JP2008138685A - 電動圧縮機の取付構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】車両振動の影響を考慮して電動圧縮機をエンジンに取り付ける。
【解決手段】圧縮機構11が電動モータ部12の軸方向端部に配設された電動圧縮機10をエンジンEに取り付ける際に、圧縮機構11より電動モータ部12側をエンジンEの重心G側に位置させるとともに、電動モータ部12の軸方向L1をエンジンEのクランク軸方向L2と一致させた状態で取り付ける。これにより、電動モータ部12に作用するエンジンEからの加振力を小さくすることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関(エンジン)および車両走行電動モータを有するハイブリット車両に適用される電動圧縮機の取付構造に関するものである。
近年、エンジンから排出される排気ガスを低減するために、ハイブリット車両の研究開発が盛んに行われている。これに呼応して、ハイブリット車両に適した車両用空調装置等の車両用冷凍サイクルの研究開発も盛んに行われている。ところで、動力源としてエンジンのみを有する従来型の車両における、車両用冷凍サイクル用の圧縮機は、エンジンから駆動力を得ていたが、ハイブリット車両では、車両の走行状態によってはエンジンが停止するので、エンジンのみから駆動力を得ていたのでは、圧縮機の停止とともに冷凍サイクルも停止してしまうという不具合が発生してしまう。
そこで、ハイブリット車両の冷凍サイクルでは、電動モータ部を内蔵した電動圧縮機を使用することが望ましい。
ところで、ハイブリッド車両の場合、エンジンルームにエンジン及び走行用電動モータが収納されているため、従来型の車両に比べてエンジンルームの空きスペースが少ない。このため、電動圧縮機は、エンジンに取り付けられることが望ましい。
しかし、車両用の冷凍サイクルでは、エンジンからの車両振動が圧縮機に作用するので、エンジンのみから駆動力を得ていた従来の圧縮機を、単純に電動圧縮機に変更するのみでは、車両振動により電動圧縮機(特に電動モータ部)の損傷を招くおそれが高い。因みに、冷凍サイクルに電動圧縮機を用いた例として、冷蔵庫や家庭用空調装置等の据え置き型の冷凍サイクルがあるが、これらの冷凍サイクルは、いずれも、車両用冷凍サイクルと異なり、車両振動のごとく大きな加振力が電動圧縮機に作用しないので、据え置き型の冷凍サイクルにおける電動圧縮機の取付構造を適用することができない。
本発明は、上記点に鑑み、車両振動の影響を考慮した電動圧縮機の取付構造を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、以下の技術的手段を用いる。請求項1に記載の発明では、内燃機関(E)および車両走行電動モータ(M)を有するハイブリット車両に適用され、流体を圧縮する圧縮機構(11)、および圧縮機構(11)を駆動する電動モータ部(12)が一体になった電動圧縮機(10)の取付構造であって、圧縮機構(11)は、電動モータ部(12)の軸方向端部に配設されており、圧縮機構(11)より電動モータ部(12)側を内燃機関(E)の重心(G)側に位置させ、内燃機関(E)のクランク軸方向(L2)と電動モータ部(12)の軸方向(L1)とを一致させた状態で、電動圧縮機(10)を内燃機関(E)に取り付けたことを特徴とする。
これにより、電動モータ部(12)が、内燃機関(E)の振動の小さい重心(G)側に位置することとなるので、電動モータ部(12)に作用する加振力が小さくなる。したがって、電動モータ部(12)が損傷することを防止できる。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の電動圧縮機の取付構造において、電動圧縮機(10)は、クランク軸方向(L2)に垂直な方向から見たときに、電動圧縮機(10)の圧縮機構(11)側が、内燃機関(E)よりも外側に突出するように取り付けられていることを特徴とするものである。請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の電動圧縮機の取付構造において、圧縮機構(11)は、電動モータ部(12)のみから駆動力を伝達されることを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の電動圧縮機の取付構造において、電動モータ部(12)は、略円筒状のステータコア(121)、ステータコア(121)内で回転するロータ(123)、並びにステータコア(121)及びロータ(123)を収納するモータハウジング(124)を有しており、電動圧縮機(10)には、電動圧縮機(10)を内燃機関(E)の一部に固定するための固定部(13)が形成されており、固定部(13)は、ボルト(132)が挿入されるボルト穴であり、さらに、固定部(13)は、モータハウジング(124)のうちステータコア(121)に対応する部位からずれた位置に形成されていることを特徴とする。
これにより、ボルト(132)を締め付けた際に、モータハウジング(124)が歪むことに伴ってステータコア(121)が大きく歪むことを防止できる。また、請求項5の記載の発明のように、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の電動圧縮機の取付構造において、電動圧縮機(10)と前記内燃機関(E)との間には、隙間空間が形成されていてもよい。因みに、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
(第1実施形態)
図1は、内燃機関(エンジン)Eと走行用電動モータM(図2、3参照)を有するハイブリット車両に適用される、本実施形態に係る電動圧縮機の取付構造を示す斜視図であり、図2は車両上方から見た電動圧縮機の取付構造を示す模式図であり、図3は車両前方から見た電動圧縮機の取付構造を示す模式図である。
図1〜3中、10は車両用冷凍サイクル用の電動圧縮機10であり、この電動圧縮機10は、冷媒を吸入圧縮するスクロール型の圧縮機構11と、この圧縮機構11を駆動する電動モータ部12とが一体になったものである。そして、電動モータ部12のハウジングには、図1に示すように、電動圧縮機10をエンジンEの一部に固定するためのボルト穴(固定部)13が4個形成されており、電動圧縮機10は、ボルト穴13を貫通してボルト132(図6(b)参照)をエンジンEのクランクケースに形成された雌ねじ穴(図示せず)に挿入することにより固定される。
このとき、電動圧縮機10は、圧縮機構11より電動モータ部12側がエンジンEの重心G側に位置するとともに、電動モータ部12の軸方向L1 がエンジンEのクランク軸方向L2と一致するようにしてエンジンEに固定される。したがって、電動モータ部12の軸方向L1 と軸方向L2とが互いに平行になる。なお、電動モータ部12の軸方向L1とは、電動モータ部12内のロータ(アーマチャ)の軸方向であり、電動モータ部12のモータシャフトと平行な方向である。
次に、本実施形態の特徴を述べる。ところで、電動モータ部12は、周知のごとく、ロータ(アーマチャ)やステータ等から構成されているため、一般的に圧縮機構11より質量が大きい。このため、通常、電動圧縮機10の重心G1 は、圧縮機構11より電動モータ部12側に位置する。一方、エンジンEの振動は、エンジンEの重心Gに近いほど小さくなる。
したがって、本実施形態のごとく、圧縮機構11より電動モータ部12側をエンジンEの重心G側に位置させれば、電動モータ部12の振動が小さくなるとともに電動モータ部12に作用する加振力が小さくなるので、エンジンEの振動によって電動モータ部12が損傷することを防止できる。ところで、電動モータ部12の損傷の主な原因は、振動によりロータまたはステータの巻線がズレてしまい絶縁不良してしまうことである。そこで、発明者等は、振動方向と電動モータ部12の損傷との関係を調査したところ、電動モータ部12の径方向に加振力を作用させた場合より、電動モータ部12の軸方向L1に加振力を作用させた場合の方が、巻線が大きくズレてしまい、絶縁不良を招き易いことを発見した。
そして、本実施形態によれば、図4、5から明らかなようにエンジンEの振動(加振力)が小さいクランク軸方向L2と電動モータ部12の軸方向L1とを一致させているので、電動モータ部12の巻線に作用する加振力が小さくなり、絶縁不良を防止することができる。したがって、電動モータ部12(電動圧縮機10)の信頼性(耐久性)を向上させることができる。
(第2実施形態)
ところで、電動モータ部12は、図6(a)に示すように、略円筒状のステータコア121、ステータコア121に巻かれたコイル122、及びステータコア121内で回転する永久磁石からなるマグネットロータ123、並びにこれら121〜123を収納するモータハウジング124を有して構成されている。
なお、ステータコア121は、けい素鋼板等の磁性材料からなる薄板を積層して構成されたものである。そして、ステータコア121は、モータハウジング124の内径側に焼きばめ(しまりばめ)にて圧入固定され、マグネットロータ123は、シャフト126に配設された軸受125を介してモータハウジング124内に回転可能に支持されている。
また、ボルト穴13が形成されたステー部131は、ボルト穴13がモータハウジング124のうちステータコア121に対応する部位(図6(a)のXで示す範囲)からずれた部位に位置するように、モータハウジング124に一体成形されている。これにより、ボルト132を締め付けた際に、モータハウジング124が歪むことに伴ってステータコア121が大きく歪むことを防止できる。したがって、ステータコア121を構成するけい素鋼板の剥離、割れ等の不具合を防止することができる。
ところで、上述の実施形態では、クランク軸方向L2と電動モータ部12の軸方向L1とを一致させたが、車両の形式や大きさ等によっては、クランク軸方向L2と電動モータ部12の軸方向L1とを一致させた状態で電動圧縮機10をエンジンEに取り付けることが困難な場合がある。このような場合には、エンジンEに発生する振動に伴って電動圧縮機10に及ぼす加振力の方向であって、エンジンEとボルト穴13との接触面13aに平行な方向のうち加振力が小さい方向と、電動モータ部12の軸方向L1とを一致させるように電動圧縮機10をエンジンEに取り付ければよい。
また、上述の実施形態に係る電動圧縮機10は、電動モータ部12のみにより駆動されるものであったが、本発明は、圧縮機構11を電動モータ部12により駆動する場合とエンジンEから駆動力を得て駆動する場合とを選択的に切り換えることができる、いわゆるハイブリット圧縮機をハイブリット車両のエンジン、または車両が停止する度にエンジンを停止させることによって低燃費を狙った車両のエンジンに取り付ける場合にも適用することができる。
また、上述の実施形態では、図6(b)に示すように、ボルト132が、モータハウジング124をマグネットロータ12の径方向に貫通するように設けられていたが、図7に示すように、ボルト穴13(ステー131)をモータハウジング124のエンジンブロック側のみに形成してもよい。そして、この場合は、モータハウジング124にボルト132の締結力が作用しないので、ボルト穴13がステータコア121に対応する部位に位置してもステータコアコア121の歪みは殆どない。
第1実施形態に係る電動圧縮機の取付構造を示す斜視図である。 車両上方から見た電動圧縮機の取付構造を示す模式図である。 車両前方から見た電動圧縮機の取付構造を示す模式図である。 エンジンのクランク軸方向の振動計測結果を示すグラフである。 エンジンのクランク軸方向と直交する上下方向の振動計測結果を示すグラフである。 (a)は電動モータ部の断面図であり、(b)は(a)のA−A断面図である。 電動圧縮機の取付状態を示す模式図である。
符号の説明
E エンジン
M 走行用電動モータ
10 電動圧縮機
11 圧縮機構
12 電動モータ部

Claims (5)

  1. 内燃機関(E)および車両走行電動モータ(M)を有するハイブリット車両に適用され、
    流体を圧縮する圧縮機構(11)、および前記圧縮機構(11)を駆動する電動モータ部(12)が一体になった電動圧縮機(10)の取付構造であって、
    前記圧縮機構(11)は、前記電動モータ部(12)の軸方向端部に配設されており、
    前記圧縮機構(11)より前記電動モータ部(12)側を前記内燃機関(E)の重心(G)側に位置させ、前記内燃機関(E)のクランク軸方向(L2)と前記電動モータ部(12)の軸方向(L1)とを一致させた状態で、前記電動圧縮機(10)を前記内燃機関(E)に取り付けたことを特徴とする電動圧縮機の取り付け構造。
  2. 前記電動圧縮機(10)は、前記クランク軸方向(L2)に垂直な方向から見たときに、前記電動圧縮機(10)の前記圧縮機構(11)側が、前記内燃機関(E)よりも外側に突出するように取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の電動圧縮機の取付構造。
  3. 前記圧縮機構(11)は、前記電動モータ部(12)のみから駆動力を伝達されることを特徴とする請求項1または2に記載の電動圧縮機の取付構造。
  4. 前記電動モータ部(12)は、略円筒状のステータコア(121)、前記ステータコア(121)内で回転するロータ(123)、並びに前記ステータコア(121)及び前記ロータ(123)を収納するモータハウジング(124)を有しており、
    前記電動圧縮機(10)には、前記電動圧縮機(10)を前記内燃機関(E)の一部に固定するための固定部(13)が形成されており、
    前記固定部(13)は、ボルト(132)が挿入されるボルト穴であり、
    さらに、前記固定部(13)は、前記モータハウジング(124)のうち前記ステータコア(121)に対応する部位からずれた位置に形成されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の電動圧縮機の取付構造。
  5. 前記電動圧縮機(10)と前記内燃機関(E)との間には、隙間空間が形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の電動圧縮機の取付構造。
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