JP2008144666A - 蒸気タービンのタービンノズル及び湿分分離方法 - Google Patents

蒸気タービンのタービンノズル及び湿分分離方法 Download PDF

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Abstract

【課題】蒸気の損失によるタービン性能の低下を防止できると共に、タービンノズル表面の湿分の捕集効率を向上できること。
【解決手段】両端がダイヤフラム外輪2とダイヤフラム内輪1とによって支持された蒸気タービンのタービンノズル30において、ノズル正圧面18側からノズル前縁端11を通ってノズル負圧面19側に回り込んでタービンノズルの表面に形成され、且つノズル前縁端11において鉛直方向の高さが低くなるように設けられた誘導溝14と、この誘導溝におけるノズル前縁端11位置に連通し、且つノズル内部空間16に連通する湿分回収孔15とを備えた湿分分離構造を有するものである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、蒸気タービンのタービンノズル及び蒸気タービンの湿分分離方法に係り、特に、蒸気タービンの低圧段落に適用されて好適な蒸気タービンのタービンノズル及び蒸気タービンの湿分分離方法に関する。
原子力・火力・地熱発電プラント等で使用される蒸気タービンの低圧段落においては、作動流体である蒸気の温度・圧力が低くなるため、蒸気が膨張する過程で一部が凝縮し液滴(水滴)が発生する。
図15はダイヤフラム内輪1とダイヤフラム外輪2によって支持されたタービンノズル3と、タービンディスク4に植設された羽根5とから構成される低圧蒸気タービンの最終段落に、同様の構成をもつ低圧蒸気タービンの最終前段落の羽根6を加えた領域において、蒸気および水滴の軌跡を模式的に示したものである。図15において、作動流体である蒸気は破線で示す流線7で示されるような軌跡をたどるのに対し、最終前段落までに発生した水滴は羽根6の後縁端10から遠心力によって実線で示す流線8のようにタービンノズル3のダイヤフラム外輪2側へ飛散する。
これら水滴はタービンノズル3のノズル前縁端11周辺に付着すると、成長して水膜12を形成しながらタービンノズル3の表面上に沿って後縁側へ向かい、ノズル後縁端9に達すると蒸気の流れ(流線7)により引きちぎられ、再び水滴となって羽根5へ飛散する。このとき、水滴は慣性により蒸気の流れ(流線7)から外れて、羽根5の前縁端13周辺に衝突し浸食の原因となる。また水滴は、羽根5の前縁端13へ衝突すると回転に対する制動作用をもたらすほか、水滴の加速のために蒸気のエネルギーが消費されるなど、湿り損失となって効率低下の原因ともなる。
図16は、モデルタービンにより蒸気タービン最終前段落におけるタービンノズル(不図示)の入口湿り度を詳細に観察した結果の一例であり、横軸に湿り度を、縦軸にタービンノズルの高さ方向の位置を示したものである。このタービンノズルのダイヤフラム外輪2側の湿り度がより高くなっていることから、タービン最終段落のタービンノズル3では、図15に示すように、その最終前段落の羽根6から吹き飛ばされた水滴は、湿分の流線8の軌跡をたどって、タービンノズル3のノズル前縁端11のダイヤフラム外輪2側に集められて水膜12を形成し、その後、蒸気の流れ(流線7)に引きずられながら移動していくものと考えられる。
これまでに、タービンノズル3の表面に付着する湿分を分離除去する構造として、タービンノズル3の表面に溝を設けて湿分を集め、この湿分をダイヤフラム外輪2に設けたスリット、あるいは溝端部の吸引孔へ誘導して排出する方法(特許文献1〜3)や、タービンノズル3の内部を中空とし、このタービンノズル3の表面にスリットを設け、タービンノズル3の表面に付着した湿分を、スリットを通過させてタービンノズル3の内部に捕集して除去するもの(特許文献4、5)が提案されている。
特開2001−152807号公報 特開2000−145404号公報 特開昭62−261604号公報 特開平11−22410号公報 特開2004−124751号公報
これまでに提案されたタービンノズルの表面に付着した湿分を分離し除去する構造のうち、スリットを通じた湿分の排出方法(特許文献4、5)では、タービンノズル3の表面上の水膜12が蒸気の流れ(流線7)に引きずられてノズル前縁端11から後縁側へ向かう過程で、いくつかの細流や水滴に分裂して移動する場合も考えられるため、スリット内部に湿分だけでなく蒸気も一緒に巻き込まれてしまい、これにより、蒸気流量が減少して蒸気が損失し、タービンの性能が低下する恐れがある。
一方、溝により湿分を誘導する方法(特許文献1、2、3)の場合には、湿分を溝内に集めるため、湿分除去に伴う蒸気の損失は抑制されるが、湿分の溢流などが生じて湿分の捕集効率が低下する恐れがある。
本発明の目的は、上述の事情を考慮してなされたものであり、蒸気の損失によるタービン性能の低下を防止し、タービンノズル表面の湿分の捕集効率を向上させることができる蒸気タービンのタービンノズル及び蒸気タービンの湿分分離方法を提供することにある。
本発明に係る蒸気タービンのタービンノズルは、両端がダイヤフラム外輪とダイヤフラム内輪とによって支持された蒸気タービンのタービンノズルにおいて、ノズル正圧面側からノズル前縁端を通ってノズル負圧面側に回り込んでタービンノズルの表面に形成され、且つ上記ノズル前縁端において鉛直方向の高さが低くなるように設けられた誘導溝と、当該誘導溝における前記ノズル前縁端位置に連通し、且つノズル内部空間に連通する湿分回収孔とを備えた湿分分離構造を有することを特徴とするものである。
さらに本発明に係る蒸気タービンの湿分分離方法は、前段の羽根から飛散してタービンノズルの表面に付着した湿分を、ノズル前縁端において鉛直方向の高さが低くなるようにして上記表面に形成された誘導溝内に一旦集めて貯溜し、その後、この誘導溝内の湿分を、当該誘導溝における前記ノズル前縁端位置に連通する湿分回収孔を経て重力の作用でノズル内部空間へ導いて排出する特徴とするものである。
本発明に係る蒸気タービンのタービンノズル及び湿分分離方法によれば、羽根から飛散してタービンノズルの表面に付着した湿分を、ノズル正圧面側からノズル前縁端を通ってノズル負圧面側に回り込んでタービンノズルの表面に設けられた誘導溝に一旦集めて貯溜し、この誘導溝から湿分回収孔を経てノズル内部空間へ導くことから、タービンノズル表面の湿分が誘導溝に一旦集められることで、蒸気がノズル内部空間へ直接導入されて損失することを抑制できる。従って、蒸気の損失によるタービン性能の低下を防止できる。
さらに、誘導溝が、ノズル前縁端において鉛直方向の高さが最も低くなるように設けられ、この誘導溝のノズル前縁端位置が湿分回収孔を経てノズル内部空間に連通することから、タービンノズルの表面から誘導溝内に集められた湿分を流動させる駆動力が、蒸気の流れではなく重力の利用となる。このため、誘導溝内の湿分が蒸気の流れにより引きちぎられて飛散することがなく、しかも溢流も抑制できるので、タービンノズルの表面に付着した湿分の捕集効率を向上させることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面に基づき説明する。但し、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではない。
[A]第1の実施の形態(図1〜図5)
図1は、本発明に係る蒸気タービンのタービンノズルにおける第1の実施の形態がタービンケーシング上半部に収容された状態を子午面から目視して示す図である。図2は、本発明に係る蒸気タービンのタービンノズルにおける第1の実施の形態がタービンケーシング下半部に収容された状態を子午面から目視して示す図である。本実施の形態において、前記背景技術(図15)と同様な部分は、同一の符号を付す。
図1及び図2に示す蒸気タービンの低圧段落においては、作動流体である蒸気が膨張する過程で一部が凝縮して水滴となるので、この水滴である湿分を除去するために、タービン最終段落を構成するタービンノズル30は、誘導溝14及び湿分回収孔15を備えた湿分分離構造を有する。図1に示すタービンノズル30は、タービンケーシング上半部に収容されたものであり、図2に示すタービンノズル30はタービンケーシング下半部に収容されたものであって、共に、ダイヤフラム内輪1とダイヤフラム外輪2とにより支持されている。
前記誘導溝14は、図3に示すように、タービンノズル30の正圧面18側からノズル前縁端11を経由してノズル負圧面19側へ回り込んで、タービンノズル30の表面に形成される。このとき、誘導溝14は、ノズル前縁端11において、鉛直方向の位置が最も低くなるように設けられており、タービンノズル30の表面上で湿分の駆動力となる蒸気の流れ(図1、図2の流線)と交差する。また、図3に示すように、誘導溝14のノズル前縁端11位置において、ノズル内部空間16、17に連通する湿分回収孔15が、当該誘導溝14の底部に連通して設けられる。更に、誘導溝14は、図4に示すように、深さ方向を鉛直下向きにとり、鉛直上方に設けられた溝開口部22から湿分を流入する構造になっている。
ここで、図1に示すように、タービンケーシング上半部に収容されたタービンノズル30のノズル内部空間16は、ダイヤフラム内輪1の内部に設けられた内輪側ドレン捕集室20に連通する。また、図2に示すように、タービンケーシング下半部に収容されたタービンノズル30のノズル内部空間17は、上記内輪側ドレン捕集室20と、ダイヤフラム外輪2側に設けられた外輪側ドレン捕集室21との両方に連通する。
タービン最終前段落の羽根6(図15)の後縁端10より吹き飛ばされた湿分は、タービン最終段落のタービンノズル30(図1、図2)におけるノズル前縁端11近傍の表面に水膜12を形成する。この水膜12の湿分(図中破線矢印で示す)31は、タービンノズル30の表面上では湿分の流線8に沿ってノズル後縁端9側へ向かうが、湿分の流線8が途中で誘導溝14と交わると、蒸気の流れ(流線7)に引きずられて、誘導溝14の溝開口部22から誘導溝14内に取り込まれる。
また、蒸気の流れ(流線7)から外れてタービンノズル30に衝突し付着した水滴23は、そのタービンノズル30の表面上での軌跡(図中実線矢印で示す)24が誘導溝14と交わるような領域に到達したものについては、誘導溝14に捕集される。
誘導溝14は、前述の如く、タービンノズル30のノズル前縁端11に近づくほど鉛直方向に低く設けられ、また図4に示すように、誘導溝14の深さ方向が鉛直下向きに設定され、その上方の溝開口部22が狭く設定されている。これにより、タービンノズル30の表面上をノズル後縁端9側へ流れる蒸気が湿分に及ぼす影響、即ち蒸気の流れによって誘導溝14内の湿分31(水滴23を含む。以下同じ)が引きちぎられ、また誘導溝14外へ溢流することが少なくなる。そして、誘導溝14の内部に一旦取り込まれて貯溜された湿分31は、重力によりノズル前縁端11側へ流れていく。その後、この誘導溝14内の湿分31は、鉛直方向の高さが最も低くなる誘導溝14のノズル前縁端11位置において、図5に示すように誘導溝14の底部に設けられた湿分回収孔15から、重力の作用で、ノズル内部空間16へ導かれ排出される。
排出された湿分12は、図1及び図2に示すように、更に重力によって、ダイヤフラム内輪1の内輪側ドレン捕集室20を経由し、タービンケーシング下半部にあるタービンノズル30のノズル内部空間17へ移動し、そこで新たに回収された湿分31と共に、ダイヤフラム外輪2側のドレン捕集室21へ排出されて除去される。
以上のように構成されたことから、本実施の形態によれば、次の効果(1)〜(3)を奏する。
(1)タービン最終前段落の羽根6から飛散してタービン最終段落のタービンノズル30の表面に付着した湿分31を、ノズル正圧面18側からノズル前縁端11を通ってノズル負圧面19側に回り込んで当該タービンノズル30の表面に設けられた誘導溝14に一旦集めて貯溜し、この誘導溝14から湿分回収孔15を経てノズル内部空間16、17へ導くことから、タービンノズル30の表面の湿分31が誘導溝14に一旦集められることで、蒸気がノズル内部空間16、17へ直接導入されて損失することを抑制できる。従って、蒸気の損失によるタービン性能の低下を防止できる。
(2)誘導溝14が、ノズル前縁端11において鉛直方向の高さが最も低くなるように設けられ、この誘導溝14のノズル前縁端11位置が湿分回収孔15を経てノズル内部空間16、17に連通することから、タービンノズル30の表面から誘導溝14内に集められた湿分31を流動させる駆動力が、蒸気の流れではなく重力の利用となる。このため、誘導溝14内の湿分31が蒸気の流れにより引きちぎられて飛散することがなく、しかも溢流も抑制できるので、タービンノズル30の表面に付着した湿分31の捕集効率を向上させることができる。
(3)誘導溝14の深さ方向がタービンノズル30の鉛直下向きに設定され、鉛直上方に湿分流入用の溝開口部22が設けられたことから、湿分31を誘導溝14内に確実に貯溜することができ、タービンノズル30の表面を流れる蒸気によって湿分が引きちぎられたり、溢流することを防止できる。このため、湿分31の捕集効率を一層向上させることができる。
[B]第2の実施の形態(図6、図7)
図6は、本発明に係る蒸気タービンのタービンノズルにおける第2の実施の形態がタービンケーシング上半部に収容された状態を子午面から目視して示す図である。図7は、本発明に係る蒸気タービンのタービンノズルにおける第2の実施の形態がタービンケーシング下半部に収容された状態を子午面から目視して示す図である。この第2の実施の形態において、前記第1の実施の形態と同様な部分は、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
本実施の形態の蒸気タービンのタービンノズル40が前記第1の実施の形態のタービンノズル30と異なる点は、誘導溝14がタービンノズル40の高さ方向に位置を変えて複数本設けられたものである。各誘導溝14は、タービンノズル40の表面上で湿分31の流れの駆動力となる蒸気の流れ(流線7)と交差し、ノズル前縁端11において鉛直方向高さが最も低くなるように、子午面から目視したときに直線状または曲線状に設けられる。
従って、本実施の形態においても、前記第1の実施の形態の効果(1)〜(3)と同様な効果を奏するほか、次の効果(4)を奏する。
(4)誘導溝14が、タービンノズル40の高さ方向の位置を変えて複数本設けられたことから、タービンノズル40のノズル前縁端11近傍に形成される水膜12の湿分31を複数の誘導溝14に分散して誘導することができ、誘導溝14から湿分31が溢流することを抑制できる。また、ある誘導溝14から湿分31が溢れ出た場合にも、この湿分31は、タービンノズル40の表面上を動き、別の誘導溝14で取り込まれるため、除去できる湿分31の捕集効率を高めることができる。
[C]第3の実施の形態(図8)
図8は、本発明に係る蒸気タービンのタービンノズルにおける第3の実施の形態がタービンケーシング上半部に収容された状態を子午面から目視して示す図である。この第3の実施の形態において、前記第1の実施の形態と同様な部分は、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
本実施の形態の蒸気タービンのタービンノズル50が前記第1の実施の形態と異なる点は、誘導溝51の深さが、ノズル前縁端11に近づくほど深く、すなわち溝断面を大きく形成した点である。これは、タービンノズル50の表面から取り込まれて誘導溝51内を流れる湿分量が、ノズル前縁端11に近づくにつれて増えることに対応して設けられたものである。
従って、本実施の形態においても、前記第1の実施の形態の効果(1)〜(3)と同様な効果を奏するほか、次の効果(5)を奏する。
(5)誘導溝51の溝深さがノズル前縁端11に近づくほど深く形成されたことから、誘導溝51内を流れる湿分量がノズル前縁端11に近づくにつれて増える場合にも、湿分が誘導溝51から溢流することを防止でき、湿分の捕集効率を向上させることができる。
[D]第4の実施の形態(図9、図10)
図9は、本発明に係る蒸気タービンのタービンノズルにおける第4の実施の形態がタービンケーシング上半部に収容された状態を子午面から目視して示す図である。この第4の実施の形態において、前記第1の実施の形態と同様な部分は、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
本実施の形態の蒸気タービンのタービンノズル60が前記第1の実施の形態のタービンノズル30と異なる点は、図10に示すように誘導溝14に沿って複数の湿分回収孔61A、61B、61C、61D…が設けられ、各湿分回収孔61A〜61D…の寸法、即ち内径がタービンノズル60のノズル前縁端11に近づくほど大きく形成された点である。この構成も、タービンノズル60の表面から取り込まれて誘導溝14内を流れる湿分量が、ノズル前縁端11に近づくにつれて増えることに対応して設けられたものである。
従って、本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態の効果(1)〜(3)と同様な効果を奏するほか、次の効果(6)及び(7)を奏する。
(6)誘導溝14内の湿分は、ノズル前縁端11側に近づくにつれて増えるため、誘導溝14において、ノズル前縁端11にある湿分回収孔61Aまで湿分を導く途中に湿分回収孔61B、61C、61D…を設けることで、これらの湿分回収孔61B、61C、61D…から誘導溝14内の一部の湿分を、ノズル内部空間16、17へ除去することが可能になる。このように、誘導溝14に沿って設けられた複数の湿分回収孔61A、61B、61C、61D…から誘導溝14内の湿分をノズル内部空間16、17へ導くことから、誘導溝14からの湿分の溢流を抑制でき、湿分の捕集効率を高めることができる。
(7)誘導溝14に沿って設ける湿分回収孔61A〜61D…の内径が、図10に示すように、タービンノズル60のノズル前縁端11に近づくものほど大きく設定されている。このことから、誘導溝14において、ノズル前縁端11側に近づくにつれて内部の湿分が増えていくのに対応して、湿分回収孔61A〜61D…を経てノズル内部空間16、17へ導入する湿分の量を、ノズル前縁端11に近い湿分回収孔ほど増やすことができる。この結果、誘導溝14からの湿分の溢流を抑制でき、湿分の捕集効率を高めることができる。
[E]第5の実施の形態(図11、図12)
図11は、本発明に係る蒸気タービンのタービンノズルにおける第5の実施の形態を示す概略斜視図である。この第5の実施の形態において、前記第1の実施の形態と同様な部分は、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
本実施の形態の蒸気タービンのタービンノズル70が前記第1の実施の形態のタービンノズル30と異なる点は、図12に示すようにタービンノズル70が中実構造とされ、このタービンノズル70内に複数のドレン排出孔、例えばドレン排出孔71、72がノズル内部空間として設けられ、各ドレン排出孔71、72が湿分回収孔15を介して誘導溝14に連通された点である。この場合、これらのドレン排出孔71、72の内径は同一に形成されても、または異なって形成されてもよい。
つまり、本実施の形態では、湿分回収孔15は、ノズル内部空間16、17に代えて、ダイヤフラム外輪2を経由しタービンノズル70外の低圧部に連通するドレン排出孔71、72に接続されている。これらのドレン排出孔71、72は、中実なタービンノズル70を穿孔することによって作製される。また、各湿分回収孔15に接続されたドレン排出孔71、72の内径は必ずしも同一である必要はなく、それぞれ異なって形成されてもよい。タービンノズル70のノズル正圧面18または負圧面19から誘導溝14に引き込まれた湿分は、湿分回収孔15からドレン排出孔71、72を介して、タービンノズル70外の低圧部へ分離されて除去される。
従って、本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態の効果(1)〜(3)と同様な効果を奏するほか、次の効果(8)及び(9)を奏する。
(8)湿分回収孔15を介して誘導溝14内の湿分が排出されるノズル排出孔71、72が、中実構造のタービンノズル70を穿設することにより形成されることから、湿分を分離し除去するためのノズル内部空間16、17を確保するためにタービンノズル70を中空構造とする必要がないので、タービンノズル70の構成を簡素化できる。
(9)複数のドレン排出項71、72の内径が異なって形成された場合には、それぞれのドレン排出孔71、72内の圧力損失が異なるので、これらのドレン排出孔71、72内へ湿分回収孔15を介して引き込まれる誘導溝14内の湿分量を調整することができる。例えば、誘導溝14におけるノズル前縁端11位置に湿分回収孔15を介して連通するドレン排出孔71の内径が、ドレン排出孔72よりも大径に形成されている場合には、このドレン排出孔71内の圧力損失がドレン排出孔72よりも低くなり、湿分がドレン排出孔71内を流れ易くなるので、ドレン排出孔71から引き込まれる湿分量をドレン排出孔72よりも増大できる。この結果、誘導溝14において最も低い位置から湿分が溢流することを防止でき、湿分の捕集効率を向上させることができる。
[F]第6の実施の形態(図13)
図13は、本発明に係る蒸気タービンのタービンノズルにおける第6の実施の形態を示す概略斜視図である。この第6の実施の形態において、前記第1及び第5の実施の形態と同様な部分は、同一の符号を付すことにより説明を省略する。
本実施の形態の蒸気タービンのタービンノズル80が前記第5の実施の形態のタービンノズル70と異なる点は、ドレン排出孔71、72の少なくとも一つに流路面積変更部材としての多孔板81が設置された点である。この場合、ドレン排出孔71と72の内径は同一であっても、または異なって形成されてもよい。図13では、ドレン排出孔71と72が同一内径の場合を示す。
即ち、タービンノズル80内に設けられたドレン排出孔71、72の一部あるいは全て(本実施の形態ではドレン排出孔72)において、タービンノズル80外の低圧部に接続する面に、多孔板81が設置されている。この多孔板81が設置されたドレン排出孔72では、多孔板81を湿分が通過する際に圧力損失が生じ、多孔板81のないドレン排出管71との間で内部圧力が異なってくる。
従って、本実施の形態によれば、前記第1及び第5の実施の形態の効果(1)〜(3)及び(8)と同様な効果を奏するほか、次の効果(10)を奏する。
(10)複数のドレン排出孔71、72の少なくとも一つに多孔板81が設置されたことから、この多孔板81が設置されたドレン排出孔71、72(例えばドレン排出孔72)では、多孔板81が設置されていないドレン排出孔71、72(例えばドレン排出孔71)に比べて圧力損失が大きくなるので、これらのドレン排出孔71、72から湿分回収孔15を介して引き込まれる誘導溝14内の湿分の量を調整することができる。この結果、前記効果(9)と同様に、誘導溝14からの溢流を防止して、湿分の捕集効率を高めることができる。なお、本実施例において、圧力損失を低減させる手段として多孔板81の例で示したが、単孔板、網状部材等低減させる圧力に応じて変更することが可能である。
[G]第7の実施の形態(図14)
図14は、本発明に係る蒸気タービンのタービンノズルにおける第7の実施の形態をその表面に設けた誘導溝に沿って切断して示す断面図である。この第7の実施の形態において、前記第1の実施の形態と同様な部分は、同一の説明を付すことにより説明を省略する。
本実施の形態の蒸気タービンのタービンノズル90が前記第1の実施の形態のタービンノズル30と異なる点は、誘導溝14におけるノズル負圧面19側の端部91の位置を適切に設定した点である。
つまり、本実施形態では、誘導溝14におけるタービンノズル90のノズル負圧面19側の端点91は、その位置における子午面に直交するタービンノズル断面上で、ノズル負圧面19を形成する曲線の接線92がタービンの回転軸93と平行になる点にある。誘導溝14のノズル負圧面19側の端点が上記端点91よりも後縁側になると、タービンノズル90のノズル負圧面19に付着した湿分(水滴95)は、湿分の駆動力となる蒸気の流れの軸方向成分94がノズル負圧面19から離れる方向となるため、蒸気に引きちぎられてタービンノズル90の表面から剥がれ易くなる。また、この領域では新たに水滴が衝突し付着する可能性が低い。よって、誘導溝14のノズル負圧面19側の端点を前述の端点91位置とすることで、ノズル負圧面19側に付着した湿分の捕集効率が高まる。
従って、本実施の形態によれば、前記第1の実施の形態の効果(1)〜(3)と同様な効果を奏するほか、次の効果(11)を奏する。
(11)誘導溝11のノズル負圧面19側の端部91が、その位置における子午面に直交するタービンノズル90の断面上で、ノズル負圧面19を形成する接線92がタービン回転軸93と平行になる点に設定されたことから、タービンノズル90のノズル負圧面19に付着した湿分を誘導溝14に確実に導いて捕集することができ、湿分の捕集効率を向上させることができる。
本発明に係る蒸気タービンのタービンノズルにおける第1の実施の形態がタービンケーシング上半部に収容された状態を子午面から目視して示す図。 本発明に係る蒸気タービンのタービンノズルにおける第1の実施の形態がタービンケーシング下半部に収容された状態を子午面から目視して示す図。 図1及び図2のタービンノズルをその表面に設けた誘導溝に沿って切断して示す断面図。 図3の誘導溝を拡大して示す図3のIV‐IV線に沿う拡大断面図。 図3の誘導溝と湿分回収孔とを拡大して示す図3のV‐V線に沿う拡大断面図。 本発明に係る蒸気タービンのタービンノズルにおける第2の実施の形態がタービンケーシング上半部に収容された状態を子午面から目視して示す図。 本発明に係る蒸気タービンのタービンノズルにおける第2の実施の形態がタービンケーシング下半部に収容された状態を子午面から目視して示す図。 本発明に係る蒸気タービンのタービンノズルにおける第3の実施の形態がタービンケーシング上半部に収容された状態を子午面から目視して示す図。 本発明に係る蒸気タービンのタービンノズルにおける第4の実施の形態がタービンケーシング上半部に収容された状態を子午面から目視して示す図。 図9のタービンノズルをその表面に設けた誘導溝に沿って切断して示す断面図。 本発明に係る蒸気タービンのタービンノズルにおける第5の実施の形態を示す概略斜視図。 図11のタービンノズルをその表面に設けた誘導溝に沿って切断して示す断面図。 本発明に係る蒸気タービンのタービンノズルにおける第6の実施の形態を示す概略斜視図。 本発明に係る蒸気タービンのタービンノズルにおける第7の実施の形態をその表面に設けた誘導溝に沿って切断して示す断面図。 蒸気タービン低圧段落の蒸気と湿分の流れを子午面から目視して示す図。 蒸気タービン最終前段落におけるタービンノズルの入口湿り度について、モデルタービンにより観察した結果を示す分布図。
符号の説明
1 ダイヤフラム内輪
2 ダイヤフラム外輪
11 ノズル前縁端
14 誘導溝
15 湿分回収孔
16、17 ノズル内部空間
18 ノズル正圧面
19 ノズル負圧面
22 溝開口部
30、40、50、60、70、80、90 タービンノズル
31 湿分
51誘導溝
61A、61B、61C、61D 湿分回収孔
71、72 ドレン排出孔
81 多孔板(流路面積変更部材)
91 誘導溝のノズル負圧面側の端部
92 ノズル表面の接線
93 タービン回転軸

Claims (11)

  1. 両端がダイヤフラム外輪とダイヤフラム内輪とによって支持された蒸気タービンのタービンノズルにおいて、
    ノズル正圧面側からノズル前縁端を通ってノズル負圧面側に回り込んでタービンノズルの表面に形成され、且つ上記ノズル前縁端において鉛直方向の高さが低くなるように設けられた誘導溝と、
    当該誘導溝における前記ノズル前縁端位置に連通し、且つノズル内部空間に連通する湿分回収孔とを備えた湿分分離構造を有することを特徴とする蒸気タービンのタービンノズル。
  2. 前記誘導溝は、深さ方向がタービンノズルの鉛直下向きに設定され、鉛直上方に湿分流入用の溝開口部が設けられたことを特徴とする請求項1に記載の蒸気タービンのタービンノズル。
  3. 前記誘導溝が、複数本設けられたことを特徴とする請求項1または2に記載の蒸気タービンのタービンノズル。
  4. 前記誘導溝の深さは、ノズル前縁端に近づくほど深く形成されたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の蒸気タービンのタービンノズル。
  5. 前記湿分回収孔は、誘導溝に沿って複数設けられたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の蒸気タービンのタービンノズル。
  6. 前記湿分回収孔の寸法は、ノズル前縁端に近づくほど大きく形成されたことを特徴とする請求項5に記載の蒸気タービンのタービンノズル。
  7. 前記ノズル内部空間は、タービンノズル内に設けられたドレン排出孔であり、このドレン排出孔が湿分回収孔を介して誘導溝に連通されたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の蒸気タービンのタービンノズル。
  8. 前記ドレン排出孔は複数設けられ、それぞれの内径が異なって形成されたことを特徴とする請求項7に記載の蒸気タービンのタービンノズル。
  9. 前記ドレン排出孔が、流路面積変更部材を備えたことを特徴とする請求項7または8に記載の蒸気タービンのタービンノズル。
  10. 前記誘導溝のノズル負圧面側の端部は、その位置における子午面に直交するタービンノズル断面上で、ノズル負圧面を形成する接線がタービン回転軸と平行になる点に設定されたことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の蒸気タービンのタービンノズル。
  11. 前段の羽根から飛散してタービンノズルの表面に付着した湿分を、ノズル前縁端において鉛直方向の高さが低くなるようにして上記表面に形成された誘導溝内に一旦集めて貯溜し、その後、この誘導溝内の湿分を、当該誘導溝における前記ノズル前縁端位置に連通する湿分回収孔を経て重力の作用でノズル内部空間へ導いて排出する特徴とする蒸気タービンの湿分分離方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014139431A (ja) * 2012-12-13 2014-07-31 Nuovo Pignone Srl 形状付けされたチャネルを備えたターボ機械ブレードを積層造形によって製造する方法、ターボ機械ブレード、およびターボ機械

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