従来のデジタル無線通信システムの一例について、図4を用いて説明する。図4は、複数の基地局を備えたデジタル無線通信システムを示している。図4において、401は、回線制御装置、402−1、・・・402−mは、基地局である。403−1、・・・403−mは、基地局ゾーン、即ち、各基地局の通信エリアを示している。基地局402−1は、通信エリア403−1内に複数の端末局404−1、404−2、・・・404−9を有し、基地局402−mは、複数の端末局404−10、404−11、・・・404−nを有する。なお、基地局を代表する場合は、基地局402と称し、端末局を代表する場合は、端末局404と称し、通信エリアを代表する場合は、通信エリア403と称する。405は、運用管理装置、406−1、・・・406−pは、有線端末局である。有線端末局を代表する場合は、有線端末局406と称する。有線端末局406は、回線制御装置401と、例えば、有線の伝送路で接続されている。407は、保守コンソールであり、回線制御装置401およびデジタル無線通信システムのトラブルや不具合を監視するものである。
そして、このデジタル無線通信システムは、各端末局404と基地局間または他の基地局間あるいは基地局を経由した端末局間あるいは端末局間直接通信の通信接続サービス、あるいは、例えば、通信エリア403−1の圏外の端末局と通信エリア403−1内の端末局との通信接続サービスが行なわれるように構成されている。
回線制御装置401は、デジタル無線通信システムにおける、例えば、基地局402および複数の端末局404間の通信接続およびサービスエリアの維持、管理を行ない、端末局からの発呼制御あるいは通信ルートの設定を行う制御等を行う。なお、回線制御装置401は、基地局402−1または基地局402−mと一体に構成される場合と、図4のように場所的に離れた場所に設置される場合もある。この場合、回線制御装置401と基地局402とは、有線またはマイクロ回線等の伝送路408−1、・・・408−m等で接続されるのが一般的である。また、ここで説明する端末局とは、車両等に搭載された移動無線機、携帯無線機あるいは情報端末局等を含むものとする。
405は、運用管理装置であり、回線制御装置401とLAN(Local Area Network)等の伝送路で接続されている。そして、管理者等が操作して回線制御装置401の各種動作およびこのデジタル無線通信システムのシステム情報の設定あるいは変更等をすることができる。
図5は、回線制御装置401の概略構成のブロック図である。図5において、501は、例えば、呼制御CPUで構成された制御部、502は、記憶部、503は、回線制御装置401と外部装置とを接続するためのI/F(インターフェース)部である。504は、入出力端子で、外部装置と接続される。なお、制御部501は、図4に示すデジタル無線通信システムの動作を制御するためのもので、以下においては、呼制御CPU501と称する。また、I/F(インターフェース)部503、入出力端子504は、1つのみ示されているが、後述するように複数の外部装置と接続されるために、複数設けられることはいうまでもない。
図6は、回線制御装置401の構成を説明するための図であり、呼制御CPU501および各I/F部を示している。また、呼制御CPU501は、その動作を模式的に説明するためのシステム情報の流れと、各タスクの実行部を示している。ここでタスクとは、呼制御CPU501がプログラムを実行する場合の処理の実行単位を意味するものとする。図6において、101は、基地局402と接続される入出力端子であり、基地局I/F(インターフェース)部111を介して呼制御CPU501のOS/ドライバ121に結合される。102は、有線端末局406と接続される入出力端子であり、有線端末局I/F部112を介して呼制御CPU501のOS/ドライバ121に結合される。103は、例えば、回線制御装置401内に設けられている基地局あるいは端末局間の交換接続部(図示せず。)と接続される入出力端子であり、上述と同様に交換制御I/F部113を介して呼制御CPU501のOS/ドライバ121に結合される。
104は、保守コンソール407と接続される入出力端子であり、保守コンソールI/F部114を介して呼制御CPU501のOS/ドライバ121に結合される。105は、運用管理装置405と接続される入出力端子であり、運用管理I/F部115を介して呼制御CPU501のOS/ドライバ121に結合される。また、106は、例えば、図4に示されるデジタル無線通信システムとは別のシステムの回線制御装置の呼制御CPU(図示せず。)との情報交換あるいはデータ交換のために接続される入出力端子であり、他系制御CPUI/F部116を介して呼制御CPU501のOS/ドライバ121に結合される。
122は、後述する各タスク実行部と、OS/ドライバ121を介して上述した各I/F部111〜116と通信するための通信制御タスク実行部である。基地局タスク実行部131は、基地局I/F部111を介して入出力される、例えば、端末局からの発呼制御、通信ルートの設定、端末局の位置登録、終話検出等の呼管理情報の処理に関するタスクを実行する。有線端末局タスク実行部132は、有線端末局I/F部112を介して入出力される、例えば、有線端末局406と各端末局404との接続管理情報の処理に関するタスクを実行する。交換制御タスク実行部133は、有線端末局406、基地局402あるいは端末局404間の呼交換接続のための情報交換あるいはデータ交換のために、交換制御I/F部113を介して入出力される情報の処理に関するタスクを実行する。
保守コンソールタスク実行部134は、保守コンソールI/F部114を介して入出力される回線制御装置401およびデジタル無線システムのトラブルや不具合情報の処理に関するタスクを実行する。運用管理タスク実行部135は、運用管理装置405を操作することにより運用管理I/F部115を介して入出力される回線制御装置401の各種動作およびデジタル無線通信システムのシステム情報の設定あるいは変更等の情報の処理に関するタスクを実行する。CPU間転送タスク実行部136は、別のシステムの回線制御装置の呼制御CPUとの情報交換あるいはデータ交換のために、他系制御CPUI/F部116を介して入出力される情報の処理に関するタスクを実行する。
呼管理タスク実行部141は、基地局タスク実行部131、有線端末局タスク実行部132および交換制御タスク実行部133との相互の関連処理を実行する部署で、呼の接続制御を行う。即ち、図4に示される基地局402と端末局404間の通話制御、端末局404間の通話制御、有線端末局406の通話制御あるいは基地局間、端末局間の交換接続等の呼制御、例えば、端末局からの発呼制御、通信ルートの設定、端末局の位置登録、終話検出等の呼管理に関するタスクを実行する。
状態制御タスク実行部601は、保守コンソールタスク実行部134、運用管理タスク実行部135およびCPU間転送タスク実行部136を統括する部署であり、デジタル無線通信システムのシステム設定情報管理処理、システムの立ち上げ処理、システムの状態管理処理あるいはシステムの障害管理処理等のタスクを実行する。なお、上述した各タスク実行部とは、呼制御CPU501のソフトウエア処理部を意味し、また、各タスク実行部が独立して存在するものではなく、呼制御CPU501の処理部で一体として実行されるものであることはいうまでもないが、ここでは、説明の都合上、各タスク実行部を区別して説明することにする。また、他系統のデジタル無線通信システムと情報交換等をする必要がない場合には、CPU間転送タスク実行部136は、不要である。
さて、このように構成されたデジタル無線通信システムにおいて、システム情報の設定や変更等は、運用管理装置405から行われる。ここで、システム情報とは、例えば、デジタル無線通信システムID/名称、基地局ID/名称、有線端末局ID/名称、移動局グループ情報あるいは基地局の使用無線キャリア周波数等、デジタル無線通信システムの動作あるいは管理に必要な種々の情報である。これを、例えば、表1に示す。
表1において、例えば、A空港デジタル無線通信システムのIDは、0001、B空港デジタル無線通信システムのIDは、0010である。また、基地局No.は、402−1、・・・402−m、移動局は、404−1、404−2、・・・404−nというように、図4に示されるデジタル無線通信システムで用いられる全ての情報がシステム情報格納テーブルとして登録されている。このシステム情報テーブルは、例えば、回線制御装置401の記憶部502に記憶されている。なお、表1に示すシステム情報格納テーブルの内容は、デジタル無線通信システムの目的、構成、規模等に応じて種々変更、修正することができる。
さて上記のような構成のデジタル無線通信システムの動作を簡単に説明する。運用管理装置405から、例えば、表1に示すシステム情報の設定あるいは変更を行う場合について説明する。運用管理装置405からのシステム情報の設定あるいは変更の情報(以下、システム設定情報と称する。)は、入出力端子105、運用管理I/F部115を介して呼制御CPU501に入力される。
呼制御CPU501では、入力されたシステム設定情報は、OS/ドライバ121、通信制御タスク実行部122を経由し、運用管理タスク実行部135に到達する。運用管理タスク実行部135では、システム設定情報を受信した場合、状態制御タスク実行部601に送信する。状態制御タスク実行部601では、デジタル無線通信システムの各部署(以下、外部装置という。)、例えば、基地局402あるいは有線端末局406等が既に保持しているシステム情報のバージョンと、受信されたシステム設定情報のバージョンを比較し、新規設定あるいは変更の要否を確認する。そして、例えば、受信されたシステム設定情報のバージョンの方が新しい場合には、表1に示す内容の該当する内容を書換えたり、あるいは、所定の部署にシステム設定情報を配信する。なお、配信の必要がある場合は、状態制御タスク実行部601は、システム設定情報から必要な情報を抜き出し、システム情報格納テーブルの設定、変更を行い、また、新規設定、変更の必要な外部装置に送信する送信電文を作成する。そして、状態制御タスク実行部601は、上記のようにして作成された送信電文を通信制御タスク実行部122、OS/ドライバ121および各I/F部を介して外部装置に送出する。
さて、従来のデジタル無線通信システムにおいては、状態制御タスク実行部601は、保守コンソールタスク実行部134、運用管理タスク実行部135およびCPU間転送タスク実行部136を統括する部署であり、デジタル無線通信システムのシステム設定情報管理処理、システムの立ち上げ処理、システムの状態管理処理あるいはシステムの障害管理処理等のタスクを実行する、所謂、デジタル無線通信システムの全ての処理を担うことになっており、複数のタスク処理の管理が非常に複雑になる。また、状態制御タスク実行部601内に数多くのタスク処理が入り混じった場合、このプログラム構造は、仕様変更等の場合のプログラムの修正範囲が明確でなく、また、共通システムとしてのシステムのプラットフォーム化(基本構成)ができない、あるいは、流用性が悪くなる。更に、状態制御タスク実行部601は、数多くのタスク処理をすることにより、高負荷状態となり、タスク処理の遅延の可能性も高くなる。従って、これらを解消するデジタル無線通信システムの実現が望まれている。
以下、本発明について詳細に説明するが、その前に、本発明の内容をよく理解するために、従来のタスク処理の内容について図7〜図9を用いて説明する。図7は、例えば、運用管理装置405からシステム情報の設定あるいは変更の情報(以下、システム設定情報と称する。)を入力した場合、このシステム設定情報に基づいてデジタル無線通信システムの各部署(外部装置と称する。)が新たにシステム情報を設定あるいは変更される動作について説明する。
図7は、運用管理装置405と呼制御CPU501の動作を説明するためのフローチャートを示す。なお、運用管理装置405は、システムのセキュリテイ保護のため、デジタル無線通信システムの管理のためにオーソライズされた管理者が操作することは言うまでもない。また、図4および図6と同じものには同じ符号が付されている。図7において、まず、運用管理装置405で基地局402−3、有線端末局406−3および基地局402−3の使用無線キャリアF3をそれぞれ新規に追加する場合を説明する。表2は、例えば、既存のデジタル無線通信システムの構成と、システム情報の一例を示す。
表2に示すデジタル無線通信システムは、例えば、A空港のデジタル無線通信システムであり、2台の基地局402−1、402−2、n個の移動局404−1、・・・404−n、2台の有線端末局406−1、406−2、移動局グループG1、G2、・・・および基地局402−1の使用する無線キャリアは、F1、基地局402−2の使用する無線キャリアは、F2であることを示している。この表2に示すシステム情報格納テーブルは、図5に示す回線制御装置401の記憶部502に記憶されている。
この表2に示す既存のデジタル無線通信システムの機能を増設するために、表3に示すように、基地局402−3を増設し、それに使用する無線キャリア周波数をF3とする。更に、有線端末局406−3を回線制御装置401に増設する場合の例で説明する。なお、表3に示す例は、一例であってこれに限定されるものではない。
さて、運用管理装置405の管理者は、例えば、入力部(図示せず。)を操作して表3に示す新規登録する外部装置等の名称、ID(またはNo.)等をシステム設定情報として入力する。運用管理装置405で入力されたシステム設定情報は、運用管理I/F部115、OS/ドライバ121を介して通信制御タスク実行部122に供給され、適宜信号処理され、運用管理タスク実行部135に供給される(ステップ701)。運用管理タスク実行部135では、送られたシステム設定情報から必要なデータを取出し、状態制御タスク実行部601に送信する(ステップ702)。この時、システム設定情報は、多くのデータを有しているため、1/N(N:正の整数)に分割して送信される。なお、システム設定情報は、分割して送る必要がないときは、一度に送信される。
状態制御タスク実行部601では、運用管理タスク実行部135から送られてくるシステム設定情報のデータからシステム情報として新たに設定あるいは変更を必要とするシステム設定情報を抽出し、回線制御装置401の記憶部502に記憶されている表2に示すシステム情報格納テーブルを順次書換える(ステップ703)。ステップ704では、別のシステム設定情報が運用管理装置405から入力され、運用管理タスク実行部135に供給される。運用管理タスク実行部135では、上述と同様に必要なデータを取出し、状態制御タスク実行部601に送信する(ステップ705)。そして、N個の全てのシステム設定情報の更新が完了する(ステップ706)。この状態は、例えば、記憶部502の表2に示すシステム情報格納テーブルが表3に示すシステム情報格納テーブルに更新された状態である。
状態制御タスク実行部601では、N個の全てのシステム設定情報の更新が完了すると、システム設定情報応答を運用管理装置405に送信する(ステップ707)。これによって運用管理装置405の管理者は、システム設定情報の入力を確認することができる。確認方法は、例えば、表3に示すシステム情報格納テーブルを運用管理装置405に設けられた操作表示部(図示せず。)に表示することで確認できる。
次に、状態制御タスク実行部601では、デジタル無線通信システムの各部署(以下、外部装置ともいう。)、例えば、基地局あるいは有線端末局等が既に保持しているシステム情報のバージョンと、受信されたシステム設定情報のバージョンを比較し、新規設定あるいは変更の要否を確認する(ステップ708)。そして、例えば、受信されたシステム設定情報のバージョンが既存の基地局あるいは有線端末局のバージョンより新しい場合(Yesの場合)には、所定の部署にシステム設定情報を配信する(ステップ709)。新しくない場合(Noの場合)は、システム設定情報の配信は行わない。
次に、基地局、有線端末局のバージョンが新しい場合(ステップ709)について、図8、図9を用いて説明する。図8は、基地局402のシステム情報を更新する場合のフローチャートを示す。なお、図4、図6と同じものには同じ符号が付されている。状態制御タスク実行部601では、まず、基地局情報の更新の有無を判定する(ステップ801)。この判定は、例えば、記憶部502に記憶されている表3のシステム情報格納テーブルの項目No.2:基地局を参照すると、更新情報のあることが分かる。表3では、基地局402−3が新規登録されている。従って、更新情報ありの場合(Yesの場合)、状態制御タスク実行部601は、基地局向けシステムバージョン情報を基地局タスク実行部131、通信制御タスク実行部122、OS/ドライバ121、基地局I/F部111を介して各基地局402に送信する(ステップ802)。本例の場合、基地局402は、基地局402−1、402−2および402−3の3台あるので、それぞれについて基地局向けシステムバージョン情報を送信する。この基地局向けシステムバージョン情報を受信した基地局は、それぞれ基地局向けシステムバージョン情報応答、例えば、現在設定されているバージョン情報を状態制御タスク実行部601に送信する(ステップ803)。
状態制御タスク実行部601では、送信された基地局向けシステムバージョン情報応答に基づいて基地局向けシステム設定情報の抽出を行う(ステップ804)。この基地局向けシステム設定情報の抽出は、例えば、既存のバージョンの基地局か、あるいはバージョンが新しくなった基地局かを判定し、バージョンが新しくなった基地局については、システム設定情報の電文を作成する。そして、各基地局402に上記電文の配信の有無を判定する(ステップ805)。判定の結果、配信要の場合(Yesの場合)、基地局タスク実行部131、通信制御タスク実行部122を介して基地局402に基地局向けシステム設定情報を送信する(ステップ806)。図8では、基地局402−3(新規登録)に基地局向けシステム設定情報の電文を送信する。判定の結果、配信不要の場合(Noの場合)は、既存のバージョンの基地局であるので、基地局向けシステム設定情報の送信は行わない。図8では、基地局402−1、402−2が対応する。なお、この基地局向けシステム設定情報の電文には、例えば、基地局402−3で使用される使用無線キャリア周波数F3(新規登録)の情報も含まれる。
基地局向けシステム設定情報の電文の送信を受けた基地局402−3では、自己のシステム設定情報の更新(新たな場合には新規設定)を行う(ステップ807)。そして、システム設定情報更新通知を状態制御タスク実行部601に送信する(ステップ808)。状態制御タスク実行部601は、上記のような処理を全ての基地局402に実行し、全基地局が終了したかを判定する(ステップ809)。
基地局402のシステム設定情報の更新が終了すると、続いて、例えば、有線端末局406のシステム設定情報の更新を行う。これを図9を用いて説明する。図9は、有線端末局406のシステム情報を更新する場合のフローチャートを示す。なお、図4、図6と同じものには同じ符号が付されている。状態制御タスク実行部601では、まず、有線端末局情報の更新の有無を判定する(ステップ901)。この判定は、例えば、記憶部502に記憶されている表3のシステム情報格納テーブルの項目No.4:有線端末局を参照すると、更新情報のあることが分かる。表3では、有線端末局406−3が新規登録されている。従って、更新情報ありの場合(Yesの場合)、状態制御タスク実行部601は、有線端末局向けシステムバージョン情報を有線端末局タスク実行部132、通信制御タスク実行部122、OS/ドライバ121、有線端末局I/F部112を介して各有線端末局406に送信する(ステップ902)。本例の場合、有線端末局406は、有線端末局406−1、406−2および406−3の3台あるので、それぞれについて有線端末局向けシステムバージョン情報を送信する。この有線端末局向けシステムバージョン情報を受信した有線端末局は、それぞれ有線端末局向けシステムバージョン情報応答、例えば、現在設定されているバージョン情報を状態制御タスク実行部601に送信する(ステップ903)。
状態制御タスク実行部601では、送信された有線端末局向けシステムバージョン情報応答に基づいて有線端末局向けシステム設定情報の抽出を行う(ステップ904)。この有線端末局向けシステム設定情報の抽出は、例えば、既存のバージョンの有線端末局か、あるいはバージョンが新しくなった有線端末局かを判定し、バージョンが新しくなった有線端末局については、システム設定情報の電文を作成する。そして、各有線端末局406に上記電文の配信の有無を判定する(ステップ905)。判定の結果、配信要の場合(Yesの場合)、有線端末局タスク実行部132、通信制御タスク実行部122を介して有線端末局406に有線端末局向けシステム設定情報を送信する(ステップ906)。図9では、有線端末局406−3(新規登録)に有線端末局向けシステム設定情報の電文を送信する。判定の結果、配信不要の場合(Noの場合)は、既存のバージョンの有線端末局であるので、有線端末局向けシステム設定情報の送信は行わない。図9では、有線端末局406−1、406−2が対応する。
有線端末局向けシステム設定情報の電文の送信を受けた有線端末局406−3では、自己のシステム設定情報の更新(新たな場合には新規設定)を行う(ステップ907)。そして、システム設定情報更新通知を状態制御タスク実行部601に送信する(ステップ908)。状態制御タスク実行部601は、上記のような処理を全ての有線端末局406について実行し、全有線端末局が終了したかを判定する(ステップ909)。
なお、上記の例では、基地局と有線端末局のシステム設定情報の更新についてのみ説明したが、このようなシステム設定情報の更新は、基地局や有線端末局に限らず、デジタル無線通信システムの全ての部署(外部装置を含む。)について行われることは言うまでもない。
以上説明したように、従来のデジタル無線通信システムでは、状態制御タスク実行部601は、デジタル無線通信システムのシステム設定情報管理処理、システムの立ち上げ処理、システムの状態管理処理あるいはシステムの障害管理処理等の殆ど全てのタスクを実行する。従って、状態制御タスク実行部601に負荷が集中し、処理が遅延するばかりか、システムのバージョンアップや機能の拡張あるいはシステムの増設等に対して十分対応が取れていないのが現状である。
次に、本発明の一実施例について図1〜図3を用いて説明する。なお、本発明の一実施例においてもデジタル無線通信システムの構成および回線制御装置の構成は、図4および図5に示す構成とほぼ同じであるので、詳細な説明は省略する。図1は、本発明の一実施例の概略構成を示す図であって、呼制御CPU100および各I/F部を示している。また、呼制御CPU100は、その動作を模式的に説明するためのシステム情報の流れと、各タスクの実行部を示している。ここでタスクとは、図6で説明したと同様に、呼制御CPU100がプログラムを実行する場合の処理の実行単位を意味するものとする。図1において、137は、システム情報管理タスク実行部、142は、状態制御タスク実行部である。なお、図6と同じものには同じ符号が付されている。システム情報管理タスク実行部137は、システムの設定や変更等(以下、システム設定情報という。)の管理処理のタスクを専門に行う部署である。具体的には、例えば、表1に示されるようなシステムID、名称等のデジタル無線通信システムの各部署(外部装置を含む。)の設定、変更等のタスク処理を実行する。
状態制御タスク実行部142は、図6で示す状態制御タスク実行部601とは異なっている。即ち、保守コンソールタスク実行部134、運用管理タスク実行部135、CPU間転送タスク実行部136およびシステム情報管理タスク実行部137を統括する部署であり、デジタル無線通信システムの立ち上げ処理、システムの状態管理処理あるいはシステムの障害管理処理等のタスクを実行する。なお、上述した各タスク実行部とは、呼制御CPU100のソフトウエア処理部を意味し、また、各タスク実行部が独立して存在するものではなく、呼制御CPU100の処理部で一体として実行されるものであることはいうまでもないが、ここでは、説明の都合上、各タスク実行部を区別して説明することにする。また、他系統のデジタル無線通信システムと情報交換等をする必要がない場合には、他系制御CPUI/F部116およびCPU間転送タスク実行部136は、不要である。
次に、図1に示す呼制御CPU100の動作を図2および図3を用いて説明する。図2は、運用管理装置405と呼制御CPU100の動作を説明するためのフローチャートを示す。なお、図1および図4と同じものには同じ符号が付されている。図2において、まず、運用管理装置405で基地局402−3、有線端末局406−3および基地局402−3の使用無線キャリアF3をそれぞれ新規に追加する場合を説明する。なお、ここで説明する、例えば、既存のデジタル無線通信システムの構成と、システム情報の一実施例は、表2に示す場合と同じもので説明する。
即ち、表2に示すデジタル無線通信システムは、例えば、A空港のデジタル無線通信システムであり、2台の基地局402−1、402−2、n個の移動局404−1、・・・404−n、2台の有線端末局406−1、406−2、移動局グループG1、G2、・・・および基地局402−1の使用する無線キャリアは、F1、基地局402−2の使用する無線キャリアは、F2であることを示している。この表2に示すシステム情報格納テーブルは、図5に示す回線制御装置401の記憶部502に記憶されているものとする。なお、システム情報格納テーブルには、基地局情報テーブル、有線端末局情報テーブル、移動局情報テーブル、基地局規制テーブル等があるが、本実施例では、これらを代表してシステム情報格納テーブルとして説明する。
さて、表2に示す既存のデジタル無線通信システムの機能を増設するために、表3に示すように、基地局402−3を増設し、それに使用する無線キャリア周波数をF3とする。更に、有線端末局406−3を回線制御装置401に増設する場合の例で説明する。なお、表3に示す例は、一例であってこれに限定されるものではない。
図2において、運用管理装置405の管理者がデジタル無線通信システムの機能を設定あるいは変更する場合、まず、管理者は、例えば、入力部(図示せず。)を操作して、システム情報更新開始通知を運用管理I/F部115、OS/ドライバ121、通信制御タスク実行部122、運用管理タスク実行部135を介してシステム情報管理タスク実行部137に送信する(ステップ201)。システム情報更新開始通知を受けたシステム情報管理タスク実行部137は、システム情報更新開始通知を呼制御CPU100を制御する状態制御タスク実行部142に送信する。これによって状態制御タスク実行部142は、運用管理装置405の管理者からのシステム情報の設定あるいは変更(以下、システム設定情報と称する。)を認識する。同時に、システム情報管理タスク実行部137は、システム情報更新開始応答を通信制御タスク実行部122を介して運用管理装置405に通知する(ステップ203)。これによって運用管理者は、システム設定情報の送信が可能であることを認識する。
そして、運用管理者は、まず、表3に示す新規登録する外部装置等の名称、ID(またはNo.)等のシステム設定情報を入力する。運用管理装置405で入力されたシステム設定情報は、運用管理I/F部115、OS/ドライバ121を介して通信制御タスク実行部122に供給され、適宜信号処理され、運用管理タスク実行部135に供給される(ステップ204)。運用管理タスク実行部135では、送られたシステム設定情報から必要なデータを取出し、システム情報管理タスク実行部137に送信する(ステップ205)。この時、システム設定情報は、多くのデータを有しているため、1/N(N:正の整数)に分割して送信される。なお、システム設定情報は、分割して送る必要がないときは、一度に送信される。
システム情報管理タスク実行部137では、運用管理タスク実行部135から送られてくるシステム設定情報のデータからシステム情報として新たに設定あるいは変更を必要とするシステム設定情報を抽出し、回線制御装置401の記憶部502に記憶されている表2に示すシステム情報格納テーブルを順次書換える(ステップ206)。ステップ207では、別のシステム設定情報が運用管理装置405から入力され、運用管理タスク実行部135に供給される。運用管理タスク実行部135では、上述と同様に必要なデータを取出し、システム情報管理タスク実行部137に送信する(ステップ208)。そして、N個の全てのシステム設定情報の更新が完了する(ステップ209)。この状態は、例えば、記憶部502の表2に示すシステム情報格納テーブルが表3に示すシステム情報格納テーブルに更新された状態である。
システム情報管理タスク実行部137では、N個の全てのシステム設定情報の更新が完了すると、システム設定情報応答を運用管理装置405に送信する(ステップ210)。これによって運用管理装置405の管理者は、システム設定情報の入力を確認することができる。確認方法は、例えば、表3に示すシステム情報格納テーブルを運用管理装置405に設けられた操作表示部(図示せず。)に表示することで確認できる。
次に、システム情報管理タスク実行部137では、デジタル無線通信システムの各部署(以下、外部装置という。)、例えば、基地局あるいは有線端末局等が既に保持しているシステム情報のバージョンと、受信されたシステム設定情報のバージョンを比較し、新規設定あるいは変更の要否を確認する(ステップ211)。そして、例えば、受信されたシステム設定情報のバージョンが既存の基地局あるいは有線端末局のバージョンより新しい場合(Yesの場合)には、所定の部署にシステム設定情報を配信する(ステップ212)。新しくない場合(Noの場合)は、システム設定情報の配信は行わない。
次に、基地局、有線端末局のバージョンが新しい場合(ステップ212)について、図3を用いて説明する。図3は、基地局402および有線端末局406のシステム情報を更新する場合のフローチャートを示す。なお、図1、図4と同じものには同じ符号が付されている。まず、基地局402のシステム情報を更新する場合について説明する。システム情報管理タスク実行部137では、基地局情報の更新の有無を判定する(ステップ301)。この判定は、例えば、記憶部502に記憶されている表3のシステム情報格納テーブルの項目No.2:基地局を参照すると、更新情報のあることが分かる。表3では、基地局402−3が新規登録されている。従って、更新情報ありの場合(Yesの場合)、システム情報管理タスク実行部137は、基地局向けシステムバージョン情報を通信制御タスク実行部122、OS/ドライバ121、基地局I/F部111を介して各基地局402に送信する(ステップ302)。本実施例の場合、基地局402は、基地局402−1、402−2および402−3の3台あるので、それぞれについて基地局向けシステムバージョン情報を送信する。この基地局向けシステムバージョン情報を受信した基地局は、それぞれ基地局向けシステムバージョン情報応答、例えば、現在設定されているバージョン情報をシステム情報管理タスク実行部137に送信する(ステップ303)。
システム情報管理タスク実行部137では、送信された基地局向けシステムバージョン情報応答に基づいて基地局向けシステム設定情報の抽出を行う(ステップ304)。この基地局向けシステム設定情報の抽出は、例えば、既存のバージョンの基地局か、あるいはバージョンが新しくなった基地局かを判定し、バージョンが新しくなった基地局については、システム設定情報の電文を作成する。そして、各基地局402に上記電文の配信の有無を判定する(ステップ305)。判定の結果、配信要の場合(Yesの場合)、通信制御タスク実行部122を介して基地局402に基地局向けシステム設定情報を送信する(ステップ306)。図3では、基地局402−3(新規登録)に基地局向けシステム設定情報の電文を送信する。判定の結果、配信不要の場合(Noの場合)は、既存のバージョンの基地局であるので、基地局向けシステム設定情報の送信は行わない。図3では、基地局402−1、402−2が対応する。なお、この基地局向けシステム設定情報の電文には、例えば、基地局402−3で使用される使用無線キャリア周波数F3(新規登録)の情報も含まれる。
基地局向けシステム設定情報の電文の送信を受けた基地局402−3では、自己のシステム設定情報の更新(新たな場合には新規設定)を行う(ステップ307)。そして、システム設定情報更新通知をシステム情報管理タスク実行部137に送信する(ステップ308)。システム情報管理タスク実行部137は、上記のような処理を全ての基地局402に実行し、全基地局が終了したかを判定する(ステップ309)。
基地局402のシステム設定情報の更新が終了すると、続いて、例えば、有線端末局406のシステム設定情報の更新を行う。システム情報管理タスク実行部137は、有線端末局情報の更新の有無を判定する(ステップ311)。この判定は、例えば、記憶部502に記憶されている表3のシステム情報格納テーブルの項目No.4:有線端末局を参照すると、更新情報のあることが分かる。表3では、有線端末局406−3が新規登録されている。従って、更新情報ありの場合(Yesの場合)、システム情報管理タスク実行部137は、有線端末局向けシステムバージョン情報を通信制御タスク実行部122、OS/ドライバー121、有線端末局I/F部112を介して各有線端末局406に送信する(ステップ312)。本実施例の場合、有線端末局406は、有線端末局406−1、406−2および406−3の3台あるので、それぞれについて有線端末局向けシステムバージョン情報を送信する。この有線端末局向けシステムバージョン情報を受信した有線端末局は、それぞれ有線端末局向けシステムバージョン情報応答、例えば、現在設定されているバージョン情報を状態制御タスク実行部601に送信する(ステップ313)。
システム情報管理タスク実行部137では、送信された有線端末局向けシステムバージョン情報応答に基づいて有線端末局向けシステム設定情報の抽出を行う(ステップ314)。この有線端末局向けシステム設定情報の抽出は、例えば、既存のバージョンの有線端末局か、あるいはバージョンが新しくなった有線端末局かを判定し、バージョンが新しくなった有線端末局については、システム設定情報の電文を作成する。そして、各有線端末局406に上記電文の配信の有無を判定する(ステップ315)。判定の結果、配信要の場合(Yesの場合)、通信制御タスク実行部122を介して有線端末局406に有線端末局向けシステム設定情報を送信する(ステップ316)。図3では、有線端末局406−3(新規登録)に有線端末局向けシステム設定情報の電文を送信する。判定の結果、配信不要の場合(Noの場合)は、既存のバージョンの有線端末局であるので、有線端末局向けシステム設定情報の送信は行わない。図3では、有線端末局406−1、406−2が対応する。
有線端末局向けシステム設定情報の電文の送信を受けた有線端末局406−3では、自己のシステム設定情報の更新(新たな場合には新規設定)を行う(ステップ317)。そして、システム設定情報更新通知をシステム情報管理タスク実行部137に送信する(ステップ318)。システム情報管理タスク実行部137は、上記のような処理を全ての有線端末局406について実行し、全有線端末局が終了したかを判定する(ステップ319)。以上のようにして運用管理装置405の管理者がデジタル無線通信システムの各部署(外部装置を含む。)の設定、変更を行った全てのもの設定、変更が終了すると、システム情報管理タスク実行部137は、システム情報更新終了通知を状態制御タスク実行部142に送信する。これによって状態制御タスク実行部142は、デジタル無線通信システムの全てのシステム情報の設定、変更が完了したことを認識する。
なお、上記の例では、基地局と有線端末局のシステム設定情報の更新についてのみ説明したが、このようなシステム設定情報の更新は、基地局や有線端末局に限らず、デジタル無線通信システムの全ての部署(外部装置を含む。)について行われることは言うまでもない。また、上記実施例で説明したシステム設定情報の電文には、基地局設定情報、有線端末局設定情報、移動局設定情報等、運用管理装置405で設定あるいは変更可能な情報が含まれる。
以上説明したように運用管理装置からのシステム情報の設定あるいは変更等は、システム情報管理タスク実行部でタスク処理され、状態制御タスク実行部でのタスク処理とは区別され、即ち、分散されるため、呼制御CPUの状態制御タスク実行部の処理負荷が軽減される。また、システム情報管理タスク実行部では、運用管理装置からのシステム情報の設定あるいは変更等のシステム設定情報の処理を実行するので、タスク処理の管理が簡単になり、また、仕様変更等の場合のプログラムの追加あるいは修正が容易に行える特徴がある。更に、状態制御タスク実行部は、各種システムで共通化でき、システムのプラットフォーム化が容易である。
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は、ここに記載されたデジタル無線通信システムの実施例に限定されるものではなく、上記以外のデジタル無線通信システムに広く適応することが出来ることは、いうまでもない。
100、501:呼制御CPU、101、102、103、104、105、106、504:入出力端子、111:基地局I/F部、112:有線端末局I/F部、113:交換制御I/F部、114:保守コンソールI/F部、115:運用管理I/F部、116:他系呼制御CPUI/F部、121:OS/ドライバー、122:通信制御タスク実行部、131:基地局タスク実行部、132:有線端末局タスク実行部、133:交換制御タスク実行部、134:保守コンソールタスク実行部、135:運用管理タスク実行部、136:CPU間転送タスク実行部、137:システム情報管理タスク実行部、141:呼管理タスク実行部、142、601:状態制御タスク実行部、401:回線制御装置、402:基地局、403:通信エリア、404:端末局、405:運用管理装置、406:有線端末局、407:保守コンソール、408:伝送路、502:記憶部、503:各I/F部。