JP2008133754A - 内燃機関のバルブタイミング制御装置 - Google Patents

内燃機関のバルブタイミング制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】カム角センサの信号出力の低下を防止して、タイミングスプロケットとカムシャフトの相対回転位相を精度良く検出し得るバルブタイミング制御装置を提供する。
【解決手段】スプロケット2とカムシャフトとの間に設けられ、ヒステリシスリングに電磁コイル20からの電磁力よってブレーキ力を作用させて、前記両者の相対回動位相を変更する。前記スプロケットの外周面の等間隔位置に4つのターゲット突起25を設けると共に、渦ディスク13の外周面の等間隔位置に、4つの第2ターゲット突起26を設けた。また、前記第1、第2ターゲット突起からそれぞれのパルス信号を生成するカム角センサ27を設け、該カム角センサの永久磁石28と前記電磁コイルの各磁界H1、H2を同極方向になるように設定した。
【選択図】図11

Description

本発明は、機関運転状態に応じてクランクシャフトとカムシャフトとの相対回転位相を変更可能な電磁ブレーキ式の位相変更機構を備えた内燃機関のバルブタイミング制御装置に関し、前記回転位相差を検出する電磁式のセンサによる検出精度の低下を防止し得るバルブタイミング制御装置に関する。
機関運転状態に応じてクランクシャフトとカムシャフトとの相対回転位相を変更して出力や燃費などの機関性能を向上させることのできる内燃機関のバルブタイミング制御装置(VTC)としては、従来から種々のものが提供され、一般的には油圧によって位相変更機構を制御するものが知られている。
この油圧式のバルブタイミング制御装置にあっては、前記クランクシャフトとカムシャフトとの相対回転角度を検出するカム角センサとして、例えば以下の特許文献1に記載された電磁式のものがある。
このような、バルブタイミング制御装置にあっては、位相変更機構が油圧式であることから、磁界を発生することがないため、前記電磁式のカム角センサを用いても位相変更機構との間で磁界の影響力が発生することが全くない。したがって、位相変更機構に起因して検出精度が低下することはない。
しかしながら、前記油圧式のバルブタイミング制御装置にあっては、油圧の粘性抵抗などの影響で位相変更機構の作動応答速度を十分に向上させることができないおそれがある。
そこで、本出願人が先に出願した特許文献2に記載されたバルブタイミング制御装置のように、位相変更機構として電磁ブレーキ(ヒステリシスブレーキ)のものが提供されている。このバルブタイミング制御装置における位相変更機構は、タイミングスプロケットに形成された径方向ガイド窓と、渦ディスクに形成された渦巻き状ガイド(渦巻き溝)と、基端部が前記スリーブに回転自在に設けられて、先端部が前記径方向ガイド内を径方向移動可能に配置されたリンク部材と、該リンク部材の先端部に設けられて、先端の球状部が前記渦巻き状ガイドに係合した係合部と、機関運転状態に応じて前記渦ディスクにブレーキ力を付与するヒステリシスブレーキとを備えている。
そして、ヒステリシスブレーキの電磁コイルに通電して、ヒステリシス材を介して前記渦ディスクに電磁ブレーキを作用させる。これによって、前記係合部が径方向ガイド窓に沿って径方向に移動しつつ渦巻き状ガイド内を摺動して、前記タイミングスプロケットと前記スリーブ(カムシャフト)とを所定の角度範囲内で相対的に回転させる。これにより、吸気弁の開閉タイミングを機関運転状態に応じて可変制御するようになっている。
特開平11−36904号公報 特開2005−180307号公報
しかしながら、前記特許文献2に記載されたバルブタイミング制御装置にあっては、位相変更機構が電磁式になっていることから、カム角センサとして、特許文献1に記載されている磁石内蔵型のホールIC式のセンサなどの電磁式のものを用いた場合には、このカム角センサの近傍に通電によって前記位相変更機構の磁界が発生し、つまりカム角センサの磁界とは異極方向の磁界が発生して、カム角センサの磁界に大きな影響を与え、かかる磁界を弱める傾向になるため、検出精度の低下を招く場合がある。
本発明は前記従来の技術的課題を解決するために案出されたもので、請求項1に記載の発明は、機関のクランクシャフトによって同期して回転駆動される駆動回転体と、機関弁を開閉作動させるカムを有するカムシャフトに結合された従動回転体と、前記駆動回転体と従動回転体との相対回転位相角度を、電磁力によって変更する位相変更機構と、前記駆動回転体と従動回転体との相対回転位相角度を電磁力によって検出するセンサ部と、該センサ部から出力された検出信号に基づいて前記位相変更機構により前記両回転体の位相角度差を制御するコントローラと、を備え、前記位相変更機構は、通電によって磁界を発生する第1磁界発生部を有すると共に、前記センサ部は、前記両回転体の相対回転位相角度を検出するために磁界を発生する第2磁界発生部を有し、前記第1、第2磁界発生部から発生するそれぞれの磁界を同極方向になるように設定したことを特徴としている。
この発明によれば、位相変更機構として、例えば特許文献2に記載したような電磁ブレーキ式のものを用いた場合であっても、この位相変更機構の第1磁界発生部への通電によって発生する磁界と、センサ部の第2磁界発生部から発生するそれぞれの磁界が同極方向となっていることから、第1磁界発生部で発生した磁界が第2磁界発生部で発生した磁界への悪影響がなくなり、逆に第2磁界発生部の磁界が増強される形になる。したがって、クランクシャフトとカムシャフトとの回転位相角度の検出精度の低下を防止することが可能になる。
請求項2に記載の発明は、前記第1磁界発生部から発生される磁界を、前記第2磁界発生部から発生される磁界と同極方向となるように設定したことを特徴としている。
この発明も前記第1の発明と同様な作用効果が得られる。
請求項3に記載の発明は、機関のクランクシャフトによって同期して回転駆動される駆動回転体と、機関弁を開閉作動させるカムを有するカムシャフトに結合された従動回転体と、前記駆動回転体と従動回転体との相対回転位相角度を、電磁力によって変更する位相変更機構と、前記駆動回転体と従動回転体との相対回転位相角度を電磁力によって検出するセンサ部と、該センサ部から出力された検出信号に基づいて前記位相変更機構により前記両回転体の位相角度差を制御するコントローラと、を備え、前記位相変更機構は、通電によって磁界を発生する第1磁界発生部を有すると共に、前記センサ部は、前記両回転体の相対回転位相角度を検出するために磁界を発生する第2磁界発生部を有し、前記第1磁界発生部から発生する磁界の方向を、前記第2磁界発生部から発生された磁界が増強する方向となるように設定したことを特徴としている。
この発明も、第1発明と同様な作用効果が得られる。
請求項4に記載の発明にあっては、前記センサ部は、内蔵磁石型のホールICによって構成され、該ホールICのホール素子を、ターゲットの回転方向の前後位置に2つ設け、該2つのホール素子から出力された出力値の差を算出し、この算出された差の信号を、所定のしきい値に基づいてパルス信号に変換するように構成したことを特徴としている。
この発明によれば、2つのホール素子を用いたため、例えば温度変化によって一方のホール素子がドリフトされても、他方のホール素子によって正しい出力値が確保できるため、前記しきい値を一定にすることが可能になる。したがって、一定にしたしきい値によって常時安定した検出精度を得ることができる。
以下、本発明に係る内燃機関のバルブタイミング制御装置の実施例を図面に基づいて説明する。なお、この実施例では、内燃機関の吸気側の動弁系に適用したものであるが、内燃機関の排気側の動弁系に同様に適用することも可能である。
このバルブタイミング制御装置は、図1〜図6に示すように、内燃機関の図外のシリンダヘッドに回転自在に支持されたカムシャフト1と、このカムシャフト1の前端側に必要に応じて相対回動可能に設けられた駆動回転体(駆動部材)であるタイミングスプロケット2と、該タイミングスプロケット2の内周側に配置されて、両者1,2の相対回転位相を変更する位相変更機構3とを備えている。
前記カムシャフト1は、外周に吸気弁を開作動させる一気筒当たり2つのカム1a、1aを有すると共に、先端部に従動回転体である従動軸部材4がカムボルト5によって軸方向から結合され、この従動軸部材4の先端部にスリーブ6が螺着固定されている。
前記従動軸部材4は、前記カムボルト5が内部の貫通孔を介して挿通する円筒状の軸部4aと、該軸部4aのカムシャフト1側の端縁に一体に形成された段差径状の大径な拡径部4bとを備えている。また、前記軸部4aの先端部外周に前記スリーブ6が螺着する雄ねじが形成されている。
前記スリーブ6は、カムシャフト1側の基端部の内周面に軸部4aの雄ねじに螺合する雌ねじ6aが形成されていると共に、前記軸部4aに最大にねじ込まれた後に、前記雌ねじ6aの端緒部が軸部4aの先端面側に回り止めのために、円環状のかしめによって固定されている。
前記タイミングスプロケット2は、外周に図外のタイミングチェーンを介してクランクシャフトに連係されるリング状のギア歯車2aが外周に一体に形成されていると共に、このギア歯車2aの内周側にほぼ円板状のプレート部材2bを有している。また、このプレート部材2bの中央に形成された挿通孔2cの内周面を介して前記従動軸部材4の軸部4aの外周に回転自在に軸受けされている。なお、このタイミングスプロケット2のカムシャフト1側の端部には、補機類を駆動させるための第2のスプロケット2’がボルトによって結合されている。
また、前記プレート部材2bには、対面する平行な側壁を有する径方向ガイドである2つ径方向窓孔7,7がタイミングスプロケット2のほぼ直径方向に沿うように貫通形成されていると共に、この2つの径方向窓孔7、7の間に、可動部材である2つのリンク部材8,8の各基端部8a、8aが周方向へ移動可能に係入保持される2つのガイド孔2d、2dが貫通形成されている。
前記ガイド孔2d、2dは、前記挿通孔2bの外周部に円周方向に沿って円弧状に形成されて、その軸方向の長さが前記各基端部8a、8aが移動する範囲内(カムシャフト1とタイミングスプロケット2の相対回動範囲内)の大きさに設定されている。
前記各リンク部材8は、それぞれがほぼ円弧状に折曲形成されて、一端側の各基端部8aが円筒状に形成されている一方、他端側の各先端部8b、8bも円筒状に形成されて、それぞれがプレート部材2b方向に突設されている。また、前記従動軸部材4の前記拡径部4bのカムシャフト1側の端部内周側に放射状に突出する2つのレバー突起の内部にそれぞれ保持孔が貫通形成され、この各保持孔に、各ピン9、9の一端部が圧入固定されていると共に、該ピン9,9の他端部に前記各リンク部材8、8の各基端部8a、8aが回転自在に連結されている。
また、各リンク部材8、8は、先端部8b、8bが前記各径方向窓孔7,7に係入している。
また、前記各リンク部材8の先端部8bには、軸方向前方側に開口する収容穴10が形成され、この収容穴10に、前記各径方向窓孔7、7を介して、後述する渦ディスク13の渦巻き溝15に係合する球面状の先端部を有する係合部である係合ピン11と、この係合ピン11を前方側(渦巻き溝15側)に付勢するコイルばね12とが収容されている。
そして、各リンク部材8は、各先端部8bが対応する各径方向窓孔7、7に係入した状態において、各基端部8a、8aがピン9、9を介して前記従動軸部材4に連結されているため、リンク部材8の先端部8b、8b側が、外力を受けて各径方向窓孔7に沿って変位すると、タイミングスプロケット2と従動軸部材4とは、各リンク部材8、8の基端部8a、8aが各ガイド孔2d、2dに沿って移動して、各先端部8b、8bの変位に応じた方向及び角度だけ相対回動する。
一方、前記プレート部材2bの前方側に対向配置された円板状の渦ディスク13がボールベアリング14を介して回転自在に支持されている。この渦ディスク13は、前記ボールベアリング14の外輪が固定された筒状部13aと、該筒状部13aの後端に一体に設けられたディスク部13bとから構成され、このディスク部13bのカムシャフト1側の後面に、渦巻き状ガイドである断面半円状の2条の渦巻き溝15が形成されている。この各渦巻き溝15に、前記各リンク部材8の各係合ピン11の先端部が摺動自在に係合案内されている。
また、前記渦ディスク13は、型成形された粉末金属を仮焼結する仮焼結工程と、その後、仮焼結された中間回転体を高圧によって圧縮する再圧縮行程とからなる高密度焼結法によって成形されている。したがって、前記各渦巻き溝15も渦ディスク13を焼結合金によって成形する際に、同時に形成されるようになっている。
前記各渦巻き溝15は、図7〜図10に示すように、互いに分離されて、タイミングスプロケット2の回転方向に沿って次第に縮径するように形成されていると共に、最外周側の先端溝部15aが所定の角度をもって内方へ屈曲(偏曲)形成されている。つまり、この先端溝部15aは、その長手方向のほぼ中央位置から先端側がさらに内方へ小さな角度で内方に屈曲形成されている。
具体的に説明すれば、この各渦巻き溝15は、それぞれの先端溝部15a以外の一般部位15bは渦(位相)の変化率が一定に形成されているが、先端溝部15aは、渦の変化率が前記内方へ屈曲した偏曲部15cから先端に向かって一般部位15bに比較して小さく形成されて渦ディスク13の接線方向に沿ってほぼ直線状に形成されており、この先端溝部15aの長さLが比較的長く設定されている。
前記渦ディスク13や各渦巻き溝15、各リンク部材8及び係合部11などによって減速機構が構成されて、前記渦巻き溝15は、その減速比、つまり、渦ディスク13の回転角θに対してカムシャフト1とタイミングスプロケット2との位相変換角θ1に対する減速比が一定に設定されているのに対して、前記先端溝部15aの区間では、減速比が6以上に大きく設定され、つまり少なくともθ:θ1=1:6の割合となるように設定されている。
そして、各係合ピン11が渦巻き溝15に係合した状態において、渦ディスク13がタイミングスプロケット2に対して遅れ方向(図5の白抜き矢印と反対方向)に相対回動(変位)すると、各リンク部材8の先端部8bは各径方向窓孔7、7に案内されつつ、渦巻き溝15の渦巻き形状に誘導されて半径方向内側(進角側)に移動し、逆に、渦ディスク13が進み方向に相対回動(変位)すると、半径方向外側に移動して、係合ピン11が前記渦巻き溝15の偏曲部15cに位置した状態で最遅角側に制御される。
さらに、前記係合ピン11が前記渦巻き溝15の先端溝部15a域に位置すると、機関の始動に適した僅かに進角側の位置となるように制御されるようになっている。
前記渦ディスク13は、後述する操作力付与機構によってカムシャフト1に対する相対的な回動操作力が入力されると、その操作力が各渦巻き溝15と各係合ピン11の先端部11aを通してリンク部材8の先端部8bを各径方向窓孔7内で径方向に変位させ、このときリンク部材8の作用でもってタイミングスプロケット2と従動軸部材4に相対的な回動力を伝達する。
前記操作力付与機構は、図1に示すように、渦ディスク13を、前記スリーブ6を介してタイミングスプロケット2の回転方向に付勢する付勢手段であるトーションスプリング16と、渦ディスク13をタイミングスプロケット2の回転方向と逆方向に制動付勢する電磁ブレーキであるヒステリシスブレーキ17と、該ヒステリシスブレーキ17の制動力を機関運転状態に応じて制御するコントローラ24とを備え、機関の運転状態に応じてヒステリシスブレーキ17の制動力を適宜制御することにより、渦ディスク13をタイミングスプロケット2に対して相対回動させ、あるいは両者の回動位置を維持するようになっている。
前記トーションスプリング16は、図1に示すように、前記スリーブ6の外周側に配置され、その一端部16aがスリーブ6の先端部に形成された係止孔に径方向から挿通係止されている一方、他端部16bが前記筒状部13aの内部軸方向に形成された係止孔に挿通係止されて、機関停止後に前記渦ディスク13を始動回転位相方向へ回転付勢するようになっている。
一方、前記ヒステリシスブレーキ17は、渦ディスク13の外周側前端部に固定状態に取り付けられたヒステリシスリング18と、該ヒステリシスリング18の前端部に配置された円環状のコイルヨーク19と、該コイルヨーク19の内部に収容配置されて、該コイルヨーク19に磁気を誘導する第1磁界発生部である電磁コイル20とを備え、この電磁コイル20が機関の運転状態に応じて前記コントローラ24によって通電制御されることによって比較的大きな磁束が発生するようになっている。
前記ヒステリシスリング18は、前記外部の磁界の変化に対して位相遅れをもって磁束が変化する特性をもつヒステリシス材(半硬質材)によって形成され、図4に示すように、先端部18aの部分がコイルヨーク19の後述する対向する内外周面の各極歯21,22間の隙間内に非接触状態で配置されて、該コイルヨーク19によって制動作用を受けるようになっている。
前記コイルヨーク19は、電磁コイル20を取り囲むように全体がほぼ円筒形状に形成され、内周側でボールベアリング23を介して前記筒状部13aに回転自在に支持されていると共に、ガタ吸収機構30を介してエンジンカバー31に固定されている。
そして、前記コイルヨーク19は、図2〜図4にも示すように、後面側(渦ディスク13側)の空間部の内周側に環状ヨーク部19aを有し、前記空間部の内周面と該内周面に対向する環状ヨーク部19aの外周面に凸状の極歯21、22がそれぞれ円周方向へ等間隔で複数設けられている。
前記対向する各極歯21,22は、磁界発生部であって、一方の極歯21と他方の極歯22は円周方向に交互に配置され、対向する前記内外周面相互の近接する極歯21,22がすべて円周方向にずれている。したがって、両対向面の近接する極歯21,22間には、電磁コイル20への通電(励磁)によって円周方向に傾きをもった向きの磁界が発生する。そして、極歯21,22間の隙間には、前記ヒステリシスリング18の先端部18aが非接触状態で介装されており、該先端部18aの内外周面と前記極歯21、22との間のエアギャップは、大きな磁力を確保するために微小隙間に設定されている。
このヒステリシスブレーキ17は、ヒステリシスリング18が対向面21,22間の磁界内を変位するときに、ヒステリシスリング18の内部の磁束の向きと磁界の向きのずれによって制動力を発生するものであるが、その制動力は、ヒステリシスリング18の回転速度(前記対向内外周面とヒステリシスリング18の相対速度)に関係なく、磁界の強さ、すなわち、電磁コイル20の励磁電流の大きさに略比例した一定の値となる。
そして、本実施の形態における前記電磁コイル20への励磁による磁界H1の方向は、図11に示すように、図面上では上側と下側では反対方向になっており、上側では図中反時計方向となるように設定されている。なお、この磁界H1の方向は、前記電磁コイル20の巻き線方向や通電方向によって自由に設定できることは周知の通りである。
前記位相変更機構3は、前記タイミングスプロケット2の径方向窓孔9、リンク部材8、係合ピン11、レバー突起、渦ディスク13、渦巻き溝15及び後述する操作力付与機構等によって構成されている。
そして、前記タイミングスプロケット2の前記ギア歯車2aと反対側の外周面には、図1及び図5〜図7に示すように、4つの第1ターゲット突起25が円周方向の等間隔(90°)位置に一体に設けられている。この各第1ターゲット突起25は、タイミングスプロケット2の回転角度(クランクシャフトの回転角度)を後述するセンサ部であるカム角センサ27によってピックアップして検出する、つまり基準パルス信号を得るためのものである。
一方、前記渦ディスク13の外周面には、前記各第1ターゲット突起25にカムシャフト1の軸方向で近接配置された4つの第2ターゲット突起26が円周方向の等間隔(90°)位置に一体に設けられている。この各第2ターゲット突起26は、渦ディスク13の回転角度をカム角センサ27によってピックアップして検出してパルス信号として取り出すためのものである。また、この各第2ターゲット突起26は、機関停止状態におけるイニシャル位置において、前記第1ターゲット突起25の位置からタイミングスプロケット2の回転方向(エンジン回転方向)と反対方向へ20°の回転角度(deg)の位置に設けられている。これは、後述するイニシャル位置から偏曲部15cまでの間での前記両者25,26のパルス信号の重なりを防止するためである。
前記各ターゲット突起25,26を周方向へそれぞれ4つ設けたのは、リアルタイムに検出できると共に、前記偏曲部15cではパルスの重なりと追い越しのないようにするためである。
さらに、前記第1ターゲット突起25の円周方向の幅長さWは、第2ターゲット突起26の円周方向の幅長さW1よりも大きく設定されて、これによって、カム角センサ27がそれぞれのターゲットを識別するようになっている。
前記カム角センサ27は、機関回転数を検出する通常のクランク角センサとしても用いられ、その配設位置は前記ターゲット突起25,26の配置関係から前記電磁コイル20の近傍になっている。また、このカム角センサ27は、図12に示すように、第2磁界発生部である永久磁石28を内蔵したホール素子式のセンサとして構成されていると共に、先端部側に2つのホール素子29(E1)、30(E2)が設けられている。2つのホール素子29、30は、前記タイミングスプロケット2及び渦ディスク13の回転方向へ所定間隔をもって配置されていると共に、両ターゲット突起25,26各先端縁に近接配置されて、これらの突起25,26を検出してそれぞれのパルス電圧をコントローラ24に出力するようになっている。
そして、前記カム角センサ27は、永久磁石28から流出する磁界H2の方向が図11に示すように、前記電磁コイル20の磁界方向H1と同方向、つまり、その磁極が前記電磁コイル20の磁極と同極となるように設定されている。
なお、前記各ターゲット突起25,26とカム角センサ27によって検出機構が構成されている。
前記コントローラ24は、機関の回転数を検出する前記カム角センサ27からのクランク角や、前記カムシャフト1の回転角度を検出するカム角センサ27、機関の吸入空気量から負荷を検出するエアーフローメーター、スロットルバルブ開度及び機関水温センサなどの各種のセンサ類からの検出信号に基づいて現在の機関運転状態を検出して、機関運転状態に応じて電磁コイル20に制御電流を出力している。
このコントローラ24は、前記カム角センサ27から入力したパルス信号に基づいて、タイミングスプロケット2の回転角度と渦ディスク13の回転角度から両者2,13の回転位相差を検出するようになっている。
以下、まず、この実施形態の電磁ブレーキによる作用について説明する。イグニッションキーをオフにした機関停止時には、ヒステリシスブレーキ17の電磁コイル20の励磁をオフにしておくことにより、トーションスプリング16のばね力によって渦ディスク13をタイミングスプロケット2に対して機関回転方向へ最大に回転させておく。これにより、係合ピン11は、図7及び図8に示すように、球状先端部が渦巻き溝15の先端溝部15aの先端側に位置して、クランクシャフトとカムシャフト1の相対回転位相(機関弁の開閉タイミング)は始動に最適な僅かに進角側寄りの位置に保持されている。この時点では、前記第2ターゲット突起26は、第1ターゲット突起25に対してタイミングスプロケット2の回転方向と反対方向の20°の回転位置になっている。
そして、機関始動のためにイグニッションキーを操作して電源をオンにすると、クランキング時には、交番トルクなどの外乱が発生して前記渦ディスク13が不用意に回転してしまうおそれがあるが、前記係合ピン11が渦巻き溝15の先端溝部15aの先端15d内に安定に保持されてクランクシャフトとカムシャフト1はその相対回転位相が始動に最適な位置になっているので、機関の始動性が良好になる。
具体的に説明すれば、この機関始動時には、カムシャフト1には外乱の一つである正負の交番トルクが発生しており、この交番トルクが渦ディスク13に伝達されてヒステリシスリング18がトーションスプリング16のばね力に抗して不用意に回転してしまうおそれがある。
しかしながら、この実施形態では、前述のように、渦巻き溝15の先端溝部15aの領域が内方に屈曲されて、減速比が6以上に大きく設定されていることから、係合ピン11の先端溝部15a(先端15d)内での作動抵抗が大きくなって渦ディスク13を保持することが可能になり、前記交番トルクなどによる不用意な回転を確実に規制することができる。
したがって、機関始動時の回転位相が安定に保持され、この結果、良好な始動性を確保することができる。
その後、機関がアイドル運転などの低回転域に移行すると、前記コントローラ24から電磁コイル20に出力された制御電流によって、ヒステリシスブレーキ17に磁力が発生して、トーションスプリング16の力に抗する制動力が渦ディスク13に付与される。このとき、前記電磁コイル20には、通常よりも比較的大きな電流が供給されるようになっており、これによって、前記係合ピン11が渦巻き溝15の先端溝部15aから速やかに脱出して偏曲部15c側に速やかに移動できるようになっている。
これにより、渦ディスク13が、タイミングスプロケット2の回転方向に対して僅かに逆方向に回転し、それによってリンク部材8の先端の係合ピン11が各渦巻き溝15に誘導されてリンク部材8の先端部8bが径方向窓孔9に沿って外側に揺動し、図9に示すように、リンク部材8の作用によってタイミングスプロケット2と従動軸部材4の回転位相角が最遅角側に変更される。
この結果、クランクシャフトとカムシャフト1の相対回転位相が低回転に適した最遅角側に変更される。これによって、アイドル運転時の機関回転の安定化と燃費の向上が図れる。
そして、この状態から機関の運転が通常運転に移行して、例えば高回転時になると、前記回転位相を最進角側に変更すべき指令が前記コントローラ24から発せられ、電磁コイル20にさらに大きな電流が供給されて、トーションスプリング16の力に抗する大きな制動力が渦ディスク13に付与される。
これにより、渦ディスク13がタイミングスプロケット2に対してさらに逆方向に回転し、それによってリンク部材8の先端の係合ピン11が各渦巻き溝15に誘導されてリンク部材8の先端部8bが径方向窓孔9に沿ってさらに内側に揺動し、図10に示すように、リンク部材8の作用によってタイミングスプロケット2と従動軸部材4の相対回転角が最進角側に変更される。
この結果、クランクシャフトとカムシャフト1との回転位相が最進角側に変更され、それによって機関の高出力化が図られることとなる。
そして、前記渦巻き溝15の中間位置で最遅角側に制御される場合における渦ディスク13の回転角θの特性、つまり、前記渦巻き溝15の先端溝部15aから屈曲部15dと偏曲部15cを経て一般部位15bまでの制御マージンは、図13に示すような特性になる。
この図13では、前述した機関始動時から高回転までの渦ディスク13の回転角θに対する渦ディスク13の回転角θに対する渦巻き溝15のピッチRとの関係は実線X(折れ線)に示され、タイミングスプロケット2(クランクシャフト)との関係は実線Y(折れ線)で示している。
すなわち、まず、渦ディスク13の回転角θに対する渦巻き溝15のピッチRの相対回転角をみると、実線Xに示すように、機関始動初期のa点(先端溝部15aの先端15d)からアイドル運転時の最遅角位置となるb点までのA領域は立ち上がり特性になるが、このアイドル運転時の最遅角位置b点からさらに通常運転時及び機関高回転時に移行して最進角位置となるc点までのB領域ではなだらかな連続的な立ち下がり特性となる。したがって、かかる渦巻き溝15の特性からして、対応する渦ディスク13の回転角θとタイミングスプロケット2の相対回転角をみると、実線Yに示すように、機関始動初期のa’点からアイドル運転時の最遅角b’点までのA領域は立ち下がり特性になるが、この最遅角b’点からさらに通常運転時から機関高回転時における最進角c’までのB領域ではなだらかな連続的な立ち上がり特性となる。
したがって、この実施形態によれば、渦巻き溝15の先端溝部15aの特異な形状、つまり回転位相の変化率を小さくする(減速比大)ことによって機関が容易に始動できる進角領域が広くなったことから、この領域における係合ピン11との作動抵抗が大きくなる。
つまり、交番トルクが渦ディスク13に作用して偏曲部15c側へ回転させようとすると、係合ピン11が先端溝部15aの先端15d内において径方向の外側直角方向(図8中矢印方向)へ移動しようとして、該先端15dの外周縁に突き当たって移動が確実に規制される。このため、前記交番トルクなどの相対回転方向に前記各種の外乱が発生しても渦ディスク13が不用意に相対回転変更することがなくなる。つまり、渦ディスク13に対する始動回転位相位置での保持力が向上することから、機関の常時安定かつ良好な始動性が得られる。
しかも、機関始動後には、電磁コイル20への通電量を大きくしてブレーキ力を高め、渦ディスク13を速やかに回転させるため、バルブタイミングの最遅角側への制御、さらに最進角側への制御応答性の低下を防止できる。
なお、図13中の破線P、Qで示す特性は、本実施形態のような、渦巻き溝15の先端溝部15a側を屈曲形成せずに、渦巻き溝15全体が一定の曲率で形成された場合の渦ディスク回転角θと渦巻き溝ピッチRとの関係(P)と渦ディスク回転角θとカムシャフト1との回転位相差(Q)を示すものである。
そして、前記A領域とB領域との間の中間点の位相角は、前記カム角センサ27及びコントローラ24によって正確に検出することができる。
すなわち、前記カム角センサ27から出力されるパルス信号は、図14A〜Cに示すようになっており、前記機関始動初期のイニシャル位置では、図14Aに示すように、第1ターゲット突起25のパルス信号Sと第2ターゲット突起26のパルス信号Dは20°の等間隔位置で発信されている。
次に、前記機関始動からアイドリング運転に移行すると、前述した電磁コイル20への通電による渦ディスク13にブレーキ力が作用して、前記中間位置b、b’点になると、第1ターゲット突起25と第2ターゲット突起26とが所定の角度だけ離間し、第1ターゲット突起25の位置1、2、3、4から第2ターゲット突起26が20°の離間位置からさらに50.5°の位置1’、2’、3’、4’にそれぞれ離間し、つまり全体で70.5°角度位置に離間する。
さらに、機関が通常運転から高回転に移行した場合には、渦ディスク13へのブレーキ力の作用が継続されて最進角位置c、c’点になると、第1ターゲット突起25と第2ターゲット突起26がさらに離間して、両者25,26の全体で約251°の角度位置に離間する。
したがって、この相対角度変化をコントローラ24に出力することによって後述する検出方法によってカムシャフト1とタイミングスプロケット2の進角−最遅角−最進角の相対回転角度を検出することができる。
以下、図15のフローチャート図によって、前記各ターゲット突起25,26を介してカム角センサ27から出力されたパルス信号に基づいて前記コントローラ24による相対角度検出方法を説明する。
まず、ステップ1では、前記カム角センサ27から第1ターゲット突起25に基づいて得られたタイミングスプロケット2(クランクシャフト)の回転数から機関回転数N(rpm)を読み込む。
ステップ2では、カム角センサ27から出力された第1,第2ターゲット突起25,26のパルス幅を比較して、幅長さの大きい方を前記S信号(基準パルス信号)、小さい方をD信号とそれぞれ認識する。
ステップ3では、前記S信号とD信号の立ち上がり時間差Δtを検出し、ステップ4において、前記Δtから位相差θ1を以下の式によって求める。
θ=Δt/(N/60)×360×2(°CA)
ステップ5では、前記初期設定値の位相角20°(クランク角40°)から前述した変化量を算出することによって、タイミングスプロケット2とカムシャフト1との回転位相の変換角を、θ=θ1−20°の式から求める。
このように、本実施形態では、前記第1ターゲット突起25と第2ターゲット突起26との相対的な回転位置によって、渦ディスク13の回転角θ、つまりタイミングスプロケット2とカムシャフト1との相対回転変換角θを検出することができる。
次に、前記A領域とB領域の判定方法及び制御切り換え方法を、図15に基づいて説明する。
ステップ11では、現在の前記渦ディスク13の回転角θを検出し、ステップ12では、前記現在の回転角θがθtよりも大きい(等しい)か否かを判別する。ここで、θtは、渦巻き溝15の偏曲部15cである図10のb、b’点の位相角であって、本実施形態ではカム角で50.5°に設定してある。
このステップ12において、回転角(変換角)θが、例えばb,b’点の位相角θtと等しいと判別した場合は、前記中間位置(最遅角位置)になっていると判断できる。また、回転角θが位相角θtよりも大きいと判別した場合は、b,b’点の位置よりもc点側(進角側)に位置していると判断できる。
前記θが位相角θtと等しい、あるいは大きいと判断した後は、ステップ13に進む。このステップ13では、現在の機関運転状態に応じて遅角側に制御するか進角側に制御するかを判断する。
ここで、θを例えば遅角側に移行させたい場合には、ステップ14に移行する。このステップ14では、電磁コイル20への通電量を減少させる処理を行い、これによって、前記トーションスプリング16のばね力によって渦ディスク13を遅角側(b点方向)へ回転させる。
また、ステップ13においてθを進角側に移行させたい場合には、ステップ15に移行する。このステップ15では、電磁コイル20への通電量を増加する処理を行う。これによって、渦ディスク13にブレーキ力が作用して進角側に回転する。
一方、前記ステップ12において中間位置(最遅角位置)になっているか、あるいはこの中間位置よりも小さいと判別した場合は、ステップ16に移行し、ここで、現在の機関運転状態に応じて遅角側に制御するか進角側に制御するかを判断する。
つまり、渦ディスク13が、前記中間位置(最遅角位置)になっているかあるいはa点側に位置しているので、例えばa点側から中間位置側に移行させたい場合はステップ17に移行する。
このステップ17において電磁コイル20への通電量を増加させる処理を行う。これによって、渦ディスク13にブレーキ力が作用して最遅角側(中間位置)へ回転し、また、さらにかかる最遅角位置を超えて進角側に回転する。
また、前記ステップ16において、中間位置になっているので、ここからa点側へ移行させたい場合には、ステップ18に移行し、ここでは電磁コイル20への通電両を減少させる処理を行う。これによって、トーションスプリング16のばね力によって渦ディスク13を進角側(a点方向)へ回転させる。
以上のように、本実施形態によれば、カムシャフト1の回転位相角度ではなく、渦ディスク13の回転位相角度を直接的に検出し、この検出パルスD信号と基準パルスS信号とによって、タイミングスプロケット2とカムシャフト1との位相角度差を検出するため、該検出される検出値の範囲を拡大することが可能になる。この結果、全体の回転角度の中間回転角度(最遅角)の検出も可能になり、位相角の検出精度を向上させることが可能になる。
したがって、この検出結果によって電磁コイル20へ通電して遅角側あるいは進角側に制御するのか、あるいは電磁コイル20への通電量を減少させて遅角側に制御するのか進角側に制御するのかを判断することが可能になる。
なお、前記中間位置(最遅角側の位置)から渦ディスク13にブレーキ力を作用させて進角側に回転すると、図14Cに示すように、前記第1ターゲット突起25に対して第2ターゲット突起26が追い越してしまい、両者25,26の相対位置では、位相差を検出することができなくなるので、この場合は、前記第1ターゲット突起25を基準として前記カム角センサによるカム角信号と比較してタイミングスプロケット2とカムシャフト1との相対回転位相差を検出する。
次に、前記カム角センサ27に内蔵された信号処理回路によって前記各ホール素子29、30が各ターゲット突起25,26をピックアップした信号の処理を図16〜図18に基づいて説明する。
すなわち、このカム角センサ27は、前記2つのホール素子29、30の出力の差値(BE1−BE2)を算出し、つまり、ターゲットの回転方向に対して両ホール素子29、30間に僅かな間隙があることから、両方のホール素子29、30の各出力E1、E2には、位相差が発生していることから、その差の信号を所定のしきい値(BH、BL)によってHigh(Hi)−Low(Lo)信号に変換してコントローラ24に出力するようになっている。前記BE1、BE2は各ホール素子29、30の出力値、BHは、出力信号をHi出力に切り換えるしきい値、BLは、出力信号をLo出力に切り換えるしきい値である。
そして、本実施の形態では、前述のように、位相変更機構3の電磁コイル20の励磁による磁界H1の方向とカム角センサ27の永久磁石28の磁界H2の方向が同極になるように設定されていることから、その信号波形からHi−Loの信号が正常に出力されるが、前記各磁界H1、H2の方向が異極になるように設定されている場合は、Hi−Loの信号が正常に出力されないおそれがある。
つまり、両者20,27の磁界H1、H2の方向が同極あるいは異極のいずれの場合であっても、電磁コイル20への無通電時には、かかる電磁コイル20の磁界がカム角センサ27の永久磁石28の磁界に影響を与えないことから、図16Aに示すように、カム角センサ27の永久磁石28の磁界が弱められることなく、通常の磁界が得られるため、各ホール素子29、30の出力BE1とBE2の全体的レベルと振幅が通常の大きさになる。このため、図16Bに示すように、前各ホール素子29、30の波形振幅が通常の大きさになって、高低のしきい値BH、BLを越える状態になる。これによって、図16Cに示すように、Hi−Lo信号が出力できる。
これに対して、両者20,27の磁界H1、H2の方向が異極になっている場合は、電磁コイル20に通電されると、図17Aに示すように、カム角センサ27の永久磁石28の磁界が弱められ、結果的に磁束密度検出部である各ホール素子29、30の出力BE1とBE2の全体的レベルと振幅が下がってしまう。このため、図17Bに示すように、前各ホール素子29、30の波形振幅が下がって、高低のしきい値BH、BLを越えなくなってしまい、これによって、図17Cに示すように、Hi−Lo信号が出力できなくなる。
一方、本実施の形態のように、両者20,27の磁界H1、H2の方向を同極方向に設定した場合には、電磁コイル20に通電されると、図18Aに示すように、カム角センサ27の永久磁石28の磁界が逆に強められて、各ホール素子29、30の出力BE1とBE2の全体的レベルと振幅が前記通常よりも大きくなる。
したがって、図18Bに示すように、前各ホール素子29、30の波形振幅が大きくなる傾向を示し、高低のしきい値BH、BLを十分に越える状態になる。これによって、図18Cに示すように、Hi−Lo信号を十分に出力できる。
したがって、前記タイミングスプロケット2(クランクシャフト)とカムシャフト1との回転位相角度の検出精度の低下を防止することが可能になる。
しかも、この実施の形態では、2つのホール素子29、30を用いたため、例えば温度変化によって一方のホール素子がドリフトされても、他方のホール素子によって正しい出力値が確保できるため、前記しきい値を一定にすることが可能になる。したがって、一定にしたしきい値によって常時安定した検出精度を得ることができる。
また、本実施形態では、位相変更機構3としてヒステリシスブレーキ17を用いていることから、電磁コイル20への通電量によって渦ディスク13に対して非常に高いブレーキ力を得ることができる。このため、前述のように、機関始動後から通常制御を開始する際に通電量を多くすることにより、始動後から通常制御開始時の位相変更の応答性の悪化を簡単かつ効果的に防止することができる。
さらに、前記渦巻き溝13の変化率が小さくなっている先端溝部15a以外は、所望の形状によって形成することができるため、機関始動後の制御に影響が与えられることがなく、所望の制御を確保できる。
なお、このバルブタイミング制御装置によるクランクシャフトとカムシャフト1の相対回転位相は、前記最遅角や最進角の位相ばかりでなく、機関運転状態に応じて電磁コイル20への通電量を変化によるヒステリシスブレーキ17の制動力の制御によって任意の回転位相に変更し、例えば、トーションスプリング16のばね力とヒステリシスブレーキ17の制動力とのバランスによってその位相をカム角約50.5°のほぼ中間位置に保持することもできる。
本発明は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、前記位相変更機構として、前記渦ディスク13が一方向の回転力を所定のギア比で出力する複数のギアから構成された、いわゆるハーモニックドライブ機構によって構成したものであってもよく、この場合、ハーモニックドライブ機構の作動出力側に、センサによってパルス信号を発生させる少なくとも一つのターゲット突起を有する構成としてもよい。
また、前記駆動回転体に駆動力を伝達するものは、スプロケット以外にゴム製のタイミングベルトによって駆動されるタイミングプーリや、ギアとギアの噛み合いによって駆動されるものなどであってもよい。
さらに、位相変更機構を電磁ブレーキに代えてヘリカルギア形式のものなどに適用することも可能である。
また、位相変更機構の渦ディスクを一方向へ回転付勢する付勢手段としては前記トーションスプリングに限らず、カムシャフトからの交番トルクの正負のトルク差を動力源として始動回転位相に戻るように渦巻き溝の収束率を設定してもよい。
前記径方向ガイドは、前記係合部をガイドできればよく、前記径方向ガイド孔の他にガイド溝やガイド突起であってもよい。
渦巻き状ガイドは、有底溝に限らず、中間回転体を貫通する孔状のものや突起状のものであってもよい。
また、前記可動部材の形状はどのような形をしていてもよく、例えばリンク先端部の摺動面にローラやボールを設けたものであってもよい。
さらに、前記電磁コイル20とカム角センサ27の磁界について、前記実施の形態では、前記電磁コイル20側の磁界をカム角センサ27の磁界方向に合わせて同極方向となるように設定したが、場合によっては、カム角センサ27の永久磁石28の配置を変更して、電磁コイル20側の磁界と同極方向とすることも可能である。
前記実施形態から把握される前記請求項に記載した発明以外の技術的思想について以下に説明する。
(イ)機関のクランクシャフトによって同期して回転駆動される駆動回転体と、機関弁を開閉作動させるカムを有するカムシャフトに結合された従動回転体と、前記駆動回転体と従動回転体との相対回転位相角度を、電磁力によって変更する位相変更機構と、前記駆動回転体と従動回転体との相対回転位相角度を電磁力によって検出するカム角センサと、該カム角センサから出力された検出信号に基づいて前記位相変更機構により前記両回転体の位相角度差を制御するコントローラと、を備え、前記カム角センサは、前記位相変更機構への通電によって発生する磁界と同極方向の磁界を発生する磁界発生部を有することを特徴としている。
(ロ)機関のクランクシャフトによって同期して回転駆動される駆動回転体と、機関弁を開閉作動させるカムを有するカムシャフトに結合された従動回転体と、前記駆動回転体と従動回転体との相対回転位相角度を、電磁力によって変更する位相変更機構と、前記駆動回転体と従動回転体との相対回転位相角度を電磁力によって検出するカム角センサと、該センサ部から出力された検出信号に基づいて前記位相変更機構により前記両回転体の位相角度差を制御するコントローラと、を備え、前記カム角センサは、磁界発生部を、前記位相変更機構への通電によって発生する磁界と同極方向の磁界を発生する位置に配置したことを特徴としている。
本発明に係る位相角検出装置が適用された内燃機関のバルブタイミング制御装置の実施形態を示す縦断面図である。 本実施形態のバルブタイミング制御装置を分解して一方向からみた斜視図である。 本実施形態のバルブタイミング制御装置を分解して他方向からみた斜視図である。 図1のA−A線断面図である。 本実施形態の位相変更機構とカム角センサの斜視図である。 本実施形態の第1、第2ターゲット突起を示す図5のB矢視図である。 本実施形態における第1、第2ターゲット突起と渦巻き溝の状態を示す概略図である。 本実施形態の始動時における回転位相制御時の作動状態を示す図1のC−C線断面図である。 本実施形態の最遅角位相制御時の作動状態を示す図1のC−C線断面図である。 本実施形態の最進角位相制御時の作動状態を示す図1のC−C線断面図である。 本実施形態における電磁コイルとカム角センサの磁界方向を示す概略図である。 本実施形態における第1,第2ターゲット突起とカム角センサとの配置関係を示す概略図である。 本実施形態における渦ディスクの回転角と相対回転位相の変換角などの関係における制御マージンを示す特性図である。 Aは機関始動時における第1、第2ターゲット突起のパルス信号を示し、Bは最遅角制御時におけるパルス信号を示し、Cは最進角制御時におけるパルス信号を示している。 本実施形態のコントローラによる位相検出方法を示すフローチャート図である。 本実施形態における電磁コイルへの無通電時におけるカム角センサからの出力信号波形を示し、Aは両ホール素子の出力信号波形、Bは両ホール素子の出力値を減算した出力信号波形図、Cは前記Bの出力信号波形のしきい値からピックアップしたパルス波形である。 電磁コイルとカム角センサとの磁界が互いに異極方向となっている場合の、電磁コイルへ通電時した際のカム角センサからの出力信号波形を示し、Aは両ホール素子の出力信号波形、Bは両ホール素子の出力値を減算した出力信号波形図、Cは前記Bの出力信号波形のしきい値からピックアップしたパルス波形である。 本実施形態において両磁界が互いに同極方向に設定した場合の、電磁コイルへ通電時した際のカム角センサからの出力信号波形を示し、Aは両ホール素子の出力信号波形、Bは両ホール素子の出力値を減算した出力信号波形図、Cは前記Bの出力信号波形のしきい値からピックアップしたパルス波形である。
符号の説明
1…カムシャフト
2…タイミングスプロケット(駆動回転体)
3…位相変更機構
4…従動軸部材(従動回転体)
13…渦ディスク
17…ヒステリシスブレーキ
20…電磁コイル(第1磁界発生部)
24…コントローラ
25…第1ターゲット突起
26…第2ターゲット突起
27…カム角センサ
28…永久磁石(第2磁界発生部)
29、30…ホール素子

Claims (4)

  1. 機関のクランクシャフトによって同期して回転駆動される駆動回転体と、
    機関弁を開閉作動させるカムを有するカムシャフトに結合された従動回転体と、
    前記駆動回転体と従動回転体との相対回転位相角度を、電磁力によって変更する位相変更機構と、
    前記駆動回転体と従動回転体との相対回転位相角度を電磁力によって検出するセンサ部と、
    該センサ部から出力された検出信号に基づいて前記位相変更機構により前記両回転体の位相角度差を制御するコントローラと、を備え、
    前記位相変更機構は、通電によって磁界を発生する第1磁界発生部を有すると共に、前記センサ部は、前記両回転体の相対回転位相角度を検出するために磁界を発生する第2磁界発生部を有し、
    前記第1、第2磁界発生部から発生するそれぞれの磁界を同極方向になるように設定したことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  2. 前記第1磁界発生部から発生される磁界を、前記第2磁界発生部から発生される磁界と同極方向となるように設定したことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  3. 機関のクランクシャフトによって同期して回転駆動される駆動回転体と、
    機関弁を開閉作動させるカムを有するカムシャフトに結合された従動回転体と、
    前記駆動回転体と従動回転体との相対回転位相角度を、電磁力によって変更する位相変更機構と、
    前記駆動回転体と従動回転体との相対回転位相角度を電磁力によって検出するセンサ部と、
    該センサ部から出力された検出信号に基づいて前記位相変更機構により前記両回転体の位相角度差を制御するコントローラと、を備え、
    前記位相変更機構は、通電によって磁界を発生する第1磁界発生部を有すると共に、前記センサ部は、前記両回転体の相対回転位相角度を検出するために磁界を発生する第2磁界発生部を有し、
    前記第1磁界発生部から発生する磁界の方向を、前記第2磁界発生部から発生された磁界が増強する方向となるように設定したことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
  4. 前記センサ部は、内蔵磁石型のホールICによって構成され、該ホールICのホール素子を、ターゲットの回転方向の前後位置に2つ設け、該2つのホール素子から出力された出力値の差を算出し、この算出された差の信号を、所定のしきい値に基づいてパルス信号に変換するように構成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
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