JP2008146249A - プローブデータ解析システム - Google Patents

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Abstract

【課題】WEBダイアリを用いずに集めた、移動端末の測位点データを要素としたプローブデータを利用して自動的に解析する際に、トリップエンドをより正確に抽出する、プローブデータ解析システムを提供する。
【解決手段】一定時間間隔で測位された移動端末の測位点データを要素としたプローブデータ集合の中から、連続する2つの測位点データ間を一つの単位区間として識別する区間識別手段と、単位区間における移動端末の速度を求める速度算出手段と、移動端末の速度が徒歩に対応する評価を含むいずれの速度規範に該当するかを単位区間ごとに評価付けする速度評価手段と、同一評価の単位区間が連続する範囲を判別するショートトリップ抽出手段と、徒歩に対応する評価の連続区間を構成する測位点データから測位点集中域を判別する滞在型ショートトリップ識別手段と、測位点集中域の始点及び終点となる測位点データを抽出するトリップエンド抽出手段とを備えたプローブデータ解析システムを用いる。
【選択図】図1

Description

この発明は、交通調査、個人動向などを分析するためのデータを、移動端末を利用して収集し、その収集したデータに基づいて自動的に移動目的地や移動手段などを解析するためのプローブデータ解析システムに関する。
従来、交通インフラの整備にあたって参考にする交通調査は、個人個人が記入する紙ベースのアンケート調査や、個人を識別できない各地点の通過人数の計測が主として実施されていた。これらの調査は、マクロ的で情報量が不足しているために、交通行動に影響を与える要因や、改善の必要要素を十分に把握することができなかった。しかし、アンケート調査でより精密な情報を得ようとしても、結局は被験者の記憶に頼ることになり、データの精度が低下してしまっていた。
近年、全地球測位システム(Global Positioning System、以下、「GPS」と略す。)を利用した測位機能が搭載された携帯電話(以下、単に「GPS携帯電話」と称する)が普及しており、個人単位でも位置情報を特定できる環境が整ってきた。
また、PHS方式の携帯電話では、交信する基地局の位置から、ある程度の位置情報の特定が可能になっている。
このような位置情報特定手段を利用することにより、時刻と位置とを含むデータであるプローブデータの自動的な取得及び解析の実現が検討されている。
例えば、被験者が所持するGPS携帯電話端末や、調査対象である車両等に搭載されたGPS受信機が、これらに予め組み込まれたプログラムにより、一定時間間隔で位置情報とその測位時刻とを含む測位点データが自動的に取得し、その取得した測位点データを、所定時になると、自動的に公衆交換電話網(Public Switched Telephone Network、以下、「PSTN」と略記する。)、インターネット、車両等に搭載された移動体通信機に対応する移動体通信網等の通信網を介して解析センターに送信する機能を備えている(例えば、特許文献1、非特許文献1)。
例えば、図16に示すように、非特許文献1に開示されたシステムは、WEBダイアリシステムを備え、被験者は、行動後に、パソコンやGPS携帯電話等により、その行動の履歴であるWEBダイアリデータをサーバに送信するようになっている。
図16に示すシステムは、WEBダイアリデータと、自動送信して収集された測位点データから移動モードを判定した結果とを組み合わせ、地理情報システム(Geographic Information System、以下、「GIS」と略記する。)を参照するなどして、被験者の行動を解析することができる。このため、被験者の記憶に頼ることなく正確な時刻と位置情報による移動データを集めることができ、一方でその被験者が直接申告する行動目的地(プローブデータ解析の分野では「トリップエンド」と称される)の内容と比較して、それぞれの位置における行動内容が把握でき、それぞれの移動データの移動目的や移動手段を含めた精密な情報を自動的に解析できるようになった。
これは、被験者の記憶のみに頼ったアンケートと違い、位置情報を自動送信するため、従来のアンケートによるものよりも得られるデータの精度が高い。また、従来のアンケートに比べて最終段階でデータを登録する作業を省くことができるため、解析を行う調査の規模を従来よりも大きく広げることができた。
図16のようなシステムの他にも、GPS携帯電話を直接操作して位置情報を送信して、同様にデータを収集するシステムが非特許文献2に記載されている。さらに、GPSとPHSとを併用して交通行動データを取得するシステムが、非特許文献3に記載されている。
しかし、GPSやPHSを利用して位置情報を取得するようにしても、その移動手段、移動目的ごとの内容をWEBダイアリにより入力するのは、紙のアンケートよりは楽なものの、やはり被験者にかかる負担が大きく、大規模化するには調査コストの増加が避けられず、現実には調査可能な被験者の数が限られてしまう。
また、WEBダイアリを用いて情報を入力するには、被験者がある程度パソコンを使える人でなければならないため、被験者のサンプルが偏りやすいという問題点もある。
これに対して、特許文献1のシステムによれば、GPS携帯端末から自動的に送信させたデータにより、自動的に移動手段を判別し、交通量を算出することができる。特許文献1のシステムは、人が移動手段を変えるごとに移動速度が変化することに着目し、移動速度の変化から、そのときどきにおいて人が用いている移動手段を解析するようにしたものである。しかしながら、特許文献1のシステムは、移動経路と移動手段を解析することにより交通量を調査することが目的であり、交通の要衝となる地点、目的地や移動の傾向を自動的に解析し得るものではない。
また、特許文献1のシステムの応用として、非特許文献4に記載のように、測位点データの集合の中から、測定対象が停止又はそれに準じる状態となるトリップエンドをクラスタリングにより抽出し、時系列で連続するトリップエンド間を一トリップとして識別し、そのトリップごとに移動手段を推定し、さらに、個人単位でトリップエンドが集中する地域の中心(アクティビティノード)を求める発明が提示されている。上記トリップエンドは測定対象の行動目的地の中心とみなした地点であり、それが集中するアクティビティノードは個人が繰り返し訪れる目的地の中心とみなした地点である。このアクティビティノードの解析により、測定対象の移動の傾向がわかる。
特開2005−115557号公報
井坪慎二、羽藤英二、中嶋康博:情報技術の活用による交通行動調査の効率化・高度化に関する研究,土木計画学研究・講演集vol.31(春大会),2005.6 被験者回答フローに着目したプローブパーソン調査システムの有効性 三谷卓摩、羽藤英二:土木計画学研究・講演集,Vol.30,2004. 大森宣暁、室町泰徳、原田昇、太田勝敏:高度情報機器を用いた交通行動データ収集の可能性,都市計画論文集, No.34, pp.169−174 堀口良太,長岡亨,畑成年:GPS携帯電話による大規模プローブ調査のためのトリップ情報抽出手法に関する研究,第33回土木計画学研究発表会(春大会)講演集,CD−ROM,2006年6月.
しかしながら、非特許文献4に記載の発明では、トリップエンドが複数の点の重心点であるため、河の上などの進入不可地域に位置することが避けられない点で改良の余地がある。
さらに、非特許文献4に記載の発明では、停止状態や停止に近い状態を全て一律にトリップエンドと判断して抽出するため、一定の位置範囲内に留まっているのか、または一定範囲内で遅いながらも移動し続けているのかの識別が出来ない点で改良の余地がある。
そこでこの発明は、WEBダイアリを用いずに集めた、移動端末の位置情報とその測位時刻とを含む測位点データを要素としたプローブデータを利用して自動的に解析する際に、行動目的地と考えられるトリップエンドをより正確に抽出することを第1の課題とし、一定の位置範囲内で留まる状態と徐々に移動する状態とを分離抽出することを第2の課題とし、解析地域内の公共性が高い要衝地を自動的に解析することを第3の課題とする。
この発明は、上記第1の課題を解決するため、一定時間間隔で測位された移動端末の位置情報とその測位時刻とを含む測位点データを要素としたプローブデータ集合の中から、時系列で連続する2つの測位点データ間を一つの単位区間として識別する区間識別手段と、前記単位区間における前記移動端末の速度を前記2つの測位点データに基づいて求める速度算出手段と、徒歩を含む所定の移動手段のそれぞれに対応させて予め定められた速度規範に基づいて、前記移動端末の速度がいずれの速度規範に該当するかを単位区間ごとに評価付けする速度評価手段とを備えたプローブデータ解析システムにおいて、同一評価の前記単位区間が時系列で連続する範囲を一つの評価連続区間として判別するショートトリップ抽出手段と、前記徒歩に対応する評価の評価連続区間を構成する測位点データのうち、所定の位置範囲内に収まる測位点データの連続する範囲が所定の時間以上に亘る測位点集中域を判別する滞在型ショートトリップ識別手段と、前記の測位点集中域の始点となる測位点データ及び終点となる測位点データのうち少なくとも一方を抽出するトリップエンド抽出手段とを備えた構成を採用した。
すなわち、GPSなどの位置情報を測位できる移動端末を測定対象に所持させて、一定時間間隔で位置情報を測位して連続した測位点データについて解析を行うにあたって、ショートトリップ抽出手段により、時系列で同一の移動手段で移動したと解釈できる測位点データの評価連続区間を判別し、徒歩による移動範囲を特定できるようにした。
そして、滞在型ショートトリップ識別手段により、前記徒歩に対応する評価の評価連続区間の中から、測位点データのうち、所定の位置範囲内に収まる測位点データの連続する範囲が所定の時間以上に亘る測位点集中域を判別するようにした。
すなわち、時系列で考えると、人が一定の位置範囲内に所定時間以上に亘って滞在していた地域は、一応、人の行動目的地と解釈することができる点に着目し、先ず、時系列に沿って徒歩による移動範囲を判別し、その徒歩移動範囲の中から、所定の位置範囲内に収まる測位点データの連続する範囲が所定の時間以上に亘るか否かの条件により、人の行動目的地と解釈できる測位点集中地域を判別するようにしたのである。
そして、そのような測位点集中域の始点となる測位点データ及び終点となる測位点データのうち少なくとも一方を抽出することにより、いずれかの実測点で人の行動目的地を抽出することができるようにしたのである。
したがって、この発明は、測位点集中域の前記始点となる測位点データ実測点又は終点となる測位点データ、すなわち実測点である測位点データとしてトリップエンドが求められるので、非特許文献4のシステムのようにクラスタリングの重心としてトリップエンドを求めるものよりも正確に抽出することができる。
なお、上記一定時間間隔、上記所定の移動手段、上記速度規範、上記所定の位置範囲、上記所定の時間は、解析対象となる地域の特性を考慮して定められる。例えば、解析対象となる地域に存在する電車、バス等の公共交通手段の種類、高速道路の有無、都市構造等により上記の手段、閾値に傾向が生じるからである。
また、上述のWEBダイアリは、上記地域の特性に基づいて上記の閾値を設定するのに利用することができる。
上記移動端末としてGPS携帯電話を採用すれば、調査規模をシステムの演算限界まで容易に拡張することができ、大規模な数の移動端末を対象として、すなわち、大規模の人数を対象として人の行動パターン等を自動的に解析することができる。
また、この発明は、上記第2の課題を解決するため、その測位点集中域の始点である測位点データと、その始点以外の測位点データとのそれぞれの直線距離が、時系列上で減少する部分を有するものと有さないものとを分離抽出する、滞在型ショートトリップ分離手段を有する構成を採用した。すなわち、直線距離が増加し続けるものは速度が遅いながらもある地点へ向かって進んでいることを示し、そうでないものはある領域を回遊し続けているか又は停止し続けていることを示すため、これらの状況を分類することができる。
この発明においては、トリップエンドが実測点(測位点集中域の始点となる測位点データ及び終点となる測位点データのいずれか一方)で求められるため、そのような実測点に基づく正確なトリップエンドに基づいてアクティビティノードを求めると、そのアクティビティノードも非特許文献4のシステムより正確に求められる。
具体的には、上記トリップエンド抽出手段により抽出された上記測位点データの集合に対して、クラスタリングにより、その測位点データが規定の位置範囲内に規定の数以上集中した集中区域を抽出するアクティビティノード抽出手段を有する構成を採用すればよい。
ここで、この発明は、上記第3の課題を解決するため、上記アクティビティノード抽出手段を有する構成において、複数の移動端末について求めた上記集中区域の集合に対して、クラスタリングにより、その集中区域が規定の位置範囲内に規定数以上集中する端末間の共通集合地域を抽出する、公衆アクティビティノード抽出手段を有する構成を採用した。
すなわち、複数の移動端末のそれぞれにおいて求められた集中区域は、各移動端末の所持者の移動目的地の中でも繰り返し訪れる重要な地域とみなすことができる。そのような地域を示す各移動端末の集中区域の中心点が規定の位置範囲内に規定数以上集中する地域は、解析地域内の公共性が高い要衝地とみなすことができる。このことに着目し、上記公衆アクティビティノード抽出手段により、各移動端末の集中区域を求め、複数の移動端末の集中区域を要素とした集合に対してクラスタリングを実施すれば、その集中区域が規定の位置範囲内に規定数以上集中する端末間の共通集合地域を抽出すること、すなわち、解析地域内の公共性が高い要衝地を自動的に解析することができる。
上述のように、この発明にかかるシステムは、測位点集中域の上記始点となる測位点データ実測点又は終点となる測位点データ、すなわち実測点である測位点データとしてトリップエンドが求められるので、移動端末の位置情報とその測位時刻とを含む測位点データを要素としたプローブデータを利用して自動的に解析する際に、行動目的地と考えられるトリップエンドをより正確に抽出することができる。
また、この発明にかかるシステムは、上記滞在型ショートトリップ分離手段を有する構成の採用により、一定の位置範囲内に滞在する状態と遅いながらある地点へ向かっている状態とを分離して抽出することができる。
さらに、この発明にかかるシステムは、上記公衆アクティビティノード抽出手段を有する構成の採用により、解析地域内の公共性が高い要衝地を自動的に解析することができる。
以下、この発明の一実施形態について図1乃至13を用いて詳細に説明する。
この実施形態は、図1に示すように、上記の区間識別手段111と、上記の速度算出手段112と、上記の速度評価手段114と、上記のショートトリップ抽出手段115(図中では「ショートトリップ」を単に「ST」とした。以降でも同じとする。)と、上記の滞在型ショートトリップ識別手段116と、上記のトリップエンド抽出手段120と、上記の滞在型ショートトリップ分離手段117と、上記のショートストップ抽出手段118と、上記のクレンジング手段113と、上記のアクティビティノード抽出手段121と、上記のアクティビティノードラベリング手段122と、上記の公衆アクティビティノード抽出手段124と、上記のGIS判別手段123と、図示していないトリップ最適値検証手段とを有する、プローブデータ解析システムである。なお、プローブデータとは、時刻と位置とを含むデータをいう。
なお、上記の各手段を備えた実施形態に係るシステムは、図示を省略するが、情報演算処理装置、記憶装置、移動端末とのデータ通信用インターフェースを少なくとも備えたコンピュータをそれぞれの手段として機能させるプログラムがそのコンピュータにインストールされることにより実現されている。
上記のコンピュータは、複数の情報演算処理装置を備えた分散処理型のもの、所定の記録媒体の読み出し装置等を備えたものなどに変更することができ、この発明の作用・効果をプログラムにより実現することができる限り、適宜のハードウェア構成にすることができる。
この実施形態は、GPS携帯電話を上記の移動端末の対象として構成されている。
なお、上記移動端末は、その移動端末に組み込まれたプログラム機能により、一定時間間隔で測位された移動端末の位置情報とその測位時刻とを含む測位点データを取得し、上記のコンピュータに所定時に自動的に送信するようになっている。
また、GPS携帯電話の場合、基地局からの補正電波を利用して測位する機能、例えばDiffrential−GPS方式を実装させることができる。これにより、測位点データの位置情報の信頼性が高められる。
なお、上記の移動端末は、個人に携帯させたり、自動二輪や自動車(以下、「自動車等」という。)に搭載させたりすることができ、かつ、一定時間間隔でその移動端末の位置を測位する機能と、各測位を実行した測位時刻を得る機能とを有し、測位によって得られた位置情報とその測位時刻の情報とを所定条件になると自動的にPSTN・インターネット・移動体通信網等の通信網を介して所定の送信先に送信するものであればよい。すなわち、測定対象となる個人又は自動車等が、移動端末を所持、または搭載したまま移動すると、その位置情報を一定時間間隔で測位することとなり、その測定対象の行動を時刻情報とともに追跡した情報となる測位点データを得ることができる。
例えば、GPS搭載携帯電話に、指定した時間ごとに、GPSでその時点における緯度及び経度からなる位置情報を測定し、測定した時間を時間情報として、位置情報とともに自動的に送信するように実行させる常駐型のアプリケーションをインストールし、実行させる。送信は携帯電話網を用いて行い、直接に上記コンピュータ側に導入してもよい。
上記の区間識別手段111は、インターネット等を介して上記コンピュータに送信された測位点データを上記記憶装置に設けられた所定の論理格納領域に記憶させる。この論理格納領域に記憶された複数の測位点データが、上記のプローブデータ集合となり、上記の区間識別手段111の解析対象となる。
上記所定の送信先は、上記コンピュータに限定されず、一旦、別の受信・記憶専用コンピュータに送信し、そのコンピュータの記憶装置に記憶された測位点データを別途、記録媒体に書き出し、又はインターネットで上記コンピュータに送信するように構成することができる。
また、GPS搭載携帯電話を用いる場合、上記測位点データを自動送信する上記の所定の条件としては、上記移動端末から逐次に無線送信するようにしてもよいし、一旦、上記移動端末の記憶装置に記憶させた後に一括して無線送信して上記コンピュータ側に導入してもよい。この一括送信は、所定時間間隔で行うようにしたり、所定の時刻で行うようにしたり、上記移動端末の電池容量が所定値以下になると行うようにしたり、これらを組み合わせたりして定めることができる。これらのように、測位点データが所定の送信先に自動送信されるように構成すれば、移動端末を所持するモニターの操作で送信される場合と比して、モニターの端末操作忘れによるデータ送信の欠如を防止することができる点で好ましいのである。勿論、移動端末が上記モニターの手動操作により測位点データを送信する機能を具備する構成も合わせて採用可能である。
また別の移動端末としては、PHS(Personal Handy−phone System)が挙げられる。PHSはマイクロセル方式であるため、端末に電源が入っていて電波を送信していれば、その電波を受信した基地局ごとに、移動測定対象が存在する場所を絞り込むことができる。このため、基地局や管理会社側で、電波をやりとりする基地局から求めた端末が存在する位置情報とその時点での時間情報とからなる測位点データを記録して、順次送信してこの発明にかかるシステムに導入してもよいし、まとめて記録してからこの発明にかかるシステムに導入してもよいし、別途設けた記録装置に記録した後にこの発明にかかるシステムに導入してもよい。
さらに、上記移動端末が、上記のGPSとPHSとの両方の機能を有しているとより好ましい。GPSはPHSよりも精密に位置情報を特定することができるが、衛星と通信できない地下では使用できない。そのため、GPSが使用できる状況ではGPSを使用し、GPSが使用できない状況ではPHSにより上記位置情報を測定することで、漏れの少ない位置情報の測定が可能となる。
また、移動測定対象を自動車に限り、この発明にかかるシステムで自動二輪又は自動車の交通のみを調査する場合には、上記移動端末として、自動車に備えられたGPSを用いることもできる。この場合、別途携帯電話などの移動体通信網などの無線通信網を利用できる無線端末を用意し、ネットワークに接続して、この発明にかかるシステムや別途用意した記憶装置に測位点データを送信したり、一旦記憶媒体に記録した後にその記憶媒体の移動によりこの発明にかかるシステムに読み込ませても良い。
なお、1システムにより複数の移動端末から得られた測位点データを取り扱うように構成する場合、各測位点データと各移動端末との対応を識別できるようにすればよい。例えば、上記測位点データに、どの移動端末から送信されたデータであるか識別できる識別IDを含めることができる。具体的には、上記移動端末が固有のID番号を上記測位点データに含めて送信し、上記区間識別手段111がID番号に基づいて予め移動端末ごとに設けられた上記論理格納領域に振り分けるようにする構成を採用することができる。このID番号は、移動端末が携帯電話である場合には電話番号であってもよいし、GPS端末やPHS端末のそれぞれの端末を認識するために用いられているIDでもよいし、この実施形態で用いる専用のIDを割り当てたものでもよい。
特に、上記の測位点データが上記コンピュータに直接送信されるようにすると、送信された測位点データに対して順次、後述する処理手段を実行することで、リアルタイムに後述するショートトリップ(図中では単に「ST」とした。以降も同じとする。)を求めることができる。
上記の区間識別手段111は、上記の測位点データを要素としたプローブデータ集合に対して識別、解析を行う。例えば、人の行動解析を実行する場合、プローブデータ集合は、少なくとも1日分の測位点データから構成することができる。また、後述するアクティビティノード(図中では単に「AN」とした。以降も同じとする。)の抽出を行う場合、1週間、1ヶ月分の測位点データからプローブデータ集合を構成することができる。
なお、この実施形態にかかるシステムは、測位点データを記憶装置に記憶する測位点蓄積手段を有する。測位点蓄積手段は、周知のデータベースとして構成されており、移動端末の識別IDと測位点データを関連付けて記憶するようになっている。
上記の区間識別手段111は、上記プローブデータ集合の中から、図2に示すような、時系列で連続する2点の測位点データ間を、測位点データに含まれる測位時刻から一つの単位区間として識別するようになっている。
また、それぞれの上記単位区間は、それを構成する二点から移動距離と移動方向を求めることができる。この実施形態にかかる速度算出手段112は、この移動距離及び移動方向と、上記の時間間隔とから上記移動端末の上記単位区間あたりの速度を求めるようになっている。
ここで、速度とは、ベクトル量であり、移動距離と上記の時間間隔から求められる距離の速度だけではなく、その単位区間の移動方向と直前の単位区間の移動方向との角度差及び上記の時間間隔から求められる角速度も含まれる。これらの速度はすなわち、その測位点データを測位した移動端末の速度である。
また、この単位区間は、元の測位点データの測位した測位時刻を参照することで、その行動を行った時刻が何曜日の何時であるか求めることができる。したがって、この実施形態にかかるシステムにおいて、上記単位区間の情報を扱うにあたっては、識別、算出した測位点データ間の移動距離や所要時間、速度などの情報だけではなく、元の測位点データを参照可能としておく必要がある。さらに、こうすることで、それぞれの上記単位区間の元になった測位点の位置も参照可能となり、その移動を行った位置の解析が可能となる。
この実施形態にかかるシステムでは、識別した上記単位区間に関連付けて、算出した測位点データ間の移動距離、所要時間、速度、及びその単位区間を構成する2つの測位点データを管理するデータベースとして構成された単位区間蓄積手段を有している。なお、測位点蓄積手段と単位区間蓄積手段は、単一のデータベースとして構成することもできる。
なお、複数の移動端末について同時に測定を行う場合には、それぞれの上記単位区間には、元の測位点データが有する上記識別IDを有している必要がある。
上記測位点データには、測定の際に生じるエラーが不可避的に含まれる。これは、上記移動端末がGPSを用いた移動端末であると、測位を行うときに、GPS衛星信号の受信状態が悪いと、端末での自律測位機能とサーバ補助による測位機能とのいずれもが使えないという事態になることがある。この場合は、測位する上記測位点データの位置を、携帯電話回線の基地局との通信により、上記移動端末の測位位置を、基地局位置、又は複数の基地局位置を補間して得られる位置として、暫定的におくようにする。このような基地局の位置を基準とした位置となっていると、その測位点データの位置情報が、実際の存在位置から大きく離れてしまうことがある。それが許容範囲を超えた状態をハンドオーバー状態と呼ぶ。
このような測位点データからなる上記単位区間にまで一律に解析を行うと、かえって正常な解析結果が得られなくなってしまう。このことに着目すれば、この発明にかかるシステムにおいては、上記の速度評価手段114の前の段階で、解析を行う測位点データを選別して、ハンドオーバー状態である測位点データを除外するクレンジング手段113を有していることが好ましい。
ここでクレンジング手段113が行う内容は、時系列で連続する3つの上記単位区間のうち、時系列上3番目の上記単位区間の速度と、時系列上2番目及び3番目の上記単位区間の角速度との積が所定のパラメータを超える、または、時系列上3番目の上記単位区間の速度が想定されうる規定値を超える場合に、
時系列上2番目の上記単位区間の始点である測位点データと時系列上3番目の上記単位区間の終点である測位点データとを繋ぐ仮想的な単位区間を算出し、
前記仮想的な単位区間の速度と、時系列上1番目の上記単位区間と前記仮想的な単位区間とから算出される角速度との積が、所定のパラメータを超える場合、
時系列上2番目の上記単位区間の終点であり、すなわち時系列上3番目の上記区間の始点である上記測位点データを除外して、以後のこの発明を構成するそれぞれの手段の実行を、前記仮想的な単位区間を用いて行うようにするものである。
すなわち、ハンドオーバーに該当して測位位置が本来の位置から大きく外れると、その前後で上記単位区間の示す方向が大きく変動する可能性が高く、角速度が大きくなりやすい。同時に、測位される位置が基地局となるため、本来の位置との間で距離が大きく離れるため、上記単位区間の距離の速度も大きくなりやすい。従ってこの速度と角速度の積が一定の値を超えたら、それがハンドオーバーによる測位位置のエラーである可能性が高いと判断して除外するのである。
このクレンジング手段113を実際に実行する際の具体的なフローとしては、図3(a)乃至(e)のような手順により、直近4点の測位点データからなる、連続する3つの上記区間について検討し、基地局のハンドオーバーであると判断される測位点データを除外するものが挙げられる。以下、その手順について説明する。
図3(a)乃至(e)において、「i」は判断の対象とする上記単位区間の、作業キューへの蓄積数に対応する最大値が3の変数である。「P」は時系列順に連続した「P」から「P」までの測位点データを示し、「LEG」は連続する2つの測位点データP及びPi−1から算出される上記単位区間を示す。これらのPi及びLEGiはそれぞれ、処理を行うキューであるPキュー及びLEGキューに格納される。また、HOは測位点Pi−1がハンドオーバー状態である可能性を示す分岐のためのフラグであり、真偽値を有する。VはLEGの速度を示し、ωはLEGj−1からLEGへの角速度を示す。また、Cは最適値を調整可能な定数であるパラメータを示す。また、真を「True」、偽を「False」で表す。
まず、メインフローである図3(a)について説明する(401)。「i」の初期値は0である(402)。まず、時系列上最初の測位点データPを取得してPキューに入れる(403)。取得したら(404、405(i=0))、「i」に1加算して「i=1」とする(410)。次に、Pを取得してPキューに入れ(403,404)、このPとPから区間LEGを算出してLEGキューに入れる(406)。なお、この区間LEGは算出するのではなく、上記区間識別手段で算出した値を呼び出してもよい。このとき、この区間LEGの速度Vも算出するか、又は先に上記速度算出手段で求めた値を呼び出しておく。一方、Pが取得できない場合は(404)、そこで処理を終了する(430)。
次に、i=1であるので処理1を行わずに(407)、かつ、i=3の条件を満たさないので(409(i=1))、「i」に1加算して「i=2」とする(410)。
さらに次に、Pを取得してPキューに入れる(403)。取得出来ない場合は上記と同様にそこで処理を終了する(430)。取得したら、P及びPから、区間LEGを算出してLEGキューに入れる(406)。なお、上記と同様に、上記空間識別手段で算出した値を呼び出してもよい。このとき、この区間LEGの速度Vも算出するか、又は呼び出しておく。i=2であるので(407)、図3(b)に記載の処理1を行う(408)。
上記の処理1では(451、i=2)、上記単位区間LEGからLEGへの角速度ωを算出する(452)。なお、算出する代わりに、上記速度算出手段で算出した角速度を呼び出しても良い。ここで、LEGの距離の速度Vが0でないことを前提に、ωとVとの積がパラメータC未満であるか否かを判断する(453)。このパラメータCについては後述する。すなわち、移動方向が大きく変化しているか、又は、距離の速度がありえない値となっていると、角速度と距離の速度とが一般的に考えられる値を上回ることとなり、これらがハンドオーバーである状況を示している可能性があると考える。従って、「ω−C/V<0」すなわち「ω×V<C」であれば、あり得る値であってハンドオーバーでない可能性が高いと判断してHOは偽とする(454)。逆に、ω×VがパラメータC以上であれば、ハンドオーバーである可能性が高いとみなして、HOを真とする(455)。このようなハンドオーバーとなる場合の例を図3(d)に示す。LEGとなるLEGと、LEGj−1となるLEGとの間の角度差が大きく、Pが異常値である可能性が高い。なお、GPSの測定において、位置情報が小数点以下の小さい桁まで一致することはまずありえないため、V=0となる場合はエラーとみなし、上記の判断を行わずにHOを真として取り扱う(455)。また、V=0でなくても、実際にほとんど動いていない場合は、上記の判定が真となる。
この処理1を終えたら(456)、i=2であるので(409)、次へ進む(410、i=3となる)。
次に、上記と同様に、Pを取得してPキューに入れる(403、404)。P及びPからLEGを生成、又は呼び出す(406)。上記と同様に処理1を実行して(408、451)、LEG及びLEGから角速度ωを算出して(452)、上記と同様にパラメータCで判断する(453)。HOの真偽値を判断し(454,455)、処理1を終える(456)。
i=3であるので(409)、HOを判断するフローへ移る。ここで、HOが偽であり(421)、かつHOが偽であれば(422)、Pはそこまでの判断でハンドオーバーである可能性は低いとみなされるので出力する(424)。この出力とは、ハンドオーバーの状態である可能性が低い、正常な値であると判断することをいい、以降のそれぞれの手段は、この出力された測位点データに対して行うとよい。また、Pキューから判断を終えたPを取り出すとともに、LEGを取り出す。さらに、次の測位点データと単位区間を取得するために、iを2に変更して、LEGキュー中のLEGをLEGに、LEGをLEGに付番し直すとともに、Pキュー中のPをPに、PをPに、PをPに付番し直す(424)。その上でiに1加算してi=3とし(410)、次の測位点データをPとして取得して(403)、同様の処理を行う(406〜)。
一方、HOとHOのいずれかが真である場合は(421,422)、これらを構成するPがハンドオーバーであるか否かの判断を行うため、処理2を実行する(423)。
処理2では(461)、図3(c)に記載のような操作を行う。まず、PとPとの間に、ハンドオーバーである可能性のあるPを省いた仮想的な単位区間LEG’を作成し、その速度V’を算出する(462)。この仮想的な単位区間は図3(e)のような関係にある。すなわち、Pがハンドオーバー状態の測位点データである場合には、この仮想的な単位区間が、上記移動端末の実際の移動に近い挙動を示すものとなる。逆にPがハンドオーバーでない場合には、一つの正常な測位点データを飛ばしているため、この仮想的な単位区間は不自然なものとなる。
このような検討のため、上記単位区間LEGから仮想的な単位区間LEG’への角速度ω’を算出して(463)、角速度ω’及び速度V’を処理1と同様のパラメータCにより判断する(464)。すなわち、「ω’×V’≧C」であれば、この仮想的な単位区間LEG’は、本来の正常な測位点データであるPを飛ばしてしまった異常なものであると考えられ、仮想的な単位区間LEG’に飛ばされた測位点データPは正常なデータであると考えられる。その場合は処理2を終了して(467、423)、構成する上記単位区間の判断の終わったPを出力するとともに、上記と同様にPとLEGとを取り出して、i=2としてLEG及びPを付番し直し(424)、次の測位点データを取得して処理を進める(410,403)。
一方で、V’が0でなく、かつ「ω’−C/V’<0」すなわち「ω’×V’<C」であれば、この仮想的な単位区間LEG’が、正常なデータであると判断され、すなわち、省かれたPが異常な値を示すハンドオーバーであり、この測位点データを挟む二つの上記単位区間LEG、LEGが異常なデータであると判断される。従って、PをPキューから破棄し、LEGキューからLEG及びLEGを削除するとともに、LEGキューにLEG’を入れる(465)。さらに、仮想的な単位区間LEG’を正常な単位区間であるLEGと扱うようにし、Pが省かれたことに従ってPをPとして付番し直す(466)。処理2を終了した後(466、423)、i=2であるのでその後の破棄処理を行わずに(424)、その後、i=3として(410)、次の測位点データを取得し(403)、同様の処理を行う。
以降、測位点データPiが取得できる限り上記と同様の判断を続け、取得できなくなった時点でその時点で処理は終了する。これにより、ハンドオーバーであると考えられる測位点データは出力されず、正常であると判断された測位点データのみが出力される。従ってこの発明を構成する以下の手段では、このクレンジング手段113で出力された測位点データに対して処理を行い、出力されなかった測位点データについては処理を行わないようにする。この区別は、それぞれの測位点データにマーキングして、マークの有無によって行っても良い。また、同様に上記単位区間についても、処理2の(464)で削除された上記単位区間に対しては処理を行わず、その代わりに仮想的な上記単位区間に対して処理を行うものとする。
上記の手順では、ハンドオーバーを起こしていても、それぞれの上記区間の角速度や距離の速度が大きくない場合は検出することが出来ないが、その場合は実際の位置との乖離が小さいため、検出出来なくても特に問題がない。
この検出に用いる上記のパラメータCは、図4のような横軸に速度を、縦軸に角速度をとったグラフにおいて常識的な値と考えられる横軸や縦軸の近傍から大きく離れた上記単位区間を検出するためのものであり、その条件となるω>C/Vの不等式の境界線となるω=C/Vの反比例式の定数となるものである。この定数は都市構造や基地局の間隔などにより最適値が変化するが、100〜200(km/h・deg/sec)であると好ましい。
また、上記のパラメータCによる判断の際に(453、464)、速度が時速20〜30km以下である上記区間はクレンジングのフラグ対象から除外してもよい。上記単位区間あたりの距離がこのような値以下である場合は、ハンドオーバーしていたとしても、実際の位置との乖離が大きくないと判断されるため、あえてクレンジングの対象としなくても良いからである。
なお、上記除外の対象となる上記単位区間のデータは削除してもよいが、エラーとされたデータでも解析に必要となる場合があるため、抽出や解析から除外するマーキングを行うだけで残しておくことが望ましい。このマーキングは、上記区間蓄積手段により記憶装置に上記単位区間が記録されている場合は、その単位区間のデータに付記、又は追記される。
また、このようなクレンジング手段113だけでは除外しきれないエラーも存在している。そのようなデータは解析の際に、後述する不明ショートトリップとして除外することで処理する。例えば、測位点データの時間間隔が規定の時間と大きく違う場合、すなわち上記単位区間の長さが規定の時間よりも、誤差の範囲を超えて短い、又は長い間隔であったりする場合である。
上記の速度評価手段114は、徒歩を含む所定の移動手段のそれぞれに対応させて予め定められた速度規範に基づいて、前記移動端末の速度がいずれの速度規範に該当するかを上記単位区間ごとに評価付けするようになっている。
徒歩を含む所定の移動手段とは、例えば、徒歩の他に、自動二輪を含む自動車、電車などが挙げられる。これらの移動手段は最大速度が大きく異なり、また、現実にありうる角速度の上限も大きく異なる。このため、これらの速度を規範にして、それぞれの上記単位区間の速度がいずれかの速度規範に該当するかを評価付けする。また、電車の路線が存在しない地域で測位点データを測定している場合は、この発明にかかるシステムは電車への評価付けを予め除外しておくと好ましい。あり得ない結果を予め含めておく必要はないためである。
その評価付けの具体的な方法としては、それぞれの上記単位区間を図5のような横軸に速度を、縦軸に角速度をとった仮想的な平面座標上にプロットすることを想定し、この平面座標上を区切った、徒歩、自動車、電車のそれぞれの可能性が高いと考えられる限定された領域の中にある上記単位区間を、それぞれの移動手段であると評価付けする方法が挙げられる。実際にはこの評価付けを、それぞれの上記単位区間がそれぞれの速度規範となる数値範囲に含まれるか否かを判断する。
上記平面座標上におけるそれぞれの移動手段の領域は、次の範囲で設定される。それぞれ最高値や最低値に幅があるのは、測定地域ごとに最適値が変わるためであり、下記の範囲で最適値を選択する。この最適値の値は後述するダイアリやアンケートなどを用いて検討することが出来る。また、それぞれの範囲は、排他的なものであり、一つの上記単位区間が複数の移動モードの範囲に含まれることはない。なお、角速度は最低0deg/secであるがこれは直線運動を示しており、どの移動手段でも範囲に含む。
まず徒歩の領域は、速度の最低値は時速0kmであり、最高値は時速8〜12kmである。歩く速度は目的地付近では0に近づくこともあり、また移動中に停止状態を挟むことも考えられる。また、この徒歩とは走る場合も含み、全力疾走のような極端な場合を除く駆け足程度であればこの速度範囲に含まれる。一方、徒歩の角速度は無制限、すなわち最大180deg/secである。徒歩は小回りが利き、移動方向を瞬時にして反転させることも容易だからである。
自動車の領域は、速度の最低値は時速10〜20kmであり、最高値は時速60〜100kmである。実際には自動車は徐行も可能であり、停止する場合もあるが、徒歩との区別をつけるために一旦上記の範囲に分類することが好ましい。一方、好ましい最高値は測定を行った地域内に高速道路が存在するか否かにより大きく変化する。高速道路が存在する場合は、時速80kmを越えることが普通に起こりうるが、一般道しか無い場合は時速80kmを越えることはまず起こりえないと考えられる。一方、角速度の最高値は40〜60deg/secである。自動車は徒歩に比べて細かい回転がしにくく、交差点で曲がる場合でもこれ以上の角速度となることは考えにくい。
電車の領域は、速度の最低値は時速50〜60kmであり、最高値は時速100〜140kmである。実際には停車駅の前後では上記の最低値以下の速度になるが、徒歩や自動車との区別をつけるために、一旦は上記の範囲で分類することが好ましい。一方最高値は、測定を行った地域内で運行している電車の最高速度に応じた値を選択するとよい。なお、移動測定対象が測定を行う地域外に出てしまう可能性が高いため、新幹線のような高速列車は考慮しないものとする。一方、角速度の最高値は20〜30deg/secである。
上記のいずれの範囲にも含まれない上記単位区間は、判断不可能として上記のクレンジング手段113で除外した場合と同様に、速度規範に基づく評価付けから除外するように設定するとよい。現実に起こりにくい移動が起こっているため、エラーである可能性が高いからである。
なお、上記の速度評価手段114で速度規範に基づく評価付けを行う上記単位区間のうち、本来等しい時間間隔で記録されている測位点データが、時系列上で一点以上欠落している上記単位区間を判別して、上記の評価付けを行わないようにしてもよい。これは、基地局と基地局との間で一時的に測位点データが受信できなかったり、電源がオフ、又は圏外に入ったりして電波がとどかなくなっていたりする状況であり、正常な測位点データによるデータではないため、移動手段の判定の邪魔になることもあるためである。以下、このように評価付けを行わない上記単位区間が時系列で連続する評価連続区間を不明ショートトリップと呼ぶ。不明ショートトリップは、その前後の後述するショートトリップとの関係から移動手段が判別できれば、他のショートトリップとともに一つの移動手段と評価される評価連続区間として再抽出してもよい。また、上記のクレンジング抽出手段が無い場合には、この段階で上記単位区間の時間間隔が規定の時間間隔から大きく外れている上記単位区間の連続を不明ショートトリップとする。
上記のショートトリップ抽出手段115は、上記の速度評価手段114での評価が同一である上記単位区間が時系列で連続する範囲を一つの評価連続区間として判別するようになっている。この評価連続区間は、移動端末がある程度近い移動速度で移動し続けた期間を抽出したものであり、すなわち、移動手段が同一である可能性が高い上記単位区間の集合である。
また、移動目的が変わると、移動手段が徒歩で同じであっても、単位時間あたりの移動距離は変わってくる。例えば、駅に向かって歩いているときは目的地へ向かって徒歩の最大速度に近い速度で移動しているが、駅に到着して駅構内を移動しているときは平面上の時間あたり移動距離は小さくなり、一定の範囲を回遊することになる。また、停留所や駅でバスや電車を待っているときは、一定範囲内に留まり続けることになる。また、目的地が大きな商業施設である場合には、その目的地内の移動は、一定の範囲を回遊していることになる。それらの移動目的の詳細な内容は、上記アクティビティノードを抽出した後で判断可能となるが、少なくとも目的地に到達している場合と、目的地へ向かっている場合とでは、同じ徒歩でもその評価連続区間の内容が異なることは判別可能である。
上記の滞在型ショートトリップ識別手段116は、移動手段が徒歩に対応すると評価された上記単位区間からなる評価連続区間を構成する測位点データのうち、所定の位置範囲内に収まる測位点データの連続する範囲が所定の時間以上に亘る測位点集中域を判別するようになっている。この測位点集中域とは、すなわち、移動端末がある一定範囲に所定時間に亘って留まり続けている状況を示す。以下、測位点集中域を構成する測位点データの集合を、便宜上、滞在型ショートトリップと呼ぶ。
この滞在型ショートトリップは、徒歩に対応する評価づけがされた評価連続区間の全体が該当する場合、又は一部が該当する場合があり得る。例えば、徒歩により目的地に向かって進んだ後、そのまま徒歩で目的地内を歩く場合がある。
この滞在型ショートトリップ識別手段116における上記の所定の時間の閾値と、上記の所定の位置範囲とは、一対の数値の組み合わせでもよいし、二対以上の数値の組み合わせでもよい。一対の数値の組み合わせである場合、上記の所定の時間の閾値は、1分以上、5分未満であると好ましく、また、所定の位置範囲とは、半径10m以上、30m以下の円内に留まっているものとすると好ましい。この条件を満たすものは、徒歩であっても、移動するよりもその地点に居続けることに意味を有する可能性が高いためである。このような滞在型ショートトリップは、目的地に到達して停止した箇所の他、ショートトリップの移動手段が変更される箇所で、乗り換え、駐車、電車やバスの到着待ちなどのためにほぼ確実に存在する。この他、一定範囲内の目的地を回遊する場合でも存在する。
また、二対の数値の組み合わせを用いる場合とはすなわち、上記の滞在型ショートトリップ識別手段116で、半径がr1の円内に収まる測位点データの連続する範囲が所定の時間t1以上に亘る測位点集中域と、半径r2の円内に収まる測位点データの連続する範囲が所定の時間t2以上に亘る測位点集中域との両方を判別することであり、これらの数値がr1<r2かつt1<t2であるものを抽出し、これらのいずれの測位点集中域も滞在型ショートトリップとして識別するものである。
コンビニエンスストアなどの小さな店舗や家屋の中、バス停、あるいは売店への立ち寄りなど、ごく限定された範囲での滞在と、大きな駅や百貨店、博物館や動物園の中など、規模の大きな施設の中での回遊とは、どちらも滞在型ショートトリップではあるものの、その規模がまったく異なっている。これらを一つのパラメータの組み合わせで抽出しようとしても、規模の小さなものか大きなものかのいずれかを取りこぼすことになってしまう。そこでパラメータの組み合わせを二対設定し、小さい半径r1の中に短時間t1留まるものと、大きな半径r2の中に長時間t2留まるものとのいずれも抽出するようにすると好ましい。なお、これらの範囲を概念的に図6に示す。横軸が半径rであり、縦軸が滞在期間tである。抽出される滞在型ショートトリップは、図中斜線部分である。これらの範囲は一部が重なっており、相反するものではない。
このようなr1,r2、及びt1、t2の組み合わせとしては、例えば、r1を10m以上40m以下、t1を1分以上3分以下、r2を70m以上100m以上、t2を4分以上10分以下とすることが挙げられる。
このような、r1及びt1の組み合わせにより、売店の立ち寄りなど短時間ながら狭い範囲に留まっている状況を抽出し、r2及びt2の組み合わせにより、大規模商業施設内での回遊や渋滞に巻き込まれての徐行及び停止の連続などある程度広い範囲に長い時間に亘って留まっている状況を抽出することができる。なお、t2以上長時間に亘って半径r1以内の狭い範囲に留まり続ける状況は、どちらの数値によっても抽出できるが、重複してカウントせずに、一つとしてカウントする。
これらの数値の大まかな基準としては、人間は何らかの目的を持って歩く場合には、明確な移動目的先へ向かって歩くときよりも徒歩の速度が低下するため、一般的な徒歩の速度と考えられる時速4kmの半分である時速2km以下の速度で動いている状況を抽出できるようにすると好ましい。この速度では概算すると5分間で約167m移動することとなるため、5分間移動しても半径80mの円内にならばその範囲をゆっくりと歩いていると考える。またこれと並行して、1分間で約33m移動することになるので、半径15mの円内に入っているならばその範囲内で目的を持っていると考える。
なお、都市の規模や構造によっては、三対以上の半径rと時間tとの組み合わせを用いて上記滞在型ショートトリップ識別手段116を実行しても良い。例えば、特異な施設が存在する場合など、他の状況と同一の基準では滞在型ショートトリップが識別しきれない場合に、限定された条件の対となる数値を用いて識別を行う。
上記の滞在型ショートトリップ分離手段117は、上記の測位点集中域のうち、その測位点集中域の始点である測位点データと、その始点以外の測位点データとのそれぞれの直線距離が、時系列上で減少する部分を有するものと有さないものとを分離抽出するようになっている。
上記の滞在型ショートトリップは、単純にある範囲に収まるか否かにより抽出されたものであるが、単純に時間と円形範囲とにより抽出しただけであるので、その範囲内における上記移動端末の動きは考慮されていない。しかし、実際には同じ時間と同じ半径との範囲で抽出されている場合でも状況は異なってくる。これは大きく分けて、その範囲内で明確な方向性を持たないでいる場合と、その範囲内でもある方向に向かって徐々に進行する場合とに分けられる。これらの状況を識別する方法として、滞在型ショートトリップの始点からの直線距離の時系列上における変化を抽出して判断する。この時系列上における直線距離についての概念図を図7に示す。これは、横軸に時刻tをとり、縦軸にその時刻tにおける、測位点集中域の始点との直線距離Lを示したグラフである。このうち、図7(a)は時系列上で直線距離が減少する部分(図中丸囲み部分)を有するものであり、図7(b)は時系列上で直線距離が減少する部分を有さないものである。
すなわち、ある方向に向かって進む場合には、速度が遅くなったり、又は止まってしまったりする状況を挟んでいても、逆方向に進むことは無いと考えられる。このような滞在型ショートトリップは、特に自動車が交通渋滞に巻き込まれた場合に考えられる。この場合、渋滞に巻き込まれてから渋滞の問題点を通過するまでの間に、停止と徐行を繰り返すため徒歩と判断される速度になっているが、一つの方向に向かって進み続けている。このような場合、滞在型ショートトリップの始点である測位点データからの直線距離が減少することはなく、増加するか変化しないかのいずれかである(図7(b))。従って前記直線距離が減少する部分を有するものは、このような交通渋滞への巻き込まれのような、方向性を持った滞在であると考えられる。以下、このような滞在型ショートトリップを渋滞ショートトリップと呼ぶ。
このような渋滞ショートトリップの例を図8中に示す(図中「渋滞ST」と表記する。)。一方向へ向かっているが、その測位点データの間隔が詰まっており、少しずつ目的の方向へ進んでいる状態である。
一方で、直線距離が減少する部分を含むと(図7(a))、その滞在型ショートトリップは方向性を有しておらず、停滞しつづけているか、あるいは範囲内にある複数の地点を回遊しているかのどちらかであると考えられる。完全に動かずに停滞し続けている場合には、GPSなどの測位方法による不可避的な誤差のために、わずかな減少部分が生じることがある。また、例えば大規模商業施設内でいくつもの売り場を歩き回ったりする回遊を行っている状況では、移動の方向性が一定しないため始点からの直線距離が増加と減少とを繰り返すことになる。これらは滞在型ショートトリップの中でも、特に、目的地に到達した状況で見られる移動パターンであると考えられ、上記渋滞ショートトリップとは異なる移動パターンである。以下、このような方向性を有さない渋滞型ショートトリップを、回遊ショートトリップと呼ぶ。
このような回遊ショートトリップの例を図8中に示す(図中、「回遊ST」と表記する。)。東西南北に進行方向が一定せず、ある範囲内を動き回っている状態である。
具体的には、上記滞在型ショートトリップ分離手段117は、それぞれの滞在型ショートトリップを構成する測位点データについて、その始点からの距離を全て算出し、それぞれの測位点データの前の測位点と、始点からの直線距離を比較し、減少している箇所が発見できれば回遊型ショートトリップとし、発見出来なければ渋滞ショートトリップとする。
従来のトリップ判別方法では、クラスタリングによってトリップエンドとみなせる位置範囲を抽出するに過ぎず、徒歩に対応する移動範囲に絞って抜き出し、その移動内容を詳細に分析することができないが、上記のような回遊ショートトリップ及び渋滞ショートトリップは、単に目的地に到達したことのみではなく、目的地における徒歩移動の行動パターンや、現実には目的地に到達したわけではなく渋滞に巻き込まれたときの行動パターンを、より詳細に解析することが出来る。
特に、上記の渋滞ショートトリップは、従来のトリップ判別方法ではトリップの終端である停止状態と判断される状況であるが、このように渋滞ショートトリップとして分類することで、実際にはトリップの途中であるとして、より詳細に移動測定対象の行動を解析することが出来る。特に交通量調査においては、この渋滞ショートトリップが生じている状況の解析により、渋滞の発生地点及び発生時刻等を調査することができる。
さらに、この実施形態にかかるシステムは、上記の回遊ショートトリップのうち、全ての上記単位区間の移動距離が、上記移動端末の測位誤差の範囲内であるものを抽出する上記のショートストップ抽出手段118を有している。上記の回遊ショートトリップは、始点からの直線距離が減少しているか否かという点でのみ抽出したものであり、この中にはいくつもの地点を回遊しているものと、実質的に停止しているものの、測定誤差の問題で減少する部分を含むものとが含まれる。これらを識別するため、上記の回遊ショートトリップから、停止、又は実質的に停止とみなせる状況を識別して抽出する。この停止又は実質的に停止とみなせる状態を、以下、ショートストップと呼ぶ。
このショートストップは図8中に示すような、実質的に移動端末がまったく動いていない状況を示す。このようなショートトリップは目的地に到達してまったく動かなくなった状況であったり、または、上記移動測定対象が移動端末を放置したりした状況を示す。また、移動端末が車載器である場合には、駐車している状況もこのショートストップとなる。
ここで、移動端末による位置情報の測位誤差とは、移動端末がGPS搭載端末である場合には、10m〜30mであり、その測定を行った地域の特性により変化する。ただし、Differential−GPSなど、より精度の高い位置情報の特定手段を用いている場合には、この誤差はより小さなものとなるので、このショートストップ抽出手段118での閾値もそれに合わせてより小さなものとなる。一方、移動端末がPHS搭載端末である場合にはこの測定誤差はより大きなものとなる。
この発明にかかるシステムは、これらの滞在型ショートトリップ分離手段117やショートストップ抽出手段118により、滞在型ショートトリップから抽出される各々の状況を解析することで、単純にその範囲内に滞在していると解釈するよりも詳細な情報を得ることができ、移動端末の移動パターンの解析を進めることができる。
なお、以降の手段において、回遊ショートトリップ、渋滞ショートトリップ、ショートストップは、滞在型ショートトリップとしても取り扱う。従って、この発明にかかるシステムは、滞在型ショートトリップのデータに、回遊ショートトリップ、渋滞ショートトリップ、又はショートストップのそれぞれに対応するマーキングを行って区別できるようにしておくとよい。
上記のトリップエンド抽出手段120は、前記の測位点集中域の始点となる測位点データ及び終点となる測位点データのうち少なくとも一方を抽出するようになっている。
このうち、始点となる測位点データとは、その滞在型ショートトリップが始まった時刻と位置を示しており、目的地に到達して回遊しはじめたり、渋滞に巻き込まれたりした開始時刻とその地点や、帰宅したりして動く必要が無くなった到着時刻とその地点など、滞在を開始する点を示す。一方で、終点となる測位点データとは、その滞在型トリップエンドが終わった時刻と位置を示しており、目的地での活動をやめて再び移動しはじめたり、渋滞から抜け出て動けるようになったりした開始時刻とその地点や、家から出発する時刻とその地点など、移動を開始する直前の点を示す。以下、滞在型ショートトリップの始点となる測位点データを始点トリップエンド、終点となる測位点データを終点トリップエンドと表記する。これらをまとめてトリップエンド(図中では単に「TE」と表記する。)と呼ぶ。また、これらのトリップエンドに挟まれた一連の範囲となる移動をトリップと呼ぶ。
また、トリップエンド抽出手段120は、上記の不明ショートトリップに分類される上記単位区間のうち、上記単位区間間の測位点データが滞在型ショートトリップの抽出時間以上に亘って離れており、その二点間の距離が滞在型ショートトリップの位置範囲に含まれる上記単位区間を構成する、時系列上前の測位点データを始点トリップエンドと、時系列上後の測位点データを終点トリップエンドとして抽出するとよい。長時間に亘って信号が受信できない状態であっても、限られた範囲に滞在していた可能性が高い状態を抽出することができる。
ここで、上記の二点間の時刻差が所定の時間以上であるか否かを判別すれば、その滞在型ショートトリップが、信号待ち、短時間で済む買い物など行動分析として重要な意味を持たない一時的な停止を除外しつつ、長時間滞在する何らかの重要な目的又は意味を持った滞在であるか否かを判別することができる。
具体的には、滞在型ショートトリップの条件である半径r内に存在している測位点データのうち、最初の測位点データと最後の測位点データの時刻差を滞在時間とし、この滞在時間を所定の時間Tと比較する。Tは地域特性により変化するが、2回までの信号待ちは含めず、コンビニエンスストアなどへの立ち寄りを含めようとすると、4分以上6分以下であるとよい。
この実施形態にかかるシステムは、上記のようにして推定、抽出されたトリップエンドを記録する、トリップエンド蓄積手段を有している。後述する抽出手段や解析手段を実行する解析のたびに、元の測位点データから上記の抽出手段等を算出していると、それまでの解析を何度も繰り返すことになってしまうためである。このトリップエンド蓄積手段で記録する場合には、それぞれのトリップの始点と終点であるトリップエンドとなる測位点の位置や測定時間を含めて記録しておくか、又は、元になった上記単位区間や測位点を参照できるものであると好ましい。いずれの情報も、後述するアクティビティノードのラベリングの際の推定材料となるためである。
また、このトリップエンド蓄積手段には、トリップエンドだけでなく、トリップエンドとトリップエンドの間であるトリップ、それを構成する上記単位区間又は測位点データを参照できるように記憶しておくと、トリップの内容を検証する際にデータを検証、参照しやすいためより好ましい。
さらに、この実施形態にかかるシステムは、抽出したショートトリップを記憶するショートトリップ蓄積手段を有している。この記憶の際には、ショートトリップごとに評価付けされた速度規範を記録しておくことが好ましく、滞在型ショートトリップについて、渋滞、回遊などのショートトリップに対応する分類を行う情報も記録しておくとより好ましい。いずれもそれらの種類を記録しておくことで、具体的な解析、分析が容易になるためである。
なお、このようにトリップエンド蓄積手段やショートトリップ蓄積手段でトリップ、トリップエンド及びショートトリップを記録する際には、全てのトリップ、トリップエンド及びショートトリップを判別できるように、それぞれに識別IDが付与されていることが好ましい。後述するアクティビティノードや公衆アクティビティノードから、元になったトリップエンドや、ショートトリップ及びトリップを参照しやすくするためである。
このトリップエンド蓄積手段やショートトリップ蓄積手段は、上記測位点蓄積手段や上記区間蓄積手段と同一のデータベースとしえ構成することができるものであると好ましい。参照する上記単位区間及び測位点データと、関連づけて記録することができるためである。
上記のアクティビティノード抽出手段121は、上記のようにして抽出されたトリップエンドに該当する上記測位点データが、規定の位置範囲内に規定の範囲数以上集中した集中区域をクラスタリングにより抽出するようになっている。この集中区域は、図9に記載のように、図中黒点で表されるトリップエンド(TE)が一定範囲内に一定数以上集中する白丸で示されるような区域をいい、これはその移動測定対象が何らかの目的を持って到達することが習慣づけられた地点を抽出したものとなる。
具体的には半径が、80m以上、300m以下の範囲で、測定を行う地域特性に応じて選択する閾値を半径とする円である範囲内に、上記トリップエンドが規定数個以上集まっているものを抽出する。この範囲の閾値は、広げると駅勢圏を一つの区域として抽出することができ、狭めると駅勢圏の中の区画ごとに細分化した区域を抽出することができる。以下、この集中区域をアクティビティノード(AN)と呼ぶ。
ただし、ここで抽出を行うに当たってクラスタリングの対象とするトリップエンドは、終点トリップエンド又は起点トリップエンドのいずれか、又は両方である。
実際の運用にあたっては、都市部で半径80m、郊外で半径300m、その中間で半径100mという値を用いると好適な閾値として運用できる。また、アクティビティノードとして抽出されると判断されるトリップエンドの規定数は、測定を行った期間(日数)や全トリップエンドの個数、及び1トリップエンドごとの滞在時間を考慮して最適値を求めるものである。例えば、休日にのみ立ち寄るトリップエンドと、平日にのみ立ち寄るトリップエンドとでは、日数が違うため、アクティビティノードとして抽出する閾値が異なっていてもよい。また、休日に立ち寄るトリップエンドからアクティビティノードを求めるため、測定を行う日数は最低でも7日間(一週間)以上であることが好ましい。
このアクティビティノードを抽出する上記アクティビティノード抽出手段121が実行する具体的な抽出手順としては、対象とする全てのトリップエンドについて隣接するトリップエンドとの相対論理距離を求めた後、一斉同時にアクティビティノード抽出処理を実行する階層クラスタ処理によりクラスタリングを行う。
ここで論理距離の算出方法としては、ユークリッド距離、市街距離、ミンコフスキー距離、マハラノビスの汎距離などを用いられるが、このアクティビティノードの抽出においては特にユークリッド距離を用いると好ましい。ユークリッド距離とはxy座標系においてピタゴラスの定理を用いて下記式(1)で求められる距離Rをいう。ここで(X,Y)(X,Y)は緯度経度などから求められる座標である。
R={(X−X+(Y−Y1/2 (1)
なお、上記市街距離とは、2点間の座標のX軸における差の絶対値とY軸における差の絶対値との合計をいう。これは特に、直交する通りの連続からなる碁盤目状の道路網が形成された都市において現実の移動距離に近い値となる。上記ミンコフスキー距離とは上記ユークリッド距離と上記市街距離とを融合して一般化したものである。また、上記マハラノビスの汎距離とは、上記のように実測値としては測れない距離について用いる距離尺度である。
上記のいずれかの計算方法を用いて、対象とする上記トリップエンドの全てについて、隣接する上記トリップエンドとのユークリッド距離を総当たり的に計算する。ただし全ての上記トリップエンド同士の距離を計算するのではなく、総当たり最大距離の上限をαmと規定しておき、ユークリッド距離の計算結果がαmを超えたところで、そのトリップエンドについてはそれ以上遠い上記トリップエンドとの間の距離は計算しない。このようにして、αmの計算範囲内に含まれた上記トリップエンドをまとめて、計算のための一次群とおく。このαは測定を行った地域の構造、状況により、80m以上300m以下の範囲で最適値を求めて閾値とする。都市部では施設が密集しているため80mとすると好ましく、郊外では300mとすると好ましく、その中間は100mとすると好ましい。
それぞれの上記一次群ごとに、最短距離にある1対のトリップエンドの重心位置を求め、次にその重心位置に最も近い位置にあるトリップエンドを含めた重心を求める。さらに求めた重心に最も近い位置にあるトリップエンドを含めた重心を求める。なお、重心算定の際の重み付けは、トリップエンド1つあたり重み付け1つとし、全データを等価であると仮定する。これを繰り返し、重心から最も遠いトリップエンドまでの距離がαmを超える直前の重心位置をもって、アクティビティノードの中心とし、そこからαmの範囲にあるトリップエンドがアクティビティノードを形成する。
なお、このように総当たり的に行うクラスタリングのアルゴリズムとしては、必ずしも上記のような重心法によらなくてもよく、ウォード法、最短距離法、最長距離法、メディアン法、群平均法、可変法などを用いることができる。特に、トリップエンドのばらつき偏差を鑑みた場合、最短距離法、群平均法を用いると、計算処理時間が重心法を用いるよりも短く済む場合がある。
上記のようにして上記アクティビティノード抽出手段121で求めた上記アクティビティノードは、その移動端末を所持する移動測定対象が到達したり、通過の際に立ち寄ったり、または通過の際に移動手段を変更したりする箇所であることがわかる。このようにして、機械的に収集された測位点データから、機械的に上記移動測定対象が習慣的に立ち寄る地点を求めることができる。
なお、上記アクティビティノードの情報は、それを構成するトリップエンドである滞在型ショートトリップの起点となる測位点データと終点となる測位点データとの間の時刻差の合計や平均を含むか、又は参照できることが好ましい。また、測定間隔が開いた不明ショートトリップを挟む場合は、測定間隔が開いたその前後の時間差を滞在時間とする。
上記のアクティビティノードラベリング手段122は、上記のアクティビティノード抽出手段121により抽出されたアクティビティノードについて、それを構成するトリップエンドである測位点データが、所定の日時の条件を満たすものを抽出するようになっている。
上記のラベリングとは、それぞれのアクティビティノードを、自宅、勤務先、通学先、立ち寄り箇所等といった、立ち寄る意味ごとに属性をつけて分類することをいう。なお、ラベリングを行ったアクティビティノードの属性を元にさらに前後のアクティビティノードをラベリングすることもありうる。ここで、所定の日時の条件とは、例えば、終点トリップエンドである測位点データの時刻や曜日、始点トリップエンドである測位点データの時刻や曜日、これらの間の時刻差、その測位点データの曜日などの値や平均値、統計値等が挙げられる。
例えば、平日朝に入って、昼又は夕方まで滞在しつづけているアクティビティノードは、勤務先又は通学先であると推定してラベリングすることができ、逆に夕方から夜に入り、朝まで滞在し続けているアクティビティノードは、自宅であるとラベリングできる。また、平日朝夕のラッシュ時に短時間の滞在であるトリップエンドは、駅や停留所などの交通機関の乗り換え場所であると推定してラベリングできる。また、夕方の帰宅時間から夜にかけて一定時間滞在するショートトリップや回遊ショートトリップなどの滞在型ショートトリップからなるアクティビティノードは、帰宅途中に寄る買い物や遊興施設であると推定してラベリングできる。
そこで上記アクティビティノードラベリング手段122では、まず自宅、勤務先及び通学先であると推定してラベリングできるアクティビティノードにラベリングを行う。次に、自宅とラベリングされるアクティビティノードと、通勤先又は通学先とラベリングされるアクティビティノードとの間にあり、一つ以上のトリップを介してそれらのラベリングしたアクティビティノードと繋がるアクティビティノードは、一連の目的を持って通勤等を行うトリップの途中の中継点である経由アクティビティノードであると推定する。
上記の経由アクティビティノードは、滞在時間が短時間であれば駅や停留所、駐車場や駐輪場など、移動手段を変更する箇所であると推定できるが、その経由アクティビティノードが、長時間に亘って滞在する滞在型ショートトリップのトリップエンドから構成されていると、その経由アクティビティノード自体に行くことに移動目的を有する施設であることになる。経由アクティビティノードを構成するトリップエンドを含む滞在型ショートトリップの平均滞在時間により、経由アクティビティノードを分類する。そのバリエーションの例を表1に示す。
Figure 2008146249
例えば、仮の閾値として、30分未満の滞在と、30分以上150分未満の滞在と、150分以上の滞在とに分類する場合は以下のようになる。30分未満の滞在は、通勤通学等の行き帰りの際にコンビニエンスストア、駅売店、スーパーなどの買い物を行う商業施設を経由する「立ち寄り」であると推定する。次に、30分以上150分未満の滞在は、主に通勤通学等の帰りの際に、飲み会を行う居酒屋、スポーツジムなど、ある程度の時間を掛けて滞在する「レジャーその他」であると推定する。150分を超える滞在は、単独では推定困難であるので、推定処理の対象外とする。このような判別を行う閾値は、測定を行う地域の特定や、その他得られたデータの解析により、適宜調整して最適化を図ることができる。
一方で、主に昼間に、始点が自宅で終点が自宅となる一連のトリップの途中で滞在することが多い経由アクティビティノードは、同様に短時間であれば買い物などの「立ち寄り」であると推定し、長時間であると社交、娯楽、食事、レクリエーション、送迎、通院、習い事等を行う「レジャーその他」であると推定する。この場合の閾値は、通勤通学の際の分類と同一でもよいし、測定地域特性により変更してもよい。
また、自宅から直行直帰したり、勤務先から一旦出て勤務先に戻る場合もあり、その間の経由アクティビティノードは、例えば、販売先、配達先、仕入れ先、購入先や、打ち合わせ先、集金先、往診先といった外回りであったり、工事作業先、農林業作業先などの業務先であったりするが、これらもまとめて「レジャーその他」と分類する。
経由アクティビティノードを経由するか否かにかかわらず、起点であるアクティビティノードから終点であるアクティビティノードまでの一連のトリップから、目的ごとのトリップを表1のそれぞれの行のように抽出することで、それぞれの移動測定対象の目的を持った行動の追跡が可能となる。
また、これらの施設の詳細な分類を行うため、上記のGIS判別手段123は、アクティビティノードが示す区域の情報を、地図情報データベースと対比するGIS分析を行うようになっている。
この地図情報データベースは、例えば学校や住宅地、商業施設、道路、橋などといった地理情報と座標とを併せ持ったものであり、アクティビティノードの座標範囲からその地点の地理情報を求めることができるものである。
例えば、平日昼間に滞在する通勤先と通学先とは、経由アクティビティノードを構成するトリップエンドの時間等が似通っているため、時刻だけでは判別が難しく、地図情報データベースを参考にして推定しないと間違いが生じやすい。また、上記の「レジャーその他」は種類が多岐に亘るため、デパート、病院、農地などの地図情報から分類して、その経由アクティビティノードを経由する目的を推定する。また、「立ち寄り」と推定された経由アクティビティノードでも、地図情報で駅や停留所であると、単純に移動手段を乗り換えるトリップの中継点であると推定し直すことができる。
上記GIS判別手段123での照合は図10に記載のような手順により行う。すなわち、地図上で求めたアクティビティノードを入力したレイヤ(図中上の平面)を、メッシュ化された国土数値情報(図中下の平面)に重ね合わせる。このメッシュ化された国土数値情報には上記の施設等の情報に加えて、道路、線路、河川等の、座標軸上の配置が含まれている。
基本的には、アクティビティノードに含まれる意味のある施設、地点がそのアクティビティノードを示す情報として推定されるが、1つのアクティビティノードの中に、複数の施設、地点が重畳されている場合には、メッシュに重なるアクティビティノードの面積の大きさが一番大きなメッシュが照合、選択される。
この実施形態にかかるシステムは、上記のようにして抽出されたアクティビティノードの中心地点を記録する、アクティビティノード蓄積手段を有している。アクティビティノードについて解析を行うたびに、上記測位点データから毎回抽出作業を行うことなく、簡易に解析を行うことができるのでより好ましい。また、この際に記録する情報としては、単純な中心位置だけではなく、アクティビティノードを抽出した範囲半径、構成するトリップエンド数、構成するトリップエンドの平均到着時刻、平均滞在時間等の情報、それぞれのラベリングした属性を含んでいると、より広範で複雑な解析が可能となるためより好ましい。
このように用いるアクティビティノード蓄積手段は、上記の測位点蓄積手段や区間蓄積手段、ショートトリップ蓄積手段、トリップエンド蓄積手段などの蓄積手段と同一のデータベースとして構成することができるものであると好ましい。アクティビティノードの元になったトリップエンドやショートトリップのデータを関連づけて参照できるためである。
この発明にかかるシステムは、上記のアクティビティノードラベリング手段122や、GIS判別手段123により、アクティビティノードが示す施設をラベリング、又は判別した後で、そのアクティビティノードを構成するトリップエンドに繋がるトリップについて、そのトリップに含まれるショートトリップの推定される移動手段を、上記の速度評価手段114でされた評価付けから修正するショートトリップ二次判定手段119を有しているとより好ましい。これは、一つのトリップが一つの移動手段からなるものと仮定することによる修正である。移動手段が自動車又は電車である場合、速度−角速度の仮想平面上の領域で上記単位区間を評価する上記の評価付けでは、低速時の移動は徒歩に対応すると判断されてしまう。このような場合、時系列で連続するアクティビティノードがそれぞれ駅である場合には、その間の移動手段が例え自動車や徒歩に対応する評価付けされていても電車であると修正することができる。同様に、アクティビティノードがそれぞれ駐車場である場合には、その間の移動手段が例え電車や徒歩に対応する評価付けされていても、自動車であると修正することができる。さらに、同様に、アクティビティノードがそれぞれバス停留所であるものは、個人自動車ではなく路線バスによる移動であると判断することができる。
なお、このようにしてアクティビティノードである地点の内容をラベリングにより推定、又はGISにより判別することで、上記移動端末を携帯又は搭載する上記移動測定対象がそのアクティビティノードに滞在する目的を推定し、一つの移動目的ごとのトリップの詳細な内容を求めることができる。
このようにしてトリップを解析することにより、その移動測定対象の移動目的、移動習性や、移動時の問題点等を分析することが出来る。
さらに、この発明にかかるシステムは、複数の上記移動端末について同時に移動を追跡することで、多人数の動きを大規模に追跡するものでもよい。すなわち、上記のようなアクティビティノードの抽出を自動的に行うことができるため、それぞれの抽出手段を実行する演算能力が十分なものであれば、多数の上記移動端末によるプローブデータ集合に対しても、容易に規模を拡張してそれぞれの移動測定対象のアクティビティノードを抽出して、それぞれの移動測定対象の行動を追跡、解析できる。この場合、上記の測位点データ、区間、トリップエンド、ショートトリップ、アクティビティノードとなる情報は、いずれもどの移動端末によるものか判別可能な識別IDを有することが必要となる。処理可能な人数は、この発明にかかるシステムで上記の手段を実行する演算能力と情報を記録する装置の記憶容量にもよるが、数万人程度の移動端末について移動の解析を行うことが可能である。
この実施形態にかかるシステムは、上記アクティビティノード抽出手段121が複数の移動端末のそれぞれについてアクティビティノードを抽出するようになっており、上記の公衆アクティビティノード抽出手段124は、複数の上記移動端末について求めたアクティビティノードの集合に対して、クラスタリングにより、アクティビティノードの中心点が規定の位置範囲内に規定数以上存在する、上記移動端末間の共通集合地域を抽出するようになっている。以下、この共通集合地域を、便宜上、公衆アクティビティノードと呼ぶ。
この公衆アクティビティノードは、具体的には、図11のような、規定の範囲β内に規定数以上の上記移動端末の数に対応する上記アクティビティノードの中心(図中×印)が集中する区域であり、これは、すなわち、それだけの規定数以上の移動端末に対応する人間又は自動車が、その区域に頻繁に立ち寄る、又は滞在する場所であることを示す。なお、規定の範囲β内に集中するとは、上記のアクティビティノード抽出手段121で求めた、アクティビティノードの中心点がその範囲内に集中することを意味する。上記の規定の半径βとは、都市の規模や状況、都市か郊外かの地域特性により最適値が変わる閾値であり、80m以上、100m以下であると最適値が得られやすい。また、規定数は上記プローブデータ集合を構成する情報の元となった上記移動端末の数により変わり、地域特性によっても最適値が変化する。
上記の公衆アクティビティノード抽出手段124は、具体的には、上記のトリップエンドからアクティビティノードを抽出するアクティビティノード抽出手段121と同様に、クラスタリングにより公衆アクティビティノードを抽出する。ここでは、各々のアクティビティノードが、それを構成するトリップエンドの数によって重み付けされているため、非階層クラスタ処理を行うと好ましい。
すなわち、アクティビティノードの中心位置を計算上の点とし、それぞれのアクティビティノードを構成するトリップエンド数に応じた重み付けをした上で、最も近接した二点間の重心を、重み付けを加味して求める。求めた重心と、次に近い点との重心を、同様に重み付けを加味して求める。これを、求めた重心と、次に近い点との距離が上記の規定の範囲を超えた時点でクラスタリングを収束し、その段階での重心を公衆アクティビティノードの中心であると推定する。
なお、このような重心法ではなく、群平均法を用いても効果的に公衆アクティビティノードの中心を求めることができる。1つのアクティビティノードに属しているトリップエンドのデータ数の重み付けが、公衆アクティビティノードの位置に大きく影響するためである。
このように抽出された公衆アクティビティノードは、それを構成するそれぞれのアクティビティノードにおいてラベリングされた属性を受け継いでラベリングしてもよい。
また、この発明にかかるシステムは、公衆アクティビティノードに繋がるトリップ又はショートトリップを構成する区間のベクトルが、放射状に広がっているか、直線状に連なっているかなど、ベクトルの集合の傾向により公衆アクティビティノードのタイプを分類する、集中/分散分析手段を有していてもよい。例えばバス停留所は、周辺が住宅地であると、その住宅地から特に特定の方向という傾向を示さずにトリップが集中し、また、トリップが一定の方向に並んでいる場合は、人の流れがそこで固定化されていると考えられる。このような集中/分散分析手段による分析結果は、上記のラベリングと合わせて、公衆アクティビティノードの内容の判別に用いることができる。
上記のGIS判別手段は、抽出された公衆アクティビティノードについて、上記の地図情報データベースと対比させて、その地点又は施設が何であるかを判別するようになっている。なお、このGIS判別手段123は、上記のアクティビティノードの判別を行うGIS判別手段123と同様の判別を行うものであり、同一又は別々に設けることができる。
具体的には、上記公衆アクティビティノード抽出手段124で求めた公衆アクティビティノードの中心から、半径βmの円の中にある、GISが意味のある情報を照会し、得られた情報を公衆アクティビティノードのカテゴリとして推定する。具体的な上記GIS判別手段123での照合は、上記アクティビティノードでの照合と同様の方法により行うことができる。この半径βは、50m以上100m以下の閾値であると好ましい。なお、公衆アクティビティノードは、それを構成するアクティビティノードの中心が既にトリップエンドから精査されているために、密集度が高いので、アクティビティノードの抽出の閾値より小さく設定することが出来る。具体的には、都市部では半径50m、郊外では半径100m、その中間では半径80mであると好ましい。
この実施形態にかかるシステムは、上記のようにして抽出された公衆アクティビティノードの中心や構成するアクティビティノードの中心を記録する、公衆アクティビティノード蓄積手段を有している。公衆アクティビティノードについて解析を行うたびに、上記測位点データから毎回抽出作業を行うことなく、簡易に解析を行うことができるのでより好ましい。
また、この際に記録する情報としては、単純な中心位置だけではなく、公衆アクティビティノードを抽出した範囲半径、構成するアクティビティノードの中心とそれぞれを構成するトリップエンド数、構成するトリップエンドの平均到着時間等の情報、それぞれのラベリングした属性、GIS判別手段123により判別された地形情報を含んでいるか、又はこれらの情報を参照できるように、元になったアクティビティノードやショートトリップの識別IDを含んでいると、より広範で複雑な解析が可能となるためより好ましい。
このように用いる公衆アクティビティノード蓄積手段は、上記の各蓄積手段と同一のデータベースとして構成することができるものであると、その公衆アクティビティノードの元になったアクティビティノードやトリップエンド、ショートトリップを参照できるものであると、より詳細な解析が可能となるため好ましい。
このように、アクティビティノードや公衆アクティビティノードの内容を判別すると、それらを目的地、あるいは自宅や勤務先等の帰還地とする、移動目的ごとの一連のトリップを、その移動目的や内容まで判別、解析することが可能となる。
この際、公衆アクティビティノードの内容が判別しているため、例えば平日の昼間に滞在している通勤先と通学先の区別を付けて、上記の表1のように、それぞれのトリップを詳細に分類することが出来る。これに限らず、病院への通院、ショッピングセンターへの買い物など、行き先ごとに細かくトリップを識別し、それぞれのトリップごとの人の流れを分析することが出来る。また逆に、1つの公衆アクティビティノードに集中する移動測定対象のみについて、その特異性を解析し、見いだすことも可能となる。
この公衆アクティビティノードは多数の人間が集まる地点であるので、この公衆アクティビティノードの滞在時間や到着時間等を解析することで、測定地域内における人の流れを分析することが出来る。ここで公衆アクティビティノードの滞在時間とは、元になったアクティビティノードの滞在時間、すなわちトリップエンドとなる滞在型ショートトリップの始点と終点との時間差についての情報を継承するものであり、それらの平均や合計などの形で分析できる。この実施形態にかかるシステムでは、この公衆アクティビティノードの抽出までを行うことができるため、従来のWEBダイアリを用いたシステムに比べて、大規模に人の流れを追跡することができる。
この実施形態にかかるシステムは、公衆アクティビティノードを構成するアクティビティノード及びトリップエンドの保有する情報から様々な分析を行う分析データ作成手段125を有している。様々な分析とは、例えば、滞在人数、滞在時間長、滞在時刻、滞在頻度、その公衆アクティビティノードまでのトリップの長さであるアクセス距離、その公衆アクティビティノードまでのトリップの時間であるアクセス時間、その公衆アクティビティノードまでに用いた移動手段であるアクセス手段、その公衆アクティビティノードに至るトリップの前のトリップエンドからなるアクセス元出発点などが挙げられる。
具体的には、公衆アクティビティノードを構成する各々のアクティビティノードを構成するトリップエンドを含む滞在型ショートトリップの、平均滞在時間や、到達した時刻、その直前のトリップの長さなどに対して、人数をプロットすることで、それぞれ、図12のように、その公衆アクティビティノードに集まる人の待ち時間や、集中する時間、その地点までに要するアクセス距離などを分析することができる。このような分析を駅や停留所などの交通・輸送施設である公衆アクティビティノードについて行うと、都市における人の流れの問題点を抽出することができる。また、上記の渋滞ショートトリップからなるアクティビティノードが集中した公衆アクティビティノードが街路上に存在していると、そこで交通渋滞が頻発していることが判別可能である。
上記のトリップ最適値検証手段は、上記トリップエンド抽出手段120で抽出される終点トリップエンドと時系列上次の始点トリップエンドとの間の移動距離、すなわち、トリップの移動距離と、上記区間を用いずに求めた移動手段ごとの移動区間情報とを、距離範囲ごとに分類して、距離範囲ごとの頻度を比較し、その頻度の偏差が最も小さくなるように、上記速度評価手段114、上記滞在型ショートトリップ識別手段116、及び上記トリップエンド抽出手段120における所定の値の最適値を求めるようになっている。
ここで、上記単位区間を用いずに求めた移動手段ごとの移動区間情報とは、この発明にかかる手段で算出した移動の情報ではなく、上記移動端末を携帯する所有者によって、比較の為に別途用意した移動の情報である。
このような別途用意した移動の情報の元となるデータは、例えば、上記の所有者によってWebページを経由して申告された行動記録であるWEBダイアリのデータを用いたり、単純なアンケート用紙に記入された内容を人力でコンピュータに入力してデータ化したり、マークシート形式のアンケート用紙を工学的な読みとり機械によりデータ化したりした情報が挙げられる。これらのデータはいずれも、申告する期間における上記の所有者が、いつどのような移動手段を用いて移動したかの記録である。
アンケート用紙の場合は、その移動手段ごとの移動の始点と終点との時刻に最も近い、その申告者が携帯していた上記移動端末の測位点データを参照し、それぞれの測位点データの測位位置を、その時点における上記移動端末の存在位置とする。その二つの測位点データの間の上記単位区間の合計移動距離を、申告された移動手段に対応する移動区間情報として取り扱う。
また、Webダイアリのデータは、例えば以下のように記録するとよい。まず、上記の所有者にGPS機能を有する携帯電話を所持させ、目的を持った移動ごとに、移動の始点と終点との時点で携帯電話を操作して、時刻と緯度経度を記録させる。次に、その記録をパソコンで参照しながら、それぞれの移動目的ごとの移動の移動手段、出発点と到着点の施設名を入力させて、先に測定した時刻及び緯度経度とまとめることで、上記移動区間情報とする。なお、パソコンでの入力にあたっては、予め主要施設は画面上に表示されるプルダウンメニューで選択可能としておき、それぞれの所有者が頻繁に立ち寄ることになる自宅や職場などについては、地図上からその地点を選択することで緯度経度情報と合わせた施設名をメニューに追加可能としておくと、それぞれの所有者の入力の手間を簡略化できる。
これらの移動区間情報は、この発明にかかるシステムによる算出とは別の方法で算出された移動手段ごとの移動距離であり、この移動区間情報と、この発明により算出された上記トリップとを比較することでこの発明にかかるシステムで用いる閾値が状況に適した値がどうかを検証することが出来る。
その比較方法としては、上記移動区間情報と、上記トリップとを、それぞれ、図13のように、対数スケール又はそれに近い区分となる距離範囲ごとに分類して、距離範囲ごとの頻度を比較する。一旦その頻度の偏差を求め、次に、上記ショートトリップを求める上記速度評価手段114における移動手段ごとの速度規範の値を変更してショートトリップを求めた上でトリップを求め、同様に上記移動区間情報と、上記トリップとを距離範囲ごとに分類して同様に頻度の偏差を求める。また、滞在型ショートトリップ識別手段116と、トリップエンド抽出手段120とにおける所定の時間や所定の位置範囲の値を変更して、同様に頻度の偏差を求める。この偏差を求める作業を、この発明にかかるシステムで解析する上記移動端末のうちの一部の上記移動端末について繰り返しこの偏差が最も小さくなる場合の、それぞれの手段における所定の値を、手段における最適値とする。
この実施形態にかかるプローブデータ解析システムは、機械的に大規模にプローブデータを解析して、得られたアクティビティノードや公衆アクティビティノードについて様々な分析を行うことができる。例えば、それらを構成するトリップエンドを参照して、ある二点間の平均所要時間や、ある点における平均滞在時間、ある点に向かう人の地理的時期的傾向など、測定地域内における移動測定対象である人間の、大規模な行動分析が可能となる。
また、この実施形態にかかるプローブデータ解析プログラムは、上記のシステムをコンピュータに実現させるために実行される、上記のそれぞれの手段を備えた一連のプログラムである。このプログラムは、光ディスク、磁気ディスクなどの一般的な記憶媒体に記憶されるものであり、プログラムを実行する演算装置とそのための一時メモリや、プローブデータ蓄積手段が記録する記憶装置とを備えたシステムに導入することで、この発明にかかるプローブデータ解析システムを製作することができる。
以下、この実施形態にかかるプローブデータ解析システムを用いて、複数の移動測定対象の行動と地域における人の移動を解析した例を示す。
この例は、移動端末として自律測位機能付きGPS搭載携帯電話を使用して32人の人間に6日間に亘って所持させ、30秒間隔で時刻と緯度と経度からなる測位点データを取得して、順次、識別IDを含めた測位点データを移動体通信網とインターネットとを通じてプローブデータ解析システムに自動送信し、プローブデータ蓄積手段により磁気ディスクに記録するものとした。
プローブデータ解析システムは、記録された測位点データから区間識別手段により上記単位区間を識別し、それぞれの上記単位区間について速度算出手段で角速度を含む速度を求めた。これらの求めた上記単位区間と速度のデータは、プローブデータ蓄積手段により上記と同じ磁気ディスクに、元の測位点データを参照可能として記録した。
記録した上記単位区間について、C=150(km/h・deg/sec)で図3のフローであるクレンジング手段を実行し、出力されなかった上記単位区間を次の速度評価手段の対象から除外するマーキングを、磁気ディスク上のデータに対して行った。
速度が0km/h以上10km未満である上記単位区間を角速度に関係なく徒歩とし、速度が10km/h以上50km/h未満であり角速度が0deg/sec以上60deg/sec以下である上記単位区間を自動車とし、速度が50km/h以上120km/h以下であり角速度が0deg/sec以上30deg/sec以下である上記単位区間を電車とする速度規範に基づいて、マーキングされていない全ての上記単位区間について評価付けを行った。
このうち、徒歩と推定された上記単位区間の連続であるショートトリップをショートトリップ抽出手段により抽出し、このショートトリップを構成する上記単位区間のうち、一定時間Ts=5分以上に亘って半径r=30mの円である一定範囲内に留まり続け、その範囲から逸脱する直前の上記単位区間まで含めた上記単位区間の連続について、その一連の上記単位区間の始点から終点を、滞在型ショートトリップ抽出手段により滞在型ショートトリップとして抽出した。
抽出した滞在型ショートトリップから、トリップエンド抽出手段により始点トリップエンドと終点トリップエンドとを抽出した。また、一つの上記単位区間を構成する測位点データが10分以上に亘って離れており、その二点間の距離が60m未満である上記単位区間も、その上記単位区間の始点を終点トリップエンドとし、上記単位区間の終点を始点トリップエンドとした。
次に、アクティビティノード抽出手段により、全ての始点トリップエンドについて、元になった測位点データの識別IDごとに、アクティビティノードの抽出を行った。計算方法としては重心法を用いて、最大距離α=100mと設定した。計算は、まず全トリップエンドについて、隣接するトリップエンドとの距離を測定し、その距離が最も短い二点間の重心を算出する。次にこの重心と、その重心に最も近いトリップエンドとの重心を求める。これを繰り返し、求めた重心と次の計算対象となるトリップエンドとの距離が100mを超える前まで重心を計算した。それまでに、最終的な重心から半径100mの円内に含まれるトリップエンド数が5個以上となったものをアクティビティノードとし、その重心をアクティビティノードの中心位置とした。
続けて、そのアクティビティノードの判断に含まれていない始点トリップエンドの中で、最も距離が短い二点間について、重心を算出した。同様にその重心に最も近いトリップエンドとの重心を求めることを繰り返し、同様の条件となるアクティビティノードを抽出した。これらの手順を、残る始点トリップエンドのうち、隣接する始点トリップエンドとの距離が100m以下であるもの全てについて行った。
上記のアクティビティノードの抽出を全ての移動端末ごとの識別IDごとに行った。得られたアクティビティノードの中心位置と、それを構成するトリップエンドとを関連づけて、アクティビティノードからトリップ及びトリップエンドを参照できるようにしつつ、それぞれのアクティビティノードを識別できるようにIDを付して、プローブデータ蓄積手段により、上記と同一の記憶装置に記録した。
次に、全ての移動端末のアクティビティノードの中心点を、一つの平面上に存在するものとして、公衆アクティビティノード抽出手段により、公衆アクティビティノードの抽出を行った。計算方法としては、重心法を用いて、最大距離β=80mと設定した。計算は、まず全アクティビティノード中心について、隣接するアクティビティノード中心との距離を測定し、その距離が最も短い二点間の重心を算出した。ただしこの際に、全てのアクティビティノード中心は等価ではなく、それぞれのアクティビティノードを構成するトリップエンドの数に比例する重み付けを行った上で、重心を計算した。次にこの重心とその重心に最も近いアクティビティノード中心との重心を、同様に構成するトリップエンドの数に比例した重み付けを行って算出した。これを繰り返し、求めた重心と次の計算対象となるトリップエンドとの距離が80mを越える前まで重心を計算した。それまでに最終的な重心から半径80mの園内に含まれるアクティビティノード数が2個以上となったものを公衆アクティビティノードとし、その重心を公衆アクティビティノードの中心位置とした。
続けて、その公衆アクティビティノードの判断に含まれていないアクティビティノードの中で、最も距離が短い二点間について、重心を算出した。同様にその重心に最も近いアクティビティノード中心との重心を求めることを繰り返し、同様の条件となる公衆アクティビティノードを抽出した。これらの工程を、残るアクティビティノード中心のうち、隣接するアクティビティノード中心との距離が80m以下であるもの全てについて行った。
得られた公衆アクティビティノードの中心位置と、それを構成するアクティビティノードとを関連づけて、公衆アクティビティノードからアクティビティノード、トリップ及びトリップエンドを参照できるようにしつつ、それぞれの公衆アクティビティノードを識別できるようにIDを付して、プローブデータ蓄積手段と同一の記憶装置に記録した。
このようにして求めた公衆アクティビティノードとアクティビティノードを平面上にプロットしたデータを図14に示す。図中線は道路であり、大きな円が公衆アクティビティノードであり、小さな円は個々の移動端末のアクティビティノードの中心を示す。
また、以上の抽出過程の途中で求められた滞在型ショートトリップのうち、識別された回遊ショートトリップの例を図15に示す。小さな丸印は測位点データであり、それが中央やや下付近に方向性を持たずに密集している。
この発明にかかるシステムの概念図 測位点データと単位区間の概念図 (a)クレンジング手段の具体的なメインフロー図、(b)クレンジング手段中の処理1を示すフロー図、(c)クレンジング手段中の処理2を示すフロー図、(d)処理1の概念図、(e)処理2の概念図 クレンジング手段のパラメータCの概念図 単位区間を速度−角速度平面にプロットし移動モードを推定するグラフの例図 二対のパラメータによる滞在型ショートトリップ識別手段の実行方法の概念図 (a)直線距離の変遷における回遊ショートトリップを示す例図、(b)直線距離の変遷における渋滞ショートトリップを示す例図 回遊、渋滞ショートトリップとショートストップの概念図 トリップエンドとアクティビティノードの概念図 GIS判別の際のレイヤ重ね合わせの概念図 アクティビティノード中心と公衆アクティビティノードの概念図 公衆アクティビティノードの分析例を示す図 トリップの最適値検証の例を示す図 実施例において抽出したアクティビティノードと公衆アクティビティノードの実例図 実施例において抽出した回遊ショートトリップの実施例 従来のプローブデータ解析手段の概念図
符号の説明
ST ショートトリップ
TE トリップエンド
AN アクティビティノード
公衆AN 公衆アクティビティノード

Claims (11)

  1. 一定時間間隔で測位された移動端末の位置情報とその測位時刻とを含む測位点データを要素としたプローブデータ集合の中から、時系列で連続する2つの測位点データ間を一つの単位区間として識別する区間識別手段と、
    前記単位区間における前記移動端末の速度を前記測位点データに基づいて求める速度算出手段と、
    徒歩を含む所定の移動手段のそれぞれに対応させて予め定められた速度規範に基づいて、前記移動端末の速度がいずれの速度規範に該当するかを前記単位区間ごとに評価付けする速度評価手段とを備えたプローブデータ解析システムにおいて、
    同一評価の前記単位区間が時系列で連続する範囲を一つの評価連続区間として判別するショートトリップ抽出手段と、
    前記徒歩に対応する評価の評価連続区間を構成する測位点データのうち、所定の位置範囲内に収まる測位点データの連続する範囲が所定の時間以上に亘る測位点集中域を判別する滞在型ショートトリップ識別手段と、
    前記の測位点集中域の始点となる測位点データ及び終点となる測位点データのうち少なくとも一方を抽出するトリップエンド抽出手段とを備えたことを特徴とするプローブデータ解析システム。
  2. 上記測位点集中域のうち、その測位点集中域の始点である測位点データと、その始点以外の測位点データとのそれぞれの直線距離が、時系列上で減少する部分を有するものと有さないものとを分離抽出する、滞在型ショートトリップ分離手段を有する、請求項1に記載のプローブデータ解析システム。
  3. 上記滞在型ショートトリップ識別手段において、半径がr1の円内に収まる測位点データの連続する範囲が所定の時間t1以上に亘る測位点集中域と、
    半径r2の円内に収まる測位点データの連続する範囲が所定の時間t2以上に亘る測位点集中域との両方を判別するものであり、r1<r2かつt1<t2である、請求項1または2に記載のプローブデータ解析システム。
  4. その測位点データの位置情報が実際の存在位置から許容範囲を超えて離れた基地局基準の位置となっているハンドオーバー状態に該当する測位点データを判別するクレンジング手段を有し、
    その該当する測位点データの前後の測位点データから仮想的な単位区間を算出して、その測位点データの前後の上記単位区間の代わりに、前記仮想的な単位区間を対象として上記速度評価手段を実行する、請求項1乃至3のいずれかに記載のプローブデータ解析システム。
  5. 上記トリップエンド抽出手段により抽出された上記測位点データの集合に対して、クラスタリングにより、その測位点データが規定の位置範囲内に規定の数以上集中した集中区域を抽出するアクティビティノード抽出手段を有する、請求項1乃至4のいずれかに記載のプローブデータ解析システム。
  6. 上記の集中区域の内容を、その集中区域を構成する上記測位点データのうち、所定の日時の条件を満たすものを抽出してラベリングする、アクティビティノードラベリング手段を有する、請求項5に記載のプローブデータ解析システム。
  7. 上記集中区域の位置情報を地図情報データベースと対比させることで、上記集中区域が示す地点を判別するGIS判別手段を有する、請求項5又は6に記載のプローブデータ解析システム。
  8. 複数の移動端末について求めた上記集中区域の集合に対して、クラスタリングにより、その集中区域の中心点が規定の位置範囲内に規定数以上集中する端末間の共通集合地域を抽出する、公衆アクティビティノード抽出手段を有する、請求項5乃至7のいずれかに記載のプローブデータ解析システム。
  9. 上記の共通集合地域の位置情報を地図情報データベースと対比させることで、上記の共通集合地域が示す地点を判別するGIS判別手段を有する、請求項8に記載のプローブデータ解析システム。
  10. 上記トリップエンド抽出手段で抽出される上記の終点となる測位点データと、時系列上次の上記の始点となる測位点データとの間の移動距離、及び、上記単位区間を用いずに求めた移動手段ごとの移動区間情報を、距離範囲ごとに分類して距離範囲ごとの頻度を比較し、その頻度の偏差が最も小さくなるように、上記速度評価手段、上記滞在型ショートトリップ識別手段、及び上記トリップエンド抽出手段における所定の値の最適値を求めるトリップ最適値検証手段を有する、請求項1乃至9のいずれかに記載のプローブデータ解析システム。
  11. コンピュータを、一定時間間隔で測位された移動端末の位置情報とその測位時刻とを含む測位点データを要素としたプローブデータ集合の中から、時系列で連続する2つの測位点データ間を一つの単位区間として識別する区間識別手段と、
    前記単位区間における前記移動端末の速度を前記測位点データに基づいて求める速度算出手段と、
    徒歩を含む所定の移動手段のそれぞれに対応させて予め定められた速度規範に基づいて、前記移動端末の速度がいずれの速度規範に該当するかを前記単位区間ごとに評価付けする速度評価手段とを備えたプローブデータ解析システムにおいて、
    同一評価の前記単位区間が時系列で連続する範囲を一つの評価連続区間として判別するショートトリップ抽出手段と、
    前記徒歩に対応する評価の評価連続区間を構成する測位点データのうち、所定の位置範囲内に収まる測位点データの連続する範囲が所定の時間以上に亘る測位点集中域を判別する滞在型ショートトリップ識別手段と、
    前記の測位点集中域の始点となる測位点データ及び終点となる測位点データのうち少なくとも一方を抽出するトリップエンド抽出手段として機能させることを特徴とするプローブデータ解析プログラム。
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