JP2008134643A - マイクロ揺動素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】 揺動部の揺動動作のための駆動力を確保しつつ小型化を図るのに適したマイクロ揺動素子を提供する。
【解決手段】 本発明のマイクロ揺動素子X1は、揺動部10、フレーム21、および捩れ連結部22を備える。揺動部10は、可動機能部11と、可動機能部11から延出するアーム部12と、アーム部12の延び方向と交差する方向にアーム部12から各々が延出し且つ当該延び方向に互いに離隔する複数の電極歯13a,13bからなる櫛歯電極13A,13Bとを有する。捩れ連結部22は、揺動部10とフレーム21を連結し、揺動部10の揺動動作の、アーム部12の延び方向と交差する揺動軸心A1を規定する。また、本素子X1は、フレーム21から各々が延出し且つアーム部12の延び方向に互いに離隔する複数の電極歯23a,23bからなる、櫛歯電極13A,13Bと協働して揺動動作の駆動力を発生させるための櫛歯電極23A,23Bを更に備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、回転変位可能な揺動部を有する例えばマイクロミラー素子、加速度センサ、角速度センサ、振動素子などのマイクロ揺動素子に関する。
近年、様々な技術分野において、マイクロマシニング技術により形成される微小構造を有する素子の応用化が図られている。例えば光通信技術の分野においては、光反射機能を有する微小なマイクロミラー素子が注目されている。
光通信においては、光ファイバを媒体として光信号が伝送され、一般に、光信号の伝送経路を或るファイバから他のファイバへと切り換えるべく光スイッチング装置が利用される。良好な光通信を達成するうえで光スイッチング装置に求められる特性としては、切り換え動作における、大容量性、高速性、高信頼性などが挙げられる。これらの観点より、光スイッチング装置としては、マイクロマシニング技術により作製されるマイクロミラー素子を組み込んだものに対する期待が高まっている。マイクロミラー素子は、光スイッチング装置における入力側の光伝送路と出力側の光伝送路との間で、光信号を電気信号に変換せずに光信号のままでスイッチング処理を行うことができ、上掲の特性を得るうえで好適だからである。
マイクロミラー素子は、光を反射するためのミラー面を備え、当該ミラー面の揺動により光の反射方向を変化させることができる。ミラー面を揺動するうえで静電力を利用する静電駆動型のマイクロミラー素子が、多くの装置で採用されている。静電駆動型マイクロミラー素子は、いわゆる表面マイクロマシニング技術により製造されるマイクロミラー素子と、いわゆるバルクマイクロマシニング技術により製造されるマイクロミラー素子とに、大きく2つに類別することができる。
表面マイクロマシニング技術では、基板上において、各構成部位に対応する材料薄膜を所望のパターンに加工し、このようなパターンを順次積層することにより、支持固定部、揺動部、ミラー面、および電極部など、素子を構成する各部位や、後に除去される犠牲層を形成する。一方、バルクマイクロマシニング技術では、材料基板自体をエッチングすることにより固定支持部や揺動部などを所望の形状に成形し、ミラー面や電極を薄膜形成する。バルクマイクロマシニング技術については、例えば下記の特許文献1〜4に記載されている。
特開平9−146032号公報 特開平9−146034号公報 特開平10−190007号公報 特開平2000−31502号公報
マイクロミラー素子に要求される技術的事項の一つとして、光反射を担うミラー面の平面度が高いことが挙げられる。しかしながら、表面マイクロマシニング技術によると、最終的に形成されるミラー面が薄いためにミラー面が湾曲しやすく、従って、広面積のミラー面において高い平面度を達成するのが困難である。これに対し、バルクマイクロマシニング技術によると、相対的に分厚い材料基板自体をエッチング技術により削り込んでミラー支持部を構成して当該ミラー支持部上にミラー面を設けるため、広面積のミラー面であっても、その剛性を確保することができる。その結果、充分に高い光学的平面度を有するミラー面を形成することが可能である。
図32は、バルクマイクロマシニング技術によって作製される従来のマイクロミラー素子X6の一部省略斜視図である。マイクロミラー素子X6は、上面にミラー面64が設けられたミラー支持部61と、フレーム62(一部省略)と、これらを連結する一対のトーションバー63とを有する。ミラー支持部61には、その一対の端部に櫛歯電極61a,61bが形成されている。フレーム62には、櫛歯電極61a,61bに対応して、内方に延びる一対の櫛歯電極62a,62bが形成されている。一対のトーションバー63は、フレーム62に対するミラー支持部61の揺動動作の揺動軸心A6を規定している。
このような構成のマイクロミラー素子X6においては、駆動力(静電引力)を発生させるために近接して設けられた一組の櫛歯電極、例えば櫛歯電極61a,62aは、電圧非印加時には、図33(a)に示すように、2段に分れた配向をとる。一方、所定電圧印加時には、図33(b)に示すように、櫛歯電極61aが櫛歯電極62aに引き込まれ、これによりミラー支持部61が回転変位する。具体的には、櫛歯電極61aを正に帯電させ且つ櫛歯電極62aを負に帯電させると、櫛歯電極61aが櫛歯電極62aに引き込まれ、ミラー支持部61が、一対のトーションバー63を捩りながら揺動軸心A6まわりに回転変位する。このようなミラー支持部61の揺動駆動により、ミラー支持部61上に設けられたミラー面64により反射される光の反射方向が切り換えられる。
マイクロミラー素子X6において揺動軸心A6方向の短縮化により小型化を図るためには、実際上、揺動軸心A6方向において素子寸法の相当程度を占めるミラー支持部61の長さL61を、小さくする必要がある。しかしながら、マイクロミラー素子X6においては、ミラー支持部61の揺動動作のための駆動力を確保しつつ、揺動軸心A6方向の短縮化による小型化を図ることは、困難である。
マイクロミラー素子X6では、櫛歯電極61a,61bの各々の複数の電極歯が、揺動軸心A6方向に互いに離隔してミラー支持部61に支持されているので、櫛歯電極61a,61bの電極歯数は、ミラー支持部61の長さL61による制約を受ける。そのため、一組の櫛歯電極61a,62aを構成する電極歯の数、および、一組の櫛歯電極61b,62bを構成する電極歯の数は、ミラー支持部61の長さL61による制約を受ける。また、ミラー支持部61の揺動動作のための駆動力、即ち、櫛歯電極61a,62a間および櫛歯電極61b,62b間に発生し得る静電引力を、確保するためには、一組の櫛歯電極61a,62aにおいて電極歯どうしが対向可能な面積、および、一組の櫛歯電極61b,62bにおいて電極歯どうしが対向可能な面積を、確保しなければならない。したがって、ミラー支持部61の長さL61を小さくしたうえで当該対向可能面積を確保するためには、各電極歯の幅d1を短縮し且つ電極歯間ギャップd2を短縮することにより、各櫛歯電極61a,61b,62a,62bの電極歯数を一定以上に設定する手法や、ミラー支持部61およびフレーム62の間の距離を長くし且つ各電極歯の長さd3を増大する手法が、考えられる。
しかしながら、電極歯における幅d1の短縮および長さd3の増大は、電極歯の幅方向の機械的強度を低下させ、図33(b)を参照して上述したような電圧印加時において電極歯がその幅方向に変形して隣りの電極歯に張り付くという不具合を招来する。また、電極歯間ギャップd2の短縮は、マイクロミラー素子X6の製造において、プロセスの難化や、歩留まりの低下などを招来する。
このように、マイクロミラー素子X6は、ミラー支持部61の揺動動作のための駆動力を確保しつつ揺動軸心A6方向の短縮化による小型化を図るのに、困難性を有する。マイクロミラー素子X6のようなマイクロ揺動素子では、一般に、揺動動作する部位について、回転変位が大きく且つ高速の揺動動作を低い駆動電圧にて実現することができる特性が要求されるところ、そのような特性を得るうえでは、揺動部の揺動動作のための駆動力を一定以上に確保する必要がある。
本発明は、このような事情のもとで考え出されたものであり、揺動部の揺動動作のための駆動力を確保しつつ小型化を図るのに適したマイクロ揺動素子を提供することを、目的とする。
本発明の第1の側面により提供されるマイクロ揺動素子は、フレームと、可動機能部、当該可動機能部から延出するアーム部、および、当該アーム部の延び方向と交差する方向に当該アーム部から各々が延出し且つ延び方向に互いに離隔する複数の第1電極歯からなる第1櫛歯電極、を有する揺動部と、フレームおよび揺動部を連結し、且つ、当該揺動部の揺動動作の、アーム部の延び方向と交差する揺動軸心を規定する、捩れ連結部と、アーム部の延び方向と交差する方向にフレームから各々が延出し且つアーム部の延び方向に互いに離隔する複数の第2電極歯からなる、第1櫛歯電極と協働して揺動動作の駆動力を発生させるための第2櫛歯電極と、を備える。本素子における第1および第2櫛歯電極は、揺動部の揺動動作のための駆動機構としての、いわゆる櫛歯電極型アクチュエータを構成する。また、本素子は、例えばマイクロミラー素子に適用することができる。
本素子では、第1櫛歯電極の複数の第1電極歯は、可動機能部から延出するアーム部の延び方向に互いに離隔して当該アーム部に支持されており、且つ、第2櫛歯電極の複数の第2電極歯は、可動機能部から延出するアーム部の延び方向に互いに離隔してフレームに支持されている。第1および第2電極歯は、可動機能部に直接的には支持されていない。そのため、一組の櫛歯電極(第1櫛歯電極,第2櫛歯電極)を構成する電極歯(第1電極歯,第2電極歯)の数は、アーム部の延び方向に対して例えば直角に交差する揺動軸心の延び方向における可動機能部の長さによる制約を受けない。したがって、本素子では、揺動軸心方向における可動機能部の設計寸法に関わらず、所望数の第1および第2電極歯を設けることにより、第1および第2櫛歯電極において電極歯どうしが対向可能な面積を確保することができる。本素子では、第1および第2櫛歯電極において電極歯どうしが対向可能な面積を確保するうえで、第1および第2電極歯の機械的強度に支障を来すほどに第1および第2電極歯について幅を短縮したり延出長さを増大する必要はなく、且つ、素子の製造過程に不具合を生じるほどに電極歯間ギャップを短縮する必要はない。このように、本素子は、揺動軸心方向における可動機能部の設計寸法に関わらず所望数の第1および第2電極歯を設けることによって揺動部の揺動動作のための駆動力を確保しつつ、揺動軸心方向における可動機能部したがって素子全体の設計寸法を短く設定することによって小型化を図るのに、適しているのである。
本発明の好ましい実施の形態では、複数の第1電極歯の延び方向は、揺動軸心に対して平行である。この場合、第2電極歯の延び方向は、第1電極歯の延び方向に対して平行であるのが好ましい。第1および第2電極歯の延び方向が揺動軸心に対して平行である構成は、当該揺動軸心まわりの揺動動作のための駆動力を効率よく発生するうえで好適である。
本発明の他の好ましい実施の形態では、複数の第1電極歯の延び方向と揺動軸心の延び方向とは交差する。この場合、第2電極歯の延び方向は、第1電極歯の延び方向に対して平行であるのが好ましい。第1および第2電極歯の延び方向が、揺動軸心に対して非平行であっても、揺動軸心まわりの揺動動作のための駆動力を第1および第2櫛歯電極により発生可能な場合がある。
好ましくは、第1櫛歯電極は3本以上の電極歯からなり、隣り合う2つの第1電極歯間の距離は、揺動軸心から遠いほど長い。また、好ましくは、第2櫛歯電極は3本以上の電極歯からなり、隣り合う2つの第2電極歯間の距離は、揺動軸心から遠いほど長い。第1電極歯は、揺動軸心から遠いほど、揺動部の揺動動作時における電極歯離隔方向(アーム部の延び方向)の変位量が大きいところ、これらの構成は、揺動部の揺動動作時において第1電極歯が第2電極歯に当接してしまうのを回避するうえで好適である。
好ましくは、アーム部の延び方向において隣り合う2つの第2電極歯の間に位置する第1電極歯は、当該2つの第2電極歯間の中心位置から、揺動軸心に近付く方に偏位している。或は、アーム部の延び方向において隣り合う2つの第2電極歯の間に位置する第1電極歯は、当該2つの第2電極歯間の中心位置から、揺動軸心から遠ざかる方に偏位している。いわゆるpull-in現象を抑制するうえでは、これらの構成を採用するのが好ましい場合がある。
好ましい実施の形態においては、本マイクロ揺動素子は、アーム部の延び方向と交差する方向に当該アーム部から各々が延出し且つ当該アーム部の延び方向に互いに離隔する複数の第3電極歯、からなる第3櫛歯電極と、アーム部の延び方向と交差する方向にフレームから各々が延出し且つアーム部の延び方向に互いに離隔する複数の第4電極歯からなる、第3櫛歯電極と協働して揺動動作の駆動力を発生させるための第4櫛歯電極と、を更に備え、第2および第4櫛歯電極は電気的に分離されている。この場合、好ましくは、第1および第3櫛歯電極は電気的に接続されている。本構成によると、第2櫛歯電極に付与する電位と第4櫛歯電極に付与する電位とを異ならしめることによって、第1および第2櫛歯電極間に生ずる静電力と第3および第4櫛歯電極間に生ずる静電力とを異ならしめることができる。このような構成は、揺動軸心と交差する所定の軸心まわりの可動機能部の回転変位を制御するうえで、即ち、当該軸心まわりの可動機能部の姿勢を調整するうえで、好適である。
本発明の第2の側面により提供されるマイクロ揺動素子は、可動機能部、当該可動機能部に連結され当該可動機能部から離れる方向に延出するアーム部、および、当該アーム部の延び方向と交差する方向に当該アーム部から各々が延出し且つ延び方向に互いに離隔する複数の第1電極歯からなる第1櫛歯電極、を有する揺動部と、揺動部の揺動動作の揺動軸心を規定し、揺動部を揺動可能に固設する捩れ連結部と、第1櫛歯電極と協働して揺動動作の駆動力を発生させるための、複数の第2電極歯からなる第2櫛歯電極と、を備え、第1電極歯は、一方から他方に向かって幅が漸減する部位を有する。本発明の第3の側面により提供されるマイクロ揺動素子は、可動機能部、当該可動機能部に連結され当該可動機能部から離れる方向に延出するアーム部、および、当該アーム部の延び方向と交差する方向に当該アーム部から各々が延出し且つ延び方向に互いに離隔する複数の第1電極歯からなる第1櫛歯電極、を有する揺動部と、揺動部の揺動動作の揺動軸心を規定し、揺動部を揺動可能に固設する捩れ連結部と、第1櫛歯電極と協働して揺動動作の駆動力を発生させるための、複数の第2電極歯からなる第2櫛歯電極と、を備え、第2電極歯は、一方から他方に向かって幅が漸減する部位を有する。本発明の第4の側面により提供されるマイクロ揺動素子は、可動機能部、当該可動機能部に連結され当該可動機能部から離れる方向に延出するアーム部、および、当該アーム部の延び方向と交差する方向に当該アーム部から各々が延出し且つ延び方向に互いに離隔する複数の第1電極歯からなる第1櫛歯電極、を有する揺動部と、揺動部の揺動動作の揺動軸心を規定し、揺動部を揺動可能に固設する捩れ連結部と、第1櫛歯電極と協働して揺動動作の駆動力を発生させるための、複数の第2電極歯からなる第2櫛歯電極と、を備え、第1電極歯は、一方から他方に向かって幅が漸減する部位を有し、第2電極歯は、一方から他方に向かって幅が漸減する部位を有する。
好ましくは、複数の第1電極歯の幅の漸減する方向は、当該第1電極歯の延び方向である。好ましくは、複数の第2電極歯の幅の漸減する方向は、当該第2電極歯の延び方向である。好ましくは、複数の第1電極歯または複数の第2電極歯の延び方向は、揺動軸心に対して平行である。
図1〜図4は、本発明の第1の実施形態に係るマイクロミラー素子X1を表す。図1は、マイクロミラー素子X1の平面図であり、図2は、マイクロミラー素子X1の一部省略平面図であり、図3および図4は、各々、図1の線III−IIIおよび線IV−IVに沿った断面図である。
マイクロミラー素子X1は、揺動部10と、フレーム21と、捩れ連結部22と、櫛歯電極23A,23Bとを備え、MEMS技術などのバルクマイクロマシニング技術により、いわゆるSOI(silicon on insulator)基板である材料基板に対して加工を施すことによって製造されたものである。当該材料基板は、第1および第2シリコン層ならびに当該シリコン層間の絶縁層よりなる積層構造を有し、各シリコン層は、不純物のドープにより所定の導電性が付与されている。マイクロミラー素子X1における上述の各部位は主に第1シリコン層および/または第2シリコン層に由来して形成されるところ、図の明確化の観点より、図1においては、第1シリコン層に由来して絶縁層より紙面手前方向に突き出る部位について、斜線ハッチングを付して表す。また、図2は、マイクロミラー素子X1において第2シリコン層に由来する構造を表す。
揺動部10は、ミラー支持部11と、アーム部12と、櫛歯電極13A,13Bとを有する。
ミラー支持部11は、第1シリコン層に由来する部位であり、その表面には、光反射機能を有するミラー面11aが設けられている。ミラー面11aは、例えば、第1シリコン層上に成膜されたCr層およびその上のAu層よりなる積層構造を有する。このようなミラー支持部11およびミラー面11aは、本発明における可動機能部を構成する。また、ミラー支持部11ないし可動機能部について図1に示す長さL1は、例えば20〜300μmである。
アーム部12は、主に第1シリコン層に由来する部位であり、ミラー支持部11から延出する。アーム部12について図1に示す長さL2は、例えば10〜100μmである。
櫛歯電極13Aは、複数の電極歯13aからなる。複数の電極歯13aは、アーム部12から各々が延出し、且つ、アーム部12の延び方向に互いに離隔する。櫛歯電極13Bは、複数の電極歯13bからなる。複数の電極歯13bは、電極歯13aとは反対の側にアーム部12から各々が延出し、且つ、アーム部12の延び方向に互いに離隔する。電極歯13a,13bは、主に第1シリコン層に由来する部位である。本実施形態では、図1に示すように、電極歯13a,13bの延び方向とアーム部12の延び方向とは直交し、電極歯13aは、図3に示すように素子厚さ方向Hに起立しており、電極歯13bも素子厚さ方向Hに起立している。また、本実施形態では、図1に示すように、電極歯13a,13bの幅は一様である。このような櫛歯電極13Aないし電極歯13aと櫛歯電極13Bないし電極歯13bとは、アーム部12を介して電気的に接続されている。
フレーム21は、主に第1および第2シリコン層に由来する部位であり、揺動部10を囲む形状を有する。フレーム21において第2シリコン層に由来する部位は図2に示す。また、フレーム21は、所定の機械的強度を有してフレーム21内の構造を支持する。フレーム21について図1に示す長さL3は、例えば5〜50μmである。
捩れ連結部22は、一対のトーションバー22aからなる。各トーションバー22aは、主に第1シリコン層に由来する部位であり、揺動部10のアーム部12とフレーム21において第1シリコン層に由来する部位とに接続してこれらを連結する。トーションバー22aにより、フレーム21の第1シリコン層由来部位とアーム部12とは電気的に接続される。また、トーションバー22aは、素子厚さ方向Hにおいて、図3に示すようにアーム部12より薄肉であり、フレーム21の第1シリコン層由来部位よりも薄肉である。このような捩れ連結部22ないし一対のトーションバー22aは、揺動部10ないしミラー支持部11の揺動動作の揺動軸心A1を規定する。揺動軸心A1は、図1に示す矢印D方向と、即ちアーム部12の延び方向と、直交する。したがって、アーム部12の延び方向に直交する方向にアーム部12から延出する上述の電極歯13a,13bの延び方向は、揺動軸心A1に対して平行である。このような揺動軸心A1は、好ましくは、揺動部10の重心またはその近傍を通る。
本実施形態では、各トーションバー22aに代えて、第1シリコン層において成形されて並列する一組のトーションバーを設けてもよい。この場合、当該一組のトーションバーの間隔は、フレーム21からアーム部12に近付くにつれて漸増するのが好ましい。マイクロミラー素子X1では、一対のトーションバー22aに代えて、このように並列する2つのトーションバーを2組設けることにより、揺動軸心A1を規定してもよい。後述のマイクロミラー素子においても同様である。
櫛歯電極23Aは、櫛歯電極13Aと協働して静電引力を発生するための部位であり、複数の電極歯23aからなる。複数の電極歯23aは、フレーム21から各々が延出し、且つ、アーム部12の延び方向に互いに離隔する。また、櫛歯電極23Aは、主に第2シリコン層に由来する部位であり、図2に示すように、フレーム21の第2シリコン層由来部位に固定されている。本実施形態では、図1に示すように、電極歯23aの延び方向とアーム部12の延び方向とは直交し、電極歯23aの延び方向は揺動軸心A1に対して平行である。また、本実施形態では、図1に示すように電極歯23aの幅は一様であり、図3に示すように電極歯23aは素子厚さ方向Hに起立している。
このような櫛歯電極23Aは、櫛歯電極13Aと共に駆動機構を構成する。櫛歯電極13A,23Aは、揺動部10の例えば非動作時には、図3および図4に示すように、互いに異なる高さに位置する。また、櫛歯電極13A,23Aは、揺動部10の揺動動作時において互いに当接しないように、それらの電極歯13a,23aが位置ずれした態様で配されている。本実施形態では、隣り合う2つの電極歯13a間の距離は全て同じであり、隣り合う2つの電極歯23a間の距離は全て同じであり、アーム部12の延び方向において2つの電極歯23aの間に位置する電極歯13aは、2つの電極歯23a間の中心に位置する。
櫛歯電極23Bは、櫛歯電極13Bと協働して静電引力を発生するための部位であり、複数の電極歯23bからなる。複数の電極歯23bは、フレーム21から各々が延出し、且つ、アーム部12の延び方向に互いに離隔する。また、櫛歯電極23Bは、主に第2シリコン層に由来する部位であり、図2に示すように、フレーム21の第2シリコン層由来部位に固定されている。櫛歯電極23Bないし電極歯23bは、フレーム21の第2シリコン層由来部位を介して櫛歯電極23Aないし電極歯23aと電気的に接続されている。本実施形態では、図1に示すように、電極歯23bの延び方向とアーム部12の延び方向とは直交し、電極歯23bの延び方向は揺動軸心A1に対して平行である。また、本実施形態では、図1に示すように電極歯23bの幅は一様であり、電極歯23aと同様に電極歯23bも素子厚さ方向Hに起立している。
このような櫛歯電極23Bは、櫛歯電極13Bと共に駆動機構を構成する。櫛歯電極13B,23Bは、揺動部10の例えば非動作時には、図4に示すように、互いに異なる高さに位置する。また、櫛歯電極13B,23Bは、揺動部10の揺動動作時において互いに当接しないように、それらの電極歯13b,23bが位置ずれした態様で配されている。本実施形態では、隣り合う2つの電極歯13b間の距離は全て同じであり、隣り合う2つの電極歯23b間の距離は全て同じであり、アーム部12の延び方向において2つの電極歯23bの間に位置する電極歯13bは、2つの電極歯23b間の中心に位置する。
図5および図6は、マイクロミラー素子X1の製造方法の一例を表す。この方法は、バルクマイクロマシニング技術によりマイクロミラー素子X1を製造するための一手法である。図5および図6においては、図6(d)に示すミラー支持部M、アーム部AR、フレームF1,F2、トーションバーT1,T2、および一組の櫛歯電極E1,E2の形成過程を、一の断面の変化として表す。当該一の断面は、加工が施される材料基板(多層構造を有するウエハ)における単一のマイクロミラー素子形成区画に含まれる複数の所定箇所の断面を、モデル化して連続断面として表したものである。ミラー支持部Mは、ミラー支持部11の一部に相当する。アーム部ARは、アーム部12に相当し、アーム部12の横断面を表す。フレームF1,F2は、各々、フレーム21に相当し、フレーム21の横断面を表す。トーションバーT1は、トーションバー22aに相当し、トーションバー22aの延び方向の断面を表す。トーションバーT2は、トーションバー22aに相当し、トーションバー22aの横断面を表す。櫛歯電極E1は、櫛歯電極13A,13Bの一部に相当し、電極歯13a,13bの横断面を表す。櫛歯電極E2は、櫛歯電極23A,23Bの一部に相当し、電極歯23a,23bの横断面を表す。
マイクロミラー素子X1の製造においては、まず、図5(a)に示すような材料基板100を用意する。材料基板100は、シリコン層101,102と、当該シリコン層101,102間の絶縁層103とからなる積層構造を有するSOI基板である。シリコン層101,102は、不純物をドープすることにより導電性を付与されたシリコン材料よりなる。不純物としては、Bなどのp型不純物や、PおよびSbなどのn型不純物を採用することができる。絶縁層103は例えば酸化シリコンよりなる。シリコン層101の厚さは例えば10〜100μmであり、シリコン層102の厚さは例えば50〜500μmであり、絶縁層103の厚さは例えば0.3〜3μmである。
次に、図5(b)に示すように、シリコン層101上にミラー面11aを形成する。ミラー面11aの形成においては、まず、スパッタリング法により、シリコン層101に対して例えばCr(50nm)およびこれに続いてAu(200nm)を成膜する。次に、所定のマスクを介してこれら金属膜に対してエッチング処理を順次行うことにより、ミラー面11aをパターン形成する。Auに対するエッチング液としては、例えば、ヨウ化カリウム−ヨウ素水溶液を使用することができる。Crに対するエッチング液としては、例えば硝酸第二セリウムアンモニウム水溶液を使用することができる。
次に、図5(c)に示すように、シリコン層101上には酸化膜パターン110およびレジストパターン111を形成し、シリコン層102上に酸化膜パターン112を形成する。酸化膜パターン110は、揺動部10(ミラー支持部M,アーム部AR,櫛歯電極E1)およびフレーム21(フレームF1,F2)に対応するパターン形状を有する。レジストパターン111は、両トーションバー22a(トーションバーT1,T2)に対応するパターン形状を有する。また、酸化膜パターン112は、フレーム21(フレームF1,F2)および櫛歯電極23A,23B(櫛歯電極E2)に対応するパターン形状を有する。
次に、図5(d)に示すように、酸化膜パターン110およびレジストパターン111をマスクとして、DRIE(deep reactive ion etching)により、シリコン層101に
対し所定の深さまでエッチング処理を行う。所定の深さとは、トーションバーT1,T2の厚さに相当する深さであり、例えば5μmである。DRIEでは、エッチングと側壁保護とを交互に行うBoschプロセスにおいて、良好なエッチング処理を行うことができる。後出のDRIEについても、このようなBoschプロセスを採用することができる。
次に、図6(a)に示すように、剥離液を作用させることにより、レジストパターン111を剥離する。剥離液としては、例えばAZリムーバ700(クラリアントジャパン製)を使用することができる。
次に、図6(b)に示すように、酸化膜パターン110をマスクとして、DRIEにより、トーションバーT1,T2を残存形成しつつシリコン層101に対して絶縁層103に至るまでエッチング処理を行う。本エッチング処理により、揺動部10(ミラー支持部M,アーム部AR,櫛歯電極E1)、両トーションバー22a(トーションバーT1,T2)、および、フレーム21(フレームF1,F2)の一部が、成形される。
次に、図6(c)に示すように、酸化膜パターン112をマスクとして、DRIEによりシリコン層102に対して絶縁層103に至るまでエッチング処理を行う。本エッチング処理により、フレーム21(フレームF1,F2)の一部および櫛歯電極23A,23B(櫛歯電極E2)が成形される。
次に、図6(d)に示すように、絶縁層103において露出している箇所、および酸化膜パターン110,112を、エッチング除去する。エッチング手法としては、ドライエッチングまたはウエットエッチングを採用することができる。ドライエッチングを採用する場合、エッチングガスとしては、例えば、CF4やCHF3などを採用することができる。ウエットエッチングを採用する場合、エッチング液としては、例えば、フッ酸とフッ化アンモニウムからなるバッファードフッ酸(BHF)を使用することができる。
以上の一連の工程を経ることにより、ミラー支持部M、アーム部AR、フレームF1,F2、トーションバーT1,T2、および一組の櫛歯電極E1,E2を成形してマイクロミラー素子X1を製造することができる。
マイクロミラー素子X1においては、櫛歯電極13A,13B,23A,23Bに対して必要に応じて所定の電位を付与することにより、揺動部10ないしミラー支持部11を揺動軸心A1まわりに回転変位させることができる。櫛歯電極13A,13Bに対する電位付与は、フレーム21の第1シリコン層由来部位、両トーションバー22a、およびアーム部12を介して実現することができる。櫛歯電極13A,13Bは、例えばグラウンド接続される。一方、櫛歯電極23A,23Bに対する電位付与は、フレーム21の第2シリコン層由来部位を介して実現することができる。フレーム21の第2シリコン層由来部位と、フレーム21の第1シリコン層由来部位とは、絶縁層(例えば上述の絶縁層103)により電気的に分離されている。
櫛歯電極13A,13B,23A,23Bの各々に所定の電位を付与することにより櫛歯電極13A,23A間および櫛歯電極13B,23B間に所望の静電引力を発生させると、櫛歯電極13Aは櫛歯電極23Aに引き込まれ、且つ、櫛歯電極13Bは櫛歯電極23Bに引き込まれる。そのため、揺動部10ないしミラー支持部11は、揺動軸心A1まわりに揺動動作し、当該静電引力と各トーションバー22aの捩り抵抗力の総和とが釣り合う角度まで回転変位する。釣り合い状態においては、櫛歯電極13A,23Bは、例えば図7に示す配向をとり、櫛歯電極13B,23Bも同様の配向をとる。このような揺動動作における回転変位量は、櫛歯電極13A,13B,23A,23Bへの付与電位を調整することにより、調節することができる。また、櫛歯電極13A,23A間の静電引力および櫛歯電極23A,23B間の静電引力を消滅させると、各トーションバー22aはその自然状態に復帰し、揺動部10ないしミラー支持部11は、図3に表れているような配向をとる。以上のような揺動部10ないしミラー支持部11の揺動駆動により、ミラー支持部11上に設けられたミラー面11aにて反射される光の反射方向を適宜切り換えることができる。
マイクロミラー素子X1においては、櫛歯電極13Aの複数の電極歯13aは、ミラー支持部11から延出するアーム部12の延び方向に互いに離隔してアーム部12に支持されており、且つ、櫛歯電極23Aの複数の電極歯23aは、アーム部12の延び方向に互いに離隔してフレーム21に支持されている。一方、櫛歯電極13Bの複数の電極歯13bは、ミラー支持部11から延出するアーム部12の延び方向に互いに離隔してアーム部12に支持されており、且つ、櫛歯電極23Bの複数の電極歯23bは、アーム部12の延び方向に互いに離隔してフレーム21に支持されている。これら電極歯13a,13b,23a,23bは、ミラー支持部11に直接的には支持されていない。そのため、一組の櫛歯電極13A,23Aを構成する電極歯13a,23aの数、および、一組の櫛歯電極13B,23Bを構成する電極歯13b,23bの数は、アーム部12の延び方向に対して直交する揺動軸心A1の延び方向におけるミラー支持部11の長さによる制約を受けない。
したがって、マイクロミラー素子X1では、揺動軸心A1方向におけるミラー支持部11の設計寸法に関わらず、所望数の電極歯13a,13b,23a,23bを設けることにより、電極歯13a,23aどうしが対向可能な面積、および、電極歯13b,23bどうしが対向可能な面積を、確保することができる。マイクロミラー素子X1では、例えば、一組の櫛歯電極13A,23Aにおいて電極歯13a,23aどうしが対向可能な面積を確保するうえで、電極歯13a,23aの機械的強度に支障を来すほどに電極歯13a,23aについて幅を短縮したり延出長さを増大する必要はなく、且つ、素子の製造過程に不具合を生じるほどに電極歯間ギャップを短縮する必要はない。
このように、マイクロミラー素子X1は、揺動軸心A1方向におけるミラー支持部11の設計寸法に関わらず所望数の電極歯13a,13b,23a,23bを設けることによって揺動部10の揺動動作のための駆動力を確保しつつ、揺動軸心A1方向におけるミラー支持部11したがって素子全体の設計寸法を短く設定することによって小型化を図るのに、適しているのである。
図8は、マイクロミラー素子X1の第1変形例の平面図である。本変形例では、アーム部12の延び方向において隣り合う2つの電極歯23aの間に位置する電極歯13aは、当該2つの電極歯23a間の中心位置から、揺動軸心A1に近付く方に偏位しているか、或は、アーム部12の延び方向において隣り合う2つの電極歯13aの間に位置する電極歯23aは、当該2つの電極歯13a間の中心位置から、揺動軸心A1から遠ざかる方に偏位している。これとともに、アーム部12の延び方向において隣り合う2つの電極歯23bの間に位置する電極歯13bは、当該2つの電極歯23b間の中心位置から、揺動軸心A1に近付く方に偏位しているか、或は、アーム部12の延び方向において隣り合う2つの電極歯13bの間に位置する電極歯23bは、当該2つの電極歯13b間の中心位置から、揺動軸心A1から遠ざかる方に偏位している。
図9は、マイクロミラー素子X1の第2変形例の平面図である。本変形例では、アーム部12の延び方向において隣り合う2つの電極歯23aの間に位置する電極歯13aは、当該2つの電極歯23a間の中心位置から、揺動軸心A1から遠ざかる方に偏位しているか、或は、アーム部12の延び方向において隣り合う2つの電極歯13aの間に位置する電極歯23aは、当該2つの電極歯13a間の中心位置から、揺動軸心A1に近付く方に偏位している。これとともに、アーム部12の延び方向において隣り合う2つの電極歯23bの間に位置する電極歯13bは、当該2つの電極歯23b間の中心位置から、揺動軸心A1から遠ざかる方に偏位しているか、或は、アーム部12の延び方向において隣り合う2つの電極歯13bの間に位置する電極歯23bは、当該2つの電極歯13b間の中心位置から、揺動軸心A1に近付く方に偏位している。
第1および第2変形例の構成は、一組の櫛歯電極13A,23Aおよび一組の櫛歯電極13B,23Bにおいて、素子駆動時にいわゆるpull-in現象の発生を抑制するのに好ましい場合がある。素子駆動時には、上述のように、櫛歯電極13A,23A間および櫛歯電極13B,23B間に所望の静電引力が発生され、櫛歯電極13Aは櫛歯電極23Aに引き込まれ、且つ、櫛歯電極13Bは櫛歯電極23Bに引き込まれる。櫛歯電極13A,23Aが図1,3,4に示す構造を有するマイクロミラー素子X1では、櫛歯電極13Aが櫛歯電極23Aに引き込まれた状態において、素子厚さ方向Hにおける揺動軸心A1の位置によっては、一の電極歯13aと揺動軸心A1に対して当該電極歯13aよりも外側で当該電極歯13aと隣り合う電極歯23aとの距離が、揺動軸心A1に対して当該電極歯13aよりも内側で当該電極歯13aと隣り合う他の電極歯23aと当該電極歯13aとの距離よりも、短い場合や長い場合がある。短い場合、電極歯13aと外側の電極歯23aとの間の静電引力(第1の静電引力)は、電極歯13aと内側の電極歯23aとの間の静電引力(第2の静電引力)よりも、大きい傾向にある。第1の静電引力が第2の静電引力より所定以上に大きいと、電極歯13aと外側の電極歯23aとが不当に引き合い、pull-in現象が生じやすい。第2の静電引力が第1の静電引力より所定以上に大きいと、電極歯13aと内側の電極歯23aとが不当に引き合い、pull-in現象が生じやすい。同様に、櫛歯電極13B,23Bが図1,4に示す構造を有するマイクロミラーX1では、当該櫛歯電極13B,23Bにおいてpull-in現象が発生してしまう場合がある。pull-in現象の発生は、素子の揺動特性を阻害するので好ましくない。
これに対し、アーム部12の延び方向において隣り合う2つの電極歯23aの間に位置する電極歯13aが、揺動部10が回転変位していない状態では当該2つの電極歯23a間の中心位置から内側または外側の電極歯23aの方に偏位している第1または第2変形例では、素子厚さ方向Hにおける揺動軸心A1の位置に応じて当該偏位量を適当に設定することにより、揺動部10が回転変位して櫛歯電極13Aが櫛歯電極23A,23Bに引き込まれた状態における、一の電極歯13aと外側の電極歯23aとの距離、および、当該電極歯13aと内側の電極歯23aとの距離を、実質的に等しくすることができる場合がある。この場合、櫛歯電極13A,23Aにおいてpull-in現象の発生を抑制すること
ができる。同様に、第1および第2変形例の構成によると、櫛歯電極13B,23Bにおいてpull-in現象の発生を抑制することができる場合がある。
図10は、マイクロミラー素子X1の第3変形例の平面図である。本変形例では、アーム部12の延び方向におけるアーム部12の寸法およびフレーム21の寸法が増大され、隣り合う2つの電極歯13a間の距離、隣り合う2つの電極歯13b間の距離、隣り合う2つの電極歯23a間の距離、および、隣り合う2つの電極歯23b間の距離は、揺動軸心A1から遠いほど長い。
電極歯13a,13bは、揺動軸心A1から遠いほど、揺動部10の揺動動作時における電極歯離隔方向(アーム部12の延び方向)の変位量が大きいところ、本変形例は、素子駆動時に揺動部10が回転変位して櫛歯電極13A,13Bが各々櫛歯電極23A,23Bに引き込まれた状態において、電極歯13a,23a間の距離を全て同程度にするうえで好適であり、電極歯13b,23b間の距離を全て同程度にするうえで好適である。素子駆動時における電極歯13a,23a間の距離を全て同程度にすることにより、素子駆動時において櫛歯電極13A,23A間の全体にわたって均等化された静電引力を発生させることが可能である。同様に、素子駆動時における電極歯13b,23b間の距離を全て同程度にすることにより、素子駆動時において櫛歯電極13B,23B間の全体にわたって均等化された静電引力を発生させることが可能である。
図11は、マイクロミラー素子X1の第4変形例の平面図である。本変形例では、櫛歯電極13A,13Bの複数の電極歯13a,13bの延び方向、および、櫛歯電極23A,23Bの複数の電極歯23a,23bの延び方向は、アーム部12の延び方向とは直交せず、電極歯13a,23aの延び方向は互いに平行であり、電極歯13b,23bの延び方向は互いに平行である。電極歯13a,13b,23a,23bの延び方向とアーム部12の延び方向とがなす鋭角は例えば45°である。マイクロミラー素子X1は、このような構造の櫛歯電極13A,13A,23A,23Bを有していてもよい。
図12は、マイクロミラー素子X1の第5変形例の平面図である。本変形例では、電極歯13a,13bの両側面がアーム部12の側面に対して非垂直であり、電極歯13a,13bの幅は、アーム部12から遠ざかるほど小さい。これとともに、電極歯23a,23bの両側面がフレーム21の側面に対して非垂直であり、電極歯23a,23bの幅は、フレーム21から遠ざかるほど小さい。
このような構成は、素子駆動時に揺動部10が回転変位して櫛歯電極13A,13Bが各々櫛歯電極23A,23Bに引き込まれた状態において、電極歯13a,23a間や電極歯13b,23b間が過度に近接するのを回避するのに好適である。素子駆動時に電極歯13a,23a間が過度に近接するのを回避することにより、素子駆動時に櫛歯電極13A,23Aにおいてpull-in現象が発生するのを抑制することができる。同様に、素子駆動時に電極歯13b,23b間が過度に近接するのを回避することにより、素子駆動時に櫛歯電極13B,23Bにおいてpull-in現象が発生するのを抑制することができる。
図13は、マイクロミラー素子X1の第6変形例の平面図である。本変形例では、電極歯13a,13bの、ミラー支持部11側を向く側面が、アーム部12の側面に対して垂直であり、電極歯13a,13bの他方の側面がアーム部12の側面に対して非垂直であり、電極歯13a,13bの幅は、アーム部12から遠ざかるほど小さい。これとともに、電極歯23a,23bの、ミラー支持部11側を向く側面が、フレーム21の側面に対して非垂直であり、電極歯23a,23bの他方の側面がフレーム21の側面に対して垂直であり、電極歯23a,23bの幅は、フレーム21から遠ざかるほど小さい。
このような構成は、素子駆動時に揺動部10が回転変位して櫛歯電極13A,13Bが各々櫛歯電極23A,23Bに引き込まれた状態において、特に電極歯13aと外側の電極歯23aとの間や電極歯13bと外側の電極歯23bとの間が、過度に近接するのを回避するのに好適である。
図14は、マイクロミラー素子X1の第7変形例の、図1の線III−IIIに相当する断面図である。本変形例では、揺動部10の非動作時には電極歯13aの起立方向は、素子厚さ方向Hに対して傾斜している。具体的には、電極歯13aは、電極歯23aに近付くほどミラー支持部11に近付くように傾斜している。これとともに、電極歯23aは、電極歯13aに近付くほどミラー支持部11から遠ざかるように傾斜している。本変形例では、電極歯13b,23bも、電極歯13a,23aと同様に傾斜している。
揺動部10の非動作時における櫛歯電極23Aに対する櫛歯電極13Aの配向と、揺動部10が回転変位して櫛歯電極13Aが櫛歯電極23Aに引き込まれた状態での櫛歯電極23Aに対する櫛歯電極13Aの配向とは、異なる。櫛歯電極13A,23Aが図1,3,4に示す構造を有する場合、この配向の変化は比較的大きい。これに対し、本変形例の櫛歯電極13A,23Aは、櫛歯電極13Aが櫛歯電極23Aに引き込まれるときに電極歯13aが傾斜する方向に予め傾斜している電極歯13a,23aを有するので、非動作時と動作時との間での配向の変化は、比較的小さい。同様に、本変形例の櫛歯電極13B,23Bも、櫛歯電極13Bが櫛歯電極23Bに引き込まれるときに電極歯13bが傾斜する方向に予め傾斜している電極歯13b,23bを有するので、非動作時と動作時との間での配向の変化は、比較的小さい。このような配向変化の抑制は、櫛歯電極13A,23A間および櫛歯電極13B,23B間にて安定した静電引力を発生させるうえで好ましい。
図15〜図18は、本発明の第2の実施形態に係るマイクロミラー素子X2を表す。図15は、マイクロミラー素子X2の平面図であり、図16は、マイクロミラー素子X2の一部省略平面図であり、図17および図18は、各々、図15の線XVII−XVIIおよび線XVIII−XVIIIに沿った断面図である。
マイクロミラー素子X2は、揺動部10と、フレーム24と、捩れ連結部22と、櫛歯電極23A,23Bとを備える。マイクロミラー素子X2は、フレーム21に代えてフレーム24を備える点において、マイクロミラー素子X1と異なる。また、マイクロミラー素子X2は、マイクロミラー素子X1に関して上述したようにMEMS技術を利用して、SOI基板である材料基板に対して加工を施すことにより製造されたものである。当該材料基板は、第1および第2シリコン層ならびに当該シリコン層間の絶縁層よりなる積層構造を有し、各シリコン層は、不純物のドープにより所定の導電性が付与されている。図の明確化の観点より、図15においては、第1シリコン層に由来して絶縁層より紙面手前方向に突き出る部位について、斜線ハッチングを付して表す。また、図16は、マイクロミラー素子X2において第2シリコン層に由来する構造を表す。
フレーム24は、主に第1および第2シリコン層に由来する部位であり、揺動部10を囲む形状を有する。フレーム24において第2シリコン層に由来する部位は、図16に示すように第1部位24aおよび第2部位24bに構造的に分離している。本実施形態では、第1部位24aおよび第2部位24bは電気的にも分離されている。
捩れ連結部22は、第1シリコン層に由来して成形された一対のトーションバー22aからなり、各トーションバー22aは、揺動部10のアーム部12とフレーム24における第1シリコン層由来部位とに接続してこれらを連結する。また、トーションバー22aは、素子厚さ方向Hにおいて、図17に示すようにアーム部12よりも薄肉であり、フレーム21の第1シリコン層由来部位よりも薄肉である。
櫛歯電極23Aは、揺動部10の櫛歯電極13Aと協働して静電引力を発生するための部位であり、フレーム24から各々が延出し且つアーム部12の延び方向に互いに離隔する複数の電極歯23aからなる。電極歯23aは、主に第2シリコン層に由来する部位であり、図16に示すようにフレーム24の第1部位24aに固定されている。このような櫛歯電極23Aは、櫛歯電極13Aと共に駆動機構を構成する。
櫛歯電極23Bは、櫛歯電極13Bと協働して静電引力を発生するための部位であり、フレーム24から延出する複数の電極歯23bからなる。電極歯23bは、主に第2シリコン層に由来する部位であり、図16に示すようにフレーム24の第2部位24bに固定されている。フレーム24の第2部位24bは、第1部位24aとは構造的かつ電気的に分離されているため、櫛歯電極23Bないし電極歯23bは、第1部位24aに固定されている櫛歯電極23Aないし電極歯23aとは電気的に分離されている。このような櫛歯電極23Bは、櫛歯電極13Bと共に駆動機構を構成する。
マイクロミラー素子X2における揺動部10の構成、捩れ連結部22の他の構成、および、櫛歯電極23A,23Bの他の構成については、第1の実施形態における揺動部10、捩れ連結部22、および櫛歯電極23A,23Bに関して上述したのと同様である。
マイクロミラー素子X2においては、櫛歯電極13A,13B,23A,23Bに対して必要に応じて所定の電位を付与することにより、揺動部10ないしミラー支持部11を揺動軸心A1まわりに回転変位させることができる。櫛歯電極13A,13Bに対する電位付与は、フレーム24の第1シリコン層由来部位、両トーションバー22a、およびアーム部12を介して実現することができる。櫛歯電極13A,13Bは、例えばグラウンド接続される。一方、櫛歯電極23A,23Bに対する電位付与は、各々、フレーム24の第1部位24aおよび第2部位24bを介して実現することができる。揺動動作における回転変位量は、櫛歯電極13A,13B,23A,23Bへの付与電位を調整することにより、調節することができる。このような揺動部10ないしミラー支持部11の揺動駆動により、ミラー支持部11上に設けられたミラー面11aにて反射される光の反射方向を適宜切り換えることができる。
マイクロミラー素子X2においては、櫛歯電極23Aに付与する電位と櫛歯電極23Bに付与する電位とを異ならしめることにより、櫛歯電極13A,23A間に生ずる静電引力と、櫛歯電極13B,23B間に生ずる静電引力とを異ならしめることができる。そのため、揺動部10ないしミラー支持部11について、回転軸心A1まわりの回転変位以外の回転変位量を制御することができる。例えば、回転軸心A1と交差する軸心(図18に示す例えば軸心A1’)まわりの、揺動部10ないしミラー支持部11の回転変位量を、調節することができる。したがって、マイクロミラー素子X2では、回転軸心A1に対してミラー面11aが常時的に平行となるように、揺動部10ないしミラー支持部11の姿勢を制御することが可能である。このような姿勢調整機構は、高精度な光反射機能を実現するうえで好適である。
また、マイクロミラー素子X2においては、一組の櫛歯電極13A,23Aを構成する電極歯13a,23aの数、および、一組の櫛歯電極13B,23Bを構成する電極歯13b,23bの数は、アーム部12の延び方向に対して直交する揺動軸心A1の延び方向におけるミラー支持部11の長さによる制約を受けない。したがって、マイクロミラー素子X2では、揺動軸心A1方向におけるミラー支持部11の設計寸法に関わらず、所望数の電極歯13a,13b,23a,23bを設けることにより、電極歯13a,23aどうしが対向可能な面積、および、電極歯13b,23bどうしが対向可能な面積を、確保することができる。このように、マイクロミラー素子X2は、マイクロミラー素子X1に関して上述したのと同様に、揺動軸心A1方向におけるミラー支持部11の設計寸法に関わらず所望数の電極歯13a,13b,23a,23bを設けることによって揺動部10の揺動動作のための駆動力を確保しつつ、揺動軸心A1方向におけるミラー支持部11したがって素子全体の設計寸法を短く設定することによって小型化を図るのに、適しているのである。
図19〜図23は、本発明の第3の実施形態に係るマイクロミラー素子X3を表す。図19は、マイクロミラー素子X3の平面図であり、図20は、マイクロミラー素子X3の一部省略平面図であり、図21〜図23は、各々、図19の線XXI−XXI、線XXII−XXIIおよび線XXIII−XXIIIに沿った断面図である。
マイクロミラー素子X3は、揺動部10’と、フレーム25と、捩れ連結部22と、櫛歯電極23A,23Bとを備える。マイクロミラー素子X3は、揺動部10に代えて揺動部10’を備える点、および、フレーム21に代えてフレーム25を備える点において、マイクロミラー素子X1と異なる。また、マイクロミラー素子X3は、マイクロミラー素子X1に関して上述したようにMEMS技術を利用して、SOI基板である材料基板に対して加工を施すことにより製造されたものである。当該材料基板は、第1および第2シリコン層ならびに当該シリコン層間の絶縁層よりなる積層構造を有し、各シリコン層は、不純物のドープにより所定の導電性が付与されている。図の明確化の観点より、図19においては、第1シリコン層に由来して絶縁層より紙面手前方向に突き出る部位について、斜線ハッチングを付して表す。また、図20は、マイクロミラー素子X3において第2シリコン層に由来する構造を表す。
揺動部10’は、ミラー支持部11と、アーム部14,15と、櫛歯電極13A,13Bとを有し、アーム部12に代えてアーム部14,15を有する点において揺動部10と異なる。
アーム部14は、主に第1シリコン層において成形された主部14aと、主に第2シリコン層において成形された基端部14bとを有し、ミラー支持部11から延出する。アーム部14の主部14aは、基端部14bを介してミラー支持部11に連結されている。
アーム部15は、主に第1シリコン層に由来する部位であり、アーム部14と同じ方向にミラー支持部11から延出する。また、アーム部15は、アーム部14とは構造的に分離されている。本実施形態では、アーム部15は、アーム部14の主部14aとは電気的にも分離されている。このようなアーム部15とアーム部14との間の離隔距離は例えば15〜50μmである。
櫛歯電極13Aは、複数の電極歯13aからなる。複数の電極歯13aは、アーム部14の主部14aから各々が延出し、且つ、アーム部14の延び方向に互いに離隔する。櫛歯電極13Bは、複数の電極歯13bからなる。複数の電極歯13bは、電極歯13aとは反対の側にアーム部15から延出し、且つ、アーム部15の延び方向に互いに離隔する。電極歯13a,13bは、主に第1シリコン層に由来する部位である。本実施形態では、図19に示すように、電極歯13aの延び方向とアーム部14の延び方向とは直交し、且つ、電極歯13bの延び方向とアーム部15の延び方向とは直交する。アーム部14の主部14aは、アーム部15とは電気的に分離されているため、主部14aに固定されている櫛歯電極13Aないし電極歯13aは、アーム部15に固定されている櫛歯電極13Bないし電極歯13bとは電気的に分離されている。
揺動部10’におけるミラー支持部11の構成および櫛歯電極13A,13Bの他の構成については、第1の実施形態におけるミラー支持部11および櫛歯電極13A,13Bに関して上述したのと同様である。
フレーム25は、主に第1および第2シリコン層に由来する部位であり、揺動部10’を囲む形状を有する。フレーム25において第1シリコン層に由来する部位は、図19および図23に示すように第1部位25aおよび第2部位25bに構造的に分離している。本実施形態では、第1部位25aおよび第2部位25bは電気的にも分離されている。
捩れ連結部22は、第1シリコン層に由来して成形された一対のトーションバー22aからなる。一方のトーションバー22aは、揺動部10’のアーム部14の主部14aとフレーム25の第1部25aとに接続してこれらを連結する。このトーションバー22aにより、第1部位25aと主部14aとは電気的に接続される。また、このトーションバー22aは、素子厚さ方向Hにおいて、図21に示すように主部14aよりも薄肉であり、第1部位25aよりも薄肉である。他方のトーションバー22aは、揺動部10’のアーム部15とフレーム25の第2部位25bとに接続してこれらを連結する。このトーションバー22aにより、第2部位25bとアーム部15とは電気的に接続される。また、このトーションバー22aは、素子厚さ方向Hにおいてアーム部15および第2部位25bよりも薄肉である。
櫛歯電極23Aは、揺動部10’の櫛歯電極13Aと協働して静電引力を発生するための部位であり、複数の電極歯23aからなる。複数の電極歯23aは、フレーム25から各々が延出し、且つ、アーム部14の延び方向に互いに離隔する。電極歯23aは、主に第2シリコン層に由来する部位であり、図20に示すように、フレーム25の第2シリコン層由来部位に固定されている。このような櫛歯電極23Aは、櫛歯電極13Aと共に駆動機構を構成する。
櫛歯電極23Bは、櫛歯電極13Bと協働して静電引力を発生するための部位であり、複数の電極歯23bからなる。複数の電極歯23bは、フレーム25から各々が延出し、且つ、アーム部15の延び方向に互いに離隔する。電極歯23bは、主に第2シリコン層に由来する部位であり、図20に示すように、フレーム25の第2シリコン層由来部位に固定されている。櫛歯電極23Bは、フレーム25の第2シリコン層由来部位を介して櫛歯電極23Aと電気的に接続されている。このような櫛歯電極23Bは、櫛歯電極13Bと共に駆動機構を構成する。
マイクロミラー素子X3における捩れ連結部22の他の構成および櫛歯電極23A,23Bの他の構成については、第1の実施形態における捩れ連結部22および櫛歯電極23A,23Bに関して上述したのと同様である。
マイクロミラー素子X3においては、櫛歯電極13A,13B,23A,23Bに対して必要に応じて所定の電位を付与することにより、揺動部10’ないしミラー支持部11を揺動軸心A1まわりに回転変位させることができる。櫛歯電極13Aに対する電位付与は、フレーム25の第1部位25a、一方のトーションバー22a、およびアーム部14の主部14aを介して実現することができる。櫛歯電極13Bに対する電位付与は、フレーム25の第2部位25b、他方のトーションバー22a、およびアーム部15を介して実現することができる。また、櫛歯電極23A,23Bに対する電位付与は、フレーム25の第2シリコン層由来部位を介して実現することができる。櫛歯電極23A,23Bは、例えばグラウンド接続される。フレーム25の第2シリコン層由来部位と、フレーム25の第1シリコン層由来部位(第1部位25a,第2部位25b)とは、絶縁層により電気的に分離されている。揺動動作における回転変位量は、櫛歯電極13A,13B,23A,23Bへの付与電位を調整することにより、調節することができる。このような揺動部10’ないしミラー支持部11の揺動駆動により、ミラー支持部11上に設けられたミラー面11aにて反射される光の反射方向を適宜切り換えることができる。
マイクロミラー素子X3においては、櫛歯電極13Aに付与する電位と櫛歯電極13Bに付与する電位とを異ならしめることにより、櫛歯電極13A,23A間に生ずる静電引力と、櫛歯電極13B,23B間に生ずる静電引力とを異ならしめることができる。そのため、揺動部10’ないしミラー支持部11について、回転軸心A1まわりの回転変位以外の回転変位量を制御することができる。例えば、回転軸心A1と交差する軸心(図22に示す例えば軸心A1’)まわりの、揺動部10’ないしミラー支持部11の回転変位量を、調節することができる。したがって、マイクロミラー素子X3では、回転軸心A1に対してミラー面11aが常時的に平行となるように、揺動部10’ないしミラー支持部11の姿勢を制御することが可能である。このような姿勢調整機構は、高精度な光反射機能を実現するうえで好適である。
また、マイクロミラー素子X3は、マイクロミラー素子X1に関して上述したのと同様に、揺動軸心A1方向におけるミラー支持部11の設計寸法に関わらず所望数の電極歯13a,13b,23a,23bを設けることによって揺動部10’の揺動動作のための駆動力を確保しつつ、揺動軸心A1方向におけるミラー支持部11したがって素子全体の設計寸法を短く設定することによって小型化を図るのに、適している。
図24および図25は、本発明の第4の実施形態に係るマイクロミラー素子X4を表す。図24は、マイクロミラー素子X4の平面図であり、図25は、図24の線XXV−XXVに沿った断面図である。
マイクロミラー素子X4は、揺動部30と、フレーム41と、捩れ連結部42と、櫛歯電極43A,43B,44A,44Bとを備える。また、マイクロミラー素子X4は、マイクロミラー素子X1に関して上述したようにMEMS技術を利用して、SOI基板である材料基板に対して加工を施すことにより製造されたものである。当該材料基板は、第1および第2シリコン層ならびに当該シリコン層間の絶縁層よりなる積層構造を有し、各シリコン層は、不純物のドープにより所定の導電性が付与されている。図の明確化の観点より、図24においては、第1シリコン層に由来して絶縁層より紙面手前方向に突き出る部位について、斜線ハッチングを付して表す。
揺動部30は、ミラー支持部31と、アーム部32,33と、櫛歯電極34A,34B,35A,35Bとを有する。
ミラー支持部31は、主に第1シリコン層に由来する部位であり、その表面には、光反射機能を有するミラー面31aが設けられている。ミラー支持部31およびミラー面31aは、本発明における可動機能部を構成する。
アーム部32は、主に第1シリコン層に由来する部位であり、ミラー支持部31から延出する。アーム部33は、主に第1シリコン層に由来する部位であり、アーム部32とは反対の側にミラー支持部31から延出する。アーム部32の延び方向とアーム部33の延び方向は一致する。
櫛歯電極34Aは、複数の電極歯34aからなる。複数の電極歯34aは、アーム部32から各々が延出し、且つ、アーム部32の延び方向に互いに離隔する。櫛歯電極34Bは、複数の電極歯34bからなる。複数の電極歯34bは、電極歯34aとは反対の側にアーム部32から延出し、且つ、アーム部32の延び方向に互いに離隔する。電極歯34a,34bは、主に第1シリコン層に由来する部位である。本実施形態では、図24に示すように、電極歯34a,34bの延び方向とアーム部32の延び方向とは直交する。このような櫛歯電極34Aないし電極歯34aと櫛歯電極34Bないし電極歯34bとは、アーム部32を介して電気的に接続されている。
櫛歯電極35Aは、複数の電極歯35aからなる。複数の電極歯35aは、アーム部33から各々が延出し、且つ、アーム部33の延び方向に互いに離隔する。櫛歯電極35Bは、複数の電極歯35bからなる。複数の電極歯35bは、電極歯35aとは反対の側にアーム部33から延出し、且つ、アーム部33の延び方向に互いに離隔する。電極歯35a,35bは、主に第1シリコン層に由来する部位である。本実施形態では、図24に示すように、電極歯35a,35bの延び方向とアーム部33の延び方向とは直交する。このような櫛歯電極35Aないし電極歯35aと櫛歯電極35Bないし電極歯35bとは、アーム部33を介して電気的に接続されている。また、櫛歯電極35A,35Bは、ミラー支持部31を介して櫛歯電極34A,34Bと電気的に接続されている。
フレーム41は、主に第1および第2シリコン層に由来する部位であり、揺動部30を囲む形状を有する。また、フレーム41は、所定の機械的強度を有してフレーム41内の構造を支持する。
捩れ連結部42は、一対のトーションバー42aからなる。各トーションバー42aは、主に第1シリコン層に由来する部位であり、揺動部30のミラー支持部31とフレーム41において第1シリコン層に由来する部位とに接続してこれらを連結する。トーション
バー42aにより、フレーム41の第1シリコン層由来部位とミラー支持部31とは電気的に接続される。また、図25に示すように、トーションバー42aは、素子厚さ方向Hにおいて、ミラー支持部31、およびフレーム41の第1シリコン層由来部位よりも、薄肉である。このような捩れ連結部42ないし一対のトーションバー42aは、揺動部30ないしミラー支持部31の揺動動作の揺動軸心A4を規定する。揺動軸心A4は、図24に示す矢印D方向と、即ちアーム部32,33の延び方向と、直交する。したがって、アーム部32の延び方向に直交する方向にアーム部32から延出する上述の電極歯34a,34bの延び方向は、揺動軸心A4に対して平行であり、且つ、アーム部33の延び方向に直交する方向にアーム部33から延出する上述の電極歯35a,35bの延び方向は、揺動軸心A4に対して平行である。このような揺動軸心A4は、好ましくは、揺動部10の重心またはその近傍を通る。
櫛歯電極43Aは、櫛歯電極34Aと協働して静電引力を発生するための部位であり、複数の電極歯43aからなる。複数の電極歯43aは、フレーム41から各々が延出し、且つ、アーム部32の延び方向に互いに離隔する。また、電極歯43aは、主に第2シリコン層に由来する部位であり、フレーム41の第2シリコン層由来部位に固定されている。本実施形態では、図24に示すように、電極歯43aの延び方向とアーム部32の延び方向とは直交し、電極歯43aの延び方向は揺動軸心A4に対して平行である。
このような櫛歯電極43Aは、櫛歯電極34Aと共に駆動機構を構成する。櫛歯電極34A,43Aは、揺動部30の例えば非動作時には、図25に示すように、互いに異なる高さに位置する。また、櫛歯電極34A,43Aは、揺動部30の揺動動作時において互いに当接しないように、それらの電極歯34a,43aが位置ずれした態様で配されている。
櫛歯電極43Bは、櫛歯電極34Bと協働して静電引力を発生するための部位であり、複数の電極歯43bからなる。複数の電極歯43bは、フレーム41から各々が延出し、且つ、アーム部32の延び方向に互いに離隔する。また、電極歯43bは、主に第2シリコン層に由来する部位であり、フレーム41の第2シリコン層由来部位に固定されている。櫛歯電極43Bないし電極歯43bは、フレーム41の第2シリコン層由来部位の一部を介して櫛歯電極43Aないし電極歯43aと電気的に接続されている。本実施形態では、図24に示すように、電極歯43bの延び方向とアーム部32の延び方向とは直交し、電極歯43bの延び方向は揺動軸心A4に対して平行である。
このような櫛歯電極43Bは、櫛歯電極34Bと共に駆動機構を構成する。櫛歯電極34B,43Bは、揺動部30の例えば非動作時には、互いに異なる高さに位置する。また、櫛歯電極34B,43Bは、揺動部30の揺動動作時において互いに当接しないように、それらの電極歯34b,43bが位置ずれした態様で配されている。
櫛歯電極44Aは、櫛歯電極35Aと協働して静電引力を発生するための部位であり、複数の電極歯44aからなる。複数の電極歯44aは、フレーム41から各々が延出し、且つ、アーム部33の延び方向に互いに離隔する。また、電極歯44aは、主に第2シリコン層に由来する部位であり、フレーム41の第2シリコン層由来部位に固定されている。本実施形態では、フレーム41の第2シリコン層由来部において電極歯44aが固定されている箇所と、フレーム41の第2シリコン層由来部位において上述の電極歯43a,43bが固定されている箇所とは、電気的に分離されており、従って、櫛歯電極44Aないし電極歯44aと、櫛歯電極43A,43Bないし電極歯43a,43bとは、電気的に分離されている。また、本実施形態では、図24に示すように、電極歯44aの延び方向とアーム部33の延び方向とは直交し、電極歯44aの延び方向は揺動軸心A4に対して平行である。
このような櫛歯電極44Aは、櫛歯電極35Aと共に駆動機構を構成する。櫛歯電極35A,44Aは、揺動部30の例えば非動作時には、図25に示すように、互いに異なる高さに位置する。また、櫛歯電極35A,44Aは、揺動部30の揺動動作時において互いに当接しないように、それらの電極歯35a,44aが位置ずれした態様で配されている。
櫛歯電極44Bは、櫛歯電極35Bと協働して静電引力を発生するための部位であり、複数の電極歯44bからなる。複数の電極歯44bは、フレーム41から各々が延出し、且つ、アーム部33の延び方向に互いに離隔する。また、電極歯44bは、主に第2シリコン層に由来する部位であり、フレーム41の第2シリコン層由来部位の一部に固定されている。本実施形態では、フレーム41の第2シリコン層由来部位において電極歯44bが固定されている箇所と、フレーム41の第2シリコン層由来部位において上述の電極歯43a,43bが固定されている箇所とは、電気的に分離されており、従って、櫛歯電極44Bないし電極歯44bと、櫛歯電極43A,43Bないし電極歯43a,43bとは、電気的に分離されている。一方、櫛歯電極44Bないし電極歯44bは、フレーム41の第2シリコン層由来部位の一部を介して櫛歯電極44Aないし電極歯44aと電気的に接続されている。また、本実施形態では、図24に示すように、電極歯44bの延び方向とアーム部33の延び方向とは直交し、電極歯44bの延び方向は揺動軸心A4に対して平行である。
このような櫛歯電極44Bは、櫛歯電極35Bと共に駆動機構を構成する。櫛歯電極35B,44Bは、揺動部30の例えば非動作時には、互いに異なる高さに位置する。また、櫛歯電極35B,44Bは、揺動部30の揺動動作時において互いに当接しないように、それらの電極歯35b,44bが位置ずれした態様で配されている。
マイクロミラー素子X4においては、櫛歯電極34A,34B,35A,35B,43A,43B,44A,44Bに対して必要に応じて所定の電位を付与することにより、揺動部30ないしミラー支持部31を揺動軸心A4まわりに回転変位させることができる。櫛歯電極34A,34B,35A,35Bに対する電位付与は、フレーム41の第1シリコン層由来部位、両トーションバー42a、ミラー支持部31、およびアーム部32,33を介して実現することができる。櫛歯電極34A,34B,35A,35Bは、例えばグラウンド接続される。一方、櫛歯電極43A,43Bに対する電位付与は、フレーム41の第2シリコン層由来部位の一部を介して実現することができる。櫛歯電極44A,44Bに対する電位付与は、フレーム41の第2シリコン層由来部位の他の一部を介して実現することができる。揺動動作における回転変位量は、櫛歯電極34A,34B,35A,35B,43A,43B,44A,44Bへの付与電位を調整することにより、調節することができる。このような揺動部30ないしミラー支持部31の揺動駆動により、ミラー支持部31上に設けられたミラー面31aにて反射される光の反射方向を適宜切り換えることができる。
また、マイクロミラー素子X4は、マイクロミラー素子X1に関して上述したのと同様に、揺動軸心A4方向におけるミラー支持部31の設計寸法に関わらず所望数の電極歯34a,34b,35a,35b,43a,43b,44a,44bを設けることによって揺動部30の揺動動作のための駆動力を確保しつつ、揺動軸心A4方向におけるミラー支持部31したがって素子全体の設計寸法を短く設定することによって小型化を図るのに、適している。
図26〜図30は、本発明の第5の実施形態に係るマイクロミラー素子X5を表す。図26は、マイクロミラー素子X5の平面図であり、図27は、マイクロミラー素子X5の一部省略平面図である。また、図28〜図30は、各々、図26の線XXVIII−XXVIII、線XXIX−XXIX、および線XXX−XXXに沿った断面図である。
マイクロミラー素子X5は、揺動部10と、フレーム21と、捩れ連結部22と、櫛歯電極23A,23Bと、フレーム51(一部省略)と、アーム部52,53と、捩れ連結部54と、櫛歯電極55,56とを備える。また、マイクロミラー素子X5は、マイクロミラー素子X1に関して上述したようにMEMS技術を利用して、SOI基板である材料基板に対して加工を施すことにより製造されたものである。当該材料基板は、第1および第2シリコン層ならびに当該シリコン層間の絶縁層よりなる積層構造を有し、各シリコン層は、不純物のドープにより所定の導電性が付与されている。図の明確化の観点より、図26においては、第1シリコン層に由来して絶縁層より紙面手前方向に突き出る部位について、斜線ハッチングを付して表す。また、図27は、マイクロミラー素子X5において第2シリコン層に由来する構造を表す。
マイクロミラー素子X5における揺動部10、フレーム21、捩れ連結部22、および櫛歯電極23A,23Bについては、第1の実施形態における揺動部10、フレーム21、捩れ連結部22、および櫛歯電極23A,23Bに関して上述したのと同様である。
フレーム51は、主に第1および第2シリコン層に由来する部位であり、所定の機械的強度を有してフレーム51内の構造を支持する。フレーム51において第2シリコン層に由来する部位は図27に示す。
アーム部52は、主に第1シリコン層に由来する部位であり、揺動部10の揺動軸心A1と直交する方向にフレーム21から延出する。また、アーム部52は、図28に示すように、フレーム21において第1シリコン層に由来する部位に固定されている。アーム部53は、主に第2シリコン層に由来する部位であり、揺動部10の揺動軸心A1と直交する方向であってアーム部52に平行にフレーム51から延出する。また、アーム部53は、図27に示すように、フレーム51において第2シリコン層に由来する部位に固定されている。
捩れ連結部54は、一組のトーションバー54a,54bおよびトーションバー54cからなる。
トーションバー54aは、主に第1シリコン層に由来する部位であり、フレーム21の第1シリコン層由来部位とフレーム51の第1シリコン層由来部位とに接続してこれらを連結する。トーションバー54aにより、フレーム51の第1シリコン層由来部位とフレーム21の第1シリコン層由来部位とは電気的に接続される。また、トーションバー54aは、図28に示すように、素子厚さ方向Hにおいてフレーム21の第1シリコン層由来部位およびフレーム51の第1シリコン層由来部位よりも薄肉である。
トーションバー54bは、主に第2シリコン層に由来する部位であり、フレーム21の第2シリコン層由来部位とフレーム51の第2シリコン層由来部位とに接続してこれらを連結する。トーションバー54bにより、フレーム51の第2シリコン層由来部位とフレーム21の第2シリコン層由来部位と電気的に接続される。フレーム51の第2シリコン層由来部位において、トーションバー54bが固定されている箇所と、上述のアーム部53が固定されている箇所とは電気的に分離されている。また、トーションバー54bは、図28に示すように、素子厚さ方向Hにおいてフレーム21の第2シリコン層由来部位およびフレーム51の第2シリコン層由来部位よりも薄肉である。
トーションバー54cは、主に第1シリコン層に由来する部位であり、フレーム51の第1シリコン層由来部位とアーム部52とに接続してこれらを連結する。トーションバー54cにより、フレーム51の第1シリコン層由来部位とアーム部52とは電気的に接続される。また、トーションバー54cは、図28に示すように、素子厚さ方向Hにおいてフレーム51の第1シリコン層由来部位およびアーム部52よりも薄肉である。
このような捩れ連結部54(トーションバー54a,54b,54c)は、フレーム21の揺動動作の揺動軸心A5を規定する。揺動軸心A5の延び方向は、揺動軸心A1の延び方向と直交する。このような揺動軸心A5は、好ましくは、揺動部10の重心またはその近傍を通る。
櫛歯電極55は、複数の電極歯55aからなる。複数の電極歯55aは、アーム部52から各々が延出し、且つ、アーム部52の延び方向に互いに離隔する。電極歯55aは、主に第1シリコン層に由来する部位である。
櫛歯電極56は、櫛歯電極55と協働して静電引力を発生するための部位であり、複数の電極歯56aからなる。複数の電極歯56aは、アーム部53から各々が延出し、且つ、アーム部53の延び方向に互いに離隔する。電極歯56aは、主に第2シリコン層に由来する部位である。
このような櫛歯電極55,56は、本素子の駆動機構を構成する。櫛歯電極55,56は、フレーム21の例えば非動作時には、図28および図30に示すように、互いに異なる高さに位置する。また、櫛歯電極55,56は、フレーム21の揺動動作時において互いに当接しないように、それらの電極歯55a,56aが位置ずれした態様で配されている。
マイクロミラー素子X5においては、櫛歯電極13A,13B,23A,23B,55,56に対して必要に応じて所定の電位を付与することにより、揺動部10ないしミラー支持部11を揺動軸心A1まわりに揺動駆動することができるとともに、フレーム21およびこれに伴う揺動部10を揺動軸心A5まわりに揺動駆動することができる。すなわち、マイクロミラー素子X5は、いわゆる2軸型の揺動素子である。
櫛歯電極13A,13Bに対する電位付与は、フレーム51の第1シリコン層由来部位、トーションバー54a、フレーム21の第1シリコン層由来部位、両トーションバー22a、およびアーム部12を介して、または、フレーム51の第1シリコン層由来部位、トーションバー54c、アーム部52、フレーム21の第1シリコン層由来部位、両トーションバー22a、およびアーム部12を介して、実現することができる。櫛歯電極55に対する電位付与は、フレーム51の第1シリコン層由来部位、トーションバー54a、フレーム21の第1シリコン層由来部位、およびアーム部52を介して、または、フレーム51の第1シリコン層由来部位、トーションバー54c、およびアーム部52を介して、実現することができる。櫛歯電極13A,13B,55は例えばグラウンド接続される。櫛歯電極23A,23Bに対する電位付与は、フレーム51の第2シリコン層由来部位、トーションバー54b、および、フレーム21の第2シリコン層由来部位を介して実現することができる。櫛歯電極56に対する電位付与は、フレーム51の第2シリコン層由来部位およびアーム部53を介して実現することができる。揺動軸心A1まわりの揺動動作における回転変位量は、櫛歯電極13A,13B,23A,23Bへの付与電位を調整することにより、調節することができる。また、揺動軸心A5まわりの揺動動作における回転変位量は、櫛歯電極55,56への付与電位を調整することにより、調節することができる。このような、揺動部10ないしミラー支持部11の揺動駆動およびフレーム21およびこれに伴う揺動部10の揺動駆動により、ミラー支持部11上に設けられたミラー面11aにて反射される光の反射方向を適宜切り換えることができる。
また、マイクロミラー素子X5は、マイクロミラー素子X1に関して上述したのと同様に、揺動軸心A1方向におけるミラー支持部11の設計寸法に関わらず所望数の電極歯13a,13b,23a,23b,55a,56aを設けることによって揺動部10の揺動動作のための駆動力を確保しつつ、揺動軸心A1方向におけるミラー支持部11したがって素子全体の設計寸法を短く設定することによって小型化を図るのに、適している。
図31は、複数のマイクロミラー素子X5を含むマイクロミラーアレイYを表す。図の明確化の観点より、図31においては、揺動部10、フレーム21,51、アーム部52、および櫛歯電極55について斜線ハッチングを付して表す。マイクロミラーアレイYでは、複数のマイクロミラー素子X5は、回転軸心A1の方向に一列に配されている。したがって、マイクロミラーアレイYでは、複数のミラー面11aは、回転軸心A1の方向に一列に配されている。各マイクロミラー素子X5は、上述のように、駆動力を得つつ素子全体の回転軸心A1方向寸法を短く設定することによる小型化を図るのに適している。そのため、マイクロミラーアレイYによると、複数のミラー面11aについて、短い配設ピッチを実現することができる。すなわち、マイクロミラーアレイYでは、複数のミラー面11aを、揺動軸心A1方向において高密度に配設することが可能である。加えて、各マイクロミラー素子X5では、ミラー支持部11およびトーションバー22a(捩れ連結部22)が回転軸心A1方向において重なり合う。このような構成は、揺動軸心A1方向におけるミラー面11aの高密度化を図るうえで好適である。
以上のまとめとして、本発明の構成およびそのバリエーションを以下に付記として列挙する。
(付記1)フレームと、
可動機能部、当該可動機能部から延出するアーム部、および、当該アーム部の延び方向と交差する方向に当該アーム部から各々が延出し且つ前記延び方向に互いに離隔する複数の第1電極歯からなる第1櫛歯電極、を有する揺動部と、
前記フレームおよび前記揺動部を連結して当該揺動部の揺動動作の揺動軸心を規定する捩れ連結部と、
前記アーム部の延び方向と交差する方向に前記フレームから各々が延出し且つ前記アーム部の延び方向に互いに離隔する複数の第2電極歯からなる、前記第1櫛歯電極と協働して前記揺動動作の駆動力を発生させるための第2櫛歯電極と、を備えるマイクロ揺動素子。
(付記2)前記複数の第1電極歯の延び方向は、前記揺動軸心に対して平行である、付記1に記載のマイクロ揺動素子。
(付記3)前記複数の第1電極歯の延び方向と前記揺動軸心の延び方向とは交差する、付記1に記載のマイクロ揺動素子。
(付記4)前記第2電極歯の延び方向は、前記第1電極歯の延び方向に対して平行である、付記1から3のいずれか一つに記載のマイクロ揺動素子。
(付記5)前記第1櫛歯電極は3本以上の電極歯からなり、隣り合う2つの第1電極歯間の距離は、前記揺動軸心から遠いほど長い、付記1から4のいずれか一つに記載のマイクロ揺動素子。
(付記6)前記第2櫛歯電極は3本以上の電極歯からなり、隣り合う2つの第2電極歯間の距離は、前記揺動軸心から遠いほど長い、付記1から5のいずれか一つに記載のマイクロ揺動素子。
(付記7)前記アーム部の延び方向において隣り合う2つの第2電極歯の間に位置する第1電極歯は、当該2つの第2電極歯間の中心位置から、前記揺動軸心に近付く方に偏位している、付記1から6のいずれか一つに記載のマイクロ揺動素子。
(付記8)前記アーム部の延び方向において隣り合う2つの第2電極歯の間に位置する第1電極歯は、当該2つの第2電極歯間の中心位置から、前記揺動軸心から遠ざかる方に偏位している、付記1から6のいずれか一つに記載のマイクロ揺動素子。
(付記9)前記アーム部の延び方向と交差する方向に当該アーム部から各々が延出し且つ前記アーム部の延び方向に互いに離隔する複数の第3電極歯、からなる第3櫛歯電極と、
前記アーム部の延び方向と交差する方向に前記フレームから各々が延出し且つ前記アーム部の延び方向に互いに離隔する複数の第4電極歯からなる、前記第3櫛歯電極と協働して前記揺動動作の駆動力を発生させるための第4櫛歯電極と、を更に備え、
前記第2および前記第4櫛歯電極は電気的に分離されている、付記1から8のいずれか一つに記載のマイクロ揺動素子。
(付記10)前記第1および前記第3櫛歯電極は電気的に接続されている、付記9に記載のマイクロ揺動素子。
(付記11)前記可動機能部から延出する追加アーム部と、
前記追加アーム部の延び方向と交差する方向に当該追加アーム部から各々が延出し且つ当該追加アーム部の延び方向に互いに離隔する複数の第3電極歯、からなる第3櫛歯電極と、
前記追加アーム部の延び方向と交差する方向に前記フレームから各々が延出し且つ前記追加アーム部の延び方向に互いに離隔する複数の第4電極歯からなる、前記第3櫛歯電極と協働して前記揺動動作の駆動力を発生させるための第4櫛歯電極と、を更に備え、
前記第1および前記第3櫛歯電極は電気的に分離されている、付記1から8のいずれか一つに記載のマイクロ揺動素子。
(付記12)前記第2および前記第4櫛歯電極は電気的に接続されている、付記11に記載のマイクロ揺動素子。
(付記13)追加フレームと、
前記フレームおよび前記追加フレームを連結し、且つ、当該追加フレームの揺動動作の、前記揺動軸心の延び方向と交差する追加揺動軸心を規定する、追加捩れ連結部と、
前記追加フレームの前記揺動動作の駆動力を発生させるための駆動機構と、を更に備える、付記1から12のいずれか一つに記載のマイクロ揺動素子。
本発明の第1の実施形態に係るマイクロミラー素子の平面図である。 図1に示すマイクロミラー素子の一部省略平面図である。 図1の線III−IIIに沿った断面図である。 図1の線IV−IVに沿った断面図である。 図1のマイクロミラー素子の製造方法における一部の工程を表す。 図5の後に続く工程を表す。 駆動時における図1の線III−IIIに沿った断面図である。 図1のマイクロミラー素子の第1変形例の平面図である。 図1のマイクロミラー素子の第2変形例の平面図である。 図1のマイクロミラー素子の第3変形例の平面図である。 図1のマイクロミラー素子の第4変形例の平面図である。 図1のマイクロミラー素子の第5変形例の平面図である。 図1のマイクロミラー素子の第6変形例の平面図である。 図1のマイクロミラー素子の第7変形例の平面図である。 本発明の第2の実施形態に係るマイクロミラー素子の平面図である。 図15に示すマイクロミラー素子の一部省略平面図である。 図15の線XVII−XVIIに沿った断面図である。 図15の線XVIII−XVIIIに沿った断面図である。 本発明の第3の実施形態に係るマイクロミラー素子の平面図である。 図19に示すマイクロミラー素子の一部省略平面図である。 図19の線XXI−XXIに沿った断面図である。 図19の線XXII−XXIIに沿った断面図である。 図19の線XXIII−XXIIIに沿った断面図である。 本発明の第4の実施形態に係るマイクロミラー素子の平面図である。 図24の線XXV−XXVに沿った断面図である。 本発明の第5の実施形態に係るマイクロミラー素子の平面図である。 図26に示すマイクロミラー素子の一部省略平面図である。 図26の線XXVIII−XXVIIIに沿った断面図である。 図26の線XXIX−XXIXに沿った断面図である。 図26の線XXX−XXXに沿った断面図である。 複数の図26のマイクロミラー素子を含むマイクロミラーアレイを表す。 従来のマイクロミラー素子の一部省略斜視図である。 図32に示すマイクロミラー素子における一組の櫛歯電極の配向を表す。
符号の説明
X1,X2,X3,X4,X5,X6 マイクロミラー素子
Y マイクロミラーアレイ
10,30 揺動部
11,31,61 ミラー支持部
12,14,15,32,33,52,53 アーム部
13A,23A,34A,35A,43A,44A 櫛歯電極
13a,23a,34a,35a,43a,44a 電極歯
13B,23B,34B,35B,43B,44B 櫛歯電極
13b,23b,34b,35b,43b,44b 電極歯
21,41,51,62 フレーム
22,42,54 捩れ連結部
22a,42a,54a,54b,54c トーションバー
55,56 櫛歯電極
55a,56 電極歯

Claims (6)

  1. 可動機能部、当該可動機能部に連結され当該可動機能部から離れる方向に延出するアーム部、および、当該アーム部の延び方向と交差する方向に当該アーム部から各々が延出し且つ前記延び方向に互いに離隔する複数の第1電極歯からなる第1櫛歯電極、を有する揺動部と、
    前記揺動部の揺動動作の揺動軸心を規定し、前記揺動部を揺動可能に固設する捩れ連結部と、
    前記第1櫛歯電極と協働して前記揺動動作の駆動力を発生させるための、複数の第2電極歯からなる第2櫛歯電極と、を備え、
    前記第1電極歯は、一方から他方に向かって幅が漸減する部位を有する、マイクロ揺動素子。
  2. 可動機能部、当該可動機能部に連結され当該可動機能部から離れる方向に延出するアーム部、および、当該アーム部の延び方向と交差する方向に当該アーム部から各々が延出し且つ前記延び方向に互いに離隔する複数の第1電極歯からなる第1櫛歯電極、を有する揺動部と、
    前記揺動部の揺動動作の揺動軸心を規定し、前記揺動部を揺動可能に固設する捩れ連結部と、
    前記第1櫛歯電極と協働して前記揺動動作の駆動力を発生させるための、複数の第2電極歯からなる第2櫛歯電極と、を備え、
    前記第2電極歯は、一方から他方に向かって幅が漸減する部位を有する、マイクロ揺動素子。
  3. 可動機能部、当該可動機能部に連結され当該可動機能部から離れる方向に延出するアーム部、および、当該アーム部の延び方向と交差する方向に当該アーム部から各々が延出し且つ前記延び方向に互いに離隔する複数の第1電極歯からなる第1櫛歯電極、を有する揺動部と、
    前記揺動部の揺動動作の揺動軸心を規定し、前記揺動部を揺動可能に固設する捩れ連結部と、
    前記第1櫛歯電極と協働して前記揺動動作の駆動力を発生させるための、複数の第2電極歯からなる第2櫛歯電極と、を備え、
    前記第1電極歯は、一方から他方に向かって幅が漸減する部位を有し、
    前記第2電極歯は、一方から他方に向かって幅が漸減する部位を有する、マイクロ揺動素子。
  4. 前記複数の第1電極歯の幅の漸減する方向は、当該第1電極歯の延び方向である、請求項1または3に記載のマイクロ揺動素子。
  5. 前記複数の第2電極歯の幅の漸減する方向は、当該第2電極歯の延び方向である、請求項2または3に記載のマイクロ揺動素子。
  6. 前記複数の第1電極歯または前記複数の第2電極歯の延び方向は、前記揺動軸心に対して平行である、請求項1から5のいずれか一つに記載のマイクロ揺動素子。
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