JP2008135492A - 固体レーザ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】光出力を安定に維持し且つ総消費電流を抑制する。
【解決手段】半導体レーザなどの温度を制御するためのペルチェ電流Ipを制限し、光出力を安定に維持できる温度範囲内に収まるような範囲で半導体レーザなどの温度が制御温度から外れることを許容する。
【効果】半導体レーザの駆動電流が最小になる制御温度から実温度が外れることがあり、半導体レーザの駆動電流は増えてしまうが、それより大きくペルチェ電流を減らすことが出来るため、総消費電流を抑制することが出来る。
【選択図】図3

Description

本発明は、固体レーザ装置に関し、さらに詳しくは、総消費電流を抑制することが出来る固体レーザ装置に関する。
従来、光出力を一定に維持でき且つ半導体レーザの駆動電流が最小になる制御温度に半導体レーザやレーザ光学系に含まれる光学素子の温度を制御する固体レーザ装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2004−235551号公報
上記従来の固体レーザ装置では、例えば、図5に示すように、制御温度Tcを25℃とすると光出力を一定に維持するための半導体レーザの駆動電流Idが約180mAとなり、35℃とすると約150mAとなり、45℃とすると約180mAとなるなら、図6に示すように、例えば制御温度Tc=35℃一定で温度制御していた。これにより、環境温度Tsにかかわらず半導体レーザの駆動電流Idを約150mAにすることが出来た。
しかし、制御温度Tc=35℃一定とするとき、例えば、図7に示すように、環境温度Tsが30℃のときはペルチェ素子に供給するペルチェ電流Ipは約0mAで済むが、環境温度Tsが0℃や50℃のときはペルチェ電流Ipは約600mAが必要になる。つまり、環境温度Tsにかかわらず制御温度Tcを一定にしていた場合、半導体レーザの駆動電流Idを常に最小に維持できたとしても、環境温度Tsが0℃や50℃のときには非常に大きなペルチェ電流Ipが必要となり、総消費電流を抑制できない問題点があった。
そこで、本発明の目的は、総消費電流を抑制することが出来る固体レーザ装置を提供することにある。
第1の観点では、本発明は、励起レーザ光を発生する半導体レーザと、前記半導体レーザに駆動電流を供給する半導体レーザ駆動回路と、前記励起レーザ光によって励起される固体レーザ媒質と、前記固体レーザ媒質を含んで形成される光共振器内に収容され前記光共振器で発振する基本波の高調波を発生する非線形光学素子と、前記高調波が所定出力になるように前記半導体レーザ駆動回路を制御する出力調整回路と、前記半導体レーザと前記固体レーザ媒質と前記非線形光学素子の少なくとも一つの温度が所定の制御温度になるように温度制御する温度制御手段と、前記温度制御のための温調電流を制限する温調電流制限手段とを具備したことを特徴とする固体レーザ装置を提供する。
上記第1の観点による固体レーザ装置では、温調電流制限手段により温調電流を制限するが、固体レーザ装置が置かれる環境温度範囲の最低温度において光出力を一定に維持しうる実温度範囲の最低温度以上となりうる温調電流(加熱電流)を確保できるならば、実温度が制御温度以下となっても支障はない。また、固体レーザ装置が置かれる環境温度範囲の最高温度において光出力を一定に維持しうる実温度範囲の最高温度以下となりうる温調電流(冷却電流)を確保できるならば、実温度が制御温度以上となっても支障はない。そして、温調電流を制限することによって半導体レーザの駆動電流が最小になる制御温度から実温度が外れると半導体レーザの駆動電流は増えてしまうが、それより大きく温調電流を減らすことが出来るため、総消費電流を抑制することが出来る。
第2の観点では、本発明は、前記第1の観点による固体レーザ装置において、前記温調電流制限手段は、固体レーザ装置が置かれる環境温度範囲の最低温度において光出力を一定に維持しうる実温度範囲の最低温度となりうる電流値から固体レーザ装置が置かれる環境温度範囲の最高温度において光出力を一定に維持しうる実温度範囲の最高温度となりうる電流値までの範囲に前記温調電流を制限することを特徴とする固体レーザ装置を提供する。
上記第2の観点による固体レーザ装置では、環境温度範囲の両端部分においては、半導体レーザの駆動電流が最小になる制御温度から実温度が外れるため、半導体レーザの駆動電流は増えてしまうが、大きく温調電流を減らすことが出来るため、総消費電流を抑制することが出来る。また、使用頻度の高い環境温度範囲の中央部分においては、半導体レーザの駆動電流が最小になる制御温度に温調されるため、半導体レーザの駆動電流が最小になり、温度安定性も高くなる。
本発明の固体レーザ装置によれば、光出力を安定に維持しつつ、総消費電流を抑制することが出来る。
以下、図に示す実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
図1は、実施例1に係る固体レーザ装置100を示す説明図である。
この固体レーザ装置100は、励起レーザ光を発生する半導体レーザ1と、励起レーザ光を集光する集光レンズ系2と、励起レーザ光の入射面に反射面が形成され且つ励起レーザ光により励起されて基本波光を発生する固体レーザ媒質3と、基本波光が入射すると第2高調波光を発生する非線形光学素子4と、固体レーザ媒質3の反射面との間で光共振器を形成する反射面を持つ出力側ミラー5と、出力側ミラー5から外部へ出力される出力レーザ光の一部を透過すると共に残りを分岐するビームスプリッタ6と、分岐光を受光し電気信号に変換するホトダイオード7と、ペルチェ素子と温度センサとを有し半導体レーザ1や固体レーザ媒質3や非線形光学素子4の温調を行うための温調ユニット8と、筐体10と、半導体レーザ1に駆動電流Idを供給する半導体レーザ駆動回路14と、温調ユニット8の実温度Tpが制御温度Tcに一致するようにペルチェ電流Ipを制御する温度制御回路15と、ホトダイオード7で受光する分岐光の強度が一定になるような駆動電流Idを半導体レーザ1に供給すべく半導体レーザ駆動回路14を制御すると共に温度制御回路15に制御温度Tcを指示する制御部16と、ペルチェ電流Ipを制限するペルチェ電流制限回路17とを具備している。
図2に示すように、制御温度Tcは、半導体レーザ1の駆動電流Idが最小になる制御温度(この例では35℃)に一定になっている。
図3は、環境温度Tsの変化に対するペルチェ電流Ipの変化を示すグラフである。
制御温度Tcが35℃で一定ならば、温度制御回路15は、図7に示すように、環境温度Tsに応じたペルチェ電流Ipを供給しようとする。ところが、ペルチェ電流制限回路17は、+400mA≧Ip≧−300mAに制限する。このため、図3に示すようなペルチェ電流Ipの変化になる。
図4は、環境温度Tsの変化に対する実温度Tpの変化を示すグラフである。
実温度Tpは、半導体レーザ1などの発熱によって環境温度Tsよりも常に+5℃だけ上昇し、ペルチェ電流Ip=+400mAによる加熱分は+20℃であり、ペルチェ電流Ip=−300mAによる冷却分は−10℃であるとする。
例えば、環境温度Tsが0℃のときは、実温度Tpは、半導体レーザ1などの発熱による+5℃とペルチェ電流Ip=+400mAによる+20℃とにより、0℃+5℃+20℃=25℃となる。25℃は、固体レーザ装置100が置かれる環境温度範囲の最低温度0℃において光出力を一定に維持しうる実温度範囲の最低温度である。換言すれば、ペルチェ電流Ip=+400mAは、固体レーザ装置100が置かれる環境温度範囲の最低温度(Ts=0℃)において光出力を一定に維持しうる実温度範囲の最低温度(Tp=25℃)となりうる電流値である。図5より、実温度Tp=25℃で光出力を一定に維持するための半導体レーザ1の駆動電流Idは約180mAになる。合計すると、|Ip|+|Id|=約580mAになる。
一方、環境温度Tsが0℃でも実温度Tpを35℃に維持した場合、図5より半導体レーザ1の駆動電流Idは約150mAになるが、図7よりペルチェ電流Ipは約600mAになり、|Ip|+|Id|=約750mAになる。
環境温度Tsが10℃〜40℃のときは、ペルチェ電流Ipは制限されないため、実温度Tp=制御温度Tc=35℃となり、図5〜図7と同様になる。
例えば、環境温度Tsが50℃のときは、実温度Tpは、半導体レーザ1などの発熱による+5℃とペルチェ電流Ip=−300mAによる−10℃とにより、50℃+5℃−10℃=45℃となる。45℃は、固体レーザ装置100が置かれる環境温度範囲の最高温度50℃において光出力を一定に維持しうる実温度範囲の最高温度である。換言すれば、ペルチェ電流Ip=−300mAは、固体レーザ装置100が置かれる環境温度範囲の最高温度(Ts=50℃)において光出力を一定に維持しうる実温度範囲の最高温度(Tp=45℃)となりうる電流値である。図5より、実温度Tp=45℃で光出力を一定に維持するための半導体レーザ1の駆動電流Idは約180mAになる。合計すると、|Ip|+|Id|=約480mAになる。
一方、環境温度Tsが50℃でも実温度Tpを35℃に維持した場合、図5より半導体レーザ1の駆動電流Idは約150mAになるが、図7よりペルチェ電流Ipは約600mAになり、|Ip|+|Id|=約750mAになる。
実施例1の固体レーザ装置100によれば、ペルチェ電流Ipを制限することによって半導体レーザ1の駆動電流Idが最小になる制御温度Tcから実温度Tpが外れることがあり、半導体レーザ1の駆動電流Idは増えてしまうが、それより大きくペルチェ電流Ipを減らすことが出来るため、総消費電流|Ip|+|Id|を抑制することが出来る。そして、制御温度Tcから外れても、光出力を安定に維持できる実温度範囲内に実温度Tpが入るようにペルチェ電流Ipを制限するので支障は生じない。よって、乾電池で駆動した場合の電池寿命を延ばすことが出来る。
本発明の固体レーザ装置は、バイオエンジニアリング分野や計測分野で利用できる。特に、乾電池で駆動する例えばレーザポインタに有用である。
実施例1に係る固体レーザ装置を示す構成説明図である。 実施例1に係る制御温度を示すグラフである。 実施例1に係るペルチェ電流の変化を示すグラフである。 実施例1に係る実温度の変化を示すグラフである。 制御温度=実温度の変化に対して光出力を一定に維持するための駆動電流の変化を示すグラフである。 環境温度にかかわらず制御温度が一定であることを示すグラフである。 環境温度にかかわらず実温度を一定に制御したときのペルチェ電流の変化を示すグラフである。
符号の説明
1 半導体レーザ
2 集光レンズ系
3 固体レーザ媒質
4 非線形光学素子
5 出力側ミラー
6 ビームスプリッタ
7 ホトダイオード
8 温調ユニット
14 半導体レーザ駆動回路
15 温度制御回路
16 制御部
17 ペルチェ電流制限回路
100 固体レーザ装置

Claims (2)

  1. 励起レーザ光を発生する半導体レーザと、前記半導体レーザに駆動電流を供給する半導体レーザ駆動回路と、前記励起レーザ光によって励起される固体レーザ媒質と、前記固体レーザ媒質を含んで形成される光共振器内に収容され前記光共振器で発振する基本波の高調波を発生する非線形光学素子と、前記高調波が所定出力になるように前記半導体レーザ駆動回路を制御する出力調整回路と、前記半導体レーザと前記固体レーザ媒質と前記非線形光学素子の少なくとも一つの温度が所定の制御温度になるように温度制御する温度制御手段と、前記温度制御のための温調電流を制限する温調電流制限手段とを具備したことを特徴とする固体レーザ装置。
  2. 請求項1に記載の固体レーザ装置において、前記温調電流制限手段は、固体レーザ装置が置かれる環境温度範囲の最低温度において光出力を一定に維持しうる実温度範囲の最低温度となりうる電流値から固体レーザ装置が置かれる環境温度範囲の最高温度において光出力を一定に維持しうる実温度範囲の最高温度となりうる電流値までの範囲に前記温調電流を制限することを特徴とする固体レーザ装置。
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