JP2008153347A - 電解コンデンサ用アルミニウム箔およびその製造方法 - Google Patents

電解コンデンサ用アルミニウム箔およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2008153347A
JP2008153347A JP2006338266A JP2006338266A JP2008153347A JP 2008153347 A JP2008153347 A JP 2008153347A JP 2006338266 A JP2006338266 A JP 2006338266A JP 2006338266 A JP2006338266 A JP 2006338266A JP 2008153347 A JP2008153347 A JP 2008153347A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ppm
aluminum foil
rate
hour
etching
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2006338266A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4793827B2 (ja
Inventor
Akira Yoshii
章 吉井
Hideo Watanabe
英雄 渡辺
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
MA Aluminum Corp
Original Assignee
Mitsubishi Aluminum Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Aluminum Co Ltd filed Critical Mitsubishi Aluminum Co Ltd
Priority to JP2006338266A priority Critical patent/JP4793827B2/ja
Publication of JP2008153347A publication Critical patent/JP2008153347A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4793827B2 publication Critical patent/JP4793827B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Metal Rolling (AREA)

Abstract

【課題】電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の製造に際し、中間焼鈍の省略及び無電解エッチング採用により生産性を上げる。
【解決手段】Si:10〜30ppm、Fe:5〜30ppm、Ni:21〜150ppm、Pb:0.1〜3ppm、Cu10ppm未満を含有し、残部が99.9%以上Alと、その他不回避不純物からなり、加工率95.0〜99.8%の熱間圧延と加工率90%以上の冷間圧延によって、圧延中に焼鈍を行なうことなく80〜150μm厚に圧延されたアルミニウム箔に、不活性ガス又は/及び還元性ガス雰囲気中で、昇温速度20〜70℃/時間、530〜580℃、1時間以上で焼鈍を行なう。高い立方晶率が得られ、かつ生地表面部に0.1〜5μm径、厚さ0.05〜1μmのAl−Ni系析出物が面方向に0.1×10〜3.0×10個/cmで分散する。
【選択図】なし

Description

この発明は、電解コンデンサの電極に用いられるアルミニウム箔およびその製造方法に関するものである。
一般に、160WV以上で使用される電解コンデンサ用アルミニウム箔は、その製造過程において強酸溶液中での直流電解エッチングが採用されている。この電解エッチングの際に、ピットと呼ばれる方位形の穴を多数発生させることで表面積を拡大し、静電容量を高めている。このピットは立方体方位に対して垂直に成長するので、効率良く表面積を拡大するためには、均一にピットを発生し、深さ方向に均一に成長させる必要がある。そのため、通常95%以上の高い立方晶率を持つアルミニウム箔を得ることが不可欠となる。
従来、上記電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の製造において、アルミニウム純度99.9%以上で、Si10〜30ppm、Fe5〜30ppm、Cu10〜80ppm、Pb0.1〜3ppm、その他不回避不純物からなるアルミニウムスラブに、図1(b)に示すように、均熱処理、熱間圧延、冷間圧延を行い、中間焼鈍と呼ばれる、200〜300℃、1〜24時間の熱処理を行い、付加圧延と呼ばれる、10〜30%の圧下率で圧延を行った後、450〜600℃で焼鈍を行っている。通常、中間焼鈍を行い、部分的に再結晶させた後、付加圧延を行った場合、異方位粒に優先的に歪みが付加され、450℃以上の焼鈍によって、高い立方晶率の箔を得ている。
アルミニウム箔は、その後、表面積の増大を図るために電解エッチングによる粗面化処理を行い、化成処理を経て電解コンデンサ電極とされるが、電解エッチングにおける腐食孔(以降ピット)は立方体方位に対し、垂直に成長する。このため、均一にピットを発生させて表面積を増大させるためには、アルミニウム箔として高い立方体方位占有率が必要であり、上記のような複雑な工程を採用している(例えば特許文献1)。
さらに、材質面からいえば、高い立方晶率が得られる箔として、従来、99.9%以上の高純度のアルミニウムを用いて、Fe、Si、Cu、Pbを主成分とし、その添加量を制御したものが知られている。Fe、Si、Cuはアルミニウムの再結晶挙動を制御し、最終焼鈍後に高い立方晶率を得るために、制御する必要がある元素である。特に、Cuは再結晶温度を高くするために必要で、15ppm以下では圧延途中で再結晶粒が成長し、非立方晶粒の粗大化が起こり、高い立方晶率が得られない。反面、100ppm以上では、粒成長を阻害するため、高い立方晶率が得られない。実用範囲としては、20〜70ppmである。
特公昭54−11242号公報
しかし、前記のように、複雑な工程を経て製造する方法や加工率を制御する方法では、製造効率が悪く、製造コストを上昇させる要因になる。
また、Cuの含有は、電解コンデンサ製品中で電解溶液中に溶解し、通電時に再析出を起こし、スパーク故障の原因になるという問題点を有している。そのため、エッチング終了後に、濃硝酸浸漬処理等でエッチング箔表面のCuを除去している。
さらに、高圧用電解コンデンサ電極用アルミニウム箔のエッチング工程では、Alの溶解性が低いことと低圧用の電極のような微細な表面加工が必要ないため、直流電解方式が主に採用されている。この方式は電気を大量に消費するため、コストが高くなる問題点を有している。
本発明は、上記事情を背景になされたものであり、工程を簡略化しても高い立方晶率が得られ、かつCuの含有量を抑えて電解コンデンサ製品内におけるスパーク故障発生のリスクを低くするとともに、低コストの無電解エッチングが可能な電解コンデンサ電極用アルミニウム箔とその製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明の製造方法の特徴の一つは、再結晶挙動を制御する主要元素であるFe、Si、Cuのうち、上記のような不具合を生じさせる可能性のあるCuを10ppm未満に抑え、代わりにNiを20〜150ppm添加することで、中間焼鈍と付加圧延を行わず450℃以上での最終焼鈍を行うのみで、高い立方晶率が得られることにある。
一般的に、熱間圧延終了時点で既に立方晶の核となるCube粒が存在し、冷間圧延途中で、中間焼鈍にて部分再結晶させ、付加的圧延を行うことでCube粒以外の粒に歪みを与え、最終焼鈍時にCube粒が優先成長することにより、高い立方晶率を得ている。しかし、Ni等の成分を適量添加した箔は、このような製造条件を用いずとも、Cube粒が十分に成長するため、アルミニウム箔を適切に最終焼鈍するだけで、高い立方晶率が得られる。
さらにその際、含有されたNiが箔表面に濃化することにより、Alより電気的に貴であるAl−Ni系析出物が箔表層部に生成される。そして、エッチングに際し、酸溶液中で生地のAlと前記Al−Ni系析出物とにより局部電池が形成され、化学溶解性を促進させる。このような電気化学反応の基点となるAl−Ni系析出物を箔表面に適度に析出させるためには、圧延条件と焼鈍条件を適切に制御する方法が必要である。
すなわち、電解コンデンサ用アルミニウム箔の製造方法の発明は、質量比で、Si:10〜30ppm、Fe:5〜30ppm、Ni:21〜150ppm、Pb:0.1〜3ppmを含有し、不可避不純物中のCuが10ppm未満で、残部が99.9%以上のAlと、その他不回避不純物からなる組成を有し、加工率が95.0〜99.8%の熱間圧延と、加工率が90%以上の冷間圧延とによって、圧延途中で焼鈍を行なうことなく厚さ80〜150μmに圧延されたアルミニウム箔に、不活性ガス、または還元性ガスもしくはこれらの混合ガス雰囲気中で、昇温速度20〜70℃/時間、保持温度530〜580℃、保持時間1時間以上で焼鈍を行なうことを特徴とする。
また、電解コンデンサ用アルミニウム箔の発明は、エッチングに供されるアルミニウム箔において、質量比で、Si:10〜30ppm、Fe:5〜30ppm、Ni:21〜150ppm、Pb:0.1〜3ppmを含有し、不可避不純物中のCuが10ppm未満で、残部が99.9%以上のAlと、その他不回避不純物からなる組成を有し、生地表面部に円相当径0.1〜5μmのAl−Ni系析出物が面方向に0.1×10〜3.0×10個/cmの密度で存在しているとともに、該析出物の厚さが0.05〜1μmであることを特徴とする。
以下に、本発明の各成分による作用、および各成分、圧延条件、焼鈍条件を限定した理由を説明する。なお、以下における成分含有量はいずれも質量比である。
Si:10〜30ppm、Fe:5〜30ppm
Si、FeはAlと化合し適度に析出物を生成し、再結晶の粗大化を抑制し、Cube粒の優先成長を促進することができる。ただし、Si10ppm未満、Fe5ppm未満の場合、精製コストが高くなり、工業的には不向きである。一方、各々30ppm超の場合、析出物の総量が多くなりすぎてCube粒の優先成長まで制御するため、高い立方晶率が得られなくなる。このため、Si、Feの含有量を上記範囲に定める。なお、同様の理由で望ましい下限は、Siで12ppm、Feで10ppmであり、望ましい上限は、Si、Feともに20ppmである。
Pb:0.1〜3ppm
Pbはエッチング時における表面溶解を均一にする元素である。ただし、0.1ppm未満ではその効果が期待できず、3ppm超では溶解性が高くなりすぎて過剰溶解を起こす。したがって、Pbの含有量を上記範囲に定める。なお、同様の理由で望ましい下限は、0.2ppmであり、望ましい上限は1ppmである。
Ni:21〜150ppm
Niは、Cube粒の優先成長を促す元素であり、広範な厚さのアルミニウム箔において中間焼鈍を施すことなく最終焼鈍のみで高い立方晶率を得ることを可能にする。この作用を十分に得るためには21ppm以上の含有が必要であり、21ppm未満では、Cube粒成長が不十分であるため中間焼鈍なしで所望の立方晶率を得ることが困難になる。一方、Niを150ppm超含有すると、最終焼鈍でのNi表面濃縮量が多くなりすぎ、エッチングにおいて過剰溶解が発生するため、立方晶率は95%以上得られてもエッチングが困難な箔となる。したがって、Ni含有量を上記範囲に定める。なお、同様の理由で望ましい下限は30ppm、望ましい上限は100ppmである。
Cu:10ppm未満
CuはAlの再結晶を抑制する元素であるが、Cube粒の優先成長を抑制するため、多く含有するとNiの添加量を200ppm以上にする必要が生じる。この場合、上記したように過剰溶解が発生する。一方、Cu量が多くてNi添加量を過剰溶解の問題ない範囲とした場合、95%以上の立方晶率を得ることは困難になり、中間焼鈍、付加圧延を適正に行ってCube粒の優先成長を確保する必要がある。さらに、製品中におけるスパーク故障の原因にもなるため、Cuはできるだけ含まないのがよいが、地金等に含まれているため、不可避なCu以外は無添加として、その量を10ppm未満とする。なお、望ましくは5ppm以下である。
その他不純物
Cu以外にも不純物の含有は許容されるが、100ppmを超えてCu以外の不純物を含むと、不純物とAlとの析出物が多くなり、Ni添加だけでは高い立方晶率が得られにくくなるので、Cu以外の不純物を100ppm以下にするのが望ましい。同様の理由で、より望ましくは50ppm以下である。
熱間加工率:95.0〜99.8%
熱間加工率が95.0%未満の場合、生産性が悪く工業的には不向きである。一方、99.8%超の場合、後に行われる冷間圧延の冷間加工率が低下することになり、Niの濃縮が不十分になるため反応性が低下し好ましくない。このため、熱間加工率を上記範囲に定める。なお、同様の理由で、望ましい下限は96.0%であり、望ましい上限は99.0%である。
冷間加工率:90%以上
冷間加工率が90%未満の場合、最終焼鈍の際にNiが表面濃縮するために必要な駆動力が低下し、その結果、最終焼鈍でのNi濃縮が不十分になりエッチング時の反応性が低下する。このため、冷間加工率を90%以上とする。なお、同様の理由で望ましくは96%以上である。
最終焼鈍
(1)保持温度:530〜580℃
最終焼鈍の保持温度が530℃未満の場合、Niの表面濃化が不十分になり、Al−Ni系析出物の量が低下し、化学溶解性が低下する。一方、580℃超の場合、表層に生成したAl−Ni系析出物の分解が始まり溶解性が低下する。このため、保持温度を上記範囲に定める。なお、同様の理由で、望ましい下限は540℃であり、望ましい上限は570℃である。
(2)保持時間:1時間以上
保持時間が1時間未満の場合、Niの表面濃化が不十分になり、Al−Ni系析出物の量が低下し、化学溶解性が低下する。上限は特に定めないが、24時間以下が生産性から工業的に好ましい。
(3)昇温速度:20〜70℃/時間
最終焼鈍において、上記保持温度にまで加熱する過程で、昇温速度が20℃/時間未満の場合、著しく生産性が低下するため、工業的に好ましくない。一方、70℃/時間超の場合、Niの表面濃化が不十分になり、Al−Ni系析出物の量が低下し、化学溶解性が低下するため好ましくない。したがって、良好な生産性において、十分なエッチング性を確保するためには、20〜70℃/時間の昇温速度が必要となる。なお、望ましい下限は40℃/時間であり、望ましい上限は60℃/時間である。実際のアルミニウム箔コイルを焼鈍する場合、各温度域で昇温速度が異なるので、本発明における昇温速度は、アルミニウム箔が300〜450℃を通過する際の温度上昇速度とする。
(4)焼鈍雰囲気
上記最終焼鈍時の雰囲気中の酸素濃度が高い場合、アルミニウム箔表面に酸化皮膜が厚く成長し、立方晶の成長を妨げる。このため、Ar、N等の不活性ガス、またはH等の還元性ガスもしくはこれらの混合ガス雰囲気で焼鈍する必要がある。なお、真空焼鈍の場合、熱伝導性が悪いため、アルミニウム箔の昇温速度が低下するので、焼鈍時間全体において真空とするのは好ましくない。
なお、焼鈍後の酸化皮膜厚さが30〜70Å(ESCA測定値)になるよう、初期の真空度、焼鈍中の酸素濃度、または露点、ガス流量等を管理することが望ましい。
酸化皮膜厚さ30Å未満の場合、焼鈍雰囲気中の酸素量を極低くする必要があり、多量の雰囲気ガスを必要とするため、工業的に不向きである。また、70Åを超えると、その後のエッチングの際、ピット発生を妨げ、静電容量が低下する。したがって、酸化皮膜厚さは上記範囲が望ましい。さらに望ましい酸化皮膜厚さの下限は40Å、上限は60Åである。
Al−Ni系析出物
(1)円相当径:0.1〜5μm
エッチングに供されるアルミニウム箔において、箔表面に円相当径0.1〜5μmのAl−Ni系析出物が存在していることが必要となる。0.1μm未満のAl−Ni系析出物は、酸中で溶解してしまいエッチングに寄与できないものであり、5μmを超えるAl−Ni系析出物は、表面欠落になり容量が低下する。
したがって、円相当径0.1〜5μmのAl−Ni系析出物の分散について規定する。
(2)密度:0.1×10〜3.0×10個/cm
上記大きさのAl−Ni系析出物の分散密度が、0.1×10個/cm未満では、溶解反応が遅く、エッチング速度が停滞する。一方、3.0×10個/cm超の場合、溶解速度が速すぎて表面溶解が過剰に促進されるため、十分な静電容量が得られない。したがって、上記径のAl−Ni系析出物の密度を上記範囲に定める。なお、同様の理由で望ましい下限は、0.2×10個/cm、望ましい上限は、2×10個/cmである。
(3)厚さ:0.05〜1μm
上記Al−Ni系析出物の厚さが0.05μm未満の場合、エッチングの前処理において、析出物が除去されやすくなり、化学溶解性が低下するため好ましくない。一方、析出物の厚さが1μmを超えると、エッチング後の析出物除去が困難になり、化成処理において漏れ電流を発生させる原因となり好ましくない。したがって、上記径のAl−Ni系析出物の厚さを上記範囲に定める。なお、同様の理由で望ましい下限は、0.1μm、上限は、0.5μmである。
なお、立方晶率95%以上が現状求められているレベルであるため、本明細書において高い立方晶率とは、95%以上の立方晶率を意味する。
以上説明したように、本発明の電解コンデンサ用アルミニウム箔の製造方法によれば、質量比でSi:10〜30ppm、Fe:5〜30ppm、Ni:21〜150ppm、Pb:0.1〜3ppmを含有し、不可避不純物中のCuが10ppm未満で、残部が99.9%以上のAlと、その他不回避不純物からなる組成を有し、加工率が95.0〜99.8%の熱間圧延と、加工率が90%以上の冷間圧延とによって、圧延途中で焼鈍を行うことなく厚さ80〜150μmに圧延されたアルミニウム箔に、不活性ガス、または還元性ガスもしくはこれらの混合ガス雰囲気中で、昇温速度20〜70℃/時間、保持温度530〜580℃、保持時間1時間以上で焼鈍を行うので、製造工程を簡略化しても、最終焼鈍において高い立方晶率が得られ、品質を損なうことなく、その生産性を著しく向上させることができる。さらに得られたアルミニウム箔は、表面部に適度な大きさのAl−Ni系析出物が適度な密度および厚さで存在することになり、エッチングにおいて良好な化学溶解性が得られる。
また、本発明の電解コンデンサ用アルミニウム箔によれば、エッチングに供されるアルミニウム箔において、質量比でSi:10〜30ppm、Fe:5〜30ppm、Ni:21〜150ppm、Pb:0.1〜3ppmを含有し、不可避不純物中のCuが10ppm未満で、残部が99.9%以上のAlと、その他不回避不純物からなる組成を有し、生地表面部に円相当径0.1〜5μmのAl−Ni系析出物が面方向に0.1×10〜3.0×10個/cmの密度で存在しているとともに、該析出物の厚さが0.05〜1μmであるので、エッチング工程において良好な化学溶解性が得られ、低コストでの無電解エッチングが可能となる。さらには、Cuの含有量を抑えているので、電解コンデンサ製品に組み込んだ際に、Cuが原因によるスパーク発生のリスクを低くできる。
以下に、本発明の一実施形態について説明する。
本発明の成分となるように調整された高純度アルミニウム材は、常法により得ることができ、本発明としては特にその製造方法が限定されるものではない。例えば、半連続鋳造によって得たスラブを用いることができ、その他に連続鋳造により得ることもできる。上記高純度アルミニウム材は、純度が99.9%以上で、好適には純度99.95%以上とする。
高純度アルミニウム材は、図1(a)に示すように、加工率95.0〜99.8%の熱間圧延によりシート材とする。さらに、このシート材に対し、加工率90%以上の冷間圧延を行い、厚さ80〜150μmのアルミニウム合金箔を得る。該冷間圧延の途中での中間焼鈍を省略することができる。なお、冷間圧延途中あるいは冷間圧延終了後に適宜脱脂を加えてもよい。
冷間圧延後には、最終焼鈍処理を行う。最終焼鈍の加熱条件は、昇温速度20〜70℃/時間で、保持温度530〜580℃、保持時間1時間以上である。さらに焼鈍雰囲気は、不活性ガスまたは還元性ガスもしくはこれらの混合ガス雰囲気とする。なお、焼鈍加熱開始時(例えば200℃まで)や、冷却時には、上記雰囲気に限定されず、真空雰囲気などとしてもよい。
上記各工程を経て得られたアルミニウム箔には、その後、エッチング処理がなされる。エッチング処理は、強酸溶液中、例えば、塩酸や塩酸を主体とした混酸などに浸漬することによる無電解エッチングで行うことができる。本発明としては、このエッチング処理の具体的条件について特に限定されるものではない。なお、所望により電解エッチングを採用することも可能である。
エッチング処理においては、前記成分の設定と各製造工程における条件により、高い立方晶率と電気化学反応の基点となるAl−Ni系析出物が適当な密度で得られており、無電解エッチングでも、箔にピットが高密度で形成され、高い粗面化率が得られる。この箔を常法により電解コンデンサに電極として組み込むことにより静電容量の高いコンデンサが得られる。
本発明のアルミニウム材及びその製造方法によって得られるアルミニウム箔は、中高圧電解コンデンサの陽極として使用するのが好適であるが、本発明としてはこれに限定されるものではなく、より耐電圧の低いコンデンサ用としても使用することができ、また電解コンデンサの陰極用の材料として使用することもできる。
表1に示す組成(残部アルミニウム。表中の不回避不純物量はCu量を除くものである)に調整した後、DC鋳造を行い、アルミニウムスラブを得た。該スラブを面削後、550〜590℃の均熱処理を8時間行い、熱間圧延を行った。
熱間圧延は、開始温度を500〜590℃とし、250〜320℃で仕上げた。該熱間圧延時の加工率は表2に示す条件とした。熱間圧延終了後、中間焼鈍を施すことなく冷間圧延を行い、110μm厚のアルミニウム箔を得た。冷間圧延時の加工率は、表2に示す条件とした。得られたアルミニウム箔に対し表2に示す条件で焼鈍を行った。この際の昇温速度は、300〜450℃の温度を通過する際の平均昇温速度とした。
上記焼鈍後の箔をSEMで観察し、0.1〜5μmの大きさ(円相当径)のAl−Ni系析出物の密度を計測し、その結果を表2に示した。また、FIBにより0.1〜5μmの大きさのAl−Ni系析出物の断面観察を行い、その厚さを測定し、その結果を表2に示した。
さらに、上記各供試材を、1リットル中に燐酸1mol、硝酸0.5mol含有する溶液50℃中に120秒浸漬した後、1リットル中に塩酸1mol、硫酸3mol含有する溶液82℃中に120秒浸漬し、さらに2mol/リットルの塩酸溶液80℃中に5分間浸漬した。
エッチング後、100g/リットルのホウ酸溶液85℃中で300Vの電圧を印加して化成を行った後、静電容量を測定し、その結果を表2に示した。
表2に示された結果から明らかなように、昇温速度、保持温度、保持時間のいずれかでも発明の範囲から外れた場合、析出物の密度が本発明に示された条件を満たすことができず、良好な静電容量が得られなかった。これに対し、発明例の供試材は、中間焼鈍を行うことなく、また、無電解のエッチングによって高い静電容量が得られることが明らかになった。
Figure 2008153347
Figure 2008153347
本発明のアルミニウム材に好適な製造工程(a)および従来のアルミニウム材を用いた製造工程(b)を示すフロー図である。

Claims (2)

  1. 質量比で、Si:10〜30ppm、Fe:5〜30ppm、Ni:21〜150ppm、Pb:0.1〜3ppmを含有し、不可避不純物中のCuが10ppm未満で、残部が99.9%以上のAlと、その他不回避不純物からなる組成を有し、加工率が95.0〜99.8%の熱間圧延と、加工率が90%以上の冷間圧延とによって、圧延途中で焼鈍を行なうことなく厚さ80〜150μmに圧延されたアルミニウム箔に、不活性ガス、または還元性ガスもしくはこれらの混合ガス雰囲気中で、昇温速度20〜70℃/時間、保持温度530〜580℃、保持時間1時間以上で焼鈍を行なうことを特徴とする電解コンデンサ用アルミニウム箔の製造方法。
  2. エッチングに供されるアルミニウム箔において、質量比で、Si:10〜30ppm、Fe:5〜30ppm、Ni:21〜150ppm、Pb:0.1〜3ppmを含有し、不可避不純物中のCuが10ppm未満で、残部が99.9%以上のAlと、その他不回避不純物からなる組成を有し、生地表面部に円相当径0.1〜5μmのAl−Ni系析出物が面方向に0.1×10〜3.0×10個/cmの密度で存在しているとともに、該析出物の厚さが0.05〜1μmであることを特徴とする電解コンデンサ用アルミニウム箔。
JP2006338266A 2006-12-15 2006-12-15 電解コンデンサ用アルミニウム箔およびその製造方法 Expired - Fee Related JP4793827B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006338266A JP4793827B2 (ja) 2006-12-15 2006-12-15 電解コンデンサ用アルミニウム箔およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006338266A JP4793827B2 (ja) 2006-12-15 2006-12-15 電解コンデンサ用アルミニウム箔およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008153347A true JP2008153347A (ja) 2008-07-03
JP4793827B2 JP4793827B2 (ja) 2011-10-12

Family

ID=39655233

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006338266A Expired - Fee Related JP4793827B2 (ja) 2006-12-15 2006-12-15 電解コンデンサ用アルミニウム箔およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4793827B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104624647A (zh) * 2014-12-31 2015-05-20 中铝西南铝冷连轧板带有限公司 手机电池外壳用铸轧1100合金铝箔生产方法

Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63255911A (ja) * 1987-04-14 1988-10-24 東洋アルミニウム株式会社 電解コンデンサ−用アルミニウム箔
JPH1136033A (ja) * 1997-07-15 1999-02-09 Mitsubishi Alum Co Ltd 電解コンデンサ用アルミニウム材
JP2000260666A (ja) * 1999-03-12 2000-09-22 Nippon Chemicon Corp 電解コンデンサ用アルミニウム箔
JP2001172754A (ja) * 1999-12-14 2001-06-26 Nippon Foil Mfg Co Ltd 電解コンデンサ用高純度アルミニウム箔の製造方法
JP2001294961A (ja) * 2000-04-18 2001-10-26 Nippon Foil Mfg Co Ltd 電解コンデンサ電極用アルミニウム合金箔
JP2003338434A (ja) * 2001-08-03 2003-11-28 Showa Denko Kk 電解コンデンサ電極用アルミニウム材の製造方法、電解コンデンサ電極用アルミニウム陽極材及び電解コンデンサ用電極材の製造方法
JP2004250772A (ja) * 2002-08-21 2004-09-09 Showa Denko Kk 電解コンデンサ電極用アルミニウム材及びその製造方法、ならびに電解コンデンサ
JP2006152402A (ja) * 2004-11-30 2006-06-15 Mitsubishi Alum Co Ltd 電解コンデンサ用アルミニウム箔
JP2006351704A (ja) * 2005-06-14 2006-12-28 Mitsubishi Alum Co Ltd 電解コンデンサ電極用アルミニウム材

Patent Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63255911A (ja) * 1987-04-14 1988-10-24 東洋アルミニウム株式会社 電解コンデンサ−用アルミニウム箔
JPH1136033A (ja) * 1997-07-15 1999-02-09 Mitsubishi Alum Co Ltd 電解コンデンサ用アルミニウム材
JP2000260666A (ja) * 1999-03-12 2000-09-22 Nippon Chemicon Corp 電解コンデンサ用アルミニウム箔
JP2001172754A (ja) * 1999-12-14 2001-06-26 Nippon Foil Mfg Co Ltd 電解コンデンサ用高純度アルミニウム箔の製造方法
JP2001294961A (ja) * 2000-04-18 2001-10-26 Nippon Foil Mfg Co Ltd 電解コンデンサ電極用アルミニウム合金箔
JP2003338434A (ja) * 2001-08-03 2003-11-28 Showa Denko Kk 電解コンデンサ電極用アルミニウム材の製造方法、電解コンデンサ電極用アルミニウム陽極材及び電解コンデンサ用電極材の製造方法
JP2004250772A (ja) * 2002-08-21 2004-09-09 Showa Denko Kk 電解コンデンサ電極用アルミニウム材及びその製造方法、ならびに電解コンデンサ
JP2006152402A (ja) * 2004-11-30 2006-06-15 Mitsubishi Alum Co Ltd 電解コンデンサ用アルミニウム箔
JP2006351704A (ja) * 2005-06-14 2006-12-28 Mitsubishi Alum Co Ltd 電解コンデンサ電極用アルミニウム材

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104624647A (zh) * 2014-12-31 2015-05-20 中铝西南铝冷连轧板带有限公司 手机电池外壳用铸轧1100合金铝箔生产方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4793827B2 (ja) 2011-10-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2013124402A (ja) 電解コンデンサ用アルミニウム箔およびその製造方法
JP3689323B2 (ja) 電解コンデンサ電極用アルミニウム材
JP2007046093A (ja) 電解コンデンサ電極用アルミニウム箔およびその製造方法
JP4237236B2 (ja) 電解コンデンサ用アルミニウム箔およびその製造方法
JP4721448B2 (ja) 電解コンデンサ用アルミニウム箔の製造方法
JP2009249668A (ja) 電解コンデンサ用アルミニウム箔およびその製造方法
JP4521771B2 (ja) 電解コンデンサ電極用アルミニウム材
JP4793827B2 (ja) 電解コンデンサ用アルミニウム箔およびその製造方法
JP4071232B2 (ja) 電解コンデンサ用アルミニウム箔
JP2008150692A (ja) 電解コンデンサ電極用アルミニウム材
JP4827103B2 (ja) 電解コンデンサ電極用アルミニウム箔の製造方法
JP2007169690A (ja) 電解コンデンサ用アルミニウム箔
JP2009299131A (ja) 電解コンデンサ用アルミニウム箔及びその製造方法
JP3920301B2 (ja) 電解コンデンサ用アルミニウム箔
JP3920306B1 (ja) 電解コンデンサ用アルミニウム箔
JP2010013714A (ja) 電解コンデンサ電極用アルミニウム箔
JP4002291B2 (ja) ピット生成エッチング方法
JP5117673B2 (ja) 電解コンデンサ電極用アルミニウム材、電解コンデンサ用電極材の製造方法、アルミニウム電解コンデンサ用陽極材及びアルミニウム電解コンデンサ
JP2007131922A (ja) 電解コンデンサ用アルミニウム箔
JP4539911B2 (ja) 電極コンデンサ陽極用アルミニウム箔およびその製造方法
JP3930033B1 (ja) 電解コンデンサ用アルミニウム箔
JP2011006747A (ja) 電解コンデンサ用アルミニウム箔
JP2008140997A (ja) 電解コンデンサ用アルミニウム箔の製造方法
JP4539912B2 (ja) 電解コンデンサ陽極用アルミニウム箔およびその製造方法
JP4071233B2 (ja) 電解コンデンサ用アルミニウム箔

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20091214

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110705

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110720

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110720

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140805

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees