良好な潤滑状態を保ち、高い信頼性と高い効率を両立したスクロール圧縮機を提供すること。
【解決手段】旋回運動を行う旋回スクロール支持円板上に溝24を設けることで、旋回運動中において、旋回スクロール9と固定スクロール6との摺動部で常に十分なオイルが保持されることから、良好な潤滑状態が得られ、摺動損失低減により、高い効率と高い信頼性を持ったスクロール圧縮機が得られる。
【選択図】図1

Description

本発明は、空調機、冷凍機、ブロワ、給湯機等に使用されるスクロール圧縮機に関するものである。
従来、固定スクロールの一部をなす鏡板の一面に直立して形成された渦巻き状の固定スクロールラップに対して、旋回スクロールの一部をなすラップが支持円板上に直立するとともに、前記固定スクロールラップに類似した形状の旋回スクロールラップを互いに噛み合わせて、両スクロール間に渦巻き形の対称形の一対の圧縮空間を形成し、自転阻止部材を介して旋回スクロールが固定スクロールに対し旋回運動を行うことによって、中心に向けて連続移行する複数個の圧縮室に区画されて流体を圧縮すべく容積変化するスクロール圧縮機において、固定スクロールと旋回スクロールは運転中常に接触摺動しているためその接触面で摩擦が生じ摺動損失となって効率悪化の原因となっている。よって、固定スクロールと旋回スクロールの摺動部で良好な潤滑状態を保たれることで、高い効率と高い信頼性を持ったスクロール圧縮機が得られる。
図6は、特許文献1に記載された従来のスクロール圧縮機を示すものである。図6において、104は固定スクロール、104aは固定スクロールの鏡板、104bは固定スクロールのラップ、105は旋回スクロール、105aは旋回スクロールの鏡板、105bは旋回スクロールのラップ、114は吐出口、120は鏡板105aの環状溝、121は鏡板104aの環状溝、122は外溝、123は内溝、124は吸入室を示している。
図6に示すように、旋回スクロールの鏡板上に環状溝と同環状溝の外周から外側に向かう外溝を形成して背圧室と吸入室を連通し、吐出圧力と吸気圧力の中間の圧力を前記溝に作用させ、背圧室から旋回スクロールの外溝、環状溝、固定スクロールの環状溝、内溝の順に通って吸入室に入る潤滑油の流れにより固定、旋回スクロールの鏡板とラップを潤滑し、吐出口から還流させることにより、固定スクロールと旋回スクロールの摺動部の潤滑状態の向上から機械損失が減少し効率の向上が得られ、さらに給油機構が簡単な構造であるために運転直後から素早く摺動部にオイルが供給され、より高い信頼性を持ったスクロール圧縮機の提供が可能となった。
特開平8−200252号公報
しかしながら、前記従来の構成では背圧室から吸入室に潤滑しながらオイルを流すために、多量のオイルは吸入室に入り、粘性損失増大により効率が悪化する。また、この給油方式では運転中常に旋回スクロールと固定スクロールの摺動部に十分なオイルが保持されない可能性がある。そこで、さらに高い効率を維持し高い信頼性を得ることが必要である。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、固定スクロールと旋回スクロールの摺動部で十分なオイル保持を行い、高い効率と高い信頼性を得ることが可能となるスクロール圧縮機を提供することを目的とする。
前記従来の課題を解決するために、旋回運動する旋回スクロール側の支持円板上に溝を設けることで、旋回スクロールと固定スクロールの摺動部で常に十分なオイルを保持すこ
とが可能となる。
本発明のスクロール圧縮機は、固定スクロールと旋回スクロールの摺動部で十分なオイル保持を行い高い効率と高い信頼性を得ることが可能となる。
第1の発明は、密閉容器の内部に、固定子と回転子で構成されるモータとこのモータで駆動する圧縮機構を配設し、固定スクロールの一部をなす鏡板の一面に直立して形成された渦巻き状の固定スクロールラップに対して、旋回スクロールの一部をなすラップが支持円板上に直立するとともに、固定スクロールラップに類似した形状の旋回スクロールラップを互いに噛み合わせて、両スクロール間に渦巻き形の対称形の一対の圧縮空間を形成し、固定スクロールラップの中心部に吐出室に通じる吐出口を設け、固定スクロールラップの外側には吸入室を設け、自転阻止部材を介して旋回スクロールが固定スクロールに対し旋回運動を行うことによって、各圧縮空間が吸入側より吐出側に向けて連続移行する複数個の圧縮室に区画されて流体を圧縮すべく容積変化し、旋回スクロール支持円板上に溝を設けることにより、旋回運動中に旋回スクロールと固定スクロールとの摺動部で常に十分なオイルが保持されることから、良好な潤滑状態が得られ、摺動損失低減により高い効率を得ることができる。また同時に金属接触による旋回スクロールおよび固定スクロールの磨耗を低減し、高い信頼性を得ることができる。
第2の発明は、旋回スクロールの支持円板上の溝が圧縮空間と旋回運動中に連通しないことで、旋回スクロールと固定スクロールとの摺動部にあるオイルが圧縮空間に漏れこまずに摺動部で保持される。よって、摺動部でさらにオイル保持効果が向上し、圧縮空間へのオイルの漏れ込みが抑制されることで粘性損失が低減され、さらに高い効率と高い信頼性が得られる。
第3の発明は、固定スクロールの鏡板上にオイル溜まりを持つ構造において、旋回スクロール支持円板上の溝がオイル溜まりに旋回運動中のある一定区間で連通することで、オイル溜まりから強制的にオイルが供給されることにより、さらに摺動部でのオイル保持効果が向上する。
第4の発明は、旋回スクロールを固定スクロールの鏡板に接触させるために、旋回スクロールの背面に一定圧を印加させる背圧室を持つスクロール圧縮機において、溝内側形状が旋回スクロールラップ曲線の最外周から一定距離だけ外側にオフセットさせた曲線形状であることで、圧縮空間と背圧室とのシール長さが一定になり力学的バランスが良化されることから、旋回運動中に旋回スクロールが固定スクロールから離れることによって起こる転覆現象が抑制される。
第5の発明は、特に第1〜4のいずれか1つの発明のスクロール圧縮機において、作動流体としてCOを用いることで、特に、差圧が大きく、旋回スクロールと固定スクロールの摺動面に加わる負荷が非常に大きいCOにおいても、より効果的に高い効率と高い信頼性を得ることが可能である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるスクロール圧縮機の縦断面図を示すものである。
図1において、鉄製の密閉容器1の内部全体は吐出管2に連通する高圧雰囲気となり、その中央部にモータ3、上部に圧縮部が配置され、モータ3の回転子3aに固定されたクランクシャフト4の一端を支承する圧縮部の本体フレーム5が密閉容器1に固定されており、その本体フレーム5に固定スクロール6が取り付けられている。
クランクシャフト4に設けられた主軸方向の油穴7は、その一端が給油ポンプ装置8に通じ、他端が最終的に旋回スクロール9の旋回軸受10に通じている。固定スクロール6と噛み合って圧縮空間11を形成する旋回スクロール9は、渦巻き状の旋回スクロールラップ9bと旋回軸受10とを直立させた支持円板9aとからなり、固定スクロール6と本体フレーム5との間に配置されている。
固定スクロール6は、鏡板6aと渦巻き状の固定スクロールラップ6bとからなり、固定スクロールラップ6bの中央部に吐出口12、外周部に吸入室13が配置されている。
クランクシャフト4の主軸部4aから偏心してクランクシャフト4の上端部に配置された旋回軸部4bは、旋回スクロール9の旋回軸受10と係合摺動し、クランクシャフト4の下端部に配置された副軸部4cは密閉容器1内に溶接や焼き嵌めして固定された副軸受19により軸支され、主軸部4a、旋回軸部4b、副軸部4cの三点で支持された構成をしている。旋回スクロール9の支持円板9aと本体フレーム5に設けられた第1のスラスト軸受15aとの間は、油膜形成可能な微小隙間が設けられている。支持円板9aには旋回軸受10とほぼ同心の環状シール部材16が遊合状態で装着されており、その環状シール部材16はその内側の背面室17と外側の背圧室18とを仕切っている。
給油ポンプ装置8によって吸い上げられた潤滑油はクランクシャフト4の油穴7を通り旋回スクロール9の旋回軸受10と旋回軸部14との間に形成された軸方向の内部空間20へ導かれ、一方は旋回スクロール9の支持円板9aの背面に設けられた絞り部21を経由して固定スクロール6と本体フレーム5とによって囲まれて形成される背圧室18へと通じ、旋回スクロール9を固定スクロールラップ6b外周部の第2のスラスト軸受15bに押さえつける機能を持った背圧調整弁22、オイル供給通路22aを通って吸入室13へと導かれる。もう一方は旋回スクロール9の内部の通路26を経由し、圧縮空間11へと導かれ、旋回スクロールラップ9bと固定スクロール6の鏡板6aとの摺動部にオイルが供給される。また、圧縮部に流れなかった残りのオイルは旋回軸受10、背面室17、主軸受14を通り圧縮部外部へ排出される。
吐出口12の出口側を開閉する逆止弁装置23が固定スクロール6の鏡板6aの平面上に取り付けられており、その逆止弁装置23は薄鋼板製のリード弁23aと弁押さえ23bとからなる。
図2は旋回スクロール9の旋回スクロールラップ9b方向から見た旋回スクロール9の支持円板9a上の溝24の平面図である。
以上のように構成されたスクロール圧縮機について、以下その動作、作用を説明する。
背圧室18に供給された潤滑油は背圧調整弁22に流れる一方で、常にある一定量は背圧室18に満たされた状態になる。旋回スクロール9の支持円板9b上の溝24を持つことで、背圧室18に充填されている潤滑油が溝24に導かれ、旋回運動中に旋回スクロール9と固定スクロール6との摺動部で常に十分なオイルが保持され、良好な潤滑状態が得られ、摺動損失低減により高い効率を得ることができる。また、同時に金属接触による旋回スクロール9および固定スクロール6の磨耗を低減し、高い信頼性を得ることができる
また、図3に示すように旋回スクロール9の支持円板9a上の溝24が圧縮空間11と連通すると、旋回スクロール9と固定スクロール6との摺動部にあるオイルが圧縮空間11に漏れ込み、摺動部でオイルが保持されにくくなる。さらに圧縮空間11へのオイルの漏れ込みが生じることで、粘性損失が増大し効率が低下する。よって、溝24と圧縮空間11を旋回運動中に連通しないようにすることで、摺動部でのさらなるオイル保持効果の向上と、圧縮空間11へのオイルの漏れ込み抑制による粘性損失低減から、さらに高い効率と高い信頼性が得られる。
また、図4に示すように固定スクロール6の鏡板上6aにオイル溜まり25を持つ構造において、旋回スクロール9の支持円板9a上の溝24がオイル溜まり25に旋回運動中のある一定区間で連通することで、オイル溜まり25から強制的にオイルが供給されることにより、さらに摺動部でのオイル保持効果が向上する。
また、図5に示すように旋回スクロール9を固定スクロール6の鏡板上6aに接触させるために、旋回スクロール9の背面に一定圧を印加させる背圧室18を持つスクロール圧縮機において、溝24内側形状が旋回スクロールラップ9b曲線の最外周から一定距離だけ外側にオフセットさせた曲線形状であることで、圧縮空間11と背圧室18とのシール長さが一定になり力学的バランスが良化されることから、旋回運動中に旋回スクロール9が固定スクロール6の鏡板上6aから離れることによって起こる転覆現象が抑制される。
また、作動流体としてCOを用いることで、特に差圧が大きく、旋回スクロールと固定スクロールの摺動面に加わる負荷が非常に大きいCOにおいても、より効果的に高い効率と高い信頼性を得ることが可能である。
以上のように、本発明にかかるスクロール圧縮機は、旋回スクローの支持円板上に溝を設けることにより、旋回スクロールと固定スクロールの摺動部にオイルを効率良く保持させることで、高い効率と高い信頼性を確保することができ、HFC系冷媒やHCFC系冷媒を用いたエアーコンディショナー用圧縮機のほかに、自然冷媒COを用いたエアーコンディショナーやヒートポンプ式給湯機などの用途にも適用できる。
本発明の実施の形態1における縦型スクロール圧縮機の縦断面図 本発明の実施の形態1における溝の平面図 本発明の実施の形態1におけるある瞬間の溝と圧縮空間の位置関係を表す旋回図 本発明の実施の形態1におけるある瞬間の溝とオイル溜まりの位置関係を表す旋回図 本発明の実施の形態1における旋回スクロールラップと溝の位置関係を表す平面図 従来の縦型スクロールの圧縮機構部拡大断面図
符号の説明
1 密閉容器
2 吐出管
3 モータ
3a 回転子
3b 固定子
4 クランクシャフト
4a 主軸部
4b 旋回軸部
4c 副軸部
5 本体フレーム
6 固定スクロール
6a 鏡板
6b 固定スクロールラップ
7 油穴
8 給油ポンプ装置
9 旋回スクロール
9a 支持円板
9b 旋回スクロールラップ
10 旋回軸受
11 圧縮空間
12 吐出口
13 吸入室
14 主軸受
15a 第1のスラスト軸受
15b 第2のスラスト軸受
16 環状シール部材
17 背面室
18 背圧室
19 副軸受
20 内部空間
21 絞り部
22 背圧調整弁
22a オイル供給通路
23 逆止弁装置
23a リード弁
23b 弁押さえ
24 溝
25 オイル溜まり
26 通路

Claims (5)

  1. 密閉容器の内部に、固定子と回転子で構成されるモータとこのモータで駆動する圧縮機構を配設し、固定スクロールの一部をなす鏡板の一面に直立して形成された渦巻き状の固定スクロールラップに対して、旋回スクロールの一部をなすラップが支持円板上に直立するとともに、前記固定スクロールラップに類似した形状の旋回スクロールラップを互いに噛み合わせて、両スクロール間に渦巻き形の対称形の一対の圧縮空間を形成し、前記固定スクロールラップの中心部に吐出室に通じる吐出口を設け、前記固定スクロールラップの外側には吸入室を設け、自転阻止部材を介して前記旋回スクロールが前記固定スクロールに対し旋回運動を行うことによって、前記各圧縮空間が吸入側より吐出側に向けて連続移行する複数個の圧縮室に区画されて流体を圧縮すべく容積変化し、前記旋回スクロール支持円板上の前記スクロールラップ側に溝を設けることを特徴とするスクロール圧縮機。
  2. 前記溝において、前記圧縮空間と連通しないことを特徴とする請求項1に記載のスクロール圧縮機。
  3. 前記溝において、前記固定スクロールの前記鏡板上に設けたオイル溜まりとある一定区間で連通することを特徴とする請求項1または2に記載のスクロール圧縮機。
  4. 前記溝内側形状が前記旋回スクロールラップ曲線の最外周から一定距離だけ外側にオフセットさせた曲線形状であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のスクロール圧縮機。
  5. 作動流体として高圧冷媒であるCOを用いた請求項1〜4のいずれか1項に記載のスクロール圧縮機。
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