JP2008146447A - フォールトトレラントコンピュータ - Google Patents

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Abstract

【課題】ソフトウェアの不具合が発生したときに原因を探ることが容易なフォールトトレラントコンピュータを提供する。
【解決手段】フォールトトレラントコンピュータは、入力信号に応答してコンピュータプログラムを実行する第1ユニットと、入力信号に応答してコンピュータプログラムを第1ユニットと同一の実行環境で実行する第2ユニットと、入力信号が第2ユニットに入力するタイミングに対する入力信号が第1ユニットに入力するタイミングの遅延時間を制御する第1遅延バッファと、同期指定信号を入力したとき遅延時間をゼロに設定し、遅延指定信号を入力したとき遅延時間をゼロよりも大きく設定する遅延時間設定部とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、コンピュータのフォールトトレラント性を向上する技術に関する。
信頼性の高いコンピュータを提供するためにフォールトトレラントコンピュータが開発されている。フォールトトレラント性を高める手段として、同じ機能を有する複数のユニットに同じ動作をさせる多重化技術が知られている。多重化技術によれば、複数のユニットのうちのいずれかにトラブルが発生した場合に、他のユニットが正常に動作することにより、システムが中断なしで運用される。
特許文献1には、プログラムが稼動する現用系と、そのプログラムと同じプログラムが現用系と同じ実行環境で稼動する冗長系と、現用系に障害が発生したときの冗長系の状態を保存する状態保存手段とを備えることを特徴とする計算機システムが開示されている。
特開2005−165599号公報
多重化されたユニットを備えたフォールトトレラントコンピュータは、ハードウェアの故障に対する耐性が高い。しかし、ソフトウェアの不具合による誤動作によってパニックが発生した場合、運用が停止する可能性がある。
ソフトウェアの不具合によって運用が停止した場合、ダンプを採取することによって原因の調査が行われる。しかし、ソフトウェアの誤動作が発生した時点からしばらく経ってから処理の矛盾によりパニックが発生した場合、原因を調査するために有益な情報が残らない可能性がある。
本発明の目的は、ソフトウェアの不具合に対するフォールトトレラント性の高いコンピュータを提供することである。
本発明の他の目的は、ソフトウェアの不具合が発生したときに原因を探ることが容易なコンピュータを提供することである。
以下に、[発明を実施するための最良の形態]で使用される番号を括弧付きで用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明を実施するための最良の形態]との対応関係を明らかにするために付加されたものである。ただし、それらの番号を、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
本発明によるフォールトトレラントコンピュータは、入力信号に応答してコンピュータプログラムを実行する第1ユニット(1)と、入力信号に応答してコンピュータプログラムを第1ユニット(1)と同一の実行環境で実行する第2ユニット(2)と、入力信号が第2ユニット(2)に入力するタイミングに対する入力信号が第1ユニット(1)に入力するタイミングの遅延時間を制御する第1遅延バッファ(10)と、同期指定信号を入力したとき遅延時間をゼロに設定し、遅延指定信号を入力したとき遅延時間をゼロよりも大きく設定する遅延時間設定部(12)とを備える。
本発明によるフォールトトレラントコンピュータは、第2ユニット(2)に障害が発生したとき、第1ユニット(1)の情報を取得する遅延情報取得部(6)を備える。
本発明によるフォールトトレラントコンピュータは、第2ユニット(2)の出力を中継する第2遅延バッファ(9)と、第1ユニット(1)の出力と第2遅延バッファ(9)によって中継された第2ユニット(2)の出力とを比較する比較部(8)とを備える。遅延時間設定部(12)は、第2遅延バッファ(9)によって与えられる第2遅延時間を第1遅延時間と同じに設定する。
本発明によるフォールトトレラントコンピュータは、第2ユニット(2)と同期して動作する冗長系である第3ユニット(3)を備える。
本発明によるフォールトトレラントコンピュータは、第2ユニット(2)と第3ユニット(3)との両方により読み出し及び書き込みが可能なメモリ領域を備える共有メモリ(5)と、第1ユニット(1)により読み出し及び書き込みが可能であり第2ユニット(2)及び第3ユニット(3)からのアクセスが不可能な専用メモリ(4)とを備える。
本発明によれば、ソフトウェアの不具合に対するフォールトトレラント性の高いコンピュータが提供される。
更に本発明によれば、ソフトウェアの不具合が発生したときに原因を探ることが容易なコンピュータが提供される。
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための最良の形態について説明する。図1は、フォールトトレラントコンピュータの構成を示す。フォールトトレラントコンピュータは、第1ユニット1、第2ユニット2及び第3ユニット3を備える。第1ユニット1、第2ユニット2及び第3ユニット3は、同一の実行環境でプログラムを実行することが可能であり、互いに冗長系として使用することが可能なユニットである。正常に動作している時には、第1ユニット、第2ユニット2及び第3ユニットが同一のクロックパルスによって作動し同一の入力信号が入力した場合は、それら3つのユニットは同一のタイミングで同一の出力信号を出力する。第1ユニット1、第2ユニット2及び第3ユニット3としては、互いに同一の仕様で製造されたコンピュータが好適に用いられる。
フォールトトレラントコンピュータは、システムバスから入力信号inを入力する。入力信号inは、第2ユニット入力信号2in、第3ユニット入力信号3in及び遅延バッファ入力信号10inとして分配される。第2ユニット2は第2ユニット入力信号2inを入力する。第3ユニット3は第3ユニット入力信号3inを入力する。
第2ユニット2は、第2ユニット入力信号2inによって伝送されるプログラムを実行し、実行の結果である第2ユニット出力信号2outを出力する。第3ユニット3は、第3ユニット入力信号3inによって伝送されるプログラムを第2ユニット2と同じタイミングで開始して実行し、実行の結果である第3ユニット出力信号3outを出力する。第2ユニット2と第3ユニット3とは、プログラムの処理中に記憶装置に対してデータの読み込み書き込みの必要がある場合は、同一の共有メモリ5の同一の領域に対して読み込み書き込みを行う。通常の動作時には第2ユニット2と第3ユニット3の動作は同一であるため、データを共有メモリ5に二重に書き込む必要はない。
比較回路7は第2ユニット出力信号2outと第3ユニット出力信号3outとを入力して比較する。比較回路7は、第2ユニット出力信号2outと第3ユニット出力信号3outとが同一の出力信号であるときは、その出力信号を出力信号outとしてシステムバスと遅延バッファ9とに出力する。比較回路7は、第2ユニット出力信号2outと第3ユニット出力信号3outとが異なるときは、異常を知らせる異常信号を制御回路6に送信する。
遅延バッファ10は、遅延バッファ入力信号10inを中継して第1ユニット1に送信する。その際、遅延バッファ10から出力される第1ユニット入力信号1inは、遅延バッファ入力信号10inに対して所定の遅延時間、遅延する。遅延時間設定部12は、その遅延時間を遅延時間設定部入力信号12inに応答して設定する。
第1ユニット1は、第1ユニット入力信号1inを入力する。第1ユニット1は、第1ユニット入力信号1inによって伝送されるプログラムを実行し、実行の結果である第1ユニット出力信号1outを出力する。第1ユニット1は、プログラムの処理中に記憶装置に対してデータの読み込み書き込みの必要がある場合は、専用メモリ4に対して読み込み書き込みを行う。専用メモリ4は共有メモリ5とは独立しており、第2ユニット2及び第3ユニット3からアクセスすることはできない。
比較回路8は、比較回路7の出力信号outを中継して比較回路8に入力する。その際、遅延バッファ9から出力される遅延バッファ出力信号9outは、出力信号outに対して所定の遅延時間、遅延する。遅延時間設定部12は、その遅延時間を遅延時間設定部入力信号12inに応答して設定する。遅延バッファ9に設定される遅延時間と遅延バッファ10に設定される遅延時間とは同一である。
比較回路8は、遅延バッファ出力信号9outと第1ユニット出力信号1outとを入力して比較する。比較回路8は、遅延バッファ出力信号9outと第1ユニット出力信号1outとが同一であるときは、処理が正常に行われていると認識する。比較回路7は、第2ユニット出力信号2outと第3ユニット出力信号3outとが異なるときは、異常を知らせる異常信号を制御回路6に送信する。
第2ユニット2は、ソフトウェアの不具合による誤実行でパニック等が発生すると、異常を知らせる異常信号を制御回路6に送信する。第3ユニット3は、ソフトウェアの不具合による誤実行でパニック等が発生すると、異常を知らせる異常信号を制御回路6に送信する。制御回路6は、第2ユニット2、第3ユニット3、比較回路7又は比較回路8から異常信号を受信すると、第1ユニット1によるプログラムの実行を停止し、第1ユニット1に蓄積されている一時データと専用メモリ4に記録されているデータとを取得し保持する。
遅延バッファ9と遅延バッファ10とはトレーサ11に接続されている。トレーサ11は、遅延バッファ9が中継する出力信号outの履歴と遅延バッファ10が中継する遅延バッファ入力信号10inの履歴とを所定の期間、保存する。制御回路6は、異常信号を受信すると、その時点でトレーサ11が記録している情報を保持するようにトレーサ11を制御する。
以上の構成を備えたフォールトトレラントコンピュータは次のように動作する。フォールトトレラントコンピュータは、システムバスからプログラムを伝送する入力信号inを入力する。第2ユニット2と第3ユニット3とはそのプログラムを同じタイミングで実行する。第2ユニット2と第3ユニット3とは同時に同じ動作をしているため、それぞれがシステムバスに入出力するデータは通常は同じである。比較回路7は、第2ユニット出力信号2outと第3ユニット出力信号3outとを比較することにより、両ユニットが正しく動作していることを確認する。
第1ユニット1は、そのプログラムを第2ユニット2及び第3ユニット3に対して所定の遅延時間遅れて実行する。従って、第1ユニット1がシステムバスにデータを入出力するタイミングは第2ユニット2及び第3ユニット3に対して遅い。そのため、第1ユニット1がシステムバスから入力するデータは、遅延バッファ10で遅延され、第1ユニット1の動作タイミングに合うように調整される。
第1ユニット出力信号1outは、第2ユニット2及び第3ユニット3の出力データを遅延バッファ9で第1ユニット1の遅延時間だけ保留した遅延バッファ出力信号9outと比較される。この比較により、第1ユニット1が正常に動作していることが確認される。
図2は、図1に示されたものと同じフォールトトレラントコンピュータにおいて、ユニット2又は3においてソフトウェアの不具合による誤実行でパニック等が発生した場合を示す。パニック等が発生すると、異常信号が制御回路6に通知される(以下に説明される動作は、比較回路7、8が異常信号を生成した場合も同じである)。異常信号を受信した制御回路6は、第1ユニット1に対して動作停止の指示を出し、第1ユニット1が停止した時点での第1ユニット1と専用メモリ4の情報を採取する。第1ユニット1は、第2ユニット2及び第3ユニット3よりも遅れて動作しているため、パニック等が発生した時点よりも過去の処理を実行している。そのため第1ユニット1は、第2ユニット2及び第3ユニット3では既に変更されてしまったデータや状態を残していることが期待される。専用メモリ4は第1ユニット1のみからアクセスできるため、第2ユニット2又は第3ユニット3の動作の異常によってデータが変更されることがない。
パニック等の原因調査において、第2ユニット2及び第3ユニット3から採取された情報では、誤実行から時間が経ち原因調査に必要なデータや状態が変更されてしまっているために解析が困難な場合がある。こうした場合でも、第1ユニット1から採取されたデータや状態は誤実行より前の時点である可能性がある。その場合、採取されたデータによって誤実行した状況をトレースすることができる。
更に、トレーサ11は第1ユニット1とシステムバス間のデータの入出力データを保存している。この入出力データにより、制御回路6が第1ユニット1を停止させた時点から、第2ユニット2及び第3ユニット3でパニック等が発生した時点までの動作を遡って再現することができる。この再現により、パニック等の原因を探ることができる。
以上の様に、本実施の形態におけるフォールトトレラントコンピュータによれば、通常時は第2ユニット2と第3ユニット3が冗長であるためハードウェア的な故障に対してフォールトトレランス性能の高いコンピュータが提供される。且つソフトウェアの誤実行によるパニック等が発生した場合、ソフトウェアの誤実行からしばらく経って処理の矛盾が検出されたためにパニック等の原因を探るために有益な情報が変更されていた場合でも、遅れて同じ動作をするユニットによって変更される前の情報を採取することができるため、原因究明が容易である。
こうしたフォールトトレラントコンピュータは、次のように遅延時間の切り替えを行って使用することができる。通常の動作時、遅延時間設定部12は、遅延バッファ9、10の遅延時間をゼロに設定する。すると、第1ユニット1、第2ユニット2及び第3ユニット3は同時に動作する。このときフォールトトレラントコンピュータは複数の冗長系を備え、ハードウェア的な故障に対して強靭なコンピュータとして動作する。このコンピュータにソフトウェア的な誤実行によってパニック等が発生する可能性が認められる場合、所定の遅延時間を指定する遅延時間設定部入力信号12inが送信され、遅延時間設定部12は遅延バッファ9、10に0でない遅延時間を設定する。この状態でプログラムを実行させてパニック等が発生すると、第1ユニット1及び専用メモリ4からパニック発生前の情報が取得される。この情報から、パニック等の原因が探られる。
図1に示されたフォールトトレラントコンピュータから第3ユニット3が省略されたコンピュータにおいても、上記の遅延時間の切り替えは有効である。こうしたコンピュータは、遅延時間が0に設定された場合は第1ユニット1と第2ユニット2とが冗長なコンピュータとして動作する。こうしたコンピュータはハードウェア的な故障に対してロバストである。遅延時間が0より大きい値に設定された場合は、ソフトウェア的な不具合の原因究明に効果的である。
図1は、フォールトトレラントコンピュータの構成を示す。 図2は、フォールトトレラントコンピュータにパニック等が発生した場合を示す。
符号の説明
1in…第1ユニット入力信号
1out…第1ユニット出力信号
2in…第2ユニット入力信号
2out…第2ユニット出力信号
3in…第3ユニット入力信号
3out…第3ユニット出力信号
9out…遅延バッファ出力信号
10in…遅延バッファ入力信号
12…遅延時間設定部
12in…遅延時間設定部入力信号
in…入力信号
out…出力信号

Claims (5)

  1. 入力信号に応答してコンピュータプログラムを実行する第1ユニットと、
    前記入力信号に応答して前記コンピュータプログラムを前記第1ユニットと同一の実行環境で実行する第2ユニットと、
    前記入力信号が前記第2ユニットに入力するタイミングに対する前記入力信号が前記第1ユニットに入力するタイミングの遅延時間を制御する第1遅延バッファと、
    同期指定信号を入力したとき前記遅延時間をゼロに設定し、遅延指定信号を入力したとき前記遅延時間をゼロよりも大きく設定する遅延時間設定部
    とを具備する
    フォールトトレラントコンピュータ。
  2. 請求項1に記載されたフォールトトレラントコンピュータであって、
    更に、前記第2ユニットに障害が発生したとき、前記第1ユニットの情報を取得する遅延情報取得部
    を具備する
    フォールトトレラントコンピュータ。
  3. 請求項1乃至2のいずれかに記載されたフォールトトレラントコンピュータであって、
    更に、前記第2ユニットの出力を中継する第2遅延バッファと、
    前記第1ユニットの出力と前記第2遅延バッファによって中継された前記第2ユニットの出力とを比較する比較部
    とを具備し、
    前記遅延時間設定部は、前記第2遅延バッファによって与えられる第2遅延時間を前記第1遅延時間と同じに設定する
    フォールトトレラントコンピュータ。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載されたフォールトトレラントコンピュータであって、
    更に、前記第2ユニットと同期して動作する冗長系である第3ユニット
    を具備する
    フォールトトレラントコンピュータ。
  5. 請求項4に記載されたフォールトトレラントコンピュータであって、
    更に、前記第2ユニットと前記第3ユニットとの両方により読み出し及び書き込みが可能なメモリ領域を備える共有メモリと、
    前記第1ユニットにより読み出し及び書き込みが可能であり前記第2ユニット及び前記第3ユニットからのアクセスが不可能な専用メモリ
    とを具備する
    フォールトトレラントコンピュータ。
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