JP2008134080A - 周回路面装置及び周回路面試験装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】実際の路面状態を有する路面を備えた周回路面装置を提供する。
【解決手段】転動体Tを転動させることが可能な路面2aを有する環状体2と、環状体2を上面視で水平方向に環状回転自在に支持し且つ該環状体2を少なくとも一部の路面2aが直線状で上向きになるように支持する支持機構3と、環状体2を駆動させて周回させる駆動機構4とを有している。
【選択図】図1

Description

本発明は、周回路面装置及び周回路面試験装置に関するものである。
回転自在に保持したタイヤを駆動回転させた回転ドラムへ押し付け、タイヤが回転中に起こす各種挙動を測定するといったタイヤ試験装置では、回転ドラムの外周面が曲面であるが故に、タイヤ接地状況として、実路面の走行時を正確に再現させることは不可能に近いと言うことができる。そこでタイヤとの接触面をフラット面にすべく、金属ベルトコンベヤ方式や金属クローラ方式を採用した路面装置が各種提案されている。
例えば、金属ベルトコンベヤ方式を採用した路面装置として、一対のドラムに薄い鋼製のエンドレスベルトを架け渡したものが知られている(例えば、特許文献1等参照)。また金属クローラ方式を採用した路面装置として、立設された駆動輪と従動輪(いずれもチェーンスプロケットと推量される)とに巻き掛けたエンドレスチェーンに対し、そのエンドレス外周側に多数の路面形成杆(クローラシュー)を無端連設させてなるものが知られている(例えば、特許文献2等参照)。
特開昭56−73332号公報 特開昭51−16501号公報
金属ベルトコンベヤ方式を採用した路面装置では、ベルト表面を実路面に多用されるアスファルトやコンクリートなどで形成することができない。それは、アスファルトやコンクリートで形成されたベルトはエンドレスベルトをドラムへ巻き掛ける部分でのベルトの柔軟で円滑な曲がりを実現させることができないからである。
なお、実路面には橋桁連結部分や道路側溝蓋など、金属製の部分も存在するため、エンドレスベルトを上記のように鋼製などの金属製とすることも決して無意味とは言い切れないが、やはりエンドレスベルトをドラムへ巻き掛けることがネックとなり、寿命の面でその厚さを分厚くできないという事情がある。
一方、金属クローラ方式を採用した路面装置では、エンドレスチェーンが駆動輪や従動輪に対する巻き掛け部分から開放され両輪間の張り渡し部分(直線部分)へ移るとき、或いは反対に、両輪間の張り渡し部分から巻き掛け部分へ移るときに、相互隣接するクローラシュー同士が水平回転軸周りに折れ曲がるような屈曲動作を繰り返すことになる。
相互隣接するクローラシュー同士は、路面としての平坦性を高める意味から、駆動輪と従動輪との間の張り渡し部分ではできるだけ密接状態としておくのが重要とされるから、上記のような屈曲動作が起こると、相互隣接するクローラシュー同士が接触干渉するようになる。そのため、クローラシューが金属製であるときには耳障りな衝突音(金属音)が発生し、また摩耗の原因となる。またクローラシューの形成素材にアスファルト等、脆性の顕著な路面材が用いられていた場合には、この路面材の著しい摩耗や亀裂、カケが発生するという致命的な問題があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、実路面に多用されるアスファルトやコンクリートなどを使って路面の形成が可能であり、もって実路面の忠実な再現ができるものとすると共に、耳障りな騒音や振動、また摩耗、亀裂、カケ等の発生を抑制できるようにした周回路面装置及び周回路面試験装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために、本発明は、次の手段を講じた。
即ち、本発明に係る周回路面装置は、転動体を転動させることが可能な路面を有する環状体と、前記環状体を上面視で水平方向に環状回転自在に支持し且つ該環状体を少なくとも一部の路面が直線状で上向きになるように支持する支持機構と、前記環状体を駆動させて周回させる駆動機構と、を有していることを特徴とする。
ここにおいて「転動体」は例えばタイヤとすることができる。周回路面装置としてのこのような構成は画期的であって、この構成において環状体は上面視(平面視)で水平方向に環状回転するので、金属ベルトコンベヤ方式や金属クローラ方式とは異なってこの路面が水平回転軸周りに姿勢を変えるような巻掛け部分を通過することはない。
それ故、これら金属ベルトコンベヤ方式や金属クローラ方式を採用することによって生じていた従来の問題は全て払拭される。また、実路面に多用されるアスファルトやコンクリートなど使って路面の形成が可能であり、もって実路面の忠実な再現ができる。
前記環状体は、路面を有する複数の路面部材と、互いに隣り合う路面部材の相対距離を保持するように、前記複数の路面部材を無端状に連結する連結部材とを有しているとよい。
このようにすることで、水平状態のまま環状回転する部分での環状体の周回移動が円滑となり、耳障りな騒音や振動、また摩耗、亀裂、カケ等の発生を防止乃至抑制できることになる。
互いに隣り合う前記路面部材は、一方に凸状円弧部と他方に凹状円弧部とを備え、路面部材の凸状円弧部は、当該路面部材と隣り合う他の路面部材の凹状円弧部に嵌り込んでおり、路面部材は、前記連結部材により互いに嵌り込んだ凸状円弧部と凹状円弧部とに沿って相対的に垂直軸心回りに回動自在になるように、隣り合う他の路面部材と連結されているのが好適である。
このようにすることで、水平状態のまま環状回転する部分での環状体の周回移動が一層円滑となる。
前記路面部材は、路面の取り替えが可能とすることができる。
このようにすることで、路面部材の路面を必要に応じて一部又は全部アスファルト面、コンクリート面、金属面、砂地同等面、凍結路同等面、湿潤面などとして再現させることが可能となる。
前記路面部材の路面は、当該路面部材の上部に着脱自在に設けられた着脱板の上面に形成されていることとすることができる。
このようにすると、着脱板の交換と共に路面部材の路面を取り替えることができることになり、路面部材全体を取り替える必要がないことから、路面の取り替えや状態変更が容易となる。また、路面部材全体ではなく、着脱板として複数種類を準備すればよいので、ストックのためのスペースやコストなどの面で有益となる。
路面部材の少なくとも一部は、前記転動体のある側から反転動体側へ可視光線を透過する部材で構成することができる。
ここにおいて「可視光線を透過する部材」にはガラスや透明プラスチックなどを採用することができる。このようにすると、路面部材の下方から転動体の接触状態を確認又は観察することができることになり、様々な試験、測定が可能となる。
前記路面部材は、一端に凸状円弧部が形成され且つ他端に凹状円弧部が形成された上部片と、前記凸状円弧部より他端側に突出する状態で前記上部片の下部に設けられた下部片とを備えて、前記上部片及び下部片が側面視で階段形状を呈するように一体化されており、前記下部片で上部片の凹状円弧部より他端側に突出する部分が、隣り合う路面部材の上部片に形成された凸状円弧部の下側へ重ね合わされるように配備され、該重ね合わせ部分が前記連結部材によって垂直軸心回りに回動自在に連結されている。
前記下部片には前記上部片の幅方向両側より外方に突出するスライドシューが設けられており、前記支持機構は前記スライドシューを周回移動方向に沿って摺動自在に保持するガイドレールを有するものとすることができる。
このようなスライドシューとガイドレールとの保持構造を採用することで個々の路面部材の周回移動を、安定した状態に保持させることができる。
路面部材は、板状であって一端に凸状円弧部が形成され且つ他端に凹状円弧部が形成された本体片と、この本体片の下面に突出状に設けられたカプラー台とを有し、
前記連結部材は、互いに隣り合う路面部材における一方のカプラー台から他方のカプラー台へと延びる連結ロッドと、この連結ロッドの先端に設けられ且つ他方のカプラー台に接続する自在継ぎ手とを有しているものとしてよい。
その場合、前記カプラー台にはガイドローラが設けられ、前記支持機構は、前記ガイドローラを前記カプラー台の周回移動方向に沿って回転自在に案内するガイドレールを有しているものとするとよい。
前記環状体の長さに対して支持機構の長さを調整する調整機構を備えているのが好適である。
このようにすると、環状体の伸びやガタを吸収でき、最良のテンションを持たせた状態にして、環状体を支持できるようになるので、環状体を高速で回転させたとしても、騒音や振動が発生せず、路面の摩耗、亀裂、カケなどの発生防止に一層有益となる。
本発明に係る周回路面装置は、その路面上において転動体を転動させ、この転動体及び/又は路面を試験するものとして実施することができる。
本発明に係る周回路面装置では、実路面に多用されるアスファルトやコンクリートなどを使って路面の形成が可能であり、もって実路面の忠実な再現ができるものであり、耳障りな騒音や振動、また摩耗、亀裂、カケ等の発生を抑制できる。
本発明に係る周回路面試験装置では、路面に転動体を転動させることで、転動体が回転中に起こす各種挙動を試験したり、転動体が転動した際の路面の路面状況(路面変化等)を試験することができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
[第1実施形態]
図1〜9は、本発明に係る周回路面装置の第1実施形態を示している。
図1に示すように、周回路面装置1は、環状体2と、この環状体2を環状回転可能に支持する支持機構3と、この支持機構3によって支持された状態の環状体2を駆動させる駆動機構4とを有している。環状体2は、連続的に連なる複数の個別部位からなる路面2aを有していて、転動体Tを当該路面2a上で転動させるためのものである。
この周回路面装置1は、平面視したとき、環状体2が水平方向(例えば、図1矢印G方向)に回転移動(走行)するようになっており、これにより、路面2aに設置した転動体Tを路面2a上で転動させることができる。よって、周回路面装置1は、路面2a上で転動体Tを転動させることで、転動体Tが回転中に起こす各種挙動を試験したり、転動体Tが転動した際の路面2aの路面状況(路面変化等)を試験することができ、転動体T及び/又は路面2aを試験する周回路面試験装置となる。なお、周回路面装置1には、転動体Tを回転自在に保持して当該転動体Tを路面2aに設置することができる転動体保持装置5を併設するのが好ましい。この転動体保持装置5には転動体Tが受ける力を測定する多分力計を設けたものとしてもよい。なお、この実施の形態では、「転動体T」はタイヤである。
以下、環状体2、支持機構3、駆動機構4について詳しく説明する。なお、下記の説明において、説明の便宜上、図1の上下方向を「幅方向」又は「左右方向」とし、この方向と紙面上で直交する方向(紙面左右方向)を「長手方向」又は「前後方向」とする。
環状体2は複数の路面部材9が無端状となるように連結されて成るものであって、これら複数の路面部材9と共に、各路面部材9を連結するための連結部材10を有している。 個々の路面部材9の上面に路面2aが形成されており、この路面部材9が個々の路面2aを近接させて連結されることによって、環状体2の周方向の所定領域又は周方向全体として、転動体Tを転動可能にすべく、少なくとも周方向の所定領域において上を向いたまま連続的に連なった水平方向に屈曲していない直線状の路面2aが形成されることになる。
図4〜図8に示すように、第1実施形態において路面部材9は、上部片12と、この上部片12の下部に設けられた下部片13とを有している。これら上部片12と下部片13とは一体化されている。この路面部材9を側面視した形状は、上部片12及び下部片13が前後方向にズレて、階段状を呈するようになっている。
上部片12の一方の端部には凸状円弧部14が設けられ、上部片12の他方の端部には凹状円弧部15が設けられている。下部片13は、上部片12に対しその凸状円弧部14よりも周回移動方向(前後方向)に沿ってズレた状態とされ、且つ凹状円弧部15よりも周回移動方向(前後方向)に沿って外側へ突出する状態で設けられている。
下部片13には、上部片12の凹状円弧部15に対応する位置より周回移動方向(前後方向)の外側へ突出するようになった凸台部17が設けられており、この凸台部17が、隣り合う路面部材9の上部片12に対してその凸状円弧部14の下へ重ね合わされるようになる。第1実施形態では、凸台部17(下部片13)と凸状円弧部14(上部片12)とが重ね合わされた重ね合わせ部分が連結部材10によって垂直軸心回りに回動自在に連結されている。
この連結部材10は、垂直方向に軸心を向けた枢軸18と、この枢軸18に外嵌されるベアリング又はブシュ等の軸受部19とを有している。下部片13の凸台部17には枢軸18の中途部を軸受部19を介して差し込む軸受け孔20が上方に開口して設けられている。また、上部片14の凸状円弧部14には、枢軸18の上端部を軸受部19を介して差し込む軸受け孔21が下方に開口して設けられている。本実施形態においては、更に、軸受け孔20は枢軸18が下方へ貫通するように貫通孔が設けられており、軸受け孔21は枢軸18が上部(路面2a)へは抜けない状態に設けられている。
なお、枢軸18に対し、軸受部19は下側の軸受け孔20内及び上側の軸受け孔21内に嵌るようにそれぞれ複数設けられ、これら軸受部19の軸方向間隔がカラー23によって保持されるようになっている。
上部片12において、凸状円弧部14の外縁が描く凸側の円弧カーブと、凹状円弧部15の外縁が描く凹側の円弧カーブとは、略同等となる曲率半径とされるか又は僅かに凹状円弧部15の方が大きく形成されている。
そのため凸状円弧部14は、隣り合う他の路面部材9の凹状円弧部15に嵌り込み、互いに嵌り込んだ凸状円弧部14と凹状円弧部15とが微小な隙間を生じるか、又は生じないか程度の馴染み具合で互いに接近した状態が得られるようになっている。互いの路面部材9は、このような凸状円弧部14と凹状円弧部15との接近状態を保持したまま、連結部材10により連結されると共に、枢軸18回りに回動自在となっている。
下部片13に設けられた軸受け孔20は、下部側の貫通孔が枢軸18は通すが軸受部19は脱落しない程度に縮径された段付き部を備えている。そして枢軸18は、下部片13の下方へ突出した状態として設けられている。このように枢軸18において下部片13の下方へ突出する部分は、後述する駆動部4に対する係合部24を形成する。
また、下部片13には、上部片12の両円弧部の形成されていない幅方向両側へ突出するスライドシュー25が設けられている。このスライドシュー25は、路面部材9、ひいては環状体2の全体が周回移動する場合に、後述する支持機構3によりガイドされる部分となる。図4に示すスライドシュー25は突出端が角部として形成されているがR部として形成しても良い。
支持機構3は、図1〜図3に示すように、環状体2を水平方向に環状回転自在に支持し、この環状体2を少なくとも一部の路面が屈曲せず(直線状で)上向きになるように支持するためのものである。
第1実施形態では、環状体2が平面視で長円形の輪を呈するように、支持機構3は、
半円弧状の2つの曲線部分3b、3bをつなぐ平行な直線部分3aを備えている。即ち、支持機構3は、これら直線部分3aと半円部分3bとが組み合わせたものとしてある。
環状体2はその長円形の全周において上面が上向きとなるように支持機構3によって支持され、結果として環状体2の全周が路面2aとして形成される。
この支持機構3は、路面部材9に設けられたスライドシュー25を滑らかに案内できるように、断面コ字状をした大小の長円形のガイドレール30を有している。これら大小のガイドレール30は、コ字状の開放部が互いに対向するように平行架設されており、上記した環状体2の長円形の輪に沿ってその全周に設けられたものである。すなわち、これらガイドレール30がスライドシュー25を介して環状体2をその周回方向に沿って摺動自在に保持することになる。
この支持機構3には、環状体2の長さに対応して、ガイドレール30の軌道長さを微調整することのできる調整機構32が設けられている。この調整機構32は、図9に示すように、直線部分3bを形成しているガイドレール30に長手方向の伸縮部33を設け、またこの伸縮部33に対して直接的又は間接的に長手方向の伸縮力を加えられるものとしてある。伸縮力を加えるための手段として、図2に示す例ではシリンダ装置からなる調整原動部34を設けており、この調整原動部34が伸縮部33に対して伸縮力を加えている。
伸縮部33は、2つの直線部3a、3aを形成しているそれぞれ直線部の途中の部分で
ガイドレール10を分断すると共に、この分断した一方のレール端に嵌合凸部35を固定的に設け、また分断した他方のレール端にこの嵌合凸部35をガタツキ無く摺動自在な状態で差し込み可能な嵌合凹部36を設けたものである。従って、この嵌合凸部35の差し込み度合いを調整することで、環状体2としての長円形の長さに対応してガイドレール30の軌道長さを変更できるのである。
調整原動部34は、上記したように要は支持機構3の直線部分3bに設けられた伸縮部33を伸縮させることができるものであればよいものであるので、ガイドレール30に直接的に伸縮力を加えるようにしてもよいし、或いは環状体2を介して間接的に伸縮力を加えるようにしてもよい。第1実施形態では、環状体2を介して間接的に伸縮力を加える方式を採用した。
すなわち、環状体2では、各路面部材9を連結する連結部材10の枢軸18が各路面部材9の下部片13から下方へ突出した状態とされ、この下方突出部分に後述する駆動機構4との係合を行わせるための係合部24が形成されるようになっている。
そこで、支持機構3におけるいずれか一方の半円部分3bの中心部に、軸心を垂直方向に向けた回転軸37まわりで水平回転自在となるスプロケット38を設け、このスプロケット38の外周部に、環状体2の上記係合部24が係合する係合凹部39を設けるようにした。このようにしたうえで、このスプロケット38の回転軸37を支持する軸受け台40を長手方向にスライドさせることで調整原動部34による伸縮力が加えられる状態とした。具体的に、この調整原動部34には油圧シリンダやモーター駆動による送りネジ機構等を採用することができる。
なお、調整原動部34が回転軸37及びスプロケット38とガイドレール30とを同時に移動させることができるように、回転軸37とガイドレール30との間に連結機構(図示せず)を介装することによって、環状体2の張り具合の調整と伸縮部33の調整を行うようにしてもよい。また、シリンダ装置やネジジャッキ機構やトグル機構等によってガイドレール30に直線的に伸縮力を加えるように構成してもよい。
駆動機構4は、環状体2を駆動させて路面2aを周回移動させるためのものである。第1実施形態では、上記調整機構32のスプロケット38が設けられたのとは反対側となる支持機構3の半円部分3bに対し、その中心部に、軸心を垂直方向に向けた回転軸41まわりで水平回転自在となるスプロケット42を設け、このスプロケット42の外周部に、環状体2の上記係合部24が係合する係合凹部43を設けるようにし、且つこのスプロケット42を巻掛け伝動手段等の伝動部44を介してモータ45で回転駆動させるものとしてある。
転動体保持装置5は、水平方向に向けた軸心まわりで転動体Tを回転自在に保持可能にしたもので、転動体Tの軸芯部へ下向きに所定荷重を加えながら、当該転動体Tの外周面を環状体2によって形成される路面2aにその上から押し付けることができる。またこの転動体保持装置5は、路面2aへ転動体Tを押さえ付けた保持状態として、キャンバ角、操舵角、スリップ角、接地圧などを、自動又は手動により適宜調整できるようにしてある。
このような構成を具備して成る周回路面装置1を作動させるには、予め、転動体保持装置5によって転動体Tを回転自在に保持させ、その軸芯部へ下向きに所定荷重を加えながら、当該転動体Tの外周面を環状体2によって形成される路面2aにその上から押し付けさせた状態にする。
この状態で本発明に係る周回路面装置1の駆動機構4を作動させると、スプロケット42を介して環状体2の各路面部材9へ駆動力が伝えられ、これにより環状体2が支持機構3に沿って環状に周回移動を始めるようになる。そのため、路面2a上の転動体Tも環状体2による駆動を受けて回転を始めるようになる。
周回移動する環状体2は、各路面部材9が水平状態を維持している(下方を向くことがない)ものであり、従来の金属ベルトコンベヤ方式や金属クローラ方式とは異なってこの路面2aが上下に姿勢を変えるような巻掛け部分を通過することはない。それ故、本発明に係る周回路面装置1では、金属ベルトコンベヤ方式や金属クローラ方式を採用することによって生じていた従来の問題は全て払拭される。
環状体2において、各路面部材9は凸状円弧部14と凹状円弧部15とが微小な隙間を生じるか、又は生じないか程度の馴染み具合となって、互いに接近した状態で連結されるようになっている。即ち、互いに隣り合う路面部材9の周回移動方向についての相対距離を保つようにしているので、路面部材9が水平状態のまま環状回転する部分での環状体の周回移動は円滑となり、耳障りな騒音や振動、また摩耗、亀裂、カケ等の発生を防止乃至抑制できる。
殊に環状体2は、支持機構3に設けられた調整機構32を適切に調整することに伴って伸びやガタツキの発生しない最良のテンションに維持させることができるので、騒音や振動への対策、及び摩耗、亀裂、カケなどは、一層確実に防止乃至抑制されることになる。
なお、互いに隣り合う路面部材9の周回移動方向についての相対距離を保つようにしているので、このことにより、隣り合う路面部材9同士がぶつかり合うことがないため、各路面部材9の路面2aには実路面に多用されるアスファルトやコンクリートなどの衝撃に脆い材料を貼り付けるようなことも可能であり、従って転動体Tに対し、実路面の走行状況を忠実に再現できることになる。
[第2実施形態」
図10〜図13は、本発明に係る周回路面装置1の第2実施形態を示している。この第2の実施形態は図10に示すように、環状体2を平面視(上面視)して環状体2が水平方向に環状回転するものである点で第1実施形態と同じである。
この第2実施形態が上記した第1実施形態の周回路面装置1と最も異なるところは、支持機構3において、両側の半円部分3bに対し周回移動方向に沿って90°のひねりを生じさせるようにしている点にある。このため、図10に示す周回路面装置の環状体2においては、一方の直線部分3a(即ち、転動体Tを転動可能とさせるために環状体2に形成させる路面2aの形成領域)では環状体2を平面視して水平な路面2a(上向きの路面2a)をなしているのに対して、他方の直線部分3aでは紙面貫通方向に路面2a横に起こしたような姿勢になっている。
このようにすることで、環状体2が支持機構3の半円部分3bを周回移動するときに生じる遠心力を支持機構3で受けやすく、支持機構3の案内面での遠心力への耐力性を向上させることができる。
第2実施形態の環状体2は、第1実施形態とは形状が異なる路面部材9を有している。即ち、路面部材9は、板状の本体片50(上部片12と下部片13とで階段状になったものではない)を有したものとなっている。
本体片50の路面2aの周回方向の一方側には、凸状円弧部14が設けられ、他方側には、凹状円弧部15が設けられている。路面2aが上を向く領域では、それぞれ隣り合う本体片50のうち、一方の本体片50の凸状円弧部14が他方の本体片50の凹状円弧部15に嵌り込むことで、隣り合う本体片50間の継ぎ目を除いて連続的な路面2aが形成されるようになっている。
また、路面部材9は、本体片50の下面に突出状に設けられたカプラー台51を有しており、このカプラー台51に連結部材10が取り付けられている。上述したように、本体片50の凸状円弧部14が隣り合う他の路面部材9の本体片50の凹状円弧部15に嵌め込んだ状態で、連結部材10によって互いに隣り合うカプラー台51を連結することで、互いに隣り合う路面部材9は連続的に連なるようになっている。
具体的には、連結部材10は、互いに隣り合う路面部材9における一方のカプラー台51から他方のカプラー台51へと延びる連結ロッド52と、この連結ロッド52の先端に設けられた自在継ぎ手(ユニバーサルジョイント、ボールジョイントなど)53とを有しているものとなっている。この自在継ぎ手54を介して一方のカプラー台51の連結ロッド52が他方のカプラー台51に接続されている。
なお、環状体2が支持機構3の半円部分3bを走行する際、互いに隣り合う路面部材9は、継ぎ目部分において互いにスライドする方向にずれるような動きをする。その動きにより、互いに隣り合う路面部材9の周回移動方向についての相対距離を保つようになっているので、半円部分3bにおいても互いに隣り合う路面部材9がぶつかり合うことがない。そのため、路面部材9の継ぎ目部分の摩耗、亀裂、欠け等の発生を防止乃至抑制することができ、路面2aとして、路面部材9に実路面で多用されるコンクリートやアスファルト等の衝撃に脆い材料を設けることが可能になる。
また、カプラー台51には、3つの箇所に分けてガイドローラ54が設けられている。1カ所はカプラー台51の路面部材9(本体片50)とは反対側に設けられており、残りはカプラー台51の両サイドに設けられている。これに対して支持機構3は、各ガイドローラ54、55をカプラー51の周回移動方向に沿って回転自在に案内すると共に、各ガイドローラ54,55の回転面を支持する断面コ字状をした溝型ガイドレール56を有したものとなっている。
更に第2実施形態では、駆動機構4としてリニアモータ57を採用している。リニアモータ57としては、水平状態の直線部分3a(即ち、転動体Tを転動可能とさせるために環状体2に形成させる路面2aの形成領域)に対応させて推進用コイル72を設けている。路面部材9の下面には、推進用コイル72に対応する推進力発生用の磁石(図示略)が搭載されている。
第2実施形態におけるその他の構成、実質的な動作及び作用、効果は、上記第1実施形態と略同様であるので、ここでの詳説は省略する。
[第3実施形態]
図14〜図16は、本発明に係る周回路面装置1の第3実施形態を示している。この第3実施形態は、基本的には第1実施形態(図1〜図9参照)と略同じであるが、環状体2の路面部材9が路面2aを取り替え可能となっている点、及び駆動機構4として環状体2を全周的に浮上させた上で推進力を付与するリニアモータシステムを採用している点が第1実施形態と異なっている。
駆動機構4として採用したリニアモータシステムは、支持機構3の周方向全体にわたり、浮上用コイル70、浮上制限コイル71、推進用コイル72、軌道案内コイル73が設けられ、路面部材9側に磁石(図示略)が搭載されたものとして、各コイル70〜73が制御される構成となっている。
一方、路面部材9は、上部片12の上面に着脱板60が設けられ、この着脱板60の上面に路面層61が形成され、この路面層61の上面により路面2aが形成されるようになっている。路面層61はアスファルト、コンクリート、金属、砂地同等材など実際の路面材料と同じ材料やその他の所望の材料によって形成されており、この路面層61は着脱板60に対して接着剤、ボルト、アンカーなどにより固定される。
また着脱板60にはボルト孔62が設けられ、上部片12にはボルト孔62に合致するボルト通孔63が設けられ、上部片12の下方側からボルト通孔63を介してボルト孔62へと差し込まれるボルト64により、上部片12に対して着脱板60が固定される。上部片12には、ボルト通孔63の下側の開口端にボルト64のボルト頭を没入させるための座繰り65が施されており、上部片12に対して、それと重ね合わした隣り合う路面部材9の下部片13(凸台部17)の動きがボルト64によって邪魔されることはない。
なお、言うまでもなく、上部片12の下方側空間を利用してボルト64を緩めることで上部片12に対して着脱板60を外すことができ、これによって着脱板60(路面層61を含む)の着脱が自在となることから、環状体2の全体を分解することなく、路面部材9としての路面2aの交換が可能となっているものである。
上部片12側、又は着脱板60側にそれらの相互間の位置決め手段として位置決めピン66を突出状態で設けておき、相手側(即ち、位置決めピン66の設けられた方を上部片12とする場合は着脱板60側であり、反対に着脱板60とする場合は上部片12側である)に位置決めピン66をガタツキ無く差し込み可能なピン孔67を設けておくことで、上部片12に対する着脱板60(路面層61を含む)の位置付けを一定化させ、また位置ズレを防止できるので好適となる。
このようなことから、路面部材9は着脱板60の交換と共に路面2aの取り替えが可能であり、わざわざ路面部材9全体を取り替える必要がないことから、その取り替えが容易となる。また、路面部材9全体ではなく、着脱板60として複数種類を準備することができるので、ストックのためのスペースやコストなどの面で有益となる。
また、一部の路面部材9の路面2aを他の路面部材9の路面2aと異なる種類のものに取り替えたり、すべての路面部材9の路面2aを各種路面材料のものに取り替える事も可能であり、色々な路面状態を容易に設定することができる。
第3実施形態におけるその他の構成、実質的な動作及び作用、効果は、上記第1実施形態と略同様であるので、ここでの詳説は省略する。
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、発明の本質を変更しない範囲で各部材の形状、構造、材質、組み合わせなどを適宜変更可能である。
例えば、路面部材9の少なくとも一部は、ガラスや透明プラスチックなどの転動体Tのある側から反転動体側へ(言い換えれば、路面部材9の上下方向に)可視光線を透過する部材で形成することができる。このようにすると、路面部材9の下方から転動体Tの接触状態を確認又は観察することができることになり、様々な試験、測定が可能となる。
支持機構3や駆動機構4の組み合わせは特に限定されるものではなく、例えば第1〜第3実施形態で説明した各駆動機構4をそれぞれ他の実施形態の駆動機構4として置換するといったことが可能である。例えば、第3実施形態では支持機構3の周方向全周に亘り、リニアモータ57の各種コイル72が設けられているが、十分に推進力を得ることができるものであれば第2実施形態のように支持機構3の周方向一部に各種コイル72を設けるようにしてもよい。また、第2実施形態の路面部材9に第3実施形態と同様に位置決めされた着脱板60を介して各種材料による路面2aを形成することも可能である。
環状体2の周方向の一部又は全部に、降雨、降雪、強風、凍結などの各種気象条件を再現させることのできる環境設定装置を設置することもできる。例えば、路面上に雪を積もらせる積雪手段や路面上に散水しながら所定の水膜を形成する水膜形成手段を設けることが可能である。
本発明に係る周回路面装置の第1実施形態を一部破砕して示した平面図である。 図1に対応する一部破砕正面図である。 図1のA−A線拡大断面図である。 環状体の一部を拡大して示した平面図である。 図2のB部を拡大し一部破砕して示した断面図である。 路面部材を示した斜視図である。 路面部材の平面図である。 図7のC−C線断面図である。 調整機構の伸縮部を示した平面断面図である。 本発明に係る周回路面装置の第2実施形態を示した平面図である。 図10に対応する一部破砕正面図である。 図10のD部を拡大し且つ破砕して示した図である。 図10のE−E線拡大断面図である。 本発明に係る周回路面装置の第3実施形態を一部破砕して示した平面図である。 図14に対応する一部破砕正面図である。 図14のF−F線拡大断面図である。
符号の説明
1 周回路面装置
2 環状体
2a 路面
3 支持機構
4 駆動機構
9 路面部材
10 連結部材
12 上部片
13 下部片
14 凸状円弧部
15 凹状円弧部
25 スライドシュー
30 ガイドレール
32 調整機構
60 着脱板
T 転動体

Claims (12)

  1. 転動体を転動させることが可能な路面を有する環状体と、
    前記環状体を上面視で水平方向に環状回転自在に支持し且つ該環状体を少なくとも一部の路面が直線状で上向きになるように支持する支持機構と、
    前記環状体を駆動させて周回させる駆動機構と、
    を有していることを特徴とする周回路面装置。
  2. 前記環状体は、路面を有する複数の路面部材と、互いに隣り合う路面部材の相対距離を保持するように、前記複数の路面部材を無端状に連結する連結部材とを有していることを特徴とする請求項1に記載の周回路面装置。
  3. 互いに隣り合う前記路面部材は、一方に凸状円弧部と他方に凹状円弧部とを備え、
    路面部材の凸状円弧部は、当該路面部材と隣り合う他の路面部材の凹状円弧部に嵌り込んでおり、
    路面部材は、前記連結部材により互いに嵌り込んだ凸状円弧部と凹状円弧部とに沿って相対的に垂直軸心回りに回動自在になるように、隣り合う他の路面部材と連結されていることを特徴とする請求項2に記載の周回路面装置。
  4. 前記路面部材は、路面の取り替えが可能となっていることを特徴とする請求項2又は3に記載の周回路面装置。
  5. 前記路面部材の路面は、当該路面部材の上部に着脱自在に設けられた着脱板の上面に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の周回路面装置。
  6. 前記路面部材の少なくとも一部は、前記転動体のある側から反転動体側へ可視光線を透過する部材で構成されていることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の周回路面装置。
  7. 前記路面部材は、一端に凸状円弧部が形成され且つ他端に凹状円弧部が形成された上部片と、前記凸状円弧部より他端側に突出する状態で前記上部片の下部に設けられた下部片とを備えて、
    前記上部片及び下部片が側面視で階段形状を呈するように一体化されており、
    前記下部片で上部片の凹状円弧部より他端側に突出する部分が、隣り合う路面部材の上部片に形成された凸状円弧部の下側へ重ね合わされるように配備され、該重ね合わせ部分が前記連結部材によって垂直軸心回りに回動自在に連結されていることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の周回路面装置。
  8. 前記下部片には前記上部片の幅方向両側より外方に突出するスライドシューが設けられており、
    前記支持機構は前記スライドシューを周回移動方向に沿って摺動自在に保持するガイドレールを有していることを特徴とする請求項7記載の周回路面装置。
  9. 前記路面部材は、板状であって一端に凸状円弧部が形成され且つ他端に凹状円弧部が形成された本体片と、この本体片の下面に突出状に設けられたカプラー台とを有し、
    前記連結部材は、互いに隣り合う路面部材における一方のカプラー台から他方のカプラー台へと延びる連結ロッドと、この連結ロッドの先端に設けられ且つ他方のカプラー台に接続する自在継ぎ手とを有していることを特徴とする請求項2、4又は5のいずれかに記載の周回路面装置。
  10. 前記カプラー台にはガイドローラが設けられ、
    前記支持機構は、前記ガイドローラを前記カプラー台の周回移動方向に沿って回転自在に案内するガイドレールを有していることを特徴とする請求項9記載の周回路面装置。
  11. 前記環状体の長さに対して支持機構の長さを調整する調整機構を備えていることを特徴とする1〜10のいずれかに記載の周回路面装置。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載された周回路面装置の路面上において、転動体を転動させ、該転動体及び/又は路面を試験することを特徴とする周回路面試験装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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