JP2008133534A - 銅めっき液の組成制御装置および組成制御方法 - Google Patents

銅めっき液の組成制御装置および組成制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】補給槽内部で金属銅を偏りなくより均一に溶解することができるとともに、補給槽内部の高圧化を可能にすることで溶存酸素濃度を高めて、銅イオンの溶解効率をより向上することができる銅めっき液の組成制御装置および組成制御方法を提供する。
【解決手段】不溶性電極を用いた銅めっきに使用されるめっき液中に銅イオンを溶解、補給する銅めっき液の組成制御装置である。内部に少なくとも一個の銅片Aが充填された銅イオン補給槽1と、銅イオン補給槽1内にめっき液を供給する外部めっき液供給手段2と、供給されためっき液を、銅イオン補給槽1内で、銅片Aの上方より噴射または滴下する内部めっき液供給手段3と、銅イオン補給槽に酸素含有ガスを供給する加圧ガス供給手段4と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、銅めっき液の組成制御装置および組成制御方法(以下、単に「組成制御装置」および「組成制御方法」とも称する)に関し、詳しくは、不溶性電極を用いた銅めっきに使用されたピロリン酸銅めっき液中に銅イオンを溶解、補給するための銅めっき液の組成制御装置および組成制御方法に関する。
一般に、銅の電気めっきを行う際には、陽極として可溶性陽極を用いる場合と、不溶性陽極を用いる場合とがある。このうち不溶性陽極を用いて銅の電気めっきを行う場合には、金属銅を陽極として用いることで電解反応に伴い陽極金属銅から銅イオンが補給される可溶性陽極の場合とは異なり、めっき浴中への銅イオンの補給を、外部から別途行う必要がある。
このため、不溶性電極を用いる場合には、従来、めっきを行うためのめっき槽とは別に銅イオン補給槽(以下、単に「補給槽」とも称する)を設けて、両槽間でめっき液を循環させることにより、めっき槽中に銅イオンを連続的に補給する方法が用いられている(例えば、特許文献1に記載)。この場合、めっき液中への銅イオンの補給方法としては、銅イオン補給槽内のめっき液中に銅片等を浸漬して、補給槽内を酸素で加圧するとともに、補給槽の底面から酸素でバブリングを行うことによりめっき液を攪拌させて、銅片を溶解する方法が知られている。また、密閉溶解タンク(補給槽)内のめっき液中にブロワーで酸素を循環させる装置を使用したり、めっき液のpHを検出してブロワーの出力を制御し、撹拌強度を変化させる方法も公知である。
このように、補給槽中を酸素で加圧しつつバブリングやブロワーでめっき液中に酸素を導入する方法では、めっき液中の溶存酸素濃度は、補給槽の圧力に依存した濃度で飽和状態となると考えられる。
特許第2801670号公報(特許請求の範囲等)
しかしながら、上記従来の供給方法では、補給槽内の銅片が均一に溶解せず、偏りがあるために溶解効率が悪いという問題があった。また、ブロワーを用いる方法では、溶解能力の向上のために圧力を高めることは、ブロワーが高価になることから現実的ではない。さらに、保守整備を行う場合、ブロワーはメカニカルシールの定期的な交換が必要であり、メンテナンス費用も高額となることに加え、完全な密封が困難であり、高圧化できないことから酸素の代わりに空気を利用することが困難であるなど、種々の難点を有するものであった。
また、銅片の溶解量を高めるためには、めっき液中の溶存酸素を銅表面により多く供給することが必要である。そのためには、(1)溶存酸素量を高めるとともに、(2)攪拌効果を高めることにより、銅表面のめっき液境界層の薄層化を図ることが課題となる。このうち、(1)溶存酸素量については、補給槽内の圧力に応じた飽和値(上限値)があるという問題がある。この補給槽としては圧力容器が好適であり、コスト面から第2種圧力容器規格で製作することが望ましいが、この場合、圧力上限1MPa未満という規格上限値があるため、これにより、溶存酸素量の上限値が定まることになる。
また、(2)攪拌効果については、従来の酸素曝気方式により攪拌効果の向上を図る場合、曝気量を上げすぎると、銅片にめっき液が接触する面積が減少してしまうため、曝気量の上限値がある。また、前述したように、曝気量を上げると、イニシャルコストやランニングコストが増大してしまうという問題もあった。さらに、酸素曝気は補給槽の下方から行うことが一般的であるが、この場合、補給槽の上部に行くにつれ、曝気攪拌に偏りが生ずるという難点もあった。
そこで本発明の目的は、上記問題を解消して、補給槽内部で金属銅を偏りなくより均一に溶解することができるとともに、補給槽内部を局所的に高圧化することで溶存酸素濃度を過飽和状態まで高めることを可能として、銅イオンの溶解効率をより向上することができる銅めっき液の組成制御装置および組成制御方法を提供することにある。
本発明者は鋭意検討した結果、銅片をめっき液中に単に浸漬するのではなく、めっき液を銅片の上方より噴射または滴下させることにより金属銅をめっき液中に溶解させる手法を用いることで、上記問題を解決することが可能となることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の銅めっき液の組成制御装置は、不溶性電極を用いた銅めっきに使用されるめっき液中に銅イオンを溶解、補給する銅めっき液の組成制御装置であって、
内部に少なくとも1個の銅片を収容する銅イオン補給槽と、該銅イオン補給槽内にめっき液を供給する外部めっき液供給手段と、供給された該めっき液を、該銅イオン補給槽内で、前記銅片の上方より噴射または滴下する内部めっき液供給手段と、該銅イオン補給槽に酸素含有ガスを供給する加圧ガス供給手段と、を備えることを特徴とするものである。
本発明の組成制御装置においては、前記内部めっき液供給手段として、ノズルを好適に用いることができる。また、本発明の組成制御装置は、前記めっき液のpH、比重、導電率および粘度のうちいずれか一つ以上を測定する測定手段を備えることが好ましく、この場合、前記測定手段により得られた測定値に応じて、前記外部めっき液供給手段によるめっき液の供給量、前記内部めっき液供給手段によるめっき液の噴射または滴下条件、前記銅イオン補給槽内の圧力、および、めっき液レベルのうちいずれか一つ以上を調整する調整手段を備えることがより好ましい。
また、本発明の銅めっき液の組成制御方法は、不溶性電極を用いた銅めっきに使用されためっき液中に、上記本発明の組成制御装置を用いて銅イオンを溶解、補給することを特徴とするものである。本発明の組成制御方法においては、前記外部めっき液供給手段により供給されためっき液を、前記内部めっき液供給手段から噴射して、前記銅片に衝突させることが好ましい。この場合、前記内部めっき液供給手段からのめっき液の噴射圧は、好適には、0.1MPa以上である。
本発明によれば、上記構成としたことにより、銅イオン補給槽内部で金属銅を偏りなくより均一に溶解することができるとともに、補給槽内部を局所的に高圧化することで溶存酸素濃度を過飽和状態まで高めることを可能として、銅イオンの溶解効率をより向上することができる銅めっき液の組成制御装置および組成制御方法を実現することが可能となった。また、本発明によれば、従来のバブリング方式と比較して、めっき液の保有量を少なくすることができるので、コスト削減にも寄与できる。さらに、本発明では高圧化が可能であるため、空気を用いた溶解にも対応可能であるというメリットがある。本発明によれば、溶解方法に合わせた銅イオン濃度の制御が可能となる。
さらにまた、めっき液を噴射により銅片に衝突させれば、めっき液は酸素を巻き込んで銅片に衝突するため、その衝突部分において、補給槽圧に応じた溶存酸素の飽和値より過飽和状態まで酸素を溶存させることが可能となる。
以下、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。
本発明の銅めっき液の組成制御装置は、不溶性電極を用いた銅めっきに使用されるピロりん酸銅めっき液中に、銅イオンを溶解、補給するために用いられる装置である。図1に、本発明の銅めっき液の組成制御装置の一構成例の模式図を示す。
図示するように、本発明の組成制御装置は、内部に少なくとも1個(図示例では複数)の銅片Aが充填された銅イオン補給槽1と、めっき液を銅イオン補給槽1内に供給する外部めっき液供給手段2と、供給されためっき液を、銅イオン補給槽1内で、銅片Aの上方より噴射または滴下させる内部めっき液供給手段3と、銅イオン補給槽1に酸素含有ガスを供給する加圧ガス供給手段4と、を備えている。
かかる構成としたことで、銅イオン補給槽1内で上方より噴射または滴下されためっき液が、補給槽1内を下方に移動するに伴い銅片Aが溶解して、銅イオンがめっき液中に補給されることになる。したがって、本発明においては、めっき液10を補給槽1に通過させることで銅イオンの補給を行うことができるため、補給槽1中にめっき液10を大量に溜めておく必要がなく、これにより補給槽1におけるめっき液10の保有量を低減することができる。
補給槽1内に充填する銅片Aは、小片または球形状とすることが好ましく、これにより、めっき液が補給槽内でより偏りなく均一に銅片に接触しつつ下方に移動し、すなわち補給槽内で均一に金属銅を溶解することになり、めっき液中への銅イオンの補給をより均一かつ良好に行うことが可能となる。
また、図示する例では複数の銅片Aを充填しているが、充填する銅片Aの個数は、銅イオン補給槽1の寸法および銅片Aの寸法によって適宜決定することができ、極小の設備を想定した場合、1個の銅片Aを用いても本発明の所期の効果は得られる。銅片Aの寸法についても、補給槽1の寸法および銅片Aの個数との関係で適宜決定することができ、特に制限されるものではない。なお、本発明においては、補給槽1自体については特に制限はなく、従来この用途に使用されている密閉タンクなどを適宜用いることができる。好適には、第2種圧力容器規格に従う圧力容器を用いる。
外部めっき液供給手段2には、めっき液を循環させることが可能な汎用のポンプを適用することができ、特に制限されない。例えば、空気を用いた金属銅の溶解に対しては、補給槽1内の圧力を高圧化する必要があり、密閉性の面で有利であるマグネットポンプを用いることが好ましい。
また、内部めっき液供給手段3としては、めっき液を噴射または滴下することが可能なものであれば特に制限されないが、好適には図示するように、補給槽1内の全体に均一にめっき液を噴射することが可能なノズルを用いる。かかるノズルを用いることで、外部めっき液供給手段2としてのポンプの圧力を高めてノズルからめっき液10を勢いよく噴出させ、銅片Aまたは補給槽1の内壁に酸素を巻き込んで衝突させることができ、これによりめっき液10中の溶存酸素濃度を高めて、従来の方法ではなし得なかった溶存酸素濃度の過飽和状態を作り出すことができる。溶存酸素濃度を高めることで、金属銅の溶解効率をより向上することができ、また、補給槽1内でめっき液10が過飽和状態から飽和状態へと変化する際の発泡によるめっき液の拡散および消泡による衝撃で銅片Aの表面におけるめっき液境界層を破壊して、この点からも溶解効率を向上させることができるものと考えられる。このめっき液の銅片への衝突の効果については、詳しく後述する。
さらに、本発明の組成制御装置は、図示するように、めっき液のpH、比重、導電率および粘度のうちいずれか一つ以上を測定する測定手段5を備えることが好ましい。この測定手段5により得られた測定値に応じて、外部めっき液供給手段2によるめっき液の供給量、内部めっき液供給手段3によるめっき液の噴射または滴下条件、補給槽1内の圧力、および、めっき液レベルのうちいずれか一つ以上を調整することで、溶解量を適切に変化させて、めっき液中の銅イオン濃度を所望に調整することができる。これらの調整は、具体的には例えば、ポンプの出力制御、ノズルの数や形状の制御、加圧ガス供給手段の制御等により行うことができる。なお、この測定手段5を設ける場所は、装置設計に応じて適宜決定することができ、図示する例には制限されない。
ここで、上記のうちめっき液レベルとは、補給槽1内におけるめっき液高さであり、最も高い状態では銅片Aが全て浸かる状態となり、最も低い状態では、補給槽1内にめっき液がない状態となる。めっき液レベルにより溶解量(溶解速度)は変化するが、本発明においては銅片Aがめっき液に完全に浸かった状態では十分な溶解能力が発揮されないため、めっき液レベルをある程度低くして溶解能力を高めることが必要である。また、実際上は、補給槽1内にある程度のめっき液がないと圧力を維持できないため、所定のめっき液レベルを維持した状態で運転することが好ましい。
なお、加圧ガス供給手段4は、図示するように、酸素含有ガスを充填したガスボンベ6と圧力調節器7とにより構成することができる。ガスボンベ6に代えて、液化酸素タンク等を用いてもよい。
本発明の組成制御装置は、上記銅イオン補給槽1、外部めっき液供給手段2、内部めっき液供給手段3および加圧ガス供給手段4を備えるものであればよく、これにより本発明の所期の効果が得られるものであり、それ以外の装置構成の詳細については、公知技術に従い適宜構成することが可能である。
また、本発明の銅めっき液の組成制御方法は、不溶性電極を用いた銅めっきに使用されためっき液中に、上記本発明の組成制御装置を用いて銅イオンを溶解、補給するものであれば、それ以外の具体的な実施条件については、所望のめっき液条件等に応じて適宜決定することができ、特に制限されるものではない。図2に、図1に示す組成制御装置を、銅イオンを消費するめっき槽20と接続した状態を示す。図示する例では、補給槽1とめっき槽20との間に、双方にめっき液を循環させるための中継槽30を設けており、この中継槽30内で測定手段5による測定を行って、外部めっき供給手段2、圧力調節器7またはバルブ8を制御している。なお、バルブ8は、めっき液レベルを調節するためのものである。また、図中の符号12はめっき槽20へのめっき液供給手段(ポンプ)を示し、符号21は被めっき材、符号22は不溶性陽極をそれぞれ示す。
図8に、本発明の他の構成例の組成制御装置をめっき層20と接続した設備の模式図を示す。図示する組成制御装置は、内部に少なくとも1個(図示例では複数)の銅片Aが充填された銅イオン補給槽41と、めっき液を銅イオン補給槽41内に供給する外部めっき液供給手段42と、供給されためっき液を、銅イオン補給槽41内で、銅片Aの上方より噴射または滴下させる内部めっき液供給手段43と、銅イオン補給槽41に酸素含有ガスを供給する加圧ガス供給手段44と、を備えている。
図示する実施形態においては、銅イオン補給槽41に、めっき槽20に対しめっき液を移送するためのめっき液流出部45の他に、外部めっき液供給手段42に対しめっき液を循環させるための、めっき液吸込み部46が設けられている。これは、図2における中継槽30を省略した実施形態である。この場合には、図示するように、めっき槽20において測定手段47によりめっき液の状態を測定して、得られた測定値に応じて、前述したように、めっき液の供給量等を調整する。なお、図中の符号48は、銅イオン補給槽41とめっき槽20との間でめっき液を循環させるためのポンプを示し、符号49は、めっき槽20から銅イオン補給槽41へのめっき液流入部を示す。
次に、図8に示す装置構成において、外部めっき液供給手段42としてめっき液噴射用の高圧ポンプを用い、内部めっき液供給手段43として噴射ノズルを用いて、内部めっき液供給手段43からめっき液を噴射して銅片Aに衝突させる場合につき説明する。
この場合、めっき液の循環は、めっき槽20(大気圧)から銅イオン補給槽41(圧力容器)に向かう方向については、めっき液循環ポンプ48により移送される。その一方、銅イオン補給槽41からめっき槽20に向かう方向については、銅イオン補給槽41が圧力容器であるため、その圧力で移送する。ここで、銅イオン補給槽41の圧力は、加圧ガス供給手段44(高圧容器)で高めている。
銅イオン補給槽41では、外部めっき液供給手段42により槽内のめっき液を循環させて、溶存酸素量を高めるとともに攪拌を行うことで、銅溶解を行う。この銅溶解量の制御は、めっき槽20における銅イオン消費量に対し、銅溶解量を追従させるように行う。その方法としては、前述したように、例えば、測定手段47で測定されるpH等を一定に保つよう、高圧ポンプ42および噴射ノズル43の回転数や、補給槽内の圧力等を制御することにより行えばよい。
ここで、さらに銅溶解効率を向上するために、高圧ポンプ42の吐出圧を噴射ノズル43で高め、高めためっき液の圧力エネルギーを噴射ノズル43より噴射させ運動エネルギーに変換する。噴射されためっき液は酸素を巻き込んで銅片Aに衝突するため、前述したように、めっき液中の溶存酸素が銅イオン補給槽41内の圧力に対して過飽和となる部分50ができる。これにより生じた過飽和のめっき液は、この過飽和部分50を外れた直後には外圧が溶解槽圧となるため、発泡、消泡しながら銅片Aの表面を流下して、銅イオン補給槽41の下部に貯留することになる。
銅イオン補給槽41の下部に貯留されためっき液は、めっき液流出部45およびめっき液吸込み部46から排出される。ここで、溶存酸素が過飽和状態のままめっき液が排出されると、めっき液吸込み部46では、高圧ポンプ42のインペラ表面にキャビテーションによるエロージョンが発生するおそれがある。また、めっき液流出部45においても、溶存酸素が高いめっき液を流出させると、めっき槽20内で溶存酸素が泡となって流れ出てしまい非効率であるため、溶存酸素を抜いた状態で、めっき槽20にめっき液を流し出すことが好ましい。そこで、これらめっき液の排出部で溶存酸素を飽和状態以下にするため、(1)めっき液レベル(高低差)の制御によるポンプ吸込み圧の調整、(2)めっき液ノズル噴射の圧力、流量調整によるめっき液過飽和度調整、(3)めっき液流入量によるめっき液過飽和度調整、(4)銅溶解で消費される溶存酸素を加味することを行って、低溶存酸素のめっき液が排出されるよう制御することが好ましい。
この実施形態においては、銅イオン補給槽内の圧力に加え、めっき液を噴射してめっき液と銅片とを衝突させることで、補給槽内の圧力にその衝突圧が加わった状態で酸素を溶存させることができる。すなわち、噴射されためっき液は酸素を巻き込んで銅片に衝突するため、その衝突箇所は補給槽内の圧力に対してさらに高圧となり、この衝突圧が加わった圧力で酸素を溶存させるため、補給槽内の圧力に応じた溶存酸素飽和値に対して過飽和状態まで酸素を溶存させることが可能となるのである。めっき液を滴下した場合や、噴射した場合でも勢いが弱く、いわば噴霧状態とした場合には、銅片との衝突圧が高くないため、溶存酸素量は補給槽内の圧力に応じた飽和蒸気圧までしか上がらず、過飽和状態にはならない。具体的には例えば、内部めっき液供給手段からのめっき液の噴射圧を、0.1MPa以上とすることが好ましい。
ここで、前述した第2種圧力容器規格は気体部分にのみ適用されるため、液体であるめっき液の充填部分(図中の符号46,42,43間の配管中)の圧力は1MPa以上にすることが可能である。つまり、めっき液の噴射圧は自由にコントロール可能であるので、理論上、溶存酸素の上限はなくなることになる。またこの場合、さらに補給槽を加圧することで、飽和圧を高めることができる。なお、本発明では、上述したように補給槽の下部に貯留されためっき液中の溶存酸素を発散、消費することで、高圧ポンプ等への過飽和めっき液の流入を防止できるので、過飽和めっき液によるポンプキャビテーション等の問題は生じない。
また、上記により生じた過飽和めっき液は、衝突時にはその衝突圧分だけ過飽和状態になっているが、衝突後には補給槽内の圧力に戻るため、これに伴い、酸素の発泡が生ずる。そのため、この過飽和めっき液の発泡膨張効果により、銅片全体にめっき液を拡散させることが可能となる。この場合、さらに溶存酸素の過飽和レベルを高めると、めっき液が流下中、常に膨張する液となるため、より偏りなくめっき液を流下させることが可能となる。
本発明においては、上記発泡効果により、小流量でも補給槽全体の銅片にめっき液が拡散して、必要な銅溶解量が得られるため、全体として、イニシャルコストおよびランニングコストとも削減することが可能となった。
また、この過飽和めっき液の発泡により生じた泡が自然に消失する際に生ずる超音波により、銅片表面のめっき液境界層が薄層化されるので、溶存酸素が効率よく銅片表面に供給されて、これにより溶解反応速度を向上することが可能となる。
図9に、本発明に係るめっき液中の溶存酸素の過飽和状態線図の一例を示す。銅イオン補給槽の圧力を0.5MPa(ゲージ圧)とし、めっき液噴射用のポンプの噴射圧を0.25MPa(ゲージ圧)とした場合である。これを、図8に示す構成の装置に対応して説明すると、以下のとおりである。
(A)→(B):めっき液を、高圧ポンプ42により加圧する。
(B)→(C):めっき液を、噴射ノズル43から噴射する。
(C)→(D):めっき液が銅片Aに衝突し、溶存酸素量が補給槽41内の圧力に対して過飽和になる。
(E)→(F):めっき液が銅片A内を発泡、消泡しながら流下する。発泡により溶存酸素濃度が低くなるとともに、銅の溶解によっても溶存酸素が消費される。
(F)→(H):めっき液が補給槽41の底部に貯留する。補給槽の底部に行くに従い、液レベル分だけ圧力は高くなる。ここでも、銅の溶解により溶存酸素が消費される。
(G):工程から溶存酸素量の低いめっき液が流入(めっき液流入部49)するため、さらに溶存酸素濃度が下がる。
(H)→(A):めっき液噴射用のポンプ42でめっき液を吸込むが、溶存酸素を下げているため、ポンプ内では過飽和にならない
以上より、本発明の好適実施形態によれば、以下のような効果が得られるものである。
1)溶存酸素量を、従来の溶存酸素上限値の壁を上回る値にすることが可能となり、銅溶解速度を高めることができる。
2)過飽和めっき液の消泡効果により、銅片表面のめっき液境界層の薄層化が可能となり、銅溶解速度を高めることができる。
3)過飽和めっき液の発泡効果により、銅片全体にめっき液を拡散することが可能となり、必要な銅溶解量を得るためのめっき液噴射量を低減することが可能となる。
4)上記効果によるランニングコスト削減や、補給槽の小型化、低圧化およびめっき液噴射ポンプの小型化によるイニシャルコスト削減が可能となる。
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
(実験例1)
図1に示す銅イオン補給槽1内に銅片Aを充填した状態で、銅片Aが全て浸かる程度の水を入れ、補給槽1の底部よりブロワーで空気を吹き込んだ。この際の補給槽1内での気泡の広がりを、図7(a)の写真図に示す。なお、補給槽1の底面には均一な間隔で孔をあけた板を取り付け、この孔を通じて空気が吹き込まれるようにした。図示するように、この場合、気泡は補給槽1内で偏りをもって広がっている。
また、同様に銅片Aを充填した補給槽1内に市販のノズル3を設けて、めっき液10を噴射した。この際の補給槽1内でのめっき液の噴射の広がりを、図7(b)の写真図に示す。なお、ノズル3としては、ノズル下方に向かって均一にめっき液が広がっていくタイプのものを用いた。図示するように、この場合、めっき液が銅片全体にまんべんなく噴射されていることがわかる。
これにより、めっき液を銅片上方から噴射させる手段によれば、バブリングの場合に比しより均一かつ偏りなく金属銅を溶解させることができることが確認できた。
(実験例2)
図1に示す、銅イオン補給槽1(容量200リットル、高さ1m)と、補給槽1内にめっき液を供給するマグネットポンプ2と、供給されためっき液を補給槽1内で銅片A全体に噴射するノズル3と、補給槽1に加圧酸素を供給するための酸素ガスボンベ6および圧力調節器7からなる加圧ガス供給手段4とを備える組成制御装置を用いて、銅めっき液の組成制御を行った。補給槽1内には、銅片A(直径約8mm、長さ18mmの円筒状)を約62,000個(約500kg)充填した。銅片Aの高さは60cmであり、充填部分における単位容積当りの銅片Aが占める割合(充填率)は約60%であった。
上記装置を用い、めっき液の流量を50リットル/minに固定して、補給槽1内の圧力を変化させた場合のめっき液中の溶存酸素濃度および溶解量を、それぞれ測定手段5として溶存酸素計およびpH計を用いて測定した。その結果を、図3,4にそれぞれ示す。
また、補給槽1内の圧力を0.5MPaに固定して、めっき液の流量を変化させた場合の溶解量の変化の測定結果を図5に、この場合のめっき液中の溶存酸素濃度と溶解量との関係を図6に、それぞれ示す。
以上より、補給槽1内の圧力を高めることによりめっき液中の溶存酸素濃度が上昇し、また金属銅の溶解量も増大すること、また、めっき液の流量を高めることにより溶解量が増大し、めっき液中の溶存酸素濃度と溶解量とが比例関係を有することが確かめられた。
本発明の銅めっき液の組成制御装置の一構成例を示す模式図である。 図1に示す組成制御装置をめっき槽と接続した状態を示す模式図である。 補給槽内の圧力と溶存酸素濃度との関係を示すグラフである。 補給槽内の圧力と金属銅の溶解量との関係を表すグラフである。 めっき液の流量と金属銅の溶解量との関係を示すグラフである。 めっき液中の溶存酸素濃度と金属銅の溶解量との関係を表すグラフである。 (a)はブロワーを用いた場合の気泡の偏り状態を、(b)はノズルによるめっき液の噴射状態を、夫々示す写真図である。 本発明の銅めっき液の組成制御装置の他の構成例をめっき槽と接続した状態を示す模式図である。 めっき液中の溶存酸素の過飽和状態線図の一例である。
符号の説明
1 銅イオン補給槽
2 外部めっき液供給手段
3 内部めっき液供給手段
4 加圧ガス供給手段
5 測定手段
6 酸素ガスボンベ
7 圧力調節器
8 バルブ
10 めっき液
12 めっき槽へのめっき液供給手段
20 めっき槽
21 被めっき材
22 不溶性陽極
30 中継槽
41 銅イオン補給槽
42 外部めっき液供給手段
43 内部めっき液供給手段
44 加圧ガス供給手段
45 めっき液流出部
46 めっき液吸込み部
47 測定手段
48 ポンプ
49 めっき液流入部
50 めっき液中の溶存酸素が過飽和となる部分
A 銅片

Claims (7)

  1. 不溶性電極を用いた銅めっきに使用されるめっき液中に銅イオンを溶解、補給する銅めっき液の組成制御装置であって、
    内部に少なくとも1個の銅片が充填された銅イオン補給槽と、該銅イオン補給槽内にめっき液を供給する外部めっき液供給手段と、供給された該めっき液を、該銅イオン補給槽内で、前記銅片の上方より噴射または滴下する内部めっき液供給手段と、該銅イオン補給槽に酸素含有ガスを供給する加圧ガス供給手段と、を備えることを特徴とする銅めっき液の組成制御装置。
  2. 前記内部めっき液供給手段がノズルである請求項1記載の銅めっき液の組成制御装置。
  3. 前記めっき液のpH、比重、導電率および粘度のうちいずれか一つ以上を測定する測定手段を備える請求項1または2記載の銅めっき液の組成制御装置。
  4. 前記測定手段により得られた測定値に応じて、前記外部めっき液供給手段によるめっき液の供給量、前記内部めっき液供給手段によるめっき液の噴射または滴下条件、前記銅イオン補給槽内の圧力、および、めっき液レベルのうちいずれか一つ以上を調整する調整手段を備える請求項3記載の銅めっき液の組成制御装置。
  5. 不溶性電極を用いた銅めっきに使用されためっき液中に、請求項1〜4のうちいずれか一項記載の組成制御装置を用いて銅イオンを溶解、補給することを特徴とする銅めっき液の組成制御方法。
  6. 前記外部めっき液供給手段により供給されためっき液を、前記内部めっき液供給手段から噴射して、前記銅片に衝突させる請求項5記載のめっき液の組成制御方法。
  7. 前記内部めっき液供給手段からのめっき液の噴射圧が、0.1MPa以上である請求項6記載のめっき液の組成制御方法。
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