JP2008153148A - プラズマ処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ワークの被処理面を短時間に効率よく処理することができる簡易な構造のプラズマ処理装置を提供すること。
【解決手段】プラズマ処理装置1は、間隙40を介して略平行に対向して配置された1対の平板状の第1の電極2と、ワーク10を設置するワーク設置部100と、ワーク設置部100を介して第1の電極2の下端部と対向配置された第2の電極3と、第1の電極2と第2の電極3との間に電圧を印加する電源72を備えた電源回路7と、間隙40にプラズマ生成のための処理ガスを供給するガス供給手段8とを備え、間隙40に処理ガスを供給しつつ、第1の電極2と第2の電極3との間に電圧を印加することにより、処理ガスを活性化してプラズマを生成させ、間隙40の下端部に形成されたプラズマ噴出部5より該プラズマを噴出して、ワーク10の被処理面101を処理するよう構成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、プラズマ処理装置に関するものである。
材料の表面を加工する際、電圧もしくは高周波を印加した電極に反応ガスを供給し、反応ガスに基づくラジカルを発生させ、該ラジカルとワークとのラジカル反応によって生成された生成物質を除去することで加工を行う、いわゆるプラズマChemical Vaporization Machining(以下、「プラズマCVM」と略す。)が行われている。
近年、プラズマによって励起されるラジカル等の活性種を用いた所謂エッチングプロセスにおいては、ラジカル密度を高めて加工速度を向上させることが重要となっている。
これに対応するために、高密度なラジカルを発生することができるロール電極を用いたプラズマ処理装置が知られている(例えば、特許文献1)。また、ホロカソード放電電極を用いたプラズマ処理装置が知られている(例えば、特許文献2)。
一方で、近年の処理面積の大規模化に伴い、種々の大きさのワークに対応できる簡易な構造のプラズマ処理装置が求められている。
これに対応するために、従来のプラズマ処理装置では、電極またはワークを走査するなどして、互いの位置関係を変化させながら処理する方法が採られている。
しかしながら、前記プラズマ処理装置では、ワークの加工効率、加工速度などが不十分であり、装置自体も簡易な構造とは言えないものである。
特開2001−120988号公報 特開2001−35692号公報 特開平1−125829号公報
本発明の目的は、ワークの被処理面を短時間に効率よく処理することができる簡易な構造のプラズマ処理装置を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のプラズマ処理装置は、間隙を介して略平行に対向して配置された1対の平板状の第1の電極と、
ワークを設置するワーク設置部と、
前記ワーク設置部を介して前記第1の電極の下端部と対向配置された第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に電圧を印加する電源を備えた電源回路と、
前記間隙にプラズマ生成のための処理ガスを供給するガス供給手段とを備え、
前記間隙に前記処理ガスを供給しつつ、前記第1の電極と前記第2の電極との間に電圧を印加することにより、前記処理ガスを活性化してプラズマを生成させ、前記間隙の下端部に形成されたプラズマ噴出部より該プラズマを噴出して、前記ワークの被処理面を処理するよう構成されていることを特徴とする。
これにより、第1の電極の間隙に高密度のプラズマが発生するので、高い処理効率で、ワークを処理することができる。
本発明のプラズマ処理装置では、前記第1の電極に対し前記ワークを前記間隙の厚さ方向に相対的に移動して、前記ワークの前記被処理面を処理することが好ましい。
これにより、ワークを短時間に処理することができる。
本発明のプラズマ処理装置では、前記第1の電極は、前記ワークの幅を包含する領域に配置されていることが好ましい。
これにより、プラズマ噴出部がワークの相対的移動方向と直交する方向の幅をカバーするように設けられているので、処理面積の大きいワークを効率よく処理することができる。
本発明のプラズマ処理装置では、前記第1の電極における1対の電極は、前記電源回路により同電位にされていることが好ましい。
これにより、第1の電極の間隙で電界強度が増大するので、高密度のプラズマを発生することができ、処理効率が向上する。
本発明のプラズマ処理装置では、前記第1の電極を冷却する冷却手段を備えることが好ましい。
これにより、放電により発熱した第1の電極を冷却できるので、高密度なプラズマを安定性よく発生することができる。
本発明のプラズマ処理装置では、前記第1の電極は、少なくとも、前記第2の電極と対向する面側が誘電体材料で構成された誘電体部で覆われていることが好ましい。
これにより、第1の電極と第2の電極との間において、電極である金属等が露出しないため、アーク放電を防止し、電界を均一に発生させることができる。
本発明のプラズマ処理装置では、前記処理ガス噴出部は、誘電体部に形成されていることが好ましい。
これにより、第1の電極と第2の電極との間において、電極である金属等が露出しないため、電界を均一に発生させ、グローライクな放電を得ることができる。
本発明のプラズマ処理装置では、前記誘電体部は、前記ワークの相対的移動方向の前方および/または後方に突出していることが好ましい。
これにより、処理ガスが処理ガス噴出部から離間する方向に乱流することなく流れるので、処理ガスの流れを制御することができる。
本発明のプラズマ処理装置では、前記間隙は、その測端部が前記誘電体部で覆われていることが好ましい。
これにより、間隙が閉空間を形成するので、電界強度がより増大するとともに、処理ガスの消費を抑えることができる。その結果、より高密度なプラズマを発生することができる。
以下、本発明のプラズマ処理装置を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明のプラズマ処理装置の第1実施形態の概略構成を示す斜視図、図2は、本発明のプラズマ処理装置の第1実施形態の概略構成を示す縦断面図である。
なお、以下の説明では、図1中互いに直交する3つの方向をx軸方向、y軸方向およびz軸方向とする。そのうち、ワーク10の被処理面101をxy平面とし、被処理面101の法線方向をz軸方向とする。以下、対応する方向はその他の図においても同様である。また、図2中の上側を「上」、下側を「下」という。なお、図1では、理解を容易にするため、第1の電極の紙面手前側面と誘電体部の紙面手前側面とにハッチングを施した。
図1、2に示すように、プラズマ処理装置1は、間隙40を介して略平行に対向して配置された1対の平板状の第1の電極2と、ワーク10を設置するワーク設置部100と、ワーク設置部100を介して第1の電極2の下端部と対向配置された第2の電極3と、ガスの流れを制御する誘電体部4と、間隙40の下端部に形成されたプラズマ噴出部5と、ガス供給手段8から供給される処理ガスを間隙40に導入する処理ガス導入口6と、第1の電極2と第2の電極3との間に電圧を印加する電源72を備えた電源回路7と、間隙40にプラズマ生成のための処理ガスを供給するガス供給手段8とを備えている。
このプラズマ処理装置1は、間隙40に処理ガスを供給しつつ、第1の電極2と第2の電極3との間に電圧を印加することにより、処理ガスを活性化してプラズマを生成させ、間隙40の下端部に形成されたプラズマ噴出部5より該プラズマを噴出して、ワーク10の被処理面101を処理する装置である。
本実施形態では、第1の電極2が固定され、ワーク10が第2の電極3とともに図1中X方向(ワーク10の移動方向)に移動する。
なお、本実施形態では、プラズマによりエッチング処理またはダイシング処理する場合について説明する。
以下、プラズマ処理装置1の各部の構成について説明する。
第1の電極2は、間隙40を介して略平行に対向して配置された平板状の1対の電極21、22とで構成されている。
1対の電極21、22は、後述するように、電源回路7により同電位(電位差がほとんどない状態)とされている。そのため、放電により発生した電子が電極21と電極22の互いに対向する面(以下、「対向面」と略す。)213、223に衝突を繰り返しながら間隙40を移動する、いわゆる電子の閉じ込め効果が生じる。これによって、間隙40での電子の密度が向上する。このように、同電位にされた電極間に間隙40が存在することで、間隙40での電子密度が向上するので、間隙40で電界強度が増大する。その結果、処理ガスの供給により、間隙40で高密度なプラズマが発生し、ワーク10の被処理面101を効率的に処理することができる。
1対の電極21、22のそれぞれの構成は、ほぼ同一であるため、以下、電極21を代表的に説明する。
電極21には、電極22と対向する面213と反対側の面(以下、「外面」という。)211と、下端面212とに、誘電体材料で構成された誘電体部4が形成されている。そして、誘電体部4は、ガスの流路を画成する1対の側壁としての機能を有する。
このように、電極21の下端面212に誘電体部4が形成されていることにより、電極21と第2の電極3との間において、電極である金属等が露出しないため、該電極間に電界を均一に発生させることができる。また、インピーダンスの増大を防止することができ、比較的低電圧で所望の放電を生じさせ、プラズマを確実に発生させることができる。さらに、電圧印加時における絶縁破壊を防止して、アーク放電が生じるのを好適に防止し、グローライクな安定した放電を得ることもできる。この点はプラズマの着火性の向上に役立つ物である。
高レートの加工を行うためには、プラズマ密度を向上する必要がある。プラズマ密度を向上する方法の1つとして、例えば、誘電体部4の本体41または下板42の厚さを変更することが挙げられる。このうち、本体41の厚さを厚くし、下板42の厚さを薄くすることが好ましい。
本体41の厚さが厚い場合、間隙40からプラズマ噴出部5直下の領域の電界強度を、電極21の下端面212と第2の電極3との間のプラズマ発生領域30の電界強度よりも強くできるので、プラズマ発生領域30に極めて高密度のプラズマを発生させることができる。
本体41の厚さが薄い場合、電界がプラズマ発生領域30の外周側へと広がり、電界がブロード状に形成されるので、グローライクな放電となる。
この誘電体部4は、電極21の外面211に沿って形成される本体41と、ワーク10の移動方向の前方または後方、本実施形態では、後方に突出している下板42とを備えている。
このように、誘電体部4が下板42を備えていることにより、プラズマ噴出部5から噴出された処理ガスの乱れが防止されるので、処理ガスの流れを円滑に制御することができる。
誘電体部4の本体41、下板42の形状は、特に限定されないが、平板状であることが好ましい。下板42の形状が平板状であることにより、電極21の下端面212が実質的に平坦に形成されるので、処理ガスの流れを確実に制御することができる。
このような誘電体部4(本体41、下板42)の構成材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート等の各種プラスチック、石英ガラス等の各種ガラス、無機酸化物等が挙げられる。前記無機酸化物としては、例えば、Al(アルミナ)、SiO、ZrO、TiO、ZnO等の金属酸化物、窒化シリコン、窒化アルミニウムなどの窒化物、炭化ケイ素などの炭化物、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸ジルコニウムなどのリン酸塩、BaTiO(チタン酸バリウム)等の複合酸化物等の誘電体材料等が挙げられる。これらのうち、金属酸化物が好ましく、アルミナがより好ましい。このような材料を用いることにより、電界におけるアーク放電の発生をより確実に防止することができる。
なお、誘電体部4は、少なくとも下板42を備えていればよい。これにより、電極21と第2の電極との間の空間に金属などの電極材料が露出しないため、少ない量の誘電体材料で、電界の集中によるワーク10の破損などを効率的に防止することができる。
また、本実施形態は、間隙40の側端部403が開放されている。そのため、放電により発生した電子の一部が該側端部403から間隙40外へ飛び出すことがある。その結果、電極21と電極22との対向面213、223に衝突を繰り返す電子の数が減少するので、円筒状の電極よりも間隙40での電子の密度が適度な密度に設定される。このように、間隙40の電子密度を適度な密度に設定できるので、前述した電子の移動による電極21、電極22の発熱を抑えることができる。その結果、間隙40で高密度のプラズマが安定性よく発生する。
また、間隙40の側端部403が開放されているので、間隙40に導入された処理ガスが、側端部403の方向にも流れ易くなる。そのため、処理ガスを間隙40に均一に流すことができる。その結果、プラズマを間隙40に均一に発生させることができる。
このように本実施形態のプラズマ処理装置1は、高密度のプラズマを均一に発生しつつ、電極21、22の発熱を抑えることができるので、処理効率が高く、安全性に優れるものである。
なお、プラズマ処理装置1を、例えば、チャンバ内に設置してプラズマ処理を行えば、閉空間が形成されるので、後述する第2実施形態で説明する間隙40の側端部403が誘電体部4で覆われているプラズマ処理装置1と同様の効果を奏する。
電極21には電圧が印加されるので、電極21は、電気的接続をとるために導線71を介して電源72に接続されている。
電極21の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、銅、アルミニウム、鉄、銀等の金属単体、ステンレス鋼、真鍮、アルミニウム合金等の各種合金、金属間化合物、各種炭素材料等が挙げられる。
電極21のX方向と直交する方向の幅(以下、「電極21の幅」という。)は、ワーク10のX方向と直交する方向の幅(以下、「ワーク10の幅」という。)をカバーするような大きさに設定されている。例えば、電極21の幅がワーク10の幅の1.05〜3.0倍程度とすることができる。これにより、ワーク10をX方向に移動するだけでワーク10の全面を処理することができるので、ワーク10の処理効率が高い。
なお、電極21の厚さ方向(ワーク10の相対的移動方向)の幅は、特に限定されない。
電極22は、その各部の寸法、形状について、前記電極21のものと同様である。また、その作用、効果も同様である。
電極21と電極22との間に形成された間隙40の上端部401には、ガス供給手段8から供給される処理ガスを間隙40に導入する処理ガス導入口6が設けられている。
また、間隙40の下端部402には、ワーク10の被処理面101に向けてプラズマを噴出するプラズマ噴出部5がワークに望むように設けられている。すなわち、誘電体部4の下板42にプラズマ噴出部5が設けられている。このように下板42にプラズマ噴出部が設けられていることにより、第1の電極(1対の電極21、22)と第2の電極との間において、電極である金属等が露出しないため、電界を均一に発生させ、グローライクな放電を得ることができる。
前述したように電極21と電極22とは、間隙40を介して略平行に対向して配置された平板状の電極、いわゆる平行平板型の電極である。そのため、電極21、22の幅を適宜変更することで、あらゆる大きさのワーク10をプラズマ処理することができる。
なお、電極21と電極22との離間距離(図1中、Lで示す長さ)は、電源回路7の出力や、ワーク10に施すプラズマ処理の種類等を考慮して適宜設定される。常圧でプラズマ処理する場合、インピーダンス、ガス流量、ガス放電寿命等より0.5〜50mmであるのがより好ましい。これにより、必要かつ十分な量のプラズマを発生できるので、高い処理効率でプラズマ処理をすることができる。
電極21と電極22との離間距離Lが前記下限値よりも小さ過ぎると、間隙40における処理ガスの流れの抵抗が増し、処理ガスの供給量が低下するおそれがある。一方、電極21と電極22との離間距離Lが前記上限値よりも大き過ぎると、電界強度が低下するおそれがある。いずれの場合も、プラズマ処理の効率が低下することとなる。
また、誘電体部4の下板42は、ワーク10から所定距離(図1中、Lで示す長さ)だけ離れた位置に配置される。かかる距離Lは、電源回路7の出力や、ワーク10に施すプラズマ処理の種類等を考慮して適宜設定される。常圧でプラズマ処理する場合、インピーダンス、ガス流量、ガス放電寿命、ガス圧力等より0.1〜10mmであるのがより好ましい。これにより、アーク放電を起こすことなく、プラズマ発生領域30に電界を確実に発生させることができる。
なお、プラズマ処理装置1は、距離Lの長さを変える可変手段(図示しない)を有していてもよい。この可変手段は、例えば、第1の電極2または第2の電極3をz軸方向に移動することができる。これにより、距離Lを自由に設定することができるので、処理レートを所望のレートに変更することができる。このように、可変手段を有するプラズマ処理装置1は、プラズマ処理の種類やワーク10の種類に応じた処理をすることができる。
第2の電極3は、接地電極としての機能を有する電極であり、導線71を介して直接接地されている。第2の電極3はワーク設置部100としての機能も有するため、第2の電極3の上面(ワーク設置部100)に、ワーク10が接触して設置されている。
なお、第2の電極3の形状、構成材料は、第1の電極2と同様に、特に限定されない。
電源回路7は、第1の電極2と第2の電極3との間に電圧を印加する高周波電源72と、第2の電極3と高周波電源72と第1の電極2とを導通する導線71とを備えている。そして、図示されていないが、供給する電力に対する整合回路(インピーダンスマッチング回路)や、高周波電源72の周波数を変える周波数調整手段(回路)や、高周波電源72の印加電圧の最大値(振幅)を変える電圧調整手段(回路)などが必要に応じて設置されている。これにより、ワーク10に対するプラズマ処理の処理条件を適宜調整することができる。
第1の電極2の1対の電極21、22は、それぞれ導線(ケーブル)71を介して、高周波電源(電源部)72が接続されている。
また、第2の電極3に、導線71を介して、高周波電源72が接続されており、これにより、電源回路7が構成されている。この電源回路7は、その一部、すなわち、第2の電極3側の導線71がアース(接地)されている。
ワーク10にプラズマ処理を施すときは、高周波電源72が作動して第1の電極2と第2の電極3との間に電圧が印加される。このとき、第1の電極2の1対の電極21、22は同電位となり、第2の電極3との作用により、電界が発生する。すなわち、間隙40と、第1の電極2と第2の電極3との間の空間(以下、「プラズマ発生領域30」という。)とには、電界が発生し、ガスが供給されると、放電が生じて、プラズマが発生する。
このように、1対の電極21、22と第2の電極との間に電圧を印加することにより、放電により生じた電子が対向面213、223に衝突を繰り返すので、間隙40での電界強度が強くなり、プラズマ密度が大きくなる。
また、高周波電源72の周波数は、特に限定されないが、1〜100MHzであるのが好ましく、10〜70MHzであるのがより好ましい。
ガス供給手段8は、プラズマ生成のための処理ガスを間隙40に供給する。このガス供給手段8は、所定のガスを充填し供給するガスボンベ(ガス供給源)81と、ガスボンベ81から供給されるガスの流量を調整するマスフローコントローラ(流量調整手段)82と、マスフローコントローラ82より下流端側で、処理ガス管84内の流路を開閉するバルブ(流路開閉手段)83と、処理ガス導入口6に接続された処理ガス管84とを有している。
このようなガス供給手段8は、ガスボンベ81から所定のガスを送り出し、マスフローコントローラ82で流量を調節する。そして、処理ガス管84を通って、処理ガス導入口6から、間隙40に処理ガスを導入(供給)する。
処理ガス管84は、バルブ83の下流端で複数に分岐して処理ガス導入口6と連通していてもよい。本実施形態では、処理ガス管84は、バルブ83の下流端で3方向に分岐している。そして、3方向に分岐した処理ガス管84a、b、cのそれぞれの末端は、間隙40の長手方向に沿って等間隔に配置され、処理ガス導入口6と連通している。このように、処理ガス84a、b、cが処理ガス導入口6に連通していることにより、間隙40の長手方向(幅方向)に処理ガスを均一に流すことができるので、間隙40でプラズマを均一に発生させることができる。その結果、ワーク10の幅方向に均一にプラズマ処理を施すことができる。
このようなプラズマ処理に用いるガス(処理ガス)には、処理目的により種々のガスを用いることができる。本実施形態のようにエッチング処理やダイシング処理を目的とする場合には、例えば、CF、C、C、C、CClF、SF等のフッ素原子含有化合物ガスやCl、BCl、CCl等の塩素原子含有化合物ガスなどの各種ハロゲン系ガスが用いられる。
また、その他の処理目的の場合には、目的別に以下示すような処理ガスを用いることができる。
(a)ワーク10の被処理面101を加熱することを目的とする場合、例えば、N、O等が用いられる。
(b)ワーク10の被処理面101を撥水(撥液)化することを目的とする場合、例えば、前記フッ素原子含有化合物ガスが用いられる。
(c)ワーク10の被処理面101を親水(親液)化することを目的とする場合、例えば、O、HO、空気等の酸素原子含有化合物、N、NH等の窒素原子含有化合物、SO、SO等の硫黄原子含有化合物が用いられる。これにより、ワーク10の被処理面101にカルボニル基、水酸基、アミノ基等の親水性官能基を形成させて表面エネルギーを高くし、親水性表面を得ることができる。また、アクリル酸、メタクリル酸等の親水基を有する重合性モノマーを用いて親水性重合膜を堆積(形成)することもできる。
(d)ワーク10の被処理面101に電気的、光学的機能を付加することを目的とする場合、SiO、TiO、SnO等の金属酸化物薄膜をワーク10の被処理面101に形成するために、Si、Ti、Sn等の金属の金属−水素化合物、金属−ハロゲン化合物、金属アルコキシド(有機金属化合物)等が用いられる。
(e)レジスト処理や有機物汚染の除去を目的とする場合は、例えば酸素系ガスが用いられる。
このような処理ガスは、一般に、上記処理ガスとキャリアガスとからなる混合ガス(以下、単に「ガス」とも言う)が用いられる。なお、「キャリアガス」とは、放電開始と放電維持のために導入するガスのことを言う。
この場合、ガスボンベ81内に、混合ガス(処理ガス+キャリアガス)を充填して用いてもよいし、処理ガスとキャリアガスとがそれぞれ別のガスボンベに充填され、処理ガス管84の途中でこれらが所定の混合比で混合されるような構成であってもよい。
キャリアガスとしては、He、Ne、Ar、Xe等の希ガスを用いることができる。これらは、単独でも2種以上を混合した形態でも用いることができる。
混合ガス中における処理ガスの占める割合(混合比)は、処理の目的によっても若干異なり、特に限定されないが、例えば、混合ガス中の処理ガスの割合が1〜10%であるのが好ましく、5〜10%であるのがより好ましい。これにより、効率的に放電が開始され、処理ガスにより、所望のプラズマ処理をすることができる。
供給するガスの流量は、ガスの種類、処理の目的、処理の程度等に応じて適宜決定される。通常は、30SCCM〜50SLM程度であるのが好ましい。これにより、効率的に間隙40にプラズマが発生するため、所望の加工をすることができる。
ワーク10としては、特に限定されないが、本実施形態では、例えば、電子デバイスの基板として用いられるものが挙げられる。具体的な材料としては、例えば、石英ガラス、無アルカリガラス、水晶等の各種ガラス、アルミナ、シリカ、チタニア等の各種セラミックス、シリコン、ガリウム−ヒ素等の各種半導体材料、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド、液晶ポリマー、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等各種プラスチック(樹脂材料)のような誘電体材料で構成されたものが挙げられる。これらのうち、特に、水晶や石英などの各種ガラスや各種半導体材料に好ましく用いられる。
ワーク10の形状としては、板状のもの、長尺な層状のものなどが挙げられる。
[2]処理装置の動作方法
次に、処理装置1の作用(動作)を説明する。
ワーク10を第2の電極3の中央(ワーク設置部100)に設置する。電源回路7を作動させるとともに、バルブ83を開く。そして、マスフローコントローラ82によりガスの流量を調整し、ガスボンベ81からガスを送り出す。これにより、ガスボンベ81から送り出されたガスは、処理ガス管84内を流れ、処理ガス導入口6から間隙40に導入される。間隙40に導入された処理ガスは、下方へと流れ、処理ガス噴出部5に到達する。
一方、電源回路7の作動により、間隙40(1対の電極21、22間)、第1の電極2と第2の電極3との間に高周波電圧が印加され、間隙40とプラズマ発生領域30とに電界が発生する。
このとき、間隙40で発生した電子は、電極21と電極22との対向面213、223に繰り返し衝突し、電離効率が促進される。その結果、間隙40において、電子密度が大きくなり、電界強度が大きくなる。
なお、プラズマ発生領域30は、プラズマ噴出部5の直下の領域から離間するほど、処理ガスの密度が小さくなるので、グロー放電状態となっている。
間隙40に流入した処理ガスは、放電によって活性化され、プラズマが発生する。
そして、発生したプラズマ(活性化されたガス)が、プラズマ噴出部5から噴出されて、ワーク10の被処理面101に接触する。そして、その被処理面101に加工(エッチングやダイシング等)が施される。
このようなプラズマ処理装置1では、図1に示すように、移動手段(図示しない)によって、ワーク10を第2の電極3と共にX方向に移動して、ワーク10の被処理面101をプラズマ処理する。
例えば、ワーク10の幅よりも大きい幅の電極21、22を用い、プラズマを発生させた状態で、ワーク10をX方向に移動する。そして、ワーク10の被処理面101の全面を処理してもよい。
移動手段としては、例えば、ローラコンベアやベルトコンベアのようなコンベア、第2の電極3をxyステージに載置した場合、xy方向に動かす各種機構が挙げられる。
以上のような動作により、ワーク10の大きさによらず、ワーク10の被処理面101を効率よく処理することができる。
なお、第2の電極3とともにワーク10を移動する代わりに、第1の電極2と第2の電極3とを固定して、移動手段(図示しない)によって、ワーク10を移動してもよい。
また、第2の電極3とともにワーク10を移動する代わりに、第2の電極3とワーク10とを固定して、移動手段(図示しない)によって、第1の電極2を移動してもよい。
以上説明したプラズマ処理装置1は、水晶振動子加工、センサー基板の穴あけ,溝加工電極形成(太陽電池、フィルタ、積層基板)、プリント基板のスミヤ処理HDD部材のパターン加工などの電子部品の分野、IC樹脂モールドパッケージのバリ取り、デバイスウェハの穴あけ、溝加工セラミックスウェハなどの半導体関連分野、導電膜剥離隔壁形成などのFPD関連分野、その他、酸化絶縁膜の加工、除去、ガラス(石英)などの無歪加工、水晶加工などに適用することができる。また、MEMS等への応用も可能である。また、フォトレズストマスクを用いれば、微細なパターニングも可能である。
<第2実施形態>
図3は、本発明のプラズマ処理装置の第2実施形態の概略構成を示す斜視図である。
以下、第2実施形態のプラズマ処理装置について、前述した第1実施形態との違いを中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
本実施形態のプラズマ処理装置1は、間隙40の側端部403が誘電体部4で覆われている点以外は第1実施形態と同様である。
本実施形態のプラズマ処理装置1の誘電体部4は、本体41と、下板42と、間隙40の側端部403を覆う側板43とを有している。
このように側板43を有していることにより、間隙40が閉空間を形成するので、処理ガスをプラズマ発生に効率よく使用することができる。
また側板43を有していることにより、電極21と電極22との対向面213、223に繰り返し衝突する電子が間隙40内に留まるので、間隙40の電子密度がより増大する。その結果、間隙40での電界強度がより増大し、より高密度のプラズマが発生する。
以上のように、本実施形態のプラズマ処理装置1は、より高密度なプラズマを発生することができるので、ワーク10の被処理面101を短時間に効率よく処理することができる。
<第3実施形態>
図4は、本発明のプラズマ処理装置の第3実施形態の概略構成を示す斜視図、図5は、本発明のプラズマ処理装置の第3実施形態の概略構成を示す縦断面図である。
以下、第3実施形態のプラズマ処理装置について、前述した第2実施形態との違いを中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。
本実施形態のプラズマ処理装置1は、冷却手段50が設けられていること以外は第2実施形態と同様である。
この冷却手段50は、図4に示すように、冷媒を貯留し供給する冷媒タンク501と、冷媒タンク501に接続された冷媒管502と、電極21と電極22とを冷却する冷媒ジャケット503と、冷媒ジャケット503から冷媒を排出する冷媒排出管504と、冷媒を回収する冷媒回収タンク505とを有している。
冷媒タンク501に貯留される冷媒は、種々の冷媒を用いることができる。典型的には水が用いられる。また、例えば、代替フロン系冷媒、アンモニアや二酸化炭素などの無機化合物系冷媒、イソブタンなどの有機化合物系冷媒などを用いてもよい。これらの冷媒は、2種以上組み合せて用いてもよい。
冷媒ジャケット503は、図5に示すように、誘電体部4の本体41内で、電極21、22の外面211、221に接して等間隔に設けられている。そして、冷媒ジャケット503は、電極21、22(第1の電極2)を取り巻くように螺旋状に形成されている。
このように冷媒ジャケット503が電極21、22の外面211、221に接して設けられていることにより、冷媒ジャケット503を流れる冷媒と電極21、22とが熱交換を行うので、電極21、22を確実に冷却することができる。
冷媒ジャケット503の一端側は、図4に示すように、誘電体部4の側板43の下端部で、電極21側に開口して設けられている。そして、冷媒ジャケット503の一端側は、冷媒管502と連通している。
一方、冷媒ジャケット503の他端側は、図4に示すように、誘電体部4の側板43の上端部で、電極22側に開口して設けられている。そして、冷媒ジャケット503の他端側は、冷媒排出管504と連通している。
このような冷却手段50を設けることにより、放電により発熱した電極21、22の温度を一定に保つことができるので、プラズマを安定性よく発生することができる。その結果、一定の処理効率でワーク10の被処理面101を処理することができる。
次に、冷却手段50の動作の一例を説明する。
電源回路7を作動する前に、冷媒タンク501から冷媒を冷媒管502に送り出す。冷媒管502に送り出された冷媒は、所定の流量で冷媒ジャケット503内を流れ、冷媒排出管504を通って、冷媒回収タンクに回収される。回収された冷媒は、再び冷媒として使用することができる。
このとき、冷媒が冷媒ジャケット503を流れる間に、1対の電極21、22と熱交換を行って、1対の電極21、22を冷却する。
以上、本発明のプラズマ処理装置について、図示の各実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。プラズマ処理装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
また、本発明のプラズマ処理装置は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。例えば、第1実施形態と第3実施形態との構成を組み合わせたもの等であってもよい。
また、第2の電極を移動する移動手段は、特に限定されず、例えば、各種移動機構が挙げられる。
高周波電源は、同電位であれば直流電圧であってもよい。
本発明のプラズマ処理装置の第1実施形態の概略構成を示す斜視図である。 本発明のプラズマ処理装置の第1実施形態の概略構成を示す縦断面図である。 本発明のプラズマ処理装置の第2実施形態の概略構成を示す斜視図である。 本発明のプラズマ処理装置の第3実施形態の概略構成を示す斜視図である。 本発明のプラズマ処理装置の第3実施形態の概略構成を示す縦断面図である。
符号の説明
1……プラズマ処理装置 2……第1の電極 21、22……電極(1対の電極) 211……外面 212……下端面 213……対向面 221……外面 223……対向面 3……第2の電極 4……誘電体部 41……本体 42……下板 43……側板 5……処理ガス噴出部 6……処理ガス導入口 7……電源回路 71……導線 72……電源 8……ガス供給手段 81……ガスボンベ 82……マスフローコントローラ 83……バルブ 84、84a、84b、84c……処理ガス管 10……ワーク 101……被処理面 30……プラズマ発生領域 40……間隙 401……上端部 402……下端部 403……側端部 50……冷却手段 501……冷媒タンク 502……冷媒管 503……冷媒ジャケット 504……冷媒排出管 505……冷媒回収タンク 100……ワーク設置部 L……1対の電極の離間距離 L……下板とワークとの距離 X……ワークの移動方向

Claims (9)

  1. 間隙を介して略平行に対向して配置された1対の平板状の第1の電極と、
    ワークを設置するワーク設置部と、
    前記ワーク設置部を介して前記第1の電極の下端部と対向配置された第2の電極と、
    前記第1の電極と前記第2の電極との間に電圧を印加する電源を備えた電源回路と、
    前記間隙にプラズマ生成のための処理ガスを供給するガス供給手段とを備え、
    前記間隙に前記処理ガスを供給しつつ、前記第1の電極と前記第2の電極との間に電圧を印加することにより、前記処理ガスを活性化してプラズマを生成させ、前記間隙の下端部に形成されたプラズマ噴出部より該プラズマを噴出して、前記ワークの被処理面を処理するよう構成されているプラズマ処理装置。
  2. 前記第1の電極に対し前記ワークを前記間隙の厚さ方向に相対的に移動して、前記ワークの前記被処理面を処理する請求項1に記載のプラズマ処理装置。
  3. 前記第1の電極は、前記ワークの幅を包含する領域に配置されている請求項2に記載のプラズマ処理装置。
  4. 前記第1の電極における1対の電極は、前記電源回路により同電位にされている請求項1ないし3のいずれかに記載のプラズマ処理装置。
  5. 前記第1の電極を冷却する冷却手段を備える請求項1ないし4のいずれかに記載のプラズマ処理装置。
  6. 前記第1の電極は、少なくとも、前記第2の電極と対向する面側が誘電体材料で構成された誘電体部で覆われている請求項1ないし5のいずれかに記載のプラズマ処理装置。
  7. 前記処理ガス噴出部は、誘電体部に形成されている請求項6に記載のプラズマ処理装置。
  8. 前記誘電体部は、前記ワークの相対的移動方向の前方および/または後方に突出している請求項6または7に記載のプラズマ処理装置。
  9. 前記間隙は、その測端部が前記誘電体部で覆われている請求項6ないし8のいずれかに記載のプラズマ処理装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016072258A (ja) * 2014-09-26 2016-05-09 株式会社Screenホールディングス エッチング装置

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