JP2008136440A - シリンジ型微生物培養デバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】食中毒、病原菌などの特定微生物を簡便かつ迅速に検出するデバイスを提供する。
【解決手段】サンプル中の目的微生物を検出するためのデバイスであって、サンプル採取手段、目的微生物を培養する培地を含む容器、および上記サンプルと上記培地とを混合する手段を備え、上記培地は、目的の微生物を増殖する第1の培地、および目的の微生物またはその産物に応答し得る成分を含む第2の培地を含み、この第1の培地および第2の培地は上記容器中で隔離して収容されている。
【選択図】図1
【解決手段】サンプル中の目的微生物を検出するためのデバイスであって、サンプル採取手段、目的微生物を培養する培地を含む容器、および上記サンプルと上記培地とを混合する手段を備え、上記培地は、目的の微生物を増殖する第1の培地、および目的の微生物またはその産物に応答し得る成分を含む第2の培地を含み、この第1の培地および第2の培地は上記容器中で隔離して収容されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、サンプル中の目的微生物を検出するためのデバイスに関する。詳細には、本発明は、サンプル中の食中毒原因菌を簡便かつ迅速に検出するためのデバイスに関する。
食品の生産、流通および販売の過程で食品に混入した食中毒原因菌は、しばしば、食品中で増殖し重篤な食中毒を引き起こす。一般に、食品の生産、流通および販売に従事する食品営業者は、HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point:危害要因分析必須管理点)システムを導入し、食中毒原因菌の不在を確認した上で、食品の安全な供給を行っている。しかし、流通機構の発展などによって、検査結果を待たずして食品が消費者に届き、食中毒の多発を招く原因の1つとなっている。
同様に、臨床試験に用いられる材料についても、感染症の早期診断、感染症の治療方法およびその予防対策手段を迅速に決定するために、感染症原因菌を迅速に検出する必要がある。
一般に、食中毒原因菌などの特定細菌を含む微生物は、非特許文献1の「微生物編」に記載されるように、少なくとも特定細菌の前増菌、および選択増菌培養を経て検出される。特定細菌であることを確認するためには、さらに、特定細菌の分離培養、および確認培養を行い、目的菌と疑う集落を単離し、得られた集落について、生化学的、血清学的試験などにより菌種を決定する必要がある。
例えば、サルモネラ属菌を検出する場合、被検サンプル試料は、まず、緩衝ペプトン水(BPW)で前培養される。次いで、サルモネラ属菌用のラパポート・バシリアディス培地(RV培地)などを用いて選択増菌培養を行う。さらに、MLCB寒天培地などを用いて分離鑑別培養を行い、サルモネラ属菌と思われる集落を得る。得られた集落について、TSI培地、SIM培地、リシン脱炭酸培地などを用いて確認培養を行う必要がある。さらに、確認培養を行った集落について、VP半流動培地、シモンズのクエン酸塩培地などを用いて菌種を同定した上で、市販の血清を用いて血清型別をも行う必要がある。これらの煩雑な一連の操作を含む検査を行うには、5日以上の日数を必要とする。これは、サルモネラ属に属する菌に限らず、その他の属に属する微生物についても同様である。
このような特定微生物を検出するために、種々の簡易法が報告されている。このような方法には、微生物の増殖に伴う培地のインピーダンスの変化、培養液のpHの変化、消費酸素量または発生炭酸ガス量などを測定し、これらの測定値を基に、予め決定されたこれらの測定値と微生物細胞数との間に存在する相関関係から、微生物数を求める方法が含まれる。さらに、目的微生物に特異的に結合するモノクローナル抗体を利用する方法、イムノクロマトグラフィー法を利用する方法などがある。
特許文献1は、選択培地と目的細菌の運動性を利用し、半流動選択培地を充填した容器、およびそれを利用したサルモネラ菌の検出方法を記載する。
特許文献2は、ノボビオシンおよびトリフェニルメタン系色素を用いるサルモネラ菌の検出方法を記載する。
特開2001−136998号公報
特公平7−73513号公報
食品衛生検査指針(2004年6月30日発行)、厚生省生活局監修
上記の特定細菌を検査する従来方法は、特定細菌を含むと疑われるサンプル中の特定菌を選択的に増菌する選択増菌培養と、特定細菌を分離する分離培養を行うことを必要とし、それに付随する増菌培地から分離培地への移植操作を行う必要がある。
例えば、特定細菌が、サルモネラ属に属する細菌の場合、まず、サルモネラ細菌を含むと疑われるサンプルを接種した前増菌培養液0.1mLをRV培地10mLに接種し、42℃で20〜24時間培養する。そして、その1白金耳量を分離平板培地に画線塗抹し、さらに35℃で20〜24時間培養することが必要である。この際に、サンプル検体数に対応する特定細菌鑑別用の複数種類の培地を調製し、決められた温度および時間内に液体培地から平板培地へ移植する必要がある。
本発明は、上記従来の特定細菌を検査する方法の課題を解決することを目的とする。
本発明は、1つの実施形態で、微生物検査において、増菌培地と分離培地を同じ容器内に充填し、かつ使用時までは両培地の接触を妨げることのできる培養容器を提供する。
本発明は、1つの実施形態で、微生物検査において増菌培地と分離培地を同じ容器内に充填することにより、増菌培地から分離培地への移植操作を省略することができ、かつ増菌培養と分離培養を並行して行うことによって、煩雑な作業を回避するとともに検査期間を短縮することができる培養容器を提供する。
本発明は、より特定すれば以下の項目に関する。
項目(1)サンプル中の目的微生物を検出するためのデバイスであって、サンプル採取手段、該微生物を培養する培地を含む容器、および上記サンプルと上記培地とを混合する手段を備え、上記培地が、目的の微生物を増殖する第1の培地、および目的の微生物またはその産物に応答し得る成分を含む第2の培地を含み、上記第1の培地および上記第2の培地が上記容器中で隔離して収容される、デバイス。
項目(2)上記容器が透明材料から作製され、上記応答が外部から目視で観察され得る、項目(1)に記載のデバイス。
項目(3)上記サンプル採取手段が、上記容器の底部に設けられた開口部、および上記開口部と連通する吸引手段を含む、項目(1)に記載のデバイス。
項目(4)上記される手段が、上記開口部に取り付けられるチップまたはニードルと、上記吸引手段との組み合わせである、項目(3)に記載のデバイス。
項目(5)上記容器が円筒形シリンジであり、上記吸引手段が上記シリンジに緊密に収容されるプラジャーである、項目(3)に記載のデバイス。
項目(6)上記チップまたはニードルを密閉する手段をさらに備える、項目(4)に記載のデバイス。
項目(7)上記目的の微生物が、サルモネラ属、エシェリキア属、ビブリオ属、カンピロバクター属、リステリア属、セレウス属、エルシニア属、またはコレラ属に属する食中毒原因菌である、項目(1)に記載のデバイス。
項目(8)サンプル中の目的微生物を検出する方法であって、サンプルを採取する工程、
得られたサンプルを、項目(1)に記載のデバイスに取り込む工程、上記サンプル、上記第1の培地および上記第2の培地を接触させる工程、上記デバイスを目的微生物が増殖する条件下に配置する工程、および上記微生物の上記応答の有無を確認する工程、を包含する、方法。
得られたサンプルを、項目(1)に記載のデバイスに取り込む工程、上記サンプル、上記第1の培地および上記第2の培地を接触させる工程、上記デバイスを目的微生物が増殖する条件下に配置する工程、および上記微生物の上記応答の有無を確認する工程、を包含する、方法。
本発明の特徴の1つは、増菌培養と鑑別培養とを同時に行うことができるよう構成したデバイスにある。この構成により、目的微生物が含まれると疑われる被検試料、または被検試料を前培養した培地をこのデバイスに吸引するだけで目的微生物の増菌および鑑別を一度の培養で行うことが可能となり、従来法のような、液体培地(増菌培養)から平板培地(鑑別培養)への移植操作の必要性をなくする。これによって、従来の検査法では必要であった、目的微生物の前培養、選択培養、菌分離の工程をワンステップで行い得るので、目的微生物を、簡便かつ迅速に検出および分離することを可能にする。
本発明は、増菌培養と鑑別培養とを同時に行い得る構成を採用するので、特定の目的微生物における検査における準備と操作の繁雑さを低減し、それによって、短時間で目的の特定細菌の検出を可能にし、さらに、検査に使用する培地の量および検査終了後の廃棄物量を低減する。従って、経済的で環境に配慮した検査方法、およびこの方法に適用できる培養容器が提供される。
本発明は、サンプル中の目的微生物を検出するためのデバイスに関し、このデバイスは、サンプル採取手段、上記微生物を培養する培地を含む容器、および上記サンプルと上記培地とを混合する手段を備え、上記培地は、目的の微生物を増殖する第1の培地、および目的の微生物またはその産物に応答し得る成分を含む第2の培地を含み、この第1の培地および第2の培地は該容器中で隔離して収容されている。
上記容器は、任意の材料から作製され得、任意の形状およびサイズであり得る。上記容器は、例えば、寒天を含む加温した培地を充填することができ、かつこの培地を冷却後固化した培地が容器の先端部から漏れ出さない任意の形状であり得る。好ましくは、上記サンプルに接する容器の先端部(サンプル採取手段の一部分を構成する)は、細長く形成され、それによってサンプルの採取を容易にする。上記容器は、上記培地を収容する本体部分、および培地注入口を備える。この本体部分は、例えば、円形、楕円形、多角形の断面形状を有し、好ましくは、目的微生物の存在を肉眼で確認することができるように、透明材料から作製され得る。上記容器として、好ましくは、シリンジが用いられ得る。このようなシリンジは、当該技術分野では公知であり、市販され一般の製造業者から入手可能である。
上記第1の培地としては、目的の微生物が増殖し得る任意の培地を用いることができ、特定の微生物が増殖し得る培地は、当該分野で公知である。例えば、ラパポート・バシリアディス培地(RV培地)と呼ばれる選択増菌培地が(株)アテクト、栄研化学(株)、日水製薬(株)などから市販され、その他テトラチオネート培地(TT培地)などが知られている。
上記第2の培地としては、増殖した目的の微生物を集落形状、集落の色および性状、代謝産物などで判別可能な培地であって、目的の微生物がサルモネラに属する菌種である場合、MLCB寒天培地、MLCB寒天培地、TSI培地、SIM培地、リシン脱炭酸培地、VP半流動培地、シモンズのクエン酸塩培地などが市販されている。これら培地は、上記製造業者から入手可能である。
上記第1の培地は代表的には液体培地であり、そして上記第2の培地は、定法に従って、代表的には、通常、0.1〜3.0%の寒天を含み得、定法に従って、加温溶解され、上記デバイスに注入された後、固化されて固形培地として用いられる。
代表的な培地の組成を以下に示す。
緩衝ペプトン水(BPW):20.0g(1L分)中、ペプトン10.0g、塩化ナトリウム5.0g、リン酸二ナトリウム3.5g、リン酸一カリウム1.5g、pH7.2±0.2。
ラパポート・バシリアディス培地(RV培地):43.0g(1L分)中、大豆ペプトン4.5g、塩化マグネシウム(無水)16.9g、塩化ナトリウム7.2g、リン酸一カリウム 1.4g、マラカイトグリン0.036g、pH5.2±0.2。
MLCB寒天培地:49.0g(1L分)中、酵母エキス5.0g、ペプトン10.0g、ハートエキス末2.0g、塩化ナトリウム 4.0g、マンニット3.0g、L−リジン塩酸塩5.0g、チオ硫酸ナトリウム4.0g、クエン酸鉄アンモニウム1.0g、ブリリアントグリン0.0125g、クリスタルバイオレット0.01g、寒天15.0g、pH6.8±0.2。
本発明のデバイスは、代表的には、以下のようにして調製され得る。
まず、上記第2の培地は、通常、加温して寒天を含む培地成分を溶解し、そして良く混和しながら滅菌された上記容器にその培地注入口から、高さが10〜20mmとなるように充填し、冷却して固化する。次いで、固化した上記第2の培地と空気とを吸引して容器底部に空隙を作る。次いで、上記第1の培地を高さが10〜20mmとなるように充填する。これは、例えば、シリンジ様の容器を用いる場合、第1の培地をシリンジの先端部から吸引することによって行われる。第2の培地と第1の培地との間には、空隙が存在するので使用時まで接触することはない。所定量の第1の培地をシリンジに吸引した後、シリンジの先端部から培地が流れ出ないように、滅菌済みキャップ等で先端を閉じる。
(実施形態1)
本発明の代表的なデバイスの概略図を図1に示す。このデバイスは、市販のルアーロックシンジ様の形状および構成を備え、先端がテーパー状である円筒形の本体9と、この本体9内に摺動可能に挿入されるプランジャーロッド1と、テーパー状の先端部と係合するキャップ7とを備える。テーパー状の先端部には、チップ(または針)5が装着され、キャップ7は、このチップ(または針)5を覆うように構成されてもよい。プランジャーロッドの遠位端には、上記円筒形の本体9の内壁との間で液体密な接触を提供し、それによって、上記円筒本体に収容される内容物の漏れを防ぐプランジャー3を備える。キャップ7の底部には、テーパー状の先端部またはチップの先端部から上記本体の内容物の漏れを防ぐためにシリコンラバーのシートなどが敷かれ得る。プランジャーロッド1上にはその周縁を取り囲むストッパー(またはOリング)部材4が装着されても良く、このストッパー部材の下面が、円筒形の本体の上部周縁と密接に適合することによってデバイスの出荷時のプランジャーロッドの誤操作を防ぐ。
本発明の代表的なデバイスの概略図を図1に示す。このデバイスは、市販のルアーロックシンジ様の形状および構成を備え、先端がテーパー状である円筒形の本体9と、この本体9内に摺動可能に挿入されるプランジャーロッド1と、テーパー状の先端部と係合するキャップ7とを備える。テーパー状の先端部には、チップ(または針)5が装着され、キャップ7は、このチップ(または針)5を覆うように構成されてもよい。プランジャーロッドの遠位端には、上記円筒形の本体9の内壁との間で液体密な接触を提供し、それによって、上記円筒本体に収容される内容物の漏れを防ぐプランジャー3を備える。キャップ7の底部には、テーパー状の先端部またはチップの先端部から上記本体の内容物の漏れを防ぐためにシリコンラバーのシートなどが敷かれ得る。プランジャーロッド1上にはその周縁を取り囲むストッパー(またはOリング)部材4が装着されても良く、このストッパー部材の下面が、円筒形の本体の上部周縁と密接に適合することによってデバイスの出荷時のプランジャーロッドの誤操作を防ぐ。
上記円筒形の本体9内には、充填された第1の培地11および固化された第2の培地22が含まれる。この第1の培地11と第2の培地22とは、空隙によって分離されている。この第1の培地および第2の培地としては、目的微生物に応じ、その増殖および分離に適した上記に記載の任意の培地が用いられ得る。
好ましくは、上記円筒形本体は、透明材料から作製され、それによって本体内部の状態を観察し得る。この円筒形本体は、例えば、ガラス、ポリエチレン、環状ポリオレフィンなど、任意の材料から構成され得る。
上記プランジャーは、淡色であり、本体内部の黒などの発色の観察を容易にし得る。
上記プランジャーは、淡色であり、本体内部の黒などの発色の観察を容易にし得る。
(実施形態2)
本発明のデバイスを用いた目的微生物の検出法の概略を図5に示す。
本発明のデバイスを用いた目的微生物の検出法の概略を図5に示す。
まず、サンプル(検体)25gを、緩衝化ペプトン水(BPW)225mLに添加し、ストマッカー処理して粉砕する。得られたサンプル混合物を、35℃で約22時間培養する(前増菌培養)。得られた前増菌培養液の一部を、第1の培地としてRV培地を0.2ml、そして第2の培地としてMLCB培地を、それぞれ0.2mlずつ充填した1.0〜2.0mL容のシリンジに吸引する。この時点で、吸引された前増菌培養液と第1の培地と第2の培地とが接触することによって混合される。
このシリンジを、試験管立てに立て、35℃で約22時間培養した(増菌培養および分離培養)。サルモネラ菌と疑われる目的微生物の存在は、例えば、サルモネラ菌の産生するH2Sに起因する黒色の発色によって確認される。
サルモネラ菌と疑われる目的微生物の存在が確認されると、そのシリンジから採取した培地の一部を、別途調製されたMLCB平板培地上に画線塗抹し、目的微生物を分離する。
(比較例)
従来法による目的微生物の検出法の一例の概略を図6に示す。
従来法による目的微生物の検出法の一例の概略を図6に示す。
その他の代表的な従来法(非特許文献1、第2章、4 サルモネラ 食肉製品、一般食品からのサルモネラ属菌の分離を参照のこと)によれば、サンプル(検体)25gを緩衝ペプトン水(BPW)など225mLに添加し、ストマッカー処理して粉砕する。得られたサンプル混合物を、35℃で約18時間培養する(前増菌培養)。得られた前増菌培養液の1.0mLを、RV培地やTT培地など15mLに接種し、43℃で約18時間培養する(増菌培養)。
次いで、得られた培養液をMLCB培地、ブリリアントグリーン培地、XLD寒天培地、DHL寒天培地(メルク(株)、日水製薬(株)などから入手可能)に画線塗抹し、35℃で約24時間培養する(分離培養)。次いで、TSI培地およびLIM培地に、サルモネラ菌と疑われる平板上の集落を釣菌して接種して約35℃で約22時間培養する。得られた培養液に、例えば、サルモネラ診断用血清を添加しそのO抗原の形別を判別する。
このように、従来法によれば、検体採取から分離培養終了までに約60時間を要し、分離培養が終了し、サルモネラ菌と疑われる集落を得、さらにサルモネラ菌であることを確認するまでその存在の有無は不明である。そして少なくとも前増菌培養、増菌培養、および分離培養と3つの培養が必要で、従って、その間に、少なくとも2回の植え継ぎ操作が必要である。図6に示される方法においても同様であって、このような方法によれば、検体採取から分離培養終了までに約66時間を要する。
その他の従来法の欠点として、約35℃と約42℃の2つの培養温度条件を設定しなければならない;液体培養と平板培養の両方から廃棄物が生じる(前者からは、試験管培地約10mLおよび試験管、そして後者からは平板培地約20mLおよびプラスチックシャーレなど)、などの欠点を有している。
これに対し、本発明のデバイスによれば、以下の利点が得られる。
i)検体採取から分離培養終了(陽性が疑われる場合のみ)まで同じく約66時間(3日間)を要するが、サルモネラ菌と疑われる菌が存在しなければ、つまり、増菌培養および分離培養で陽性が認められなければ検査は1日短縮されて約44時間で終了する。これにともない、植え継ぎ操作は陽性認められなければ、前増菌培養から、増菌および分離培養のみで済み従来法より1回省略されて1回で終了する、つまり、増菌培養および分離培養をまとめて行い、検査開始2日目で一度目的微生物の有無を鑑別可能であることにより、以降の検査に進む検体を選抜し、検査期間の短縮検体数の減少を実現する;ii)インキュベーション条件は約35℃の一つのみであり、培養設備が簡略で済む;iii)使用する容器が小さく省スペース化および必要な培地が少なくてすむ;iv)容器の小型化により(容量が約1mL)、小量の液体培地(液体培地および寒天培地がせいぜいそれぞれ約0.2mL)しか含まないため、廃棄物として、小量の培地が封入された容器しか排出されない。
上記の利点は、サルモネラ菌のみならず、検査法として増菌培養を必要とする様々な食中毒菌の検出試験において発揮され得る。
以下、発明を実施例によって説明する。以下の実施例は、本発明を例示するものであって、本発明を制限する意図はない。
(実施例1)
テルモ(株)(東京)から市販されている、テルモシリンジ(1mL容ツベルクリン用:SS−01T)およびテルモ注射針(25G×1インチ)を用いて本発明のテバイスを試作した。
テルモ(株)(東京)から市販されている、テルモシリンジ(1mL容ツベルクリン用:SS−01T)およびテルモ注射針(25G×1インチ)を用いて本発明のテバイスを試作した。
Rappaport−Vassiliadis(RV)培地(メルク(株)社製)を通常の1.5倍濃度(62.7g/l)で精製水に加温溶解し、0.5%(w/v)となるようにグリセリンを加え、良く混和し、増菌培地として用いた。そして、MLCB寒天培地(日水製薬(株)社製)の通常の量(49.0g/l)を精製水に加温溶解し、0.5%(w/v)となるようにグリセリンを加え、良く混和し、分離培地として用いた。各培地は115℃15分間でオートクレーブ滅菌した。
まず、滅菌した上記分離培地の約0.2mLを、無菌条件下、シリンジのプランジャーロッドを引っ張ることによって吸引した。次いで、無菌空気の0.2mLを、無菌条件下、シリンジに吸引した。ここで、先に吸引した分離培地はシリンダーの上方に移動し、シリンジ底部に空気を含む空隙を生じた。ここで、移動した分離培地を冷却することによって固化した。次いで、滅菌した増菌培地の0.2mLを、無菌条件下、シリンジに吸引し、キャップを注射針に装着した(試作品1)。試作品の写真を図3に示す。
(実施例2)
テルモシリンジ(1mL容ツベルクリン用:SS−01T)およびテルモ注射針(25G×1インチ)の代わりに、(株)マイクロテック社(Vista Dental Company製)から市販されている、キャップ付のルアロックシリンジ(1.2mL容:カタログ番号316002)を用いたことを除いて、実施例1と同様に本発明のテバイスを試作した(試作品2)。試作品の写真を図2に示す。このルアロックシリンジは、図2に示されるように、注射針に代わって、シリンジ本体の先端を覆うキャップを備えている。
テルモシリンジ(1mL容ツベルクリン用:SS−01T)およびテルモ注射針(25G×1インチ)の代わりに、(株)マイクロテック社(Vista Dental Company製)から市販されている、キャップ付のルアロックシリンジ(1.2mL容:カタログ番号316002)を用いたことを除いて、実施例1と同様に本発明のテバイスを試作した(試作品2)。試作品の写真を図2に示す。このルアロックシリンジは、図2に示されるように、注射針に代わって、シリンジ本体の先端を覆うキャップを備えている。
−サルモネラ菌の検出試験−
以下に示す9株の菌株および本発明のデバイス(上記試作品2)を用いて本発明の方法を実施した。
1.Salmonella Enteritidis IFO3313
2.Salmonella Typhimurium IFO12529
3.Salmonella Enteritidis RIMD1933001
4.Salmonella Enteritidis RIMD1933006
5.Salmonella Enteritidis GID0131
6.Pseudomonas aeruginosa NBRC13275
7.Escherichia coli IFO15034
8.Enterobacter cloacae IFO13535
9.Citrobacter freundii NBRC12681
まず、上記のように調製した試作品2のプランジャーロッドを押すことによって、シリンダー本体内の空気を抜き、増菌培地と分離培地とを接触させた。次いで、上記供試菌のスラントから採取した各菌体を滅菌水に懸濁した(OD660値=約0.1)。得られた各懸濁液を、対応する数の試作品2のシリンジのシリンダーロッドを引き、約0.05mL吸引することによって植菌した。植菌したシリンダーを垂直に保持し、35℃のインキュベーターで培養した。図4に、培養24時間後の各供試菌を接種したシリンダーを示す。
以下に示す9株の菌株および本発明のデバイス(上記試作品2)を用いて本発明の方法を実施した。
1.Salmonella Enteritidis IFO3313
2.Salmonella Typhimurium IFO12529
3.Salmonella Enteritidis RIMD1933001
4.Salmonella Enteritidis RIMD1933006
5.Salmonella Enteritidis GID0131
6.Pseudomonas aeruginosa NBRC13275
7.Escherichia coli IFO15034
8.Enterobacter cloacae IFO13535
9.Citrobacter freundii NBRC12681
まず、上記のように調製した試作品2のプランジャーロッドを押すことによって、シリンダー本体内の空気を抜き、増菌培地と分離培地とを接触させた。次いで、上記供試菌のスラントから採取した各菌体を滅菌水に懸濁した(OD660値=約0.1)。得られた各懸濁液を、対応する数の試作品2のシリンジのシリンダーロッドを引き、約0.05mL吸引することによって植菌した。植菌したシリンダーを垂直に保持し、35℃のインキュベーターで培養した。図4に、培養24時間後の各供試菌を接種したシリンダーを示す。
各シリンダーの下の参照番号は、上記の供試菌を植菌したシリンダーであることを示す。Bは、図2に示した本発明のデバイスである。Bはブランクの意味である。図4に示されるように、1〜5及び1+9のサルモネラ菌を含むシリンダーは、発生する硫化水素によって分離培地(MLCB寒天培地)が黒変し(図2中丸で囲って示される)、サルモネラ菌を含まないデバイスにそのような変化は観察されなかった。
食中毒、病原菌などの特定微生物を簡便かつ迅速に検出するデバイスが提供される。
1 プランジャーロッド
3 プランジャー
4 ストッパー部材
5 チップ
7 キャップ
9 容器本体
11 第1の培地
12 第2の培地
3 プランジャー
4 ストッパー部材
5 チップ
7 キャップ
9 容器本体
11 第1の培地
12 第2の培地
Claims (8)
- サンプル中の目的微生物を検出するためのデバイスであって、
サンプル採取手段、該微生物を培養する培地を含む容器、および該サンプルと該培地とを混合する手段を備え、
該培地が、目的の微生物を増殖する第1の培地、および目的の微生物またはその産物に応答し得る成分を含む第2の培地を含み、該第1の培地および該第2の培地が該容器中で隔離して収容される、デバイス。 - 前記容器が透明材料から作製され、前記応答が外部から目視で観察され得る、請求項1に記載のデバイス。
- 前記サンプル採取手段が、前記容器の底部に設けられた開口部、および該開口部と連通する吸引手段を含む、請求項1に記載のデバイス。
- 前記接触される手段が、前記開口部に取り付けられるチップまたはニードルと、前記吸引手段との組み合わせである、請求項3に記載のデバイス。
- 前記容器が円筒形シリンジであり、前記吸引手段が該シリンジに緊密に収容されるプラジャーである、請求項も3に記載のデバイス。
- 前記チップまたはニードルを密閉する手段をさらに備える、請求項4に記載のデバイス。
- 前記目的の微生物が、サルモネラ属、エシェリキア属、ビブリオ属、カンピロバクター属、リステリア属、セレウス属、エルシニア属、またはコレラ属に属する食中毒原因菌である、請求項1に記載のデバイス。
- サンプル中の目的微生物を検出する方法であって、
サンプルを採取する工程、
得られたサンプルを、請求項1に記載のデバイスに取り込む工程、
該サンプル、前記第1の培地および前記第2の培地を接触させる工程、
該デバイスを目的微生物が増殖する条件下に配置する工程、および
該微生物の前記応答の有無を確認する工程、を包含する、方法。
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