次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態の電
子部品実装装置の平面図、図2は本発明の一実施の形態の電子部品実装装置における搭載ヘッドの正面図、図3は本発明の一実施の形態の電子部品実装装置における吸着ノズルの着脱動作の説明図、図4は本発明の一実施の形態の電子部品実装装置におけるノズルステーションの構造説明図、図5は本発明の一実施の形態の電子部品実装装置におけるノズルステーションの動作説明図、図6は本発明の一実施の形態の電子部品実装装置におけるノズルステーションの平面図、図7、図9は本発明の一実施の形態の電子部品実装装置における電子部品吸着用のノズルの斜視図、図8は本発明の一実施の電子部品実装装置における電子部品吸着用のノズルに用いられるRFタグシートの構造説明図、図10は本発明の一実施の形態の電子部品実装装置に用いられるRFタグのリーダ・ライタの機能説明図、図11は本発明の一実施の形態の電子部品実装装置の制御系の構成を示すブロック図、図12は本発明の一実施の形態の電子部品実装装置におけるRFタグの情報の読取り・書込み方法を示すフロー図、図13は本発明の一実施の形態の電子部品実装装置におけるRFタグの情報の読取り・書込み方法の動作説明図である。
まず図1、図2を参照して電子部品実装装置の構造を説明する。図1において基台1の中央にはX方向(基板搬送方向)に搬送路2が配設されている。搬送路2は上流側から搬入された基板3を搬送し実装ステージに位置決めする。搬送路2の両側方には部品供給部4が配置されており、それぞれの部品供給部4には複数のテープフィーダ5が並設されている。テープフィーダ5は電子部品を保持したキャリアテープをピッチ送りすることにより電子部品を供給する。
基台1上面の両端部上にはY軸テーブル6A,6Bが配設されており、Y軸テーブル6A、6B上には2台のX軸テーブル7A,7Bが架設されている。Y軸テーブル6Aを駆動することにより、X軸テーブル7AがY方向に水平移動し、Y軸テーブル6Bを駆動することにより、X軸テーブル7BがY方向に水平移動する。X軸テーブル7A,7Bには、それぞれ搭載ヘッド8および搭載ヘッド8と一体的に移動するリーダ・ライタ9が装着されている。リーダ・ライタ9は後述するように、RFタグに対して非接触によってデータの読出し・書込みを行う機能を有している。
Y軸テーブル6A,X軸テーブル7A,Y軸テーブル6B,X軸テーブル7Bをそれぞれ組み合わせて駆動することにより搭載ヘッド8は水平移動し、それぞれの部品供給部4から電子部品をノズル14(図2参照)によってピックアップし、搬送路2に位置決めされた基板3上に実装する。Y軸テーブル6A,6B,X軸テーブル7A,7Bは、搭載ヘッド8を移動させるヘッド移動手段となっている。基板3上に移動した基板認識カメラ9は、基板3を撮像して認識する。また部品供給部4から搬送路2に至る経路には、部品認識カメラ11およびノズルステーション12が配設されている。
部品供給部4から電子部品を取り出した搭載ヘッド8が実装ステージに位置決めされた基板3へ移動する際に、ノズル14に保持された電子部品を部品認識カメラ11の上方でX方向に移動させることにより、部品認識カメラ11はノズル14に保持された電子部品を撮像する。そして撮像結果を認識処理部(図示省略)によって認識処理することにより、ノズル14に保持された状態における電子部品の位置が認識されるとともに、電子部品の種類が識別される。
ノズルステーション12(保持具収納部)は部品保持具である複数の電子部品吸着用のノズル14を、格子配列などの所定の平面配列で複数収納する。搭載ヘッド8がノズルステーション12にアクセスしてノズル交換動作を行うことにより、搭載ヘッド8において対象とする電子部品の種類に応じてノズル交換が行われる。このノズル交換はノズルステーション12におけるノズルの配列状態を示すノズル配列データに基づいて行われる。本実施の形態においては、このノズル配列データを、ノズルステーション12の各収納位置
においてノズル14に取付けられたRFタグのID情報をリーダ・ライタ9によって読み取って識別することによって自動的に作成するようにしている。このノズル識別動作は、リーダ・ライタ9を搭載ヘッド8とともに水平方向に移動させてノズルステーション12にアクセスさせることにより行われる。
なお後述するように、リーダ・ライタ9は対象物との送受信を電波を介して行うためのアンテナを昇降させるアンテナ昇降手段(図10参照)を備えており、このアンテナ昇降手段と搭載ヘッド8を水平方向に移動させるY軸テーブル6A、6B、X軸テーブル7A,7Bは、リーダ・ライタ9をノズルステーション12に対して水平方向および垂直方向に相対移動させるリーダ・ライタ移動手段を構成する。すなわちここでは、搭載ヘッド8を移動させるヘッド移動手段が、リーダ・ライタ移動手段の水平移動機構を兼ねる形態となっている。
次に図2を参照して搭載ヘッド8について説明する。図2に示すように、搭載ヘッドはマルチタイプであり、単位搭載ヘッド8aを複数個備えた構成となっている。これらの単位搭載ヘッド8aは個別に昇降動作が可能となっており、それぞれの下端部には電子部品を吸着して保持するノズル14が着脱自在に装着される。また搭載ヘッド8は共通のθ軸モータ13を備え、ノズル軸廻りの回転が可能となっている。ノズル14は、単位搭載ヘッド8aの下部に設けられたノズル装着部10に着脱自在に装着され、電子部品の種類に応じて交換されるようになっている。すなわちこの電子部品実装装置は、部品供給部から搭載ヘッドに着脱自在に装着された部品保持具によって電子部品を取り出して基板に移送搭載する。
図3を参照して、ノズル14の着脱機構を説明する。図3(a)に示すように、ノズル装着部10の下端部には下方に突出した嵌合凸部10aが設けられており、さらにノズル14を係止するためのクランプ部材10bおよびクランプ部材10bを外側から押しつけるスプリング10cを備えている。ノズル14は電子部品に当接して吸着保持するノズル軸14aと、ノズル軸14aの上部に水平方向に張り出した円板状の鍔部14bと、鍔部14bの上部に位置しノズル軸14aと結合して設けられた基部14cより構成される。
鍔部14bの上面には、円板状のRFタグシート15が装着されている。後述するように、RFタグシート15は個々のノズル14のID情報や使用履歴情報などを電波を介して非接触で書込み自在に記憶する機能を有するものである。基部14cには嵌合凸部10aが嵌合する嵌合孔14dが設けられており、また基部14cの外周にはクランプ部材10bが嵌入する形状のクランプ溝14eが設けられている。
ノズル14をノズル装着部10に装着する際には、ノズル14と装着部10とを接近させて嵌合凸部10aを嵌合孔14d内に嵌合させる。これにより、図3(b)に示すように、クランプ部材10bがクランプ溝14eに嵌入して係合し、クランプ部材10bを外側からスプリング10cの弾性力で締め付けることによって、ノズル14は装着部10にクランプ状態で装着される。そしてノズル14をスプリング10cの弾性力に抗して強制的に引き離すことにより、ノズル14をノズル装着部10から離脱させることができる。
上記構成において、クランプ溝14eは基部14cに設けられノズル装着部10に係合する係合部となっている。さらにノズル軸14aは、基部14cと結合して設けられ電子部品と当接して吸着保持する当接部となっており、鍔部14bは、RFタグシート15を基部14cに取付ける取付部となっている。
次に図4を参照して、ノズルステーション12の構造を説明する。図4において、ノズルステーション12(保持具収納部)は、支持ブラケット17aによって基台1上に支持
されたノズル収納ブロック17を備えている。ノズル収納ブロック17には、ノズル14を立姿勢で収納保持するための収納孔17bが、搭載ヘッド8におけるノズル14の装着配置に対応した格子配列で設けられている。
ノズル収納ブロック17の上面には、ノズル収納ブロック17の略全範囲を覆う形状の係止プレート16が、上面との間に所定隙間を保ってスライド自在に配設されている。係止プレート16のコーナ位置には、ノズルステーション識別用のRFタグ19(収納部用RFタグ)が装着されている。リーダ・ライタ9をRFタグ19に対してアクセスさせて、読み取り動作を行わせることにより、個別のノズルステーション12について予め書き込まれた識別情報、すなわち当該ノズルステーション12におけるノズル収納ピッチなどのノズル配列データや、収納されているノズル14の種類などの情報とともに、リーダ・ライタ9によってこのノズルステーション12に収納された複数のノズル14のRFタグシート15を順次検出するために予め設定されたサーチ経路を示す経路情報などを読み取ることができる。
係止プレート16の一端部はノズル収納ブロック17の下面に配置されたスライド機構18に結合されており、スライド機構18を駆動することにより、係止プレート16はノズル収納ブロック17の上面において往復動する。なお係止プレート16とノズル収納ブロック17の上面との間の所定隙間は、図3に示す鍔部14bの厚さ寸法dよりも大きくなるように設定され、ノズル14がノズル収納ブロック17に収納された状態で係止プレート16をスライドさせることができるようになっている。
係止プレート16には、ノズル収納ブロック17における収納孔17bのマトリックス配列の各行に対応した位置にノズル挿通開口16aがX方向に設けられている。ノズル挿通開口16aには、収納孔17bのマトリックス配列の各列に対応して、両側から内側に向かって部分的に延出した係止爪部16bが設けられている。ここでノズル挿通開口16aの形状寸法は、開口幅寸法が図3に示すノズル14の鍔部14bの径寸法Dよりも大きく、且つ係止爪部16bが内側に延出した部分の内法寸法B2が径寸法Dよりも小さくなるように設定されている。したがって、係止爪部16bが突出して設けられていない範囲では、ノズル14はノズル挿通開口16aを上下方向に挿通可能であり、係止爪部16bが突出した部分においては、ノズル14はノズル挿通開口16aを上下方向に挿通できないようになっている。
次に図5を参照して、ノズルステーション12における係止プレート16の機能を説明する。ノズル14は、鍔部14bの下面をノズル収納ブロック17の上面に当接させ、ノズル軸14aを収納孔17b内に挿入した状態でノズル収納ブロック17に収納保持される。なお図5においては、ノズルステーション12においてノズル収納ブロック17に設けられた収納孔17bのうちの3/4の範囲の収納孔17bにノズル14が配列された状態を示している。
このとき、係止プレート16は係止爪部16bが各収納孔17bの中間位置にあって、係止爪部16bがノズル14の挿通を阻害しない状態となっている。すなわちこの状態では、既に収納保持されたノズル14をノズルステーション12から取り出すことが可能であり、またノズルが収納されていない空の収納孔17bに新たにノズル14を保持させることもできる。
図5(b)は、スライド機構18を駆動して係止プレート16をスライドさせた状態を示している。すなわちスライド機構18を駆動することにより、係止プレート16は図5(a)に示す状態からpx/2(ここでpxは収納孔17bのX方向の配列ピッチ)だけ移動し、これにより各係止爪部16bは収納孔17bの列位置と一致する。したがって、
係止爪部16bはノズル収納ブロック17の上面に当接した状態の鍔部14bの直上に位置し、この状態においてノズル14の上方への移動が拘束される。すなわち、ノズル14はノズルステーション12において係止プレート16によって係止された状態となる。
なお、図4,図5に示すノズルステーション12においては、収納されるノズル14がすべて同一品種である場合を示しているが、必ずしもすべてが同一品種である必要はない。例えば、図6に示すように、サイズの大きい部品を対象としたノズル14Aを通常サイズのノズル14と混用してノズルステーション12に収納するようにしてもよい。
次に図7〜図9を参照して、ノズル14へ装着されるRFタグシート15の構造およびノズル14へのRFタグシート15の装着方法について説明する。まず、ノズル14の材質として絶縁性のセラミックなどの非導電性材質を用いた場合の構成例について説明する。この構成は、形状が標準化された汎用部品用のノズルなど、使用数量が多く型成形によって同一形状のものを大量生産するタイプのノズルに適している。
図7(a)に示すようにRFタグシート15は、ノズル14において鍔部14bから上方に突出して設けられた円筒状の基部14cが嵌合する開口部15bを有する円環状のシート部品である。図7(b)はRFタグシート15を鍔部14bの上面に接着剤などを用いて貼着した状態を示している。ここで鍔部14bは非導電材質であるため、RFタグシート15を対象として読取り・書込みを行う際に、電磁波による渦電流が鍔部14bに発生することがなく、アンテナ15dによる信号授受が渦電流によって妨げられることがない。
図8は、RFタグシート15の内部構造を示しており、円環状の樹脂シート15aの内部に、ICタグ15cおよびループ状のアンテナ15dを内蔵した構成となっている。RFタグシート15を製造する方法としては、基板となる円環形状の樹脂板にICタグ15cおよびアンテナ15dをセットし、その上面側を樹脂封止することによって樹脂シート15aを形成する方法や、2枚の円環形状の樹脂板によってICタグ15cおよびアンテナ15dを挟み込む方法など、各種の方法を用いることができる。
すなわち図7に示すノズル14は、搭載ヘッド8に設けられたノズル装着部10(保持具装着部)に係合する係合部を有する基部14cと、基部14cと結合して設けられ電子部品に当接して保持するノズル軸14a(当接部)と、当該ノズル14のID情報を含む情報を記憶し非接触でこれらの情報の読出し・書込みが可能なRFタグシート15を備えた形態となっており、さらにRFタグシート15は、非導電体よりなる鍔部14b(取付部)を介して基部14cに取り付けられている。
なお図7に示す例では、ノズル14を非導電材質で製作する例を示したが、コネクタなど大型の異形部品などに用いられるノズルは使用数量が少なく、大量生産には適していない。このようなノズルは機械加工による削り出しで単品毎に製作され、材質としてはアルミニウムやステンレス鋼などの金属が用いられる。この場合には、金属表面に電磁波によって発生する渦電流によってRFタグシート15による電波の送受信が妨げられるおそれがあるため、図9に示すような構成を用いる。
まず図9(a)に示すように、鍔部14bの上面に電磁波吸シート20(電磁波吸収部材)を装着する。電磁波吸収シート20は、フェライトなどの軟磁性金属の粉末をウレタン系樹脂などの樹脂バインダに含有させた電磁波吸収材を、円板形状に成形して固化させたものである。なお電磁波吸収シート20を用いる代わりに、粘性塗料状の電磁波吸収材を鍔部14bの上面に所定膜厚で塗布することによって電磁波吸収材の膜を形成してもよい。
このようにRFタグシート15と鍔部14bとの間に電磁波吸収材を挟む構成を採用することにより、RFタグシート15は導電性の鍔部14bの表面に直接接触しないため、鍔部14bの表面に誘起された渦電流の影響がRFタグシート15に及ぼす影響を大幅に減少させて、RFタグシート15を対象とする読取り・書込み処理への悪影響を排除することが可能となっている。
すなわち図9に示す例においては、ノズル14は、搭載ヘッド8に設けられたノズル装着部10(保持具装着部)に係合する係合部を有する基部14cと、基部14cと結合して設けられ電子部品に当接して保持するノズル軸14a(当接部)と、当該ノズル14のID情報を含む情報を記憶し非接触でこれらの情報の読出し・書込みが可能なRFタグと、このRFタグを基部14cに取付ける鍔部14b(取付部)を備えた形態となっており、さらにRFタグは、電磁波吸収シート20(電磁波吸収部材)を介して鍔部14bに取り付けられた形態となっている。
次に搭載ヘッド8に装着されたリーダ・ライタ9について説明する。図10(a)に示すように、円環状のアンテナ21をアンテナ昇降機構22によって昇降自在に保持させた構成となっており、アンテナ21は送受信部23に接続されている。送受信部23を作動させてアンテナ21から電波を放射することにより、図10(b)に示す処理対象範囲R内に位置するRFタグシート15のアンテナ15dには電流が誘起され、この電流を電源としてRFタグシート15に内蔵されたICタグ15cが作動する。すなわち、RFタグシート15は自身に備えたアンテナ15dから、固有の識別信号を乗せた電波を発信する。そしてこの電波をアンテナ21を介して送受信部23が受信することにより、RFタグシート15の検出が非接触状態で行われる。
図10(b)に示すように、処理対象範囲Rは下窄まり形状の3次元的な拡がりを有する略紡錘形となっている。すなわち、アンテナ21から下方への高さ差hが大きくなるほど、処理対象範囲Rの平面的な拡がりを示す検出対象範囲の半径rは小さくなり、高さ差hがh1,h2,h3と増大するにつれて、検出対象範囲の半径rは、r1,r2,r3と次第に縮小し、最大検出高さhmにて処理対象範囲Rは消失する。換言すれば、処理対象範囲Rはそれぞれの高さ差hごとに半径が異なる平面的な拡がりを有する形態となっている。そしてリーダ・ライタ9は、処理対象範囲R内に位置する個々のノズル14に取り付けられたRFタグシート15を検出するとともに、検出されたRFタグを対象として情報の読取り・書込みを行う機能を有している。
すなわち読取り・書込み対象のRFタグシート15が処理対象範囲R内に位置した状態で送受信部23を作動させて、読取り・書込み処理の指令信号を乗せた電波をアンテナ21から発信すると、この電波はアンテナ15dによって受信される。そしてICタグ15cは、受信された電波を電源として指令信号に従って作動する。これにより、ICタグ15cに内蔵されたメモリへのデータの書き込みが行われるとともに、当該ICタグの固有のID情報やメモリから読み出した個別情報をアンテナ15dを介して送受信部23に送信する。
次に制御系の構成について、図11を参照して説明する。図11において、制御部30は全体制御装置であり、以下に説明する各部による動作や演算処理を制御する。読取り・書込み処理部31は、リーダ・ライタ9によるRFタグシート15へのデータの読取りおよび書込みに必要な処理を行う。送受信部23が反射波を受信することにより検出されたRFタグについては、読取り・書込み処理部31が反射波に含まれる識別信号を読み取ることにより、個別のRFタグの識別が行われる。
動作カウント部32は、搭載ヘッド8に装着されたノズル14を用いて実行される部品実装動作の回数を、個別のノズル14毎にカウントして動作カウント値を求める処理を行う。求められた動作カウント値は、後述する記憶部37に記憶されるとともに、当該ノズル14の使用が中断してノズルステーション12に戻し入れされる際には、読取り・書込み処理部31によって当該ノズル14のRFタグシート15に書き込まれ、これにより当該ノズル14の使用履歴を示す累積動作カウント値が更新される。
機構駆動部33は制御部30によって制御され、搬送路2によって基板3を搬送するための基板搬送機構34、搭載ヘッド8によって部品供給部4から電子部品を取り出して基板3に搭載するための部品搭載機構35、ノズル14を複数収納するノズルステーション12を駆動する。上記構成において、制御部30は、前述のリーダ・ライタ移動手段を制御することにより、複数のノズル14を対象として情報の読取り・書込みのための相対移動動作を実行させる読取・書込制御手段として機能する。
記憶部37は、部品実装動作を実行するために必要な各種のプログラムやデータを記憶する。これらのデータには、ノズルステーション12におけるノズル14の配列状態を示すノズル配列データ37aや、動作カウント部32によって求められる前述の動作カウント値37b、さらにノズルのメンテナンス時期を明示するためのメンテナンス値37cが含まれる。メンテナンス値37cは、消耗部品であるノズルについて、清掃や交換などのメンテナンス作業の適正実施タイミングを累積使用回数の形で示すものであり、個別のノズル14毎に予め設定され記憶される。
電子部品実装装置の作業開始時には、ノズルステーション12に収納された各ノズル14のRFタグシート15からリーダ・ライタ9によって当該ノズル14の動作カウント値を読み取り、記憶部37に更新初期値として記憶させる。そして電子部品実装装置の連続稼働中においては、記憶部37の動作カウント値37aは、更新初期値に今回の連続稼動分の使用回数を追加することにより逐次更新される。制御部30はこのようにして逐次更新された動作カウント値37aを、当該ノズルのメンテナンス値37bと比較することにより、ノズルの清掃や交換などのメンテナンス実行時期が到来したか否かを判断する。そして個々のノズルについてメンテナンス実行時期が到来したと判断したならば、報知部38によってその旨報知する。これにより、マシンオペレータは適正なメンテナンス実行時期を個々のノズルについて知ることができる。
次に、ノズルステーション12においてノズル14を個別に特定するために、リーダ・ライタ9によって個々のノズル14に取り付けられたRFタグの情報の読取り・書込みを行うRFタグの情報の読取り・書込み方法について、図12,図13を参照して説明する。ここでは、ノズルステーション12におけるノズル14の平面位置、すなわち図4に示す収納孔17bの平面配列が、予め配列情報としてRFタグ19に記憶されている場合を対象としている。なお、すべての収納孔17bにノズル14が収納されている必要はなく、各収納孔17bにおけるノズル14の有無と併せて個別のノズル14が識別される。そしてこの識別結果に基づいて、ノズル配列データ37aが自動的に更新される。
まず、搭載ヘッド8を水平移動させてリーダ・ライタ9をノズルステーション12に対してアクセスさせ、ノズルステーション識別用のRFタグ19に予め書き込まれた配列情報をリーダ・ライタ9によって読み取る。これにより、ノズルステーション12における収納孔17bの配列や収納されているノズルの種類などが判明する。次いで、図13(a)に示すように、ノズルステーション12がアンテナ21の検出範囲(処理対象範囲)外となるまでアンテナ昇降機構22によってアンテナ21を上昇させる(ST1)。すなわち、リーダ・ライタ9を前述のリーダ・ライタ移動手段によってノズルステーション12に対して相対的に移動させて、このノズルステーション12に収納された複数のノズル1
4を処理対象範囲Rの下方に位置させる(退避工程)。
次いで、アンテナ21をノズルステーション12上の読取り・書込みの処理対象のノズル14上へ移動させる(ST2)。すなわち、図13(b)に示すように、処理対象範囲Rの平面中心線CLをノズルステーション12において複数のノズル14のうちの読取りまたは書込みの処理対象となるノズル14*があるべき位置に平面的に位置合わせする(平面位置合わせ工程)。ここで、ノズル14*のあるべき位置は、リーダ・ライタ9によって読み出された部品配列データから知ることができる。
そしてこの後、読み取り電波を放射しながらアンテナ21を下降させる(ST3)(サーチ工程)。これにより、図13(c)に示すように、アンテナ21はチェック対象のノズル14*に対して直上から徐々に接近する。このアンテナ21を下降させるサーチ工程においては、反射波が検出されたか否かを常に監視する(ST4)。ここで反射波とは、アンテナ21から発信された電波がRFタグのアンテナによって受信されることによりRFタグが所定の応答を行う際に発信される電波である。そして反射波が検出されたならばアンテナ21の下降を停止し、処理対象のノズル14を特定する処理を行う(ST5)。
すなわち、図13(d)に示すように、アンテナ21の下降の過程においては、処理対象範囲Rが下窄まり形状となっていることから、平面中心線CLに位置するノズル14*が最初に処理対象範囲Rの領域内に位置する。そしてノズルステーション12に収納された複数のノズル14のうち、ノズル14*に取り付けられたRFタグシート15が最初にアンテナ21からの電波に対して応答して反射波をアンテナ21に対して送信し、送受信部23によって検出される。そして検出されたノズル14*が、処理対象のノズル14として特定される。
次いでこの特定されたノズル14のRFタグシート15から送信されたID情報が読取り・書込み処理部31によって読み取られ識別される(ST6)。すなわち、上述の(ST4)〜(ST6)では、前述のサーチ工程を実行する過程において、最初に処理対象範囲R内に位置して検出されたノズル14*を処理対象となるノズル14として特定する。これにより、1つの収納孔17bについてのノズル識別動作が終了する。
そして第1番目の識別対象のノズル14が特定されたならば、アンテナ21の高さ位置を固定した状態で、ノズル配列データにしたがってアンテナ21を水平移動させることにより、ノズルステーション12の他の収納孔17bに収納されたノズル14が順次処理対象範囲R内に位置し、これにより、ノズルステーション12に収納された複数のノズル14が順次識別される。もちろん、(ST1)以降の動作をその他のノズル14に対して反復実行してもよい。
なお上述のサーチ工程において、アンテナ21がノズルステーション12の上面から図10(b)に示す最大高さ差hmの位置まで下降した後にもなおRFタグからの反射波を検出しない場合には、当該位置(収納孔17b)には対象となるべきノズル14が存在しないと判断してサーチ工程を中止し、他のノズル14を対象とするノズル識別動作に移行する。
また上記説明においては、ノズル14を検出して処理対象として特定し、特定されたノズル14のRFタグシート15から識別情報を読み取って識別する処理のみを記載したが、識別情報以外に当該ノズル14の使用履歴(累積使用回数)を示す動作カウント値など、各ノズル14に固有の情報を読み取るようにしてもよい。また情報の読取りのみならず、各ノズル14のRFタグシート15に固有の情報を書込む場合においても、上述のノズル14の検出、処理対象としての特定および識別のためのサーチ処理が実行される。
上記説明したように、本実施の形態に示すRFタグの情報の読取り・書込み方法は、下窄まり形状の3次元的な処理対象範囲を有するリーダ・ライタによって、部品保持具に取り付けられたRFタグを対象とした情報の読取り・書込みを行うに際し、部品保持具を処理対象範囲の下方に位置させ、次いで処理対象範囲の平面中心を読取り・書込みの対象となる部品保持具があるべき位置に平面的に位置合わせした後に、リーダ・ライタを作動させながら保持具収納部に対して徐々に相対的に下降させるサーチ工程を行わせ、このサーチ工程において、最初に処理対象範囲内に位置して検出された部品保持具を読取り・書込みの対象となる部品保持具として特定するようにしたものである。
このような方法を採用することにより、3次元的に拡がる処理対象範囲を有する特性のリーダ・ライタを用いて、ノズルステーション12に近接して収納された複数のノズル14を対象として、個々のノズル14を正しく識別することができる。これにより、RFタグが取り付けられたノズル14を対象として、情報の書込み・読取りを正確に行うことができる。
なお上記実施の形態においては、部品保持具として電子部品を真空吸着により保持するノズル14の例を示したが、本発明は真空吸着によるノズルに限定されるものではない。すなわち、搭載ヘッドに着脱自在に装着されて電子部品を保持する機能を有するものであれば、機械的なチャック機構によって電子部品を挟み込む方式の部品保持具であっても、本発明の適用対象となる。
また上記実施の形態においては、RFタグとしてICタグを円環状の樹脂シートに内蔵させたRFタグシート15を、取付部としての鍔部14bに貼着する例を示しているが、本発明におけるRFタグの構成は上述例に限定されるものではない。すなわち電波を介して非接触で情報を書込み・読取り自在に記憶する機能を備えたものであれば本発明に用いることができ、さらにこのようなRFタグをノズルの基部に取り付けることが可能な構造・形状であれば本発明における取付部として用いることができる。