JP2008132463A - バグフィルター用フェルト - Google Patents

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Abstract

【解決課題】ポリフェニレンサルファイド繊維を含むろ過面層と支持層と清浄面層からなるバグフィルター用フェルトにより、高捕集効率や低圧損で目詰まりもなく、さらには、異形繊維に起因する繊維自体やフェルト強力も改善して、長期安定して排ガスろ過が行える耐熱性バグフィルター用フェルトを提供する。
【解決手段】繊度が0.5〜5dtexであって、引張強度(cN/dtex)×引張伸度(%)1/2で表される値が、同じ繊度の丸断面短繊維の値の80%以上である異形断面ポリフェニレンサルファイド短繊維を少なくとも含むことを特徴とするフェルト。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリフェニレンサルファイド繊維を含むバグフィルター用フェルトにおいて、ダスト捕集性能が良好で、低圧損で長期安定して排ガス中のダストろ過が行え、さらには、繊維の異形化に起因するフェルト強力の低下を改善した、高効率集塵バグフィルター用ろ過フェルトに関するものである。
石炭焚きボイラー、都市ゴミ焼却炉、産業廃棄物焼却炉等から排出される排ガス中には煤塵のみならずダイオキシン等の有害物質も含まれており、大気汚染防止として各種排ガス集塵は非常に重要である。そして、ダイオキシン生成抑制及び排出抑制の観点からも、バグフィルターによる排ガスろ過が大きく期待されている。
バグフィルターによる排ガス集塵において、大きなろ過速度で目詰まりなしの低圧損運転ができれば、ろ過面積やバグフィルター設置面積も小さくでき、コストダウンにもつながることとなる。また、排ガス中のダストについては、ダイオキシン類や重金属などの有害物質対策として、ガス化溶融炉や灰溶融炉が使用されるようになり、ダストはより小さくなる傾向にある。
ダスト吹き漏れ量が小さく長期安定して排ガスろ過を行う方法として、様々な方法が検討されている。特許文献1には、繊度が1.8d以下であるポリフェニレンサルファイド繊維を少なくとも表層に配しているフェルトろ過布からなるバグフィルターが記載されている。しかし、このバグフィルターではろ過性能は向上するものの、繊維自体が細いため、フェルト強力が低下し、ろ過時およびダスト払落し時の屈曲疲労により、実使用時の耐久性が劣るものであった。
特許文献2では、少なくともウェブが繊度5d以下の異形断面ポリフェニレンサルファイド繊維で構成された、基布とウェブよりなるろ布およびそれを使用したバグフィルターが記載されている。しかし、このバグフィルターも、同じ繊度の場合実施例にあるY型異形断面の繊維では強度が丸断面よりも低下するため、フェルト強力が低下し、ろ過時およびダスト払落し時の屈曲疲労により、実使用時の耐久性が劣るものであった。
特開平10−165729号公報 特開2000−117027号公報
本発明は、上記従来技術のバグフィルター用フェルトの持つ問題点に対し、ポリフェニレンサルファイド繊維を含むウエブと基布とからなるバグフィルター用フェルトであって、高捕集効率や低圧損で目詰まりもなく、さらには、繊維の異形化に起因する繊維自体の強力およびフェルト強力の低下を改善し、耐久性に優れ長期安定して排ガスろ過が行える耐熱性バグフィルター用フェルトを提供することを目的とする。
すなわち、本発明は以下の構成からなる。
1.繊度が0.5〜5dtexであって、引張強度(cN/dtex)×引張伸度(%)1/2で表される値が、同じ繊度の丸断面短繊維の値の80%以上である異形断面ポリフェニレンサルファイド短繊維を少なくとも含むことを特徴とするフェルト。
2.異形断面形状が、扁平であって、その長辺に3〜5個の円形部を有することを特徴とする上記1に記載のフェルト。
3.該繊維が、少なくともフェルトに10%以上含まれていることを特徴とする上記1または2に記載のフェルト。
本発明によると、ポリフェニレンサルファイド繊維を含むウエブと基布とからなるバグフィルター用フェルトであって、極端に繊度を小さくしなくても、異形繊維に起因する繊維及びフェルトの強力を低下させずに、高捕集効率や低圧損で目詰まりもなく、さらには、異形繊維に起因する繊維自体やフェルト強力も改善して、長期安定して排ガスろ過が行えるバグフィルター用フェルトを提供する事を可能とした。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、低圧損、低排気濃度のポリフェニレンサルファイドよりなるバグフィルター用フェルトで、よりろ過性能の高いフェルトを得るために、その短繊維は、扁平ではあるが、その長辺に3〜5個の円形部を有するフェルトである。さらには、異形断面にしても、強度や伸度が大きく低下しない事を特徴とするポリフェニレンサルファイド繊維を含んでいるフェルトである。
本発明で用いる線状ポリフェニレンサルファイドポリマーは、ASTM D−1238−82法で荷重5kg、温度315.6℃の条件で測定したポリフェニレンスルフィドのメルトフローレートが50〜160g/10minからなる線状ポリマーを紡糸して得られる。バグフィルター用フェルトのように厳しい各種用途には単なる耐熱性や耐薬品性のみならず、例えばフィルター形体に必要な強度なども併せ持つ必要がある。そのため、例えば繊維としての高い強力を得るために、重合段階でトリクロロベンゼンなどを用いて未反応の塩素基を残しておき、紡糸前のポリマーの段階で酸素雰囲気あるいはチッソ雰囲気での高温処理によって未反応塩素基により架橋反応を起こさせ重合度を増し、繊維として必要な初期強度を得る方法がある。また、比較的メルトフローレート(低分子量)の低いポリマーでも、紡糸前に、酸素雰囲気で一時的に架橋させて分子量を大きくすることによっても繊維自体は強力など必要物性を満足させることができる。しかし、この様な方法では比較的低分子量ポリマーを一次的な架橋反応によって得られたポリマーよりなる繊維であり、ESCAなどでイオウ原子を中心とする結合を測定すると既に−SO−や−SO−の結合が含まれ、一次的に架橋や酸化により重合度を高くしたこの様な方法では長期に渡る耐熱性を得る事はできない。本発明のポリフェニレンサルファイドは、ASTM D−1238−82法で荷重5kg、温度315.6℃の条件で測定したポリフェニレンスルフィドのメルトフローレートが50〜160g/10minからなる線状ポリマーを紡糸してなることであり、例えば、ESCAでイオウ原子を中心とする結合状態を測定しても、その95アトミック%以上がスルフィド結合であり、さらに好ましくは98アトミック%以上であり、さらに好ましくは100アトミック%がスルフィド結合である事が好ましい。
本発明でいうポリフェニレンサルファイドに代表されるポリアリーレンスルフィドは、−Ar−S−(Arはアリーレン基)で表されるアリーレンスルフィドを繰返し単位とする芳香族ポリマーである。アリーレン基としては、p‐フェニレンの他に、例えばm‐フェニレン、ナフチレン基などさまざまなものが知られているが、その耐熱性、加工性、経済的観点から言ってもp‐フェニレンスルフィドの繰返し単位が最も優れる。
本発明でいうポリフェニレンスルフィドのASTM D−1238−82法で荷重5kg、温度315.6℃の条件で測定したメルトフローレートは50〜160g/10minである。十分な長期耐熱性や強度を得るためには線状ポリマーでなおかつ重合度がより高いほうが好ましい。しかし、メルトフローレートが50g/10min以下では高温でもあまりにも粘性が高く、紡糸時の圧損上昇などから生産性と言う面では好ましくない。また、メルトフローレートが160g/10min以上になる、即ち分子量が小さくなると紡糸時の圧損上昇などは抑える事ができるが、分子量分布が大きくなり、低圧損状態でより高分子量ポリマーが含まれると、高分子量ポリマーの溶融状態が悪く紡糸時の糸切れなどに影響を及ぼす可能性がある。また、長期耐熱性の観点からも低分子量化は望ましくない。この様な観点からポリフェニレンサルファイドのメルトフローレートはこのましくは50〜160g/10min、さらに好ましくは80〜140g/10minの範囲である。また、線状ポリマーのポリフェニレンサルファイドは、架橋型や半架橋型のポリフェニレンスルフィドに比べると、長期耐熱性に優れるばかりでなく溶融時の熱安定性も優れるため加工性にも優れる。
本発明で使用するポリフェニレンスルフィドは、極性有機溶媒中で、アルカリ金属硫化物とジハロ芳香族化合物を重合反応させる方法により得る事ができる。アルカリ金属硫化物は、例えば、硫化ナトリウム、硫化リチウム、硫化カリウム等、あるいはこれらの混合物などが使用する事ができる。これらの中でも硫化ナトリウムが最も経済的に優れる事から一般的に用いられる。
また、ジハロ化合物としては、例えば、p−ジクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼンなどのジハロベンゼン、1,4−ジクロロナフタレン等のジハロナフタレン、その他、ジハロ安息香酸、ジハロベンゾフェノン、ジハロフェニルエーテルなどを上げる事ができるが、物性および経済的観点よりp−ジクロロベンゼンが最も好ましく使用される。その他、一般的には、多少の分岐構造を得るために1分子当り2個ではなく3個以上のハロゲン置換基を有するポリハロ芳香族化合物を少量併用することも知られており、トリクロロベンゼンなどが上げられるが、本発明でいう線状ポリマーとはこの様な半架橋構造を実質的に有さないものである。
本発明の異形断面ポリフェニレンサルファイド短繊維は、繊度が0.5〜5dtexにおいて、引張強度(cN/dtex)×引張伸度(%)1/2で表される値が同じ繊度の丸断面短繊維に対し、80%以上の値であることが好ましい。従来、ポリフェニレンサルファイド繊維よりなるバグフィルター用フェルトは、2.2dtexや3.3dtexが一般的に用いられてきた。また、ろ過性能を向上させるために、細い繊度や異形断面繊維が提案されてきた。本発明でも、好ましくは、1〜4dtexが好ましい。しかし、本発明では、同じ繊度の丸断面短繊維の引張強度(cN/dtex)×引張伸度(%)1/2で表される値に対し、異形断面短繊維であっても80%以上の値となることが好ましい。そのためにも、メルトフローレートが315.6℃、加重5kg、10minにおいて50〜160g/10minのポリフェニレンサルファイドポリマーから短繊維を製造する必要がある。高いろ過性能を得るために、丸断面のまま繊度を極細化すること自体はできるが、同時に繊維自体の強度が低下する傾向があるためである。
本発明のポリフェニレンサルファイド異形断面繊維は、扁平であって、その長辺に3〜5個の円形部を有していることが好ましい。
本発明では、ポリフェニレンサルファイド異形繊維が、少なくともフェルトに10%以上含まれていることが好ましい。ろ過性能は、大きく分けると、低圧損と低排気濃度が要求される。低排気濃度は、繊維表面積と大きく関係しており、フェルト表面ろ過を行うバグフィルター用フェルトでは重要な要素である。その機構は、フェルトの表面にプレコートやダストにより初期ケーキ層を作成し、そのケーキ層にさらに除塵すべきダストを堆積させ、一定圧力への到達や一定時間によりダスト層を払い落とす。これを繰り返すことにより2年以上、長いものでは8年にもわたってろ過が繰り返される。その工程の中でダストが漏れるのは、ダスト払い落としをした直後のみであり、その漏れは、やはりフェルト内部への衝突によって捕集される。よって、本発明では、ポリフェニレンサルファイド異形繊維が、10%以上含まれていないと、繊維表面積による低排気濃度を達成できない。本来は100%使用することが好ましいが、コストの面では100%使用すると高くなり、経済性も考慮すると、フェルト全体に対して、さらに好ましくは、10〜50%含むことである。
本発明のポリフェニレンサルファイド異形断面繊維を含むフェルトは、ろ過面層と支持層と清浄面層からなることが好ましい。ろ過面層には、上記異形断面ポリフェニレンサルファイド繊維を含み、清浄面層は、ポリフェニレンサルファイド繊維、m−アラミド繊維、ポリイミド繊維、PTFE繊維から選択される少なくとも1種類の繊維からなることが好ましい。支持層は、ポリフェニレンサルファイド繊維、PTFE繊維、ガラス繊維のいずれか1種類よりなることが好ましい。また、支持層のみ化学的耐久性向上の目的で、予め樹脂加工処理を行っておく事もできる。
支持層に用いられる繊維は、マルチフィラメント、紡績糸、あるいは複合糸よりなる織布である。また、バグフィルターのパルスジェットタイプは、例えば、筒径155φ、長さ6mのろ布は、小さい設備で数十本、火力発電所などの大型の設備では数万本の単位で使用される。筒状ろ布に対して、ろ過は外側から内側へ向かってガスが流れ、一定圧力や一定時間で上部パルスエアーによる物理的衝撃によってダスト払い落とし操作が繰り返される。また、長さ方向では、形状保持のために筒状ろ布の内部にゲージを用いる。よって、短繊維よりなるフェルトには当然寸法安定性も要求されるため、必ず織布よりなる支持層が必要である。このようなろ布は、ろ布の自重、ゲージ荷重、ダストの荷重などがかかり、尚且つ、上部パルスエアーからのパルスエアーによる衝撃も絶えず受ける事になる。よって、タテ方向に高温下で大きな負荷を連続的に受け、少なくとも2年以上は使われるため、支持層の強力はタテ≧ヨコであることができる。
また、先述したバグフィルター用ろ布のダストろ過機構、及び払い落とし機構では、ろ過方向とは逆方向にパルスエアーによる衝撃を受ける。即ち、高温下でゲージに接触しながら、ろ過とパルスエアーによる屈曲疲労を受けることに成る。ろ布でいうと、フェルトのヨコ方向に絶えず、高温下で屈曲疲労されることになる。一方、筒状に形成されたろ布のタテヨコ方向は、フェルト加工工程のタテヨコと一致する。フェルトは、生産性の面よりより巾の広い設備で作成すると同時に数本のろ布を取れる。また、ろ布の長さもまちまちであるため、フェルト加工工程の長さ方向であれば、自由度も大きい。その為には、フェルト巾を自由に調整できるクロスウエブ(ヨコ方向に短繊維が配置)が適切であり、ほとんどのフェルトろ布が、クロスウエブ、あるいはランダムウエブを用い、カード巾がそのままフェルト巾になってしまうパラレルフェルトは採用されていない。その結果、クロスウエブは、ヨコ方向に短繊維が並ぶため、ヨコ方向はフェルト内部の支持層よりも大きなフェルト強力を示す。しかし、実使用では、この短繊維よりなるヨコ方向が先述したとおり高温下で屈強疲労を受ける。よって、一般的には、使用後のろ布強力が、例えば、タテ方向が100%でもヨコ方向は、この屈曲疲労によって大きく低下し60%、さらには、内部の支持層強力まで低下、更には、破損に至る場合もある。ゆえに、フェルトのヨコ方向に起因する短繊維の強度が高いほうがより好ましくなるので、本発明では、異形繊維であっても、強度伸度が高いものを採用する事により、高いろ過性能と寿命を達成する。
ろ過面層と支持層と清浄面層の積層一体化処理は、ニードルパンチ、あるいはウォーターパンチいずれかの方法によって行うことが出来る。
ろ過層と支持層の積層一体化後、140〜270℃の加熱プレスを行うことが好ましい。
支持層とろ過層を積層一体化し熱プレスした後に、180℃以上の熱処理後、ろ過面層の毛焼きを行う。あるいは、180℃の熱処理後に赤外線、電熱バーによるろ過面溶融処理を行うことが出来る。あるいは、ろ過面最表面をより平滑化させるために、毛焼き処理の後に、熱カレンダー処理を行う事も出来る。
ろ過面層と支持層清浄面層の積層一体化、熱プレス、熱処理、フェルト表面処理などを行った後にフッ素系などの樹脂加工をする事が出来る。
上記構成からなる本発明のバグフィルター用フェルトは、ポリフェニレンサルファイド繊維を含むろ過面層と支持層と清浄面層からなるバグフィルター用フェルトで、極端に繊度を小さくしなくても、高捕集効率や低圧損で目詰まりもなく、さらには、繊維の異形断面化に起因する繊維自体の強力やフェルト強力の低下も改善して、長期安定して排ガスろ過が行えるバグフィルター用フェルトを提供する事を可能とした。
以下、実施例を用いて本発明を詳細に説明する。
(測定方法)
繊度:JIS L−1015(1999)−8.5の方法に準じて測定した。
引張強伸度:JIS L−1015(1999)―8.7の方法に準じて測定した。
フェルト強力:JIS L−1096(1999)−8.12.1Aの方法に準じて測定した。
ろ過性能:ドイツ規格、VDI N3926に準じて測定した。
ろ過速度:2.0m/min、ダスト濃度:5g/m、ダスト種類:Pural NF、温度:130℃、ダスト払い落とし:1000Pa、エージング間隔:5s、タンク圧:0.5Mpa、パルスエアー圧:1017mbar、パルス時間:60ms
手順
(1)サンプルを装着した段階で、ダストのない状態で、サンプルフェルトの持つ初期圧損Paを測定する。
(2)第1段階:圧損が1000Paに達したときにダスト払い落としを行う。この操作を30回繰り返す。その時の、払い落とし直後の残留圧損Paと排気濃度mg/mを測定。
(3)第2段階:ダスト無で、5s間隔による1000回のエージングを行う。
(4)第3段階:安定化操作として、ダスト無でパルスエアーによる払い落とし操作のみを10回行う。
(5)第4段階:ダストを流し、圧損1000Paでのダスト払い落としを2時間実施する。その時の、圧損Paと排気濃度mg/mを測定する。
耐熱暴露試験:210℃×1200時間、空気中、換気率300L/min、ヤマト科学社製オーブンDH63使用
屈曲試験:JIS R−3420(1989)−5.17の方法に準じて測定した。屈曲回数は30,000回であり、その時のヨコ方向の強力(保持率)にて評価した。サンプル方向はヨコ、巾15mm、荷重は1kg。耐熱試験後サンプルの屈曲試験後の引張強力保持率にて評価した。
(実施例1)
一般的な、ポリフェニレンサルファイド繊維の紡糸方法によって、ノズル孔が十字時系ではあるが、その長辺に3つのスリットを有するノズルを用いて、メルトフローレートが110g/10minであるポリフェニレンサルファイドポリマーより紡糸、延伸、熱セット、クリンプ付与、繊維カットにより、図1のような、0.8dtexよりなるポリフェニレンサルファイド異形繊維(4山)を得た。また、同様に、丸ノズルを用いて、0.8dtexと2.2dtexの図2のような丸断面繊維を得た。また、支持層の織布は、250dtex60フィラメントのポリフェニレンサルファイド繊維を、織密度が、タテ:25本/2.54cm、ヨコ20本/2.54cmで製織し、支持層として用いた。フェルトは、一般的なニードルパンチ加工方法によって作成した。ろ過面層は、0.8dtex4山異形繊維を60重量%、2.2dtex丸断面繊維を40重量%混綿した。まず、この混綿された繊維集合体を、予備開繊を行った後、ローラーカードに供給し細かな開繊、繊維配列を行った後、クロスレイヤーによりウエブを積層し、このろ過面層を支持層の織布の片側にニードルパンチで一体化させた。同様に、清浄面層は、2.2dtexの丸断面繊維を用いて同様に、ウエブ作成し、支持層のもう片面に配し、ろ過面層と清浄面層により支持層をサンドイッチして、ニードルパンチ法によって、プレニーパン、仕上げパンチを行った。得られたフェルトを210℃の熱カレンダーによってプレスおよび、熱セットを行い、ろ過面層には、ガス毛焼きを施して、目付521g/m、厚さ1.7mmのバグフィルター用フェルトを得た。
(実施例2)
実施例1と同様に、メルトフローレートが同じく100g/10minのポリマーより、扁平の長辺に4つの円形部(4山)を有する2.2dtexのポリフェニレンサルファイド異形断面繊維を得た。フェルト作成においても実施例1と同様にニードルパンチ方法によって得たが、ろ過面層と清浄面層は、いずれも、2.2dtexの4山異形断面繊維30重量%と2.2dtexの丸断面繊維70重量%からなり、支持層の上下に配して、実施例1と同様に、210℃熱カレンダーによるプレス、熱セットを行って、ろ過面層のみガス毛焼きを施した。得られたバグフィルター用フェルトは、目付493g/m、厚さ1.7mmであった。
(比較例1)
実施例1で得られた、メルトフローレートが110g/10minのポリマーを使用した、2.2dtex丸断面ポリフェニレンサルファイド繊維を、支持層の両側に配して、丸断面短繊維100%からなるフェルトを、実施例1と同様なニードルパンチング法、熱カレンダーによるプレス、熱セットを行い、片面のろ過面層のみガス毛焼きを施し、目付513g/m、厚さ1.8mmのバグフィルター用フェルトを得た。
(比較例2)
ろ過性能向上を目的に、Y型ノズルを用いて、実施例1と同様に、メルトフローレートが172g/10minのポリマーによって、図3のような、Y型断面、0.8dtexのポリフェニレンサルファイド繊維を得た。引張強度(cN/dtex)×引張伸度(%)1/2で表される値の比較用にメルトフローレート172g/10minのポリマーを使用して丸断面の繊維も得た。フェルトは、ろ過層が、0.8dtexのY断面繊維60重量%、実施例1の2.2dtex丸断面繊維40重量%を混綿してなり、清浄面層は、実施例1と同様に、2.2dtex100%で構成され、実施例と同様に、ニードルパンチ、熱プレス、セット、ろ過面層にはガス毛焼きを実施し、目付503g/m、厚さ1.7mmのバグフィルター用フェルトを得た。
(比較例3)
メルトフローレートが170g/10minのポリマーを用いて、実施例1と同様な、扁平ではあるが長辺に4つの円形部を要するノズルより、2.2dtexの4山異形断面繊維を得た。フェルトは、ろ過面層と清浄面層が、メルトフローレートが172g/10minからなる4山2.2dtex繊維30重量%、実施例1で得られた、メルトフローレート135g/10minの2.2dtex丸断面繊維70重量%を混綿して、支持層の上下にサンドイッチし、実施例と同様に、ニードルパンチ、熱カレンダーによるプレスと熱セット、ろ過面層のみガス毛焼きを施して、目付531g/m、厚さ1.8mmのバグフィルター用フェルトを得た。
表1に、実施例と比較例で得られた、短繊維の繊度、強度、引張強度(cN/dtex)×引張伸度(%)1/2で表される値、及び同じ繊度での丸断面に比較した場合の、異形断面繊維の引張強度(cN/dtex)×引張伸度(%)1/2で表される値の保持率を示した。また、得られたフェルトのフェルト強力も示した。さらに、VDIろ過試験方法による、圧損変化、排気濃度の測定結果、及び、熱暴露後のヨコ方向の屈曲試験結果を示した。なお、ろ過性能の評価は、圧力損失Paと排気濃度mg/mがある。実機では、バグフィルターの後段に電力ファンが設置されており、低圧損のほうがランニングコストが小さくなり、性能が高いバグフィルター用フェルトといえる。また、排気濃度は、大気環境面で重要な要素であり、低排出がより性能が高いといえる。低圧損と低排気濃度という相反するパラメーターになるが、その両方を満足させることが高ろ過性能フェルトといえる。また、耐熱暴露後の屈曲試験は、バグフィルター用フェルトは、高温下でダスト払い落としを行うため、フェルトのヨコ方向にパルスエアーによる物理的疲労を、内部のゲージを支点にして受ける事になる。実機では、圧損上昇などで多くのパルスを受けると破損にいたる場合もあり、フェルトのヨコ方向の屈強加速試験としてこの方法にて評価した。
以上のように、まず、短繊維の力であるが、線状ポリフェニレンサルファイドポリマーのメルトフローレートが110g/10minの実施例1、2と比較例1では、同じ繊度での引張強度(cN/dtex)×引張伸度(%)1/2で表される値が、実施例1、2では、異形断面にしても80%以上、即ち、比較例1、2と比べても高い強伸度を持つ短繊維を得ることができる。よって、クロスウエブよりなるバグフィルター用のフェルトに構成しても、異形断面を用いた実施例1、2は、比較例2、3に比べても高いヨコ方向のフェルト強力を得ることができる。さらには、耐熱暴露後のヨコ方向の屈曲疲労試験では、その差はさらに顕著である事が分かる。また、ろ過性能であるが、細繊度化、及び、異形断面を用いた、実施例1、2及び比較例2は、最終圧損も排気濃度も低く、高い性能を示している。
以上のように、本発明では、従来、一般的に使用されている2.2dtexよりなるバグフィルター用フェルトのろ過性能を改善するために、4山よりなる短繊維を用いる事によって、高いろ過性能を持ち、さらには、細繊度や異形化することによって、繊維自体の強伸度、及びフェルトの強伸度も低下する傾向があるが、適切なメルトフローレートと異形化、フェルトへの混綿によって、大きく強伸度を低下する事がない、バグフィルター用フェルトを提供する事ができた。
本願発明の、ポリフェニレンサルファイド繊維を含むウエブと基布とからなるバグフィルター用フェルトは、高捕集効率や低圧損で目詰まりもなく、さらには、繊維の異形化に起因する繊維自体の強力およびフェルト強力の低下を改善し、耐久性に優れ長期安定して排ガスろ過が行える耐熱性バグフィルター用フェルトとして使用できる。
実施例1で得られる4山異形断面ポリフェニレンサルファイド繊維の断面写真である。 実施例1で得られる丸断面ポリフェニレンサルファイド繊維の断面写真である。 比較例2で得られるY型断面ポリフェニレンサルファイド繊維の断面写真である。

Claims (3)

  1. 繊度が0.5〜5dtexであって、引張強度(cN/dtex)×引張伸度(%)1/2で表される値が、同じ繊度の丸断面短繊維の値の80%以上である異形断面ポリフェニレンサルファイド短繊維を少なくとも含むことを特徴とするフェルト。
  2. 異形断面形状が、扁平であって、その長辺に3〜5個の円形部を有することを特徴とする請求項1に記載のフェルト。
  3. 該繊維が、少なくともフェルトに10%以上含まれていることを特徴とする請求項1または2に記載のフェルト。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN105080221A (zh) * 2014-05-22 2015-11-25 东丽纤维研究所(中国)有限公司 一种耐热过滤材料及其生产方法和用途
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