JP2008143429A - 衝突予測装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】虚像を誤って物体として認識することを防止しつつ、検知制限範囲を適切に利用して物体検知の遅れを防止すること。
【解決手段】本発明に係る物体検知装置は、検知可能範囲のうちの一部を検知範囲とする前方監視レーダー120と、前方監視レーダー120の検知可能範囲(R+S)のうちの出力制限範囲(検知制限範囲)Sと重複する重複範囲Pを含む独自の検知範囲Tを有する前側方監視レーダー130と、前側方監視レーダー130によって前記重複範囲P内に物体が検出された場合に、前方監視レーダー120の検知範囲Rを拡張することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、検知可能範囲のうちの一部範囲を検知範囲とする物体検知手段を備える衝突予測装置に関する。
従来から、自車両が走行する車線以外に物体を検知したか否かを判断する判断手段と、
隣接車線が存在するか否かを判断する隣接車線判断手段と、前記判断手段にて自車線以外に物体を検知したと判断された場合であって、前記隣接車線判断手段にて隣接車線が存在しないと判断された場合に、前記検知された物体を虚像と認識する認識手段とを備えたことを特徴とする物体認識装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許第3770189号公報
ところで、電子スキャン式のミリ波レーダーのような物体検知手段は、その検知可能範囲のうちの一部に、虚像が認識されやすい範囲を有する。これに対して、かかる範囲における虚像を誤って物体として認識することを防止するために、かかる範囲を、物体検知手段の検知制限範囲とし、検知制限範囲における物体検知を禁止する等、検知制限範囲における物体検知結果の出力を制限することが対策として考えられる。
しかしながら、かかる対策では、虚像でない物体が検知制限範囲に存在する場合、当該物体は、検知制限範囲以外の検知範囲に入るまで検知されないので、当該物体の検知が遅れてしまうという不都合が生ずる。
そこで、本発明は、虚像を誤って物体として認識することを防止しつつ、検知制限範囲を適切に利用して物体検知の遅れを防止することができる衝突予測装置の提供を目的とする。
上記目的を達成するため、第1の発明に係る衝突予測装置は、検知可能範囲のうちの一部を検知範囲とする第1物体検知手段と、
前記第1物体検知手段の検知可能範囲のうちの前記検知範囲でない範囲と重複する重複範囲を含む独自の検知範囲を有する第2物体検知手段と、
前記第2物体検知手段によって前記重複範囲内に物体が検出された場合に、前記第1物体検知手段の検知範囲を拡張することを特徴とする。
第2の発明は、第1の発明に係る衝突予測装置において、
前記第1物体検知手段からの物体検知結果の出力に基づいて、前記第1物体検知手段により検知された物体との衝突を予測する第1衝突予測手段と、
前記第2物体検知手段からの物体検知結果の出力に基づいて、前記第2物体検知手段により検知された物体との衝突を予測する第2衝突予測手段とを備えることを特徴とする。
第3の発明に係る衝突予測装置は、検知可能範囲のうちの一部に、物体検知結果の出力が制限される検知制限範囲を有する第1物体検知手段と、
前記第1検知手段の検知制限範囲と重複する重複範囲を含む独自の検知範囲を有する第2物体検知手段と、
前記第2物体検知手段によって前記重複範囲内に物体が検出された場合に、前記検知制限範囲における物体検知結果の出力に対する制限を緩和することを特徴とする。
本発明によれば、虚像を誤って物体として認識することを防止しつつ、検知制限範囲を適切に利用して物体検知の遅れを防止することができる衝突予測装置が得られる。
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
図1は、本発明による衝突予測装置100及びそれに関連する構成の一実施例を示すシステム構成図である。図2は、前方監視レーダー120の構成の一例を示す図である。
本実施例の衝突予測装置100は、プリクラッシュセーフティECU110(以下、PCS・ECU110という)を備える。PCS・ECU110のハードウェア構成としては、図示しないバスを介して互いに接続されたCPU、ROM、及びRAM等からなるマイクロコンピュータを中心として構成されている。PCS・ECU110は、第1衝突予測部112及び第2衝突予測部114を含む。第1衝突予測部112及び第2衝突予測部114の機能については後述する。
PCS・ECU110には、前方監視レーダー120及び前側方監視レーダー130が接続される。前方監視レーダー120と前側方監視レーダー130とは、適切な無線若しくは有線の通信路を介して通信可能に接続される。また、PCS・ECU110には、乗員保護装置140が接続される。また、前方監視レーダー120には、車間制御ECU150が接続される。車間制御ECU150は、前方監視レーダー120による前方物体(前方車両)の検出結果に基づいて、前方車両との間の車間距離を適切に維持するように車両の制駆動力を制御する(レーダークルーズ制御)。
前方監視レーダー120は、正面衝突や斜め前方からの斜突を防止するプリクラッシュ制御や、或いは、車間制御ECU150による車間制御(レーダークルーズ制御)に用いられるレーダーセンサである。前方監視レーダー120は、例えばフロントグリル付近に若しくはフロントバンパ内部に車両前方を監視するように配設される。前方監視レーダー120は、車両前方に存在しうる前方物体(典型的には、他車両)の自車からの距離や、前方物体の自車に対する相対的な方向や速度を前方物体情報として生成する。前方監視レーダー120が放射する送信波としては、電波(例えば、ミリ波)や光波(例えば、レーザ波)が用いられてもよい。
図2に示す前方監視レーダー120は、電子スキャン型のミリ波レーダーであり、複数の受信アンテナ122、複数の送信アンテナ124、受信機126、送信機128及び信号処理部129を含む。送信機128は、送信アンテナ124を介して車両前方の所定範囲に向けて電波(ミリ波)を放射する。受信機126は、送信電波が前方物体によって反射して生成される反射波を受信アンテナ122を介して受信する。前方監視レーダー120の信号処理部129は、電波のドップラー周波数(周波数シフト)を用いて前方物体の相対速度を算出し、反射波の遅れ時間を用いて前方物体の相対距離を算出し、複数の受信アンテナ122間での受信波の位相差に基づいて前方物体の方位を算出することで、前方物体情報を生成する。生成した物体情報は、PCS・ECU110に所定の周期で送信される。
前側方監視レーダー130は、交差点等における出会い頭衝突を防止するために用いられるレーダーセンサである。前側方監視レーダー130は、例えばフロントグリル付近に若しくはフロントバンパ内部に車両前方を監視するように配設される。前側方監視レーダー130は、車両前側方に存在しうる前側方物体(典型的には、他車両)の自車からの距離や、前側方物体の自車に対する相対的な方向や速度を前側方物体情報として生成する。前側方監視レーダー130が放射する送信波としては、電波(例えば、ミリ波)や光波(例えば、レーザ波)が用いられてもよい。前側方監視レーダー130の走査方式は、前側方物体の方位(前側方物体の自車に対する相対的な方向)が計測可能な態様であれば、電子スキャン方式以外にも、機械的に送信アンテナないし受信アンテナを可動させるメカニカルスキャン方式であってもよい。
図3は、前方監視レーダー120の検知範囲Rを概略的に示す図であり、図4は、前側方監視レーダー130の検知範囲Tを概略的に示す図である。図3及び図4では、車両の平面視で、前方監視レーダー120の検知範囲R等が、ハッチングにより図示されている。図4には、前側方監視レーダー130の検知範囲Tと前方監視レーダー120の検知範囲Rとの関係を示すために、前方監視レーダー120の検知範囲R及び出力制限範囲Sが、検知範囲Tと共に示されている。
前方監視レーダー120の検知範囲Rは、図3に示すように、車両の前後方向の中心軸を中心とした所定角度範囲に設定される。前方監視レーダー120は、更に、検知範囲Rの両側に、出力制限範囲Sを有する。出力制限範囲Sは、複数の受信アンテナ122間での受信波の位相差が360度以上発生してしまうような角度範囲(複数の受信アンテナ122間での受信波の光路差が電波波長よりも大きくなるが故に方位の検出精度が悪くなる可能性のある角度範囲)、即ちいわゆるグレーティングゴーストが発生する可能性のある角度範囲に相当する。出力制限範囲Sのそれぞれは、例えば10度以下の角度範囲であってよい。尚、検知範囲R及び出力制限範囲Sは、前方監視レーダー120の検知可能範囲を構成し、これらの範囲のいずれにも、電波が発射される。
前側方監視レーダー130の検知範囲Tは、図4に示すように、出会い頭衝突を防止する観点から、車両の側方ないし斜め前方をカバーするように設定される。尚、図示の例では、検知範囲Tは、車両の真横方向(90度方向)までの角度範囲を含んでいないが、含んでいてもよい。前側方監視レーダー130の検知範囲Tは、出力制限範囲Sの少なくとも一部を含むように設定される。図示の例では、検知範囲Tは、出力制限範囲Sの角度範囲の略全体を含む。尚、前方監視レーダー120の検知範囲Rは、レーダークルーズ制御等で利用する関係上、比較的遠方まで延在しているが、前側方監視レーダー130の検知範囲Tは、比較的車両近傍付近までしか延在せず、例えば数十メートルの近距離であってよい。このことから、検知範囲Tは、出力制限範囲Sの車両近傍側を含むことになる。以下では、前側方監視レーダー130の検知範囲Tと前方監視レーダー120の出力制限範囲Sとの重複範囲を、重複範囲Pと称する。
図5は、前側方監視レーダー130において実行される処理の一例を示すフローチャートである。図5に示す処理ルーチンは、例えばイグニションスイッチがオンにされてからオフになるまでの間、所定の周期毎に繰り返し実行される。
ステップ10では、変調波を生成して、送信アンテナ(図示せず)を介して検知範囲Tに向けて電波を送信する。
ステップ12では、検知範囲T内に存在しうる前側方物体からの反射波を受信アンテナ(図示せず)を介して受信する。
ステップ14では、受信した反射波に基づいて前側方物体を検知する。
ステップ16では、検知された前側方物体の方位を算出し、当該算出した方位が重複範囲Pの角度範囲内にあるか否か、即ち、前側方物体が重複範囲P内に存在するか否かを判定する。尚、検知された前側方物体が複数ある場合には、それぞれに対して判定される。前側方物体が重複範囲P内に存在すると判定された場合、ステップ18に進み、それ以外の場合、即ち前側方物体が重複範囲Pを除く検知範囲T内に存在すると判定された場合には、ステップ20に進む。
ステップ18では、重複範囲P内で検知された前側方物体に係る前側方物体情報を生成して、前方監視レーダー120に送信する。
ステップ20では、検知された前側方物体に係る前側方物体情報を生成して、PCS・ECU110(第2衝突予測部114)に送信する。
図6は、前方監視レーダー120において実行される処理の一例を示すフローチャートである。図6に示す処理ルーチンは、例えばイグニションスイッチがオンにされてからオフになるまでの間、所定の周期毎に繰り返し実行される。
ステップ30では、変調波を生成して、送信アンテナ124を介して検知範囲R及び出力制限範囲Sに向けて電波を送信する。
ステップ32では、検知範囲R及び出力制限範囲S内に存在しうる前方物体からの反射波を受信アンテナ122を介して受信する。
ステップ34では、受信した反射波に基づいて前方物体を検知する。
ステップ36では、検知された前方物体の方位を算出し、当該算出した方位が出力制限範囲Sの角度範囲内にあるか否か、即ち、前方物体が出力制限範囲S内に存在するか否かを判定する。尚、検知された前方物体が複数ある場合には、それぞれに対して判定される。前方物体が出力制限範囲S内に存在すると判定された場合、ステップ38に進み、それ以外の場合、即ち前方物体が検知範囲R内に存在すると判定された場合には、ステップ37に進む。
ステップ37では、検知範囲R内で検知された前方物体に係る前方物体情報を、通常の出力態様で出力する。この出力結果は、PCS・ECU110(第1衝突予測部112)に送信される。
ステップ38では、今回周期で検知された前方物体と同一の前方物体が、前回周期以前に検知範囲R内で検知されていたか否か、即ち今回周期で検知された前方物体と同一の前方物体が、今回周期で検知範囲R以外の範囲から出力制限範囲Sに入ってきたのか否かを判定する。この判定は、前回周期以前に検知範囲R内で検知された前方物体に係る前方物体情報に基づいて、当該前方物体が今回周期で出力制限範囲S内に入ってきたのか否かを判定することで、実現されてよい。今回周期で検知された前方物体が一度も検知範囲R内で検知されていない場合には、ステップ42に進み、それ以外の場合には、ステップ40に進む。
ステップ40では、出力制限範囲S内で検知された前方物体に係る前方物体情報を、制限の無い出力態様で出力する。この制限の無い出力態様とは、検知範囲R内で検知された前方物体に係る前方物体情報の出力態様と同様である。この出力結果は、PCS・ECU110(第1衝突予測部112)に送信される。
ステップ42では、重複範囲P内で検知された前側方物体に係る前側方物体情報を、前側方監視レーダー130から受信する(図5のステップ18参照)。
ステップ44では、重複範囲P内で検知された前側方物体に係る前側方物体情報と、出力制限範囲S内で検知された前方物体に係る前方物体情報とに基づいて、これらの前側方物体と前方物体とが同一の物体であるか否かが判定される。尚、出力制限範囲S内で検知された前方物体が複数ある場合や、重複範囲P内で検知された前側方物体が複数ある場合には、出力制限範囲S内で検知された前方物と、重複範囲P内で検知された前側方物体間で取りうる全ての組み合わせに対して同様の判定が実行される。この判定は、例えば以下のような2つの物体間の近接度を評価する評価関数を用いて実現されてよい。例えば、前側方物体情報から得られる第n番目の前側方物体の相対距離D1[m],横位置(方位に相当)X1[m],相対速度V1[m/s]とし、前方物体情報から得られる第m番目の前方物体の相対距離D2[m],横位置X2[m],相対速度V2[m/s]とした場合、
abs(D1−D2)<α
abs(X1−X2)<β
abs(V1−V2)<γ
の3つの条件の全てを満たした場合に、前側方物体と前方物体とが同一の物体であると判定することとしてよい。所定値α、β、γは、適合値であるが、それぞれ例えば3[m],1[m],1[m/s]であってよい。
本ステップ44において、前側方物体と前方物体とが同一の物体であると判定された場合には、ステップ46に進み、それ以外の場合には、ステップ48に進む。
ステップ46では、上記のステップ40と同様、出力制限範囲S内で検知された前方物体に係る前方物体情報を、制限の無い出力態様で出力する。この出力結果は、PCS・ECU110(第1衝突予測部112)に送信される。
ステップ48では、出力制限範囲S内で検知された前方物体に係る前方物体情報を、制限付きの出力態様で出力する。この制限付きの出力態様とは、前方物体情報の出力自体を行わない出力形態や、グレーティングゴーストの可能性があるという情報を付加した出力形態を含む。尚、前方物体情報の出力自体を行わない出力形態は、出力制限範囲S内での物体検知を禁止することにより実現されてもよい。
ここで、本実施例では、出力制限範囲S内で検知された前方物体に係る前方物体情報は、上述の如く、制限の無い出力態様と制限付きの出力態様の2種類の出力態様で出力されている。即ち、上記のステップ48では、出力制限範囲S内で検知された前方物体に係る前方物体情報は、制限付きの出力態様で出力されるのに対して、上記のステップ40及びステップ46では、制限の無い出力態様で出力される。これは、上記のステップ48の場合、出力制限範囲S内で検知された前方物体は、前側方監視レーダー130により検知されていないが故に、グレーティングゴーストの可能性が高いためである。一方、上記のステップ40の場合、出力制限範囲S内で検知された前方物体は、検知範囲Rから出力制限範囲Sへと移動した前方物体である可能性が高く、グレーティングゴーストの可能性が低いからである。また、上記のステップ48の場合、出力制限範囲S内で検知された前方物体は、前側方監視レーダー130により重複範囲P内で検知された前側方物体と同一である可能性が高く、グレーティングゴーストの可能性が低いからである。
このように、図6に示す処理によれば、出力制限範囲Sで検知された前方物体が、グレーティングゴーストが発生する可能性があるか否かを、前側方監視レーダー130からの検知結果を利用して判断するので、その判断精度を高めることができる。これにより、グレーティングゴーストの可能性が低いと判断した場合に、出力制限範囲Sの検知結果を、検知範囲Rの検知結果と同様に利用可能とすることで、前方監視レーダー120の実効的な検知範囲を拡張することができる。即ち、前方監視レーダー120の実効的な検知範囲を、前方監視レーダー120の検知範囲Rから、それに前方監視レーダー120の出力制限範囲Sを付加した範囲(R+S)まで拡張することができる。これは、実質的には、前方監視レーダー120の検知範囲Rを、それに前方監視レーダー120の出力制限範囲Sを付加した範囲(R+S)に拡張することに等価である。
ここで、図7を参照して、前方監視レーダー120の検知範囲Rの拡張による効果を説明する。図7には、重複範囲P内から検知範囲Rへと他車両が接近してきている状況が示されている。
本実施例では、図7に示すような状況下では、他車両は、上述の如く、前側方監視レーダー130によって重複範囲P内で検知される。これに伴い、他車両に係る前方物体情報は、前方監視レーダー120の出力制限範囲S内で他車両が検知された段階から、制限の無い出力態様で出力されることになる。これにより、出力制限範囲Sを設けない構成(常時、検知範囲Rでの検知のみを行う構成)に比べて、早期に他車両を前方監視レーダー120により検知・追跡することができる。また、出力制限範囲S内の検知結果を常時制限付きの出力態様で出力する構成の場合に比べて、早期に、出力制限範囲S内の検知結果を、制限の無い出力態様で出力することができる。
次に、前方監視レーダー120及び前側方監視レーダー130による検知結果(前方物体情報及び前側方物体情報)を用いて実現されるPCS・ECU110の第1衝突予測部112及び第2衝突予測部114の処理について説明する。
図8は、PCS・ECU110の第1衝突予測部112により実現される衝突予測処理を示すフローチャートである。図8に示す処理ルーチンは、例えばイグニションスイッチがオンにされてからオフになるまでの間、所定の周期毎に繰り返し実行される。尚、以下の説明では、上述の制限付きの出力態様とは、グレーティングゴーストの可能性があるという情報を付加した出力形態であると想定する。
ステップ50では、前方監視レーダー120から出力される前方物体情報を取得する。
ステップ52では、前方物体情報に、グレーティングゴーストの可能性があるという情報が付加されているか否かを判定する。かかる情報が付加されている場合には、今回周期の処理ルーチンはそのまま終了し、それ以外の場合、ステップ54に進む。
ステップ54では、前方物体情報に基づいて、前方物体との衝突(前突若しくは斜め前方からの斜突)が不可避か否かを判定する。この衝突不可避判定手法は、プリクラッシュセーフティシステムの分野で各種提案されており、これらの判定ロジックの任意のものが用いられよい。例えば、自車の進行方向に対応した方位に前方物体が存在し、当該前方物体に対する衝突前時間(=相対距離/相対速度)が所定値以下となった場合に、衝突不可避との判定をするものであってよい。前方物体との衝突が不可避と判定された場合には、ステップ56に進み、それ以外の場合には、今回周期の処理ルーチンはそのまま終了する。
ステップ56では、乗員保護装置140を作動させるための信号を生成・出力する。乗員保護装置140は、例えば、シートベルトを巻き取り一定の拘束力を乗員に付与する装置や、車両のバンパを衝撃吸収に適した位置に変化させる装置や、ブレーキアクチュエータにより車両に減速度を発生させる装置等を含む。尚、乗員保護装置140に代えて若しくはそれに加えて、図示しない警報装置を介して警報を出力させてもよい。
このように本実施例によれば、グレーティングゴーストの可能性がある前方物体情報を用いずに衝突を予測することで、衝突予測精度が向上する。また、上述の如く、出力制限範囲S内の検知結果であっても、グレーティングゴーストの可能性があるという情報が付加されていない場合には、それを利用して衝突を予測するので、広範囲の前方物体との衝突の可能性を早期に予測することができる。
図9は、PCS・ECU110の第2衝突予測部114により実現される衝突予測処理を示すフローチャートである。図9に示す処理ルーチンは、例えばイグニションスイッチがオンにされてからオフになるまでの間、所定の周期毎に繰り返し実行される。
ステップ60では、前側方監視レーダー130から出力される前側方物体情報を取得する。
ステップ62では、前側方物体との出会い頭衝突(出会い頭の横方向からの衝突)が不可避か否かを判定する。例えば、自車の速度ベクトルの終点と前側方物体の速度ベクトルの終点が所定基準以上近接している場合に、衝突不可避との判定をするものであってよい。前側方物体との出会い頭衝突が不可避と判定された場合には、ステップ64に進み、それ以外の場合には、今回周期の処理ルーチンはそのまま終了する。
ステップ64では、乗員保護装置140を作動させるための信号を生成・出力する。乗員保護装置140は、例えば、シートベルトを巻き取り一定の拘束力を乗員に付与する装置や、ブレーキアクチュエータにより車両に減速度を発生させる装置等を含む。尚、乗員保護装置140に代えて若しくはそれに加えて、図示しない警報装置を介して警報を出力させてもよい。
このように本実施例によれば、第1衝突予測部112及び第2衝突予測部114が、それぞれ独立して、前方監視レーダー120及び前側方監視レーダー130による検知結果(前方物体情報及び前側方物体情報)に基づいて衝突を予測する。即ち、上述の如く、前側方監視レーダー130による検知結果を利用して、前方監視レーダー120からの前方物体情報の出力態様を可変とする一方、衝突の予測は、それぞれの前方監視レーダー120及び前側方監視レーダー130の検知結果をそれぞれ独立に用いて実現される。これにより、前方監視レーダー120及び前側方監視レーダー130の検知結果の双方を用いて衝突を予測する場合に比べて、衝突予測ロジックが複雑化することが無く、衝突予測ロジックの構築や改良が容易となる。前方監視レーダー120及び前側方監視レーダー130の検知結果の双方を用いて衝突を予測する構成としては、例えば、図7に示すような環境下で、前方物体が重複範囲P内にあるときは前側方監視レーダー130による検知結果を用い、前方物体が検知範囲Rに入ってから前方監視レーダー120の検知結果を切り替えて用いて、前方物体との衝突を予測する構成が考えられる。これに対して、本実施例によれば、前方物体が重複範囲P内に存在するときから継続して前方監視レーダー120の検知結果のみを用いて衝突を予測するので、かかる双方の検知結果を用いる構成に比べて、衝突予測ロジックが簡易であり、また、前方監視レーダー120及び前側方監視レーダー130間の切り替えを伴わないので予測精度も向上する。
尚、以上の実施例においては、「検知範囲R+出力制限範囲S」が、添付の特許請求の範囲における「検知可能範囲」に対応し、「出力制限範囲S」が、同特許請求の範囲における「検知制限範囲」に対応する。
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
例えば、上述では、説明の複雑化を防止するために、右側の車両前側方を監視する前側方監視レーダー130のみを例示しているが、それに加えて若しくはそれに代えて、左側の車両前側方を監視する左前側方監視レーダーを用いてもよい。これは、出会い頭衝突は、車両の左右両側で生ずる可能性があるからである。この場合も、上述の実施例と同様、前方監視レーダー120の左側の出力制限範囲S内の検知結果の出力態様が、左前側方監視レーダーの検知結果に応じて可変とされてよい。即ち、前方監視レーダー120の左側の出力制限範囲Sと左前側方監視レーダーの検知範囲との重複範囲に、左前側方監視レーダーにより前側方物体が検知された場合に、前方監視レーダー120の検知範囲Rを、左側の出力制限範囲Sまで拡張させてもよい。
また、上述の実施例は、車両の前方を監視する前方監視レーダー120及び前側方監視レーダー130に関するものであるが、本発明は、車両の後方を監視する同様のレーダーに対しても適用可能である。この場合も、同様に、車両の中心軸を中心とした所定角度範囲の検知範囲及びその両側に出力制限範囲を有する後方監視レーダーと、当該出力制限範囲に重複する独自の検知範囲を有する後側方監視レーダーとを設ければよい。また、この場合、乗員保護装置140としては、後突(追突)による鞭打ち防止のために、後突前に乗員の頭部付近まで前方移動されるアクティブヘッドレストであってよい。また、乗員保護装置140に代えて若しくは加えて、後方車両の乗員(運転者)に注意を喚起するためのフラッシュランプによる警告を実行してもよい。
また、上述の実施例において、前方監視レーダー120において実現される機能の一部は、PCS・ECU110により実現されてもよい。例えば、前方監視レーダー120は、常時、出力制限範囲S内の検知結果に、グレーティングゴーストの可能性があるという情報が付加して出力する一方、PCS・ECU110が、前側方監視レーダー130からの重複範囲P内の検知結果に基づいて、前方監視レーダー120からの出力制限範囲S内の検知結果の信頼性を評価してもよい。この場合、上述の図6におけるステップ42,44の処理がPCS・ECU110により実質的に実現されることになる。或いは、前方監視レーダー120は、常時、出力制限範囲S内の検知結果を、制限の無い出力態様で出力する一方、PCS・ECU110が、出力制限範囲S内の検知結果の自身による利用を抑制してもよい。この場合、前側方監視レーダー130によって重複範囲P内に同様の物体が検知された場合に、PCS・ECU110は、当該抑制を解除してよい。かかる変形例の何れも、前側方監視レーダー130によって重複範囲P内に前側方物体が検出された場合に、前方監視レーダー120の検知範囲Rを、それに前方監視レーダー120の出力制限範囲Sを付加した範囲(R+S)まで、拡張することに等価である。
本発明による衝突予測装置100及びそれに関連する構成の一実施例を示すシステム構成図である。 前方監視レーダー120の構成の一例を示す図である。 前方監視レーダー120の検知範囲を概略的に示す図である。 前側方監視レーダー130の検知範囲を概略的に示す図である。 前側方監視レーダー130において実行される処理の一例を示すフローチャートである。 前方監視レーダー120において実行される処理の一例を示すフローチャートである。 前方監視レーダー120の検知範囲Rの拡張による効果を PCS・ECU110の第1衝突予測部112により実現される衝突予測処理を示すフローチャートである。 PCS・ECU110の第2衝突予測部114により実現される衝突予測処理を示すフローチャートである。
符号の説明
100 衝突予測装置
110 PCS・ECU
112 第1衝突予測部
114 第2衝突予測部
120 前方監視レーダー
122 受信アンテナ
124 送信アンテナ
126 受信機
128 送信機
129 信号処理部
130 前側方監視レーダー
140 乗員保護装置
150 車間制御ECU
R 前方監視レーダーの検知範囲
S 前方監視レーダーの出力制限範囲
T 前側方監視レーダーの検知範囲
P 重複範囲

Claims (3)

  1. 検知可能範囲のうちの一部を検知範囲とする第1物体検知手段と、
    前記第1物体検知手段の検知可能範囲のうちの前記検知範囲でない範囲と重複する重複範囲を含む独自の検知範囲を有する第2物体検知手段と、
    前記第2物体検知手段によって前記重複範囲内に物体が検出された場合に、前記第1物体検知手段の検知範囲を拡張することを特徴とする、衝突予測装置。
  2. 前記第1物体検知手段からの物体検知結果の出力に基づいて、前記第1物体検知手段により検知された物体との衝突を予測する第1衝突予測手段と、
    前記第2物体検知手段からの物体検知結果の出力に基づいて、前記第2物体検知手段により検知された物体との衝突を予測する第2衝突予測手段とを備えることを特徴とする、請求項1に記載の衝突予測装置。
  3. 検知可能範囲のうちの一部に、物体検知結果の出力が制限される検知制限範囲を有する第1物体検知手段と、
    前記第1検知手段の検知制限範囲と重複する重複範囲を含む独自の検知範囲を有する第2物体検知手段と、
    前記第2物体検知手段によって前記重複範囲内に物体が検出された場合に、前記検知制限範囲における物体検知結果の出力に対する制限を緩和することを特徴とする、物体検知装置。
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