JP2008154523A - ヌクレアーゼ耐性及びrna干渉効果に優れた修飾型二本鎖rna - Google Patents

ヌクレアーゼ耐性及びrna干渉効果に優れた修飾型二本鎖rna Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、ヌクレアーゼ耐性が高く、優れたRNA干渉効果を奏することができる新規な二本鎖RNAを提供することである。
【解決手段】標的遺伝子の発現を抑制できる修飾型二本鎖RNAとして、下記の(1)〜(3)の特徴を備えさせる:(1)標的遺伝子中の標的配列に相補的な塩基配列からなるセンス鎖RNA、及び該センス鎖RNAに相補的な塩基配列を有するアンチセンス鎖RNAを有する。(2)前記センス鎖RNAが23個のヌクレオチドからなり、前記アンチセンス鎖RNAが21又は23個のヌクレオチドからなる。(3)前記センス鎖RNAの5’末端側を平滑末端にする。(4)前記センス鎖RNAの5’末端側から1〜6番目のヌクレオチドの少なくとも1つに対してのみ置換基が結合している。
【選択図】なし

Description

本発明は、標的遺伝子の発現を効果的に抑制できる修飾型RNAに関する。より具体的には、本発明は、23塩基からなるセンス鎖RNA(標的遺伝子中の標的配列に相補的な配列)及び該センス鎖RNAに相補的な21又は23塩基からなるアンチセンス鎖RNAを有する二本鎖RNAであって、ヌクレアーゼ耐性が高く、優れたRNA干渉効果を奏することができる修飾型RNAに関する。
ガンやエイズなどの難病を効率的に治療する医薬の開発は、ライフサイエンス分野における大きな一つの課題である。この課題を克服できる可能性がある有力な方法の一つとして、特定の遺伝子にのみ作用する遺伝子医薬がある。この遺伝子医薬の中でも特に最近21塩基の短い2本鎖RNA (small interfering RNA:siRNA )を利用するRNA干渉(RNA interference:RNAi)法 が注目されている。このRNAi法は、1998年にFireらにより初めて報告された(非特許文献1参照)。Fireらの報告によると、機能阻害したい遺伝子の特定領域と相同な100塩基対程度の2本鎖RNAを細胞内へ導入させることにより、細胞質内でDicerの働きにより20〜25塩基対程度の2本鎖RNAへと分解され、その後複数のタンパク質とRNA/タンパク質複合体を形成し(この複合体をRICS:RNA-induced silencing complexと呼ぶ)、標的遺伝子から産出されたmRNAの相同部位と結合し強力に遺伝子発現を抑制するというものである。しかしながら哺乳細胞では、約30塩基対以上の長い2本鎖RNAを導入させると、ウィルス応答反応であるインターフェロン反応が誘導され結果的に細胞が死んでしまうという現象が報告され、哺乳動物細胞系ではRNAi法は適用し難いと考えられた。そこでTuschlらは、3’末端にダングリングエンドをもつ21塩基長の2本鎖RNAを化学的に合成し、哺乳動物細胞へ直接導入させることにより、インターフェロン応答を回避し配列特異的に高い遺伝子発現抑制能を示すことを報告した(非特許文献2参照)。また彼らは、2本鎖領域が19塩基対で、3’末端又は5’末端に様々な長さのダングリングエンド鎖をもつ短い2本鎖RNAを合成しRNA干渉効果を検討した。その結果、3’末端に2塩基のダングリングエンドをもつ21塩基長のsiRNAは非常に高いRNA干渉効果が観測されたが、それ以外のあらゆるタイプの短い2 本鎖RNAにおいては顕著なRNA干渉効果が観測されなかった。この報告により、今日では21塩基長であり、3’末端に2塩基のダングリングエンドをもつ2本鎖RNAを用いたRNA干渉法が一般的となっている。ここでは21塩基長の短い2本鎖RNAを用いて標的遺伝子発現を阻害する方法を、RNAi法と区別してsiRNA法を呼ぶ。
このsiRNA法は合成RNAを用いるのでサンプル調整も比較的容易であり、取り扱い操作も簡便で、かつ、非常に強力な効果を示す為、ライフサイエンス分野のみならずバイオビジネス分野においても大きな注目を浴びている。
しかしながら、この優れたsiRNA法にも解決しなければならない問題点がある。上記したようにsiRNAはRNA分子から構成されており、細胞内および倍地中に含まれるヌクレアーゼの働きにより速やかに分解される。また2本鎖RNA領域は1本鎖RNAに比べ比較的高いヌクレアーゼ耐性を示すが、19塩基対からなる2本鎖RNAは殆ど従来のRNA干渉効果を示さない。そのため合成siRNAは、標的遺伝子配列をもつ細胞への導入後、2日〜4日間程度までは高い遺伝子発現抑制効果を示すが、その後はRNA干渉効果が急激に弱まり、7日程度でRNA干渉効果が殆ど無くなると報告されている。
最近、合成siRNAにおいて細胞導入性に優れ長時間高活性なRNA干渉効果を獲得するために、様々な化学修飾型siRNAが報告されている。例えば、エキソヌクレアーゼからの分解耐性を獲得する為に、siRNAの末端をアミノ基やチオール基、アベーシックなどに修飾したsiRNAが合成されている。しかしながら、末端を修飾した21塩基長のsiRNAのほとんどの場合で、RNA干渉効果が著しく減少すると既に報告されている。
また、細胞導入性や組織選択性を持たせる為にコレステロールや長鎖アルキル、糖鎖、ペプチドなどをsiRNAの末端に修飾したものが報告されている。コレステロールや長鎖アルキルを修飾したsiRNAは、細胞導入性が向上するだけではなく、in vivoにおいて肝臓への蓄積が観測されている。また、糖鎖やペプチドを修飾したsiRNAにおいても細胞導入性の向上が観測されている。しかしながら、いずれの場合においても修飾されていないsiRNAに比べ、同程度又は低いRNA干渉効果を観測しており、また、ヌクレアーゼ耐性も獲得していない。
また、RNA干渉効果を奏する二本鎖RNAでは、末端にダングリングエンド(オーバーハング)を有する構造が一般的に採用されているが、末端にダングリングエンドを有していない構造(即ち、平滑末端を有する構造)についても、RNA干渉効果の検討が行われている。しかしながら、センス鎖RNAの5’末端側を平滑末端にした構造では、センス鎖RNAの5’末端側にダングリングエンドがある場合に比して、RNA干渉効果が殆ど変わらない、或いはRNA干渉効果が低減することが示唆されている(非特許文献3参照)。
更に、RNA干渉効果を奏する二本鎖RNAに、機能性分子(タンパク質、ペプチド、コレステロール等)を結合させておくことにより、RNA干渉効果に加えて、当該機能性分子に基づく有用効果も奏されることが期待される。しかしながら、RNA干渉効果を奏する二本鎖RNAに、単に機能性分子を結合させると、RNA干渉効果の顕著な減弱化を招くことが分かっており、従来技術では、優れたRNA干渉効果と機能性分子に基づく有用効果とを兼ね備えた機能性分子修飾型RNAを構築できていないのが現状である。
以上のように、従来技術では、RNA干渉効果を奏する二本鎖RNAに関して、優れたヌクレアーゼ耐性及びRNA干渉効果を備えさせるには、如何なる塩基長のRNA、如何なる構造のRNAを採用すればよいかについては解明されていないのが現状である。
Fire et. al, Nature, 391, 806-811 (1998) Tuschl et. al., EMBO Journal, 20, 6877-6888 (2001) J. T. Marques et. al., Nature Biotech., 24, 559-565 (2005)
本発明は、ヌクレアーゼ耐性が高く、優れたRNA干渉効果を奏することができる新規な二本鎖RNAを提供することを目的とする。更に、本発明は、優れたRNA干渉効果と機能性分子に基づく有用効果とを兼ね備えた機能性分子修飾型二本鎖RNAを提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねたところ、標的遺伝子中の標的配列に相補的な塩基配列を含むセンス鎖RNA、及び該センス鎖RNAに相補的な塩基配列を含むアンチセンス鎖RNAを有し、標的遺伝子の発現を抑制できる二本鎖RNAにおいて、下記(i)〜(iii)の特徴を全て具備させることによって、ヌクレアーゼ耐性が高く、一層優れたRNA干渉効果を奏するRNAを獲得できることを見出した。
(i)前記センス鎖RNAが23個のヌクレオチドからなり、前記アンチセンス鎖RNAが21又は23個のヌクレオチドからなる。
(ii)前記センス鎖RNAの5’末端側を平滑末端にする。
(iii)前記センス鎖RNAの5’末端側から1〜6番目のヌクレオチドの少なくとも1つに対してのみ置換基が結合している。
本発明は、かかる知見に基づいて、更に改良を重ねることにより完成したものである。即ち、本発明は、下記に掲げる修飾型RNAを提供する。
項1. 標的遺伝子中の標的配列に相補的な塩基配列からなるセンス鎖RNA、及び該センス鎖RNAに相補的な塩基配列を有するアンチセンス鎖RNAを有し、且つ前記標的遺伝子の発現を抑制できる二本鎖RNAであって、
前記センス鎖RNAが23個のヌクレオチドからなり、前記アンチセンス鎖RNAが21又は23個のヌクレオチドからなり、
前記センス鎖RNAの5’末端側が平滑末端であり、
且つ前記センス鎖RNAの5’末端側から1〜6番目のヌクレオチドの少なくとも1つに対してのみ置換基が結合していることを特徴とする、修飾型RNA。
項2. 前記センス鎖RNAの5’末端側から1〜4番目のヌクレオチドに、少なくとも1つの置換基が結合している、項1に記載の修飾型RNA。
項3. 前記センス鎖RNAの5’末端側から1番目のヌクレオチドにのみ1つの置換基が結合している、項1に記載の修飾型RNA。
項4. 前記置換基が、アミノアルキル基である、項1乃至3のいずれかに記載の修飾型RNA。
項5. 前記置換基が、炭素数1〜40のアミノアルキル基である、項1乃至3のいずれかに記載の修飾型RNA。
本発明の修飾型RNAは、(i)センス鎖RNAが23個のヌクレオチドからなり、アンチセンス鎖RNAが21又は23個のヌクレオチドからなる、(ii)前記センス鎖RNAの5’末端側を平滑末端にする、及び(iii)前記センス鎖RNAの5’末端側から1〜6番目のヌクレオチドの少なくとも1つに対してのみ置換基を結合させる、という3つの特徴を全て充足することによって、飛躍的にRNA干渉効果が向上している。
本発明の修飾型RNAは、23個のヌクレオチドから構成され、標的遺伝子中の標的配列に相補的な塩基配列であるセンス鎖RNAを含む。
ここで、標的遺伝子とは、RNA干渉効果によって遺伝子発現の抑制対象となる遺伝子である。本発明の修飾型RNAにおいて、標的対象遺伝子については、特に制限されず、該修飾型RNAの用途に基づいて適宜選択することができる。
標的遺伝子中の標的配列については、RNA干渉効果によって遺伝子発現を抑制可能な配列である限り特に制限されず、公知の方法で、具体的には、NCBIのBLASTサーチ等を用いて適宜決定することができる。例えば、標的遺伝子のコード領域(ORF)の開始コドンから50〜100塩基下流のエキソン部分にある塩基"AA"に続く19〜30塩基からなる領域であって、GC含有量が50%前後の領域を標的配列とすればよい。このような標的配列に対する相補鎖を採用することで、優れたRNA干渉効果を獲得することが、当業界で経験的に明らかにされている。また、例えば、上記標的配列は、IDT社(Integrated DNA Technologies, INC)のマニュアル(Dicer Substrate RNAi Design)に従って設定することが出来る。また最近では、(i)アンチセンス鎖RNAの5’末端がA/Uペアであり、(ii)センス鎖RNAの5’末端がG/Cペアであり、(iii)アンチセンス鎖RNAの5’末端側に5つ程度のA/Uペアがあり、且つ(vi)2本鎖中に9つ以上のG/Cペアが無い2本鎖RNAを設計することで高いRNA干渉効果をもつ2本鎖RNAをデザインできると報告されている(Ui-Tei et. al, Nucleic Acids Res., 32, 936-948 (2004))。
本発明の修飾型RNAにおけるセンス鎖RNAは、標的遺伝子中の上記標的配列に相補的な23個のヌクレオチドからなる塩基配列、即ち、上記標的配列に対する23塩基長の相補鎖である。なお、ここでいうセンス鎖RNAのヌクレオチド数は、標的遺伝子中の上記標的配列に相補的な塩基配列を構成するヌクレオチドの数を意味し、センス鎖RNAが置換基としてDNAやPNA等の核酸を有する場合には、これらの置換基を構成するヌクレオチドの数を含まない。
また、本発明の修飾型RNAの上記センス鎖RNAの5’末端側から1〜6番目の塩基の少なくとも1つに、置換基が結合している。一方、本発明の修飾型RNAにおいて、上記センス鎖RNAの5’末端側以外の部位には、置換基は結合していない。即ち、上記センス鎖RNAの5’末端側以外の部分、及び後述するアンチセンス鎖RNA部分は置換基によって置換されておらず、ヌクレオチド又はデオキシリボヌクレオチドのみから構成される。このように、上記センス鎖RNAの5’末端側にのみ置換基が結合していることによって、格段に優れたRNA干渉効果を発現させることが可能になる。
ここで、置換基としては、特に制限されないが、その一例として、アミノ基;メルカプト基;ニトロ基;炭素数1〜40(好ましくは2〜20、更に好ましくは4〜12)のアルキル基;炭素数1〜40(好ましくは2〜20、更に好ましくは4〜12)のアミノアルキル基;炭素数1〜40(好ましくは2〜20、更に好ましくは4〜12)のチオアルキル基;炭素数1〜40(好ましくは2〜20、更に好ましくは4〜12)のアルコキシル基;炭素数1〜40(好ましくは2〜20、更に好ましくは4〜12)のアミノアルコキシル基;炭素数1〜40(好ましくは2〜20、更に好ましくは4〜12)のチオアルコキシル基;炭素数1〜40(好ましくは2〜20、更に好ましくは4〜12)のモノもしくはジアルキルアミノ基;炭素数1〜40(好ましくは2〜20、更に好ましくは4〜12)のアルキルチオ基;炭素数2〜40(好ましくは2〜20、更に好ましくは4〜12)のポリエチレンオキサイド基;炭素数3〜39(好ましくは3〜21、更に好ましくは3〜12)のポリプロピレンオキサイド基等を挙げることができる。これらの置換基を結合させることによって、RNA干渉効果を顕著に増強させることが可能になる。
更に、置換基は、上記のもの以外に、機能性分子を有する基であってもよい。このように、置換基が機能性分子を有する基である場合には、優れたRNA干渉効果と当該機能性分子に基づく有用効果を兼ね備えさせることができる。
ここで、機能性分子としては、糖、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、DNA、RNA(tRNAを含む)、アプタマー、修飾ヌクレオチド、低分子有機・無機材料、コレステロール、デンドリマー、脂質、高分子材料等が例示される。
上記糖としては、例えば、グルコース、ガラクトース、グルコサミン、ガラクトサミン等の単糖、これらを任意に組み合わせたオリゴ糖又は多糖等が挙げられる。
上記タンパク質としては、生体内に存在するタンパク質、薬理作用を有するタンパク質、分子認識作用を有するタンパク質等を使用でき、該タンパク質の一例として、インポーチンbタンパク質、アビジン、抗体等を挙げることができる。
上記DNAとしては、具体的には、塩基長が5〜50のDNA、好ましくは塩基長が5〜25のDNAが例示される。
上記ペプチドとしては、例えば、R8、核局在化シグナルペプチド配列(HIV-1 TatやSV40T抗原等)、核外移行性シグナルペプチド(HIV-1 RevやMAPKK等)、細胞膜融合ペプチド等が挙げられる。
上記修飾ヌクレオチドとしては、例えば、ホスホロチオエート型、ボラノフォスフェート型DNA/RNA等のリン酸骨格を修飾したもの;2’−0Me修飾RNA、2’−F修飾RNA等の2’修飾ヌクレオチド;LNA(Locked Nucleic Acid)やENA(2'-O,4'-C-Ethylene-bridged nucleic acids)等のヌクレオチドの糖分子を架橋した修飾ヌクレオチド;PNA(ペプチド核酸)、モリフォリノヌクレオチド等の基本骨格が異なる修飾ヌクレオチドなどが挙げられる。
上記低分子有機・無機材料としては、例えば、Cy3、Cy5等の蛍光物質;ビオチン;量子ドット;金微粒子等が挙げられる。
上記デンドリマーとしては、例えば、ポリアミドアミンデンドリマー等が挙げられる。
上記脂質としては、例えば、リノール酸、DOPE(1,2-Dioleoyl-sn-glycero-3-phosphoethanolamine)等が挙げられる。
上記高分子材料としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリエチレンイミン等が挙げられる。
ここで、機能性分子を有する基としては、機能性分子の残基そのものであってもよく、また、下記一般式(I)に示す基、即ち機能性分子の残基に二官能性リンカーの一方の官能基が結合した基であってもよい。つまり、前者の場合、機能性分子が、上記センス鎖RNAの所定の部位に直接結合しており、後者の場合、機能性分子が二官能性リンカーを介して上記センス鎖RNAの所定の部位に結合している。機能性分子を有する基として、好ましくは、後者の下記一般式(I)に示す基である。
Figure 2008154523
ここで、二官能性リンカーとしては、官能基を2つ含むリンカーであれば特に制限されないが、例えば、N-スクシニミジル=3-(2-ピリジルジチオ)プロピナート、N-4-マレイミド酪酸、S-(2-ピリジルジチオ)システアミン、ヨードアセトキシスクシンイミド、N-(4-マレイミドブチリルオキシ)スクシンイミド、N-[5-(3’-マレイミドプロピルアミド)−1−カルボキシペンチル]イミノジアセティクアシッド、N-(5-アミノペンチル)-イミノジアセテックアシッド等を使用できる。
上記のものの他に、上記二官能性リンカーとして、下記の構造のものを使用することもできる。
Figure 2008154523
ここで、上記一般式(L-4)〜(L-21)、において、n1は、1〜40の整数、好ましくは2〜20の整数、更に好ましくは2〜12の整数を示す。
また、上記一般式(L-22)及び(L-23)、において、n2は、1〜20の整数、好ましくは1〜10の整数、更に好ましくは1〜6の整数を示す。
上記一般式(L-4)〜(L-23)に示すリンカーは、その右側又は左側のいずれに機能性分子が結合していてもよい。好ましくは、左側に機能性分子が結合しており、右側に上記センス鎖RNAの所定の部位が結合するように構成されているものである。
上記二官能性リンカーは、結合させる機能性分子の種類に応じて適宜選択して使用すればよい。例えば、上記機能性分子としてコレステロールを使用する場合、一般式(L-22)又は(L-23)のリンカー、特に一般式(L-22)のリンカーが好適に使用される。
なお、機能性分子がDNAの場合には、リンカーを使用することなく、直接、上記センス鎖RNAの5'末端側にDNAを結合させることが望ましい。
上記機能性分子を含む基の中でも、好ましくはDNA又はコレステロールを含む基である。上記置換基としてDNAを採用すると、当該DNAと相補的な塩基配列を有するDNAやRNAを更にハイブリダイズさせて複合体を形成させることが可能になり、当該DNAに基づく更なる有用機能を本発明の修飾型RNAに備えさせることができる。また、上記置換基として、コレステロールを含む基を採用すると、遺伝子導入剤を使用しなくても本発明の修飾型RNAを細胞内に導入可能になるという利点を獲得できる。
上記置換基の好適なものとして、アミノアルキル基、チオアルキル基、及びコレステロールを有する基、特に好適なものとしてアミノアルキル基を例示することができる。例えば、上記置換基として、アミノアルキル基、及びチオアルキル基を採用すると、飛躍的にRNA干渉効果を向上させることができ、更にはリンカーを介して、又は介さず、膜透過性ペプチド、糖、タンパク質等の機能性分子を共有結合で結合させることができ、RNA分子に様々な機能性を付与できるという利点を獲得できる。更に、例えば、上記置換基として、コレステロールを含む基を採用すると、所望のRNA干渉効果を奏することに加え、遺伝子導入剤を使用しなくても本発明の修飾型RNAを細胞内に導入可能になるという利点を獲得できる。
上記センス鎖RNAにおいて、上記置換基の結合対象となるヌクレオチドは、上記センス鎖RNAの5’末端側から1〜6番目のヌクレオチドであれば特に制限されないが、好ましくは5’末端側から1〜4番目のヌクレオチド、更に好ましくは5’末端側から1及び/又は2番目のヌクレオチド、特に好ましくは5’末端(5’末端側から1番目)のヌクレオチドである。
また、上記置換基の結合部位については、特に限定されるものではないが、上記置換基が、上記センス鎖RNAの所定のヌクレオチドのリン酸部分の水酸基を構成する水素原子と置換されて結合していることが好ましい。
本発明の修飾型RNAに結合した上記置換基の数としては、特に制限されないが、例えば1〜3個、好ましくは1又は2個、更に好ましくは1個が例示される。
上記センス鎖RNAの5’末端側のヌクレオチドへの置換基の結合は、使用する置換基の種類等に応じて、公知の化学合成法に従って実施される。
また、本発明の修飾型RNAは、上記のセンス鎖RNAに対して、センス鎖RNAの5’末端側が平滑末端(ブランドエンド)となるように、アンチセンス鎖RNAがハイブリダイズすることにより、二本鎖を形成している。ここで、センス鎖RNAの5’末端側が平滑末端となる構造とは、センス鎖RNAの5’末端のみならず、アンチセンス鎖RNAの3’末端もダングリングエンドを有していない構造を意味する。
当該アンチセンス鎖RNAは、21又は23個のヌクレオチドからなり、上記センス鎖RNAの5’末端側(即ち、アンチセンス鎖RNAの3’末端側)を平滑末端にした状態で、上記センス鎖RNAとハイブリダイズして二本鎖を形成可能であるRNAである。即ち、当該アンチセンス鎖RNAが21個のヌクレオチドからなる場合、当該アンチセンス鎖RNAは、前記センス鎖の5’末端側から1〜21番目のヌクレオチドと完全相補的な21個のヌクレオチドからなる塩基配列から構成され、本発明の修飾型RNAは、センス鎖の5’末端側が平滑末端であって、センス鎖RNAの3’末端に2個のヌクレオチドからなるダングリングエンドを有する構造を有する。また、当該アンチセンス鎖RNAが23個のヌクレオチドからなる場合、当該アンチセンス鎖RNAは前記センス鎖と完全相補的な23個のヌクレオチドからなる塩基配列から構成され、本発明の修飾型RNAはセンス鎖の3’末端側及び5’末端側の双方において平滑末端の構造を有する。
本発明の修飾型RNAは、上記構造の置換基を有するセンス鎖RNA、及び上記構造のアンチセンス鎖RNAを合成し、これらのセンス鎖RNA及びアンチセンス鎖RNAを公知の方法に従ってハイブリダイズさせることにより、調製される。
本発明の修飾型RNAは、細胞内に導入されることにより使用される。本発明の修飾型RNAについては、従来siRNAとして使用されているRNAと同様の方法で、目的の細胞内に導入され使用される。
以下、本発明を更に詳しく説明するため実施例を挙げる。これらの実施例は、単なる例示であり、本発明を限定するものではない。
実施例1 5’末端アミノ修飾2本鎖RNA
ウミシイタケルシフェラーゼと相同配列を持ち、ウミシイタケルシフェラーゼの遺伝子発現を抑制できる23〜19塩基長のセンス鎖RNAと23〜19塩基長のアンチセンス鎖RNAの2本鎖RNAをデザインし、センス鎖の5’末端にアミノ基を修飾した2本鎖RNAと修飾していない2本鎖RNAを比較した。該二本鎖RNAはアンチセンス鎖とセンス鎖の組み合わせにより様々な形態の二本鎖を形成できる。該2本鎖RNA においてダングリングエンド(一本鎖領域)を持たない完全2本鎖RNA をDS (double strand) RNA、二本鎖RNAの両末端にダングリングエンド(オーバーハング)を持つ2本鎖RNAをSi RNA、センス鎖の5’末端を左側に示したときに右側のみにダングリングエンド(オーバーハング)を持つ2本鎖RNAをRO (Right Overhang) RNA、センス鎖の5’末端を左側に示したときに左側のみにダングリングエンド(オーバーハング)を持つ2本鎖RNAをLO (Left Overhang) RNAと名付けた。また, 各種2本鎖RNAの命名はセンス鎖をA(A1又はA2)、アンチセンス鎖をBとし、センス鎖およびアンチセンス鎖となる1本鎖RNAの塩基の数を記載することにより区別している。また、センス鎖は2種類のものをデザインしたので区別のためにA1及びA2としている。また、センス鎖の5’末端をアミノ基で修飾したものをAxN(x=1, 2)と記載している。使用したRNAの配列は、以下の通りである。
<センス鎖>
23nt 23A1:5’-CUGGCCUUUCACUACUCCUACGA-3’
23A2:5’-GGCCUUUCACUACUCCUACGAGC-3’
23A1N:5’NH2-(CH2)6-PO3-CUGGCCUUUCACUACUCCUACGA-3’
23A2N:5’NH2-(CH2)6-PO3-GGCCUUUCACUACUCCUACGAGC-3’
21nt 21A1:5’-CUGGCCUUUCACUACUCCUAC -3’
21A2:5’-GGCCUUUCACUACUCCUACGA-3’
21A1:5’NH2-(CH2)6-PO3-CUGGCCUUUCACUACUCCUAC -3’
21A2:5’NH2-(CH2)6-PO3-GGCCUUUCACUACUCCUACGA-3’
19nt 19A1:5’ −GGCCUUUCACUACUCCUAC−3’
<アンチセンス鎖>
27nt 27B:5’-GUGCUCGUAGGAGUAGUGAAAGGCCAG-3’
25nt 25B:5’-GCUCGUAGGAGUAGUGAAAGGCCAG -3’
23nt 23B:5’-UCGUAGGAGUAGUGAAAGGCCAG-3’
21nt 21B:5’-GUAGGAGUAGUGAAAGGCCAG-3’
19nt 19B:5’-GUAGGAGUAGUGAAAGGCC-3’
1.末端アミノ修飾2本鎖RNAの構造
2 本鎖RNAのセンス鎖及びアンチセンス鎖の5’末端をアミノ化した末端アミノ修飾2本鎖RNAを合成した。具体的な合成方法を以下に示す。まず、末端アミノ修飾RNAは、1本鎖の状態のRNA(林化成株式会社より購入;HPLC精製、MALDI-TOF MS解析済み)を用い、5’末端アミノ化は5’-Amino-Modifier C6 (Glen Research)を用いて合成した。合成された5’末端アミノ修飾2本鎖RNAは、該末端(5’末端側から1番目のヌクレオチド)に−(CH2)6−NH2が結合されている。合成した1本鎖RNAは、UVスペクトル検出器を用い、260nmの吸光度を測定することにより濃度を算出した。また、universal buffer(林化成株式会社)中、同モルのセンス鎖およびアンチセンス鎖1本鎖RNAを混合し、92℃で2分間加熱した後、4℃まで徐々に温度を下げることで作成した。合成した各種2本鎖RNAは、20% ポリアクリルアミドゲルを用い、250Vの条件化で60分間電気泳動し、その後、銀染色キット(GEヘルスケア バイオサイエンス)で2本鎖RNAを染色することにより確認した。末端が修飾されていない未修飾2本鎖RNAおよび5’末端をアミノ基で修飾した修飾型2本鎖RNAを図1に示す。
2.末端アミノ修飾2本鎖の分解酵素耐性
未修飾2本鎖RNAおよび5’末端アミノ修飾2本鎖RNAのヌクレアーゼ耐性を検討した。実験は、最終濃度が2 μMになるよう調整した5’末端アミノ修飾2本鎖RNAを10%FBS(三光純薬株式会社)を含むRPMI-1640培地(インビトロジェン)中 (最終量110μl)、37℃でインキュベートし、0h、0.5h、1h、2h、4h、6h、8h、12h、24h、48h後にそれぞれ10μl取り、2μlのローデングダイを含むサンプルチューブに添加した。分解反応を停止させる為、サンプル採取後すぐ液体窒素中にて凍結し、−20℃にて保存した。得られた産物を20% ポリアクリルアミドゲルを用い250Vで70分間サンプルを電気泳動した。その後、銀染色キット(GEヘルスケア バイオサイエンス)で産物を染色し(染色条件は製品マニュアル参照)、ChemiImager 4000(Alpha Innotech corporation)でゲル解析を行った。結果を図2に示す。この結果より、センス鎖の5’末端側及び/又は3’末端側に平滑末端を持つ2本鎖RNAであるDs 23A1/23B RNA、Ds 23A1N/23B RNA、RO 23A1/21B RNA、RO 23A1N/21B RNA、LO 21A2/23B RNA及びLO 21A2N/23B RNAは、RNA干渉反応において一般によく使用されている21塩基長で3’末端に2塩基のダングリングエンドを含む21siRNAに比べ分解耐性が高いことが明らかとなった。また、2本鎖RNAの鎖長が長い方が分解酵素耐性に優れていることが示唆され、且つ5’末端にアミノ基が結合した方が分解酵素耐性に優れていることが示唆された。更にセンス鎖の5’末端側は平滑末端であり、且つアンチセンス鎖の5’末端にダングリングエンドをもつRO RNAは、10% FBSを含む培地中において速やかに分解されていることが明らかとなった。この結果より、(a)センス鎖の鎖長が23塩基からなり、両末端が平滑末端であるDS RNA、(b)センス鎖の鎖長が23塩基からなり、センス鎖の5’末端が平滑末端で、且つセンス鎖の3’末端にダングリングエンドを持つRO RNA、或いは(c)センス鎖の鎖長が23塩基からなり、センス鎖の3’末端が平滑末端で、且つアンチセンス鎖の3’末端にダングリングエンドを持つLO RNAは、21siRNAよりも高い分解酵素耐性を保有しているという新たな知見が得られた。
3.末端アミノ修飾2本鎖RNAのDicerによるプロセシング
次に、それぞれの5’末端アミノ修飾2本鎖RNAのDicerによるプロセシングを検討した。Dicerによる切断実験は、20mM Tris-HCl(pH 8.0), 15 mM NaCl, 2.5mM Mg2Cl溶液中、0.5 UのリコンビナントDicer(Gene Therapy Systems)と最終濃度2 μMになるよう調整した5’末端アミノ修飾2本鎖RNAをサンプルチューブに10 μl準備し、37℃に設定したインキュベーター中、12時間インキュベートした。その後、Dicerによる切断反応を停止させる為に、2μlのDicer Stop Solution (Gene Therapy Systems)を反応溶液に加え、更に2μlのローデングダイを加えた。得られた産物を20% ポリアクリルアミドゲルを用い250Vで70分間サンプルを電気泳動した。その後、銀染色キット(GEヘルスケア バイオサイエンス)で産物を染色し(染色条件は製品マニュアル参照)、ChemiImager 4000(Alpha Innotech corporation)でゲル解析を行った。また、また、コントロールとしてDicer処理していない21塩基長の2本鎖RNAからなるsiRNA (Si 21A2/21B1 RNA)も同時に測定した。
図3に結果を示す。図3において、「A」はDS RNA、「B」はSi RNA、「C」はRO RNA、「D」はLO RNAのリコンビナントDicerによるプロセシングの結果である。
その結果、DS 23A1/23B1 RNA及び DS 23A1N/23B1 RNAは、その1部において21塩基長の2本鎖RNAへのプロセシングが確認されたが、その殆どにおいてDicerによるプロセシングを受けていなかった。また、DS 21A1/21B1 RNA及び DS 21A1N/21B1 RNAは、Dicer存在下による変化は確認されていない。
Si RNAにおいては、Si 23A2/23B RNA及びSi 23A2N/25B RNAにおいても、1部はDicerによるプロセシングを受けなかったものの、ほとんどのRNA分子において21塩基長のSiRNAへとプロセシングを受けていた。21 SiRNAのセンス鎖の5’末端をアミノ化したSi 21A2N/21B RNAはDicer存在下においても変化は観測されなかった。
また、RO RNAにおいて、センス鎖に23塩基長のRNAを持つRO RNAは、その1部において21塩基長の2本鎖RNAへのプロセシングが確認されたが、その殆どにおいてDicerによるプロセシングを受けていなかった。また、センス鎖の5’末端をアミノ化したものに関してはその現象が顕著に現れた。また、センス鎖に21塩基長のRNA分子を持つRO RNAは、センス鎖の5’末端の修飾基の存在に関係なく、Dicer存在下において変化は確認されなかった。
一方、LO RNAにおいて、センス鎖に23塩基長のRNA分子を持つLO RNAは、センス鎖の5’末端の修飾基の存在に関係なく、Dicerによるプロセシングにて21塩基長のsiRNAまたはそれに近いRNA産物がゲル電気泳動解析により確認されている。また、センス鎖の21塩基長のRNA分子を持つLO RNAも同様に、センス鎖の5’末端の修飾基の存在に関係なく、Dicerによるプロセシングにて21塩基長のsiRNAまたはそれに近いRNA産物が得られていることが示唆される結果を得た。
4.末端アミノ修飾2本鎖RNAのRNA干渉効果
つぎにそれぞれの末端アミノ修飾2本鎖RNAのRNA干渉効果をウミシイタケルシフェラーゼをターゲットとして評価した。実験前に1x105 cell/mlに調整したHeLa細胞(ヒト子宮頸ガン細胞、東北大学加齢医学研究所)を96wellプレート上にそれぞれ100μl撒き、37℃で一晩インキュベートした。翌日、ウェル上の古い培地を取り除き、抗生物質を含ない新しい培地をウェルにそれぞれ80 μl加え、ホタルおよびウミシイタケルシフェラーゼを発現するベクター(psiCHECKTM-2 Vector: プロメガ)とLipofectamineTM 2000 (商品名、インビトロジェン)の複合溶液を10μlづつHeLa細胞が入ったそれぞれのウェルに加えた。ここで発現ベクターは1ウェルあたり0.02μgになるように、またLipofectamineTM 2000は1ウェルあたり0.2μlになるよう設定し、OptiMem(インビトロジェン)で必要量を調整した。また、複合体を形成させる為に、発現ベクターとLipofectamineTM 2000をOptiMemを用いて混合した後、室温で30分間インキュベートした。複合溶液を加えた後、細胞を5% CO2 存在下、37℃で4時間インキュベートした。その後、ウミシイタケルシフェラーゼの遺伝配列と相同的なアンチセンス配列を含む末端アミノ修飾2本鎖RNA を最終濃度が0nM, 0.2nM, 0.5nM, 1nM, 2nM, 5nM, 10nMになるようLipofectamineTM 2000 (インビトロジェン) と複合体を形成させ、10μlの複合体溶液を発現ベクターを導入したHeLa細胞に加えた。ここで、1ウェルあたりの最終量は100 μlとなる。RNAとLipofectamineTM 2000の複合溶液は、1ウェルあたり5 μlのRNA水溶液と5 μlのLipofectamineTM 2000 (0.2μl) OptiMem溶液を混合し、30分間室温でインキュベートすることにより作成した。RNAを導入させた後、48時間インキュベートし、Dula-GloTMLuciferase Assay System(プロメガ)を用いてホタルおよびウミシイタケルシフェラーゼの発現量をルミノメータ(MicroLumat LB96p: BERTHOLD)で測定し、ホタルルシフェラーゼの発現量をコントロールとしてウミシイタケルシフェラーゼの発現抑制効果を算出した。
図4に、0.5nM濃度のときの末端アミノ修飾2本鎖RNAのRNA干渉効果の結果を示す。
その結果、DS RNAやRO RNAのようなセンス鎖の5’末端側が平滑末端のものにアミノ基を修飾することにより、同様のRNA構造の修飾されていないRNA分子に比べ飛躍的なRNA干渉効果の向上が観察された。また、その効果はRO RNAにおける平滑末端側を逆側にあるダングリングエンドの鎖長に関係なく、且つアンチセンス鎖の5’末端にダングリングエンドが存在する場合も全て同様に、センス鎖の5’末端をアミノ修飾することにより高いRNA干渉効果が得られた。一方、アンチセンス鎖の3’末端側にダングリングエンドを持つSi RNAやLO RNAにおいては、センス鎖の5’末端をアミノ基で修飾を施しても、非修飾で同様の構造を持つRNA分子と比べ、ほぼ同程度のRNA干渉効果を示した。この結果より、DS RNAやRO RNAといったセンス鎖の5’末端側が平滑末端となっているRNA干渉分子のセンス鎖の5’末端のみに修飾を施すことにより飛躍的にRNA干渉効果が向上するという新たな知見が得られた。
5.末端アミノ修飾2本鎖RNAのRNA干渉効果の持続性
次に、末端アミノ修飾2本鎖RNAのRNA干渉効果の持続性を検討した。RNA干渉効果の持続性を評価するために、50nMに調整した末端アミノ修飾2本鎖RNAをそれぞれ2日間、4日間、7日間、HeLa細胞(ヒト子宮頸ガン細胞、東北大学加齢医学研究所)とインキュベートし、その後のRNA干渉効果を追跡した。遺伝子発現抑制実験で用いたターゲットはウミシイタケルシフェラーゼで、測定の48時間前にホタル及びウミシイタケルシフェラーゼの遺伝子をもつベクター(psiCHECKTM-2 Vector: プロメガ)をLipofectamineTM 2000を用い細胞へ導入させた。また、末端アミノ修飾27nt dsRNAもLipofectamineTM 2000を用いて細胞内へ導入させておいて、2日おきに培地交換を行った。遺伝子発現抑制解析は、Dula-GloTMLuciferase Assay System(プロメガ)を用いてホタルおよびウミシイタケルシフェラーゼの発現量をルミノメータで測定し、ホタルルシフェラーゼの発現量をコントロールとしウミシイタケルシフェラーゼの発現抑制効果を算出した。ここで使用した発現ベクターやRNAの導入方法は前述と同様の方法でLipofectamineTM 2000と複合体を形成させ、それぞれ10 μlのサンプルを細胞に添加した。また、細胞溶液の最終容量は100 μlになるよう調整した。
得られた結果を図5に示す。その結果、上記でRNA干渉効果が高かったDS RNAやRO RNAのセンス鎖の5’末端をアミノ基で修飾した末端修飾型RNA干渉分子は、高いRNA干渉効果の持続性も示し、かつ、細胞添加後7日後においてもセンス鎖の5’末端をアミノ基で修飾したのもの方が非修飾RNA に比べ高いRNA 干渉効果を示した。
以上の結果から、センス鎖RNAが23個のヌクレオチドからなり、アンチセンス鎖RNAが21又は23個のヌクレオチドからなり、センス鎖RNAの5’末端側を平滑末端である二本鎖RNAにおいて、センス鎖RNAの5’末端側のみに修飾基を結合させることによって、ヌクレアーゼ耐性及びRNA干渉効果の双方の点で優れた特性を備えさせることが可能になることが明らかになった。
実施例1で合成した末端アミノ修飾2本鎖RNAの構造を示す図である。 実施例1において末端アミノ修飾2本鎖RNAのヌクレアーゼ耐性結果を示す図である。 実施例1において、末端アミノ修飾2本鎖RNAのDicerによるプロセシングを検討した結果を示す図である。 実施例1において、0.5 nM濃度のときの末端アミノ修飾2本鎖RNAのRNA干渉効果の結果を示す図である。 実施例1において、末端アミノ修飾2本鎖RNAのRNA干渉効果の持続性を評価した結果を示す図である。

Claims (5)

  1. 標的遺伝子中の標的配列に相補的な塩基配列からなるセンス鎖RNA、及び該センス鎖RNAに相補的な塩基配列を有するアンチセンス鎖RNAを有し、且つ前記標的遺伝子の発現を抑制できる二本鎖RNAであって、
    前記センス鎖RNAが23個のヌクレオチドからなり、前記アンチセンス鎖RNAが21又は23個のヌクレオチドからなり、
    前記センス鎖RNAの5’末端側が平滑末端であり、
    且つ前記センス鎖RNAの5’末端側から1〜6番目のヌクレオチドの少なくとも1つに対してのみ置換基が結合していることを特徴とする、修飾型RNA。
  2. 前記センス鎖RNAの5’末端側から1〜4番目のヌクレオチドに、少なくとも1つの置換基が結合している、請求項1に記載の修飾型RNA。
  3. 前記センス鎖RNAの5’末端側から1番目のヌクレオチドにのみ1つの置換基が結合している、請求項1に記載の修飾型RNA。
  4. 前記置換基が、アミノアルキル基である、請求項1乃至3のいずれかに記載の修飾型RNA。
  5. 前記置換基が、炭素数1〜40のアミノアルキル基である、請求項1乃至3のいずれかに記載の修飾型RNA。
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